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5  月    俊和 儲

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Academic year: 2021

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(1)

ワンボードマイコンを使用した学生実験

皿.誤差法則のシミュレーションー

   網田受 日岡− 月 5祐年 54俊和 儲

An Application of Microcomputer to Experiments for Students

一 ll. Simulation of the Pistribution of Error 一

Shunsuke KisHiMoTo and Tadashi OKADA

(Received May 1, 1979)

 A new method to obtain a normal distribution is described.

 The distribution can be obtained from the leading errors which occur when the student measures the length of a dummy line displayed on C.R.T. For this s imulation, X−Y oscilloscope controlled by the microcomputer is used as a display equipment.

 By observing the picture of X−Y osci11oscope, the student operates the microcomputer to try the simiulation. As the microcomputer processes the data in real time, many distributions are obtained in a short time.

       1. ま え が き

 統計法則に関する学生実験は,興味あるテーマの一つで ある。特に,工学系の学生に要求される統計法則に関する 知識は,たとえば実験データの処理のような基礎から品質 管理のような応用にまで,広い範囲におよんでいる。

 しかし,統計法則を理解するための基礎実験は,単純作 業を多数回繰り返しデータを収集した上,その整理にも時 間がかかり,時間的制約や学生の疲労のため十分な効果を 上げる実験となりにくい。このためミニコンや大形コンピ ュー^の端末装置を使用したシミュレーション実験で,こ の困難さを解消させた例もある1)。しかし,こうしたシミ ュレーション実験では,学生は初期値を設定するだけだっ たり,得られた結果を見るだけに終り,基礎的な学生実験 に必要な自らが体験するという点では,不満の残るものと ならざるを得ない。

 そこで,最近プログラマブルな処理ユニットとして低価 格で供給されるようになったマイクロコンピュータ(マイ

コン)2)を,人聞とのインタフェースを重視して使用すれ ば,上記の欠点をなくした学生実験が開発できる。つま り,学生の手作業を適当に残すことにより実験に参画した という感じを持たせ,なおかつ単純作業の部分はマイコン に受け持たせることにより学生の負担を軽減させるという 方法をとる。これはまた,我々が開発を続けているマイコ ンを体験的に教育するたあの一連の学生実験3)一  5)の一つ としても,有意義なテーマである。

応用物理実験*へのマイコン導入の第2報として,自然 界における統計法則で代表的な正規分布を求めるためのテ ーマを取り上げた。このテーマについては,物理的観点か らまとめたものをすでに発表したが6),本報は,ハードウ ェアの主要部の改良等,システムを構成するための技術的 な面に重点をおいた報告となっている。

*応用物理

**電気工学科

     2.シミュレーションの方法

 ある基準線の長さを繰り返し測定し,その測定誤差の分 布を求める場合を想定する。このため,次のような模擬測 定を考える。

*大学教養課程の物理実験に相当

(2)

 マイコンでX・Yオシロスコープを制御して,Fig.1のよ うにブラウン管面(以下単に管面という)上の中心あたり に,長さ数cmの基準線とそれに平行な測定線を表示させ

Fig. 1 Picture of X−Y oscilloscope

る。測定線の長さは,外部から実験者が自由に可変できる ようにしておく。実験者は,基準線に測定線を目測で一致 させ,測定用のキーでマイコンに指示を与える。マイコン は,両者の長さを比較計算し,記憶する。これを必要回数 行ない,測定終了後集計された結果を読み出す。マイコン で制御しているので,管面上には測定回数が表示でき,ま た,1日ごとの測定結果(誤差)を表示させることもでき る。したがって,最初は真上も測定結果も知らないで実験 を行ない(通常の測定に相当),次に真値を知った上で,

1回ごとの測定結果を表示させて,フィードバックをかげ ながら実験を行ない(フィードバックのかかった測定に相 当),両者の分布を比較するというようなことができる。

また,基準線の長さ,測定線と基準線との距離といった実 験条件も,容易に変更できる。

 マイコンは,臨画表示用ディジタル信号(8ビットx2 チャンネル)を出力し,測定線の長さを決めるためのコン

パレータからの信号でと,測定を行なうためのキーからの 信号Kとの2ビット分の入力信号をもらい,計数・記憶・

表示を行なうことになる。

3.ハードウェア

 ハードウェアの構成を,Fig.2に示す。

 ワンボードマイコンは,第1報と同様日本電気のTk−808)

を使用した。ただし,ここではプログラムとデータ記憶領 域を合わせてRAMが約0.6Kバイト必要なため,基板上で

1Kバイトに増設している。

 X−Yオシロスコープは,どんな種類でもよいが,我々は 安価な岩崎通信機SS・5040の目盛板を取りはずして, X・Y モードで使用した。この管面は8cm×10cmの大きさなの で,8ビット×8ビット(256点×256点)で分割すれば,表 示の最小間隔はO.4mm以下となる。この程度の間隔であれ ば,輝点の広がりのため連続した線を描くことができる。

 マイコンの入出力ポート(PPI)の,ポートAをXチャ ンネルにポートBをYチャンネルにそれぞれ割り当てる。

このディジタル信号をアナログ信号に変換するDA変換器 は,従来抵抗とCMOSゲートを使っていたが6),手ごろな 専用IC(MC1408)が入手できるようになったのでこれを 採用した。MC 1408は,8ビットの基準電源餌付けの電流 出力DA変換器である9)。これを使用すれば,基準電源と して3端子レギュレータを分圧したものを使用して,通常 の使い方で1%程度の精度が容易に得られる。また,電流 出力を電圧出力に変換する必要があるが,演算増幅器に抵 抗を付けるだけでよく,この抵抗を変えれば最大出力電圧 が自由に変更できるという利点もある。

 さらに,XチャンネルのDA変換出力は,演算増幅器(7 41)で作ったコンパレータに入る。コンパレータの他方の 入力は,可変抵抗器で任意に設定できる基準電圧Vrefに つながっている。したがって,コンパレータの出力は,初

r一 一 TK−80一 一 一n

DISPLAY UNIT

皿コ田コ

DMA

BOARDKEY

(O.75KDROM RAM

(IKB)

CPU 8080A

1/ O

 PORT PPI

(8BITx3 )

亀一一MICROCOMPUTER鱒一一 一鱒        三

ーー詫一㎏

 AC1408

 +741

1408DAC

 .

Ych Xch

O旧回口

Vref

琉C

潤E :o

X−Y OSCILLOSCOPE co PARA丁OR

Fig. 2 Schematic diagram of simulation of length measurements

(3)

めHレベルでXチャンネルの出力がVrefを越えると, L レベルになる。これが,ツェナダイオードでレベル変換さ れて,ポートCの2ビット目にCとして入る。

 最後に,測定を行なうよう指示するためのキースイッチ が,ポートCの1ビット目にKとして入る。このスイッチ は,ひんぱんに使用するものなので,信頼度の高いモーメ ンタリオンタイプのスイッチがよい。

4.ソフトウェア

 ソフトウェアで注意を要する点は,管面に基準線等を常 時表示させることであるσ原理的には,XチャンネルとY チャンネルの電圧で定まる位置に輝点を出し,この輝点を 順次移動させて必要な線を描くわけであるが,ブラウン管 の残光時間が短いので,少なくとも1秒間に数10回以上は 同じ一点を繰り返す必要がある。このため,ソフトウェア でループを構成しなければならない。

 Fig・3に,流れ図を示す。

 PPIの各ポートの入出力を定め,度数を記憶させるメモ

S. TA RT

S ET 1/O M健←0(R=1、2ド・…)

SET Sの N 1

x.

U丁X LtPUT C NQ

   Yes

=o X噺X+1

一Y DIS P.

X, S. N,(R)

INPUT R N  =o?   Y NでNtl R喝X−S

M. M,尋1

Xe OUT X

1NP 丁 『

N   =ca

YYN

>1280> P{!:一Xti

Y

 N=300?

N R O 一Y DrSP

M腐

 EY=1?

Y NR. R+1

  R:END?

N Xi・;;}

  TO

Fig. 3 Flow chart for simulation of length measurements

リMiをクリアする。基準線の長さS,基準線と測定線と の距離Dを適当にセットし,測定回数Nを1とする。

 測定線の長さXは,コンパレータの出力で.がしレベルに なるまで1単位ずつ長く伸びていく。すなわち,実験者が 設定したVrefと, Xチャンネルのアナログ出力が一致す るところまでの長さが表示される。

 ここで,X, S, Nおよびフィードバックをかけるとき のみ前回の測定結果.Rを層面に表示し,キー入力Kがしレ ベルかどうか調べる。Lレベルでなければ,測定しろとい う指示が来ていないので,さらに表示を続ける。したがっ て,KがHレベルの間は,この部分を実行するに要する時 聞最大約20m秒ごとに1回は,管巻に輝点を与えているこ とになる。1ζがしレベルになって,測定線が合わせられた ら,まずNを1回増し,次に基準線と測定線との差である Rに対応したメモリ番地の内容(階級ごとの度数を記憶す るメモリ)に1を加える。(実際には,メモリ節約のため,

極端に大きいまたは小さい階級は両端の階級にまとめてい

る。)

 所定回数の測定が終れば,度数の読み出しに入る。まだ であれば,次の測定に移るが,前回と同じ状態で続けてキ ーが押されないよう御破算する必要がある。このため,こ こでは実験者が測定線をある一定値以上にしなければ,次 に進めないようにしている。度数の読み出しでは,所定の キーを押すたびに,順次各階級とそれに対応した度数が,

管粥に表示される。

 管面上に数字を表示するサブル」チンは,左右上下に一 定単位ずつ動く基本ベクトルを作り,それらの組み合わせ により数字を作るようにしてある。(文献10の方法を改良 したものである。)

 なお,メモリはプログラムに500バイト強,度数の記憶 に100バイト弱を占有する。

5.使 用 結 果

 Fig.4, Fig.5に実験結果の例を示す。ヒストグラムの右 上に測定条件D,Sが記入してあるが,最小分割長を単位

とした数で書かれている。横軸は,直接得られるXからS を引き,正規化して目盛ってある。また,図中の実線は,

正規分布による数学的期待値を計算したものである7)。

 Fig.4は学生2入の測定した,フィードバックの有無に よる分布の変化を示している。いずれも,上がラィードバ ック無し,下がフィードバック有りの結果である。学生A に比べて学生Bの方が,精度の良い測定をしているが,共 にフィードバックのかかった方が精度が向上している。一 方,フィードバック無しの場合,早撃に対して大きく測定 する傾向がある。このため,闇値を知ってからは,意識的 に小さくしょうとして,左右の対称性がくずれている。特

(4)

0

 ⊂>り5コσΦ亡 6   4    2  0    0

60

  0     0  ムコ     

ご⊆Φ⊃σΦ﹂﹂

o

零X=45.0 D=128 >、

幽8.45 S軍38 と

h=0.24 Φ⊃

σΦ

L

一一@5

×=38.8 zai=6.35

h=Oa28 o

60

940

2Q

Il一 一a−t/is−L一一一il t一 o l s O 一fto .. s

 Error A

     f・Without Feedback ・?

      80 D=126

S=38

一5 O 5 10  Error Zl N with Feedback

一X=35.1 O〜・3.95

?≠O36

D=128 r=32

 戸◎8743

ユ    330= = ;一X♂h  0  . 0   ハb    4⊂ご⊂当σΦよ

(a) Student A      Fig.4

20

o

o  5

Error ZI

D=128 S潔32

10

一10 一5

(b) Student B

0    5  Error Zt

Distribution change with/without feedback

に,学生Bでこの傾向が著しい。これらのことは,学生自 身も実験中にある程度気が付いており,系統的誤差と偶然 誤差の違いについての認識を深めたようである6

.Fig.5は,基準線と測定線との距離を変えた場合(上に 対して下は半分になっている)の分布を示す。予想通り距 離を短くすると,精度が上がっているのがよくわかる。.

 これらの一つの分布は,それぞれ総回数300回であるが,

1例の測定に要する時間は15分前後で,1時聞半もあれ ば,個人差・フィードバックの有無・距離の変化による分 布の差の実験が可能である。このように,シミュレーショ ン実験といっても,適当に学生の手作業が残っており,考 えながら実験ができるという点で,十分な効果の上がるテ ーマとなった。

6. む  す  び

 第1報に続き,簡単なワンボードマイコン(NEC:TK−

80)を使用し,偶然誤差のもつ統計的性質を理解させるた めの,本校応用物理実験の新しい学生実験を開発した。

 マイコンで制御したX−Yオシnスコープを表示装置とし て使用し,簡単なDA変換器を通して三面に,基準線・測 定線・測定回数・測定結果を表示した。測定線の長さを自 由に可変できるようにし,これを基準線に一致させること により,長さ測定のシミュレーションを行ない,その誤差

.仁 0    0ム﹁    ?一♂にΦ⊃σΦ﹂L

o

−1 O

0

8

  

@ 

U0

♂⊆Φ⊃8﹂L

40 20

10

X目39.2 D国128

よ霊6.73 S・36

h胃O,27

一5

o −10 一5

Fig. 5

   5 一10

0

  Error Zl

X=36.1 D昌64

べ昌1.97 S属36

h冨O.5.0

       O 5 10

      Error zl Distribution change with distance from reference line to measuring line

(5)

分布を求めた。

 その結果,測定誤差の統計的性質を知るために必要な,

条件の異なる多数のデータが,短時間で得られるようにな った。特に,フィードバックの有無による分布の変化,測 定条件の変更による分布の変化等が簡単に実験できた。

 また,表示装置の面白さから,学生にマイコンに関する 興味を起こさせ,有用性と特長を知らせるという点からも 意義のあるものとなった。

 しかし,ここで使用したマイコンでは,使用者のメモリ 領域がRAMベースのため,プログラムを実験のつどロー ドしなければならず,学生実験として実施させるには煩し い。そこで,処理プmグラムをファームウェア化した専用 機を製作中である。これはまた,マイコンのプログラマブ ルなLSIとしての応用例として,学生に示すことにしてい

る。

 今後も,マイコンを用いた新しい学生実験のテーマを開

発し,マイコンの特徴・有用性等を教育できるような実験 を作っていきたい。

         文     献

1)重田ほか,基礎教育物理学実験,(昭51), 151,共立   出版.

2)飯塚,電気学会雑誌,96−3(昭51−3),7.

3)岡田・岸本,信学技報,ET78−8(1978−9),21.

4)岸本・岡田,津山高専紀要,16(1978),1・

5)岡田・岸本,津山高専紀要,17(1979),25.

6)岸本・岡田,物理教育,26−4(1978),273,

7)重田ほか,基礎教育物理学実験,(昭51),1,共立出   版.

8)日本電気,μCOM−80トレーニング・キットTK−80ユ   ーザズ・マニアル,(1976−9).

g) MOTOROLA, Semiconductor Data Library/Linear

  I/C s Vol.6, (1976), 5−54.

10)山本・青木,つくるマイコン(第1集),(昭52),128   CQ出版.

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