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コンビューダによる根軌跡自動描画法
柳 原 昌 輝
Automaticrootlocusdrawingtechniquewithcomputer
masateru YANAGIWARA
(昭和46年10月30日受理)
但し,零点をZ,極をPムとした場合
、
P(S)="(S‑Z)………・……..
i=1
1. まえがき
自動制御系を設計するにあたり,注意を要することに その系が,安定になるか否かである。
一般に制御系が不安定であれば,設計した閉ループ系内 外の機器の破損,その他の危険を生ずる。
系が安定であるか否かを評価する方法として主なものは 1. 根軌跡法による安定判別
2. ナイキストの安定判別
3. ボード線図による安定判別4. フルヴィッツの安定判別
等があるが, ここでは,安定,不安定を主眼とするので はなく,従来までの角度条件より描くEVANSの方法 による根軌跡をコンピュータを利用することにより,全 く違った形で根軌跡を自動的に描くということを目的と している。
(2−2)
nl
q(s)="(s−P)………..….……(2‑3)
i=1
で, n<mと表わされる。
(2−1)式より,閉ループ系の伝達関数つまり,一巡
伝達関数は次の様になる。
G(S).H(S)=G(S)/(1+(G(S))………(2‑4)
=KP(S)/(q(S)+KP(S))・.・(2‑5) 即ち, (2−1)式と(2−5)式を比べた場合,閉ル ープ系の伝達関数の零点と開ループ系の伝達関数の零点 は同一である。従って,問題は,閉ループ系の伝達関数 の極がわかれば,閉ループ系の周波数特性も過渡特性も わかることになる。ところで,閉ループ系の伝達関数の 極というのは, P(s)‑l‑q(s)=0…・……・・ (2‑6) の根,即ち一巡伝達関数の特性方程式の根である。とこ ろが, P(s), q(s)の個々の零点がわかっていても(2
−6)式を解析的に解くということは非常に困難である ので,他の方法で求めようとしたのが根軌跡のそもそも
の意義である。つまり根軌跡とは,高次代数方程式の根 を直接求める方法に依存せず,図式的に閉ループ系の極
を求めようとする方法である。それで根軌跡の描き方は(2−1)式の開ループ伝達関
数が与えられた時の特性方程式の根を軌跡として描くの である。即ち閉ループ伝達関数の極をS平面上にプロットして表わしたものが,開ループ伝達関数のケイン定数
Kを0から霊まで変化させた時の軌跡である。つまり,根軌跡を描いて,周波数応答,過渡応答を知るというこ
とは,系の安定,不安定を知ることにほかならない。
2. 根軌跡法
周波数応答法においては,開ループ系の極,零点及び
ケイン定数を取扱うが,閉ループ系については,極や零点を問題とせず,正確なことは,周波数特性を求めると
ころまでしか行なわない。
過渡特性は,特にやっかいな精密計算をすれば別である
が,そうでないときは,いくつかの経験的,試行錯誤的 方法に依ってこれを推定する以外に方法はない。もし,
閉ループ系の極や零点がわかるならば周波数特性は,ボ ード線図を描くことにより知ることができる。すなわち 系の極と零点を知れば,系の周波数特性と過渡特性を同 時に知ることができる。根軌跡はこの要求に対する一つ
の解答であり, この点に関しては,非常に有効なもので ある。ここで根軌跡について簡単にのべると,一般に開ループ伝達関数G(S)は, Sに関する多項式の比で表わ されるので次の様に表わせる。
G(S)=KP(S)/q(S)…・………・……..…・・ (2‑1)
3. 根軌跡自動描画法の一般的解法
3. 1 解析
コンピューターによる根軌跡自動描画法 65
y=0 ・・………・…………・…・・ (3‑10)
の両式が求まる。 (3−9)式より,
y=gn(x) ……・…・・・…..…………(3‑11) となり, (3−11)式が零点の存在しない一巡伝達関数 の根軌跡を示す式である。
(3−5)式と(3−8)式の両式より,ケインKを消
去すると
fK(x,y)=gK(X,y) ………・・・……(3‑12)
... y=j(x) ………(3‑13) の様に表わせる。
つまり, (3−7)式は実軸上の, (3−13)式は,そ
れ以外に存在する根軌跡を含む軌跡の式である。
両式は,根軌跡以外の部分も含んでいるので,何らかの 方法によって, どの部分が,求める根軌跡かどうかを,
判別しなければならない。従来の方法では,Kをパラメ ータとして,根軌跡を求めたものであるが,その場合,
根軌跡は,ケインKを0から無限大まで変化させる時の 軌跡であることに着目し,Kの正の部分が根軌跡となり 得,負の部分は軌跡にならない部分である。
即ち,ケインKにより,根軌跡が存在している部分と,
存在していない部分を,正負の符号により判別して,根
軌跡を求めようとしたものである。
図3−1 フィードバック制御系の基本 ブロック線図
図3−1の様に,ブロックダイヤグラムが与えられる
一巡伝達関数を考えた場合,一般に一巡伝達関数G(S)H(S)は
G(S)H(S)=KZ(S‑Zi)/ IF(S‑Pi)
G(S)H(S)=K〃(S‑Zi)/野(S‑Pi)……3(‑1)
i=1 i=1
(但し n<m)
で与えられる。 (3−1)式の特性方程式は,恒等的に P(S)と置いて,
P(S)=1+G(S)H(S)=0……..……・…(3‑2) そもそも根軌跡は,特性方程式のKの値を変化させるこ
とにより, Sが根となる連続的な軌跡として描かれるも
のであるから, Sの値つまり,特性方程式の根がわかれ ばよいのである。
そこで, S=x+jy (j=I/‑1) と置くことにより根
軌跡のx座標と,虚軸のy座標がわかる。以上より (3−2)式は
P(x,y,K)=1+G(x,y,K) .H(x,y,K)
=f(x,y,k)+jg(x,y,K)=0
……(3−3)
(3−3)式より実数部は
f(x,y,K)=0………..…・ (3‑4)
となり,ケインKを求めると,
K=fK(x,y) ,.…・……・…………..……(3‑5) となり, xとyの関数として表わされる。
同様にして,虚数部は,
g(x,y,K)=0 ..……・………(3‑6) y=0 ・・…・………(3‑7) の両式が求まる。
(3−7)式は,実軸上に存在する軌跡の式である。
(3−6)式よりケインKを計算すると,
K=gK(x,y) ………(3‑8)
となる。しかし(3−8)式が求まるのは,一巡伝達関数に零点が存在する場合である。
零点が伝達関数に存在しない場合,
g(x,y)=0 ………(3‑9)
骨
3
3.2eainKによる根軌跡の判別 3.2. 1軌跡が実軸上に存在する場合
実軸上に軌跡が存在する場合のgainKの値は, (3
−5)式にy=0を代入して得られる。その時のKの値 をKYOとすると
KYO=fo(x) ………(3‑14)
そこでこのKYOより根軌跡の存在を判別する。
KYO>0 ; 根軌跡は存在する。
KYO>0 ; 根軌跡は存在しない。
KYO=0 ; xの値は極となる。
KYO=土一; xの値は零点となる。
P
3.2.2 軌跡が実軸上以外に存在する場合
(3−13)式のy='(x)が実軸上以外に存在する軌跡
の式である。前者と同様根軌跡でない部分を含んでいる のでKの値の正負により判別する。
この時のKの値は(3−5), (3−8)式より求められ
る。
K>0 ;根軌跡は存在する。
K<0 ; 根軌跡は存在しない。
K=0 ; 共役な複素平面上の点x±jyは,極とな
る。罪
66
柳 原
K=±=;共役な複素平面上の点x±jyは,零点となる。
輝
日日
く。これは,虚蝕を切る点であるから,ケイルKの式に x=0を代入したものになる。この値をKXOとすると
KXO=fxo(y)
となり, yの永の関数となる。
3.2.3 系の安定限界値のK
系の安定限界値を知るということは,制御系の設計並
びに,系の補償に関し,非常に重要なこととなってく る。即ち,ケインKの変化範囲が分っていれば,系の安
定を保つのに容易であることからこの値を,計算してお3.2.4 根軌跡描画のフローチャート
−般的な場合のフローチャートを,図3−2に示す。
oフローチャート中の, (1)〜(8)の説明
特性方程式
1+G(S)H(S)=0
毒S=x+jy
f(x,y,k)+jg(x,y,k)=0
蓬
這毛
実数部
伝がk=fk(x,y) (x,y)
k=gk(x,y)
y==0g(x,y)=01
y:=0KXO
=fx。(y)
Oj
XYノ〆
fK一一y=g。(x)
工y=j(x)
垂
(4) (5) (6)
(1) (2) (3)
(7)(8)
XYプロッタ
XYプロッタ
図3−2 根軌跡描画のフローチ ヤ− ト
コンピユータによる根軌跡自動描画法
67安定限界のケインKの値。
実軸上の根軌跡のケインKの値。
実軸上以外の根軌跡のケインKの値。
実軸上以外の根軌跡の式。
実軸上以外の根軌跡のケインKの値。
実軸上の根軌跡の式。
実軸上以外の根軌跡の式。
実軸上の根軌跡の式。
H(S)を(4‑8)式の様に与える。
G(S)H(S)=K(S+2)/(S2+2S+2)…(4−8)
特性方程式は(4−9)式の様になる。
S2+(2+K)S+2(1+K)=0………(4‑9)
(4−9)式に, S=x+jyを代入すると,
x2+2x+2‑y2+K(x+2)
+jy(2x+2+K)=0………… (4‑10) 実数部より,
K=‑(X2+2x+2‑y2)/(x+2)……(4‑11)
KYO=‑(x2+2x+2)/(x+2)……(4‑12)(4−11)式から,計算の結果求められるK=0の点,
つまり,x=‑1 , y=±1 (S=−1±j)が,極の座標 となる。同様に,零点は,K=:±。。になる点であるか ら,
x=−2 ・…………・………・ (4‑13)
(1)(2) (3) (4) (5) (6) (7) (8)
(1), (2), (3), (4), (5), (6)は,伝達関数に零点が,存在 する場合。
(1), (2), (3), (7), (8)は,伝達関数に零点が,存在しな
勝
い場合。
4. 1 例題 1
一巡伝達関数に,零点を含まないもので,G(S)H(S)を
(4−1)式の様に与える。
G(S)H(S)=K/S(S+6)(S+10)………(4‑1)
特性方程式は(4−2)式の様になる。
S3+16S2+60S+K=0 ………・…・…・ (4‑2)
(4−2)式に, S=x+jyを代入すると,
x3+16x2+60x‑3xy2‑16y2+K
+jy(3x2+32x+60‑y2)=0…(4‑3)
実数部より,
K=‑(x3+16x2+60x‑3xy2.‑16y2)……(4‑4)
実軸上に存在する根軌跡のKの値は, (3−14)式よりKYO=一x(x.+6)(x+10) …………(4‑5)
虚数部より,
y(3x2+32x+60‑y2)=0
...y=0 ……・…………・…. (4‑6)
2
START
X,YP,
YNの
DIMENSIONをとるI=1, 2,
.....・・・・・・・、X(I)=‑12.025+1/40.0 KYOの計算
一一一
R※の計算
< R: 0
N(I), K
算y=±1/3x2+32x+60 ………(4‑7)
YP(I), YN(I), K o実軸上に存在する根軌跡
の計算(4−6)式は,実軸全体を表わしているが,KYOが
正の値をとる部分が,根軌跡である。つまり, x=‑6か
ら, x=‑10までの区間以外が根軌跡である。
;︾
X(I), YP(1), YN(I), K
KYOの印刷
, YN(I), K )印刷
骸
o実軸以外に存在する根軌跡
(4−7)式が,実軸以外の軌跡であって, (4−4)
式のKが正ならば,それは根軌跡であり,実軸に対して 対称となる。
図4−1は,以上のフローチャート,図4−2は,根 軌跡である。
ー■■■■■一一 ,
XYプロッタで描画させる
STOP
※RはYPのV−の中の式
図4−1 例題1の根軌跡描画のフローチャート
4.2例題 2一巡云達関数に,零点が含まれている場合で, G(S)
輝
柳 原
日日
68
START
X, YP,
YNのDIMENSIONをとる
I=二1, 2,…。。…….、
X(I)=‑4.025+1/40.0
三二二
X(I) :‑2.0
6
− 6
一一
K
O キ|獺
KYOの計算 。
R※の計算
エ
I
<
R: 0 ー≧
N(1), K
算YP(I), YN(I), K
の計算
X(I), YP(I), YN(I), K, KYOの印刷一
YN(1), K,
印刷 一
図4‑2 XYプロッタで描いた例題lの根軌跡
虚数部より,
y(2x+2+K)=0
. .
●y=0 ………(4‑14) K=‑2(x+1) ..………・…………(4‑15)
(4−11)式と(4−15)式より,Kを消去して,
y=±、/‑x2‑4x‑2 ………(4‑16)
XYプロッタで描画させる
STOP
※RはYPのへ/−の中の式
図4−3例題2の根軌跡描画のフローチャート
X
o実軸上に存在する根軌跡
(4−12)式のKYOが正の値をとる部分が,根軌跡 となる。
。実軸以外に存在する根軌跡
(4−16)式の軌跡上で, (4−15)式のKの値が正
となる部分が根軌跡となる。
図4−3は,以上のフローチャート,図4−4は,
XYプロッタで,求められた根軌跡である。
盛
5. あとがき
根軌跡の自動描画は,成功し,その結果を従来のEv
図4‑4 XYプロッタで描いた例題2の根軌跡
コンピュータによる根軌跡描画法 69 ansの方法(角度条件)により確かめた所,ほとんど,
誤差がないことが分った。しかし,根軌跡の存在の有無 は,Kの値(符号)に頼らなければならないので,今後 は,プログラムを検討し,根軌跡の存在の有無は,Kの 値(符号)に頼ることなく,叉,伝達関数の極,零点が
分ればただちに描画できる一般的描画プログラムを検討 してゑたい。さらに,根軌跡による系の改善その他,設 計も,検討したい。
最後に,本研究を行なうにあたり,終始御指導を賜っ た秋田大学鉱山学部渡部倫寧助教授に心から感謝申し上
げます。又この研究に協力された当時卒業研究学生桑原
良平君(日立製作所)及び,現在5年の古河典夫君(日 本IBM内定) ,畠山芳夫君(日本電気内定)に厚く御礼申し上げます。
なお計算処理及びXYプロッタによる描画は,秋田大
学の電子計算機FACOM270‑20を使用した。献
;AutomaticControlSystems, 文 献
BenjaminC,Kuo ;Automal SecondEdition, 329, 1967