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続 ・ホモセティツクな支出構造下における国際貿易

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(1)

続 ・ホモセティツクな支出構造下における国際貿易

松 井 均

1

節 は じ め に

本稿 は拙稿 [1] ( 以下 「 前稿」 と呼 ぶ) の続編 である

前稿 において は,限 界代 替率逓減且 つ ホモセテ ィ ック

1)

な社 会 的無差 別 曲線群 を持 つ二 国が,両 国 間で支 出集約度 の相異 なる二財 を, 限界転形率逓増下 の不完全特化状態 で生産 し,貿易 し,消 費す る場合 を対 象 と して

2)

,貿 易 パ ター ンと貿 易収支調 整 メカ ニズムの安定性 との関係 を考察 した。 その際,前稿 の分析 は,両国 の貿易無差 別 曲線群 が ともにホモセテ ィ ックになる こ とを前提 と していた 。

I ところで本稿 第

2

節 で示 され るよ うに,一 国の社 会 的無差 別 曲線群が ホモセ テ ィ ックであ って も, その国の貿易無差 別 曲線群 は常 にホモセテ ィ ックになる わけで はなしこ 。所与 のホモセテ ィックな社会 的無差別 曲線群 に応 じてその国の 生産可能性 曲線 の形状 が ある特 殊 なグルー プに属 す る場合 に限 り, その国の貿 易無差別 曲線群 もまたホモセテ ィ ックになるのである

す なわ ち前稿 は,両 国 の生産可能性 曲線 がその よ うな特殊 なグルー プに属 す る場合 の分析 に該 当 して いたのである

そ こで本稿 第

3

節 で は,両 国の生産可能性 曲線 がその よ うな特殊 なグルー プ 原稿提 出 日

1986

12

6日

1 )別名

"theVinerconvention"

と呼 ばれる この仮定 の根拠 については

,Samuelson [2]pp.295‑298

参照。

2)

両国がホモセティックな社会的無差別曲線群を持ち,且つ両国間で支出集約度が相 異なるというこの設定は

,Jones[3]

が用いたものと同じである。ただし

,Jones[3]

は固定 された量の生産物バスケットを両国の生産サイ ドに外生的に与えたのに対 し,前稿及び本稿では限界転形率逓増型の生産可能曲線を両国に与えている。

〔23

(2)

に属 さない場 合 ( つ ま り両 国 とも,社 会的無差別 曲線群 はホモセテ ィ ックで あ るが貿易無差別 曲線群 はホモセテ ィックで ない場 合) を対 象 と して,前稿 と同 じ結論 ( 下記

[Ⅰ]

,

[

Ⅰ] , [ Ⅲ]) が成 り立つか否 か を考察 した。 その結果, や は り前稿 と同様 の論法 によ り,前稿 と同 じ結 論が成 り立 つ こ とが確認 された。

また,前 稿 において は,両 国 も し くは片方 の国が完 全特 化状態 で貿 易す る ケー スを分析せず, したが って下記

[

Ⅰ]

,[

Ⅲ] , [ Ⅲ]の適用対 象 に も含 めてい なか ったが,本稿 第

3

節 で は, この よ うなケー スに対 して も下記

[

Ⅰ]

,[

Ⅱ], [ Ⅲ]の適用範 囲 を拡大 で きる こ とを示 した。

[Ⅰ]

両 国が互 い に相手 国 よ りも支 出集約 度 の高 い財 を輸入 し合 うとい う貿 易 パ

ター ンの貿易収支均衡状態 は一義 的且 つ大域 的安定 である。

[Ⅲ]

両国が互 い に相手 国 よ りも支 出集約 度 の低 い財 を輸 入 し合 うとい う貿易 パ ター ンの下 での貿 易収支均衡状態 は複数個存在 し得 て,それ らは大域 的の み な らず局所 的 に さえ必 ず しも安定 とは限 らない。 しか し貨幣的撹乱 を外 生 的 に受 ける度 に, そ れが誘 発 す る

Price‑Specie‑Flow Mechanism

に よ

り,両 国経済 は局所 的 に安定 な貿易収支均衡状態‑向か って不可逆 的 に収 束 して行 く

[ Ⅲ]少 な くとも一方 の国 の社 会的無差別 由線群が ミル塑 ( コブ ・ダグラス型) をなす場 合 には,貿易 パ ター ンの如何 に拘 わ らず

3)

貿易収支均衡状態 は一 義 的且 つ大域 的安 定である

2

節 前稿で扱 った特殊ケース

前稿 の分析 は 「 一国 の社会 的無差 別 曲線群 が ホモセテ ィ ックな らばその国の 貿易無差別 曲線群 もまたホモセテ ィックであ り,且 つ両 曲線醇 は合 同 になる」

3)

前稿においではこの箇所に 「 すなわち両国の生産側条件のいかんにかかわらず」 と

いうカッコ書 きが添えてある。 しか し上記のように,前稿は両国の生産可能性曲線

が特殊なグループに属する場合の分析に該当 していたのであるから,このカッコ書

きは妥当でなかったと言える。なお, ミル型 ( コブ ・ダグラス型)社会的無差別曲

線群の性質については池間[

4]pp.1217

びpp.163168

参照。

(3)

続 ・ホモセティツクな支出構造下における国際貿易

25

図 1

こ とに立脚 している

前稿 で はこれ を 「 定理

1

」 と呼 んだ。

ここで,図

1

( 前稿前編 の図

1

と同 じ) を用 いて定理

1

の導 出プロセス・ を要 約する と;以下の通 りである

①一国の社会的無差別蘭 線群が ホモセテ ィックな らば,その拡張 曲線 ( 所得 ・ 消費曲線) は直線 である。 ( 図 1の直線

♂)

② この とき, この国の貿易無差 別 曲線群 の拡張 曲線 もまた直線 である。 ( 図 1 の直線

r)

③ ある相対価格 における社会的無差別 曲線群 の拡張直線の勾配 と,その相対価 格 にお ける貿易無差別 曲線群 の拡張直線 の勾配 とは,相等 しい。 ( 図 1で, 直線 Cと直線 Tは ともに第

1

財相対価格 が

P

の ときの拡張直線 であ り, Cと

T

とは平行である

。・.cTF‑cTTaT

④ ① ‑③ は任意の

P

に対 して成 り立つ。

⑤ よって定理 1が成 り立つ

以上 のよ うに,前稿 において は④ か ら直 ちに⑤ に至 った。 しか し 「 βの値 を 連続的に変化 させ た場合,直線 Jは常 に原点 0を通 り続 けるのに対 し,直線 で

は常 に同一の点 ( ◎)を通 り続 ける とは限 らない

.」4)

4)

この指摘は石川城太氏 ( 一橋大学博士課程)に負 う。記 して謝辞に代えたい。

(4)

つ まり,① 〜④ は成 り立 って も,それは常 に⑤ をもた らす とは限 らない。①

〜④ か ら一般的に言 えるのは,前稿で定理 1として述べ られた状態 を特殊 ケー ス として含 む次の定理

1

'に留 まる

定理 1'

「 社会的無差別曲線群がホモセテ ィックならば貿易無差別 曲線群の拡張 曲線 は 直線であ り,且つ,貿易無差別曲線群 における限界代替率 と拡張直線勾配 との 関数関係 は,社会的無差別 曲線群 における限界代替率 と拡張直線勾配 との関数 関係 に相等 しい。 」

この定理

1'

の もとで, さらに貿易無差別 曲線群 のすべ ての拡張直線 が 「た , またま」 同一の点 を通 れば,貿易無差別 曲線群 はその点 に関 してホモセテ ィッ クにな り,且つ,社会的無差別 曲埠群 と合同になる。つ まり,前稿 の分析 は, そのような特殊 ケースを扱 っていたことになる。

では, この特殊 ケ一・ スが起 こるためには社会的無差別曲線群 のホモセテ イス イテ ィの下で さらにどのよ うな条件が満 たされねばならないか ?

結果か ら言 うと,一国の生産可能性 曲線が ( 単 に限界転形率逓増であるのみ ならず)次の( 1) 〜( 5) の手続 によって導出 ( ない し規定) されるよ うな形状 を有

している場合 に,その国の貿易無差別 曲線群 はホモセテ ィックになるのである。

(1)

本稿 図

2

において, 曲線

uo

と曲線

ul

は,原点 0に関 してホモセテ ィックな 自国の社会的無差別曲線群 か ら任意 に選 び出 した 2本の曲線である。

( 2) 曲線 uo 上 に任意の 1点 A をとり,直線 oA と曲線

ul

との交点 を B と呼ぶ.

そ して曲線 ul をベ ク トル粛 だけ平行移動 した ものを曲線

t

.と呼ぶ。

( 3) 曲線 uo 上 の任意 の位置 に点

A

i( Ai が uo 上 において右上 にあるほ ど実数 iの 値 は大 きい とする) をとり,直線 oAiと曲線

u

lとの交点 をBiと呼ぶ.

( 4) 点 Biをベ ク トル 粛 だけ移動する と曲線

t

. 上 の 1点 に至 る。 この点 を oiと

呼ぶ。

(5)

続 ・ホモティツクな支出構造下における国際貿易 27

( 5) ベ ク トルO T の うち,水平,垂直,及 び左上が りの勾配 を持 つ ものだけに ついて, これ らのベ ク トルの起点 をすべて原点 0に集める

する と, これ ら のベ ク トルの終点の集合 は一本の曲線 ( 本稿図

2

の曲線

qr)

を形成する。

所与 のホモセテ ィックな社会的無差別曲線群か ら以上

(1)〜(5)

の手続 によって 導 出 される曲線

qr

は,限界転形率逓増 なる生産可能性 曲線 としての性 質 を満

たす。 ( 詳 しくは本稿補論参照。 )

したが って, 自国の生産可能性 曲線 が 「た また ま 」 この曲線

qr

と同 じ形状

を有す る場合が考 えられる。 その場合,点 A 及 び曲線

to

は 「 閉鎖経済時 にお

ける自国の消費点」及 び 「閉鎖経済時 と同 じ we l f a r e 水準 に対応する自国の貿

(6)

易無差別 曲線」 とな り,且 つ, この貿易無差別曲線

to

は自国の社会的埜差別 曲 線群 の うちの 1本 ulと全 く同 じ形状 を有 す る ことになる

よって, 自国の貿 易無差別曲線群 ( の うち不完全特化生産 に対応する部分) は, 自国の社会的無 差別 曲線群 ( の うち不完全特化生産 に対応 し且つ 曲線

u115)

よ りも上方 の部分)

と合 同な, ホモセテ ィックな曲線群 となる

この とき,貿易無差別 曲線群 ( の うち不完全特化生産 に対応する部分) の拡張直線 はすべ て, 粛 ‑て蒲 なる点

◎を通 る ことになる

さて,以上

(1)〜(5)

に示 された曲線

qr(

ない し図形

oqr)

の導 出法か ら明 らか なよ うに,初 めに与件 として与 えられた社会的無差別 曲線群が一義 的であって ち, その中か らどの 2 曲線 を

uo

及 び

ul

と して選 び出すか, そ して曲線 uo 上 に おいて どの位置 に点 A を定 めるか によって,導 出 される曲線

qr(

ない し図形

oqr)

の形状 はさまざ まである

6)。

つ まり,一国 にホモセテ ィックな社会的無差別 曲線群が一義 的 に与 えられて ち,その国の貿易無差別 曲線群 を社会的無差別 曲線群 と合 同にするよ うな生産 可能性 曲線 の形状 は一義的ではな く,無数 に存在す るのである

しか し無数 に存在する と言 って も,それ らの形状 はあ くまで上記( 1) 〜( 5) の手 続 によって導 出 ( ない し規定) される ものに限 られ, この特殊 なグルー プ外 の

ものであ ってはならない。

よって,社会的無差別曲線群 とは独立 の外生的与件 としてその形状 を与 えら れる生産可能性 曲線 の もとでは,社会的無差別 曲線群が ホモセテ ィックであ っ て も貿易無差別 曲線群 は常 にホモセテ ィックになる とは限 らない。 この意味で, 前稿 は特殊 ケースの分析 として位置づ け られるのである。

3

節 非特殊ケースの分析

本節で は, 自国 において も外 国 において も社会的無差別 曲線群 はホモセテ ィ 5 )ただし,曲線

u‑

1 は,自国の社会的無差別曲線群のうち,下す‑召すなる点 Dを通

る曲線を指す。なお,図を見やす くするため,曲線

1 及び点 D は本稿図 2 には書 き込まれていない。

6) そして,それに応じて点¢もさまざまな位置をとり得る。前稿前編

p

, 451 . 7 参照.

(7)

続 ・ホモセティツクな支出構造下における国際貿易

29

C2

I C2‑ x2 Q

/ / / 0

β ′ ′

l

/

3

ックであるが貿易無差別 曲線群 はホモセテ ィ ックで ない場合 を対象 に,定理

1'

をもとに して, ( 本稿 冒頭 に掲 げた) [ Ⅰ], [Ⅲ] , [ Ⅲ]の成 り立 つ こ とを示 す。

さて,本稿 図

3

に示 されているよ うに, 自国の両財 消費量 をゼ ロに近づ ける につれて, 自国の貿易無差別 曲線 は, 自国の生産可能性 曲線 と同 じ形状 を持 つ 曲線

QR

t こ限 りな く接近 して行 く

よって 自国の貿易無差別 曲線群 の存在領域 は曲線

QR

よ りも上方 に限 られる

さらに詳 しく言 えば

caseI〕

社会 的無差 別 曲線 において限界代替率 の値 の と り得 る範 囲が,生 産 可能性 曲線 において限界転形率 の値 の と り得 る範 囲 よ りも狭 い場合

case

I〕 社会的無差別 曲線 において限界代替率 の値 の と り得 る範 囲が,生産 可能性 曲線 において限界転形率 の値 の と り得 る範 囲 よ りも広 い場合

caseⅢ〕

社 会的無差別 曲線 において限界代 替率 の値 の と り得 る範 囲及 び生産 可能性 曲線 において限界転形率 の値 の とり得 る範 囲が, ともにゼ ロ か ら無 限大 までである場合

のいず れ に該 当す るか に応 じて,貿易無差別 曲線群 の存在領域 はそれぞれ本稿 図

4・1

,図

4・2

,図

4・3

の斜線部分 の よ うに示 される

7)。

7) もちろん,これら 3 つの図の斜線部分のうち,いずれか 2 つの組合せ という場合も

ある。社会的無差別曲線において限界代替率の値のとり得る範囲と,生産可能性曲

線において限界転形率の値のとり得る範囲とが,部分的に重なり合いながら互いに

ズレている場合がそうである。なお,図

4・1

においては,社会的無差別曲線 と生

(8)

4・1

(7Q

JR T TQt ))

Cl J ,,I

R

Q ー 第 2財 完全特化部分

■pJCL

1

3 ,.,I

T l t X a

第 7 財 完 全 特 化 部

図 4・3

この うち,図

4・1

及 び図

4・3

において は,斜線部分 のすべ てが不完全特化 生 産 に対応 しているが, 図

4・2

古 土おいて はEコ の部分 が完全特化生 産 に対応 す る

この完全特化部分 の貿易無差 別 曲線群 は,社会 的無差別 曲線群 の うち直

産可能性 曲線 とが持 し得 るよ うな第 1財相対価格 の値 は,曲線 QRの うち,点 Q′

と点 R′の間の部分 における この曲線の接線勾配 に限 られる。 また,図 4・2におい

ては,社会的無差別曲線群 と生産可能性 曲線 とが接 し得 る最大の第 1財相対価格 に

おける 「 社会的無差別曲線群の拡張直線」及 び 「 貿易無差別曲線群の拡張直線」が,

それぞれ直線

JQ

及 び直線

rQ

で示 されている。 同様 に,社会的無差別 曲線 と生産

(9)

SJ

図 訂

dQ

よ りも上方 の部分 及 び直線

JR

よ りも下方 の部分 を, ・それぞれベ ク トル 市 及 び粛 だけ平行移動 した ものに他 ならない。・ ・ ・ ⑦

よって,完全特化部分 を含 む図 4・2 において も,完全特化部分 を含 まない 図 4・1 及 び図 4・3 における と同様,貿易無差別 曲線群 の存在す る領域 ( 斜線 部分) の全域 にわた って定理

1

'が成 り立つ。‑⑦

さて,貿易無差別曲線群 の存在す る領域 内 においては,同一 の貿易無差別 曲 線群 の相異 なる拡張直線 同士 が互 いに交 わる ことはない

8)。

また,図 4・1 ,図 4・2 ,図 4・3 のいずれの場合 において も,貿易無差別 曲線群 の拡張 直線 はすべ て, 曲線 QR の一部 ( 図 4・1 の場 合,点

Q

′と点 R′

の間の部分) ない し全部 ( 図

4・2

の場合,点

Q

及 び点 R を含 む.図

4・3

の 場合,点

Q

及 び点 R は含 まない) と交 わる。

よって, 自国の貿易無差別 曲線群 の拡張直線 同士 が横軸 ( 図 4・1 ,. 図 4・2 ,

可能性 曲線 とが接 し得 る最小 の第

1

財相対価格 における 「 社会的無差別 曲線群 の拡 張 直線」及 び 「 貿 易無差 別 曲線群 の拡張直線」 が, それぞれ直線 JR及 び直線

rR

で示 されている。

8) なぜ な ら,拡張直線 同士が貿易無差別 曲線群 の存在領域 内 において交わる とす る と,

その交点 においては

1

本の貿易無差別 曲線 が相異 なる

2

つの傾 きを持 つ ことになる

が,そのよ うなことはあ り得 ないか らである。

(10)

4・3

xl‑ C 1 軸) よ りも上方 において互 いに交 わる ことはないO‑・ ㊥

次 に,本稿 図

5

を見 よ う

O

こq )図で は,横軸 に自国の第

1

財輸 出量 xl‑ C 1 及 び外 国 の第

1

財輸 入量 cl*‑ Xl* を測 り,縦軸 に自国q )第

2

財輸 入量 C2‑ x2 及 び外 国の第

2

財輸 出量 x2*‑ C2* を測 ってある

この図 にお いて, 自国 の貿易 無差別 曲線群 と外 国の貿易無差別 曲線群 とが ともに存在 す る領域 は,点線 で囲 まれた図形 の内部 である。 ( 自国及 び外 国がそれぞれ上記 の

CaseI

,

Case

I,

case

Ⅲのいず れ に該 当す るか によ って, この図形 は,・ た とえば

jQR′kQ*R*

になる こ ともあれ ば

j'QRk"Q*R*

′になる こ ともある。 ) この領域 を本稿 で は

「 貿易可能領域」 と呼 び,前稿 と同様,原点 0を中心 に して Ⅰ, Ⅱ, Ⅲ,Ⅳの 4 象限 に区分する

そ して前稿 と同様,本稿 に率いて も,両国の貿易無差別 曲線 の接点 の集合 を I 「 貿 易契約 曲線」 と呼ぶ 9)

また,本稿 においては,前稿 で置 かれた仮定 1 ( 両国の社会的無差別 曲線群 はホモセテ ィックである) はもちろんの こと,仮定

2

( 第

2

財消費量 に対す る 第

1

財消費量 の比率す なわち第

1

財‑の支 出集約度 は,第

1

財相対価格 がいか なる値 をとって も,常 に外 国よ りも自国 において ヨリ大 きな値 をとる) をも踏 襲す る

す る と,貿易可能領域 の全域 にわた って定理 1 , 示成 り立つ ( ・ . ・ ⑦) ので あ るか ら,前稿 と同様,貿 易契約 曲線 は右下が りであ り,第 Ⅰ象限,第 Ⅲ象限の いずれ を通 る ことも可能である

そ して,前稿 の命題 1を特殊 ケー ス として含 む

;

次 の命題 1'が成 り立つ

命題

1'

「 貿易契約 曲線上 における両国の貿易無差別曲線 の共通接線 ( 交易条件線) の

9 ) ∵貿易奥約曲線が貿易可能領域内に存在 しない ( あるいは存在 してもその部分を通る 交易条件線のうち,原点 0を通るものが 1 本もない) という場合があり得る。その 場合には自由貿易の下で両国間に相対価格の折 り合いがつかない ( あるいは,折 り 合いのつ くような相対価格において両国間の貿易収支を均衡させることができな

い)わけであり,そのようなケースは本稿の考察対象外である。

(11)

3 3

6

傾 きは,両国の貿易点が貿易契約 曲線上 を右下 か ら左上‑移動す るにつれて連 続的 に増加す る。」

理 由は次 の通 りである

本稿 図

6

を見 よ う

.

定理

1

‑によ り, 自国の貿易無差別 曲線群 において も外 国の貿易無差 別 曲線群 において も,「ヨリ高 い第 1財相対価格」 には 「ヨリ急 勾配 な拡張直線」が (1対 1且つ連続 的 に)対応する

I

さて,い ま図 6 の点 Aにおいて両国の貿易無差別 曲線が直線

IA

の傾 き

pA

で 接 してお り, この点 を通 る 「自国の貿易無差別 曲線群 の拡張直線」 は

TA

,「 外

国の貿易無差別 曲線群 の拡張直線」 は

TA *

である としよ う

TJ

4よ りも急勾配 な 「自国の貿易無差別 曲線群 の拡張直線」 の 1つ を

TB

と す る と,定理

1

'によ り, TBに対応 す る第

1

財相対価格 pBは, pAよ りも大

きな値 で なけれ ば な らない。 したが っそ, や は り定理 1'によ り, pBに対応

す る 「 外 国の貿易無差別 曲線群 の拡張直線」 T B *の勾 配 は,

TA*

の勾配 よ り

(12)

も急 で なけれ ばな らない。

そ の うえ,貿 易 可 能 領域 内 で は

丁.

4と 丁βは互 い に交 わ らず,

丁.

*も 互 いに交 わ らない。

したが って; TBと

TB*

の交 点 B は,

I.

。と

T。*

の交 点 A よ りも左 上 になけ れ ばな らない。 す なわ ち,貿易契約曲線 は左 上 が りで ある

しか も,点 B にお ける交易条件線 の傾 き

p

Bは,点 A にお ける交 易条件線 の 傾 き

p‑

4よ りも大 きいので あるか ら,命題 1'が成 り立 つ。

なお, 図 6 は貿易契約 曲線 が第 Ⅲ象 限 を通 る場 合 を描 いてあるが, 第 Ⅰ象限 を通 る場 合 も, 図

7

に示 されて い る よ うに,命題

1

'が成 り立 つ こ とに変 わ り はない。

C

2 * ‑ x2

* X

2 ‑

C 2

r B

Q♯

図 7

(13)

続 ・ホモセテ ィツクな支出構造下における国際貿易

35

また,貿易可能領域 の うち,いずれか一方 ない し両方 の国が完全特化するよ うな部分 を貿易契約 曲線 が通 る場合 も,⑦ によ り,やは り命題

1

'が成 り立つ ことに変わ りはない

10)。

以上のよ うに,両国の社会的無差別曲線群がホモセテ ィックであるか ぎりは

!

た とえ両国の貿易無差別曲線群がホモセテ ィックにならな くて も,それぞれの 国 について社会的無差別曲線群 と貿易無差別 曲線群 との間には定理

1

'が成 り 立 ち, よって貿易契約曲線上では,前稿 の命題

1

を特殊 ケース として含 む命題

1 ,が成 り立つ。 しか も⑦ によ り,命題 1' は,貿易契約 曲線 の一部 ない し全部 において片方 もしくは両方の国が完全特化するような場合 にも適用で きるので ある

10)

前稿前編の図

2‑

5

及 び前稿後編の図

1‑

5

は, 自国及 び外国が ともに ( 本稿

・ で定義 した)Ca s eⅢに該 当 し ( つ まり貿易可能領域 が本稿図 5の j QRk QヂR*の よ うな形 で示 され),且 つ貿易無差別 曲線群 の不完全特化部分が 「た また ま」 ホモセ テ ィックであ り ( づ まり両国の生産可能性 曲線の形状が本稿第

2

節 に示 した特殊 グ ループに所属 し), しか も貿易契約 曲線が貿易可能領域 の うち両国 とも不完全特化 であるよ うな部分だけを通 る, とい う特殊 ケースにあたる。 ( 本稿図

8・1

及 び図

8

・2参照) その場合,両国の貿易無差別 曲線群 の うち不完全特化部分 のホモセテ イ ス イテ ィの焦点 は, ( 前稿諸図及 び本稿 図

8・1

,図

8・2

の)点 ◎及 び点 ¢*であ つ いて も, それぞれの国の貿易無差別 曲線群 の不完全特化部分 と同 じホモセテ イ ス イテ ィを持つ 「 加空の」貿易無差別曲線群 を数学的に補 って考 え,その領域 に ま で貿易契約曲線 を 「数学的 に」延長 して考 えることがで きる。前稿 の諸国及 び本稿 の図

8・1

,図

8・2

には,貿易契約 曲線 の, このような 「 数学的延長部分」 も描 き 込 んである。 また,前稿の諸図及 び本稿 の図

8・1

,図

8・2

における直線 ◎J ,

◎K

.

◎*J ,◎*Kは, 自国及 び外 国の貿易無差別 曲線 を,それぞれの不完全特化部分 と 同 じホモセテ イス イテ ィにおいて ( つ まり点 ◎及 び点 ◎*を焦点 とし当該国の社会 的無差別曲線 と同 じ 「限界代替率 と拡張直線勾配 との関数関係」 を持つ ように)敬 学 的 に延長 した場合の 「 架空 の」漸近線であ り,実際 の漸近線 は本稿図

8・1

,図 8・2に示 されている直線

Qj

,Rk ,R *

j,Q

*k,( す なわち,それぞれの国の貿易無差 別曲線の完全特化部分が近づ く直線)である。 ( 本稿図

9

も参照せ よ。) なお,前稿 の諸図においては直線 Qj ,Rk ,R*j ,Q*kは描 き込 んでない. また,本稿 の註 8)で 述べたよ うな 「 貿易収支均衡状態 ( ない し貿易均衡)が存在 しない とい う可能性 」 は,前稿 の諸 図に描 かれているよ うな特殊 ケー スにおいては,全 く無い。 ( 前稿前 編命題 2及 び命題 3参照。 )最後 に,前稿後編 図 7の うち,点線 の長方形 ◎K ◎*J

は削除す る。 ( 両国の社会的無差別曲線群 がホモセテ ィックでない場合 には両国の

貿易無差別曲線群 は一般 にホモセテ ィックにはならず,点 ◎及 び点 ◎*は定義不能

だか らである。)

(14)

また,前稿後編 第

2

節 で定式化 された

Price‑Specie‑FlowMechanism及 び

前稿後編第

3

節 ‑第

4

節で定義 された 「 上方安定 ( 不安定) 」 , 「 下方安定 ( 不 安定 ) 」 の概念 は,命題

1

'の成 り立つ本稿本節 の貿易契約 曲線上 において もそ の まま適用で きる

したが って,本稿本節 の貿易契約 曲線が貿易可能領域内の第 Ⅲ象限 を通 る場 合 には, ( 交易条件線 同士 が横 軸

x

1 ‑C l よ りも上方 において交 わる ことは不可 能であるカ, ' ら)貿易収支均衡点 は一義的且つ大域的安定である

他方,本稿本節 の貿易契約 時線が貿易可能領域内の第 Ⅰ象限 を通 る場合 には, ( 交易条件線 同士が横軸 よ りも上方 において交わ り得 るか ら)貿易収支均衡点 は複数個存在 し得 て, しか もそれ らは大域的 どころか局所的にさえ必ず しも安 定 とは限 らない。 しか し貨幣的撹乱 を外生 的 に受 ける度 に,それが誘発す る

C2 x2 x2*‑ C2*

前稿 ( 前編 図

3

, 図

5

及 び後 編図

1

)に描 か れ た特殊 ケー ス

図 8 ‑1

(15)

続 ・ホモセティツクな支出構造下における国際貿易

C2 ∬2 +

+

∬2 C2

. ¢■

H

IlllIlJ11IllII

I I . I l I I I I I I

l

Q

t . R' r Q ヽ ヽ ヽ 、 、

rR

■ 一 , 一 一 一 一 一 一 ̲ I k ̲ ‑ i : l l L l一 I l ̲ ̲ m ̲ ̲ 0

Rー L 一 一 ‑ ‑ ‑ ‑ 一 一 ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑一一一G̲̲ I、 ¢

37

前稿 ( 前編 図

2

, 図

4

, 図

5

及 び後編 図

2‑

5)

に描 か れ た特 殊 ケー ス

図 8‑2

price‑Specie‑FlowMechanism

によ り,両 国経 済 ( 両 国 の貿 易点) は局所 的 に 安 定 な貿易収 支均衡状 態 ( 貿易 収支均衡 点) ‑ 向 か って ( 貿 易契約 曲線 上 を) 不可逆 的 に収 束 して行 く。 ( 前 稿後編参 照。)

す なわ ち,本稿 冒頭 の

[

Ⅰ]

,[Ⅱ]

は,両 国 の社 会 的無差 別 曲線群 が ホモも テ ィ ックな る限 りは, 両 国 の生 産 可 能性 曲線 の形状 いか ん に拘 わ らず

11)

, また 両 国 の特化状 態 の如何 ( 完全特 化 か不完全特化 か) に拘 わ らず,成 り立 つ ので

ある。

さらに,本稿 本節 において も本稿 冒頭

[Ⅲ]

の内容 が成 り立 つ こ とを,以下 の よ うに示 す こ とが で きる

ll)

ただし限界転形率逓増は満たさねばならない。

(16)

不 完 全 特 化 部 分 を ' 社 会 的 無 差 別 曲 線 群 と 同 じ ホ モ セ テ ィ ッ ス ィ テ ィ に お い て 数 学 的 に 延 長 し た 部 分 (点 ¢ を 焦 点 と す る ホ モ セ テ ィ ッ ク な 曲 線 群 を 形 成

不 完全特 化部分 を、社会 的無差 別 曲線群 と同 じホモセテ ィス イテ ィ にお いて数 学 的に延長 した部 分 (点 ¢ を焦点 とす るホモセ テ ィック な曲線群 を形成

9

まず, 本稿本節 の前提 において [ Ⅲ]が成 り立つ と古 事次 の ことを意味す る

「ホモセテ ィ ックな両国の社会的無差別 曲線群 の うち少 な くとも一方 ( 自国の 社会的無差別 曲線群) が ミル型 をなす場合 には,両国の貿易無差別 曲線群が ホ モセテ ィックでな くとも , また, 貿易契約 曲線 が第 Ⅰ象限 を通 って も, さらに

,

貿易契約 曲線 の一部 も しくは全部 において少 な くとも一方 の国が完全特化状態 であ ってや ,交易条件線 同士が横軸 よ りも上方 も しくは横軸上 で互 いに交 わる

ことは不可能である。」・ ‑‑※

次 に,本稿 図

10

及 び図

1

1を見 よ う

これ らの図 には, ホモセテ ィ ックな両 国

(17)

続 ・ホモセティツクな支出構造下における国際貿易 3 9 の社会 的無差別 曲線群 の うち少 な くとも自国 の社会 的無差 別 曲線群 が ミル型 で あ り,両 国 とも貿易無差別 曲線群 はホモセテ ィ ックで な く, そ して貿易契約 曲 線 が第 Ⅰ象限 を通 る場合 が描 かれている。 さらに,図

1

1において は,貿易契約 曲線 の一部 又 は全部 ( 少 な くとも点

T

よ り左 上 の部 分) にお いて 自国が第

1

財生産 に完全特化 す る場合 が描 かれている

さて, 図

10

及 び図

1

1にお いて,点 で及 び点 T′は貿易契約 曲線上 にお ける任 意 の

2

点 である。 ( T ′は T よ りも左 上 とす る。 ) 直線 ゼ ‖ま点 T にお ける交易条 件線 で あ り,直線

T

lは点 T を通 る 「自国 の貿易無差 別 曲線 群 の拡 張 直線」 で

* *

∬2 C2 C2 ∬2

Tにおいて

F ' ] 凶は不完全特化

図 1 0

(18)

点 T

においては E'1回は第

1

財生産 に完全特 化

図 11

ある

また,直線 T l * は点 T を通る 「 外国の貿易無差別曲線群 の拡張直線」で ある

そ して 「 仮定 2」 及 び定理 1'によ り,直線 r l * は直線 T l よ りも急勾配 である 。

さて, い ま点 T を通 る垂直線 TW と,点 T ′を通 る 自国の貿易無差別曲線 J ′ との交点 を yと呼ぶ。

す る と,点 yを通 る 「自国の貿易無差別 曲線群 の拡張直線 」 r2 は,点 T を 通 る 「自国の貿易無差別曲線群の拡張直線」 T lと,横軸

(x

1 ‑C l 及 び cl *‑X‑ * 軸)以下の点 Vにおいて交 わる

12)。 ‑㊨

12)

自国の社会的無差別 曲線群 が ミル型 の場合, 自国 は

Case

Ⅱ ( 本稿図

4・2

参照) ち

しくは

Case.

Ⅲ ( 本稿 図

4・3

参照) ( =該 当す る。Ca

se

Ⅲの場合 には自国の貿易無差

別 曲線群 の拡張直線 同士 は横軸 よ りも必 ず下方 において交 わるが,Ca

ce

[の場合 に

は, 自国の貿易無差別 曲線群 の うち第

1

財完全特化部分 の拡張直線 同士 は横 軸上 の

Q

で交 わることになる。( ● . ● ㊦)よって 「 横軸 よ りも下方 の点 Ⅴ 」とは言 わず

,

(19)

続 ・ホモセティツクな支出構造下における国際貿易

41

また, 点 T にお ける交 易 条件 線 eと,点 Y にお ける 自国 の貿 易 無 差 別 曲線 の接 線 m との交 点 を Z と呼 ぶ と, 自国 の社 会 的無差 別 曲線 群 が ミル型 なる限

り,直線 zl ′は水平 ( 横 軸 に平行) で ある 1 3) 0 ‑㊨

㊤ ,㊥ によ り,直線 Bと直線 m とは横 軸以下 にお いて交 わる .

しか も,直線

m

の勾 配 は直線 Pの勾 配 よ りも急 で あ る

14)。

したが って, 「直線 m と横 軸 との交 点」 は 「 直線 eと横 軸 との交点

よ りも 左 方 ( 図

10)

ない し同 じ位 置 ( 図

11)

になけれ ば な らない。 ‑㊨

また, 自国 の貿易 無差 別 曲線 t ′は左 上 が りで下 方 に凸 だか ら, 点 T ′にお け る交易条件線 e′は,直線 m よ りも左 方 において横 軸 を切 る。 ‑㊥

㊥ ,㊥ によ り,交易 条件 線 e′は交易 条件 線 eよ りも左 方 にお い て横 軸 を切 る。す なわ ち, 図

10

及 び図

1

1において は,交易条件線 同士 が横 軸 よ りも上方 も

しくは横 軸上 で互 い に交 わ る こ とはあ り得 ない。 か くて我 々 は所望 の結 論 ※ に 到達 した。

以上 の よ うに,本稿 冒頭 の [ Ⅲ]は,両 国の社 会 的無差別 曲線群 が ホモセテ ィ ックで, その うち少 な くとも一方 が ミル型 なる限 りは,両 国 の生産可能性 曲線 の形状 いか ん に拘 わ らず

15)

, また両 国 の不 完 全 特 化 ,完 全特 化 の如何 に拘 わ

軸以下の点 Ⅴ 」 と表現 し,二直線 Tl , r

2

の交点 V が横軸上の点

Q

と一致するケー スを考慮に入れている。

13)

ミル型社会的無差別曲線群において限界代替率が Å%増加すると拡張直線の勾配は 同じく1%増加する。よって定理

1

'により,この国の貿易無差別曲線群においても, 限界代替率が 1%増加すると拡張直線の勾配はやはり人%だけ増加するのである。

なお,前稿前編の図

5

は,少なくとも一方の国 ( 自国)の社会的無差別曲線群が ミ ル型であるのみならず,両国の生産可能性曲線の形状が ( 本稿第 2節で述べた)特 殊グループに所属 し,且つ貿易契約曲線上において両国が常に不完全特化であるよ

うなケースを描いているので,点 V は点◎に一致 し,直線 z v は直線 ◎K と重なっ ている。

1 4) ヨリ詳 しく言 うと,点 T ′は貿易契約曲線上で点 T よりも左上にあるから,命題

1'

により,点 T ′における交易条件線 e′は,点

T

における交易条件線 eよりも急勾 配である。 また,曲線 t ′は右上が りで下方に凸だから,点

Y

における曲線 t ′の接 線

m

の勾配は,点 T' における交易条件線

2'

の勾野よりも急であるOよって,直線

m め勾配>直線 e′の勾配>直線 eの勾配である。

15)

ただ し限界転形率逓増は満たさねばならない。

(20)

らず,そ して貿易パ ター ンの如何 に拘 わ らず,成 り立つのである

4

節 ま と

本稿では前稿 の分析対象 に該当 しなか った非特殊 ケースを分析 し,前稿 と同 じ結論が成 り立つ ことを確 かめた。

なお,少 な くとも二国二財 モデルの場合, ミル型 (コブ ・ダグラス型)支出 構造が両国の貿易パ ター ン及 び特化パ ター ンの如何 を超越 して

Price‑Specie FlowMechanism

の大域的安定性 を決めて しまうことは注 目に値 する

ま して,

この支 出構造 の学説史的重要性 1 6) に鑑 みれば, この点 は充分心 に留 めてお く べ きである と言 えよう。

補論 :特殊ケースの生産可能性曲線

本稿第 2 節 に示 された ( 1) 〜( 5) の手続 きによって導出 ( ない し規定) される曲 線

qr (

本稿 第

2

図参照) が,限界転形率逓増型生産可能性 曲線 としての性 質

を満 たすためには,次 の ( a) 〜( d) が成 り立 たねばならない。

( a) 図形

oqr

は曲線

u

。と曲線

to

の間の領域 をはみ出ることな く平行移動 で きる

o

(b)

( a) の平行移動 の際,図形

Oqr

は曲線

u

o 及 び

to

と常 にそれぞれ唯

1

点ずつ を共有 し続 ける。

(C)

図形

oqr

の うち曲線

qr

部分 は 「なめ らか 17) 」 である

o

( d) 図形

Oqr

と曲線

t

。との共有点が曲線

to

上 を左下か ら右上へ移動する際,図形

oqr

と曲線 u oとの共有点 は,曲線 u o 上 を左 下か ら右上へ移動 し,曲線

qr

を点 r か ら点 q ‑残 りな く移動する。

( aト ( d) が要請 される理 由は以下の通 りである

図形

oqr

が限界転形率逓増型の生産可能性 ブロ ックであるためには, まず, 図形

oqr

の うち曲線

u

oとの共有点以外 の部分が曲線 u oよ りも上方 に存在 して

1 6 ) 他 聞[4] ( 特 に p. 1 6 ) 参照。

17)本稿 においてある曲線 が 「なめ らか」 である とは, その曲線 が全域 にわた って連続

であ り,且 つ全域 にわたって傾 きが連続 的 に変化す る ことを意味する。

(21)

続 ・ホモセティツクな支出構造下における国際貿易

43

はな らず,同様 に,図形

oqr

の うち曲線

to

との共有点以外 の部分 が曲線

to

よ り も下方 に存在 してはな らない。 よって

(a)

, ( b) が満 た されねばな らない。

また,図形

oqr

が限界転形率逓増型 の生産可能性 ブロ ックであるためには, 図形

Oqr

と曲線

uo

との共有点 は, 曲線 qr 部分 と曲線

uo

とが同 じ勾配 で 「 接 す る」点 でなければな らない。 よって ( a) ,( b) に加 えて ( C) が満 た されねばならない。

しか し ( a) ,( 9 ) ,( C ) が満 た されて も, まだ図形

oqr

が限界転形率逓増型生産性 ブロ ックの形状 を持 つ とは限 らない。 なぜ な ら , ( a) , ( b) , ( C) だ けで は, 曲線

qr

が下方 に凸で あ った り線 分 で あ った り, あるい は部分 的 に右下 が りで あ っ

た りする可能性 を排 除で きないか らである

そ こでそのよ うな可能性 を排 除す るため に ,( a) , ( b) ,( C) に加 えて ( d) が要請 される

.

まず,仮 に曲線

qr

が下方 に 凸 だ とす る と, 図形

oqr

が 曲線

uo

to

の間の領域 を左下 か ら右上‑平行移動

S‑1

(22)

す るにつれて, 曲線

qr

と曲線 uo の接点 は, 曲線 u o 上 を右上 か ら左下へ と移動 す るか ら ,( d) と相容 れない。次 に,仮 に曲線

qr

が線分 だ とする と,図形

oqr

が 曲線 u .と t o の間の領域 を平行移動 して も,線分

q

yと曲線 uo との接点 は曲線 uo 上 において一定 の位置 に留 まり続 けるか ら,やは り ( d) と相容 れない。 また,仮

に曲線

qr

が右下 が りの部分 を含 む とす る と,図形

Oq

yが曲線 uo と t o の間の領 域 を左 下 か ら右上へ平行移動す る際, 曲線

qr

と曲線 uo との接 点 は, 曲線

qr

上 を点 Yか ら点 q へ,残 りな く移動 す る こ とがで きないか ら, や は り ( d) と相容 れ ない。

以上 の理 由によって図形

oqr

に要請 される条件 ( a) 〜( d) の うち ,( C比 ( d) が成 り 立つ ことは,図形

oqr

の導 出法 か ら明 白で ある

す なわ ち, 曲線 u oも曲線 t o

も 「なめ らか 」 であ り,且 つ,点

Ai

が 曲線 uo 上 を左 下 か ら右上へ連続 的 に移

J

(23)

続 ・ホモセティツクな支出構造下における国際貿易

45

動 す る ( つ ま り実数 i の値 が連続 的 に増加す る) とき,点

o

tは曲線

to

上 を左 下 か ら右上へ連続的 に移動 する

つ まり,実数 iが連続的 に増加す る とき,ベ ク トル茄 の長 さ及 び勾 配 が不連続 に変化 す る こ とはか 、 。 よ って( C

)

が成 り 立 つ

また, 図

2

にお いて点 At ・が 曲線

uo

上 で ヨリ右 上 にあるほ ど点

o

iは曲 線

t

。 上 で ヨリ右上 にあ り,ベ ク トル0 7 の勾 配 は ヨリ緩 やかである。つ ま り 点

Ai

は曲線 qr の うちで ヨリ点 qに近 い部分 を構 成 す る

そ して曲線 q r を構 成 しない. i :うな点 Ai は ( ベ ク トル O T E が水平,垂直及 び左上が りであるよ う

Uo

S‑3

(24)

な iに対 しては)存在 しない。 よって ( d) が成 り立つ。

次 に , ( a) , ( b) が成 り立つ ことは以下のように証明で きる

S・1

(または図

S・2)

を見 よ う

この図の曲線 u o

,

u l , t O 及 び点 A,B,

◎は,本稿図

2

の曲線

uo

, ul

,t

O 及 び点 A,B

,

◎と全 く同 じものである

また, 曲線 項 よ,曲線

u

。をベ ク トル A T i (

Ai,Bi,Oi

の定義 も本稿 図

2

における定

義 と同 じ) だけ平行移動 した ものである。そ して点 PiE ま, 五 言‑ 0 7 を満 た す点である. (したが って 3 点 申, P i ,

Oi

は一直線上 にある。)

さて,点

と点 B

i

は原点 0を通 る同一直線上 にあるか ら,点

Ai

における 曲線

u

oの傾 きと点 B

i

における曲線 ul の傾 きとは相等 しいO よって,点

oi

に おける曲線 u この傾 きと点

o

l ・における曲線

to

の傾 きとは相等 しい。す なわち, 点

o

声 おいて曲線 u岳と曲線

to

とは接する

・ ・ ・ ①

また,点 ¢を通 って勾配が直線 ¢

piOi

よ りも急 な任意 の直線 Tと, 曲線 u:

及 び曲線

to

との交点 を, それぞれ

α

及 び βと呼 ぶ。す る と,点

Pi

は直線 Tの 下方 にあるか ら,直線 Pi aは直線 ◎P ( ‑ T) よ りも急 な勾配 を持つ

よって,

I

点 αにおける u。の傾 きは,点

β

における曲線

to

の傾 きよ りも大 きい。・ ・ ・ ② 同様 に,点 ◎を通 って勾配が直線

PiO

l ・よ りも緩 やかな任意 の直線 T ′と, 曲線 u こ及 び曲線

to

との交点 を,それぞれ α′及 び β′と呼ぶ と点 字 ‖ま直線 T ′の 上方 にあるか ら,直線

piα

′は直線 ◎β

′(‑T)

よ りも緩 やかな勾配 を持 つ

よって,点 a′における曲線 uこの傾 きは,点

β

'における曲線

to

の傾 きよ り小 さ い。‑・ ③

①,② ,③ か ら,曲線

u

いま,曲線

to

との接点

o

i以外 においては曲線

to

よ り も上方 に位置する ことがわかる

したが って, 曲

縁 t

.をベ ク トル 0 読 だけ平行移動 した もの を曲線

t

言と呼ぶ

と,曲線 か ま,曲線 u oとの接点

Ai

以外 においては曲線 u oよ りも下方 に位置す

る ことがわかる。 ( 図

S・3

参照。 ) そ して, この ことは任意の iの値 ( ベ ク ト

ル O T才 が水平,垂直及 び左上が りであるよ うな i の値 をすべ て含 む) に対 し

て成 り立 つ。 よって ( 本稿 図

2

で定義 された) 図形

oqr

は, 曲線

u

oと曲線

to

の問の領域 をはみ出る ことな く平行移動で き, しか もこの平行移動 の際,図形

(25)

続 ・ホモセテ ィックな支出構造下 にお ける国際貿易

47

0qr

は曲線

u

o 及 び曲線

to

と常 にそれぞれ唯 1点ずつ を共有 し続 ける

つ ま り,

(a)

,( b) が成 り立 つ

参 考 文 献

[1 ]松井 均 「ホモセテ ィ ックな支 出構造下 にお ける国際貿易 ( 前編 ・後編

)

」 『 商学 討究』 第

36

巻第

2

号,1

985

1

1月,pp.

35‑60.

[2]samuelson,P.A.

,

"TheTransferProblem and TransportCosts.'TheTermsof TradewhenImpedementsareabsent:'EcoDOmicJournal,June1952,pp・278‑3041 [3]Jones,R.,"TheTransferProblemRevisited,

"

Economica,May1970,pp.178‑184.

[4

]池間 誠 『 国際貿易 の理論』 ダイヤモ ン ド社

,197

.

9

年.

[5]chipman

,

J.S.

,

"ASurveyoftheTheoryofInternationalTrade:Part1,TheClas sicalTheory,

"

Econometrica,July1965,pp.477‑519.

[6]viner

.J

..Studiesinthe‑TheoryoflntemationalTrade,Harp。r&Brothers,1937.

参照

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