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共焦点レーザー顕微鏡による

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共焦点レーザー顕微鏡による タンパク質分子の細胞内拡散と アクチン多量体の数分布に関する研究

Studies on the diffusion of protein molecules in a cell and the number distribution of actin oligomers

using confocal laser microscopy

2007 年 2 月

早稲田大学大学院 理工学研究科 生命理工学専攻 実験生物物理学研究

寺田 尚史

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2007年度 博士論文 寺田 尚史

【目 次】

第 1 章 序論

1-1) はじめに ・・・・・ 3

1-2) 研究の背景 ・・・・・ 5

1-3) 本論文の概要 ・・・・・ 8 1-4) 省略単語の一覧 ・・・・・ 13

第 2 章 実験系の概要

2-1) 共焦点光学系 ・・・・・18

2-2) 蛍光相関分光法 ・・・・・19

2-3) フォトンカウンティングヒストグラム法 ・・・・・22

第 3 章 蛍光相関分光法を用いた細胞内の蛍光タンパク質の拡 散運動の分析

3-1) 序文 ・・・・・37

3-2) 材料と方法 ・・・・・40

3-3) 実験結果 ・・・・・48

3-4) 考察 ・・・・・52

第 4 章 フォトンカウンティングヒストグラム法を用いたアク チン多量体の数分布の解析

4-1) 序文 ・・・・・63

4-2) 材料と方法 ・・・・・66

4-3) 実験結果 ・・・・・81

4-4) 考察 ・・・・・85

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2007年度 博士論文 寺田 尚史

第 5 章 大沢らのモデルを用いたアクチン多量体の数分布の解 析

5-1) 序文 ・・・・・107

5-2) 大沢らのモデル ・・・・・109 5-3) モデルと実験結果 ・・・・・113

第 6 章 まとめ

6-1) 本論文のまとめ ・・・・・ 120 6-2) 将来の展望 ・・・・・ 121

参考文献 ・・・・・ 123

研究業績 ・・・・・ 129

第 7 章 謝辞

・・・・・ 131

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2007年度 博士論文 寺田 尚史

第 1 章 序論

1-1) はじめに

細胞内での生命活動はタンパク質やRNAなどの生体分子が担っている。生体 分子の活動はそのまわりの分子の込み具合や、微小構造物の性質にも依存している。

例えばブラウン運動による拡散で移動する際に、他の分子にぶつかったり、細胞内 構造物に結合・解離したりするために、移動のしやすさが周りの微小環境に影響さ れる(図 1- 1)。分子によっては、移動することは機能と密接に関係している。例 えばアクチンのRNAは細胞内で局在して働く。移動の仕方としてはブラウン運動で 移動したり、細胞骨格上を分子モーターで移動したりと様々な方法で移動している。

細胞内には様々なタンパク質や細胞内構造物があるので、これに衝突・結合・解離 をしつつ移動する。細胞内の構造物としては細胞骨格や小胞などの膜で区切られた 小器官が挙げられる。これらの構造物は生細胞中では固定されたものではなく、そ れ自体がエネルギーを使用して変形し、姿を変える。その中を生体分子は移動して 目的地に到達して働くことになる。細胞内の分子のブラウン運動はこれまでに様々 な方法で調べられてきたが、近年の光学顕微鏡技術の進展により、半径170 nm程 度の光の回折限界に近い微小領域での振る舞いを調べることが出来るようになっ た。本研究ではGFP(緑色蛍光タンパク質)の拡散定数が細胞の場所や温度によっ てどのように変わるかを調べることで、細胞内微小環境の変化を明らかにしようと 試みた。特に核質と核小体を区別してGFP単体の拡散を研究したのは初めての例で あり、これにより、より詳細な細胞内環境の定義化が可能となった。また哺乳類細

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胞の活動温度である37℃で研究したのも初めての例となる。

細胞内には様々な微小構造物があるが、例えば細胞骨格と呼ばれる繊維状の タンパク質複合体が挙げられる。これはアメーバ運動や細胞内輸送・筋肉の収縮な ど、力学的な仕事をする際に非常に大きな役割を果たしている。アクチンは代表的 な細胞骨格タンパク質だが、細胞外で精製したものでも繊維を作ることが出来、詳 細な研究がこれまでに行われてきた。そして、繊維状態でも様々なサイズのタンパ ク質の複合体が混在しているというモデルが提案されてきた(図 1- 2)。電子顕微 鏡などでの観察で、ある程度の長さのアクチンフィラメントは指数関数的に減少す る分布になることが分かっている。しかし、数量体程度のサイズの複合体がどのく らい水溶液中に存在しているのかは謎であった。ところで近年、水溶液中で明るさ の違いから各多量体の平均個数が分かるPCH(photon counting histogram; フォト ンカウンティングヒストグラム)法と呼ばれる方法が進展してきており、この技術 を使用して多量体の分布に関する解析が行われている。本研究ではこの方法を応用 することによって、これまで明らかにされてこなかった数量体程度のアクチン多量 体の分布を初めて明らかにした。

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1-2) 研究の背景

細胞内には様々な生体分子(タンパク質、RNAなど)があり、他のタンパク 質で込み合った中を移動する(Ellis, 2001)(図 1- 3)。これは薄い水溶液中での拡散 とは粘性などの面で異なっている。また、細胞内には細胞骨格と呼ばれるフィラメ ント(繊維)状のタンパク質の網目構造や小胞体などが存在しており、タンパク質 やRNAなどの生体分子は、これらにも衝突し、結合・解離しながらブラウン運動に よる拡散で移動する(図 1- 1)。すなわち、細胞内での分子の移動のしやすさはこ れらの細胞内微小環境に影響されているといえる。水溶液中での単純拡散では溶液 の粘性や温度が影響するが、細胞内の場合は構造物に結合・解離する影響も現れ、

例えばRNAでは水溶液中の100倍程度拡散が遅くなることが示されている(Kues et al., 2001; Phair and Misteli, 2000; Tadakuma et al., 2006)。これまでに細胞内の分子 の拡散がFRAP(fluorescence recovery after photobleaching)やFCS(fluorescence correlation spectroscopy; 蛍光相関分光法)といった方法で調べられており(Chen et al., 2002; Luby-Phelps et al., 1987; Luby-Phelps et al., 1986; Lukacs et al., 2000;

Politz et al., 1998; Seksek et al., 1997; Swaminathan et al., 1996; Wachsmuth et al.,

2000)、細胞内の粘性は水溶液中の 3 倍程度であると考えられている。そのため、

100倍程度拡散が遅くなる場合は、粘性の影響というよりも、細胞内構造物への結 合・解離が影響しているというモデルが存在している(Misteli, 2001; Wachsmuth et al., 2003)。

細胞内では細胞質や核といった場所に依存して存在する分子や構造物が異 なっており、拡散のしやすさも様々と考えられる。核内でも核質と核小体では細胞 内環境が異なると考えられるが、核小体は大きさが数 µm程度と小さいために研究 が困難で、知見が不足していた。また、哺乳類の培養細胞は通常 37℃付近で活動

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している。細胞が 37℃で活動しているときは、細胞内輸送などもより活発に起き ており、細胞骨格の組み換えや細胞内小器官の移動も頻繁に起きているため、温度 も細胞内微小環境に影響を及ぼしていると考えられるが、これまでの研究は室温で 行われることが多く、37℃での知見は不足していた。

細胞骨格のフィラメント(繊維)は単位ユニットであるタンパク質分子(単 量体)が重合したタンパク質複合体(多量体)として形成されることが多い。代表 的な細胞骨格タンパク質であるアクチンは、フィラメントが重合・脱重合をして長 さを変化させる。これにより、筋肉の構造を形成したり、アメーバ運動をしたりす る。精製して単離したアクチンでも、試験管内などの溶液中で重合させることが出 来る(図 1- 4)ため、これまで詳細な検討が行われてきた(Amann and Pollard, 2001;

Fujiwara et al., 2002a & b; Honda et al., 1986; Kondo and Ishiwata, 1976; Kouyama and Mihashi, 1981; Kuhn and Pollard, 2005; Masai et al., 1986; Nakaoka and Kasai, 1969; Woodrum et al., 1975; Yanagida et al., 1984)(4-1に記述した)。大沢らはア クチンの重合に関して実験を行い、溶液中でフィラメントとモノマーが共存してい る状態であると考え、理論的なモデルを提唱した(Oosawa and Asakura, 1975)。こ のモデルを支持する結果が、電子顕微鏡や光学顕微鏡を使用した研究で得られてき た(Burlacu et al., 1992; Kawamura and Maruyama, 1970 & 1972)。つまり、サブ µm 以上の長さのアクチンフィラメントの本数は、長いほど指数関数的に減少するとい う分布になっていた。このモデルでは数量体程度のアクチンの多量体の数分布は、

サブ µm以上の長さのフィラメントとは異なっている。しかし、数量体程度の大き さのアクチン多量体の数分布は、実験的に明らかにされていなかった(図 1- 2)。 この分布はフィラメントの端で何量体が結合・解離しうるのかという問題とも関連 している。

光学顕微鏡を使用した研究では、水溶液中や生細胞中で活動している生体分

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子を光の空間分解能(半径170 nm程度)で研究することが出来る(一部は光の空 間分解能を超えだしている(Levene et al., 2003))。近年光学顕微鏡技術は進展して おり、様々な技術が開発されて生体分子の研究に用いられている。共焦点光学系は 3次元的な分解能を持つ光学系で、光の回折限界程度の分解能を持っている。得ら れる像の奥行き方向にも分解能を持つために、断層像を得るのによく使用されてい る。近年光子数を直接カウントできるアバランシェフォトダイオードのようなセン サーが開発されてきており、共焦点光学系と共に用いられることでFCS(Madge et al., 1972; Magde et al., 1974; Rigler et al., 1993)やPCH(Chen et al., 1999)などの技 術が発展してきた。FCSは共焦点の微小な領域から出る蛍光の揺らぎを分析し、領 域内の平均分子数と拡散定数を求める方法である。共焦点の微小な領域を蛍光の分 子が通過する際に出す蛍光の揺らぎの速さと大きさを分析する(FCSとPCHの装 置の詳細は2章に記述した)。FCSはこれまでにin vitroでの生体分子間の相互作用 の解析に用いられてきたが、近年生細胞中での分子の挙動の解析にも使用されだし ている(Brock et al., 1999; Saito et al., 2003; Schwille et al., 1999; Yoshida et al.,

2001)。また、PCHは共焦点の微小領域から放出される光子数のヒストグラムをと

り、理論式をフィッティングすることで、明るさの異なる粒子の領域内平均個数を 求める方法である。ある明るさの粒子が領域内に平均何個あり、別の明るさの粒子 が領域内に平均何個あるということが分かる。この方法はこれまでに細胞でのタン パク質の多量体形成(Chen et al., 2003)、核酸とポリカチオンポリマーの相互作用 (Van Rompaey et al., 2001)などに使用されてきた。ここではこれらの光学的な手法 を用いて、細胞内の分子の拡散の様子や、溶液中のタンパク質複合体の数分布に関 する研究を行った。

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1-3) 本論文の概要(博士論文概要書より)

本論文の第一の目的は、FCSを用いてGFPの拡散運動を測定し、細胞質、

核質、核小体などの細胞内の局所領域における分子の混み具合を評価することであ る。

ところで細胞骨格のフィラメントは、その構成単位であるタンパク質分子

(単量体)が重合したタンパク質複合体(多量体)として形成されることが多い。

代表的な細胞骨格タンパク質であるアクチンは、重合・脱重合をしてフィラメント の長さを調節することで筋肉構造を形成したり、細胞運動を引き起こしたりする。

精製単離したアクチンでも、試験管内の溶液中で重合させることが出来る。その際、

電子顕微鏡観察が出来る程度の長さのアクチンフィラメントについては、長いほど 指数関数的に数濃度が減少することが知られているが、数量体∼10量体程度のアク チン多量体の分布は明らかにされてこなかった。この分布はフィラメントの端で何 量体が結合・解離しているのかという、重合機構の基本特性と関連する重要な問題 である。そこで本論文の第二の目的は、PCH を用いて、溶液中におけるアクチン 多量体の数濃度分布を明らかにすることである。

第1章では本研究の背景及び、光学顕微鏡技術(FCS とPCH)を使用した 実験法の生体分子研究への応用例や本研究の概要について述べられている。

第2章では光学顕微鏡技術の詳細が、特に本研究で使用した実験装置を中心 に述べられている。本研究ではFCSとPCHの2つの光学顕微鏡技術が使われてい るが、2つとも共焦点光学系と呼ばれる光学系が用いられている。共焦点光学系の 観察領域は、XY方向は光の回折限界に近い円形(直径340 nm)で、Z軸方向は楕 円形(長軸方向 1.7 µm)の微小な 3 次元領域になる。近年光子数を直接カウント できるアバランシェフォトダイオードなどのセンサーの開発が進んできており、共

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焦点光学系と共に用いることで FCS や PCH などの技術が発展してきた。FCS は この微小領域を通過する分子から出る蛍光の時間変化を分析し、領域内の平均粒子 数と拡散定数を求める方法である。PCH は微小領域からの蛍光強度のヒストグラ ムをとり、平均粒子数と粒子の明るさを求める方法である。

第3章ではFCSを用いて蛍光タンパク質の拡散を調べ、細胞内微小環境を評 価した結果について述べられている。細胞内では様々な分子の移動や反応が起きて いるが、細胞内の場所によって拡散による移動のし易さには違いがある。それは衝 突する細胞骨格などの細胞内構造物や、他の分子の混み具合等の影響によると考え られる。このような細胞内の微小環境は、細胞分裂、食作用、細胞運動、細胞内輸 送などの細胞の活動と関連がある。細胞内構造物の機能を明らかにする上で、タン パク質のような巨大分子の微小環境での拡散の性質を知ることは重要と考えられ る。生細胞中での分子の拡散は、これまでにFRAPやFCSといった方法で調べられ てきた。FRAPは細胞内のある領域の蛍光分子を強い光で消光し、周囲から他の蛍 光分子が入ってくる過程を観察することで分子の移動を評価する方法である。しか し、哺乳類細胞の生理的な活動温度である 37℃では、蛍光色素が一時的に暗くな るだけで消光しない現象(三重項遷移)があり、FRAPのデータがうまくとれてい なかった。また核内にはリボソームが合成されている核小体と呼ばれる微小領域が 存在するが、数 µmと微小なためにこれまで周りと区別してデータを取得すること が困難だった。FCSでは蛍光色素が一時的に暗くなる現象と、拡散による蛍光強度 の変化は、蛍光強度変化の自己相関関数を分析することで時間スケール上の分離が 出来る。このため、37℃での拡散の様子を捉えることが出来る。また、測定領域が ほぼ光の回折限界に近い微小領域のために、核小体のような核内の微小な構造物を 周りから区別して分析するといったことも可能となる。本章ではHeLa細胞内に蛍 光タンパク質を発現させ、FCSを用いて細胞質・核質(核内の核小体以外の部分)・

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核小体の微小環境を23℃と37℃で評価した結果が述べられている。HeLa細胞中の 蛍光タンパク質の拡散運動は速い拡散と遅い拡散の2種類のブラウン運動で記述さ れることが分かった。37℃での細胞質、核質、核小体での速い拡散の拡散定数は水 溶液中(126 µm2/sec)での1/2から 1/3になった。23℃での細胞質と核質での速 い拡散は水溶液中(87 µm2/sec)の1/3で、核小体では1/8となり、場所に依存し ていた。核小体での蛍光タンパク質のみでの拡散定数は本研究で初めて明らかにさ れたが、これらの結果は予想していたより速い運動であり、細胞内で比較的自由に 蛍光タンパク質が拡散していることを示唆している。遅い拡散は水溶液中の 1/30 から 1/60 程度の速さだったが、23℃ではその割合が 0 から 3%だった。しかし、

HeLa細胞の元々の活動温度である37℃では割合が3から13%まで上昇した。特に

核小体と核質では、遅い拡散の割合と温度依存性が異なることが本研究で初めて明 らかにされた。遅い拡散は蛍光タンパク質が細胞内の構造物と相互作用(結合・解 離)することで生じるのではないかと考えられるが、この結果は細胞内の微小環境 が温度や場所に大きく依存していることを示唆している。

第4章では PCHを用いて溶液中におけるアクチン多量体の数濃度分布につ いて調べた結果が述べられている。精製したアクチンを塩濃度の高い重合溶液に入 れると、タンパク質濃度に依存してフィラメントを形成する。この際、臨界濃度と 呼ばれるタンパク質濃度を超えた分のアクチンがフィラメントを形成する。フィラ メントと重合していないアクチンとは共存して平衡状態にあり、フィラメントの端 ではアクチンが絶えず重合・脱重合をしている。近年、アクチンフィラメント1本 を光学顕微鏡下で観察できる技術が発達してきたが、その観察結果から平均6個単 位(6量体)程度のアクチン集合体が、フィラメントの端で結合・解離していると いう解釈も成り立つことが分かってきた。しかし、数量体程度の大きさのアクチン 多量体については、何量体がどのような割合で存在するのかという分布がこれまで

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明らかでなかった。本研究ではこの分布を PCH で調べた結果が述べられている。

PCH では共焦点光学系を使用し、微小領域を横切る分子から発せられる光子数の ヒストグラムを取得する。このヒストグラムにフィッティングを行うことで領域内 平均粒子数と粒子の明るさの2種類のデータを取得する。単量体の状態とフィラメ ントの状態で明るさの変わらない色素でアクチンを染色し、単量体の明るさを求め た。これをもとに単量体の i 倍の明るさの粒子を i 量体とみなして重合溶液中での 濃度分布を求めた。その結果、重合溶液中では1-5量体のアクチンが主に存在して いることが明らかにされた。これにより、アクチンフィラメント端での重合・脱重 合は1-5量体により起こっていることが示唆された。また、多量体の分布は1-5量

体と6-100量体の2つの指数分布に分かれることが分かった。

第5章では、第4章で得られたデータを大沢文夫らのアクチン重合の理論に 基づいて解析した結果が述べられている。このモデルではアクチンの状態としてモ ノマー、直線状重合体、らせん状重合体の3種類の状態を考える。電子顕微鏡など での観察から、アクチンフィラメントは二重らせん構造で、長いほど指数関数的に 数濃度が減少することが知られている。そこで、ともに指数分布を示している

10-100 量体をらせん状重合体、1-5 量体を直線状重合体と仮定して解析を行った。

その結果、直線状重合体とモノマーとの間の平衡定数Kが(5.2 ± 1.1)×106 /Mと求 まった。モデルによれば、らせん状3量体は、直線状3量体と比べてねじれる分だ け余分な自由エネルギーが必要となり、直線状3量体に対するらせん状3量体の割 合γが小さいと考えられている。事実、γの値を実験結果から求めると(3.6 ± 2.3)

×10-2と小さかった。また、らせん状重合体に結合するモノマーは、らせん構造の 端に存在する2個のアクチン分子に結合することになるため、直線状重合体より結 合しやすくなると考えられている。解析の結果、らせん状重合体とモノマーとの間 の平衡定数Khは(1.6 ± 0.5)×107 /M(この逆数である60 nMが、アクチン重合の

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臨界濃度に対応する)と求められ、直線状重合体の場合と比べて3倍程度結合しや すくなっていることが示された。これらの結果から、直線状3量体(重合核)がら せん状3量体になるときの余分な自由エネルギーは2.0 kcal/molと計算された。こ こでは重合核を3量体と仮定して解析したが、直線状かららせん状重合体への転移 は5-7量体で起こることが分かった。

第6章では本論文のまとめと今後の展望について述べられている。

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1-4) 省略単語の一覧

・BODIPY FL : BODIPY FL C1-IA、N-((4, 4-difluoro-5, 7-dimethyl-4-bora-3a, 4a-diaza-s-indacene-3-yl) methyl) iodoacetamide; 本研究でアク チンを染色するのに使用した色素。

・Fアクチン : 重合してフィラメントを形成したアクチン。

・Fバッファ : Buffer F; アクチンの重合溶液。組成は4-2-4に記載した。

・FCS : Fuorescence correlation spectroscopy; 蛍光相関分光法。

・FRAP : Fluorescence recovery after photobleaching 。

・Gアクチン : アクチンの単量体(モノマー)。

・Gバッファ : Buffer G; アクチンが重合せずに単量体になる溶液。組成は4-2-4 に記載した。

・GFP : 緑色蛍光タンパク質。

・HKM バッファ: 溶液中の GFP の拡散を調べるのに使用したバッファ。組成は 3-2-5に記載した。

・in vitro : 試験管内などの生体内でない条件。

・PCH : Photon counting histogram; フォトンカウンティングヒストグ ラム法。

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図 1- 1 細胞内の微小環境

細胞内には細胞骨格などの微小構造物が存在しており、生体分子(タンパク質や RNAなど: 緑色)は構造物に衝突しつつブラウン運動(紺色)で移動している。

細胞の場所により、存在するタンパク質や細胞内構造物の種類や量が異なっており、

拡散のしやすさは変わってくると考えられる。また温度が変わると細胞の活動が変 化するため、細胞内の微小環境も変化すると考えられる。

本研究ではFCSを用いて、拡散定数が細胞の場所や温度によってどのように変 わるかを明らかにした。特に核質と核小体を区別してGFP単体の拡散を研究した のは初めての例となる。また哺乳類細胞の活動温度である37℃で研究したのも初 めての例となる。

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多量体数

Log濃度(LogM) 割合(%)

Fバッファ中の短いアクチン 多量体の分布

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多量体数

Log濃度(LogM) 割合(%)

Fバッファ中の短いアクチン 多量体の分布

1- 2 定常状態のアクチン多量体

定常状態においては様々な大きさのタンパク質複合体が共存している。し かし水溶液中の数量体程度のアクチン多量体の分布はこれまで明らかでな かった。

本研究ではPCHを用いてこの分布の概要を初めて明らかにした。

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1- 3 細胞内に存在する構造物の模式図

細胞内では様々な分子や構造物が存在して空間が埋められている。この間 を分子は拡散や能動輸送で移動する。図は(Ellis, 2001; Hoppert and Mayer, 1999)から引用。(Ellis, 2001)では全体の空間の20-30%は分子で占められて いると述べられている。

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1- 4 アクチンのモノマーとフィラメントの構造

モノマーのアクチン(左図は(Graceffa and Dominguez, 2003)から引用)

が重合して二重らせん構造のフィラメント(中央の図は(Guan et al., 2005) から引用)を形成する。右図は二重らせんの模式図。

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第 2 章 実験系の概要

本章では、本研究で用いられた実験系について述べる。本研究では共焦点光 学系とアバランシェフォトダイオードを使用して、3次元微小領域からの光子数を カウントしている。その解析の違いでFCSとPCHの2つに分かれる。

2-1) 共焦点光学系

共焦点光学系では3次元の微小領域からの蛍光を捕らえる(図 2- 1)。通常 の落射照明の蛍光顕微鏡などに比べると、Z軸方向(像の奥行き方向)にも分解能 が得られるため、細胞などの断層像を得るのに使用されることが多い。共焦点光学 系ではXY方向が半径 170 nm程度の円形で長さ方向が 1.7 µm程度の楕円型の領域 からの蛍光を観察する。この領域は中心部が明るく、周辺部にいくほど暗くなって いる。その点像分布関数は式2-4に示すようなガウス分布で記述されることが多い。

断層像を得るときにはこの楕円領域を動かして対象物をスキャンする。本研究では この楕円領域を拡散で通過する分子からの蛍光を分析した。

共焦点光学系ではレーザーの平行光を対物レンズで観察する点に集光し、そ こから出てくる蛍光を結像レンズで結像する(図 2- 2)。この結像面にピンホール を置くのが特徴で、これによりZ軸方向にも分解能を得ることが出来る。観察位置 であるレーザーの焦点位置よりZ軸方向にずれた位置から出た光は、ピンホール位 置では広がっており、ピンホールをほとんど通過しない。

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2-2) 蛍光相関分光法

蛍光相関分光法(FCS)は1970年代に提唱され(Ehrenberg and Rigler, 1974;

Magde et al., 1974)研究が続けられてきた手法であるが、近年光センサーなどの進 歩で実用的に使用されだした(Eigen and Rigler, 1994; Rigler et al., 1993)。FCSで は共焦点顕微鏡とフォトンカウンティング(光子数のカウント)の出来るアバラン シェフォトダイオードなどのセンサーを組み合わせて用いる。

共焦点の小さな領域を分子が拡散で出入りする際に、蛍光強度が拡散の速さ を反映して揺らぐ(図 2- 3)。規格化された蛍光強度の自己相関関数を計算し、理

論式(式 2-1)をフィッティングすることで揺らぐ速さを評価する。また、分子数

が少ないほど揺らぐ程度が大きくなるために、そこから領域内の平均の分子数を求 めることが出来る。

蛍光色素が蛍光を出すときに、一部は三重項遷移と呼ばれる遷移状態になり、

蛍光が出ない暗い状態になることがある。これは時間のスケールでは緩和時間がマ イクロ秒程度の現象である。一方蛍光分子が共焦点の観察領域を拡散で横切るのは 数十-数百マイクロ秒程度の時間の現象である。このために、この 2 つの現象は自 己相関関数をフィッティングする際に時間的に分離して扱うことが出来る(式 2-1 のパラメータa、bを含む項)。

本研究で使用したFCSの概要を(図 2- 4)に示す。顕微鏡はOlympus社製の 倒立型顕微鏡IX70を使用し、ピンホールは三眼鏡筒部にセッティングした。これに より顕微鏡の内臓ミラーの切り替えによってFCSで測定しているポイントを目視 で確認が出来る。試料を励起する光源としては青色固体レーザー(ML0250A, Nippon Avionics Co., Japan)を使用した。λ/4板を介して円偏光のレーザー光に変

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換し、ビームエキスパンダでビーム径を拡大した。NDフィルターを介してレーザ ー出力が試料面で100 µW/µm2になるように調整した後に、ダイクロイックミラー

(505DRLP, Onega Optical, VT, USA)で反射して対物レンズに導入する。ダイク ロイックミラーは励起光の波長の光は反射するが、サンプルから出る蛍光は透過さ せるような光学素子である。対物レンズ(UPlanApo, 60x w, NA 1.2, Olympus)は 水浸レンズを使用した。水浸レンズはレンズと試料のカバーグラスとの間を水で満 たして使用するレンズであり、カバーグラスから離れた物体を観察しても収差が少 ないためにFCSでよく使用される。対物レンズに導入されたレーザーの平行光は、

対 物 レ ン ズ に よ り 焦 点 位 置 に 集 光 さ れ る 。 試 料 は ガ ラ ス ボ ト ム デ ィ ッ シ ュ

(IWAKI3910-035, IWAKI, Japan)を使用して顕微鏡にセッティングした。試料は サーモプレート(MATS-52RA, Tokai Hit Co., Japan)と対物レンズヒーター

(MATS-LH, Tokai Hit Co.)で23℃または37℃に保温した。試料から出る蛍光は対 物レンズで集められ、ダイクロイックミラーを通過した後にエミッションフィルタ ー(530DF60, Omega Optical)を通過する。エミッションフィルターは、試料の蛍 光付近の波長の光が透過する。蛍光は結像レンズで集光される。結像面には30 µm のピンホールが置いてあり、ここを通過した蛍光は光ファイバーに導入される。光 ファイバーはアバランシェフォトダイオード(SPCM-AQR-14-PC, PerkinElmer Optoelectronics, USA)に導入される。アバランシェフォトダイオードは光電子が 1個発生するごとに、電気的なパルスを1個出力する。アバランシェフォトダイオ ードからの信号はデジタル相関器(ALV-6010/160, ALV-GmbH, Germany)に入力 され、自己相関関数G(τ)が計算される。ある時間tでの蛍光強度をI(t)と書くと規格 化された蛍光強度の自己相関関数G(τ)は式 2-1 で表現される。取得された自己相 関関数G(τ)-1はOrigin 7J (Origin Lab Corporation, MA, USA)を使用してフィッテ ィングを行った。フィッティングに使用した式は

20

(22)

2007年度 博士論文 寺田 尚史

⎥⎦⎤

⎢⎣⎡ −

+ −

⎟⎠

⎜ ⎞

⎝ +⎛

⎟⎟⎠

⎜⎜ ⎞

⎛ + +

> =

<

>

+

=<

=

) 1 exp(

1 1 1

1 1 1

) (

) )(

) ( (

1 2

2 a b

a s

F N

t I

t t

G I m

i

i i

i τ

τ τ τ

τ

τ τ (2-1)

となる。それぞれ

I(t):時刻tでの蛍光強度 τ:相関時間

N :観察領域内の平均分子数 Fi:i番目の成分の割合

τi:i番目の成分の拡散時間 a:三重項などの暗い状態(dark state)の 比率 b :暗い状態(dark state)の緩和時間 s :観察領域のz軸方向の長軸を直径で割った比率(ストラクチャーファクターと 呼ばれる)

である。<>はtに関して平均をとっている。ストラクチャーファクターはローダミ ン6G及びGFPで求めたが、それぞれ5.0 ± 0.5(n = 32)、4.8 ± 0.3(n = 5)だ った。拡散時間τiと拡散定数Diの関係は式2-2

i i

D w τ 4

2

= 0 (2-2)

のように反比例の関係となる(w0は観察している共焦点領域の半径)。そこで、試 料の拡散定数Dsampleを試料の拡散時間τsampleから計算するときには、GFPの拡散定 数DHKMの23℃での値87 µm2/sec(Swaminathan et al., 1997; Terry et al., 1995)を用 いて、式2-3で計算した。

Dsample = DHKM×τHKMsample (2-3)

τHKMはHKMバッファ(組成は3-2-5に記述した)中で23℃で測定したGFPの拡散 時間で82.2 ± 5.1 µs(n = 110)だった。細胞での自己相関関数の多成分フィッテ ィングの手順として(Yoshida et al., 2001)らの方法を使用した(図 2- 5)。

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(23)

2007年度 博士論文 寺田 尚史

2-3) フォトンカウンティングヒストグラム法

フォトンカウンティングヒストグラム(PCH)法は1999年にChenらによ って提唱された(Chen et al., 1999)手法で、共焦点観察領域を横切る蛍光粒子の蛍光 強度のヒストグラムに対してフィッティングを行い、明るさの異なる粒子の領域内 の平均分子数を求める。通常の共焦点光学系に対しては補正をした式が発表されて おり(Perroud et al., 2003)、さらにフィッティングの精度が良くなっている。

本研究で使用した光学系を図 2- 6 に示す。試料を励起するレーザーとして は固体レーザー(488nm, Sapphire 488-20, Coherent Japan)を使用した。λ/4板 を介して円偏光のレーザー光に変換し、ビームエキスパンダでビーム径を拡大した 後にNDフィルターで出力を調整した。レーザーはダイクロイックミラー(485DRLP, Omega Optical, VT, USA)で反射され、水浸の対物レンズ(UPlanApo, 60x w, NA 1.2,

Olympus)で試料面に集光される。励起光の強度は試料面で13 µWだった。試料の

液滴(50 µL程度)はカバーグラス上に置かれ、周囲をふたで覆った。実験は23℃

で行った。試料から出た蛍光は対物レンズで集光され、ダイクロイックミラーを通 過した後に2 枚のエミッションフィルター(D520/40mとS500/22m)を通過する。

この2枚のフィルターは502 nmから512 nmの範囲を透過するが、4章で後述する ようにBODIPY FLで染色したアクチンの出す蛍光の特性に合わせてある。BODIPY FLアクチンの蛍光強度は、Gバッファ中と比べてFバッファ中で増加するが、この フィルターセットでは、その増加の割合は11%以下になる。結像レンズでもう一度 集光した位置にピンホール(30 µm)が設置してある。ピンホールを通過した蛍光 は光ファイバーを介してアバランシェフォトダイオード(SPCM-AQR-14-PC, Perkin Elmer Optoelectronics, USA)に入る。アバランシェダイオードは発生した 光電子1個に対し、1個の電気的なパルスを出力する。アバランシェフォトダイオ

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(24)

2007年度 博士論文 寺田 尚史

ードの出力はカウンター(C8855, Hamamatsu Photonics)に入力され、光電子数 がカウントされる。カウンターのゲート時間は100 µsecとした。つまり100 µsec あたりに発生した光電子数がカウントされる。1回の測定で100秒のデータ(106個 のゲート数)を収集した。データをPCに転送する部分のソフトはVisual Basic

(Microsoft, USA)で作成した。フィッティングに使用するソフトは(Press et al., 1988)らの数値計算のルーチンを使用し、Visual C++(Microsoft, USA)で作成した。

フィッティングに使用した式(Chen et al., 1999; Perroud et al., 2003)につい て以下に述べる。1種類の明るさの粒子がある領域V0に存在すると仮定し、粒子の 明るさをε(cpbm)、共焦点の観察領域内にある平均粒子数をN(個)とする。こ こでcpbmはcounts per bin time per molecule(Perroud et al., 2005a)で単位ゲート時 間中に1個の粒子から平均何個のフォトンが来るかを表す単位である。また、原点 での明るさを1として規格化した共焦点光学系の点像分布関数が式2-4で表される とする。

⎥⎦

⎢ ⎤

⎡− + −

= 2

0 2 2

0 2

2 ) 2

( exp 2 ) , ,

( z

z y

z x y x

PSF

ω

(2-4)

ここでω0z0はそれぞれ半径方向、長軸方向で点像分布関数が1/e2に減衰する距離 となる。

単位ゲート時間中(100 µsec)に得られるフォトン数kをヒストグラムの横 軸にとり、kというフォトン数が単位ゲート時間中に得られる確率Π(k)を縦軸にと ると、得られるフォトンカウンティングヒストグラムΠ(k;N,ε)は

=

=

Π

0

0 ) (

) ! ,

; ( )

,

; (

M

N M M

M e V N

k p N

k ε ε (2-5)

となることが知られている(Chen et al., 1999)。ここでp(M)は領域内にM個の粒子が 存在する場合のヒストグラムで以下のように導かれる。

23

(25)

2007年度 博士論文 寺田 尚史

領域内分子数M = 0で単位ゲート時間中フォトンが全く入ってこない場合 はk = 0の部分にカウントされる。この場合は

1, for k = 0 )

,

;

( 0

) 0

( k V

ε

p (2-6)

0, for k ≥ 1 となる。

ある領域V0内に粒子が1個いてブラウン運動をしている場合を考える。図 2- 7に示すように共焦点の領域は中心部が明るく、外側ほど暗い。しかし外側の暗い 部分のほうが体積が大きいために、暗い光を放出する頻度のほうが高い。この際の 蛍光強度と頻度の関係を模式的に示すと図 2- 7 の右図のようになる。実際にはセ ンサーの特性も考慮に入れる必要がある。微弱な光がセンサーに入力された場合、

出力されるパルス数はポアソン分布になる。Chenらはこの場合に得られるヒスト グラムを計算した(Chen et al., 1999)。また、実際の点像分布関数は式2-4から少し ずれているので、Perroudら(Perroud et al., 2003)はChenらの結果に補正を行った。

この場合のヒストグラムp(1)(k)は

( )

πω ε π

(

ω

)

2 2ε

1 ) 1

,

! ( 1 1

1

2 0

0 2 2 0 3

0 0 2 2 0 0 2

2

F V dx z e

k k z F V

x

+ +

+

Γ , for k = 1

) ,

;

( 0

) 1

( k V ε

p (2-7)

(

F

)

V k z k e dx

Γ x

+ 0

0 2 2 0 0

2 ( , )

! 1 1

1 πω ε 2

, for k > 1

となることが示されている。Fは 2 光子励起でない通常の共焦点光学系のための補 正のパラメータで、ω0z0はそれぞれ共焦点の点像分布関数を現す式2-4のパラメ ータとなる。V0は自由に取れることが示されているので、実際の計算ではkに関す

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(26)

2007年度 博士論文 寺田 尚史

る全体の確率の和が1になるように規格化してある。

M個(M ≧ 2)の粒子が観察領域内に存在する場合のヒストグラムp(M)(k)は 式 2-8 のように、1 個の場合のヒストグラムをM回コンボリューションしたものに なる(図 2- 8)。

) ,

; )(

. (

) ,

;

( 0 (1) (1) 0

)

( k V ε p p k V ε

p M = ⊗・・・⊗ (2-8)

(M times convolution)

ここまでで領域内にM個の粒子が存在する場合のヒストグラムp(M)が導かれた。

一方領域内の粒子数の平均をN個とした場合に、領域にM個の粒子がいる確 率はポアソン分布になる(式 2-9、図 2- 9)。観察している共焦点の領域には常に 粒子が出入りしており、中に存在している粒子の数は一定にならない。

) ! ,

( M

e N N

M Poi

N M

= (2-9)

領域内にM個いる場合の分布を表す式2-6から式 2-8に、領域内にM個存 在する確率を表す式2-9を掛け算して、Mに関して0から無限大まで和をとると式 2-5になる。これで明るさがεの粒子が領域内平均粒子数Nで存在するときのヒス トグラムが得られた。

複数種類の明るさの粒子が存在している場合のヒストグラムは、それぞれの 種類のヒストグラムのコンボリューションとなることが示されている(Chen et al., 1999)(図2-8参照)。1種類の粒子の成分のことを1コンポーネントと呼んでおり、

パラメータとしてはεと N それぞれ 1 個づつの 1 セットを含んでいる。例えば 2 種類の粒子が存在する場合は

) , , ( ) , , ( ) , , , ,

(k N1 ε1 N2 ε2k N1 ε1 ⊗Π k N2 ε2

Π (2-10)

となる(2コンポーネント)。j種類の粒子が存在すると ) , , ( )

, , ( ) , , , , ,

(k N1 ε1 Nj εjk N1 ε1 ⊗ ⊗Π k Nj εj

Π ・・ ・・ (2-11)

25

(27)

2007年度 博士論文 寺田 尚史

となる(jコンポーネント)。

4-3 で述べるように本研究では結果的にアクチン多量体の連続的な分布を数 コンポーネント(2 から 8 コンポーネント)にまとめてフィッティングしている。

この場合複数種類の明るさの粒子の混在状態が1コンポーネントでフィッティング されることになる。このような場合には、次のような加重平均された明るさεappと 領域内平均粒子数Nappが得られる(Chen et al., 2002; Chen et al., 2003; Chirico et al., 2001)。

=

m m m m

m m

app N

N ε ε ε

2

(2-12)

⎜⎝

=

m m m m

m m

app N

N

N 2

2

ε ε

(2-13)

ここで、1コンポーネントにm種類の粒子が含まれているとした。このεappとNappを かけると、含まれている全てのεmとNmを掛け算して足したものになる(式2-14)。

=

m m m app

appN ε N

ε (2-14)

その意味では本研究で得られた結果は加重平均後の分布である点を留意する必要 がある。

また、拡散時間とゲート時間の比率がεとNの誤差の要因になる。これにつ いては4-4に記載した。

実験データに対するフィッティングのあてはまりの評価は式 2-15 に示す reducedカイ2乗の式(Chen et al., 1999)を使用した。

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(28)

2007年度 博士論文 寺田 尚史

n k

k

N N

k k

M p

k k k

n n

2

)) , , , , ,

; ( ) ( (

min max

1 2 1

2

max

min

− Π

=

= σ

ε ε χ

L L

(2-15)

ここでp(k)はkカウントの光電子を単位ゲート時間(100 µsec)中に観測した確率と なる。p(k)は得られたヒストグラムの全ての頻度の和で、それぞれの頻度を割り算 して規格化することで得る。kmax、kminはそれぞれデータで得られたkの最大・最小 値を示す。nはフィッティングに使用するモデルのパラメータ数を表す。また、σ は標準偏差sの2乗で、sは式2-16で与えられる。

s=[Mp(k)(1-p(k))]1/2 (2-16)

ここでMは測定の試行回数(本研究では106)となる。

本研究ではGバッファ中での実験データをフィッティングする時に1コン ポーネントから5コンポーネントまでの5種類の関数を用意してフィッティングを 行った。複数コンポーネントでのフィッティングは式2-11を用いた。5種類のケー スについて式2-15のreducedカイ2乗値を計算し、最小のものをフィッティング の結果として採用した(Perroud et al., 2005a)。Fバッファでのデータの場合は1-9 の9コンポーネントでフィッティングを行った。

本研究では粒子の蛍光強度が多量体数に比例すると仮定して解析を行って いる。つまりi量体の明るさは単量体のi倍の明るさになると仮定している。4章で 述べるようにアクチンをBODIPY FLという色素で染色した場合には、単量体でも 重合状態でも502-512 nmの波長の蛍光の明るさがあまり変わらない。そこで、蛍 光のエミッションフィルターを2枚使用して、バンドパスフィルターを形成して使 用した。この場合式2-17により多量体数(多量体中の単量体の数)iが計算される。

i = ε/εmonomer (2-17)

ここでεは多量体の明るさ、εmonomerは単量体の明るさとなる。

式2-7で補正に使用されるFの値をBODIPY FLで求めたところ、F = 0.70

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2007年度 博士論文 寺田 尚史

± 0.35(n = 16)だった。

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(30)

2007年度 博士論文 寺田 尚史

カバーガラス

試料の水溶液

対物レンズ

z軸方向

2- 1 共焦点光学系により得られる蛍光の微小観察領域

緑色の部分が蛍光の観察領域を示す。楕円形で中心ほど明るい。対物レンズの軸 に沿った方向がz軸方向で、像の奥行き方向となる。

z軸方向

2- 2 共焦点光学系の原理図

観察する点から出た光(黒線)は像面においてあるピンホールを通過する。観察 する点からずれた位置から出た光(青線)はピンホールの設置してある像面ではひ ろがってしまい、ピンホールを通過する光はわずかとなる。

29

(31)

2007年度 博士論文 寺田 尚史

1.2

10-3 10-2 10-1 100 101 102 103 0.0

0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2

G(τ)-1

τ(msec)

(B)少ない (D)多い (A)速い

1.0 (C)遅い

0.8 0.6 0.4 0.2 0.0

10-3 10-2 10-1 100 101 102 103

G(τ)-1

τ(msec)

2- 3 FCSの自己相関関数の見方

分子が共焦点の観察領域を横切る時の蛍光強度の変化を取得する。蛍光強 度の自己相関関数を蛍光強度の平均値の2乗で割り算して規格化する。

拡散定数が大きい分子が観察領域を速く横切る場合(A)には自己相関関 数は短い相関時間で減衰する。拡散定数が小さい分子がゆっくり横切る場合

(C)は長い相関時間で減衰する。

分子数が少ない場合(B)は平均値に対して揺らぎ幅が大きくなる。この 場合自己相関関数の切片が大きな値となる。分子数が多い場合(D)は揺ら ぎ幅が小さくなる。この場合自己相関関数の切片は小さな値となる。図の一 部は(宮脇敦史編, 2000)から引用した。

30

(32)

2007年度 博士論文 寺田 尚史

2- 4 本研究で使用したFCSのシステム図

レーザーはダイクロイックミラーで反射され、ガラスボトムディッシュの 細胞内のGFPを励起する。ディッシュはステージヒーターとレンズヒータ ーで保温されている。GFPからの蛍光は集光され、ピンホールを通過した後 に光ファイバーを経由してアバランシェフォトダイオードに入る。その出力 はデジタル相関器に入力され、自己相関関数が計算される。

31

(33)

2007年度 博士論文 寺田 尚史

2- 5 本研究で使用したFCSの多成分フィッティングの手順

(Yoshida et al., 2001)の方法を使用して多成分フィッティングを行った。

i = 3から解析を行った。

32

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2007年度 博士論文 寺田 尚史

 

2枚のフィルターを組み合わせて502-512 nmの蛍 光を取得するバンドパスフィルターにした。

•励起光を反射

•蛍光を透過

2- 6 本研究で使用したPCHの光学系

サンプルからの蛍光はダイクロイックミラーを通過した後に2枚のエミッ ションフィルターを通過し、502-512 nmの波長の蛍光のみが取得される。

33

(35)

2007年度 博士論文 寺田 尚史

蛍光強度分布と確率の図

p

0 50 100 150 200

10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 100

確率 

p

蛍光強度 (a.u.)

ε

=1

ε

=2

ε

=3

2- 7 共焦点領域を拡散する分子から得られる蛍光強度のヒストグラム

共焦点の領域は中心部が明るく、外側ほど暗い。しかし外側の暗い部分のほうが 体積が大きいために、暗い光を放出する頻度のほうが高い。右のグラフは明るさが εの粒子から得られる蛍光強度のヒストグラムの模式図。(実際にはセンサーの特 性も考慮に入れる必要がある。微弱な光がセンサーに入力された場合、出力される パルス数はポアソン分布になる。)

34

(36)

2007年度 博士論文 寺田 尚史

(A)

0 0.2 0.4 0.6

1 2 3 4 5 6 Photon counts k

Frequency

0 0.2 0.4 0.6

1 2 3 4 5 6 Photon counts k

Frequency

0 0.2 0.4 0.6

1 3 5 7 9

Photon counts k

Frequency

0

1 2

0.2 4 0.6

3 4 5 6

hoton counts k

Frequency

0.

P

⊗ ・・・

M times

領域内に1個 領域内に1個 領域内にM

(B)

0 0.2 0.4 0.6

1 2 3 4 5 6

Photon counts k

Frequency

0 0.2 0.4 0.6

1 2 3 4 5 6

Photon counts k

Frequency +3

+2 +1

領域内に1個

領域内に2個

1個の場合のヒストグラムを2

個コンボリューションしたヒスト

グラム 領域内に1個

2- 8 領域内に複数個(M個)いる場合のヒストグラム

領域内に複数個(M個)いる場合のヒストグラム(A)は、1個の場合の ヒストグラムをM回コンボリューションしたものになる。(B)にM = 2の 場合のコンボリューションの例を示す。元々の分布(上図)に下図の分布が 加わると、結果は2-6個のフォトン数の分布(右図)となる。領域内に1-3 個いる分布(上図)に、さらに1個加わる確率(右図の+1)は0.6倍となる

(下図)。同様に2個加わる(右図の+2)確率は下図から0.3倍、3個加わる

(右図の+3)加わる確率は下図から0.1倍となる。最終的には右図のような 分布となる。

このような演算はコンボリューションと呼ばれる演算で記述される。例え ば右図のフォトンカウント4の部分は、

1個存在する確率×3(=4-1)個存在する確率

+2個存在する確率×2(=4-2)個存在する確率

+3個存在する確率×1(=4-3)個存在する確率

となる。コンボリューションは異なる種類の分布が混在する場合の計算にも 用いられる(式2-11)。

35

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2007年度 博士論文 寺田 尚史

0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25

0 5 10 15

領域内分子数 M (個)

確率 p

0 0.1 0.2 0.3 0.4

0 5 10 15

領域内分子数 M (個)

確率 p

N = 1 N = 3

2- 9 共焦点領域の平均粒子数Nと実際の粒子数M

領域内に平均N個の粒子が存在するときに、実際にM個存在する確率p はポアソン分布で与えられる。図ではN = 1N = 3のときのポアソン分布を 例示した。

36

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2007年度 博士論文 寺田 尚史

第 3 章 蛍光相関分光法を用いた細胞内の蛍光タンパク質の 拡散運動の分析

本章では、生細胞中での蛍光タンパク質の拡散が細胞内の場所と温度でどの ように異なるかについて述べる。

3-1) 序文

細胞中ではタンパク質や RNA などの生体分子が活動しているが、その周り の微小環境は他の生体分子で混雑している。このような状況はモレキュラークラウ ディング(分子込み合い)と呼ばれており(Ellis, 2001)、細胞中での生体分子の活動 に影響を与える一つの要因と考えられている。モレキュラークラウディングは拡散 過程・化学反応の速度定数・平衡定数などに影響を及ぼすと考えられる。また、細 胞内の構造物も拡散に影響を与える微小環境として挙げられる。生体分子が細胞内 の構造物に結合・解離しながら拡散することで拡散が遅くなる。このような生細胞 中の微小環境は、細胞質、核質、核小体などの細胞内の場所によって異なると考え られる。細胞の活動は温度にも影響されるので、温度も微小環境に影響を与える要 因となる。細胞の活動としては、細胞分裂や食作用・細胞運動、細胞内輸送などが 挙げられる。細胞中の微小環境での分子の拡散を評価することによって、生体分子 の機能や相互作用のある側面を明らかにすることが出来ると考えられる。

生細胞中での分子の拡散は、これまでにFRAP(Swaminathan et al., 1997)や FCS(Brock et al., 1999)といった方法で調べられてきた。FRAPは細胞内のある領 域の蛍光分子を強い光で消光し、周囲から他の蛍光分子が入ってくる過程を観察す ることで分子の移動を評価する方法である。この方法で水溶液中や細胞中での蛍光

37

(39)

2007年度 博士論文 寺田 尚史

分子の拡散がこれまでに調べられてきた(Luby-Phelps et al., 1987; Luby-Phelps et al., 1986; Swaminathan et al., 1996)。しかし哺乳類細胞の生理的な活動温度である

37℃では、三重項に起因する蛍光色素の早い可逆的な褪色のためにFRAPのデータ

がうまくとれていなかった(Seksek et al., 1997; Swaminathan et al., 1996)。また核 内には核小体と呼ばれる微小構造物が存在するが、微小なために区別してデータを 取得することが困難だった。

FCS は共焦点光学系を使用して細胞内の微小領域での蛍光分子の出入りを 解析し、拡散定数などを求める方法である。FCSでは三重項に起因する蛍光強度の 変化と、領域内の拡散に伴う蛍光強度の変化は時間的に分離して分析されるため

(式2-1)、37℃での拡散の様子を捉えることが出来る。また、測定領域がほぼ光の

回折限界に近い微小領域(半径170 nm、長軸1.7 µm程度)のために、核小体(直 径数 µm程度)といった核内の微小な構造物を核質から区別して分析することも可 能となる。

これまでに細胞質・核質・細胞膜・細胞内の小器官などでの分子の拡散が幅 広く研究されてきた(Chen et al., 2002; Lukacs et al., 2000; Politz et al., 1998;

Seksek et al., 1997; Wachsmuth et al., 2000)。そして、核内のRNAやタンパク質 は自由拡散の100倍程度遅い速度で拡散していることが知られている(Kues et al., 2001; Phair and Misteli, 2000; Tadakuma et al., 2006)。この遅い拡散に関して、特 定のサイトに結合・解離しながら拡散するというモデルが提唱されている(Misteli, 2001; Wachsmuth et al., 2003)。このモデルは、特定のサイトとの結合・解離が存 在しない小タンパク質などは、細胞内では溶液中のたかだか数分の一程度の速度で 拡散しているという重要な知見に依存している。一方、細胞内の粘性は水溶液中の 3倍程度高くなっている(Verkman, 2002)ことが知られている。つまり、自由拡散自 体で遅くなるのはたかだか数倍程度で、細胞内の構造物に結合・解離しつつ移動す

38

(40)

2007年度 博士論文 寺田 尚史

るために100倍程度遅くなるのではないかと考えられる。これまで核での拡散が水 溶液中の3倍程度遅くなることが知られていたが、核質と核小体で区別してデータ が取られていなかった。また、これまでの研究は室温でなされており、生きている 哺乳類細胞の本来の活動温度である37℃では研究がなされていなかった。

本研究では HeLa 細胞に GFP を強制発現させ、FCS を用いて細胞質

(cytoplasm)・核質(nucleoplasm)・核小体(nucleolus)の微小環境を 37℃で評 価することを試みた。GFPはオワンクラゲから発見された蛍光タンパク質である。

近年他のタンパク質と遺伝子工学的に融合させることで、特定のタンパク質の蛍光 標識としてよく使用されている。これを細胞内で作らせて光らせる(発現させる)

実験も行われている。このような実験では DNA を培養液に混ぜて細胞外からとり こませ(トランスフェクション)、細胞内で発現させる。本研究では他のタンパク 質との融合タンパク質ではなく GFP のみを細胞に発現させた。本研究をコントロ ール(対照)とすることにより、他の GFP 融合タンパク質の拡散の評価が可能に なる。

39

(41)

2007年度 博士論文 寺田 尚史

3-2) 材料と方法

FCS の装置に関しては 2-2に記述した。GFP を発現した HeLa 細胞は多田 隈尚史氏と石浜陽氏によって提供された。また、精製した GFP は座古保氏によっ て提供された。細胞の微分干渉像及び蛍光像は山岸舞氏によって取得された。以下 にその方法を記載する。

3-2-1) HeLa細胞の継代培養の方法

下記の組成の培地を使用してHeLa細胞の培養を行った。

培地組成:

Dulbecco’s Modified Eagle Medium 450 mL

Fetal Bovine Serum 50 mL

200 mM L-Glutamine 5 mL

100 mM MEM Sodium Pyruvate Solution 5 mL

Penicilin-Streptmycin 5 mL

10 mM MEM Non-Essential Amino Acids 5 mL

2-Mercaptoethanol 0.5 mL

上記の組成の培地を濾過滅菌後、4℃で保存して使用した。

継代方法:

ほぼコンフルエントになったら継代を行う(前回継代後3-4日)。

1. 準備

1-1. 培地、PBS、Trypsinを室温に戻す。

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参照

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