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発生頻度と産科学的原因について

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(1)

(東女医大誌 第43巻 第3号頁 204〜208昭和48年3月)

当院.におけるSmall for date baby(SFD)

発生頻度と産科学的原因について

東京女子医科大学産婦人科学教室(主任:川上博教授)

大学院学生

助教授

カン

橋 竺 勇

グチ

ハシ

イク

アキ

フミ

・大学院学生

教 授

サカ

 サ

カワ

グチ  ウ  .タ  ヒコ

口薬多出

藤 清 朗

 トウ   スミ   オ

上   博

 カミ       ヒロシ

(受付 昭和47年12月11日)

Relatio皿51鼠量p hetween t鼓e Occ覗rrence of Sm、a1且一For.Dates 8a島y and Gyneco豆og五。

        H韮δings i訟Toky①WomeE,s Medical Co且夏ege Hosp量tal

     Ikuko KANDA, MD., Ut曲iko SAKAGUCHI, MD., Ak且e HASH互GUCm, M.Dり        S腫m五〇SATO, M.D., Fumiko TA鼠AHASHI, M..D.,

       and Hiroshi KAWAKAMI, M.D.

      Department of Obstetrics and Gynecology(Director:Pro£Hiroshi KAWAKAMI, M.D.)

      Tokyo Women,s Medical Co正lege

   The small一負)r−dates babies delivered a丘er the 29th weeks of gestation in the hospital fセom January 1968to December工970 were圭ncluded as samples.

   1.The occurrence of small−fbr−dates babies was 5.2%of total delivery.

   2.The complications recognized by the small一最)r−dates babies mothers were toxelhia of pregnancy,

uterine b王eeding throughout pregnancy, the cardiac disease and anemia. And their f}equencies were 24.8%,22.0%,11.5%,and 6,7%, respectively. However, the highest percentage was 37.6%which was placenta previa.

   a.The occurrence of sma至1−R)r−dates babies delivered貸om the mothers with hypertention and albuminuria were high.

   4.The placenta玉weight among.the m勾ority of small−fbr−dates babies ranged iヤom 300 to 500 gr。

The貸equency of the placental in鉛rction seen in the placentas of all small−R)r−dates babies was 25%.

       互・緒  言

 低出生体重児Small for date baby(SFD)は,

年々増加の傾向にあり,SFD babyの問題が注目 されつつあるが,そのSFD出生の産科学的背景 として,種々のものがあげられる.・これらの原因 を正確にとらえ,これを臨床面に応用し,SFD

出生を少なくするのは産科医の使命である.

 われわれは,当教室における在胎8ヵ月以降の

SFDを対象に,過去3年間にわたり,発生頻

度,およびその産科学的原因について,検.討分析 を行なった.

      11・調査の方法

(2)

 1.対象

 昭和43年1月1日〜45年12月31日に,当院で出産した 胎令8ヵ月(29W)以降のSFDを対象とした.

 2.調査の方法

 調査は,入院病歴および外来病歴により,船川氏の分 類を使用した.

表1 船川の分類

胎  令 月台シ巳標準体重

SFD

29W 30W 31W 32W 33W 34W

35W 36W 37W 38W 39W 40W 41W

1810g−730.g… 730 g>

1940g−8609… 8609>

2070g−990 g・ 990 g>

庄胎遁数 児イ種牛 10 20 30例

75。/

一 一 一』一一一丁一一一一一

8カ月

i29−32W) 75[一1000

lOO目160 1400↓ 2

9カ月

(53−56W) 14Ql−2QQO 14

2001−2120 6 2300

i8 10カ月

(37−43W) 2301−2500 2501−26含0

8

34 224Qg−116Q9・・41609>

2450g−1370 g… 1370 g>

2740g−1660 g… 1660 g>

図1 SFDの体重別内訳

301G 9−!93G 9… 19309>

3200g−2120 g・・ 2120 g>

3380g−2300 g一 2300 g>

353Qg−245Qg… 245Qg>

3630g−2550 g… 2550 g>

3710g−2630 g一・2630 g>

3760g−268G 9… 2680 g>

42W

3770g−2690 g…2690 g>

        m.結  果  1. SFD出生頻度

 表2に示すごとく過去3年間に当院にて出産し

た分娩総数は1569例で,そのうちSFD出生例

は,83例で5.2%に相当する.

表2 SFD発生頻度

 2. 今回のSFD出生の妊婦合併症について  SFD発生の母親の妊娠中合併疾患(図2)の 高いものより順にあげると,純粋型妊娠中毒症

(軽症および重症)は,SFD83例中37例で45.7

%,妊娠中を通じて一度でも出血のあったものは SFD83例中34例で40.9%,心疾患は20例で24

%,妊娠貧血は19例で22.8%,トキソプラズマ陽 性12例で!4.4%,高コレステP一ル血症10例で/2

%,糖尿病3例で3.6%,前置胎盤は3例で3.6

丁otα1

(%)

8

分娩数 SFD

昭和43

540 21 3.9

9

3ギ臭4暢2箋2矯i4賜ギ£蘭

44 45 Tota1

510 519 1569

29 33 83

5.7

6.3

5.2

年度別頻度についてみると,昭和43年は550例 中21例で3.9%,同44年は,510例中29例で5.7

%,同45年は519例中83例で6.3%であり,年々 やや増加の傾向がみられた.

 妊娠月数別頻度については,図1に示すよう に,8ヵ月は1例で1.2%,9ヵ月は22例で26.5

%,10ヵ月は60例で72.3%であった.

10

匝吐___

図2

出  心  貧  ト 高血 双 糖   疾     キ コ

月一血》短胎尿

       ラ  フ.

      弓晃

妊娠中における合併症について

前.

.胎

(3)

%,双胎は2例で2.4%,の順であった.以上の 結果は,1妊婦が2−3の疾患を合併しているも のも少なからず存在し,以一ヒの値は,延数をあら わしているものである.

 次に, 全分娩門中,母親の合併疾患,特に妊娠 中毒症,妊娠中の出血の有無,心疾患,貧血,前 置胎盤の5つの主要疾患について,各疾憲の全発 生数を調べ,その疾患別のSFD発生率を検討し

てみた.

 妊娠中毒症について:

 当院3年間における全分娩数1569例中,中毒症 患者は表3に示すごとく,昭和43年が27例,44年 が72例,45年掛50例,計149例で,そのうちSFD

表3 妊娠中毒症

昭和43

44 45 Total

全分娩中に おける中毒

症患者数

27 72 50 149

中毒症でS F D

出産数

8 15

/4

37 24.8

娠中毒症が37例で,そのうち高血圧のみが6例で ユ5.5%,全分娩1569例中高血圧症のみ存在したも のは67例で,SFD発生率は8.9%であった,

 タンパク尿のみは,全SFD83例中6例で15.5

%,全分娩数中においては44例で,そのSFD発

生率は13.6%であった.

 浮腫のみについては,全SFD83例中6例で

15.5%であった.

 次ぎに2症状が合併している場合では,高」血圧 十タンパク尿が全SFD83例中12例で3L5%,全 分娩1569例中では34例で,高血圧+タンパク尿合 併症のSFD発生率は35.2%で高率を示してい

る.

 高血圧十浮腫は,全SFD83例中1例で2.6

%,タンパク尿+浮腫は,全SFD83羽中3例で 7.8%,3症状すべてそろったものが,全SFD 83例中4例で!0.5%であった.

 以上より,高血圧とタンパク尿の併発が,SF D発生のヲ3以上も占めていて,周産期死亡率と同 様の結果を示している.児体重と各症状との関係

は,図4に示すとおりである.

ll。

姦5

15,5%155% 15,5%

3[.5%

10.5%

鰐題

     素

鷹仙

騰 藷多藍

   漁

図3 妊娠中毒症における症状別発生頻度 を出産した中毒症憲者は,昭和43年が8例,44年 が!5例,45年が14例で,計37例である.また妊 娠中毒症患者の24.8%にSFD発生がみられ,か なりの高率を示す.次ぎに,妊娠中毒症のTrias である高血圧,タンパク尿,浮腫について検討し てみると,図3に示される.全SFD83例中,妊

在胎週数 児体重.8 トlypertension  〔Llbninurie    bdem

750↓

8カ月

i29−32W) ア5「一1000 1001司[60 1400/

9ヵ月

i33−36W) 1401−2000 2001−2120 2300↓

10ヵ月

i37−43W) 230ト2500

12501−26go

1− 21 18     1      哨

P4

図・1妊娠中毒症におけるSFD体重別内訳

 出血について:

 妊娠中を通じて一度でも出血があったものは,

全分娩数:1569例中/54例で9.8%.そのうちSF D83例中では34例で,出血患者よりSFDの発生 率は22%であった.また,そのうちの22例は,妊 娠中毒症を合併していて,V3以.ヒに相当する.こ れら出血と中毒症との間には,何らかの関係があ

(4)

るのかもしれない.

 心疾患について:

 SFD出生頻度の高い心疾患についてみると,

表4に示すごとく,全分娩数1569例中,昭和43年 が67例,44年が60例,45年が46例,計!73例であ り,そのうちSFD発生率は,昭和43年が3例で 4.4%,44年が10例で17%,45年忌5例で10,8%

で,平均11.5%であった.

表5 週数別胎盤重量との関係

一・・重量・・9−32Wi33−36Wi37一・・W41W肚

200!

2Q1一3QQ 301−400

401−500 501−600 60!−700 7011

1 0

1 0

3 7 4

0 2

0 o

0 0

3 22 20 12 0 1

・0

0 1 1 2 0 0

表4 心疾患 全分娩即自 1心 疾 患

il患者数 昭和43

44 45 Total

心疾患でS F D

出産数

表6 週数回胎盤梗塞の有無

Placenta 29−32週33−36週137一・・週41週以上 67

P

60 46 173

3 10 5 20

4.4 硬 塞(十)

7

0

(一)

10.8

購数腰D

1

(平均一 7 13 一25%)

11.5

14 44

0 4

 心疾患と妊娠中毒症のみについて:

 SFD発生中,心疾患が20例で24%,中毒症は38 例で45.7%,そのうち,心疾患十妊娠中毒症が6 例あった.以上より,SFD発生の70%以上が,

心疾患と中毒症で占められていることになる.

 貧血についてみると,全分娩中貧血のあった患 者よりのSFDの発生率は,296例中19例で6.68

%であった.

 前置胎盤についてみると,全分娩中前置胎盤 患者よりのSFD発生率は,8例中3例で37.5%

で,かなりの高率を示している。

 SFDと胎盤との関係について:

 SFD発生と胎盤機能とは密接なる関係がある とされているが,今回われわれは,月数別SFD に対する胎盤重量および胎盤変化,特に,胎盤の 硬塞の有無について研究を行なった.まず胎盤 重量においては,表5に示すごとく,29−32週で

は,301−4009に1例,36−36週では,301−

4009に7例でピーク,37−40週では301−400 9に22例,401−5009に20例で,ほぼ集中し,

41週以後は,501−6QO 9に2例, 301−400

9,401−5009に1例ずっとなっている.な

お,当教室における満期産正常胎盤重量は,ほぼ

5509前後であった.

次ぎに月数別胎盤硬塞の有無についてみると表 6に示すごとく,硬塞のあったものは,29−32週 では1例中0,33−36週は20例中7例,37−40週 は58例中14例,41週以後は4例中0で,平均SF D出生例の25%に硬塞がみられることになる.全 分娩数中では約18%に硬塞が認められた.

       rv 考  按

 1960年にWHO専門委員会で,今までのprema・

turityの定義を単に Low Birth Weight Infant の意味で用いるように勧告され,1963年にGrue−

nwaldが 慢性fetal distress1)と胎盤機能不全な る論文2)を発表して以来,SFDの問題が脚光 を浴びてきた.1967年にAmerican Academy of pediatricsの胎児および新生児に関する委員会 は,新生児を在胎期間,出生児体重と子宮内発育 を考慮して分類するように提唱し,その年にDen・

verの曲線,すなわちLubchencoの標準曲線が 発表された.わが国では,現在船川の在胎週数別

出生3)4)時体重基準値が用いられ5),それよりSF Dが定められている.SFDの問題は,いまだ解 決されない点が多く,その原因は非常に複雑であ

り,一律に論ずることはできない.出生時の発 育状態は,出産後発育の原点であり,同時に受精 後より在胎内における発育の総括である.つまり 子宮内発育遅延,先天的奇形,さらに身心障害児

(5)

にも閑連するため,各分野で原因究明のため努力 がはらわれなけれぽならない.われわれは,SFD 出産の産科学的原因について検討を行なったの で1その結果を報告した6)7)8).まずSFD発生頻 度であるが,総分娩南中5.2%にみられ,通常10

%未満の発生頻度としてあらわされているのに比 べ,やや下まわる傾向にある.SFD発生の原因

として,第一に妊娠中毒症があげられる.

 妊娠中毒症の児に及ぼす影響として,その生死 の他に,子宮内での発育遅延があげられる.これ は低体重児の出産を意味するが,妊娠中毒症の場 合は,妊娠の持続期間の短縮すなわち,早産のた めの低体重以外に,妊娠期間に相応した児体重に 達しないSmall for date babyカミ多いことが知ら

れている.AndersonおよびLyonが多数の文献 をあつめた結果によると,SFD発生の2.5〜

29.9%は妊娠中毒症が原因となっている.

 われわれの教室においては,母体合併疾患とし て第一にあげられるのは,妊娠中毒症(軽症およ び重症)であるが,その妊娠中毒症からのSFD 発生率は24.8%で,全分娩山中よりSFD発生頻 度5。2%に比て,非常なる高率を示している(妊 娠中毒症は重症型は少なくても,ほとんどが軽症 型であった).また,なかでも高血圧どタンパク尿 の合併を伴なうものが大きな比重を占め,高血 圧十タンパク尿をもつ患者よりのSFD発生率は

35.2%であった.

 次ぎに合併疾患としてあげられるのは,妊娠中 に一度目も出血の有ったものであるが,それらの 患者よりのSFD発生率は22%であった.

 次ぎは心疾患であるが,心疾患よりのSFD発

生率は11.5%であった.

 また妊娠貧血も合併疾患としては多く,貧血患 者よりのSFD発生率は6.68%であった.

 注目すべきことは母体合併疾患としては,症例 が少ない前置胎盤であるが,この疾患よりのSF D発生率は37.5%とかなりの高率を示した.その 他に,母体疾患で原因となるもので,慢性腎炎,

糖尿病,慢性妊娠中毒症,重症貧血,ホルモン代 謝障害,心疾患,感染症(梅毒,その他),栄養障 害,過重労働などは,SFD分娩の原因とされて

いる.

 次ぎに胎盤因子について,重量および硬塞の有 無について統計の結果,SFDの胎盤重量は,約

300−5009の間に集中し,また硬塞に関して は,SFD出生胎盤中,25%に硬塞をみとめた.

 このように母体の周辺には,SFD出生の原因 となりうる因子が少なからず存在していること は,.多数の文献にも明らかであり,疑う余地はな いが,またSFDは,これらの因子のみによって 出生するものでもないことは,日常経験するとこ

ろである.

 SFD発生防止の対策として妊婦管理の徹底を 期することがすべてであると思われる.

        V結  語

 当院における過去3年間のSFD発生頻度なら びにその原因とする母体合併疾患および胎盤変化 に関して,その関連性を検討し次の成績を得た.

 1) SFD発生頻度は,全分娩数中5.2%であ

った.

 2) 母体合併疾患としては,妊娠中毒症,妊娠 中毒症,妊娠中1度でも出血のあったもの,心疾 患,妊娠貧血の順であったが,これら疾患の疾患 別SFD発生率は,妊娠中毒症が24.8%,妊娠中 1度でも出血のあったもの22.0%,心疾患11,5

%,貧血は6.68%,特に前置胎盤は37.8%と高率 を示し,注目すべきところである.

 3)妊娠中毒症,なかでも,高血圧十タンパク 尿におけ るSFDの発生が高度である.

 4)胎盤重量に関しては,300−5009にピーク があ),全SFD中25%に硬塞の発生がみられた。

        文  献

1)WHO; Technical Report Series No.217,

 Geneva。(1961)

2)Gruenwald, P., et a1.3 PaIlel Discussion.

 Chronic depr五vation of the tetus. Sina三Hosp.

 J 11 51 (1963)

3)Babson, S.G.&R.C. Benson3 St Lonis,

 Mosby,(1966)

4)Lubchenco, L.0.3 Pediatric Clinics of North  America 17(茎)125(1970)

5)船川幡夫:小児科臨床17872(1964)

6)小林 隆・他:産科,八入科35(7)941(1967)

7)竹内繁喜:周産期医学1(1)57(1971)

8)中村和成・他:周産期医学1(1)41(197!)

9)本多 洋:産婦人科治療725(197D

参照

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