平成
26年
度
学位論文
幼保 小連携 に よる 「気 にな る子 」へ の支援
一
保育者 と小学校教員の語 りの分析から
一
兵庫教育大学大学院修士課程
人 間発達教育専攻
幼年教育 コース
明石
英子
M13014D
目 次
問題 と 目的000
研 究方 法結果 と考察
1「気になる子」への理解 と支援
・・・・・・・・・・ 。・
000009
1 6結果 と考察
2
幼保小連携による「気になる子」への支援に関する現状 と課題
000
総合考察
・・・・・
00・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
000
引用文献37
75
85
88
問 題 と目 的 「気 になる子 」について 「気になる子」 とい う言葉が、近年保育現場でよく聞かれる。筆者が勤務 していた園で 担任 した子の中にも、指示の内容理解が困難であると感 じた子や、感情の起伏が激 しく気 持ちの切 り替えが他の子 よりも困難であると感 じた子な どがいた。その子たちは発達障害 ではなかったが、保育中に個別の援助が必要な場面が頻繁にあつた。また、筆者 は年長を 担任す ることが多かつたのだが、そ うした子たちのほとんどが普通学級へ進学 した。 とこ ろが、卒園後に就学 した先の小学校の担任か ら、学習障害の疑いがある為、幼稚園での様 子を詳 しく教 えて欲 しい と連絡を受けた り、授業中に気にい らないことがあると飛び出 し ていって しま う姿が見 られ るとい う相談 を受けて戸惑つた経験がある。また園内でも、「気 になる子」の援助や就学に関 して、職員会議などで話 し合 うことが頻繁にあつた。 こうし た 「気になる子」は、筆者が勤めた園だけに限 らず、幼稚園や保育所などに在籍 し、保育 者はその援助や就学について 日々思考を巡 らせていることだろ う。それを裏付 けるように、 「気になる子」の保育に関連する様々な保育雑誌や書籍などが出版 されている。 しか し、「気になる子」とい う言葉の定義は未だ曖味なもので、先行研究や文献等によつ て異なっている。藤井 ら
(2010)は
「『気 になる子 (ども)』 とい う用語は概念的 。操作的 定義が確定 された専門用語ではない。現在のところ、保育者の視点か ら保育に困難 さを感 じる子 どもであ り、その背景に何 らかの障害の存在が疑われ る子 どもを指す漠然 とした用 語である」 と述べ、発達障害の疑いがある子を含めた広義の意味で理解 されているとして いる。また、本郷(2010)は
、「『 気になる子』の理解 を十分にす るためには、家庭の姿 と 保育場面の姿の両方 を知 る必要がある。また、保育場面に限つても、場面や状況による行 動の違いをとらえることが重要 となる」 と述べ、様々な場面や環境によつてその姿が異な ることを示唆 していると言 えよ う。 「気になる子」がこうした広義の意味を内包 した曖味なものである中、守 ら(2013)は
「気になる子 ども」像を関係論から捉えるとい う考え方に立脚 し「保育者の感情の揺 らぎ までも内包 した研究が必要 となるのではないだろ うか」 と述べてい る。 さらに、遠藤 ら(2011)は
、「同 じ行動に対 しても、ある人は困ると訴 え、ある人は問題視す ることな く 接 しているとい うことがよくある」とし「『気になる』とい う訴えか ら子 どもの行動を良く 見てい くと、行動が『 問題』か否かは、子 どもの自身の問題 (心身の症状や障害など)だ
けでなく、子 どもを見る側の受けとめ方によつても異なつて くる」 と述べ、「気になる子」 とい う言葉に曖味 さがある原因には子 どもとかかわる人の認識が関係 している事 を示唆 し ていると言える。保 育 者 と小 学 校 教 員の認 識 の相 違 「気になる子」の捉え方にかかわる人の認識が関係 して相違が現れるのだとすれば、同 じ現場の保育者間や教員間は当然のことなが ら、環境や教育内容が異なる保育者 と小学校 教員 との間ではさらに相違が大きくなることは容易に想像できる。 小林 (2003)は 幼保小の指導者 による子 どもの不適応像に対す る捉 え方の違いに着 目し、 先行研究か ら項 目を挙げてデータ収集を行い、指導者間の類似性 を分析 した。その結果、 幼保小共通の不適応像 として 「どちらでもない行動」「各機関で異なる行動」「あま り当て はま らない行動」「やや当てはまる行動」の
4つ
を抽出 し、幼保小での違いが どこにあるの かを考察 している。また石倉 ら (2011)も幼小の指導者を対象に、先行研究か ら「気にな る子」についての質問項 目を挙げて回答を求めた。そこか ら「対人関係」「多動・衝動」「変 化適応」「注意集 中・不注意」の4つ
の因子を導き出 して寄与率を比較 し、「気になる子」 に対す る気づきの構造の相違 を明 らかに して、比較検討 を行 つている。 これ らの研究か ら、保育者 と小学校教員 との 「気になる子」に対する考えや認識 に相違 が生 じているのは事実であると言え、また、この相違があることが子 どもに影響を与える ことは想像に難 くない。移行期の 「気になる子」へのより良い支援を考える上で、この両 者間の相違 を明確に した上で相互理解す ることが重要であると考えられ る。 特 別 な支 援 を必 要 とする子 どもの移 行 支 援 発達障害の子 どもについて、厚生労働省 は「軽度発達障害の気づきとマニュアル」(2007) で、軽度発達障害の子 どもの特性や姿な どについて触れ、幼小移行期の対処については、 就学前の5歳
児検診や教育相談、幼保小連携等の必要性 を指摘 している。また、文部科学 省 は「障害のある児童生徒等 に対す る早期 か らの一貫 した支援 について」(2013)で
、 具体的に障害事例 を挙 げなが ら、それぞれの就学指導や支援 の在 り方 を提唱 している。 子吉(2010)は
、発達障害児 の就学前か ら学齢期への移行支援 にお ける地域 の専門 職 の支援体制 に焦点 をあてて、その実態 を把握 し、 さらに保護者 が発達障害 について の正 しい情報や知識 。認識 を得 るための専門職者 に よる支援体制 について も調査、検 討 してい る。支援体制 の具体的な内容 として、就学支援 シー トの活用や5歳
児検診 の 実施、幼稚 園・保育所への巡回相談な どを項 目として挙 げ、保健セ ンター と教育委員 会の関係者への質 問紙調査 を行 つた。その結果、それぞれ の現状 を明 らかに し、幼保 小の さらなる連携 が必要である事や、就学前 に十分 な保護者支援 が必要である事 な ど、 継続 した支援 を してい くためには課題があると述べてい る。 また、本杉(2014)は
、特別 な支援 を必要 とす る子 どもの移行支援 の中で 「支援 ツ ール」 と「支援 システム」 に焦点を当て、有効 な支援方法 について考察 してい る。第 一段階 として、幼稚 園 と小学校 を対象 に質 問紙調査 を行 い、取 り組 みの現状や教職 の 意識 な どを調査 し、第二段階 として、特別支援 の対象児 を挙 げ 「支援 ツール」 として就学支援 シー トの活用、「支援 システム」として就学時検診や情報交換会等 の実践事例 を元に対象児の小学校 でのあ らわれ に どのよ うにつながつたかを市 のアプ ローチカ リ キュラムの考 え方 を元に検証 した。その結果「支援 ツール によつて『 情報 のつなが り』 を持たせ、支援 システムによ り『 人のつなが り』 を持 たせ ることが よ りよい幼小連携 へ とつながることが見 えてきた」とした上で 昧目手の支援方法や役割 を理解 した上で、 子 ども達 に どんな段差が生 じるかを考 え、協力 し合 うことが重要」だ と述べてい る。 このように、特別支援を要する子 どもの移行支援の研 究においては、幼保小連携 の必 要性 が言われてきた。就学指導体制 の充実、地域の専門機 関の活用 、個別指導計画の 作成や支援 シー トの活用 な ど、具体的な支援 について研究 され、実践が進 め られてい ると言 える。 しか し、発達障害 の診 断は受 けていないが障害が疑 われ る子 どもや、家 庭状況 な どの背景要因によ り問題行動 を起 こ しやす い子 どもな ど、いわゆる 「気 にな る子」は、就学指導や移行支援 の枠 にの らない場合 も多い。つま り、移行期 に様 々な 困難 が予想 され るにもかかわ らず、「気 になる子」の支援 については十分 な研 究が行 わ れてお らず、支援 も行 き届 いていない可能性 があると言 えよ う。 「気 になる子 」の移 行 期 それでは「気 になる子」の移行期 の現状は どうであろ うか。幼保の保育者が 「気にな る」 と捉えた子が、就学後にも不適応な姿を見せ ることがある。その理由として、小学校 教員が幼児教育の在 り方を問題視 しているとの報告 もなされている。 た とえば、大塚
(2012)は
、小学校教員 を対象にしたアンケー ト調査で 「多 くの教諭が 気になる子 どもへの教育や関わ り方にさまざまな困難 さを抱 えていることや、幼小連携が あま りうまくいっていない と感 じている」 とい う結果を示 している。また、そこか らさら に踏み込んで小学校教員か ら見た幼小連携の実際や改善点を考察 している。かかわ りに困 難 さをかかえていた り連携が うまくいっていない と感 じている理由として、小学校教員が 「幼稚園では自由にさせている」「勝手な行動をする癖がついている」など幼児教育のあり ようを否定的に捉えているとみな しうる回答があつたことに注 目した。「幼児教育の専門性 が小学校教育においては否定的に捉えられて しま うとすれば、幼小連携や、子 どもへの一 貫 した継続的な支援は非常に難 しくなつて しま う」 と述べてお り、捉 え方によつて就学後 の子 どもが 「気になる子」 とな り得 るため、保育者 。小学校教員の専門性や思いをそれぞ れ生かす形での幼小連携のあ りよ うが必要であると示唆 している。 しか し、幼児期に 「気になる」姿が、必ず しも児童期まで続 くとも言いきれず、就学後 「気になる子」ではなくなる場合 もある。 川 田(2009)は
、就学に際 して、幼稚園教諭が 「気になる」 と捉 えていた子 どもの追跡 調査を行い、就学後 に少人数制 とい う環境で過 ごしている子 どもを幼稚園教諭か ら見て概 ね適応状態が良い とい う結果が得 られた と報告 している。 このことか ら、幼保 と小の環境やかかわ り方の差によつて 「気になる子」の姿が変化す ると考えられ る。 このように、保育者や小学校教員の認識やかかわ りが移行期に大きな影響を与える要因 のひ とつ とな り得 ると考えると、移行期に問題が生 じやすいであろ う「気 になる子」に直 接かかわる保育者や小学校教員の役割は非常に重要なのではないだろ うか。だ とすれば、 内容 も環境 も違 う両者が歩み寄 り、連携 を充実 させ ることはもちろんのこと、まずは保育 者 。小学校教員が互いの教育について理解 し合 うことが求められるであろ う。 幼 保 小 連 携 について ではなぜ幼小移行期の支援が重要なのだろうか。幼小の移行期は 「気 になる子」に限 ら ず、発達段階か ら見て、すべての子にとつて大きな節 目の時期であると言 える。「小
1プ
ロ ブ レム」 とい う言葉 にもあるように、子 どもに問題や課題が現れやすい と考えられ、幼保 小連携については先行研究でも多 く取 り上げられてきている。中橋 ら(2011)は
、幼小移 行期の研究で、幼稚園教諭 と小学校教諭 に対 し質問紙調査を行つた。その中で、幼稚園教 育 と小学校教育の段差の内容や移行期についての質問 と同時に、その時期についても触れ てお り、移行の時期 として幼稚園か ら小学校の間と考える教諭が圧倒的に多いことを示 し、 文部科学省 (2010)が提示 した接続期の時期 と一致 していると述べている。これ らのこと か ら、本研究では、幼小移行期 を幼児教育か ら小学校教育への接続期 と捉 えて年長児か ら 小学校1年
生までの期間 と捉えることにす る。 幼保小連携 については、文部科学省 と厚生労働省が共に 「保育所や幼稚園等 と小学校に おける連携事例集」(2009)を
提示 し、保幼小 `保小・幼小連携の事例 を挙げている。幼 児 。児童、教師 。保育士の交流や、課程編成の工夫など具体例が示 されてお り、地域の実 情に応 じて創意工夫 を行い取 り組む よう提唱 している。 さらに、文部科学省 は 「幼児期 の教育 と小学校教育の円滑な接続の在 り方」(2010)の
報告の中で、幼小接続が十分に実施 されていない現状を示 した上で、発達を踏まえた教育 視点の違いを明確に しなが ら、双方の関連性や幼小接続の重要性 について述べてお り、教 育の連続性、一貫性 を重視 し、発達段階に応 じた配慮、またそれを踏まえた様々な援助指 導が必要であるとしている。つま り、教育の環境や内容などに違いはあつても、幼小の双 方がその違いを十分に踏まえて相互理解 した上で子 どもに支援す ることが重要であると言 える。 幼保小連携が重要であると言われている中、その現状について、網野 ら(2012)は
、幼 小連携にかかわる自治体の役害1に着 日し、担当者のグループインタビューを行つた。各地 域の現状か ら、人的要因の重要性や、子 どもの発達に基づいた実践及びカ リキュラムづ く りが求められ ること、保育 。教育 とは何かを教員一人一人が熟考す る必要性があること、 自治体が リーダーシップを取つて積極的な支援 をしてい くことな どが、連携 を持続 していくための課題であると述べている。また、高櫻 ら
(2013)は
、 「小1プ
ロブ レム」 と言わ れ る子 どもの問題行動について触れなが ら「移行期の子 ども一人ひ とりの育ちと学びを支 え、保証す ることを考えることが必要なのである」 と述べている。 さらに、移行する際の 課題 として、幼小の教育方法の違いを挙げ 「幼児期か ら児童期に移行す る上での発達を踏 まえることが重要になる」 としている。 横井(2007)は
、幼保小連携の中の特に情報交換に焦′点を当て、 「幼保・小における情 報交換についての実態 と保育者及び教員の認識調査」を質問紙で行い、ガヽ学校が情報交換 を挟んで就学後新たな教育がスター トしていると考えているのに対 し、幼保は就学後 も教 育が反映され螺旋形の連続 した教育であると捉 えていると双方の考え方の違いを明 らかに している。また、互恵性のある情報交換が望ま しい と述べ、保育者 と小学校教員の相互理 解が重要であることを示唆 している。 以上のような現状か ら、幼保小連携についていまだ課題が多いことはもちろん、教育内 容の違いや保育者及び小学校教員の認識の差によって、子 どもが就学時に不適応な姿を見 せ る可能性が考えられ る。 このような傾 向は 「気になる子」の場合、一層顕著であろ う。 これまで述べて来たことか らもわかるように、保育者 と小学校教員 との間で「気になる子」 についての認識が異なることが予想 され る。 さらに、発達に課題 を抱えているにも関わ ら ず、就学指導や移行支援の枠 に乗 らず十分な支援が行われていない可能性が高いのである。 すべての子 ども達 によ り良い支援 を してい くためには、幼保小連携 による「気 になる子」 への支援についても、今後研究を進めていく必要性があるのではないだろ うか。 本 研 究 の 目的 以上を踏まえ、本研究では 「気 になる子」は 「発達障害の診断は受けていないが、保育 者および小学校教員が 日常生活の中でかかわ りにくさ、指導の しにくさを感 じている子」 と定義する。その上で、幼稚園および保育所の保育者 と小学校教員を対象に、「気になる子」 に対す る捉え方や移行期の連携 による支援についてインタビューを行い、現場の保育者 と 小学校教員の語 りを分析す る。双方が所属す る現場について語つた内容 をそれぞれに構造 化 して比較す ることで、よ り詳細な考察ができるのではないか と考えられ るためである。 各々の構造化 をした上で、まず 「気になる子」の捉え方や現場の支援 にどのような相違が あるのかを明 らかにす る。次に、幼保小連携の在 り方についての認識の相違 を明 らかにし て、幼保小連携による 「気 になる子」への支援の現状 と今後の課題 についても検討するこ とを目的 とする。研究方法
先行研究では、保育 。教育現場で子 どもに直接的にかかわる保育者 と小学校教員を対象 に 「気になる子」の捉え方や連携 による支援に焦′点を当てて認識の相違について語 りを分 析 し、検討 しているものはほとん どない。 大石(2008)は
、「気になる子」にかかわる教師の課題 に着 日し、小 。中 。高の教師を 対象に、「気 になる子」について質問紙調査を行つた。 しか し、その結果か らは「気になる 子 どもたちとのかかわ りにおける教師の意識は見えてこない」 として、教師が感 じている 現場の状況をもう一歩踏み込んで理解す るために、教師の発言を分析する必要性があるこ とを示唆 している。また、美馬(2012)は
保育者が 「気になる子」をどう語 るのかを12
名の幼稚園教諭 に同 じ質問をして、回答をエピソー ドとして挙げ考察 している。その結果、 保育者の 「気になる子」の捉え方 として、研修などの外部か らの情報での 「気になる子」 の理解、もう一つは保育を している上で感覚的な理解が挙げ られ るとしている。幼稚園教 諭 に限定 しても「保育者が抱 く『 気になる』 とい う感覚は多岐に渡 り、 しかも子 どもの生 活に近い ところに保育者の『気になる』 とい う感覚の視′点がある」 とし、子 どもの捉え方 がかかわ り方 (指導や援助)に
影響することを示唆 している。 しか し、この研究では美馬 も課題 として挙げているよ うに幼稚園教諭 にのみ聞いてお り、保育所の保育者や小学校教 員の捉 え方については検討 していない。 「気になる子」の捉 え方 と同様に幼保小連携に関 しての相違を検討す るためにも、それぞれの機関にかかわる保育者や教員の語 りを聞 く必 要があると考えられ る。そこで本研究では、保育所および幼稚園の保育者 と小学校教員の 語 りを対象に分析 を行 う。 調査対象者 公私幼稚園 。保育所の主任および勤務歴5年
以上の年長担任経験のある保育者、小学校1年
生担任経験のある教員 を対象にインタビュー調査を行つた。勤務年数 を5年
以上 とし たのは、5年
も経てば幼保では中堅に入 る段階であ り、小学校教員 も学校勤務経験がある 程度安定 して くる段階であると考えられ るか らである。対象者は Table lの 通 りである。Tablel
対象者 の属性 Info 年 齢 インタビュー 日時 場 所 公幼A(年
長担任)30代
2014年
6ノ月21 日 14.00∼15:00 大学内 院生室 公幼B(主
任)40代
2014年
7´月22日 13:30∼14。40 H tt K市 幼稚園内 私幼A(年
長担任)20代
2014年
5ン月23日 1600∼17:00 G tt S市 幼稚園内 年長保育室 公保A(年
長担任)40代
2014年
7ン月26日 13:30∼14・00 H tt K市 保育所内 年長保育室 公保B(主
任)40代
20144■ 7月 26日 16・00∼1630
H tt K市 保育所内 職員室 私保A(主
任)40代
2014有三5月 23日 13:00∼1340
G tt G市 保育所内 ホール 私保B(年
長担任)20代
2014年
6ン月 10日 1330∼14:30 H tt K市 保 育所 内 応接室 私保C(園
長)60代
2014年
6ン月 10日 1330∼14:30 H tt K市 保育所内 応接室 イヽA(1年
生担任経験者・ 特別支援教育 コーディネーター)40代
2014年
5′月28日 15:00∼16:00 大学内 プ レイル ー ム ガヽB(1年
生担任経験者)40代
2014年
6月 17日 14:50∼1600
大学内 院生室 小C(1年
生担任)40代
2014年
7ン月 30日 13・40∼1440
G tt S市 小学校 内 小D(1年
生担任経験者)30代
2014年
8月 11日 13・10∼1355
G tt G市 公共施設 (研修室) 小E(1年
生担任)20代
2014年
8ン月27日 1350∼14:30 大学 内 プ レイルームインタビュー手続き
2014年
5月か ら8月にかけてインタビュー調査を行なった。依頼書を通 じて研究内容 を説明 した。まず 「気になる子」について 「発達障害の診断は受けていないが、保育者お よび小学校教員が 日常生活の中でかかわ りにくさ、指導の しにくさを感 じている子」 とい う本研究の定義を述べた上で、著者があらか じめ準備 した質問項 目に対 して回答 してもら った。インタビュー内容はTable2の
通 りである。また、語 りの内容は対象者に許可を得 てICレ
コーダーに録音 し、著者 自身がテープ起こしをした。Table2
イ ンタ ビュー 内容 導 入 職務 (担任)経
験・勤務地 な ど 質問項 目 「気になる子」について ① 「気になる子」とい う言葉について ② 「気になる子」の具体的な姿について ③ 「気になる子」への対応について 「幼保小連携」について どんな子 の姿を伝 えたいか or聞 いておきたいか 「気 になる子」に対す る連携 について (現状 。意識 な ど) 「気 になる子」に関 して今後 どんな連携が したいか ① ② ③ 倫理的配慮 配慮 として、インタビューを始めるにあたつて本研究の目的を説明す ると同時に、答え たくない質問に対 しては拒否 しても良いこと、研究 目的のみでのデータ使用および個人特 定 されないよう細心の注意 を払 うことについて説明 し、対象者の了承 を得た。 分析方法 幼保小関係者か ら得たインタビューデータを、グラウンデ ッ ド・セオ リー 。アプローチ(GTA)を
使用 しボ トムア ップ的に分析 した。データ分析の手順は以下の通 りである。 ① 切片化 .デ ータを意味のま とま りごとに断片化 した ② コー ド化 切片化 したデータにコー ド名 を付 けた ③ カテゴリー生成 コー ド化 したデータの中で類似の内容のものでをまとめてカテゴリ ー名 を付けた。なお、カテゴリー化に当たつては、2人
以上の対象者の語 りに基づ く、2つ
以上のコー ドが含まれていることを条件 とした。 さらにそれ らの中か ら共通の意 味内容を持つカテゴリーをまとめて、カテゴリーグループ (以下CG)を
生成 した ④ 仮説およびモデル生成 生成 されたカテゴリーおよびCGか
ら見出された関連性 を考 慮 した上で 「『 気になる子』への理解 と支援」 と「幼保小連携による『気になる子』ヘ の支援 に関す る現状 と課題」について、保育者 と小学校教員の認識 をそれぞれモデル 化 した結果と考察
1 まず 「結果 と考察 1」 では、保育者 と小学校教員の 「気になる子」の捉 え方の違いにつ いて検討する。それぞれの機関において、「気になる子」について どのように理解 し、支援 を行つているか、インタビューに基づきモデル化 した。全体のモデルはP35∼36の
igurel,2で
示す。両モデル の類似′点と相違点か ら、保育者 と小学校教員の 「気になる子」に係 る 認識について議論 を していきたい。 なお、Table3,4に
特に相違が現れたコー ド表を例 として示す。 生 成 され たCGお
よびカテゴリー ※ コー ド名右側に示す数字はコー ド数、()内
の数字は発言 した人数 を表す。 [子どもを見る前提条件] 保育者 ◆小学校教員は、所属な どの様々な立場か ら子 どもを見ていると考えられ る。つ ま り、子 どもを見るための前提条件になるものがあることを表す。CGと
して 【個々の違 い】【「気になる子」の言葉についての認識】【小学校への意識】が生成 された。 【個々の違い】 このCGは
、保育者・小学校教員が個々の違いを持つた上で子 どもを見ることを表す。 カテゴリー として幼保のみで「経験の違い」が生成 され、幼保 。小共通で、「考え方の違い」 が生成 された。 経験の違い 一 幼保4(2)
このカテ ゴリーは、保育者が、子 どもを見る際には経験の違いも影響 していると認識 し ていることを表す。 保育者は、「今までの経験か らすると」(私保Alと
い う語 りか ら、経験によつて発達過 程を考慮 した り、先の見通 しを持って子 どもを見るようになるため、見え方に違いが生 じ ると認識 している。つま り、保育者は年齢による枠組みはあつても入園か ら卒園までを通 して子 どもを見ていると言 える。しか し、「経験のない先生が見てると、ちょつとやつぱ り 見落 としてる」(公幼B)と
い う語 りも間かれた。 美馬(2012)は
、「気になる子」を保育者が どう捉えているかについてのインタビュー 調査の中で 「保育を行つている中で感 じる『 気になる子』であるが、生活の中に困 り感が ある子 どもや全体をみた時に感 じる違和感など、保育者が経験や子 どもとの出会いか ら積 み上げてきた感覚で『 気になる』 とい うことを感 じていた」 と述べてお り、経験の違いも 子 どもを見る際に影響を与えることを示唆 している。 このカテゴリーが保育者のみで生成 された要因として、学級での活動が中心の小学校に 比べ、学級だけではなく様々なかかわ りの場がある幼保では、保育者同士 も担当クラスや 学年を越えてかかわつてお り、経験の違いを感 じる場面が多いことが考えられる。Table3 「気になる子」への理解 と支援 小学校 コー ド表 (例)
Table4「
気になる子」への理解 と支援 幼保 コー ド表 (例) カテゴリー コー ド 発話セグメント 直 接 的 働 き か け 時間的制約 に よ る取 り出 し 'コード5(3)' 個別指導が授業内 に出来ない とい う 実感 (授業のその時間内に出来た りとかつてす るんですか ') 出来ないです [小B] 授業が終わつて休 み時間な どに個別 指導す る も う、ね、可哀想 だけど休み時間ね、一緒にや った りとか。 E/1ヽB] 勉強出来ない子 とか、は、やつば、休み時間残ってやろかとか。 じゃ あ、一緒にやろうかつてい うような話もしますけども。 [小D] 時間内では対応で きない もう、なかなかやっばり時間内には対応 しきれない部分もあるので、 [/JヽE] 休み時間は毎回で はな く授業 の様子 を見て必要 に応 じ て声 をかけて対応 す る や つば りちょつ と、休み時間 とかに、今 日分かった 'っ て聞いた りし なが ら、で も毎時間になるとその子 もいや にな った りす るか ら。 明 ら かに今 日はついてきてなかったなぁと思つた ら、ち ょっ と個別に声か けて言 つてみた り。[小E] 出来ないままで終 わ るのではな く休 み時間に少 しでも や ると子 どもの安 心感 につなが る やつば り出来ひんまんま終わってるので、やっばりその子もね、なん か、まぁいいやってい う感 じではなくて、うん、や っば り心の中にも やもやつていうのがある感 じなので。本当にや っぱ り休み時間全部つ てい うよりは、一間二間、あ、出来てるやん ぐらい言 つてあげると ちょっと安心するかなって思 うので、休み時間にちょっ と声かけて。 [/」ヽE] カテゴリー コー ド 発話セグメント 小 学 校 を 意 識 小学校 に向けた 保育の必要性 小 学校 教員 との懇 談 で就 学後 を さ ら に意識す る よ うに な った ち ょつ と小学校の先生 としゃべったので。余計になんかそ うや って思 いが強 くなっちゃって。 [私幼Al 小 学校側 の意 見 を 保 育 に取 り入れ る 幼稚 園で は こ うい うこ として欲 しい って こ とを よ く言 つて くだ さるの で。 そ の辺 りはあ りがたいな って。[公幼A3 幼 い ころか らして ほ しい つてい うこ とを ものす ご く言 わ れ て 、そ れ を され て る先 生達 もい るか ら、絶対 そ うだ ろ うな って 思 え るの で。 その 辺 は、 はい。意識 しなが ら。[公幼Al 去年 はひたす ら小 学校 の先 生 に、 じゃ あ、幼稚 園で 、小 学校 で必 要 な こ とつて なんです か 'って とにか く聞 い た んで す。 本 当 に幼 稚 園 です るべ き こ とつて何 なんです か'って。[公幼Al 小 学校 を見据 えて 子 どもを見 る そ うや つて小 学校 を見据 えて思 う時 もあれ ば [私幼A3 小学校 に就学後 も 今 の姿で先生に受 け入れ られて もら えるか どうかわか らない 今は、その、小 さな集団の中やか ら、あの、それで もいいか も しれな いんだけ ど。今度地域の学校行つた時に、果た してそれでね。ずっと 行けるのかなってい うと、その、小学校 の先生 も、あの、その、ね。 その子のままでってい うのが・・・。 [公保A3 以上児 は小 学校 を 意 識 してか か わ る 以上児 や と、や つぱ り、小 学校 に向 けて つて い うところが あ るもん で。少 しずつ 、あの∼、 こ う、集 団でお る、場所 、時 間、 をち ょっ と ずつ決 めて、長 引 くつてい う風 で。 [私保Al 就 学 に向 けて どの よ うに支援 してい けばいいか考 える なんか 、イヽ学校 に 向けて つて感 じで大文夫 なのか な つてい う感 じで。 うん、 この後 ど うしてつた らいいんだ ろ うな つて悩 んだ りとか 、 E私 幼幻 10考え方の違い ― 幼保
6(4)
小3(2)
このカテゴリーは、保育者 。小学校教員が、子 どもを見る際、個々の考え方の違いが影 響を与えると考えていることを表す。 考え方の違いに対 しては、「いろいろな見方があって良い と思 うんです よね」(公保A) とい う考えがある一方で、「気になるところが違 う部分 もあつた りとか」(小A)す
ること が子 どもに影響を与えるのではないかとい う認識 も持つている。 美馬(2012)は
、「気になる」 とい う視点が流動的で曖味であると述べた上で、「同 じ年 齢のクラスを担当している保育者同士や同 じ園に所属 している保育者同士で『 気になる』 視点が違 うこともあるだろ う」と考え、「気になる子」をどのよ うに捉 えているかについて 保育者にインタビュー調査 を行つた。その結果、「気になる子」は保育者の主観で見 られて いるとし、保育者の捉え方がそれぞれに違 うことが課題であると示唆 している。 これは、小学校教員にも共通 して言えることではないか と考えられ、保育者 。小学校教 員が子 どもに対 して どのよ うな見方をしているのかが、気になるか どうかに大きく影響 し ているのではないだろ うか。また、その捉え方の違いに関しては、子 どもにかかわる上で 「何をもつて気になるとす るのか担任の力量も間われる」(公幼B)と
い う語 りもあるよう に、子 どもとかかわる人の力量 も要因 とな りえよう。 【「気になる子」の言葉についての認識】 このCGは
、保育者 。小学校教員が現場で 「気になる子」 とい う言葉について どのよう な認識 を持つているのかを表す。カテゴリー として、小学校のみで「『 気になる子』に変わ る言葉」が生成 され、幼保 のみで 「理解 と援助の始ま り」が生成 された。また、幼保・小 共通で 「『気になる子』は多い」「言葉の使用」がそれぞれ生成 された。 「気になる子」に代わる言葉 ― 小のみ5(5)
このカテゴリーは、小学校教員が、「気 になる子」とい う言葉以外の言葉 を使用 している ことを表す。 小学校では、普段の教員間の会話では 「気になる子」を使用す ることもあるが、会議を 行 う際は「配慮の必要な子」や 「支援の必要な子」といつた言葉を使用 した り、「具体的な 姿を挙げて」(小D)職
員間で話 し合われてお り、言葉の使用 を場面に応 じて区別 している。 しか し一方で、「でもまぁ、同 じような意味ですね」(小C)と
い う語 りか ら、言葉は違つ ても 「気になる子」 と同 じよ うな意味であるとい う認識 も持つているよ うである。 無藤 ら(2006)は
、小学校入学直後の適応のための指導について、特別支援教育 コーデ ィネーターを中心 とした学校の協力体制 を整 えることが必要であると示 している。また、 文部科学省(2004)は
、「小 。中学校におけるLD(学
習障害),』
HD(注
意欠陥/多
動 性障害),高機能 自閉症の児童生徒への教育支援体制の整備のためのガイ ドライン(試案)」 ■ ■の中で、学校体制について学年会や校内委員会の活用を勧めてお り、担任が子 どもを見て いて気づいたことがあった場合、学年会で 「学年の子 どもたちの情報交換 と共通理解」を 行い、また校内委員会で 「『 誰が』『 いつ』『 どこで』支援 してい くか といつた、学校体制 と しての方針」を出 し実践す るよ うに提示 している。 これ らのことか ら、小学校では、発達障害ではないが気になる姿がある子への支援を考 えてい く際、「気になる子」のような曖味な言葉ではな く、小学校教員か ら見て気 になる子 の具体的な姿を伝えた り、特別支援の枠組みに組み込む ような形で「配慮の必要な子」「支 援の必要な子」 と言い表 しているのではないだろ うか。 このカテゴリーが小学校のみで生成 された要因 として、幼保では発達障害ではなく「気 になる子」について も職員間で話題 に出す ことが可能な環境であることが考えられ よう。 小学校では、特別支援教育がより色濃 く浮かび上が り、幼保以上に障害のある子への支援 が中心 となるため、使用す る言葉にも違いが現れたのではないだろ うか。 尚、本研究では、「発達障害の診断を受けていない子」を「気になる子」と定義 し、イン タビューを行 つている。しか しなが ら、「気になる子」の中には、当然、診断が降 りてもお か しくはないが保護者の意向で保留 しているケースか ら、発達が少 し遅れているケースま で多様な子 どもが含 まれる。幼保小に限 らず、発達障害の可能性 を予想 しなが ら子 どもを 提 えた り、支援 を考 えてい くことは当然のことだ と言えるだろ う。従つて、これ以降のカ テゴリーも含 め、全般的に特別支援の枠組みを意識 した語 りか ら生成 されたものがい くつ か見出されている。 理解 と援助のはじま リ ー 幼保のみ
8(5)
このカテゴリーは、保育者が 「気になる子」について、気にな りは じめた ところか ら、 その子についての理解 をさらに深めて必要な支援を考えていることを表す。 保育者は、「気になるよねって始めてか ら」(私幼A)「
その子の個性 として認 めつつ も、 やつぱ り気になる子」(公保A)な
どの語 りか ら、日々の子 どもとのかかわ りの中で、気に なると感 じたことか ら始ま り、職員同士の対話の中で気になる姿について話す ようになる。 無藤 ら(2006)は
、幼保では発達面か らの理解が必要であ り「幼児期の基本的な発達の 特徴を踏まえて、その上で、時に『 障害』 と診断 された り、時にそ うでない とわかった り す る、あるいは当面不明であつた りする『気になる子 ども』の理解 をいかに図つてい くか とい うことである」 と述べている。また、厚生労働省(2007)は
、発達障害の早期発見に ついて 「学童期の『気づき』はすでに二次的な不適応の状態であることが少なくありませ ん。 この二次的な不適応を予防す るためには、子 ども達の発達障害への『気づき』を前倒 ししてい くことが不可欠であると考えています」 と提示 している。つま り、幼保では、発 達障害の早期発見も含 め、様々な子 どもの姿を見なが ら、小学校へつなげてい く役割があ ると言えるのではないだろ うか。 さらに、美馬(2012)は
、「気になる子」に関す る保育 12者へのインタビュー調査の中で 「保育者 は『気になる』 とい う言葉を使用 して子 どもの具 体的な様子や状態をお互いに伝 え合 つている」としている。保育者は、「気になる子」とい う言葉 を使用す ることで、より詳 しく観察するようにな り、 さらに必要に応 じて援助につ いても考え、職員間での共通理解 につなげてい くのではないか と考えられ る。 「気になる子」は多い ― 幼保
3(5),小
3(2)
このカテゴリーは、保育者 。小学校教員共に、現場で 「気になる子」は多い と感 じてい ることを表す。 「年々増えている」(私保C)「気になるはた くさん出てくる」(公幼A)「
実際今のクラ スに『気になる子』がたくさんいる」(小C)な
どの語 りか ら、常 日頃か ら子 どもとかかわ る中で、保育者 。小学校教員共に、発達障害の診断を受 けている子以外で 「気になる子」 がいると実感 しているようである。 小林 ら(2013)は
、「気 になる子 ども」について、背景要因にかかわ らず保育者か ら見 て何か気になると感 じる子 どもであるとした上で、「最近では、明 らかな障害のある子 ども と『気になる子 ども』が同 じクラスで生活することが増 えてきている」 と指摘 している。 今回の語 りか らも、幼保・小共に 「気になる子」は多い と実感 していることが窺 える。 言葉の使用 一 幼保3(5)
小4(3)
このカテ ゴリーは、保育者 。小学校教員が 「気になる子」 とい う言葉 をどのよ うに使用 しているかを表す。 「職員内でも『気になる子』つて言 う」(私保A)「普段の何気ない会話'教
員同士の、 放課後の、『 気になる子』の話は」(小C)な
どの語 りか ら、保育者・小学校教員共に 「気 になる子」 とい う言葉を現場でよく使つていることが窺える。 美馬(2012)は
、「気になる子」についてのインタビューの中で 「保育者の中には『 気 になる子』 と『気になる』 を使い分けている方がいたが、意識せずに使用 している方 もい た。保育者 にとつて『気になる』 とい う言葉はそれだけ 日常の言葉であるとい うことであ ろ う」 と述べている。保育 。教育現場で子 どもを見る際、保育者 。小学校教員は、子 ども の姿の具体例 と合わせて 「気になる」 とい う言葉を使用 していることも考えられ る。 今回の語 りか らも、保育・教育現場では 「気になる子」 とい う言葉 を、普段の保育者・ 教員同士のや りとりの中で共通認識す るために使用 していることが見えてきた。 【小学校 を意識】幼保のみ このCGは
、保育者が、小学校のことを意識 しなが ら子 どもを見ていることを表す。カ テゴリー として 「就学への不安」「小学校へ向けた保育の必要性」が生成 された。 13就学への不安 一 幼保
3(2)
このカテゴリーは、保育者が就学後に子 どもがどうなってい くのか不安を感 じているこ とを表す。 保育者は、「学校行 って、授業 とか大丈夫かなって」(公幼 B)「 小学校行つて大丈夫かな とか」(私幼A)な
どの語 りか らも、就学後の子 どもの姿を推測 して不安を持つていること が窺える。無藤 ら(2006)は
、幼保の就学までの準備について、様々な 「気になる子」に 対 して 「就学を目前に した とき、保護者 はもちろん、保育者 も急にさまざまなことが気に な りだす」 と指摘 し、保育者は就学に向けて不安が高まる可能性があることを示唆 してい る。中でも、特に 「気になる子」に対 してはその不安が強 く現れ るのではないだろ うか。 小学校へ向けた保育の必要性 一 幼保6(4)
このカテ ゴリーは、保育者が、就学前は特に小学校へ向けた保育を心がけてい く必要が あると考えていることを表す。 保育者は、「幼稚園ではこうい うことして欲 しいつてことをよく言つてくださるので」(公 幼Al「小学校の先生 としゃべったので。余計になんかそ うやって思いが強 くなっちゃって」 (私幼A)「小学校に向けてつてい うところがある」(私保A)と
い う語 りか らも、小学校 教員か らの要望 も踏まえた上で、小学校へ繋いでいけるような保育をしてい く必要がある と考えていることが窺える。このカテゴリーは幼稚園の保育者か らの語 りが多 く見 られた。 幼稚園教育要領解説は、小学校 との連携 について、幼稚園は小学校以降の生活や学習の 基盤の育成 をしてい くとして 「幼稚園の教師は、小学校の生活や学習を見通 した上で、幼 稚園における教育を行 うことが大切である」 と提示 している。また、保育所保育指針解説 書では、小学校 との連携について前提 とすべきこととして 「遊びや生活の中で積み重ね ら れてきた子 どもの様 々な側面の育ちが、小学校以降の生活や学びの基盤」 となると述べて いる。 さらに 「小学校での生活や学びにつながる保育 とは、これ らを先取 りす るとい うこ とではない」 として 「基礎が培われ るよ う毎 日の生活や遊びを充実 させ ることが大切」で あるとしている。保育の中で培 う子 どもの力が、小学校以降の学びにつながるとい う面で は共通 したことを述べてい ると言えるが、幼稚園の方がより教育を重視 した記述になって いるのではないだろ うか。そのため、幼稚園の保育者の方が小学校 を意識 した保育の必要 性 を語つたのではないか と考えられ る。 これ らのことか ら、保育者は、「気になる子」が少 しでも就学後、安心 して過 ごせ るよう にしたい とい う思いが強 く、就学を控えた年長では特に小学校 を意識 した保育の必要性 を 感 じているのではないだろ うか。 14[気 になる] 様々な子 どもを見 る前提条件がある中で、保育者・小学校教員は子 どもが気になるか気 にならないかを見ている。 ここでは、気になると判断 した子に対 して保育者・小学校教員 が様々な視点を持つてその子を理解 しようとしていることを表す。
CGと
して幼保 。小共 通で 【子 どもの行為 を理解する視′点】【子 どもの背景 として推測す る視′点】が生成 された。 【子 どもの行為を理解する視点】 このCGは
、保育者 。小学校教員が子 どもを見る際に、気になると判断す る視点を表す。 カテゴリー として、小学校のみので 「生活習慣」が生成 され、幼保 。小共通で 「理解力」 「注意力」「集団適応力」「言語力」「コミュニケーションカ」「自己調整力」が生成 された。 理解カ ー 幼保12(5)
小8(5)
このカテゴリーは、保育者・小学校教員が、子 どもを見る際、集団活動の中で、全体ヘ の指示をした時に異なる動きをした り、まつたく動けないな ど、指示理解ができるか どう かを中心 とした理解力に着 目す ることを表す。 保育者 。小学校教員は共に、 と気になる子であると認識す る。 幼保では、「ルールが理解、もうできなくなって くるんです」(公幼 B)「 ルールみたいな のがあ ります よね?約
束や とか。それが、なかなかこう理解できなかった り」(公保B)「ど こまで理解、この子が本当にして動いていたのかなぁ」(公幼A)な
どの語 りか ら、あそび の中でのルールや約束が理解できないことや、本当に理解 して動けていたか どうかなどに 着 日して子 どもを見ているよ うである。また、指示理解 について言及 したのは幼稚園の保 育者がほとん どであった。その要因 として、幼稚園は小学校 と同 じよ うな保育者が指示す る場面が保育所 よりも多い ことが考えられる。つま り幼稚園は教育機 関 とい う立場か ら、 より小学校 を意識 した保育を重視 している傾向があるか らではないだろ うか。そのため、 指示理解ができるか どうかが着 目す る点に挙げられているのであろ う。 小学校教員 も、幼保 と同様 に全体の指示で理解ができるか どうかを見る。しか し、「指示 が通るか通 らないかってい うのは大きい」(小A)と
い う語 りか らも、特に指示理解 につい て重視 している傾向がある。 小林(2003)は
、幼保小の指導者への不適応児の捉 え方に関する質問紙調査の結果か ら 「小学校では、一斉指導を重ん じ、一斉指導に乗 りにくい子 どもは不適応児であると捉え られやすい」 と述べている。小学校は、学級内での授業や活動が中心で主にすす めてい く のは担任一人である。幼保 もほとん どが担任制であ り、保育者一人でクラス運営をしてい く点では共通 していると言 えるが、小学校にはそこに時間 とい う制限が加わる。その影響 は幼保 にはないものではないだろ うか。イヽ学校教員は、時間内に授業 を進 めなければなら ない とい う状況下にあ り、幼保 よりも子 どもの理解力を重要視す ると考えられ る。 15注意カ ー 幼保
8(4)
小5(3)
このカテ ゴリーは、保育者 。小学校教員が子 どもを見る際、落ち着きがなかった り、立 ち歩 くなどの注意力について着 目す ることを表す。 保育者は、保育中に 「今 こっちだよつて呼び戻 さない とってい うよ うな子であつた り」 (公幼A)、「ちょっとお話が聞けなかった りとか。集 中力にかけてた りとか」(私保B)な
どの姿が見 られ ると気になると語つている。また、小学校では授業中に 「立ち歩きをす る 子」(小 C)、 「自分の気になることの方に目がいつて しまった り」(小D)と
言つた姿が気 になると語つている。立ち歩きや どこかへ行つて しま うなどは多動傾向で、集 中力がかけ た り他に目がいつて しま うなどは不注意傾向だと考えられる。 石倉 ら(2011)は
、幼保 の保育者および小学校教員に質問紙調査を行い、その結果か ら 双方の気づきの構造について考察す る中で、共通 して挙げられた因子に「多動 。衝動領域」 「注意集中・不注意領域」があるとしている。 このことからも、幼保・小共に注意力に着 目する傾向があると言える。 また、今回、幼保 。小共に集団場面での姿を語つているが、幼保では一斉活動にかかわ らず一 日の生活や遊びなど様々な場面での姿を想起 してお り、た とえば、感覚過敏や こだ わ りについても言及 している。他方、小学校では授業に参カロできないことを挙げて語つて いる。 これ らの語 りか ら、幼保 。小では、子 どもを見る場面に違いがある可能性が見えて きた。 集団適応カ ー 幼保4(5)
小5(3)
このカテゴリーは、保育者 。小学校教員が、保育者 。小学校教員が子 どもを見る際、集 団活動に参加できるか どうかな ど集団適応力に着 目することを表す。 幼保 。小の語 りは共通 して 「みんなと同 じように動けない」(小 C)、 「集団に入れない」 (私保Alな
ど行事や一斉活動を取 り上げて集団で動 く際に戸惑 う姿が見 られると気にな ると認識 していることが窺 える。また、小学校では 「通常学級だ と。な じめないつてい う か。」(小 A)、 「学校に来づ らい子が、一番」(小B)な
どの語 りか ら、幼保 とは違い小学校 には特別支援学級や通級が設 けられていることか ら、通常学級の中で とい う言葉が出て来 ていると考えられる。 さらに、就学す ると大きな環境の変化が伴 うと考えられ、学校に来 づ らい子 どももいることが予想 される。その理由として、不安か ら母親 と離れ られず、教 室に入れない とい う事例 も挙げられた。 無藤 ら(2006)は
、「気 になる子」の小学校入学直後の適応 について 「小学校に入学す ることは、子 どもにとつて大きな環境の変化 となる。その結果、子 どもの状態 も変化する ことが考え られ る」 と述べている。小学校教員の特に1年
生の担任は、子 どもが入学直後 このような状態に遭遇す ることが多い と考えられ、環境にな じめるか どうかにも着 目しや すいのではないか と考えられ る。 16言語カ ー 幼のみ
5(2)
小7(3)
このカテゴリーは、保育者 。小学校教員が子 どもを見る際、言葉の発音や聞こえ方な ど 言語力に着 目することを表す。 「友達同士のかかわ りで」(小 C)、「音を、意味のまとま りとして捉えることが弱いのか なぁつて」(小 D)、 「トラブルの時であっても、何か聞いた時でも、 うまく言葉で話せな くて」(公幼A)、 「話 し方が、聞き慣れてくると聞き取れるんですけど」(私幼A)な
どの 語 りか ら、保育者や小学校教員は直接子 どもとや りとりする、また子 ども同士のや りとり を見ている中で、発音の遅れや音の聞こえ方などに課題がある子が気になるようである。 幼稚園では、特に発音や音の間こえ方で言語力が気になるとしている。他方、小学校では さらに「本読み しててす ごく気 になってて」「全然字 も書けない」(小B)と
い う語 りか ら、 読み書きす る力に課題があるか どうかも特に着 目す ることが窺える。 幼稚園教育要領の領域 「言葉」の内容には 「したこと、見たこと、聞いたこと、感 じた ことな どを自分な りに言葉で表現す る」とあ り、また領域 「環境」には、「日常生活に必要 な簡単な標識や文字などに関心をもつ」などが示 されている。他方、小学校学習指導要領 の中で特に 「言葉」の領域に対応す ると考えられ る「国語」には 「話す こと 。聞 くこと」 に加 え、「書 くこと」「読む こと」についても日標 と内容が細か く示 されている。つま り、 話 し言葉を中心に書き言葉への発達過程にある幼保 と、教科書を用いた授業が中心であ り、 読み書きをす る小学校 とでは、言語に関す ることに着 目する点は同 じだが、その内容に明 確な違いが現れてお り、気にな り方にも影響 していると考えられ る。 また、幼稚園の保育者か らのみ言語力について言及 された要因 として、幼稚園の保育者 には特に教育機 関であるとい う認識があると考えられ、より小学校を意識 したよ うな視点 を重視する傾向があるのではないか と推察 される。 コミュニケーシ ョンカ ……幼保10(5)
小5(3)
このカテゴリーは、保育者 。小学校教員が、子 どもを見る際、周囲 とのや りとりが適切 にできるか どうかコミュニケーシ ョンカに着 日していることを表す。 「人 とのかかわ り方がやつぱ りうまくいかないってい うか。」(公幼B)、 「お友達 とのコ ミュニケーシ ョンが うまく取れない」(公保B)、「手が出た りとか。」「一人でポツンとして ると。」(小 B)、「トラブルが起きた時もなかなか通 じないってい う子」(小C)な
どの語 り か ら、幼保・小共に、周囲の子 どもとの関係 に言及 していることが多い。人 とのかかわ り が適切にできない と、トラブルになることも多 くなるであろ う。また トラブルになつた時、 思いが相手になかなか通 じなければ、手が出ることもあると予想 され、結果そ うしたこと も一人でポツンとしている要因になるのではないだろ うか。 また、幼保ではこの他 に「同年齢だとちょつと。ついていけないってい うか。」(私幼A) とい う語 りもあることか ら、保育がクラス単位だけではなく他学年 ともかかわる機会が多 17く、就学後 とは違つたかかわ りにも着 日しているのではないか と推察 され る。 さらに、今回のインタビューでは、保育者の方がコミュニケーシ ョンに関す る内容の語 りをした。石倉 ら
(2011)は
、幼保の保育者および小学校教員の子 どもの気づきの構造に 関する質問紙調査か ら、結果 として共通 して対人関係が挙げ られた とし、 さらに保育者の 方が対人関係での気づきが高いことを示唆 している。また、幼保は遊びが中心の保育であ り、保育者は子 ども同士のかかわ りを見る機会が小学校教員 よりも多いことが予想 され る。 これ らのことか ら、小学校教員 よりも保育者の方がよリコミュニケーシ ョンカに着 目す る 傾向があると言 えよ う。 自己調整力 ……幼保19(6)
小5(3)
このカテ ゴリーは、保育者 。小学校教員が、子 どもを見る際、 自己主張や 自己抑制に関 す る自己調整力に着 日していることを表す。 保育者 。小学校教員共に語 りの中で挙げられたのは、言いたいことが言 えない (小 B, 小D)、 「′いにす ごく籠って しま う」(公保B)、 「発散 しきれない」(公幼A)な
ど、 自己主 張が うまくできていない姿や、「自分の言いたいことを言つちや う」(小 E)、 「ダメつて制 止がパニ ックになつて しま う」(私保Alな
ど、自己主張をし過ぎて しまい、発言が我慢で きなかった り思いを押 し通す姿であつた。 小林(2003)は
、幼保・小の指導者へ行 つた不適応児の捉え方についての質問紙調査の 結果か ら、 自己抑制的行動 に関与 した項 目が共通 して不適応 と考えられているとして 「興 味や関心の赴 くまま行動す る子 どもは、 どの所属においても不適応児であると捉 えられや すいことを示 している」 と述べている。今回の語 りか らも、保育者 。小学校教員が共通 し て自己抑制場面を挙げてい ることか ら、小林の調査 と同様の結果が得 られた と考えられ る。 しか し、共通す ることばか りではなく、幼保では 「自己主張 しすぎる」(公幼A)「
一方 的に自分の知つてることをバー ッ!って言ってい く」(公幼B)「自分に対 して返事がもら えるまで、ずつと聞き続ける」(私幼A)「どうしてもわがままが先行 して しま う」(公保 B) な ど、 自己抑制にかかわる語 りをす る保育者が多いことに着 日したい。 鈴木(2004)は
、自己調整機能について 「特に幼児期は自己調整機能が急激に発達す る 時期であるとされている。 この時期になると、認知や言語が 日覚ま しく発達す ることに加 えて、ほとん どの子 どもが保育所や幼稚園に入園 し、 自己調整の必要性が増す時期でもあ る」 と述べ、さらに、就学前の年長児でも個人差はあるが、 自己抑制 と自己主張のバラン スをとることが難 しい時期であると考えられる。そのため、その時期にかかわる保育者は、 特に自己抑制の方により着 目す る傾向があるのではないだろ うか。 さらに、小学校では、「みんなの前で発せ られない」(小 C)、 「自信がないからしゃべれ ないのかなとか」(小D)な
ど、 自己主張にかかわる語 りをす る小学校教員が多いことに も着 目する必要があろ う。 18鈴木 (2003)は 、幼児期に自己調整機能を獲得す ることは大きな課題であるとした上で、 紙芝居などを用いた仮想場面の実験において、 自己抑制 と自己主張の二側面か ら幼児の反 応 を検討 している。その結果、「年長児になると場合によつて 自己主張すべき時 と自己抑制 すべき時があ り、それ らに応 じた行動をしなければならないことが理解できるようになる と考えられ る」 とし、さらにそ うした成長か ら「行動に慎重になつて くるのではないか と 考えられる」 とも述べている。つま り、年長になるにつれて 自己抑制の面が成長 してくる のではないだろ うか。鈴木はさらに 「自己主張は社会的スキルの一部 として重視 されてき た」 と述べている。 自己抑制 と自己主張は表裏の関係 にあるとも考え られ、幼児期に成長 発達 してきた 自己抑制が児童期 にさらに伸びて 自己主張することに影響を与えることが予 想 される。 これ らのことか ら、児童期にかかわる小学校教員は、 自己主張の方により着 目 して子 どもを見るよ うになるのではないか と考えられ る。 生活習慣 ― 小
3(3)
このカテ ゴリーは、小学校教員が、子 どもを見る際、整理整頓や身だ しなみな ど生活習 慣に着 目す ることを表す。 小学校教員は、「学習用具が揃 えにくい とか」(小 B)、 「身のまわ りの整理ができない」 (小E)な
ど、特に整理整頓 を取 り上げて気になる姿を語 ることが多かつた。その要因 と して、一人一つの机 を使用 し、鞄の他に授業で使用する学習道具や教材など、幼保に比べ て個人で扱 う物が多 くなったことで、 さらに自己管理す る力が求められていることが考え られる。 しか し、生活面に特にかかわることが多い と予想 され る幼保の保育者か ら生活習慣につ いての語 りが聞かれなかった。 これは筆者 にとつても意外な結果であつた。なぜ、保育者 から生活習慣 に関連する語 りが聞かれなかったのだろ うか。 無藤 ら(2006)は
、幼児教育は学校の学習教育 とは異な り子 どもの生活の場であると述 べ、「子 どもの遊びは学びなのだ とも言われる。遊びも生活に根があるのである。生活は子 ども 。大人また 日頃の諸々を含みこんだ場で成 り立つ」 と述べている。つま り、保育者は 常に子 どもと生活を共にしなが らも、生活 と遊びは密接に関連 していると考えているので はないだろ うか。また、年長になると園では最年長者にな り、年少児の手助 けをした り、 保育者 と共に園の環境整備 に携わることもあ り、生活習慣についてはある程度の成長 を認 めているのではないか と推察 され る。また、小学校のよ うに個人で道具な どの管理をす る 必要性は多 くな く、そ ういつた環境の違いも影響を与えているのではないだろ うか。 【子 どもの背景 を推察する視点】 このCGは
、保育者 。小学校教員が、子 どもを様々な視点か ら気になると認識 した場合 に、なぜ気になる姿が見 られるのか、その背景について推察することを表す。カテゴリーとして、幼保のみで 「園の環境」「子 ども同士の関係」が生成 され、幼保 。イヽ共通で 「発達 の過程」「家庭環境」が生成 された。 園の環境 ― 幼保のみ
7(5)
このカテ ゴリーは、保育者が、「気になる子」の背景要因として、園の環境に着 目す るこ とを表す。 保育者は、「まだクラスの雰囲気 にな じめてないか ら出てつてるのかな」(私幼A)、 「や つぱ り保育士の言葉がけだ とか、遊びの内容や とか」(公保A)な
ど、日々の保育内容 も含 め、クラス全体の雰囲気な どが、子 どもに与える影響は大きい と考えている。 さらに、カ テゴリー としては上が らなかったが、「様子を見てて、この人達なら大丈夫だつてい うのが あったのかなぁ」(公幼 局 とい う語 りもあつた。保育者 自身 も園の環境の一部であ り、そ のかかわ り方の影響は大きいのではないだろ うか。 また幼稚園 と保育所 を両方経験 している保育者からは、幼稚園より保育所の方がかかわ りで「気になる子」が多い と感 じているとい う語 り(私保A)も
あつた。その要因 として、 幼稚園 と保育所の違いが考 えられる。管轄の違いは言 うまでもなく、保育所保育指針の中 に保育所の 目的が明記 されてお り「保育所は、児童福祉法 (昭和22年
法律第164号
) 第39条
の規定に基づき、保育に欠 ける子 どもの保育を行い、その健全な心身の発達を図 ることを目的 とす る児童福祉施設であ り、入所する子 どもの最善の利益を考慮 し、その福 祉 を積極的に増進す ることに最 もふ さわ しい生活の場でなければならない」 としてお り、 同 じように保育に携わるとはいえ、教育機関であると明言 されている幼稚園 とは 目的が異 なる側面もあるのではないだろ うか。教育 と養護の一体化を図る保育所では、各家庭のニ ーズに合わせ、入所す る年齢や子 どもを預かる時間などが幼稚園 とは異なる。そ うした園 の環境の違いも、「気になる子」の背景要因になると考えられ る。 このカテゴリーが幼保のみで生成 されたことについては、幼保 と小学校での環境の違い が影響 しているのではないだろ うか。ガヽ学校 も各家庭のニーズに合わせて、放課 に学童保 育が行われているが、そこには専門の担当者が配置 されてお り、担任がその時間にかかわ ることはまずない。また、学級単位での授業が主であることか ら、学校の雰囲気や環境に は着 日しづ らいのではないか と考えられ る。 子 ども同士の関係 一 幼保 のみ3(2)
このカテゴリーは、保育者が、「気になる子」の背景要因 として、子 ども同士の関係 に着 目す ることを表す。 保育者は、周囲の子 とのかかわ りにくさを指摘 しなが ら「この子 らの関係性があるか ら やつていけれ るけど」(公幼A)、「周 りの子は、そ うい うのがこう、わかつてて」(公保A) と語つている。無藤 ら