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文学的文章を読む学習指導の研究

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Academic year: 2021

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(1)Title. 文学的文章を読む学習指導の研究. Author(s). 長谷川, 祥子. Citation. 札幌国語教育研究, 27: 1-27. Issue Date. 2016-12. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/8091. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 文学的文章を読む学習指導の研究 長 谷 川 祥 子 一. 「読む」学習指導の問題点 平成28年8月26日、文部科学省から「次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のま. とめについて(報告 )」が示された 。「報告」では「高等学校の国語教育においては、教 材の読み取りが指導の中心になることが多く、国語による主体的な表現等が重視された授 業が十分行われていないこと、話合いや論述などの『話すこと・聞くこと』、『書くこと』 の領域の学習が十分に行われていないこと」等の問題点が指摘された。 さらに、高等学校の国語教育について長年にわたり指摘されている課題の解決を図るた めには 、「科目構成の見直しを含めた検討」が求められているとし、共通必履修科目とし て「現代の国語(仮称 )」「言語文化(仮称 )」、選択科目では「論理国語(仮称 )」「文学 国語(仮称 )」「国語表現(仮称 )」「古典探究(仮称)」を設定する案が報告された。この 科目構成の設定案から、文部科学省は「読むこと」の学習を「論理」と「文学」とに大別 し、それぞれの特質に応じた学習指導を強く要望しているということができる。これまで の高等学校の国語科の授業では論理的文章と文学的文章とを区別しないで、詳細に解釈す る講義型の指導が行われていたことへの警告と理解した。このような問題は中学校国語科 にも同じようにあると指導経験上考えている。 文部科学省の報告と同様のことについて、長崎伸仁はここ十年の「読むこと」の指導法 に関する先行研究を踏まえ、次のように述べている 。「読むこと」の指導過程は基本的に 「三読法の変形だと見て間違いないだろう。」(注1) 続けて、「三読法はなぜ未だに、昭和 初期から途切れることなく日本の国語教育界に浸透しているのだろうか。説得さゆえか、 それともシンプルさゆえか……。そろそろ『新三読法』なるものの登場があってもよさそ うなものである 。」としているが、これは正論である 。「読むこと」の指導が90年近く大 きく変化せず、詳細な読解(という名の説明)の授業を継続したことへの批判と受け取る ことができる。. 二. 研究の目的とその方法 本稿では、 「一」に示したこれまでの中・高等学校の授業を根幹から改善できるような 、. - 1 -. ̶ 1 ̶.

(3) 文章の特質に応じた「読むこと」の学習指導を提案する。特に、詳細な読解に陥りがちな 文学的文章を楽しく読む学習指導の一案を示す。 研究の方法としては、次の3項目を設定する。 第一に、文学的文章の特質を明らかにした上で、指導項目を示す。 第二に、小・中・高等学校の文学的文章教材ごとに、上記の「第一」で明らかにした特 質の表れ方を確認する。 第三に、文学的文章の特質に応じた「読むこと」の学習活動を提案する。. 論理的文章と文学的文章の学習内容. 三 1. 論理的文章と文学的文章の性質の違い. 論理的文章と文学的文章を対照させると、それぞれの性質の違いが明確になる。文章の 種類・単語・文・文章の単位・文体・文章(作品)という項目ごとに表に示す。 項目 文章の種類 単語. 論理的文章 記録、説明、報告、論説. 文学的文章 物語、小説、詩歌等. 概 念 ・ 定 義 の 明 確 な キ ー ワ 日常的な単語のみ ード. 文. 文章の単位 文体. 主語・述語・目的語等で成 実感表現のため、省略、婉 立する正確な構文. 曲等の表現技巧. 段落. 場面. 曖昧さを残さず断定的に記 豊かな余韻を含む否定表現 述する。否定表現を嫌う。. を尊重する。. 目的に応じて「形式」が決 近代以前は物語・詩とも形 まっている。 文章(作品). 式が確立していた。. 論説は「序論・具体的事例 近代以降は形式も個性の表 ・ 考 察 ・ 結 論 」 と い う 構 成 現 と 見 な し て 、定 型 を 嫌 う 。 である。. 2. 論理的文章と文学的文章の学習内容. 前述の「三・1」ように、論理的文章と文学的文章では性質が全く異なるため、文章ご とに学習内容を明確化していくことが必要である。文章を大きく二種類に分けて、学習内 容を整理すると、次の表のようになる。. ̶ 2 ̶. - 2 -.

(4) 学習内容. 教材を「読む」. 文章の感想を「話 文章を「書く」 す・聞く」. 「話す」. 論理的文章. ○(書く手本). ◎. ◎. 文学的文章. ◎. ◎. -. 四. 論理的文章と文学的文章の指導項目 ここでは論理的文章と文学的文章の性質の違いに基づき、「読むこと」の指導項目を文. 章ごとに設定していく。 1. 論理的文章の指導項目. 論理的文章を「読む」学習では「文章構成・段落・キーワード・具体と抽象」を指導す る。自然科学の論文を数多く読むと、その論述にはいくつかの原則が明らかにあることに 気づく。原則として「文章構成・段落・キーワード・具体と抽象」を置くことができるの ではないかと考え、国語科の学習指導へ援用することとした。(注2). 2. 文学的文章の指導項目. 文学的文章(物語・小説)を「読む」学習では「文体・人物像の変化・作品の構成」の 3項目を指導事項として設定することができる。以下、設定する理由を具体例を挙げなが ら述べる。 (1) 文体 文学的文章の特質の一つに文体があり、それは「語り・描写・会話」という3種類から 成り立っている。 ①. 語り. 「語り」とは、伝承物語では物語の内容・情況などを語る文章で、創作童話では事件の 概要・事情のあらましなどを説明する文章のことである。次にグリム童話の「かえるの王 さま、または、鉄のハインリヒ」(注3)の冒頭を示す。(注4) むかし、まだ、ねがいごとがかなったころ、ひとりの王さまがくらしていました。 王さまのおひめさまは、みんなきれいでしたが、とりわけ、一ばん下のおひめさま は、たいそうきれいだったので、ずいぶん、いろいろなものを見てきていたお日さ までさえ、そのおひめさまの顔をてらすたびごとに、おどろくほどでした。 物語の時代や舞台、登場人物が簡潔に語られている 。「一ばん下のおひめさま」の容貌 は「たいそうきれいだった」と語られ、髪や肌の美しさや、瞳の輝き、口元の愛らしさは. - 33 -̶ ̶ .

(5) 説明されていない。口伝えのために不用と思われる装飾の文章が省かれている。 同じくグリム童話の一編である「ヘンゼルとグレーテル」は「大きな森の手まえに、貧 しい木こりが、妻とふたりの子どもと一しょに住んでいました。男の子はヘンゼル、女の 子はグレーテルといいました。木こりは、食べるものもろくにないほどでしたから、ある とき、この国にひどいききんがおきると、日びのパンも、もう、手に入れることができな くなりました 。」(注5) という冒頭である。短い文章に「木こり」という職業や、家族構 成、子どもの名前、「貧しい」生活状況が書かれ、舞台が端的に設定されている。 次に日本の昔話である「かさこじぞう」の冒頭を挙げる。(注6) むかしむかし、あるところに、じいさまとばあさまがありましたと。 たいそうびんぼうで、その日その日をやっとくらしておりました。 「かさこじぞう」も時代や舞台、登場人物を簡潔に示しており、特定の場所や人物を想 定しない語りである。このような語りの文章を読むときは表現の仕方から時代や人物像、 状況を判断する必要がなく、書かれていることをそのまま信用するとよい。 ところで、森鷗外の歴史小説(「 興津弥五右衛門の遺書 」「山椒大夫 」「高瀬舟 」「最後 の一句」等)はその冒頭が昔話の語りの形式に類似している。次に「高瀬舟」の冒頭を示 す。(注7) 高瀬舟は京都の高瀬川を上下する小舟である。徳川時代に京都の罪人が遠島を申 し渡されると、本人の親類が牢屋敷へ呼び出されて、そこでいとまごいをすること を許された。それから罪人は高瀬舟に乗せられて、大阪へ回されることであった。 それを護送するのは、京都町奉行の配下にいる同心で、この同心は罪人の親類のう ちで主だった一人を、大阪まで同船させることを許す慣例であった。これは上へ通 ったことではないが、いわゆる大目に見るのであった、黙許であった。 ここでは高瀬舟や、罪人の護送、同心の役割、親類の同船について、作品に関係する重 要な事柄が短く説明されている。ドイツ文学を熟知していた鷗外が、伝承物語の簡潔な文 体を利用したと考えられる。. ②. 描写. 描写とは、自然の風景や劇的な場面、登場人物の外見や動作などを詳しく絵のように描 いた文章のことである。詩的イメージを描くための文章ともいえる。描写には自然描写、 情景描写、人物描写などがある。 次に、平成27年度版小学校教科書全社に掲載されている「ごんぎつね」と「大造じいさ んとガン」から文章例を示し、考察する。 ̶ 4 ̶. - 4 -.

(6) 「ごんぎつね」は新美南吉が1931(昭和6)年、中学校を卒業した年に書き上げており、 原典は「赤い鳥」1932(昭和7)年1月に掲載された「ごん狐」である。次に「ごんぎつ ね」から情景描写を引用する。(注8) お昼がすぎると、ごんは、村の墓地へ行って、六地蔵さんのかげにかくれていま した。いいお天気で、遠く向こうには、おしろの屋根がわらが光っています。墓地 には、ひがん花が、赤いきれのようにさき続いていました。と、村の方から、カー ン、カーンと、かねが鳴ってきました。そうしきの出る合図です。 ここは、兵十のおっかあの葬式の場面を描写している。光る城の屋根瓦や赤い彼岸花、 カーン、カーンという鐘の音を用いて、秋晴れの葬式の様子を描いている。 椋鳩十は動物を題材にした児童文学を描き続けた作家である。椋作品は人間らしく生き ることの意義を動物に託している物語が多い。作品は語りが中心の文体であるが、山場の 場面で描写が効果的に使われている 。「大造じいさんとガン 」(1941(昭和16)年「少年 倶楽部」初出)ではハヤブサと残雪の闘いに詳細な描写が用いられている。以下にその部 分を示す。(注9) いきなり、敵にぶつかっていきました。そして、あの大きな羽で、力いっぱい相 手をなぐりつけました。 不意を打たれて、さすがのハヤブサも、空中でふらふらとよろめきました。が、 ハヤブサも、さるものです。さっと体勢を整えると、残雪のむな元に飛びこみまし た。 ぱっ ぱっ 羽が、白い花弁のように、すんだ空に飛び散りました。 上記の引用では、残雪が自らの命を省みずに、勇敢に闘い、負傷する様子が「ぱっ/ぱ っ/羽が、白い花弁のように、すんだ空に飛び散りました 。」と表現されている。子ども はこの場面を読むと、英雄のイメージを構築することが多い。 大造じいさんの残雪に対する見方はこの描写をきっかけにして、いまいましい鳥から英 雄へと変化していく 。「大造じいさんとガン」のように、短い描写は子どもにとって理解 しやすい。描写が部分的に使われている椋作品は、描写の読み方を楽しむ入門期にある小 学校高学年に適切な物語といえる。 本格的な描写の例として志賀直哉の作品を挙げる 。「描写の神様」といわれる志賀直哉 を伊藤整は「鋭い観察者であること、またその観察を無駄のない文章に写す点で無類の力 を持っている」(注10)と述べている。 ̶ 5 ̶. - 1 -.

(7) 次に「赤西蠣太」(注11)のクライマックス(山場)を引用する。 やがて時が来た。彼はどきりとした。が、それからは我ながら意外に落ち着いて しまった。彼はまるで附け文をする人のようでなく、 「これを見て下さい」こういって、こわい顔で小江をまともに見ながら、それを 手渡した。 小江は一寸驚いた風だったが、それを受け取って、 「御返事を差し上げる事でございますか?」といった。返事の予想は全くしていな かったが、蠣太は、 「どうぞ」と答えた。 「三十四五だというが、老けて居て四十以上に誰の眼にも見えた」赤西蠣太が 、「大変 美しい腰元」である小江に附け文を渡す緊迫した場面である。実際は数十秒と思われる一 シーンを映像として思い描くことができる。蠣太が「こわい顔で小江をまともに見ながら」 附け文を渡す様子からは、彼の実直さが窺える。また、文を受け取った「小江は一寸驚い た風だった」とあり、その後すかさず返答しているところでは、告白という状況を理解し た上で正面から対応する誠実な女性像が描かれている。人物の行動を鮮明に描写し、役柄 を的確に表した代表例といえるであろう。 このように、描写を読むときは、表現の背後にある人物像や状況を含めて理解する必要 がある。既得の体験や歴史的な社会通念が読者の側に存在することで描写の真意が理解で きる。描写を多く含む文章は数多くの判断を伴いながら読む必要があるために理解が難し い。小・中学生を指導した経験から、幼児や小学低・中学年の児童には描写の細部の理解 は行き届かない。それに対し、語りの文章は理解しやすい。 市毛勝雄は西欧文学を俯瞰した上で、描写を初めて書いたのはゲーテである (注12) と している。18世紀半ばころ、ドイツの貧乏貴族だったゲーテは詩を書き、土地の記録を書 き、岩石や宝石の記録も書く文章マニアで、「目の人」といわれていた。ゲーテはワイマ ールの単調な生活に飽き飽きして、友人と文化の地イタリアに旅行を計画し、その旅行記 録を手紙の形式で書き残すことにした。それが「イタリア紀行」である。以下 、「ティチ アノの絵」を描写した文章を引用する。(注13) ……刺繍や縫箔された金模様で硬ばったミサの豪奢な式服が立派な一人の僧正のか らだをつつんでいる。彼は左手に頑丈な牧杖を握りつつ歓喜の眼差しをもって上空 を眺め、右手には一冊の本をもち、その中から彼は今しも神の御さとしに触れたと ころであるように見える。彼の背後には美しい乙女が椰子の葉を手にして、いじら しくも好奇の表情をもって、開かれた本を覗きこんでいる。(9行略)そしてこれ ̶ 6 ̶. - 6 -.

(8) らすべての上に、そして三重の光円のその上に、天の鳩が中心となり、要石となっ て君臨している。 上記の引用は「ティチアノの絵」の人物一人一人に焦点を当て、詳細に描いたことによ って、読み手が絵そのものをイメージできる。一枚の絵画の情景を目に見えるように、平 面的に描き、その荘厳さを伝えている。. ③. 会話. 会話は物語や小説の内容を説明するだけでなく、人物の性別、年齢、性格等を描いて示 す。会話を読むときは、内容とともに話し方に着目するとよい。作者は会話で登場人物の 性格を描いているからである。 次に「坊っちゃん」(明治39年『ホトトギス』に発表)を引用する。(注14) ひゅうと風を切つて飛んで来た石が、いきなりおれの頬骨へ中ったなと思ったら 、 後ろからも、背中を棒でどやした奴がある。教師の癖に出ている、打て打てという 声がする。教師は二人だ。大きい奴と、小さい奴だ。石を投げろ。という声もする。 おれは、なに生意気な事をぬかすな、田舎者の癖にと、いきなり、傍に居た師範生 の頭を張りつけてやった。石が又ひゅうと来る。今度はおれの五分刈の頭を掠めて 後ろの方へ飛んで行った。山嵐はどうなったか見えない。こうなっちゃ仕方がない。 始めは喧嘩をとめに這入ったんだが、どやされたり、石をなげられたりして、恐れ 入って引き下がるうんでれがんがあるものか。おれを誰だと思うんだ。身長は小さ くっても喧嘩の本場で修業を積んだ兄さんだと無茶苦茶に張り飛ばしたり、張り飛 ばされたりしていると、やがて巡査だ巡査だ逃げろ逃げろという声がした。今迄葛 練りの中で泳いでる様に身動きも出来なかったのが、急に楽になったと思ったら、 敵も味方も一度に引上げて仕舞った。田舎者でも退却は巧妙だ。クロパトキンより 旨い位である。 「坊っちゃん」と生徒との喧嘩の場面である。喧嘩を止めに入った「坊っちゃん」だっ たが、棒が背中に当たったことをきっかけに、自ら参入していく様子が一段落で描かれて いる。「なに生意気な事をぬかすな、田舎者の癖に」は会話で、「おれを誰だと思うんだ。 身長は小さくっても喧嘩の本場で修業を積んだ兄さんだ」は独り言である。会話や行動描 写、独り言を織り交ぜることで、喧嘩の混乱状況を表している。「田舎者の癖に」という 一言には「坊っちゃん」の四国の人々に対する偏見や、短気で向こう見ずな江戸っ子気質 が示され、ユーモラスな表現になっている。このような文章の理解は児童には困難である。 「吉四六話」は大分県に伝わるとんち話として知られている。「野津市の吉四六さん」 ̶ 7 ̶. - 7 -.

(9) について (注15)、阿部蔀は次のように述べている。 ……実在の人物で本名は「広田吉右衛門」という人であり、ユーモアと奇行を以っ て知られ、彼が逝いてすでに二百五十年を経過した今日でも、尚彼によってのこさ れた幾多の逸話が、後世への遺産として語りつがれていることが明らかになったの であります。 「吉四六話」から「柿の番」(注16)を例にして、会話の中の言葉のズレを見ていく。 「吉四六よ、家の柿は今年が初なりだ。もっとよくうれるまで、ならしておきた いもんだが、今日はあいにく家中のものが、留守をするからよう気をつけて見ちょ れや」というと、吉四六はいさぎよく「はいはい」とうけあいました。(中略) 「お前はいつからそこに、そうしておったのか」と聞くと、吉四六さんは如何に も得意そうに 「お父さんが気をつけて見ちょれと言うたけん、一日中よーく見とったんじゃ」 「見とったのはよいが、うれたあの柿は一つもないが、こりゃ一体どういうこと か」 とふきげんに問いますと、吉四六は「村の若い者たちが、いれかわり、たちかわ りやって来て、するすると木に登り、みんなちぎっていったんだ。そりゃわしがよ ぅく見ていたんでまちがいはなかったで」と. 知らん顔して答えたので、お父さん. も一言の文句も云えず苦が笑いをするより外に仕方がありませんでした。 父は初なりの柿を他人にあげるのが惜しい、けちな人物として描かれている。息子であ る吉四六に「気をつけて見ちょれや」と言いつけ、出かける。その間に吉四六は村の若い 者たちを呼び、柿を分け与える。帰って来て、柿が採られていることを問い質す父に「よ ーく見とったんじゃ」と言う。 この話は「見ちょれ」という言葉の概念のズレに、そのおもしろさがある。父が「柿を 盗まれないように、見張っておく」という意味で「見ちょれ」を使っている。この意味を 吉四六は十分に理解していながら、「見ちょれ」を意図的に「様子を見守る」という解釈 に取り違えている。言葉を上手く利用し、弱者である村の若い者にごちそうを振る舞って いる。子どもが喜んで、会話のおもしろさを考えることのできる昔話である。. (2). 作品の構成. 物語や小説をいくつかの場面に区切り、呼び名をつける。その区切った場面ごとに授業 をまとめていく。この指導によって児童生徒は物語や小説の構成に気づくことができる。 指導経験上、5~6場面に区切って示す方法が効果的であった。 ̶ 8 ̶. - 8 -.

(10) 次に、小・中・高等学校の文学的文章教材の場面の区切り方、呼び名 (注17) を示す。 【小学校】 ①. ②. ③. ④. ⑤. 「かさこじぞう」(岩崎京子、2年) 第1場面. じいさまとばあさまはたいそう貧乏だった。. 第2場面. すげがさを売りに行く。. 第3場面. じぞうさまにかさと手ぬぐいをかぶせる。. 第4場面. もちつきのまねごとをする。. 第5場面. じぞうさまがもちなどを置いていく。. 「スイミー」(レオ=レオニ、2年) 第1場面. 魚の兄弟たちが楽しく暮らしていた。. 第2場面. スイミーは一匹だけ逃げた。. 第3場面. スイミーは元気を取り戻した。. 第4場面. スイミーはみんなに教えた。. 第5場面. みんなで大きな魚を追い出した。. 「モチモチの木」(斎藤隆介、3年) 第1場面. 臆病な豆太. 第2場面. もちができるモチモチの木の実. 第3場面. 霜月二十日の丑三に、灯がともるモチモチの木. 第4場面. じさまのために医者様を呼びに行く豆太. 第5場面. 勇気ある子ども. 「おにたのぼうし」(あまんきみこ、3年) 第1場面. おにたは節分の夜に物置小屋を出て行く。. 第2場面. おにたは女の子の家に入る。. 第3場面. 男の子が節分のごちそうをさし出す。. 第4場面. 急におにたがいなくなる。. 第5場面. 女の子が豆まきをする。. 「ごんぎつね」(新美南吉、4年) 第1場面. ごんのいたずら. 第2場面. ごんの後悔. 第3場面. ごんのつぐない. 第4場面. 神様のしわざ. 第5場面. 撃たれるごん ̶ 9 ̶. - 9 -.

(11) ⑥. 「大造じいさんとガン」(椋鳩十、5年) 第1場面. ウナギつりばり作戦. 第2場面. タニシばらまき作戦. 第3場面. おとり作戦の準備. 第4場面. おとり作戦・戦闘. 第5場面. 別れ. 【中学校】 ①. ②. ③. ④. 「少年の日の思い出」(ヘルマン=ヘッセ、1年) 第1場面. 思い出を語る客. 第2場面. ちょう集めのとりこになる僕. 第3場面. クジャクヤママユをさなぎからかえしたエーミール. 第4場面. クジャクヤママユを盗んだ僕. 第5場面. ちょうをつぶす僕. 「走れメロス」(太宰治、2年) 第1場面. 激怒するメロス. 第2場面. 王との約束. 第3場面. 妹の結婚式. 第4場面. 様々な障害. 第5場面. 再び走るメロス. 「故郷」(魯迅、3年) 第1場面. 帰郷. 第2場面. 三十年前のルントウ. 第3場面. ヤンおばさんの現在と昔. 第4場面. 現実のルントウ. 第5場面. 引っ越しによる離郷. 「最後の一句」(森鷗外、3年) 第1場面. 太郎兵衛入牢後の家族の様子. 第2場面. 太郎兵衛が死罪となった経緯. 第3場面. 命乞いの願書を奉行に差し出すいち. 第4場面. いちの願書受理の相談. 第5場面. いちの申し立て. 第6場面. 追放の刑となった太郎兵衛 ̶  10 ̶. - 10 -.

(12) 【高等学校】 ①. 「羅生門」(芥川龍之介、「国語総合」). ②. (3). 第1場面. 羅生門の下の下人. 第2場面. 死骸と老婆. 第3場面. 老婆との会話. 第4場面. 勇気が生まれた. 第5場面. 盗人になった. 第6場面. 下人の行方は. 「清兵衛と瓢簞」(志賀直哉、「国語総合」「現代文A」) 第1場面. 小説の説明(語り). 第2場面. 瓢簞に熱中する清兵衛. 第3場面. 清兵衛と大人の瓢簞の見方の違い. 第4場面. 新しい瓢簞との出会い. 第5場面. 大切な瓢簞を失う清兵衛. 第6場面. 取り上げられた瓢簞の行方. 第7場面. 現在の清兵衛(語り). 人物像の変化. 小説で主人公の人物像は作品の冒頭部と終末部で変化する。主人公は山場で変化し、そ の変化の過程に小説の主題が表現されている。 次に、小・中・高等学校の文学的文章教材の人物像の変化 (注17)を示す。 【小学校】 ①. 「かさこじぞう」(岩崎京子、2年) じいさまとばあさまの初めの様子 ↓きっかけ. 「たいそうびんぼう」. じぞうに売り物のかさをかぶせる. じいさまとばあさまの終わりの様子「よい正月をむかえる」 ②. 「スイミー」(レオ=レオニ、2年) スイミーの初めの様子 ↓きっかけ. 「ひとりぼっち」. 仲間に二つ約束を守らせた. スイミーの終わりの様子「仲間と楽しく暮らす」 ③. 「モチモチの木」(斎藤隆介、3年) 豆太の初めの様子. 「臆病」 ̶  11 ̶. - 11 -.

(13) ↓きっかけ. じさまのために一人で夜道、医者を呼びに行く. 豆太の終わりの様子「勇気のある子ども」 ④. 「おにたのぼうし」(あまんきみこ、3年) おにたの初めの様子 ↓きっかけ. 「気のいいおに」. 女の子にごちそうし、豆まきの黒い豆を残す. おにたの終わりの様子「神様」 ⑤. 「ごんぎつね」(新美南吉、4年) ごんの初めの様子 ↓きっかけ. 「いたずらばかり」. 兵十のおっかあの死. ごんの終わりの様子「つぎないをするごん」 ⑥. 「大造じいさんとガン」(椋鳩十、5年) 残雪の初めの様子 ↓きっかけ. 「いまいましい」. 残雪とハヤブサとの闘い. 残雪の終わりの様子「ガンの英雄」 【中学校】 ①. 「少年の日の思い出」(ヘルマン=ヘッセ、1年) 僕の初めの様子 ↓きっかけ. 「ちょう集めに夢中」 一度起きたことは償いができないと悟る. 僕の終わりの様子 ②. 「ちょうを粉々に押しつぶす」. 「走れメロス」(太宰治、2年) メロスの初めの様子 ↓きっかけ. 「単純な男」. 疲労回復(睡眠・水分補給). メロスの終わりの様子「勇者」 ③. 「故郷」(魯迅、3年) ルントウの初めの様子. 「小英雄、艶のいい丸顔、小さな毛織りの帽子、き らきら光る銀の首輪」. ↓きっかけ. 子だくさん、凶作、重い税金、兵隊、匪賊、役人、地主. ルントウの終わりの様子「でくのぼうみたいな人間」 【高等学校】 ①. 「羅生門」(芥川龍之介、「国語総合」) 下人の初めの様子 ↓きっかけ. 「盗人になる勇気が出ない」. 生きるための悪は許されるという老婆の論理を聞く ̶  12 ̶. - 12 -.

(14) 下人の終わりの様子「引剥をする」 ②. 「清兵衛と瓢簞」(志賀直哉、「国語総合」「現代文A」) 瓢簞の初めの様子 ↓きっかけ. 「普通な形をした 瓢簞」. 清兵衛は芸術の本質を的確に見抜く. 瓢簞の終わりの様子「豪家に六百円で売りつけた瓢簞」. 五. 文学的文章の授業とその指導計画 1. 文学的文章教材の学習指導. 現代の豊富な電子媒体の中で生活している児童生徒にとって、文学的文章教材の大切な 読み方教育は次の3項目である。 ①. 人物像の変化とその原因を理解する。. ②. 描写を読む楽しみを知る。. ③. 作品の感想を話し合う。. 2. 指導計画 一つの文学的文章教材の指導計画は4時間扱いとし、次のように想定するのが適当で. ある。 第1時. 場面に区切り、呼び名をつける。. 第2時. 前半部の課題を考え、話し合う。. 第3時. 後半部の課題や人物像の変化等について、話し合う。. 第4時. 全体を通読して、作品全体の感想を話し合う。. このように簡潔に授業を組み立てると、児童生徒は身につけた学習内容を他の文学作品 を読むときにも応用でき、読書への意欲も増す学習を構成できる。登場人物の心情を詳し く答えさせたり、語句の意味を正確に追求したりする学習はストーリーの興味や学習意欲 を失わせるから、やめた方がよい。 以下 、「スイミー 」(小学2年 )、「故郷 」(中学3年 )、「最後の一句 」(中学3年 )、「清 兵衛と瓢簞 」(高等学校1年)の4教材について、4時間扱いの学習活動を示していく。. 六. 「スイミー」(小学2年)の学習活動 「スイミー」は1969(昭和44)年に好学社から発刊された。作者であるレオ=レオニは. 1910年オランダのアムステルダムに生まれた、アメリカの絵本作家である。作品には「フ レデリック」「ひとあしひとあし」「せかいいちおおきなうち」等がある。 ̶  13 ̶. - 1 -.

(15) 1. 文体. 「スイミー」は語りの文章を中心に展開する創作物語である。次に作品の冒頭を引用す る。(注18) 広い海のどこかに、小さな魚のきょうだいたちが、たのしくくらしていた。 みんな赤いのに、一ぴきだけは、からす貝よりもまっくろ。およぐのは、だれよ りもはやかった。 名前はスイミー。 「スイミー」は簡潔な語りから始まる。「広い海のどこか」で、小さな魚の兄弟たちが 楽しく暮らしているという舞台設定である。主人公であるスイミーは「まっくろ」で、泳 ぐのが速いと、特徴が端的に示されている。このような語りは伝承物語の冒頭と類似して いる。 物語の前半でスイミーは兄弟たちを鮪に食べられてしまい、ひとりぼっちになる。スイ ミーの孤独を慰めたものは海の美しい生き物たちである。次に挙げる場面は海の中の情景 を色鮮やかに描写している。 にじ色のゼリーのようなくらげ。 水中ブルドーザーみたいないせえび。 見たこともない魚たち。見えない糸でひっぱられている。 ドロップみたいな岩から生えている、こんぶやわかめの林。 うなぎ。かおを見るころには、しっぽをわすれているほど長い。 そして、風にゆれるもも色のやしの木みたいないそぎんちゃく。 海の生き物である「 くらげ・いせえび・魚・こんぶやわかめ・うなぎ・いそぎんちゃく 」 を列挙している 。「……のような・……みたいな」という比喩を多用し、色彩豊かな海の イメージを形成している。. 2. 「スイミー」の変化. この作品にはスイミーが一人取り残された状況から立ち直り、仲間と協力して敵を追い 出すという様子が描かれ、そこに主人公の成長が顕著に表れている。. 3. ハッピーエンドの構成. 「スイミー」の終末を引用する。 スイミーは、かんがえた。いろいろかんがえた。うんとかんがえた。 それから、とつぜん、スイミーはさけんだ。 ̶  14 ̶. - 14 -.

(16) 「そうだ。みんないっしょにおよぐんだ。海でいちばん大きな魚のふりをして。」 スイミーは教えた。けっして、はなればなれにならないこと。みんな、もちばを まもること。 みんなが、一ぴきの大きな魚みたいにおよげるようになったとき、スイミーは言 った。 「ぼくが、目になろう。」 あさのつめたい水の中を、ひるのかがやく光の中を、みんなはおよぎ、大きな魚 をおい出した。 スイミーが知恵を振り絞って考え出した「いちばん大きな魚のふり」をする作戦を遂行 する。そのときの約束が「けっして、はなればなれにならないこと」と 、「もちばをまも ること」である。一匹だけ真っ黒であるため、特異な存在であったスイミーは重大な役割 を担う。これらの知恵が大きな魚を追い出す結果となる。子どもは約束の価値を知り、ス イミーは英雄として子どもに印象づけられることになろう。 「スイミー」は簡潔な文体で、人物像が明確に変容し、伝承物語と類似したハッピーエ ンドの構成をもつ作品である。主人公「スイミー」は知恵と勇気によって困難な課題を克 服していくという特徴を具体的に教える発問等を以下に示す。. 4. 指導計画. 全4時間は次のとおりである。. 5. 第1時. 一斉音読を繰り返し行い、内容のあらましをつかむ。. 第2時. 物語前半部のいくつかの課題を考え、話し合う。. 第3時. 物語後半部のいくつかの課題を考え、話し合う。. 第4時. 全体を一斉音読して、物語の感想を話し合う。. 実際の授業展開. 主な学習活動をセリフによって示していく 。(以下 、「故郷 」「最後の一句 」「清兵衛と 瓢簞」も同様にセリフで示す 。)教師のセリフが発問・指示・説明による指導の効果を左 右するからである。つまり、発問・指示・説明をセリフで表記すると、その効果が安定す るのである。丸括弧内は学習内容である。 教材文は平成27年度版光村図書『こくご. 二上』からである。. 【第1時】 1. レオ=レオニが書いた「スイミー」を学習します。(学習内容の理解) ̶  15 ̶. - 1 -.

(17) 2. 「スイミー」を先生が読みます。教科書を見ながら、よく聞きましょう。(範読). 3. 区切って読む練習をします。1場面をそろえて読みなさい。「広い海の……」ハイ。 (一斉音読). 4. 2場面をそろえて読みなさい。「ある日、おそろしい……」ハイ。(一斉音読). 5. 3場面は少し長いです。ここもそろえて読みなさい。「スイミーはおよいだ、……」 ハイ。(一斉音読). 6. 4場面も少し長いです。「そのとき、いわかげに……」ハイ。(一斉音読). 7. 5場面を読みなさい。「みんなが、一ぴきの……」ハイ。(一斉音読). 8. 今度は全体を通して読みなさい。「広い海の……」ハイ。(一斉音読). 9. この物語はだれが出てきましたか。(登場人物の確認). 10. この物語は海の中で何が起こった話ですか。(あらすじ). 11. この時間は物語のあらましが分かりました。(学習の意義). 12. 次の時間は物語の前半を詳しく読みます。(次時の予告). 【第2時】 1. 前の時間で物語のだいたいが分かりました。この時間は物語を五つの場面に分け、名 前をつけます。(学習内容の理解). 2. 1場面をそろえて読みなさい。「広い海の……」ハイ。(一斉音読). 3. 1場面は「魚の兄弟たちが楽しく暮らしていた」と名前をつけます。(物語の構成). 4. 2場面をそろえて読みなさい。「ある日、おそろしい……」ハイ。(一斉音読). 5. 2場面に名前をつけます。どのような名前がいいですか。(物語の構成). 6. 3場面をそろえて読みなさい。「スイミーはおよいだ、……」ハイ 。(一斉音読). 7. 3場面の名前は何がいいですか。(物語の構成). 8. 4場面をそろえて読みなさい。「そのとき、いわかげに……」ハイ 。(一斉音読). 9. 4場面の名前は何がいいですか。(物語の構成). 10. 5場面を読みなさい 。「みんなが、一ぴきの……」ハイ。5場面は「みんなで大きな. 魚を追い出した」とします。(一斉音読・物語の構成) 11. 物語の初めでスイミーたちはどのような様子でしたか。(人物像). 12. スイミーは小さな魚の兄弟たちと違う点が二つありました。それはどのようなことで すか。(人物像). 13. スイミーたちはずっと楽しく暮らしましたか。(語り). 14. 恐ろしい敵の様子を描いたところに線を引きなさい。(人物描写). 15. ひとりぼっちのスイミーの心の様子が書いてあるところに線を引きなさい 。(心理的 ̶  16 ̶. - 16 -.

(18) 表現) 16. スイミーが見た海の中は美しく描かれています。スイミーが見た順に言いなさい 。 (情 景描写). 17. 物語の前半を詳しく学習しました。(学習の意義). 18. 次の時間は物語の後半を読みます。(次時の予告). 【第3時】 1. この時間は物語の後半を詳しく読んでいきます。(学習内容の理解). 2. 声をそろえて読みなさい。「広い海の……」ハイ。(一斉音読). 3. スイミーは仲間をつくることが上手です。そのことが分かるところに線を引きなさい 。 (会話). 4. スイミーが遊ぼうと言ったのに、小さな赤い魚たちは、なぜ「だめだよ」と言いまし たか。(会話). 5. スイミーは赤い魚たちに「だめだよ」と言われ、遊ぶことを諦めましたか 。(会話). 6. スイミーが考えついたいい方法は何ですか。(会話). 7. 大きな魚のふりをするために、どのような約束をしましたか。(語り). 8. スイミーが黒かったからできたことがあります。それは何ですか 。(人物描写). 9. スイミーたちは大きな魚を追い出すことができました。スイミーは物語の初めから強 かったですか。(人物像). 10. スイミーの変化についてまとめましょう。(人物像の変化). 11. 全文を読みます。「広い海の……」ハイ。(一斉音読). 12. この時間は物語の後半を学習しました。(学習の意義). 13. 次の時間は物語の感想を発表します。(次時の予告). 【第4時】 1. この時間は「スイミー」の感想を発表します。(学習内容の理解). 2. 全文をそろえて読みなさい。「広い海の……」ハイ。(一斉音読). 3. 感想を発表します。自分が感じたことをノートに書きなさい。(感想の記述). 4. 座っている順に感想を発表します。Aさんからどうぞ。(感想の発表). 5. 楽しく「スイミー」を読むことができましたね。これで「スイミー」の学習を終わり ます。(学習の意義). 七. 「故郷」(中学3年)の学習活動 翻訳小説である「故郷」は1921年に『新青年』に発表された。魯迅自身を思わせる「私」 ̶  17 ̶. - 17 -.

(19) は二十年ぶりに故郷を訪れる 。「私」を語り手とし、私小説風の手法で描かれている。魯 迅も1919年の末に帰郷し、一家をあげて北京へ移住している。その体験がこの作品の題材 になっていよう。竹内好は「過去と現在、自と他、願望と挫折などが主人公『私』の行動 において統一され、破綻のない、未来性をもった作品世界が構築されている魯迅の代表作 の一つ」(注19)と述べている。 しかしながら、 「 私」の離郷を題材としてはいるが、この小説の中心人物は「ルントウ」 である。 「私」は報告者の役割で、これは西欧近代小説の定型(ツルゲーネフ等)である。 ルントウの変化は三十年前と現在とが比較され、人物描写と会話を用いることで劇的に描 かれている。 1. 指導計画. 全4時間は次のとおりである。. 2. 第1時. 前半部のいくつかの課題を考え、話し合う。. 第2時. 後半部のいくつかの課題を考え、話し合う。. 第3時. 作品のあらましや、人物像の変化について話し合う。. 第4時. 全体を通読して、気に入った場面とその理由を話し合う。. 実際の授業展開. 教材文は平成28年度版光村図書『国語3』からである。 【第1時】 1. 魯迅が書いた小説「故郷」を学習します。(学習内容の理解). 2. 先生が読みます 。「厳しい寒さの中を、……今に来るかもしれない 。』」読めない漢字 がありましたか。(範読). 3. 声をそろえて読みなさい。「厳しい寒さの中を、……」ハイ。(一斉音読). 4. 「……今に来るかもしれない 。』」の下に「第1場面」と書きなさい 。(小説の構成). 5. 「私」は何をするために、二十年ぶりに故郷へ帰りましたか。(語り). 6. 故郷は、帰郷した「私」を歓迎しましたか。(語り). 7. 二十年の年月で故郷が大きく変わり、この小説の結末を暗示している表現があります。 四角い枠で囲みなさい。枠の下に「情景描写」と書きなさい。(情景描写). 8. 侘びしく活気がない家の様子が分かる表現はどこですか。四角い枠で囲みなさい。 (情 景描写). 9. 「この古い家が持ち主を変えるほかなかった理由を説き明かし顔である」とあります が、この文章の役割は次の三つの選択肢のうち、どれが最も適当ですか 。(情景描写) ̶  18 ̶. - 1 -.

(20) 10. A. 手入れをしていない家の状態を示している。. B. 家を他人に売るほど経済的に困窮している。. C. 家族が離散し、老人だけが残っている。. これからはみなさんだけで読みます 。「このとき突然、私の脳裏に……」ハイ 。(一. 斉音読) 11. 今読んだ文章の最後の「……顔を合わす機会はなかった。」の下に「第2場面」と書. きなさい。(小説の構成) 12. 十一、十二歳の少年だったルントウの外側からの様子がよく分かる表現を探し、四角 い枠で囲みなさい。枠の下に「人物描写」と書きなさい。(人物描写). 13. ルントウは「私」の知らない世界をいくつも知っていました。その世界を短い言葉で ノートに書きなさい。(情景描写). 14. 海辺が自由で楽しい世界であるなら、それと対照的に描かれている世界を言いなさい 。 (情景描写). 15. 第1・2場面を読みなさい。(一斉音読). 17. この時間は小説の前半を学習しました。(学習の意義). 18. 次の時間は小説の後半を学習します。(次時の予告). 【第2時】 1. 小説の後半を学習します。(学習内容の理解). 2. 第3場面を読みましょう。「今、母の口から……四、五日潰れた 。」(一斉音読). 3. 「……四、五日潰れた。」の下に第3場面と書きなさい。(小説の構成). 4. ヤンおばさんの昔の様子が書いてある表現を四角い枠で囲みなさい(心理的表現). 5. ヤンおばさんの今の様子と、その行動とが書いてある表現をそれぞれ四角い枠で囲み なさい。(人物描写). 6. ヤンおばさんは「私」をどのような言い方で表していますか。(会話). 7. ヤンおばさんの言い方に表れているのは次のどれですか。(会話) A. 貧乏人のひがみ. B. 尊敬の気持ち. C. 身分違いの悲しみ. 8. 第4場面を読みなさい。 「ある寒い日の午後、……連れて帰っていった。」 (一斉音読). 9. 「……連れて帰っていった。」の下に第4場面と書きなさい 。(小説の構成). 5. ルントウの今の様子について外側から描いた表現を探し 、四角い枠で囲みなさい 。 (人 物描写). 6. ルントウが生活に苦しんでいる様子が書かれた表現があります。四角い枠で囲みなさ い。(会話・人物描写) ̶  19 ̶. - 19 -.

(21) 7. 「私」がルントウの変化に気づき、愕然としている様子が分かる表現を囲みなさい。 (心理的表現). 8. 第5場面をみなさんで読みます。 「それからまた九日して、……それが道になるのだ 。」 (一斉音読). 9. 「……それが道になるのだ。」の下に第5場面と書きなさい 。(小説の構成). 10. 第3~5場面をそろえて読みなさい。(一斉音読). 11. この時間は小説の後半を学習しました。(学習の意義). 12. 次の時間は作品全体を考えます。(次時の予告). 【第3時】 1. この時間は作品全体を考えます。(学習内容の理解). 2. 全文をそろえて読みなさい。「厳しい寒さの中を、……」ハイ。(一斉音読). 3. 各場面に名前をつけます。第1場面と第5場面は難しいので、先生が「帰郷」と「引 っ越しによる離郷」と名前をつけました。(小説の構成). 4. 第2~4場面の名前をグループごとに話し合って黒板に書きに来なさい。よい答えを ノートに書きなさい。(小説の構成). 5. 登場人物を出てきた順にノートに書きなさい。呼び方に違いがあるときは括弧の中に 書きなさい。(登場人物の確認). 6. ルントウの昔と今の様子をノートに書きます。①外見、②「私」の呼び方、③ルント ウへの名づけ、④贈り物の4点について書きなさい。(人物像の変化). 7. ルントウが変化した理由を文章から探し、ノートに書きなさい 。(変化の理由). 8. この時間は場面に名前をつけ、登場人物であるルントウの変化について学習しました 。 (学習の意義). 9. 次の時間は「故郷」の感想を発表します。(次時の予告). 【第4時】 1. この時間は「故郷」の感想を発表します。(学習内容の理解). 2. 全文をそろえて読みなさい。(一斉音読). 3. 「故郷」を学習して、気に入った場面とその理由を話し合いなさい。Aさんから席順 に、一人30秒くらいでいいから、聞かせてください。どうぞ。(感想の話し合い). 4. (全員が感想を述べ終わったところで)みなさんがいろいろな感想を持っていること が分かって、とても興味深かったですね。これで「故郷」の学習を終わります 。(学習 の意義). ̶  20 ̶. - 20 -.

(22) 八. 「最後の一句」(中学3年)の学習活動 乃木大将が殉死した後、鷗外は「興津弥五右衛門の遺書」を書き上げ、この作品が歴史. 小説を書くきっかけになったといわれている。1915(大正4)年に『中央公論』に発表さ れた「最後の一句」は「山椒大夫」「高瀬舟」とともに歴史小説に位置づけられる。 「最後の一句」の主人公「いち」は父の命を救うために自分の命を差し出そうとする。 現実に対応できない母親に頼ることなく、自分の意思を行動に移し、その意思を貫こうと する現代的な人物として描かれている。「いち」の人物像は「お上のことには間違いはご ざいますまいから。」という一言に集約されている。 それに対し、西町奉行の「佐佐又四郎成意」をはじめとする幕府の官僚は形式を重んじ 、 大過なく死刑が執行されることを切望している。自分自身で判断することを避け、無責任 で無能な役人として描かれている。作品内で登場人物のイメージは固定化しており、それ ぞれの役割が明確である。ここから本作品は寓話の要素をもつと理解することができる。 1. 指導計画. 全4時間は次のとおりである。. 2. 第1時. 全体を一斉音読し、場面に名前をつけ、小説の構成を知る。. 第2時. 前半部のいくつかの課題を考え、話し合う。. 第3時. 後半部のいくつかの課題を考え、話し合う。登場人物を確認する。. 第4時. 全体を通読して、小説の感想を発表する。. 実際の授業展開. 教材文は平成28年度版教育出版『中学国語3』からである。 【第1時】 1. 森鷗外が書いた「最後の一句」を学習します。(学習内容の理解). 2. 声をそろえて第1場面を読みます。「元文三年……」ハイ。(一斉音読). 3. 「……聞いていた 。」の下に第1場面と書きなさい。第1場面は「太郎兵衛入牢後の 家族の様子」と名づけます。(小説の構成). 4. 続きを読みます。「桂屋にかぶさってきた……」ハイ。(一斉音読). 5. 「……なったのである 。」の下に第2場面と書きなさい。第2場面は「太郎兵衛が死 罪となった経緯」と名づけます。(小説の構成). 6. 第3場面を読みます。「平野町の……」ハイ。(一斉音読). 7. 「……玄関に入った 。」の下に第3場面と書きなさい。第3場面は「命乞いの願書を 奉行者に差し出すいち」と名づけます。(小説の構成) ̶  21 ̶. - 21 -.

(23) 8. 第4場面を読みます。「西町奉行の……」ハイ。(一斉音読). 9. 「……顧みて言った。」の下に第4場面と書きなさい。(小説の構成). 10. 第4場面に名前をつけ、ノートに書きなさい。黒板に書いてある場面の名前のうち、 理想的な答えをノートに書きなさい。(小説の構成). 11. 第5場面を読みます。「十一月二十四日の……」ハイ。(一斉音読). 12. 「……胸をも刺した。」の下に第5場面と書きなさい。(小説の構成). 13. 第5場面に名前をつけ、ノートに書きなさい。黒板に書いてある場面の名前のうち、 理想的な答えをノートに書きなさい。(小説の構成). 14. 最後の場面を読みます。「城代も両奉行も……」ハイ。(一斉音読). 15. 「……中絶していたのである 。」の下に第6場面と書きなさい。第6場面は「追放の. 刑となった太郎兵衛」と名づけます。(小説の構成) 16. 第6場面と対応している場面はどこですか。(小説の構成). 17. この時間は六つの場面に名前をつけました。場面の名称をノートに書きなさい 。(学. 習の意義) 18. 次の時間は小説の前半を詳しく学習します。(次時の予告). 【第2時】 1. 「最後の一句」の前半を学習します。(学習内容の理解). 2. 第1場面を声をそろえて読みます。「元文三年……」ハイ。(一斉音読). 3. 「最後の一句」で描かれている時代はいつですか。(語り). 4. 桂屋太郎兵衛の罪状を示した文章を探し、四角い枠で囲みなさい。(文体). 5. 太郎兵衛の家族が罪状を平野町のおばあ様から聞いたのはなぜですか。(語り). 6. 太郎兵衛の女房の現実に対応していない行動を描いている文章を2か所探し、四角い 枠で囲みなさい。(人物描写). 7. いちが父の罪状を知ったときの行動に傍線を引きなさい 。(人物描写). 8. 第2場面を声をそろえて読みます。「桂屋にかぶさってきた……」ハイ 。(一斉音読). 9. 太郎兵衛の罪は何か、簡単に説明しなさい。(語り). 10. 第3場面を読みます。「平野町の……」ハイ。(一斉音読). 11. 父の命乞いの方策のうち、いちの賢さがよく表現されているところを2か所探し、傍 線を引きなさい。(会話). 12. いちの態度は幕府を軽んじていると感じた門番のセリフに傍線を引きなさい 。 (会話 ). 13. いちが上下関係にとらわれず、自由に行動している様子を3か所探し、傍線を引きな さい。(人物描写) ̶  22 ̶. - 22 -.

(24) 14. 上役に判断を任せようとする、与力の無責任な様子を探し、四角い枠で囲みなさい。 (人物描写). 15. 第4場面を読みます。「西町奉行の……」ハイ。(一斉音読). 16. 「それは目安箱をも……内見しよう。」に隠れている佐佐の本心は、次のどちらです. か。(会話). 17. A. お上の言う通り、下々の考えも聞かないといけない。. B. お上の趣意に従ったという形式を整えておかないといけない。. いちの賢さや孝心を理解していない佐佐や太田のセリフや行動を1か所ずつ探し、傍 線を引きなさい。(会話). 18. この時間は小説の前半を学習しました。ノートに書きなさい。(学習の意義). 19. 次の時間は小説の後半から学習します。(次時の予告). 【第3時】 1. 「最後の一句」の後半を学習します。(学習内容の理解). 2. 第5場面を声をそろえて読みます。「十一月二十四日の……」ハイ 。(一斉音読). 3. 母の尋問の様子を四角い枠で囲みなさい。母はいちの行動を理解し、精神的な支えに なっていますか。(会話・人物描写). 4. いちの取り調べに対する受け答えの様子を四角い枠で囲みなさい。また、受け答えが 箇条書きとなっている効果を次の中から選びなさい。(会話). 5. A. 長かったいちの話を短くまとめ、説明している。. B. いちの話が理路整然としていて、緊迫した雰囲気を出している。. C. 弟妹の愛らしさを強調している。. 弟妹であるまつ、長太郎、とく、初五郎の尋問の様子のうち、性格をよく表した一文 を探し、傍線を引きなさい。(人物描写). 6. 佐佐が力で解決しようとしていることが分かるセリフを2か所探し、四角い枠で囲 みなさい。(会話). 7. 語り手が急に登場し、現在から江戸時代にもっともらしい解釈を加えている表現を 探し、四角い枠で囲みなさい。(語り). 8. 第6場面を声をそろえて読みます。「城代も両奉行も……」ハイ。(一斉音読). 9. 太郎兵衛の刑は最終的にどのように執行されたか、本文中の語句に傍線を引きなさい 。 刑が軽くなったのは、奉行所がいちの言動に心を動かされたからですか。(語り). 10. 登場人物を作品に出てきた順に、ノートに書きなさい。(登場人物の確認). 11. おばあ様、女房、弟妹四人、門番、与力、佐佐、太田、いちについて、それぞれのイ ̶  23 ̶. - 23 -.

(25) メージを話し合い、ノートに一言で説明しなさい。(人物像) 12. いちの言う「お上のことには間違いはございますまいから。」とは、何を表している. か、話し合いなさい。(人物像) 13. この時間は小説の後半や登場人物について学習しました。(学習の意義). 14. 次の時間は小説の感想を話し合います。(次時の予告). 【第4時】 1. 「最後の一句」の感想を話し合います。(学習内容の理解). 2. 作品全体を一人一人が黙読しなさい。始め。(黙読). 3. 「最後の一句」で気に入った場面とその理由をノートに書きなさい。(感想の記述). 4. Aさんから席順に気に入った場面とその理由を発表しましょう 。一人30秒くらいです 。 どうぞ。(感想の発表). 5. みなさんがいろいろな感想をもっていることが分かって、とても興味深かったですね 。 これで「最後の一句」の学習を終わります。(学習の意義). 「清兵衛と瓢簞」(高等学校「国語総合」)の学習活動. 九. 「清兵衛と瓢簞」は1913(大正2)年に「読売新聞」に発表され、1917(大正6)年6 月に「新進作家叢書」の一冊『大津順吉』に収録された。清兵衛という人物の変化は瓢簞 の価値で示されている。瓢簞の価値が高まっていくのと同時に清兵衛の人物像が変化し、 イメージが形成されていく。無邪気に瓢簞に熱中する少年の話を描いていながら、世俗の 人間(直哉の父を含めて)が金銭以外に確固として存在する、芸術的価値に対して無感覚 な姿を批判的に表現している。このような「人物像の変化」の表現方法を生徒に理解させ たい。 1. 指導計画. 全4時間は次のとおりである。 第1時. 全体を通読し、小説の構成(語りと描写)を知る。七つの場面に分け、名前 をつける。. 2. 第2時. 前半部のいくつかの課題を考え、話し合う。. 第3時. 後半部のいくつかの課題を考え、話し合う。瓢簞の価値の違いを話し合う。. 第4時. 全体を通読して、小説の感想を発表する。. 実際の授業展開. 教材文は平成25年度版三省堂『精選国語総合』からである。 ̶  24 ̶. - 24 -.

(26) 【第1時】 1. 志賀直哉が書いた小説「清兵衛と瓢簞」を学習します。(学習内容の理解). 2. 声をそろえて第1場面を読みます。「これは清兵衛という……」ハイ。(一斉音読). 3. 「……熱中している……。」の下に第1場面と書きなさい。(小説の構成). 4. 第1場面は「小説の説明(語り )」と名づけます 。〔以下、第4場面まで場面ごとに 一斉音読し、名前をつける。〕(小説の構成). 5. 第5場面に名前をつけ、ノートに書きなさい 。(数名に黒板に書かせる 。)黒板に書 いてある名前のうち、理想的な答えをノートに書きなさい。(小説の構成). 6. 第6場面に名前をつけ、ノートに書きなさい 。(数名に黒板に書かせる 。)黒板に書 いてある名前のうち、理想的な答えをノートに書きなさい。(小説の構成). 7. 第7場面と対応している場面はどこですか。(小説の構成). 8. この時間は小説の構成を学習しました。(学習の意義). 9. 次の時間は小説の前半を詳しく考えます。(次時の予告). 【第2時】 1. 「清兵衛と瓢簞」の前半を学習します。(学習内容の理解). 2. 第1場面は全て語りの文章です。語りと書きなさい。第2場面の「清兵衛が時々…… じっと見た 。」を四角い枠で囲み、人物描写と書きなさい 。「清兵衛は十二歳で……し ていた。」は「語り」、「手入れが……出かけていった。」は「人物描写」と書きなさい。 (文体). 3. 清兵衛が瓢簞に熱中している様子がよく分かる行動を3か所見つけ、傍線を引きなさ い。(人物描写). 4. 大人と清兵衛で異なる評価をしている瓢簞があります。その瓢簞に対する父・客の評 価と、清兵衛の評価にそれぞれ傍線を引きなさい。(会話). 5. 「清兵衛は黙ってしまった」に傍線を引きなさい。この後の清兵衛の行動や心情を作 者は書いていません。清兵衛の行動を自分で解釈し、書きなさい。(数名に黒板に書か せる。)(人物描写). 6. 「震いつきたいほどにいい」瓢簞は奇抜な形でしたか。あるいは普通の形でしたか。 また、その瓢簞を見つけたときの清兵衛の喜びがよく分かるところを四角い枠で囲みな さい。(人物描写). 7. 清兵衛が教師に大切な瓢簞を取り上げられ、呆然としている様子に傍線を引きなさい 。 (人物描写). 8. 全ての瓢簞を父に玄能で割られた清兵衛の行動に傍線を引きなさい。この部分を説明 ̶  25 ̶. - 25 -.

(27) しなさい。(数名に黒板に書かせる。)(人物描写) 9. この時間は小説の前半を学習しました。(学習の意義). 10. 次の時間は小説の後半と瓢簞について考えます。(次時の予告). 【第3時】 1. 「清兵衛と瓢簞」の後半を学習します。(学習内容の理解). 2. 登場した順に人物をノートに書きなさい。(登場人物の確認). 3. 「清兵衛と瓢簞」には、対照的に描かれた二つの瓢簞が登場します。二つの瓢簞をそ れぞれ書きなさい。(瓢簞の価値). 4. 二つの瓢簞について、清兵衛と大人の評価をそれぞれノートに書きなさい 。(瓢簞の 価値). 5. 「普通な形をした瓢簞」の価値はどのように変化していきますか。また、同じ瓢簞で あるにもかかわらず、その見方が変化したのはなぜですか。(人物像). 6. 「普通な形をした瓢簞」の真の価値を清兵衛は知っていましたか 。(人物像). 7. この時間は小説の後半と瓢簞の価値を学習しました。(学習の意義). 8. 次の時間は小説の感想を発表します。(次時の予告). 【第4時】 1. この時間は「清兵衛と瓢簞」の感想を話し合います。(学習内容の理解). 2 「清兵衛と瓢簞」で気に入った場面とその理由をノートに書きなさい。 (感想の記述 ) 3. Aさんから席順に感想を発表しましょう。一人30秒くらいです。どうぞ。(感想の話 し合い). 4. みなさんがいろいろな感想をもっていることが分かって、とても興味深かったです。 これで「清兵衛と瓢簞」の学習を終わります。(学習の意義). 十. まとめ 「スイミー 」「故郷 」「最後の一句」「清兵衛と瓢簞」の4作品の授業について、物語・. 小説の構成の把握や人物像の変化の理解、描写を楽しく読むという学習活動を中心に設定 し、具体的に提示してきた。 教師が作品を詳細に解釈したり、教材研究で調べた時代背景や作家の生い立ちを説明し たりすると、児童生徒は文学嫌いになることが多く、教師の指導の意図とは反対の効果が 生じることがしばしばあった。1教材を4時間で教えると、作品の特徴全てを網羅するこ とはできないが、文学の特質という観点で作品を大掴みに教えることによって、子どもは 自らの発見や独創的な読み方を発見する場面が生じる。そのことが作品を主体的に読み、 ̶  26 ̶. - 26 -.

(28) 意欲を生むことになるので、子どもたちの興味を中心とした学習計画を立てるべきである 。. 「注」 1、長崎伸仁「読むことの指導過程論」全国大学国語教育学会編著『国語科教育学研究の成果と展望Ⅱ 』 167頁・学芸図書(574頁)2013年3月 2、長谷川祥子「『 論説』の文章指導(評価)の一考察 」『札幌国語研究』第20号・31~46頁・2015年8月 3、高橋健二は「グリムの注釈によると、これはドイツで最も古い美しいメルヒェンの一つで、忠僕の 名に従って『鉄のハインリヒ』として知られていた」としている。(高橋健二訳「かえるの王さま、ま たは、鉄のハインリヒ」『完訳グリム童話集1』28頁・小学館(332頁)1985年6月) 4、前掲同書・19頁、以下、グリム童話の引用は「3」の文献による。 5、前掲同書・153頁 6、岩崎京子「かさこじぞう」『ひろがることば. 小学国語2下』12頁・教育出版(152頁)2015年. 7、森鷗外「高瀬舟」『国語3』80頁・光村図書(310頁)2016年 8、新美南吉「ごんぎつね」『国語四下. はばたき』14~15頁・光村図書(148頁)2015年. 9、椋鳩十「大造じいさんとガン」『国語五 10、伊藤整「志賀直哉の方法 」『文芸読本. 銀河』127~128頁・光村図書(148頁)2015年 志賀直哉』29頁・河出書房新社(263頁)1976年9月、初出、. 1961年12月 11、志賀直哉「赤西蠣太 」『志賀直哉全集. 第二巻』222頁・岩波書店(680頁)1973年7月、以下、旧字. 体は新字体に直し、旧仮名遣いは現代仮名遣いにした。 12、市毛勝雄「描写の発生」『主題認識の構造』83頁・明治図書(200頁)1980年10月 13、ゲーテ、相良守峯訳「ローマ 」『イタリア紀行(上)〔全3冊 〕』172~173頁・岩波文庫(272頁)1942 年6月 14、夏目漱石「坊つちゃん」『漱石全集. 第三巻』309頁・岩波書店(368頁)1956年8月. 15、阿部蔀編「編者のことば」『吉四六話』4頁・双林社(146頁)1964年12月 16、阿部蔀編「柿の番」前掲同書・9~11頁、以下、下線は筆者が引く。 17、日本言語技術教育学会東京神田支部著『誰にでもすぐ授業ができる新型学習指導案集―文学的文章 教材編』(165頁)2015年7月 18、レオ=レオニ、谷川俊太郎訳「スイミー 」『こくご. 二上』50~59頁・光村図書(128頁)2015年、教. 科書は分かち書きになっているが、それを修正した。15頁以降は本教材を基に提案している。 19、竹内好「解説」『魯迅選集第一巻』246頁・岩波書店(252頁)1956年6月. ̶  27 ̶. - 27 -.

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