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「自製 ・
外注 」 問題 の研 究方法 の検 討 に向 けて
坂
手
恭
介
1.は じ め に 近 年 の 管 理 会 計 の 研 究 領 域 ・調 査 分 析 方 法 の 拡 大 と変 容 は,こ の 学 問 が 自 らの ア イデ ン テ ィテ ィを確 立 す る プ ロセ ス で 蓄 積 して きた知 的 資 産 の 多 くを あ えて 疑 い,再 吟 味 し,今 日的 な視 点 か ら再 編 す る こ とが 迫 られ て い る こ と の 証 左 で あ る。 従 来,管 理 会 計 で は 「自製 ・外 注 の 決 定 問 題 」 とい う代 替 案 選 択 の 問 題 と して 定 着 して い る テ ーマ で あ るが,そ こで は,組 織 的 考 察 や 戦 略 的 視 点 を意 識 的 に避 けて,「 業 務 的個 別計 画 の モ デ ル 」(増 分 原 価 分 析 モ デ ル)と して 扱 うの が 通 例 で あ っ た。 しか し,近 年 の 「原 価 企 画 」 を典 拠 とす る管 理 会 計 研 究 にお い て 「企 業 戦 略 ⊥ 「価 値 連 鎖 ⊥ 「企 業 間関 係 」 等 を包 摂 す る管 理 会 計 の 再 構 築 と もい うべ き研 究 が 展 開 され,装 い を一 新 して きて い る1)。 「サ プ ラ イヤ ー管 理 」 の 問 題 もそ の 一 端 で あ り,製 品 開 発 の 企 画 段 階 か ら 量 産 時 の 資 材 手 配 の 段 階 に至 る広 い ス パ ンで 登 場 す るサ プ ラ イヤ ー との 連 携 1)原 価 企 画 お よび そ れ に 関 わ る 管 理 会 計 の 議 論 に つ い て は,日 本 会 計 研 究 学 会 特 別 委員 会[1996],小 林 哲 夫 先生 退 官 記 念 論文 集 編 集 委 員会[1999]を 参 照 され た い。 原価 企 画研 究 の 蓄積 は膨 大 で あ る が,著 書 と して 原 価 企 画 を直 接 扱 った 文 献 と し て は,加 登[1993],田 中(隆)・ 小 林(啓)[1995],田 中(雅)[1995],吉 田 [2003]な どが あ げ られ る 。 キ ー ワ ー ド:自 製 ・外 注,サ プ ラ イ ヤ ー ・マ ネ ジ メ ン ト,戦 略 的 管 理 会 計を,ど の よ う に理 論 の 枠 組 み の 中へ 組 み 込 むか が 関 心 を集 め て い る。 しか し,戦 略 論 的 な 目的 か らの 組 織 間分 業 と して 論 じ られ る こ との 多 い こ の 領 域 をそ の ま ま 「管 理 会 計 の 発 展 」 と位 置 付 け る こ とが 正 当 なの か とい う 戸 惑 い を禁 じる こ とが で きない 。 す な わ ち,サ プ ラ イヤ ー管 理 問 題 につ い て の 議 論 を管 理 会 計 の 知 的 資 産 と して 包 摂 で きる根 拠 は何 か 。 い くつ か の 「戦 略 的 行 動 」 の う ち管 理 会 計 に よ って サ ポ ー トで きる もの とそ うで ない もの は 線 引 き可 能 なの か,線 引 きの 論 理 は何 か,こ れ らを探 る こ とが 本 稿 の 目的 で あ る。 論 究 の 進 め 方 と して,ま ず,伝 統 的 な 「自製 ・外 注 」 の 決 定 問 題 が 実 際 に は どの よ う に受 け止 め られ て い るの か,に つ い て の 調 査 研 究 を と りあ げ,目 的,担 当 部 署,重 要 な変 数 ・要 因,決 定 方 法 等 につ い て の 論 点 を探 り,伝 統 的 とい う枠 組 み の 中で さ え,単 純 な差 額 原 価 分 析 で 対 応 して い る とは限 らな い こ とを確 認 したい 。 もち ろ ん,と りあ げ た調 査 研 究 の 時 代 背 景 や 国 別 取 引 慣 行 の 違 い,さ らに は ア ンケ ー ト調 査 の 有 効 回答 数 な どに よ り,一 般 化 は無 理 で あ ろ う。 今 後 の 検 討 課 題 や 論 点 把 握 に対 して 示 唆 を得 る こ とが 目的 で あ る。 つ ぎに,「 戦 略 的 」視 点 か ら 「自製 ・外 注 」 問題 へ の対 処 法 は どの よ うに整 理 され て い るの か,あ るい は整 理 可 能 なの か,を 考 え る ため,サ プ ラ イヤ ー 管 理 と戦 略 的 管 理 会 計 の 交 渉 領 域 で の 文 献 数 点 を と りあ げ,論 点 の 整 理 と課 題 解 明 へ の 手 が か りを探 る。 つ づ い て 「サ プ ラ イヤ ー ・マ ネ ジ メ ン ト問 題 」 と りわ け 日本 の 実 務 に関 す る理 論 研 究,実 証 研 究 の 成 果 を探 る こ とに よ って,こ の 分 野 で の 管 理 会 計 が 向 か うべ き方 向 につ い て の 示 唆 を得 る。 最 後 に 「戦 略 的 コス ト ・マ ネ ジ メ ン ト」 研 究 の 一 部 と して 位 置 付 け るた め に何 が 必 要 なの か につ い て 若 干 の 考 察 を試 み,今 後 の 課 題 と した い 。 本 稿 の 目的 は,意 思 決 定 モ デ ルの 優 劣 を論 じる こ とで は な く,管 理 会 計 研 究 にお け る進 化 の 方 向 性 を探 る こ とで あ る。
「自製 ・外注 」問 題 の研 究 方法 の検討 に向 けて 2.「 自 製 ・外 注 」 の 決 定 問 題 に 関 す る 調 査 研 究 で の 論 点 163 1.NAA・SMACの 調 査 研 究 ア メ リ カ 管 理 会 計 人 協 会(NationalAssociationofAccountants)と カ ナ ダ 管 理 会 計 人 協 会(TheSocietyofManagementAccountantofCanada)共 催 の 調 査 研 究 報 告 書 と し て 出 版 さ れ たJambino[1980]は,郵 送 調 査(郵 送350 社(在 米250,在 加100),回 答 数143)と 回 答 状 況 か ら 選 別 さ れ た 企 業 で イ ン タ ビ ュ ー(18社(在 米13,在 加5))に 基 づ く調 査 分 析 文 献 で あ り1つ の 規 範 モ デ ル と4つ の ケ ー ス ・ス タ デ ィ を 含 ん で い る 。 質 問 事 項 に 対 す る 回 答 は 以 下 の5項 目で あ る2)。 (1)公 式 の 自 製 ・外 注 方 針 な い し文 書 の 有 無 実 数% 有 り3931.5 無 し8568.5 124100.0 (2)意 思 決 定 に 関 与 す る 部 署 実 数124社 で の% 製 造 経 理 購 買 エ ンジニ ア リ ング トップマ ネ ジ メ ン ト 販 売 労 資 関 係 そ の 他3) 105 91 89 79 74 48 16 ., 73.4 71.8 70.2 59.7 38.7 12.9 2)紙 幅 節 約 の た め 質 問 を省 略 し,整 理 した 回 答 を掲 載 した 。 質 問2に つ い て は回 答 数 の 多 い順 に な らべ て あ る が 質 問 票 で は ラ ン ダム に記 載 され て い る。 また,質 問 4に つ い て は 回答 の 実数 を省 略 して%表 示 の み と したた め 原著 とは ス タイ ルが 異 な っ て い る 。 3)「 そ の 他 」 は 回 答 者 に よ る追加 的 な記 載 事 項 で あ るが,以 下 の様 々 な管 理 部 門が 記 載 され た 。 な お カ ッ コ内 は そ の 頻 度 で あ る 。
(3)主 な意 思 決 定 責 任 部 署 実数 % ト ッ プ マ ネ ジ メ ン ト 組織横断の委員会 製 経 購 造 理 買 エ ン ジ ニ ア リ ン グ 販 売 労使関係 数 部 門で の チ ェ ック そ の 他4) 52 17 9 3 2 2 0 0 35 4 42.0 13.7 7.3 2.4 1.6 1.6 0 0 28.2 3.2 124 100.0 企 画(5),品 質 管 理(3),試 験 研 究 ・開 発(3),商 品 企 画(2),サ ー ビス 部 門(1), 社 外 の 部 署(distinctoperations)(1),部 品 手 配 ・調 整(1),企 業 間 関 係(corp()-raterelations)(1),顧 客(1),用 品 ・付 属 品 販 売(1)。 4)「 そ の 他 」 は 回 答 者 に よ る 追 加 的 な 記 載 事 項 で あ る が,以 下 の4つ の 管 理 部 門 が 回 答 さ れ た 。 い ず れ も下 位 の 管 理 職 能 で あ る が,部 門 管 理 者2,事 業 部 の 経 営 委 員 会 1,購 買 品 使 用 部 門1で あ る 。
「自製 ・外注 」問 題 の研 究 方法 の検討 に向 けて 165 (4)考 慮 要 因別,相 対 評 価 考慮 要因 数 120 118 120 113 115 116 118 117 117 119 114 114 や 重 視 い な 重 し 答 回 % % 100 100 100 100 100 100 100 100 100 100 100 100 や 視 % 大い に 極度 に 中程度 重 視 重 視 %%% コ ス ト 投 資 ROI 製 造 雇 用 安 定 性 プロセスの秘匿 品 質 管 理 製 造 熟 練 度 供給の信頼性 購買リードタイム 発注先の分散 技術の陳腐化 そ の 他5) 自主記述 0 0.8 1.7 1.8 4.3 18.8 3.4 1.7 3.4 2.5 2.6 6.1 0.8 7.5 5.0 8.8 36.5 32.8 14.4 11.1 6.0 18.5 36.8 28.1 7.5 20.4 9.1 28.3 i・ 22.4 33.1 34.2 27.4 44.5 43.0 46.5 61.7 48.3 52.3 45.2 13.9 18.1 39.8 47.9 53.8 30.3 16.7 18.4 30.0 22.9 31.7 15.9 3.5 8.6 9.3 5.1 9.4 4.2 0.9 0.9 5)自 主 記 述 要 因欄 に 記 載 され た 「考 慮 要 因 」 には 以 下 の もの が 追 加 記 載 され た 。 す な わ ち,製 品 失 敗 の リス ク,品 質競 争,外 注 品 を組 み 込 ん だ 製 品 寿 命,環 境 へ の イ ンパ ク ト,耐 用 年 数 保 守,標 準 化,販 売,全 部 原 価,労 務 関 係,財 務 的 キ ャ パ シ テ ィの11の 要 因 で あ る 。
(5)意 思 決 定 で の 財 務 評 価 の (a)全 部 原 価,限 界 原 価 全 部 原 価 限 界 原 価 両 方 (b)貨 幣 の 時 間価 値 考 慮 す る 考 慮 しない 回答 な し 回答 数 % 54 48 43.6 38.7 22 17.7 計 124 100 回答 数 % 106 15 85.5 12.1 3 2.4 計 124 100 対 象企 業 の う ち,1番 目の 「公 式 の 自製 ・外 注 方針 」 につ い て 「在 り」 と回 答 した企 業 に コ ンタ ク トを とっ て調査 した結 果,厳 密 に は,「 有 り」 が過 度 に 選 択 され て い た こ とが 判 明 した,と され て い る6)。 1)企 業 目的 の 設 定 企 業 目的 な らび に資 源 ・製 造 の 範 囲,制 約 の 明 確 化 し意 思 決 定 を関 連 付 け るべ きで あ る。 2)部 門横断委員会の利用 意 思 決 定 に よ り影 響 を受 け る製 造 ・購 買 ・会 計 ・ 販 売 ・製 造 技 術 等 か らな る委 員 会 が 意 思 決 定 責 任 を負 うべ きで あ る。 3)コ ス ト検 討 短 期 的 に は限 界 原 価,長 期 的 に は全 部 原 価,状 況 に よ り両 者 を対 象 とす べ きで あ る。 4)非 財 務 要 因の 考 慮 品 質,供 給 の 信 頼 性,労 働 力 安 定 性 等 は財 務 要 因以 上 に重 要 で あ る こ とに留 意 す べ きで あ る。 5)原 価 削 減 ッ ール 全 社 的 な原 価 削 減 ッ ール の 一 部 と して 組 み 込 む べ きで あ る。 6)資 本 支 出 を伴 う 「自製 」 が 選 択 され た 場 合 には,資 本 支 出 に関 す る意 思 決 定 ガ イ ドライ ン を参 照,と い う状 況 を 「自製 ・外 注 方 針 有 」 と解 して い た こ と に よ る誤 答 に つ な が っ た 経緯 が 述 べ られ て い る 。(Jambino[1980]47-48頁 。)
「自製 ・外注 」問 題 の研 究 方法 の検討 に向 けて167 6)継 続 的 評 価 技 術,需 要 競 争 等 の 変 化 に対 応 し絶 えず 見 直 す べ きで あ る。 2.日 本 管 理 会 計 学 会 の 調 査 研 究 日本 管 理 会 計 学 会,「 企 業 調 査研 究 プ ロ ジ ェ ク ト」(本 部 委 員 長:片 岡洋 一) の 第2部(「 企 業 間 シス テ ム委 員 会 」(代 表:浜 田和樹))7)と して東 証 一部 上 場 の 製 造 業946社 に対 す る郵 送 ア ンケ ー ト調 査 が な され た。 自製 ・外 注 とな ら んで 研 究 ・開 発 合 併 ・買 収 あ るい は提 携 サ プ ラ イチ ェー ン ・マ ネ ジ メ ン ト,企 業 間取 引 の 情 報 化 につ い て の 質 問 が な され,企 業 間関 係 の 管 理 会 計 構 築 の ため の 貴 重 な示 唆 を与 えて い る。 井 岡[2006]8)は そ の 一 部 で あ り,自 製 ・外 注 問 題 の 論 点 を展 開 し,質 問 へ の 回答 を所 収 して い る。 質 問 は5項 目に ま たが って い て有 効 回答 企業 数 は85 社 と報 告 され て い る。 デ ー タ数 が 少 ない ため,基 礎 デ ー タの 単 純 集 計 と若 干 コ メ ン トす る程 度 に留 め られ て い る。 本 稿 で は以 下 の 質 問 の 内 容 と回答 状 態 か ら考 察 で きるい くつ か の ポ イ ン ト を整 理 す る こ と とす る。 (1)外 注 内 容 と外 注 先 につ い て の 質 問 と回答 ① 部 品 外 注,② 加 工 外 注,③ そ の 他 の 外 注 分 類 と ① 子 会 社,② 関 連 会 社,③ そ の 他 の 外 注 先 区分,の 組 み 合 わせ で 回 答 を求 め る質 問 で あ るが,回 答 総 数77の う ち最 多 は② 一③ の18件, つ い で(① ,②)一(①,②,③)の 組 み 合 わせ12件 と続 い て い る 。 なお,分 析 者 は複 数 回答 を集 計 して① 部 品外 注36社,② 加 工外 注64 社,③ そ の他18社 であ った と してい る。 また,外 注 分類 の 「そ の他 」 の ほ とん どが 「製 品外 注 」 で あ り,外 注 先 区分 の大 半 が 「協 力 会社 」 で あ る こ と も付 言 され て い る。 7)門 田 ・浜 田[2006]。 8)井 岡 大 度[2006]129-138頁 。
この よ う な組 合 せ は競 争 状 態 や 市 場 の 成 長 と と もに大 きな変 化 を もた らす もの で あ る と考 え られ るの で,数 年 刻 み で 類 似 す る企 業 か らデ ー タが 入 手 で きれ ば よ り多 くの イ ンプ リケ ー シ ョンが 得 られ よ う。 そ の 意 味 で もこの 基 本 調 査 の もつ 意 味 は重 要 で あ る。 (2)検 討 目的 と検 討 部 署 ① 原 価 低 減 目的,② 戦 略 目的,③ 原 価 低 減 目的 と戦 略 目的,④ そ の 他 とい う 目的 分 類 と,②,③ に関 して ① 企 業 戦 略 ② 事 業 戦 略 ③ 機 能 戦 略(人 事,生 産 販 売 等),④ そ の他 を追 跡 し,最 後 に担 当部 署 を 記 述 す る質 問 様 式 が と られ て い る。 回答 は,① 原価 低 減 目的35社,② 戦略 目的4社,③ 原 価低 減 目的 と 戦 略 目的46社,④ そ の他2社,さ らに は① 企 業 戦 略15社,② 事 業 戦 略31社,機 能 戦 略14社,④ そ の 他0社 と分 布 して い る。 複 数 回答 で あ るの で 単 純 に は推 計 で きな いが,少 な く とも,「 自製 ・外 注 問 題 に臨 む企 業 の 半 数 が 何 らか の 戦 略 目的 か らア プ ロ ーチ して い る」 と考 え る こ とが で きよ う。 (3)考 慮 要 因別 の 重 要 度5段 階 評 価 ① 原 価 ② 品 質 ③ 納 期,④ そ の 他 の 考 慮 要 因 につ い て,各 項 目ご とに5段 階 評 価 で 回答 を得 る質 問 で あ り,「原 価 」 に評 価5を 与 え たの が50社,評 価4が14社,「 品 質 」 で は5が32社,4が26社,「 納 期 」 で は5が16社,4が19社,3が28社 とな って い る。 項 目間の 相 対 的 重 要 性 につ い て の 質 問 は無 い の で,優 先 度 につ い て 推 定 す るの は無 理 で あ るが,こ の 調 査 を基 礎 と して さ らに追 跡 調 査 を す る際 の 手 が か り と して 有 効 な 回答 が 得 られ て い る と思 われ る。 (4)「 自製 ・外 注 」 の分 析 で の 「比 較 内容 」 と用 い た 「分 析 手法 」 比 較 内 容 につ い て は,「 原価 比 較 」,「原価 比 較 お よび収 益 比 較 」,「そ の 他 の 比 較 」 が 質 問 さ れ,そ れ ぞ れ30社,43社,4社 の 回答 とな って い る。 分 析 手 法 につ い て の 質 問 は,数 理 的 手 法 の 採 用 の 有 無,不 確 実 性 の
「自製 ・外注 」問 題 の研 究 方法 の検討 に向 けて 169 考 慮 の 有 無 を問 う もの で あ り,さ らに分 析 結 果 と最 終 意 思 決 定 との 一 致 ・不 一 致 が 問 わ れ て い るが,回 答 につ い て 明確 な言 及 は見 出せ ない 。 質 問 票 は,繊 細 に組 み 立 て られ て い て,管 理 会 計 にお け る この 問 題 の 位 置 づ けが 自然 に読 み 取 れ る内 容 に な って い る。 一 部 回答 が 得 られ て い ない 項 目 もあ るの で 残 念 で あ るが,回 答 者 が 意 思決 定 当 事 者 以外 の ばあ い も想 定 され, この 調 査 の 困 難 さ とデ リケ ー トな状 況 が 推 測 で きる。 ア ンケ ー ト調 査 に よ っ て この 分 野 の 研 究 を行 う ばあ い の 基 点 に な る貴 重 な調 査 研 究 とい え よ う。 3.そ の 他 の 研 究 文 献 にお け る主 要 な 論 点 筆 者 はか つ て あ る 自販 機 メ ー カ ー との 協 同研 究 の 形 で 「外 注 管 理 問 題 」 を 検 討 した こ とが あ るが9),企 業 側 で の問 題 意識 と して 「協 力企 業 数 の削 減 」 と 「外 注 管 理 コス トの削 減 」 が 強 く働 いて い た。 協 力 企 業 数 は250社 程 度 で あ り 外 注 管 理 コス トは売 上 高 の 数 パ ーセ ン トと推 測 され て い た。 この 分 野 の ケ ース 研 究 を通 して,発 注 側 企 業 に問 題 提 起 す る ため に は 同一 種 の イ ンタ ビ ュ ー を発 注 側 と受 注 側 の 双 方 で 行 う こ とが 必 要 に な り,少 ない ケ ース で はあ っ たが 工 数 見積 方 法,単 価 の交 渉,依 存 度 等 につ い て実 施 した 。 子 会 社 や 関 連 会 社 へ の アセ ンブ リ ー レベ ル で の 外 注 と優 良 で はあ るが 資 本 関 係 の ない 外 部 サ プ ラ イヤ ーへ の 部 品 外 注 が 型 の 償 却 保 障 や 許 容 工 数 等 で 大 き く違 って い る こ と,突 発 受 注 品(OEM受 注)に 対 応 す る た めの バ ッ フ ァ と して 優 良 外 部 サ プ ラ イヤ ーの 厚 遇 策,設 計 外 注,試 作 外 注,部 品 外 注 とい う 上 流 か ら下 流 まで の 外 注 の 存 在 か ら生 起 す る原 価 計 算 上 の 問 題 点 な どを検 討 し,坂 手[1994]の 中で 報 告 した経 緯 が あ る'°)。 まず,市 場 の 成 長 と と もに当 該 企 業 の 出荷 台 数 が 増 え外 注 先 も増 えて きた が,経 営 陣 の 意 識 と して は 「利 益 の 伸 び は ほ とん ど外 注 コス トの 伸 びで 帳 消 し」 に な り,「正 しい選 択 を して い るか 」 とい う内省 が あ っ た。 バ ブ ル崩 壊 の 直 後 で もあ り企 業 の 進 路 に もか か わ る静 か で 大 きな選 択 問 題 で あ った 。 9)外 注 管 理 問 題 研 究 グ ル ー プ[1994]。 10)坂 手[1994]27-45頁 。
つ いで,技 術 的 リー ドを多角 的 に維 持 す るた め,い わ ゆるバ ンクマ シ ンOEM 生 産 を受 注 して い て,当 該 企 業 自体 が 受 注 側(売 上 高 構 成 比 で20%程 度)で あ っ たの で,製 造 キ ャパ シ テ ィの 計 画 局 面 で 購 買 部 門 との 調 整 問 題 を抱 えて い た。OEM生 産 に 必 要 な工 数 は協 力 企 業 には転 嫁 で きな い の で突 発 的 な受 注 へ の 対 応 の 必 要 上 ,購 買部 門の工数設計が甘 くな らざるをえない とい う問題 を抱 えて い た。 そ の ため,同 社 で は仮 想 の 垂 直 ・水 平 統 合 に よ って,取 引 グ ルー プ全 体 の 製 造 キ ャパ シ テ ィ を把 握 して お くこ とが 不 可 避 で あ っ た。 そ こで,一 方 で, 変 動 費 と して の 部 品 費 や 外 注 加 工 費 も管 理 目的 か ら固 定 費 と して の 設 備 費, 人 件 費 に分 類 され る とい う実 務 を経 験 し,そ れ らを統 合 的 な原 価 分 析 ッー ル と して 組 み 込 む ため の ア プ ロ ーチ を模 索 して い た 。 同社 に は明 確 な 「原 価 企 画 」 は存 在 しなか っ たが,自 動 車 産 業 で の 知 見 を も とに 「デ ザ イ ン ・レビ ュ ー」 が 制 度 化 され,製 品 企 画 の 早 期 段 階 で 購 買 ・ 外 注 部 門(呼 称 は資 材 部)が 登 場 す るが,本 格 的 な 「開 発 購 買 」 は定 着 して い なか っ た。 これ らの 問題 はOEM受 注 とOEM発 注 の 双 方 を同時 に抱 え る企 業 の管 理会 計 を求 め るケ ース の 一 つ の 典 型 で あ る と思 われ る。 近 年,戦 略 的 管 理 会 計 や 戦 略 的 コス ト ・マ ネ ジ メ ン トの 研 究 が 拡 充 の 一 途 を た どって い るが,「 自製 ・外 注 」 の問 題 もそ の一 部 の 問題 と して 取 り上 げ ら れ て い る。 伝 統 的 管 理 会 計 で の 問 題 の 取 り上 げ方 と大 き く異 な って い るの は 「質 的 要素 」 で あ る 。 た とえば,組 織 横 断 的 な活 動 の 視 点 や コ ンペ テ ィ ターの 圧 力,市 場 へ の 参 入 と退 出の タ イ ミン グ とい っ た経 営 戦 略 上 の 重 要 な フ ァ ク タ ー を前 に して 「自製 ・外 注 」 決 定 す る こ との 重 要 性 が 指 摘 され て い る。 戦 略 的 管 理 会 計 の 観 点 か らの 「自製 ・購 入 」 を詳 述 した小 林(啓)[1994] で は,そ の 必 要 性 を以 下 の4点 に整 理 して 論 じて い る11)。 11)小 林(啓)[1994]130-137頁 。 この文献の表題 は第4節 「自製か購入かの意思決 定」 となっているが,第4章 「戦略的管理会計」の中で,戦 略的管理会計総論, 顧客 お よび製品の収益性 分析,コ ンペテ ィター分析 の前3節 に続 く節 として収録 されてお り,「戦略的 自製 ・購 入意思決定」が本来の表題であろ う。
「自製 ・外注 」問 題 の研 究 方法 の検討 に向 けて171 ① 企 業 戦 略 事 業 戦 略,機 能 戦 略 とい っ た何 らか の 上 位 戦 略 の 一 環 と し て この 意 思 決 定 が 位 置 付 け られ る。 差 額 原 価 分 析 で な く差 額 原 価 収 益 性 分 析 が 該 当 す るが 戦 略 変 更 に対 応 して 弾 力 的 に扱 われ る こ とが 示 唆 され て い る。 ② 購 買 戦 略 や 取 引 慣 行 との 関 連 で この 意 思 決 定 が 長 期 的 に響 い て くるの で,特 に コ ンペ テ ィ タ ー分 析 を行 う さい に は,こ の 視 点 が 重 要 に な っ て くる。 しか も,短 期 的 に は 固定 費 の 項 目が 長 期 的 に は変 動 費 に な り う る こ とが 指 摘 され て い る。 ③ 競 争 優 位 を保 つ ため に技 術 戦 略 が 重 要 で あ る こ とを,先 行 研 究 の 成 果 と と もに取 り上 げ,こ の意 思 決 定 を戦 略 的 に行 うこ と を主 張 してい る。 ④ 部 品 納 入 の 選 定 対 象 が 国 内業 者 か海 外 業 者 か に よって リス クが 異 な り, 意 思 決 定 に よ って 大 きな影 響 を受 け るの で 世 界 的 競 争 戦 略 の 下 で 決 定 され る必 要 が あ る,と 強 調 され て い る。 この よ う な戦 略 的 観 点 を考 慮 して 意 思 決 定 す る さい の 留 意 点 と して は 「質 的 要 素 に関 す る情 報 」 の 入 手 と活 用 が 重 要 で あ り,量 的 要 素 取 り上 げ方 よ り も重 視 され て い る とい う小 林(啓)・ 園 田[1992]の 調査 結 果 が 紹 介 され てい る。 そ の 上 で,質 的 要 素 の 扱 い 方 と して,要 素 の 階 層 化(対 象 品 の 重 要 度 や 自 社 技 術,資 源 状 況 に よ る類 別 化)と 数 値 化(金 額 化,数 量 化,ラ ンク付 け) が あ げ られ て い る12)。 「戦 略 的 外 注 管 理 会 計 」 と して 直 裁 に標 記 した園 田[1998]で は,従 来 の 外 注 管 理 技 法(原 価 企 画 へ のサ プ ラ イヤ ー の参 加,ジ ャス ト ・イ ン ・タ イム ・ シス テ ムの 導 入,納 入 単 価 の 引 き下 げ交 渉,無 検 査 軽 度 の 導 入)を 顧 み て, 発 注 メ ー カ ー とサ プ ラ イヤ ーが 共 に利 益 を確 保 し協 調 的 関 係 を築 くた め に用 い る管 理 会 計 は何 か が 追 究 され て い る。 従 来 の 管 理 技 法 の どこが 問 題 なの か,こ の 文 献 の 指 摘 に よれ ば以 下 の 論 点 が あ げ られ て い る。 12)小 林 ・園田[1992]70-84頁 。
① 原 価 企 画 へ の サ プ ラ イヤ ーの 参 加 が サ プ ラ イヤ ー に とって の 明 確 な メ リ ッ トに な って い るか どうか 。 ②JITシ ス テム で サ プ ラ イヤ ー が負 担 す る費用 が 過 度 な もの に なっ て い な い か どうカ・○ ③ 納 入 単 価 の 引 き下 げ交 渉 が サ プ ラ イヤ ーの ロ イヤ リ テ ィの 低 下 につ な が る リス ク を は らんで い ない か どうか 。 ④ 無 検 査 制 度 の 導 入 が,結 果 と して 検 査 費 用 の サ プ ラ イヤ ー へ の 転 嫁 と い う結 末 の み に終 わ って い ない か どうか ,支 払期 日の短縮や報償 とし て 顕 現 され て い るか どうか 。 い ず れ も,重 要 な指 摘 で あ り,こ れ らを念 頭 に戦 略 的 外 注 管 理 会 計 の 構 想 が 展 開 され て い るが,そ れ はShankニGovindarajan[1993]の 戦 略 的 コス ト ・ マ ネ ジ メ ン ト論 を外 注 管 理 の 領 域 で 具 体 的,発 展 的 に適 用 した内 容 とな って い る'3)。実 際,サ プ ラ イヤ ーへ の利 益 分 配方 法 につ い て① 報 奨 制 度,② 納入 単 価 決 定 上 の 配 慮,に つ い て 具 体 的 な提 案 が な され て い る'4)。 4.サ プ ラ イ ヤ ー ・マ ネ ジ メ ン ト研 究 に お け る 主 要 な 論 点 1.サ プ ラ イヤ ーの 類 型 本 稿 の 目的 との 関 連 で 「自製 ・外 注 」 は 自製 か 外 注 か,と い う選 択 問 題 で 使 用 し,「購 買 ・外 注 」 は部 品購 買 と部 品外 注 をま とめ る表現 とな って い るが これ らは 「サ プ ラ イヤ ー」 の 概 念 で 一 括 され る15)。 サ プ ラ イ ヤ ー には多 様 な取 引 主体 が 含 まれ るが,浅 沼[1990]に よれば 「技 術 的 主 導 性 の 程 度 」 に よ って 図 表1の よ う に7タ イ プ に分 類 され る。 13)園 田[1998]47-63頁 。ShankニGovindarajan[1993]pp.1-271。 14)園 田 「前 掲 論 文 」57-58頁 。 15)外 注 や 購 買 の 問 題 を 考 察 す る さ い,下 請 制,サ プ ラ イ ヤ ー,部 品 外 注 の 概 念 を 整 理 し な け れ ば な ら な い が,研 究 の 系 譜 と し て こ れ ら を フ ォ ロ ー し た 佐 伯[2008] を参 照 さ れ た い 。 そ こ で は 「企 業 間 関 係 を 基 軸 と し た 下 請 制 研 究 の う ち,そ の 後 サ プ ラ イ ヤ ー ・シ ス テ ム 研 究 が 派 生 し て い く 契 機 と な っ た 諸 概 念 を 提 起 した,最 も 影 響 力 の あ る 論 者 は 浅 沼 萬 里 で あ ろ う 。」(335頁)と 評 さ れ て い る 。
「自製 ・外注 」問 題 の研 究 方法 の検討 に向 けて 173 図表1部 品 および サ プラ イヤ ーの分 類 カ テ 買 手 の提 示 す る使 用 に応 じ作 られ る部 分(カ ス タ ム部 品) 市 販 品 タ イ プ の 部 ゴ リ 貸与 図の部品 承 認図の部品 品 1 1 II 皿 IV V vr V皿 買 手企業 供給側 が 買手企業 買手企業 IVとWと 買 手企業 買 手企業 が工 程 に 貸与 図を は概 略図 は工 程 に の 中 間領 は工 程 に は売 手 の 分 類 基 つ い て も 詳細 に 指 基 礎 に工 程 を 決 め 面 を 渡 し,そ の つ い て相 当 な知 識 域 つ い て 限 られ た 知 提 供 す る カ タロ グ 準 示 す る る 完成 を供 を持 つ 識 しか持 の 中 か ら 給側 に委 た な い 選 ん で購 託 す る 入 す る サ ブ ア セ 小 物 プ レ 内装用 プ 座席 プ レ ー ラ ジ オ, ン ブ リ ー ス 部 品 ラ ス チ ッ キ,ベ ア 燃料 噴射 例 ク部 品 リ ン グ, 制 御 装 タ イ ヤ 置,バ ツ テ リ ー (出 所:浅 沼[1990]23頁 。) す な わ ち,貸 与 図 サ プ ラ イ ヤ ー は カ テ ゴ リ ー1∼ 皿 に,承 認 図 サ プ ラ イ ヤ 一 はIV∼VIに 識 別 さ れ,サ プ ラ イ ヤ ー と買 手 との 技 能 の 位 置 関 係 に よ る 部 品 の 分 類 との 対 応 表 示 が 図 られ て い る。 この よ う なサ プ ラ イヤ ー 分 類 と部 品 の 対 応 を識 別 す る こ とで,「 購 入 品 」 と 「外 注 品」 に2分 す る従 来 の 「古 典 的二 分 法 」16)を廃 し て 「関 係 特 殊 的 技 能 」 な い し 「関 係 的 技 能 」17)の概 念 を抽 出 す る 基 礎 を準 備 して い る。 16)浅 沼[1990]14-16頁 。 17)浅 沼教 授 が 「関 係特 殊 的技 能 」 の概 念 を導 入 して 日本 の 企 業 間 取 引 を研 究 した 最 初 の 論 文 はAsanuma[1989]で あ っ た 。 主 と して 日米 間 の取 引慣 行 の 違 いが なぜ 生 じる の か,ど の よ うに して そ れ は 維 持 され る の か とい う壮 大 な研 究 課 題 に対 す る 浅 沼 教授 の仮 説 の 一 つ で あ る。 これ を検 証 す るた め 文 献 研 究 に加 えて 実 証 研 究 を重 ね 多 くの 業 績 が 蓄積 され て きた が,浅 沼[1994](97-ll9頁)に お い て,奥 野[1994]の コ メ ン ト(167-172頁)で の 批 判 を受 け十 分 防御 しつ つ も,「 た しか にconfusingで あ る。 こ れ ま で 「関係 特 殊 的技 能』 と呼 ん で きた もの を 「関係 的 技 能(relationalskill)』 と呼 び か え…」 とい うリ プライが 書 かれ てい る(105-106頁)。 した が っ て,本 稿 に お い て も文 脈 との 関 係 で 差 し支 え ない 限 り関 係 的 技 能 とい う表 現 を用 い る こ と とす る 。
2.関 係 的 技 能(関 係 特 殊 的 技 能) 浅 沼[1990]の 定 義 は簡 明 で あ る。 す な わ ち,「 関 係 特殊 的技 能 とは,基 本 的 に,中 核 企 業 の ニ ーズ に対 して 効 率 的 に反 応 す る ため にサ プ ラ イヤ ー の 側 に要 求 され る技 能 の こ とで あ る」'8)。したが っ て,こ の 技 能 は,① 所与 の 中核 企 業 との 取 引 を通 じて 獲 得 され る学 習 の 蓄 積 に対 応 す る表 層 と② 一 般 的 な技 術 的 能 力 に対 応 す る基 層 か らな る。 この 概 念 を操 作 可 能 な もの にす る ため,浅 沼[1990]は この 能 力 を以 下 の よ う に4区 分 して い る'9)。 Xl:開 発 初 期 段 階 の 局 面 で サ プ ラ イヤ ーが 発 揮 す る こ とが 要 求 され,発 注 者 の 目に見 え る もの とな る能 力 X2:開 発 後 期 段 階 の 局 面 で サ プ ラ イヤ ーが 発 揮 す る こ とが 要 求 され,発 注 者 の 目に見 え る もの とな る能 力 X3:量 産 段 階 で,製 造 プ ロセ ス の ル ー テ ィ ン的 な オペ レー シ ョン に関 して サ プ ラ イヤ ーが 発 揮 す る こ とが 要 求 され,か つ 納 入 の さい に発 注 者 の 目に見 え る もの とな る能 力 X、:量 産 段 階 で,製 造 プ ロセ ス の 改 善 に関 して サ プ ラ イヤ ー が 発 揮 す る こ とが 要 求 され,か つ 価 格 交 渉 の さい に発 注 者 の 目に見 え る もの とな る 能 力 具 体 的 に表 現 す れ ば,以 下 の よ う に な る。 X1:(① 発 注 者 の 提 示 した仕 様 に も とつ い て 部 品 を開 発 す る能 力,② 発 注 者 の 仕 様 に も とつ い て 改 善 提 案 す る能 力), X、:(① 貸 与 図 ま た は承 認 図 に準 拠 して 製 造 工 程 を 開 発 す る 能 力,②VE を通 じて 見 込 み 原 価 を低 減 させ る能 力) 18)浅 沼[1990]31頁 。 19)浅 沼 「前 掲 論 文 」32頁 。 な お, な わ な い 範 囲 で 簡 略 化 し た 。 本稿 の 論 題 との 関 係 で,原 論 文 の 記 述 を意 味 を損
「自製 ・外注 」問 題 の研 究 方法 の検討 に向 けて 175 X、(① 品 質 を保 証 す る能 力,② タ イ ム リー な納 入 を保 証 す る能 力) X、(① 合 理 化 を通 じて 原価 を低 減 させ る能 力,②VEを 通 じて 原価 を低 減 させ る能 力) 3.長 期 ・継 続 的 取 引 前 項 で は 買 手 と売 手 の 関 係 の 中 で 求 め られ,発 揮 さ れ る 能 力 を 軸 に サ プ ラ イ ヤ ー が 分 類 さ れ た 。 そ れ に よ っ て 市 場 に お け る ス ポ ッ ト取 引 と は 違 う 形 で の 取 引 概 念 が 導 出 さ れ た 。 そ れ に よ っ て,生 態 的 な 取 引 事 象 と して 説 明 す る の で は な く双 方 に 取 引 イ ンセ ン テ ィ ブ が 働 く状 況 と して サ プ ラ イ ヤ ー を,成 長 し カ テ ゴ リ ー の 階 段 を 登 っ て い く,あ る い は 学 習 と技 能 蓄 積 が 怠 慢 で 階 段 を 下 り,場 合 に よ っ て 舞 台 か ら退 出 す る 存 在 と して 現 実 を モ デ ル 化 す る こ と に 成 功 して い る 。 そ の 結 果,必 然 的 に 「継 続 的 取 引 」 の 概 念 が 新 た な 検 討 対 象 に な る の で あ る が,藤 本[1998]で は こ の 問 題 に 対 し て 優 劣 は 論 じ て い な い が,Williamson [1979]の 内 部 組 織 と取 引 コ ス トの 理 論 伊 藤[1989]で の 協 調 関 係 の 形 成 の 理 論 三 輪[1989]の 情 報 共 有 に よ る 積 み 重 ね 型 小 型 イ ノ ベ ー シ ョ ン の 理 論 な ど を 紹 介 し,支 持 して い る2°)。 ま た,藤 本 ・ク ラ ー ク[1989]で は,自 動 車 メ ー カ ー を 例 に 承 認 図,貸 与 図,市 販 部 品 別 に 全 部 品 調 達 コ ス トに 占 め る 割 合 を 調 査 し,部 品 メ ー カ ー の 開 発 関 与 度 を 日,米,欧 比 較 とい う 形 で 把 握 して い る 。 承 認 図 の サ プ ラ イ ヤ ー(原 著 で は 部 品 メ ー カ ー)か ら 調 達 す る 部 品 コ ス ト の 割 合 は 順 に 62%,16%,39%と な っ て い る2')。こ の よ う に 開 発 能 力 を 有 す る 部 品 サ プ ラ イ ヤ ー へ の 依 存 度 が 大 きい(特 に 日本 に お い て)こ と は 一 方 で サ プ ラ イ ヤ ー との 長 期 に わ た る コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン が 必 要 で あ る こ と を 示 唆 して い る 。 20)藤 本[1998]41-70頁 。 21)藤 本 ・ク ラ ー ク[1989]191-194頁 。 な お,生 産 コ ス ト全 体 に お け る 部 品 調 達 コ ス トは 日,米,欧 で は,70%,70%,60%で あ る と の こ と で あ る 。
こ の 問 題 に 対 す る 浅 沼[1990]の ア プ ロ ー チ は 電 気 ・電 子 機 器 産 業 の 事 業 所 で の 訪 問 調 査 に よ っ て 得 られ た 知 見 か ら 「格 付 け さ れ た サ プ ラ イ ヤ ー 群 に 対 す る 発 注 者 の 態 度 」 を 根 拠 と して 「長 期 ・継 続 性 」 を 抽 出 し よ う とす る も の で あ る 。A∼Dの 順 に ラ ン ク が 設 定 さ れAラ ン ク は ア トラ ク テ ィ ブ,Bラ ン ク は 努 力 次 第 でAラ ン ク へ 昇 進 可,Dラ ン ク は 「改 善 の 見 込 み な し」 と し た ば あ い,Cラ ン ク へ の 発 注 を 皆 無 に し よ う と は せ ず,一 部 は 能 力 バ ッ フ ァ と して 一 次 層 サ プ ラ イ ヤ ー に 留 め お き た い とい う 事 例 が 報 告 さ れ て い る22)。 同 様 に,Shank=Govindarajan[1993]で も 品 質 管 理 の 視 点 か ら キ ャ タ ピ ラ ー 社 を例 に 「1社 の 供 給 業 者 と の 長 期 的 な 関 係 を 結 ぶ こ と に よ っ て 長 期 的 に 高 品 質 と低 価 格 を 得 られ る 」23)ことが 強 調 さ れ て い る 。 5.ま と め これ まで の 考 察 か ら,戦 略 的 自製 ・外 注 管 理 会 計 あ るい は戦 略 的 購 買 管 理 会 計 の フ レー ムで,「 自製 ・外 注 」 問題 あ るい は 「購 買 管理 」 問 題 を位 置 付 け る ため に は以 下 の3点 が 重 要 な論 点 に な るで あ ろ う。 ① 経 営 戦 略 にそ っ た情 報 の 生 成 ・分 析 ・伝 達 とな って い るか 。 ② 経 営 の 各 プ ロセ ス は持 続 的 に改 善 され 続 けて い るか 。 ③ モ ニ タ リ ン グ24)対象 は 取 引 対 象 の 部 品 ・発 注 先 ・関係 を含 ん で い るか 。 管 理 会 計 担 当 者 自身 が この 仕 組 み の 設 計 者 で あ る必 要 は ない が,必 要 な イ ンプ ッ トを特 定 し,作 成 す る能 力 が 求 め られ る こ とに な る。 た とえ ば,「 原価 企 画 」 研 究 か ら得 られ た知 見 と して,開 発 の早期 段 階 で承 認 図 サ プ ラ イヤ ー をい か に参 加 させ るか が 開 発 の 成 否 を左 右 す るが,そ の た め の 情 報 は何 か を特 定 し,そ の 生 成 と伝 達 の 方 法 を知 って い な くて は な らな 22)浅 沼[1990]24-25頁 。 23)Shank=Govindarajan[1993]p213.(訳 書198頁 。) 24)小 林(哲)[1988]10-18頁 で は 組 織 デ ザ イ ン,内 部 組 織 の エ ンパ ワ メ ン トに 関 連 づ け た 双 方 向 型 情 報 の 概 念 が 詳 細 に 検 討 さ れ て い る 。
「自製 ・外注 」問 題 の研 究 方法 の検討 に向 けて 177 い25)。さ ら に,部 品 を購 入 す る こ とは技 術 力 を購 入 す る こ とで あ り,究 極 的 に はそ の 技 術 を有 す る組 織 力 を購 入 す る こ とで あ るか ら,納 入 単 価 や 品 質 につ い て の 情 報 は も とよ りそ の 低 減 見 込 や 改 善 見 込 み を確 実 にす る ため の 適 切 な イ ンセ ンテ ィブ な何 か を情 報 レベ ル で 共 有 させ る こ とに も精 通 して い る必 要 が あ る。 「取 引 関 係 」 につ い て,さ らに研 究 を重 ね る必 要 が あ る。 す な わ ち,浅 沼 [1990]の い うCラ ンク部 品 サ プ ラ イ ヤ ーの うち,と どめ お く相 手 を特 定 す る 情 報 につ い て も研 究 を進 め る こ とが 必 要 で あ る26)。 Shank=Govindarajan[1993]の い う戦 略 ポ ジ シ ョン を維 持 す る コス トと変 更 す る コス ト,戦 略 ご との コス ト管 理 シス テ ムの コス ト,こ れ らをサ プ ラ イ ヤ ー管 理 問 題 と して 操 作 可 能 な レベ ル に落 と し込 む研 究 が 必 要 で,そ こか ら 生 まれ て くる情 報 は上 記 の 諸 課 題 特 に ラ ンクCの サ プ ラ イヤ ー 管 理 に大 きな 示 唆 を与 え る もの とな るで あ ろ う。 この よ う に考 え る と,管 理 会 計 へ の 過 度 な期 待 を展 開 して い る よ う に受 け 取 られ る恐 れ が あ ろ うが,そ れ は管 理会 計 担 当 者 へ の個 人 的 な要 請 で は な く, 仕 組 み あ るい は組 織 と して の 役 割 期 待 に他 な らない 。 管 理 会 計 に対 す るあ るい は管 理 会 計 の 周 辺,境 界 領 域 に対 す る要 請 は実 務 が レリバ ンス を失 わ ない ため の 要 請 の 投 影 で あ って 説 明 の 精 緻 化 に終 わ って は な らない 。 参 考 文 献 Asanuma,B[1989]"Manufacturer-SupplierRelationshipsinJapanandtheConcept ofRelation-SpecificSkill",JournaloftheJapaneseandInternationalEconomies, No.3. 25)谷[1997]113-123頁 。 製 品 開 発 の コ ス ト ・マ ネ ジ メ ン トに つ い て,「 原 価 企 画 」 を 発 展 さ せ 超 え る た め の 模 索 の 方 向 と し て 「コ ン カ レ ン ト ・エ ン ジ ニ ア リ ン グ 」 の 概 念 が 検 討 さ れ て い る 。 26)企 業 間 連 携 の コ ス トマ ネ ジ メ ン ト 問 題 を 検 討 し た 研 究 に は 浅 田[2005],Cooper =Slagmulder[1999](清 水 ・長 谷 川 監 訳[2000])な ど が あ る 。
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ResearchDesignofMake-or-BuyDecision:
StateoftheArtandaNewParadigm
SAKATEKyosuke ThepurposeofthispaperistogiveafocusononedecisionmodelinMana- gerialAccountingwhichhaslostrelevancetopracticalusage,inthecircum-stancesofgrowingcompetition. "MakeorBuy"hasbeenatypicalalternativeselectionproblemattheplan - ningstageofafirmDecisionastoalternativeswillbeexecutedbytherespon- sibilityorganizationsusuallypurchasingdepartmentHence,tasksofmanage-mentaccountantsareresponsibleforthatchoiceasinformationgenerator. Managementaccountantsbeginwithdatagatheringforcomparativestud- iesandanalysiswhichmainlyconsistsofdifferentialquantitativefactorsre- latedtoalternatives-MakeorBuy.Inaddition,theactivitiesstartfromcon-siderablylatestageinthenew-product-development,sayatthepreparatory stageformassproduction. Aboveschemaistobeunderstoodeasilybecauseofstepstowardonedirec-tionhasbeendepictedinmanytextbooksandliteratureswhilepractical needsforsupportinginformationareofreciprocalatleastQualitativefactors alsohasnotbeentakenconsiderationsasinfluentialonesbecauseofthesophis- ticationofmulti-dimensionalquantitativemodelisnotestablishedyepInad-dition,thefeedertothemodelishistoricaltransactionrecordswhichmust bemaintainedinstitutionallyfortheoutsidestakeholdersofthefirm. Thus,themodelhasbeenlabeled"RelevanceLost:TheRiseandFallof ManagementAccounting"(JohnsonandKaplan)forthelasttwodecades. Duetoresearchactivitiesaswellasmanagementchallengesagainstthose situations,manyapproacheshasbeendevelopedand/orexperimented.Tar-getCostingandSupplierManagementareexamplesofthoseresearchwaves whereMake-or-Buydecisionmodelistobere-examinedandanewmethod一「自 製 ・外 注 」 問 題 の研 究 方 法 の 検 討 に 向 け て ologyistobeestablished.