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宮古島におけるサトウキビのブリックスの推移と1985/86年期のブリックス低下要因: 沖縄地域学リポジトリ

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Title

宮古島におけるサトウキビのブリックスの推移と

1985/86年期のブリックス低下要因

Author(s)

小浜, 継雄; 大城, 良計; 真栄城, 晃

Citation

沖縄農業, 22(1・2): 53-64

Issue Date

1987-11

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/1246

Rights

沖縄農業研究会

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宮古島におけるサトウキビのブリックスの推移と

1985/86年期のブリックス低下要因

小浜継雄*・大城良計・真栄城晃**

(沖縄県農業試験場宮古支場) TsuguoKoHAMA,YoshikazuOHsHIRoandAkiraMAEsI-IIRo:AnnualFluctuationofBrixValues ofSugarCaneandaViewontheCauseofthePhenomenonofLowBrixofSugarCaneinl985 TsuguoKoHAMA,YoshikazuOHsHIRoam ofSugarCaneandaViewontheCause /86HarvestedPeriodinMiyakolsland. なされていないことも一因であろう。そこで,宮 古島におけるサトウキビのブリックスの推移をそ の生育状況と関連させて検討することを通じて, 85/86年期のブリックス低下要因に関する若干の 考察を行ってみたので,ここに報告する。 本文に入るに先立ち,貴重な調査データの使用 を快く許して頂いた沖縄製糖株式会社工場および 宮古製糖株式会社城辺工場の関係者,本論文をま とめるにあたって有益な助言と校閲を頂いた沖縄 県農業試験場病虫部の藤崎憲治博士,種々の教示 を頂いた同場作物部の我那覇伊昭部長に対し厚く お礼申し上げる。また資料収集に便宜をはかって 頂いた沖縄県農業試験場宮古支場の伊志嶺正人氏 にもお礼を申し上げる。 1.はじめに 宮古島におけるサトウキビのブリックスは,数 年前までは18度台の比較的高いブリックスで安定 的に推移してきた。ところが,1984/85年期(以 下84/85年期と表記する)から85/86年期に2年 連続してブリックスが大きく低下した。特に85/ 86年期の落ち込み方は大きく,宮古糖業の危機と 言われる程の深刻な問題になった。幸いにも86/ 87年期には,ブリックスは18度台まで回復したが, サトウキビ買い入れ価格の頭打ち,ブリックスス ライド制の導入の動き等,昨今の沖縄の糖業をと りまく情勢は一段と厳しくなりつつあり,ブリッ クスの低下要因の究明とその対策は,緊急な課題 であることに変りはない。 85/86年期において,宮古島のサトウキビのブ リックス低下要因について,様々な考え方が提出 されたが,今なお見解の一致をみるには到ってい ない。これはサトウキビのブリックスに関与する 要因がさまざまであるため,その第一義的な低下 要因を明らかにするのは容易なことではないから であろうが,宮古における85/86年期の低ブリッ クスについては,その実態に関して十分な理解が 2.ブリックスに関与する要因 サトウキビのブリックスに関与する要因は,大 きく分けて,気象,土壌条件,栽培方法,品種お よび病害虫の5点にまとめられる。これらは,お 互いに複雑に絡みあってブリックスに関与してい ると考えられる。 ある地域のブリックスをみる場合,①長期的な 傾向,②年変動とその大きさ及び③水準の3つの 事柄に注目しなければならない。長期的な傾向に *現在沖縄県ミバエ対策事業所 **現在沖縄県農業試験場作物部

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沖縄農業第22巻第1.2併号(1987年) 54 3.宮古島におけるブリックスの推移 宮古島における65/66年期から86/87年期までの22 年間にわたる第1汁ブリックスの推移を第1図に示し た。これをみると,65/66年期から72/73年期までは, ブリックスは低下傾向にあるが,その後は上昇傾向に あり,76/77~83/84年期には1t較的高いブリックス で推移している。そして再ひ434/85,85/86年期と連 続してブリックスは大きく低下したが,翌86/87年期 には上昇した。この22年間において,宮古島の第1汁 ブリックスは:羽匂で17.68度,最低で15.75度(85/86年 期),最高19.37度(65/66年期)であった。ブリック スが15~16度台の低ブリックス年が,これまでに5回 記録されており,宮古島においては,4~5年に1度 の割合で大きなブリックス低下が起っている。このよ うに,宮古島におけるサトウキビのブリックスは,年 ごとにかなり大きく変動していることがわかる。 関与する要因としては,栽培技術(の変化)や品 種(の変遷),土壌条件等が考えられる。年変動 に関わる要因としては,気象があげられ,年変動 の大きさには,土壌条件や栽培方法などが関わっ ていると考えられる。水準に影響を与えるのは, 土壌条件や栽培技術および品種が考えられる。園 場間差のようなミクロな地域間差には,土壌条件 や栽培技術の他に病害虫も関与しているであろう。 たとえば,宮古地域における宮古島と多良間島を 比較してみると,多良間島は宮古島に比べてブリッ クスが高く,年変動の幅も小さいことが知られて いる(沖縄県農業試験場宮古支場,1987)。これ らのことは,両島の土壌条件や栽培方法の違いを 反映しているものと推察される。以上のように, ①~③に関与する要因は,それぞれ異なっている と考えられるので,個々に分けて検討する必要が ある。 y=-0.0012兆+17.76(r=-0.0083) 。 0 0 。

.○‐‐..-‐‐‐--.-‐‐--‐.‐.。・・、..。

● つ つ ● ●〆 の ● 。 L 0 。 ブリックス(%) 、。◎ C -b⑤C-b- 〆 。 。 、 。 ● ̄ ..・・、9--.---ず 。 、 0 。 。 0 65/66 7,'717Ey7S80/81 年期 第1図宮古島における第1汁ブリックスの年次的推移 第1汁プリックスの値は,宮古製糖城辺工場および沖縄製糖工場の 第1汁ブリックスをそれぞれの原料高で加重平均して求めた。 プリックスと年期との回帰直線でrは相関係数 ………-4項移動平均から求めた傾向線 85/86

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小浜.大城.真栄城:宮古島におけるサトウキビのプリックスの推移と1985/86年期のブリックス低下要因55

次に宮古島におけるブリックスの長期的な傾向 を検討してみた。84/85~85/86年期に連続して ブリックス低下がみられたので,85/86年期前の 65/66~84/85年期の長期的な傾向と75/76~84 /85年期の10年間の傾向をみた(第1図)。図中 の実線は,収穫年期と第1汁ブリックスとの回帰 直線である。直線は,わずかに負の関係を示して いるが,ほぼ横ばいで,長期的にはブリックスは 上昇,下降どちらの傾向もないことがわかる。第 1表は,マンの検定による75/76~84/85年期の 第1表宮古島における85/86年期前10年間のブリックスの傾向分析 マンの検定を用いた傾向分析。あらかじめ上昇傾向を仮定した場合はマイナスの数〔T(-)〕 下降傾向の場合はプラスの数〔T(+)〕を数える。そして,それらの数が10以下であれば片側検 定で5%の水準で有意性がある。ここでは,85/86年期前の過去10年間の低下傾向をみるために プラスの数を数えると,T(+)=18で,低下傾向はないと判断される〔T(-)=27で上昇傾向も 認められない〕。 収穫年期75/7676/7777/7878/7979/8080/8181/8282/8383/8484/85 第1汁プリックス')17.3718.7918.2218.3917.4018.5518.1718.12182416.28 75/冊十十十十十十十十 76/77 77/78+++ 78/79+ 79/別十十十十 80/81 81/82+ 82/83+ 83/84 1)第1汁ブリックスは,第1図に示した値と同じものである。 年間のプリックスの傾向を分析したものである。 これによっても,85/86年期前のブリックスには, 上昇・下降どちらの傾向もみられない。次に,65 /66~86/87年期の22年間にわたる全体的な傾向 を把えるために,移動平均(4項)から傾向線を 求めてみた(第1図の破線)。これをみると,ブ リックスは,65/66~72/73年期には低落傾向に あり,72/73~77/78年期には上昇傾向にある。 その後の77/78~82/83年期は,ほぼ横ばいで推 移し,最近になって再び下降傾向にあることが伺 える。大づかみでみれば,5~6年の短期的には, その間の年変動はあるものの,やや連続的なブリッ クスの上昇・下降あるいは横ばいの傾向が認めら れるが,長期にわたっては,上昇・下降どちらの 傾向も認められない。このことは,宮古島におい ては,ブリックスの長期的な漸減傾向は存在しな いことを示している。 4.85/86年期におけるサトウキビの生育状況 1)気象概況 宮古島における85/86年期(植付時期~収穫期= 1984年8月~1986年3月)の気象概況を第2図~ 第4図に示した。 平均気温は,1984年8月から1985年3月までと 1985年5月と10月に平年より高目に推移し,1986 年4月,6~9月そして登熟期から収穫期の1985

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沖縄農業第22巻第1.2併号(1987年) 56

7501 ▲

平均気温(℃) 、 ’

lh.lLA△

降水量(四

、ノ

9狸3 6 0 12 3(川 畑B4 m85 1B88 第2図宮古島Iこおける85/86年期の平均気温の月別 推移(沖縄気象台発行の気象月報より作図) 太線は平年の,細線は85/86年期の平均気 温を示す。黒ぬりの部分は平年よりも気温が 低いことを示す。 9123 69123(月) 」映兜 lB85 1986 第3図宮古島における85/86年期の降水量の月Bリ推 移(沖縄気象台発行の気象月報より作図) 細線は85/86年期の値,太線は平年値。黒 ぬりされた月は,平年よりも降水量が少いこ とを示す。

日照時間(h)

912369123.

1986(月)

1984 1985 第4図宮古島における85/86年期の日照時間の月別推移(沖縄気象台発行の気象月報より作図) 細線は85/86年期の値,太線は平年値を示す。黒ぬりの月は,平年よりも日照時間が少い ことを示す。 年11月から1986年3にかけて平年より低目であっ た(第2図)。降水量は,植付後の1984年9月か ら1985年1月まで,また生育期の1985年5月およ び6月に平年より少なかったが,生育期全般の降 雨条件は良好であった(第3図)。曰照時間をみ ると,1984年11月から1985年2月,1985年12月か ら1986年3月の冬期に平年を下まわったが,生育 期全般にわたっては,ほぼ平年を上まわっており, 比較的多照の条件にあった(第4図)。 台風は,1985年7~8月と10月にそれぞれ1個 ずつ接近したが,いずれも平均最大風速が16.5~ 208m/sの弱いものであった(第2表)。 2)生育状況 第5図,第6図および第7図に,85/86年期に おけるサトウキビの仮茎長および茎長の月別推移 を示した。6~7月にはすでに,平年を上まわる 茎の伸長を示しており,早い時期からサトウキビ の生育が良好であったことが分る。沖縄製糖株式

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小浜.大城.真栄城:宮古島におけるサトウキビのブリックスの推移と1985/86年期のブリックス低下要因57

第2表宮古島における台風の襲来とブリックスとの関係 表中の数字は,宮古島地方気象台で観測された台風の最大風速(m/s)を示す。 *印は,宮古島に上陸,または接近した台風で,その他は宮古島近海を通過した台 風である。 7月8月9月10月 上旬中旬下旬上旬中旬下旬上旬中旬下旬上旬中旬下旬二 11月 中旬下旬 年期 890123456 778888888 ///////// 而氾門別Ⅲ皿別別筋 16.8 11.0 12.8 17.5 * 26.4 14014.2 18.22 18.39 17.40 18.55 18.17 18.12 18.24 16.28 15.75 15.8 12.4 11.9 本 28.416.4 14.4 21.4 142 13.5 16.5 14.5 16.5 15.3 16.6 16.9 * 23.6 16.6 * 19.0 * 20.8 本 16.5 1)第1汁ブリックスは,第1図に示した値と同じものである。 会社工場の21年間(66/67~86/87年期)にわた る調査によれば,85/86年期のサトウキビの茎長 は,これまでの最大であった。ここで注目される のは,9~10月の伸長量が平年に比べて大きいこ とである(第6図および第7図)。 茎長(巴 300 C O 2 仮茎長(、) 6789101112月 第6図宮古島における85/86年期のサトウキビ茎長 の月別推移(沖縄製糖工場の調査データより作 図) 夏植,一○-85/86年期,-④-66/67~84/ 85年期の平均で,縦線は標準偏差を示す。 85/86年期のサトウキビは,生育初期から旺盛な 伸長があり,登熟直前まで,よく伸長したと言え よう。伸長率とブリックスとは負の関係にあり, 茎がよく伸長している時期にはブリックスは低く, 茎の伸長が緩慢あるいは停止するとブリックスは 上昇することが知られている(久貝,1980及び砂 川ら,1970)。このことからすると,85/86年期 のサトウキビは,登熟が遅れたものと考えられる。 678910月 第5図沖縄県農業試験場宮古支場気象感応試験(夏 植,Nco310)におけるサトウキビ仮茎長の推移 一○-85/86年期, -82/83~86/87年期の平均

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沖縄農業第22巻第1.2併号(1987年) 58 10

EInfl牛I

5 生葉数(枚) 茎長(巴 耳 q b 邸 ○ 4 345678910111212月 第7図宮古島における85/86年期のサトウキビ茎長 の月別推移(宮古製糖城辺工場の調査データよ り作図) 全作型こみ,-0-85/86年期, -●-76/77~85/86年期の平均 0 第8図85/86年期における生葉数の推移(宮古支場 気象感応試験,夏植Nco310) -0-85/86年期(…○一非出穂茎,-A… 出穂茎) -$77/76~85/86年期の平均,縦線は標準 偏差を示す。 沖縄県農業試験場宮古支場におけるサトウキビ の気象感応試験(夏植)で調査された月別の生葉 数の推移を第8図に示した。生葉数は,3月から 6月までは7~7.5枚で,これまでの9年間の平 均値よりも少ないが,7月から10月にかけては7.4 ~8.3枚で多かった。11月以降の生葉数について はデータが乏しく比較するのはむつかしいが,出 穂茎では11月時点で6.9枚,12月には40枚に,1 月には0.9枚に減少し,2月には枯れ上がった。 非出穂茎では,12月に5.9枚,1月に4.8枚,2月 時点には3.4枚の生葉があった。以上のように, 出穂茎では1月以降ほとんど生葉がなく,側枝数 も茎当り平均で1月に1.1本,2月に1.4本と少な かった(気象感応試験のデータ)。気象感応試験 (夏植)の調査結果によると,85/86年期の出穂 率は44.5%で,最近の10年間の平均32.4%より高 かった。85/86年期においては,12月下旬から1 月上旬にかけて青葉の枯れ上がりが激増したとい われている(沖縄県農業試験場,1986)が,具体 的なデータはほとんどない。気象感応試験の結果 からは,少なくとも収穫茎の半数近いサトウキビ で,出穂のため1月以降に青葉が枯れ上がったも のと推察される。 XXH RXBOOC J2 75/77880/8185/88 年期 第9図宮古島におけるサトウきびの原料茎数の年次 的推移 夏植で,品種はNco310 ÷宮古支場気象感応試験(2月調査) -ひ沖縄製糖工場(12月調査)

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小浜・大城.真栄城:宮古島におけるサトウキビのブリックスの推移と1985/86年期のブリックス低下要因59

最近の10年間における収穫茎数の推移を第9図 に示した。85/86年期においては,農家圃場およ び気象感応試験圃場とも,最近の10年間で最も茎 数の少ないことがわかる。 3)収量およびブリックス 宮古地域における65/66~85/86年期にわたる 21年間の収量の推移を第10図に示した。85/86年 期は,84/85年期に次いで,この間で2番目に高 い収量であった。ここ数年の宮古における単収増 は,収穫面積に占める夏植の割合が増加したこと による(第11図)。 /10a(長期旱ばつによる異常な低収量を除く) であることからすれば,85/86年期の単収はかな り高いものであったと言える。 第12図および第13図に,85/86年期におけるブ リックスの月別の推移を示した。宮古島の製糖工 場2社のデータでみると,登熟初期の10月時点で, 過去10年間の平均値よりもすでに15~1.9度ブリッ クスは低く,その後のブリックスの上昇カーブは, 概ね平年並であったため,収穫期まで10月時点の 差は縮まることなく,最終的にも低ブリックスで あった(第12図)。 α 収量(1)/、)

|ノー二二A

ブリックス(%)

二二二二二二二>ここ二二二二二二

収穫年期 第10図宮古地域におけるサトウキビ収量の年次的推 移(沖縄県農林水産部発行の糖業年報より作図) 白丸は全作型の平均収量で,黒丸は夏植の収 量である。 10 m 12 1 23(、 第12図宮古島における85/86年期のブリックスの旬 別推移 10月から12月までは圃場ブリックスで,1月 から3月までは鑑定ブリックスで示す。 上図:宮古製糖城辺工場調べ,白丸は85/86 年期の,黒丸は78/79~84/85年期の 平均ブリックス 下図:沖縄製糖工場調べ,白丸は85/86年期 の,黒丸は75~76~84/85年期の平均 ブリックス 比率(%)

山Ⅲ

収穫年期 第11図宮古における収穫回槙に占める夏植の割合の 推移(沖縄県農林水産部発行の糖業年報のデー タより作図) 気象感応試験においてもほぼ同様で,10月時点で 過去の平均値より約1.5度低く,その後上昇して 1月には平均値に近づいたが,2月には約1度の 差があった(第13図)。以上のように,85/86年 期におけるブリックスの推移の特徴として,登熟 初期においてすでに過去の平均値より2度近くも 低かったことが上げられる。10月以降の上昇は概 ね順調で,10月から2月にかけてのブリックスの そこで夏植の単収についてみると,84/85年期の 8.5t/10aを最高に,78/79年期の8.2t/10a と8t/10a以上が2回記録されており,85/86 年期の7.9t/10aはこれらに次ぐものである。 これまでの宮古における夏植の平均単収が6.6t

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沖縄農業第22巻第1.2併号(1987年) 60 上昇程度をみると,ブリックスの高かった86/87 年期よりも大きい(第3表)。これらのことから, 登熟期~収穫期におけるブリックス上昇の阻害要 因は考えにくく,10月以前に何らかのブリックス 低下要因が存在したものと考えられる。

<1

プリックス(%) 5.収量および茎長とプリックスとの関係 第14図は,宮古における最近の6年間の収量, 産糖量,プリックスおよび歩留りの推移を示した ものである。収量水準の高い84/85年期および85 /86年期はともにブリックスと歩留りが低く,結 果として単位面積あたりの産糖量も減少している。 第15図に,宮古における最近8年間の夏植の茎長 10111212(月) 第13図85/86年期における宮古支場気象感応試験 (夏植)の月別のブリックスの推移 ○85/86年期 ●76/77~84/85年期の平均,縦線は標 準偏差を示す。 第3表宮古島における登熟期(10月)から収穫期(2月)にかけてのブリックスの上昇程度 ブリツクス 85/86年期86/87年期 平均(±S苑)

朋明差

14.74 17.47 +2.73 17.71 1952 +1.81 16.19 18.62 +2.45(±1.51) 気象感応試験圃場!)

朋明差

141 159 +1.8 16.8 18.4 +16 15.7 18.1 +24(±1.5) 農家圃場2) 1)ブリックスは比重計の値で示す。平均ブリックスは1976/77~85/86の平均。夏植。 2)10月は圃場ブリックス,2月は第1汁ブリックスの値である。平均ブリックスは1975/76 ~84/85の平均。データは沖縄製糖工場調べ。全作型こみ。 とプリックスとの関係を示した。プリックスの低 下した84/85,85/86年期には茎長が大きい。特 に85/86年期の茎長は極めて大きく,この図から は,茎長の大きさとプリックスの低下とは関係し ているようにみえる。第16図は,1枚の畑から得 られた茎長とプリックスの関係を示したものであ る。茎長とプリックスとの間には,負の関係が認 められ,特に大きな茎においてブリックスは低い 傾向にある(小浜,1987)。以上のように,収量 および茎長とブリックス低下とは,関係があるよ うにみえる。 6.85/86年期におけるブリックス低下要因の検 討 宮古島においては,ブリックスの長期的な漸減 傾向は認められず,85/86年期のブリックス低下 は,単年的な現象であったと考えられる。同年期 のサトウキビは,生育が極めて良好で1茎重が大 きいため,茎数は少なかったものの収量は高かっ た。その反面,ブリックスは大きく低下した。ブ

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小浜.大城.真栄城:宮古島におけるサトウキビのブリックスの推移と1985/86年期のブリックス低下要因61

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ユミヘノ己豈 歩留り(%) ブリックス(%)

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250300 茎長(c、) 第16図茎長と部位別ブリックスとの関係(小浜,1987) 茎長とブリックスは,それぞれ10本当りの平均 で示す。rは相関係数で,**は1%水準で有 意性があることを示す。

T、

産糖量(場辿

リックスは,10月において過去の平均より2度近 く低く,その後の上昇は概ね良かったので,ブリッ クス低下の主要因は,10月以前にあったと考えら れた。そのことから,生育とブリックスとの関係 が示唆された。沖縄県農業試験場(1986)の報告 によれば,宮古島においては,サトウキビの第1 汁ブリックスを低下させる気象因子として,①生 育旺盛期(7~9月)の台風,②生育旺盛期(7 ~9月)と収穫期(1~2月)の多雨,③登熟期 (10~12月)の高温と少照を上げている。そして 結論として,85/86年期におけるブリックスの第 一次的要因として,8月の大雨と7~8月の台風 の2点を上げている。8月の大雨は,中旬(514 m)と下旬(237mm)に記録されており,上旬は0 mmであった。8月下旬の大雨は,台風によっても たらされた。ふつう台風は,茎葉の折損傷を生じ させるため,マイナスのイメージを与えるが,本 年期のように弱い台風の場合は,雨をもたらすた め,むしろ生育にプラスに作用すると考えられる。 このことは,7~8月の剪葉はほとんどブリック スに影響を与えないとするサトウキビの剪葉試験 (夏植)の結果(大城・仲宗根,1985,1986)と も合致する。85/86年期は,9~10月に平年を上 まわる伸長率があったが,8月下旬の大雨は,そ の伸長率に影響を与えたに違いない。 一般に,収量とブリックス(または歩留り)と

a 収量(1)/、) よ-わ 8dB185A86 第14図宮古地域における収量,産糖量,ブリックス, 歩留りの推移(沖縄県農林水産部糖業年報より 作図) Ⅱ■

/1

t_ノ ブリックス(%) 茎長(巴 8m8185A86 第15図茎長(夏植)とブリックスとの関係(沖縄製 糖工場の調査データより作図) -小茎長(11月調べ,Nco310), -2月下旬の第1汁ブリックス

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沖縄農業第22巻第1.2併号(1987年) 62 の間には負の関係があることが知られている。こ こで84/85,85/86年期はともに収量が高く,か つ低プリックスであったことに注目すべきである。 Dillewijn(1952)は,ジャワにおける例を上げ, 一般に薦茎収量が増加するにつれて(比例的な現 象ではないが)製糖率は低下することが証明され ていると述べている。宮平・神谷(1986)の行っ た株出回数試験によれば,NCo310,IRK67-1, F161およびRK65-37の4品種とも,多回株出 栽培に伴って収量は低下していくが,ブリックス は逆に上昇する傾向を示し,両者の間には明瞭な 負の関係が認められた(第17図)。しかしながら 収量を構成するのは,茎数と1茎重である。ど ちらか一方が大きいか,両者とも大きい場合に収 量は高くなる。小浜(1987)は,茎長とプリック スとの間に負の相関のあることを認め,特に大き な茎でブリックスが低いことを報告している。ま た,宮古島における点滴かんがい試験の結果によ ると,かん水区は収量が高く,ブリックスは低い 傾向にあった(沖縄県総合事務局農林水産部土地 改良課,1982~84)。かん水区は,無かん水区に 比べて茎数が多い場合も少い場合もあるが,いず れの場合でも茎の伸長が著しく,収量は1茎重の 大きさによって引き上げられていた。以上のこと は,収量とブリックスとの関係を論ずろ際に,収 量構成要素の1つである1茎重が,ブリックスに 大きく関わっている可能性のあることを示唆して いる。ところで,久貝(1980)は,倒伏したサト ウキビでは直立茎に比べてブリックスが低いこと を報告している。伸長が良好なサトウキビは倒伏 しやすいので,ブリックスの低下に倒伏が関わっ ている可能性もある。しかしながら,倒伏がブリッ クスに及ぼす影響については十分に明らかにされ ていないので,両者の関係は今後の課題として残 されよう。大きく伸長したサトウキビのブリック スの低さは,茎の伸長率との関係で説明づけられ るようである。茎の伸長率とブリックスとの間に は,負の関係があり,伸長が抑制されることによっ て,糖の蓄積を高める(砂川ら,1970,久貝,1980)。 糖の蓄積は,光合成生産物の分配によって決定さ れると考えられる。・作物体の消費した残りが蓄積 にまわる(Dillewijn,1952)ので,茎が過度に伸 長すれば,それだけ糖の蓄積は少なくなるであろ う。したがって,収穫期に近づくにつれて伸長速 度を抑制していくことは,成熟を促進させること に役立ち,このようにすれば,生長のために消費 される乾物に対する,蕨糖として蓄積される乾物 の割合が増加する(Dillewijn,1952)ことも理 解できる。85/86年期のサトウキビは,登熟直前 ○Nco310 ●F161 △IRK67-1 ▲RK65-37 ● ● 。 。● プリックス(%) △● ① △

4A」6

△ 6▲▲

と。

● 6810廻以 収量(t/10a) 第17図収量とブリックスの関係(宮平・神谷,1986 より作図) 藍(1944)は,収量と歩留りとの間には,年度や 土壌型によって負の関係が認められたり,認めら れない場合があることを報告している。池田(19 77)によると,種子島では単収とブリックスとの 間に高い負の相関が認められるが,沖永良部や与 論島においては逆に正の相関があり,その他の島々 では相関はなかったという。このように,収量と ブリックスとの間には,明瞭な負の関係がない例 も多く知られてはいる。

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小浜.大城.真栄城:宮古島におけるサトウキビのプリックスの推移と1985/86年期のプリックス低下要因63

まで旺盛な生育を示しており,そのために糖の蓄 積が遅れたものと考えられる。そのことが,10月 時点のブリックスの低さを説明づけているに違い ない。そして,かなり大きな茎ゆえに,最終的に も十分な糖の蓄積ができずに,結果として低ブリッ クスになったのであろう。 以上のように,85/86年期のブリックス低下は, 生育後期までに及んだ極めて旺盛なサトウキビの 伸長による1茎重の増大に起因していると考えら れる。したがって,85/86年期におけるブリック スの低下は,第一義的には生育に好適な気象条件, とりわけ降水量の影響によるものであったと考え られる。 宮古地域は,他の地域に比べてブリックスの水 準が低い(第4表)。さらに,宮古地域において みてみると,多良間島は,ブリックスの水準が高 第4表沖縄県における地域別ブリックスの比較 沖縄群島 沖縄県全体 宮古群島八重山群島 北部中部南部 平均プリックス、 変動係数(0V・%) 18809 3.10 17.85 5.60 18.13 3.36 17.94 418 18.20 467 18.36 3.43 !)沖縄県農林水産部発行の糖業年報のブリックスデータを用いて計算した。 ブリックスは鑑定ブリックスで,1967/68~84/85年期の平均で示す。 く,年変動の幅も小さくてブリックスの推移は安 定的である。その上,多良間島は,収量水準も高 い。宮古島は逆に,ブリックスの水準が低く,年 変動幅が大きく,収量レベルも低い(沖縄県農業 試験場宮古支場,1987)。これらの点は,宮古島 における低ブリックス問題を検討する上で重要な 事柄と考えられる。さらには,収穫期における青 葉の枯れ上がり現象にみられるように,生育後期 のサトウキビの活力低下も宮古島の重要な特徴点 として上げられる。このような,ブリックスの水 準や年変動幅の大きさ,サトウキビの活力低下な ど宮古島と多良間島の間にみられるような地域間 の差を生じさせる要因として,土壌や栽培法が関 わっている可能性が強い。その中でも,土壌は重 要と考えられる。櫃田(1986)は,宮古島の土壌 の問題点として,pHが高いこと,Ca含有率およ びCa/Mg比が高いこと等を上げ,亜鉛を中心 とした微量要素欠乏の可能性を示している。そし て,亜鉛の欠乏が,ブリックス低下と関係してい る可能性についても述べている。先に述べたよう に,土壌はブリックスの年変動を引き起こす第一 義的な要因としては考えにくいが,水準や年変動 の幅,サトウキビの活力低下に関与していること は,ほぼ間違いない。その他に,サトウキビの収 穫茎数の少い点も,宮古島における栽培上の問題 として上げられる。沖縄県の主要品種であるNCo 310は,茎数型の品種であるが,宮古島において は,茎重型の栽培になっている。そのことが,85 /86年期の過度ともいえる1茎重の増大を生みだ したのであろう。 以上のように,宮古島におけるサトウキビのブ リックス低下は,土壌および栽培法の問題を含め て検討していく必要がある。85/86年期のブリッ クス低下は,単年的な現象と考えられ,その第一 義的な要因としては気象,その中でも降水量が考 えられた。しかしながら,そのような単年的な要 因だけでなく,第二次的要因とも言える土壌や栽 培法などが,ブリックス低下に大きく関与してい ることは,宮古島と多良間島との比較からも明白 であろう。そういう意味では,85/86年期のブリッ

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沖縄農業第22巻第1.2併号(1987年) 64 クス低下は,宮古島におけるサトウキビの栽培条 件を背景にした低ブリックス現象としておさえる ことができる。したがって,プリックスの地域間 差を生み出すであろう土壌条件や栽培法が改善さ れることによって,宮古島のブリックスの水準が 高くなり,年変動幅も小さくなるならば,少なく とも低プリックス年における被害の程度は,現在 よりは小さくなるであろう。ブリックスを向上さ せるためにも,低ブリックスの対策をはかる上か らも,地域間差(圃場間差も含めて)を生じさせ る要因の解明が急がれる。 ける亜鉛を中心とした微量要素欠乏の可能性に ついて.農技協だより,特別研究レポート,(1): 1-9 4)池田三雄,1977.南方諸島におけるさとうき びの搾汁液のBxの年変動と連関する要因. 熱帯農業,21:5-9. 5)小浜継雄,1987.1筆の圃場においてみられ たサトウキビの茎長とブリックスとの関係.沖 縄農業,22:1-4 6)久貝晃尋,1980サトウキビのブリックスに 影響する要因について.沖縄甘薦糖年報,09: 55-71. 7)宮平永憲・神谷寿幸,1986株出栽培が収穫 形質および収量品質に及ぼす影響.昭和60年度 サトウキビ関係試験成績概要書,194-195. 8)大城幸尚・仲宗根盛徳,1985.夏植における 剪葉および折損試験.昭和59年度サトウキビ関 係試験成績概要書,224-225. 7.摘要 宮古島においては,ブリックスの長期的な漸減 傾向は認められず,85/86年期におけるブリック ス低下は,単年的な現象と考えられた。85/86年 期のサトウキビは,1茎重が極めて大きく,収量 も高かった。1茎重とブリックスとの間に負の関 係がみられることから,同年期のブリックスの低 下は,l茎重の増大に起因しており,第一義的な 低下要因としては,1茎重の増大を生み出した生 育期の気象条件,その中でも降雨条件が考えられ た。宮古島はブリックスの水準が低く,年変動幅 も大きく,生育後期のサトウキビの活力低下もみ られることから,土壌や栽培法も二次的にブリッ クス低下に関わっていることが伺われた。したがっ て,85/86年期においては,気象と栽培条件が絡 み合って,大きなブリックス低下を引き起したも のと考えられた。 9) ● 1986.同上.昭和60年度サ トウキビ関係試験成績概要害,198-199. 10)沖縄県農業試験場,1986.宮古島における低 ブリックス実態調査報告書(昭和60/61年期), pp3.,付資料編,pp28 11)沖縄県農業試験場宮古支場,1987.宮古地域 さとうきび低ブリックス要因追跡調査検討資料, pp、17. 12)沖縄県総合事務局農林水産部土地改良課, 1982.点滴かんがい調査報告書,昭和55.56年 度.ppl53. 13) 1983.同上,昭和56.57年 8.引用文献 1)藍青也,1944.薦茎の収量と歩留.台湾蕨 作研究会報,22:14-16 2)Dillewijn,0V.,l952Botanyofsugar‐ cane(内原彪訳,1971.甘薦植物学)琉 球分蜜糖工業会,pp、271. 3)櫃田木世子,1986.宮古島のさとうきびにお 度.ppl51. 14),1984同上,昭和57.58年 度.pp233 15)砂川浩一・我那覇伊昭・田名広助,1970.サ トウキビの登熟についての考察.沖縄農業,9: 1-8.

参照

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