2
5
9
エネルギー・資源■
研究論文
■
動的交通流モデルを用いた電気自動車導入の現境影響評価
Environmental Evaluation of I
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with Dynamic Traffic-Flow Model
工 藤 祐 揮 * ・ 石 谷 久**•松橋隆治*** •吉田好邦****
Yuki Kudoh
Hisashi I
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Ryuji Matsuhashi
Yoshikuni Yoshida
盛 田 幸 治 * * * * *•香月伸—******* •小林 紀******
Kouji Morita
S
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Katsuki
Osamu Kobayashi
(原稿受付日
1
9
9
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年4
月2
6
日 , 受 理 日1
9
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年1
0
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5
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1
.
はじめに
首都圏の自動車交通による都市環境の悪化は,様々 な対策が講じられてきたにもかかわらず,依然として 大きな社会問題として残されている.また現代の自動 車社会にあって,運輸部門におけるエネルギー消費の 拡大に伴い,温室効果ガスであるC応排出量も増加し ている.例えば,東京都全体のCむ排出量のうち,運 輸部門からの排出量は約4
5
%と際立って大きく叫 し かもそのほとんどが自動車に起因するものである地 球温暖化防止京都会議(COP3)
で決定された温室効 果ガスの削減目標の国際公約を実現するためには,運 輸部門においても地域性を考慮した上でのC応排出量 削減対策が必要不可欠であり, こうした背景から,低 環境排出物量かつ,高エネルギー効率・低CO,
排出量 *東京大学大学院工学系研究科地球システム工学専攻博士課程 * * II II II 教授 ***”
新領域創成科学研究科環境学専攻助教授 **** II 工学系研究科地球システム工学専攻助手 〒113-8656東京都文京区本郷 7-3 -1 *****日産自動車陳総合研究所動力環境研究所技師*
*
*** *”
”
”
主任研究員 〒237-8523神奈川県横須賀市夏島町 1 *******日産自動車獨総合研究所車両交通研究所ツニアリサーチェンジニア 〒104-8023東京都中央区銀座 6-17-1 の代替燃料車の開発が進められている.その一つであ る電気自動車(EV)
は,走行性能は現行車にほぼ匹 敵するものが達成できているが,普及は進んでいない. その原因の一つには,電池性能に起因する航続距離の 制約が挙げられる. 自動車のエネルギー消費量や環境排出物量は,経済 速度よりも走行速度が低下することにより増加する. 走行速度の低下を及ぼす主な要因は交通集中に伴う渋 滞の発生であり, こうした交通現象を考慮するために は交通流を動的に扱う必要がある. 交通流を考慮して首都圏の自動車交通における環境 改善を評価した研究は数多く存在する3) 4)が, これら の研究における交通流は静的な定常流の評価であり, 動的に扱っていない.一方,交通工学の分野では交通 流を動的に処理しているものがある5) 6)が, これらは 実際の交通流を再現するためのモデル構築に目的がお かれているため,対象地域が狭い範囲に限られており, また環境評価について言及されたものは少ない. そこで筆者らは,時間変化に伴って変動する交通量 と個々の車両の速度変化を再現できる動的交通流モデ ルを構築した.本研究では動的交通流モデルを用い, 代替燃料車としてEV
が東京近郊の交通ネットワーク に導人された場合の環境影響評価を行った.-60-2
.
動 的 交 通 流 モ デ ル の 概 要 本研究で構築したモデルはSOUNDモデル5)を基に, 対象ネy トワーク地域を東京23区とその周辺に拡大し, さらに自動車の走行に伴うN仇 排 出 量 エ ネ ル ギ ー 消 費量とそれに伴うCい排出量を算定できるように改良 した. このモデルは, リンク*1上の車両個体の移動を 評価する車両移動モデルと,各経路の目的地までの所 要時間に応じて車両を配分する経路選択モデルから構 成される.車両移動モデル内の車両は,経路選択モデ ルで求められる配分率に従いネットワーク上を移動す る. 図1 動的交通流モデルの概要 2.1車両移動モデル SOUNDモデルは高速道路網を対象としたモデルで あり,車両は1台ごとの追従に従ってリンク上を移動 する.本稿で構築した動的交通流モデルのように,一 般街路網を含むネットワークに対して同様の手法を適 用すると,計算負荷が増大する.そこで6)を基に,一 般街路網においても実際の交通現象の特徴を失わず, かつ計算時間を短縮できるように改良を加えた.以下 にその詳細を示す. 2.1.1車両の発生・消滅 車両は,交通量データ (3.2参 照 ) に よ っ て 各 ゾ ー ン*2に振り分けられた交通量に従い発生。消滅する. 各ゾーンには1 24個のノードが存在し,車両のOD ごとに各ゾーン内でこれらのノードパの1つをランダ ムに選択して発生・目的ノードを設定する. 目的ノー ドに到着した車両は, トリップが終了したものとして ネットワーク上から消滅する. 注1)交差点間を結ぶ道路 注 2)各行政区域ごと,あるいはそれらをさらに分割したエ リア. これをBゾーンと呼ぶ. 注3)交差点 2.1.2車両の移動 各リンク上に存在する車両は, リンクに流入した順 にリンクから流出するFIFO (
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Out)
を原則とし,各車両を1
列に並ばせる.従って計算上 は片側]車線とし,実際に車線数がn車線ある場合は,1
車線の場合の1
/n
に間隔を詰めてリンク上に車両 が存在するものとした. 車両は各リンクの制限速度Vm,,[km/h]よりも 早い速度では走行しないものとする.従って車両があ るリンクを通過する際の所要時間は, そ の リ ン ク を Vmaxで走行したときの所要時間(自由走行時間) TF [sec]よりも短くなることはない. リンク内走行車両群 流出可能車両群ー
*
ノード ノード 駒 自由走行時間TF 待ち行列による時間損失 リンク旅行時間 図2 リンク上での車両の扱い ここで, リンク上の各車両を図2にようにリンク内 走行車両群と流出可能車両群の2つのパケットに分け る. ①リンク内走行車両群 リンクに流入してからの経過時間がそのリンクの 1\に達しておらず, リンクから流出する可能性のな い車両群 ②流出可能車両群 リンクに流入してからの経過時間がTF以 上 経 過 し ている車両であり,流出可能条件を満たせばリンクか ら流出する可能性のある車両群 2.1.3リンクからの流出 流出可能車両群は交差点での待ち行列であり,交差 点の容量と次に進むリンクの容量に従って流出する. すなわち,1
イベントスキャン*4 (4t
秒 ) あ た り の 流出可能台数よりも,そのリンクから流出した車両台 数が同じかそれ以下で,かつ経路選択モデルにより決 定される次に進むリンクにその車両を受け入れること ができる容量がある場合に,流出可能車両群の先頭車 両から順に次のリンクに流出する. 注4)モテル上の計算時間の間隔. タイムステノプ2
6
1
2
.
1
.
4
プロッキング現象の回避 モデル上では車線の概念を取り入れていないので, 流出可能車両群でFIFO
を原則とすると,流出可能車 両群の先頭車両がリンクから流出しない限り後続車両 は流出できず, ブロッキング現象が起こってしまう. そこで,右左折レーンの存在なども配慮し,流出可能 車両群の先頭車両以外の車両について,次のリンクに 流出可能な場合には,その車両よりも前方に存在する 車両を飛び越して流出させるようにする.つまり,同 ーリンクに進む車両についてはFIFO
を原則とするが, 他のリンクに進む車両については随時順番を入れ替え る.2
.
2
経路選択モデル2
.
2
.
1
ノード間の最短所要時間の算出 経路選択モデルでは,まず車両移動モデルによって 得られる各リンクの所要時間を用いて,各ノード間の 最短所要時間を算出する. これには動的計画法の1
つ であるWarshall-Floyd
法”を用いて,最短路問題を 解くことによって算出する.Warshall-Floyd
法は任 意の2
点間の最短路を求める際に最も計算効率が高い 方法であるといわれ,計算の繰り返し回数は(ノード 数)3のオーダーである.2
.
2
.
2
経路選択率の設定 各車両のドライバーは意志を持っているため,2
.
2
.
1
で最短経路が決定されるが,経験的に最短経路より 多少時間がかかっても他の経路を選択する可能性があ る.そこで, このドライバーの意志を経路選択に反映 させるため,交通工学の分野でしばしば用いられるDial
配分を用いて定式化した.Dial
配分とは,経路がn
本あり,それぞれの経路k
の所要時間が恥で与えられるとき,経路Kの選択確率 P(k)が( 1) で与えられる配分法である. この配分 法により,所要時間が長い経路の選択率は,所要時間 が短い経路の選択率よりも相対的に低くなる. P ( k ) = ~ " こ exp(-0• り) i=] (1) 0 :Dial
配分パラメータ[/min]
また, P(k)はDial
配分のイベントスキャン(4tD
秒)ごとに更新する.3
.
使 用 デ ー タ ・ 条 件 設 定 3.1道路ネットワークデータ 図3に対象ネットワーク地域を示す.ネットワーク エネルギー・資源 川崎 図3 対象ネットワーク地域 データは図3の地域内で,平成2年の道路マップに掲 載されている高速道路,国道,都県道と主要道の一部 を抽出して作成した. ノード数:6
0
1
リンク数:2
0
0
0
(上下線別) (一般道:1
6
9
0
,
高速道路:1
8
8
,
接続道:1
2
2
)
3
.
2
交通量データ 建設省関東地方建設局平成2
年度平日B
ゾーンOD
データ •5 を使用した.車種は,軽乗用車,乗用車,バ ス,軽貨物車,小型貨物車,貨客車,普通貨物車,特 種車の8車種である. 対象ネットワーク圏外の交通量は,園内の高速道路, 国道,一部の一般道の端点を発着するものとした.圏 外OD
を12)より得られる各道路の2
4
時間断面交通量と ほぼ同じ値になるまで割り当てて作成した.また,1
つのB
ゾーンに含まれるノードが4
個以上のゾーンに 対しては内々トリップを考慮した. なお,データの制約上,通過交通に関しては考慮し ていない. 対象ネットワーク内B
ゾーン数:1
0
2
対象ネットワーク外で,流入流出を考慮したB
ゾーン 数:5
7
3
.
3
時間帯別交通需要の設定 8), 9)を参考に,都市部における一般的な時間帯 別交通需要を作成した(図4)
.地域を東京2
3
区内と その他の地域の2
つに分け,4
つの組み合わせに対し て3種類の時間帯別交通需要を与えた. 3.4 NO排出係数の設定NO
排出量は,各リンクから流出・消滅した各車両 注5
)
車両の起点(
O
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)
. 終 点(
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)
がB
ゾー ンごとに与えられているデータ-62-10% 9% 8% 7% 脳 6%
=
5% 似 4% 3% 2% 1% 0%゜
—← 23 区外→ 23区内 一11-23区内→ 23区外 ) 9 4 6 図4
8 10 12 14 16 18 20 22 24 時間帯[時台] 時間帯別交通需要 図6
走行シミュレーションモデルの概要 7 6 5 4 3 2 [ E 子\ X O Nし ] u o -s -s 百 e x O N゜
゜
→一軽乗用車→←小型貨物車 →←乗用車 →←貨客車 →←バス →一普通貨物車 →←軽貨物車ー一特種車 走行シミュレーションモデルでエネルギー消費特性 を算出できない車種については,使用燃料別に最終需 要値11)と,実燃費の推計値から算出した換算係数を乗 じることによって求めた.換算係数算出のためには, 最終需要値,実燃費データを用いた.また,バス,普 通貨物車,特種車についてはEVに代替できないもの とした. 20 40 60 Vaverage[km/h] 80 表1 図5 NOX
排出係数 LA電 池 のリンク内平均車速から定まるNOX
排出係数10)(図5) とリンク長から求める. 平均車速が80km/h
以上,またはlOkm/h
未満の 場合は,それぞれ80km/h, lOkm/h
のときと排出 係数が等しいものとする.3
.
5
エネルギー消費特性の設定 エネルギー消費量は,NO,
排出量と同様に各車種の エネルギー消費特性の設定とリンク長から求める. 乗用車,小型貨物車,バスのエネルギー消費特性は, 別途作成した走行シミュレーションモデル(図6)を 使用して算出した. 紙面の関係上,以下に特に乗用車のエネルギー消費 特性について述べる.表1にEV用電池の諸元を,表2
に乗用車の諸元を,図7
に乗用車のエネルギー消費 特性を示す.電池の種類としては,鉛酸 (LA)電 池 と,高性能EV用2
次電池として将来的に普及が期待 されている, リチウムイオン (LI)電池を選んだ. また,使用した走行データとしては都内での実走行デー タ1)を使用した. -63-L]電池 EV用電池の諸元 (1モジュールあたり) 容量 60Ah, 電圧 12V,質量 20kg,エネルギー 密度36Wh/kg,出力密度200W/kg 容量 lOOAh, 電圧 28.8V,質量 29kg,エネル ギー密度lOOWh/kg,出力密度300W/kg 乗用車の諸元 駆動装置出力│GV100kW, EV80kW 前面投影面積l.98m2,空気抵抗係数0.34,転が り抵抗係数0.01,タイヤ有効半径0.292m GV1369kg, EV(LA)l849kg, EV(Ll)1717kg 共 通 諸 元 車両総重量 表2
゜
4 2 0 8 6 4 2 0 1 1 1 [ E 子 \ コ N ] o g u $ S ! P ; a d uo 1 , d E n s u o o , l l l ; o u o ♦♦ ♦
ヽ
♦ ♦ ♦
I • I I I ■ 量• • pass. GV ●pass.EV(LA) • pass.EV(LI) ♦ . ♦ .••
♦ ・ 図7
20 40 60 Vaverage[km/h] 80 100 乗用車のエネルギー消費特性263 各車種の換算係数 (MJ/kmベース)
三
用 璽 ス ー ス 3.6 EV導入の制約条件 EV導入の制約条件としては, 1回の充電でOI)間 を往復できることを想定し,(2)を 満 た す 表4の車 種のみか代替導入できるものとした. OD間の直線距離X3<航続即離 (2) (2)は, OD間 を 直 線 距 離 で 結 ぶ リ ン ク か 常 に 存 在するとは限らないため, OD間を最短距離で移動す るリンクを選択することを考慮して,往復ではOD間 の直線距離の高々 3倍以内に最短距離か存在するもの と仮定して定式化した.また,(2)を満たすトリッ プでは常に各のリンクの制限速度で走行できるとは限 らないため,例えトリップの全行程か渋滞していても 往復できることを必要とした.すなわち,図7の平均 速度が一番低いモードでの航続距離などと,表3を用 いて表4
を算出した.4
.
分析結果 case 3/物
貨 客 40 90 3.7その他のパラメータの設定 ・車両移動モデルイベントスキャン』t:3秒 • Dia]配分イベントスキャンLftn: 360秒 • Dial配分ハ°ラメータe
:0.1(
4
.
1
の分析により決定) ・リンクからの流出可能台数:2,040台/hour/車線 •最低停止車両間隔:普通車5.0m, 大型車8.5m ・料金時間換算価値:6,000円/時間 動的交通流モデルによる分析結果を示す.シミュレー ションでは,況行ケース, EVを導人するケース, た高性能電池が普及し, EVの航続距離が向上するケー スの, 3ケースを想定した. case 1 :現行車のみの場合 case2 :
EV導入の制約条件を満たす車種すべてを, しA電池を搭載するEVに代替した場合 EV導入の制約条件を満たす車種すべてを, ま エネルギー・資源 LI電池を搭載するEVに代替した場合4
.
1
実際の交通流との整合性の検証 ODデータを使用する動的交通流モデルによるシミュ レーション結果と,実際の交通流との整合性を検証す るため, シミュレーション結果の断面交通量とセンサ ス断面交通量12)•6 との比較を行った.検証方法として は,東京23区内の各センサス断面交通量観測地点を行 政区域(区)ごとに統合し,対応するモデル上での断 面交通量の和との直線回帰分析を行った.決定係数は, 12時間断面交通量(午伯7時∼午後7時)で0.78であっ た. 400000 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 3 2 1 [ S e n o 4 z L / S 0 1 0 1 4 0 > ] u o n e 1 n E I S 5 0 4 5 4 0 3 5 3 0 2 5 2 0 1 5 1 0 5 0 [ , l e p ¥ X Q N -l ] S U゜
I S S I E a x O N ♦ y = 0.9675x+ 32715 R2 = 0.7756。
゜
図8 1 DODOO 200000 300000 sensus[ vehicles/12 hours] 400000 実際の交通流との整合性の検証 4.2移動発生源からのNOX
排出量の比較 各caseの移動発生源からのNOX
排 出 量 の 比 較 を 図 9に示す. 全体では, case1と比べ case2, case 3ではそ れぞれ25.7%, 39.6%減少している.特に,短距離需 要の多いGV(軽乗用車,乗用車,軽貨物車,貨客車) easel case2 case3 (注) GV:カソリン車, DV:ティーゼル車 図9 移動発生源からのN仇 排 出 量 の 比 較 注6)断面交通量を定点観測したテータ-64-からのNO,排出量は, EVに代替できるトリップの割 合が高いことにより減少率も高く, case2,case 3 ではcase1に比べ,それぞれ75.4%, 98.9%減になっ ている.一方, D V(バス,小型貨物車,普通貨物車 特種車)からの減少率は低く, case2, case 3では case 1に比べてそれぞれ12.7%, 24.1%減にとどまっ ている. これは特に普通貨物車からのNO,排出量が全 体に与える影響が大きいためであり, その分担率は case 1 case 3でそれぞれ全体の39.2%, 52.8%, 65.0%を占める. 図
1
0
にcase1
のN
仇排出量の分布を示す.各メッ シュは3次メッシュを示し, ほぼ1km'である. また,図11,図12にcase2,case 3の, case1に対す
る各メッシュごとのNO排出量の削減率分布をそれぞ れ示す.分布図で,太線は高速道路と国道を示す. 図
1
0
で, NO排出量の多い地域は高速道路や国道沿 線に存在することがわかる.また図11,図12で削減率 が相対的に低い地域も, こうした地域と一致している. これは,都心部に企業の本社などが集中し, この地域 を起点終点とする交通需要が多いという東京の都市構 造と,都心外部を結ぶ環状道路が少ないという東京の 道路事情によって,高速道路や国道への交通集中に伴 い,渋滞の発生頻度が高くなることに起因するもので ある. また,図11,図12で,東京湾岸のNO,削減率が他の 地域と比較して低いことがわかる. これは,東京湾岸 に大規模工場が多く立地し,他地域からこの地域への 交通需要が多く,また神奈川,千葉方面相互間の交通 需要の多くがこの地域の高速道路,国道を利用するた めであり,さらにこれらの交通需要の多くが普通貨物 車であるためである. 4.3CO,
排出量の比較 各ケースについて,走行によるC応排出量の比較を 行った. EV導入による電力需要増加はcase2,case 3では それぞれ7.7GWh/day, 10.2GWh/day
であり,こ れは現在の発電設備で十分対応可能な電力量と推定さ れる. C応排出量は,各 case• 各車種のエネルギー 消費量および,表5
のCO2
排出原単位と各プロセスの エネルギー変換効率から算出する. EV導入による電力需要増加に伴う発電所からの C応排出量の増加分を考慮しても, case2,case 3 では全体としてのCO,
排出量は減少しており, casel
と比べ,それぞれ14.4%, 27.8%減となる.移動発 Reduced by 45鴛∼ Reduced by 35忽 ∼45累 ● Reduced by 25笈∼35忽 ● Reduced by 15窟∼25笈 ● Reduced by 15笈(compared with case I)
図12 case 3のメッシュごとのNO,削減分布 60 鴫 30-60 111115-30 ■5-15 ■ 5[kg-NOx/ctoy/3rd mesh] 図10 case 1の移動発生源からのNOX排出量分布 Reduced by 45落∼ 識 Reducedby 35忽∼45笈 瓢 Reducedby 25忽∼35笈 ■Reduced by 15笈 ∼25笈 ■Reduced by -15落
(compared with case I)
265 エ ネ ル ギ ー ・ 資 源 表5 Cい 排 出 量 算 出 に 用 い た 値
門
:
二
I
[
□
□
□
),3)1讐真言讐
充電器効率 充放電効率 送電端の値 85.0% LA電池:85.0%, L]電池:95.0% 6000 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 5 4 3 2 1 [ 需 p ¥ 0 1 1 ] S U O I S S I E a z o o□
from PP 回from lllfrom DV゜
case1 case2 case3 (注) G V ガソリン車 DV:ディーゼル車, pp 図13CO,
排 出 量 の 比 較 生 源 か ら のNOX
排出量と同様,C
い 排 出 量 に つ い て も DV,特 に 普 通 貨 物 車 の エ ネ ル ギ ー 消 費 に 伴 うCい 排 出 量 か 全 体 に 大 き な 影 響 を 与 え て お り , そ の 分 担 率 は case 1 case 3で は そ れ ぞ れ26.5%, 31.0%, 36.8% に及ぶ.5
.
おわりに
発電所 本 研 究 で は , 渋 滞 に よ る 速 度 低 下 を 考 慮 す る こ と が できる動的交通流モデルを構築し, このモデルを用い て , 東 京 近 郊 の 交 通 シ ス テ ム 全 体 にEVを 導 入 し た 場 合の環境影響評価を行った.その結果, EVに 代 替 可 能 な 車 両 を す べ てEVに代替することより, N仇 排 出 量 は 最 低 で も25.7%,Cい 排 出 量 は 最 低 で も14.4%削 減 可 能 で あ り , ま た 大 型 車 , 特 に 普 通 貨 物 車 か ら のNO
誹出量,CO
翡 出 量 が 全 体 に 大 き な 影 響 を 与 え て いることがわかった. 現在の技術では, EVの 走 行 面 で の 性 能 は 現 行 の 内 注7)交通需要マネジメント.交通需要側に対する施策 燃 機 関 自 動 車 の そ れ と ほ ぼ 同 じ 性 能 が 達 成 で き て い る とされているが, EV用 電 池 の 性 能 , 特 に エ ネ ル ギ ー 密度と1
モ ジ ュ ー ル あ た り の 重 量 に よ り 左 右 さ れ る 航 続 距 離 の 制 約 の た め , 大 型 車 をEV化 す る こ と は 難 し いとされている. こ の こ と か ら , 自 動 車 部 門 の 抜 本 的 な 環 境 改 善 の た め に は , 現 状 で は 大 型 車 の 燃 費 ・ 排 気 の 改 善 な ど に よ る 自 動 車 単 体 技 術 の 向 上 や , 従 来 の 道 路 整 備 に よ り 交 通 容 量 を 拡 大 す る 供 給 側 の 施 策 だ け で は な く , 例 え ば モーダルシフトのようなTDM施 策 パ の 実 施 な ど , 交 通 需 要 そ の も の の 制 御 に よ る 交 通 流 改 善 か 必 要 で あ る と結論づけられる. 今後筆者らは, TDM施 策 を 実 施 し た 場 合 の , 交 通 流改善による環境影響評価を行っていく予定である. 参 考 文 献 1)工藤祐揮:東京大学大学院修士学位論文, 1998 2)吉田好邦ほか:LCA的な概念による地域活動に伴うCO2 総排出量の構造分析, 日本エネルキキー学会誌, 第77巻 第11号, 1998 3)森口祐一ほか;広域的な道路交通公害対策による環境改 善効果の予測システムの開発,土木計画学研究・論文集 No.11, 1993 4)秋澤淳ほか;都市内エネルキー消費を考慮した交通流の エネルキー評価,第11回エネルキーンステム・経済コン ファレンス講演論文集, 1995 5)吉井稔雄ほか;都市内高速道路における過飽和ネノトワー クシミュレーションモデルの開発,交通工学Vol.30, No. 1, 1995 6)岡村寛明ほか;一般街路網シミュレーションモテルの開 発と検証,第16回交通工学研究発表会論文報告集, 1996 7)伊理正夫,古林隆;ネノトワーク理論, 日科技連 8)越正毅,明神証,土木学会編新体系上木工学61道路 (1)一交通流_,技報堂出版 9)佐佐木綱;都市交通計画,国民科学社 10)東京都環境保仝局;都内自動車走行量及ひ自動車排出力 ス量調査報告書(概要版), 199611)!EA Statistics ; Energy Balance of OECD Countnes 1990/1991 12) 建設省;平成 2年度道路交通センサス一般交通量調査 13)近藤美則はか;電気自動車IZAとカソリン車とのライフ サイクルCい量の比較,エネルキー・資源,第17巻5号, 1996