†日本鋼管株式会社エンジニアリング研究所,2100855 川崎市川崎区南渡田町 11 ††現在 エヌケーケー総合設計株式会社環境設計部,230 0044 横浜市鶴見区弁天町 3 †††東京農工大学工学部有機材料化学科,1848588 小金井 市中町 22416
Fig. 1 Schematic diagram of changes in electrolyte concen-tration caused by ice formation process.
2002
The Chemical Society of Japan
―技 術 論 文 ―
液体導電率法による氷蓄熱槽内結氷率の計測方法の開発
―アイスオンコイル式氷蓄熱槽への適用―
(2001 年 10 月 15 日受理)相 沢 和 夫
,†,††,†††・生 越 英 雅
†・林
謙 年
†・前 山 勝 也
†††・米 澤 宣 行
†††地域冷暖房あるいはビル空調用氷蓄熱システムの氷蓄熱槽内の結氷率を蓄熱槽内部で氷と共存する水
溶液の導電率から判定する新しい結氷率計測方法を開発し,そのアイスオンコイル型のスタティック型
氷蓄熱槽への適用を検討した.結氷率の追跡は槽内の氷水溶液の全体積測定と水溶液部分の液体導電
率測定の 2 種類の方法で行った.水溶液の電解質の種類,濃度,製氷速度を種々設定し凝固と融解の
過程で,体積変化から求めた結氷率と槽内の水溶液の液体導電率の計測値との相関を調べた.実際の氷
蓄熱槽の運転に対応した低速の製氷では,電解質のほとんどが氷の外に排除されながら氷は成長し,結
氷率の増大に伴う液体導電率の上昇はほぼ理想的な形で現れることがわかった.また濃縮比と液体導電
率比の間に近似的に一次関数的な関係が得られた.その傾きをあらかじめ実験的に把握することによっ
て実用上十分な精度で結氷率が判定できるという見通しが得られた.計測の指標としては水道水中にす
でに含まれる程度の電解質を用いることで十分であるが,計測精度の向上には槽内の効果的な混合が必
要であることもわかった.
緒
言
近年地域冷暖房やビル空調などの冷熱供給装置として氷蓄熱シ ステムを採用する事例が増加している.これは安価な深夜電力の 活用により冷熱を氷の潜熱として貯蔵し,昼間この氷を融解し冷 熱として供給することで,熱供給コストミニマムを計ることを狙 ったものである.しかしながら,この冷熱の需要は曜日や時間帯 によって変動するだけでなくその日の天候によっても大きく変化 するものである.したがって翌日の熱供給を最適化するために は,夜間の製氷蓄冷運転において逐次その時点での結氷率が定量 的に把握できることが重要であるし,また昼間解氷運転を行って いる時にもその時点での氷の残量を正しく把握し冷凍機による冷 熱の供給と氷蓄熱槽による冷熱供給の均衡をとり,夕刻時点にお いて氷の使い残しを極力発生させないようにしなくてはならな い.このように氷蓄熱システム1)では,熱供給装置の計画的なら びに効率的運用を図るために氷蓄熱槽内の結氷率(Ice Packing Factor,以下 IPF と略す)2)をリアルタイムで正確に計測できる 手段の導入が不可欠である. 氷蓄熱システムに用いられる氷蓄熱槽にはスタティック型とダ イナミック型の 2 種類がある.Fig. 1 にスタティック型氷蓄熱槽 (アイスオンコイル式)の概略図を示す. 凝固の過程で水は体積膨張するため,その体積変化を計測すれ ばその時点での蓄熱槽内での結氷率が正しく計測できることにな る.従来の小型のスタティック型氷蓄熱槽内の結氷率の判定は槽 内の水位の計測で行っているが1),氷スラリーの出入りを伴うダ イナミック型氷蓄熱3)6)や複雑な形状の氷蓄熱槽へのこの方式の 適用には問題が多い. このような背景の下,著者らは,氷蓄熱槽の液相部分(水)の導 電率を計測することによって氷蓄熱槽内の全体的な結氷率を計測 できる汎用的な方法を開発することを計画した.そしてこの原理Fig. 2 Experimental apparatus. による計測方法を考案し7)8),各種の製氷方式と蓄熱槽方式にお いて調査した結果,この方法が実用上十分な精度で結氷率を計測 可能な方法であるとの見通しを得た.本報告ではスタティック型 氷蓄熱槽として最も一般的なアイスオンコイル型氷蓄熱槽の場合 について結氷率計測のモデル実験を実施した結果について論じる.
計測の原理
電解質の溶けた水が凍結する時,氷は溶質(電解質)を排除しな がら成長し,その結果液相の溶質の濃度は凍結の進行に伴って徐 々に高くなる9).液相の導電率は電解質の濃度と相関があるの で,当該の氷蓄熱槽の結氷率と導電率の関係をあらかじめ把握す ることで,液相の導電率の計測による氷蓄熱槽内での総体的な結 氷率を逆算できるものと考えられる. ここで,M0全質量すなわち初期水量(kg),ms氷量(kg), C0初期電解質濃度,C電解質濃度,K0初期液体導電率, K液体導電率,f結氷率(全質量に対する氷の質量比),IPF 結氷率()=f×100,と定義する.したがって,結氷率 f は次の ( 1 )式で表される. f=ms M0 ( 1 ) また,製氷過程においては,電解質が完全に氷の外側に排除さ れ氷相内への電解質の含有が無い理想的な状況を仮定する.この ような条件下では,導電率 K は電解質濃度 C に比例するとみな すことができ,この仮定に基づいて求められる結氷率を f と定 義し,f とその時点での導電率 K の初期値 K0に対する比 K/K0 と f との関係を下のように導くことができ( 4 )式が得られる. C C0 =K K0 ( 2 ) C C0 = M0 M0-ms ( 3 ) f =1-K0 K ( 4 ) 一方,比較的小容量で単純な形状の氷蓄熱容器であれば槽内の 液面の高さ(水位)から結氷率が求められる.すなわち,ここで, V0初期水溶液全容積(m3), V水溶液および氷の全容積(m3), Dh水位変化幅(m), S水位計の断面積(m2),DV体積増加 量(=V-V0=Dh×S ),と定義し,また水と氷の密度,rw水の 密度(=1000 kg/m3)と r s氷の密度(=920 kg/m3),から氷と 水の密 度比(氷の比重 )r は次式で 与えられ,こ れを用いると ( 5 ),( 6 )両式で結氷率 r と濃縮比 R が与えられる. r=rs/rw=0.92 f=DV V× r 1-r ( 5 ) R= 1 1-f ( 6 ) 実
験
. 結氷率の計測実験装置 Fig. 2 に実験装置を示す. 製氷容器として,内径 q 200 mm,高さ 300 mm のアクリル製 円筒容器の中に製氷用の銅管コイル(管外径 q 10 mm,コイル長 さ 7 m)を配置したものを用いた.銅管コイルには低温恒温槽で -10 °C 以下まで冷却したエチレングリコール溶液を循環でき, 製氷容器内の水は循環ポンプによって循環できる構造とした.製 氷容器の上に内径 q 40 mm の透明アクリル管を設け,その液面 変化を圧力変換器で検出して体積変化を計測できるようにした. 製氷容器下部および循環回路内の 2 点に温度補正機能付き液体 導電率測定装置(大倉理研製 CI10 型液体導電率電極)を取り付け た. . 結氷率の計測方法 製氷過程においては製氷容器内での液相の不均一化を避ける目 的で液を循環水流量 5 L/min で循環させた.一方,解氷過程で は取り出した水溶液を加熱し循環水流量 3 L/min で循環させた. 試料とする水は通常の水道水,および蒸留水に微量の NaCl を 溶解させ水道水と同程度の導電率に調整したものを用いた.溶存 空気の気化に伴う製氷過程での伝熱管表面への空気の付着による 計測誤差の発生を防ぐ目的で水は実験直前に真空脱気した. 液体導電率は測定装置で自動的に 25 °C の値に換算された値を そのまま用いた. 結果と考察
. 凝固,融解過程における液体導電率の変化 Fig. 3 に凝固と融解の 1 サイクルの液体導電率の経時変化を示 す.試料には希薄食塩水を用いた. 凝固過程では氷の割合の増大に伴って水位が上昇し,同時に液 体導電率の明確な上昇が見られる.融解過程ではその逆の挙動を 示す. また,本研究の装置では導電率センサーの設置される場所によ って導電率の測定値に多少の差が発生した.特に製氷過程におい て製氷容器出口での導電率計測値(Fig. 3, No. 2)の方が容器低部Fig. 3 Transient curves through an ice formation and melting process.
Fig. 4 Relation betweenf and f .
での計測値(Fig. 3, No. 1)よりもやや高めに推移している.これ は主として製氷過程における容器内液相の濃度の不均一化に基づ くものと考えられる. そこで本研究では容器外側に設けた導電率センサーの値(No. 2)を代表値とし,以降これを用いた.これは容器出口側の計測 値が,容器内部での水の凝固と融解の現象および容器内部での液 相の流動過程をすべて総括した結果を反映しているものと考え, 系の代表値として適当と判断したためである. 液面の高さから( 5 )式に基づき得られた f の値と,導電率の計 測値から( 4 )式で計算して得られる f 値との対応を 1 サイクル にわたり 50 秒間隔でプロットしたものが Fig. 4 である. 凝固過程(1→2)においては,例えば f=0.5 の位置でみると, f は f に比較して約 10程度小さい値となっている.しかし, f は f の増加に対してほぼ直線的に増加している.これらのこと から,測定の原理においてのべた仮定(氷は電解質を排除しなが ら成長し,かつ水の導電率は電解質濃度に比例する)はほぼ妥当 なものであることがわかる.凝固過程での,f と f のずれの増大 は主として氷蓄熱槽内部における液相の不均一化によるものと考 えられる10).容器内の液相が完全混合状態にあれば濃度の不均 一現象は発生せず氷蓄熱槽の液出口の導電率は容器全体の平均値 と等しくなるはずであるが,以下に挙げる三つの理由で濃度の不 均一化が生じたものと考えられる.すなわち,a)実際の氷蓄熱槽 にあっては容器の中心部分では液が流れやすく,容器の隅の部分 では流れは滞りがちとなる,b)コイルの上に氷が成長するのに 伴ってその氷は伝熱抵抗として作用し製氷速度が次第に低減して いくことにより氷相の領域に取り込まれる電解質の量が変化する, c)結氷率の増大に伴って槽内の流路面積が次第に減少することに よる影響が生じる,である. また,凝固および融解の場合ともに初期の過程での導電率の変 化から得られる結氷率 f の変化率はそれ以降と比較し大きくな る傾向がある.この原因は以下のように考えられる.まず,凝固 開始直後のずれであるが,この段階では製氷コイル上に氷が少な く製氷速度が大きい反面,容器全体が水に覆われており隅の部分 に流れの死界が発生しやすく,製氷面で発生した高濃度の水は容 器中心部分を通って短絡的に容器外に排出される傾向が強くなる ため,容器出口で計測される液体導電率は容器全体の平均値より も高くなるものと解釈できる.一方,融解開始直後でのずれにつ いては次のように解釈している.この過程では容器外に取り出さ れた水を加熱し再循環することにより氷の融解を行っているが, 融解した水と容器全体にある水の攪拌混合が完全ではなく,特に 融解初期においては融解速度が大きいことに加え水の固定的な流 路の発生によって短絡的な循環経路ができやすい.そのため,融 解により発生した濃度の低い水がそのまま排出されやすくなっ て,容器出口での水の濃度は容器全体での平均値よりも低くな り,その結果 f から得られる結氷率の低減率が相対的に大きく なるという推測である. 上記のような幾つかの因子に影響されて f-f プロットの軌跡 は若干のヒステリシスを含んでいるものと考えられる.また,こ の場合のように融解終了時点での状態(Fig. 4,点 3)が初期条件 (Fig. 4,点 1)とわずかなずれを示す場合がある.これは融解終
Fig. 5 Relation betweenf and K. Fig. 6 Relation between speciˆc concentration and K/K 0 value. Fig. 7 EŠects ofK0onR-K/K0. 了時点で蓄熱槽内の水の混合が完全ではなく濃度の分布が残った ためと思われる.このずれは融解終了後容器内部の水をよく攪拌 混合することによって解消することができた.このようなヒステ リシスの発生や非直線性の原因となる氷蓄熱槽内部での液の濃度 分布に対応するためには,系内の一個所においてのみ導電率を計 るのでなく,氷蓄熱槽内の複数の場所で同時に液体導電率を計測 するか,あるいは複数の場所から同時に液をサンプリングし混合 することで得た平均的濃度のサンプル水の導電率を計るなどの改 善が必要と考えられる. Fig. 5 は,同じ実験の過程をf と液体導電率の関係で表したも のである.f の増大に伴い導電率の増加率は急激に大きくなって いる.これは f が 1 に近づくと溶液の濃縮比が急激に大きくなる ためと説明できる. これに対して( 6 )式で定義した濃縮比 R に対する液体導電率 比( K/K0)の関係は Fig. 6 に示すようにほぼ直線的である. 傾きを a とするとこの関係は次式で表される. K K0 =a( R-1)+1 ( 7 ) 理想的な場合には,a=1 となり( 4 )式と同じ関係式となる.a が予めわかっている場合には導電率比( K/K0)を計測することに よって( 7 )式から濃縮比 R が得られ,さらに( 6 )式を用いるこ とで実際の結氷率 f を逆算することができる. この実験条件において,IPF が 50( R=2.0)までの範囲を直 線で近似しその傾きを求めると,a=0.83 となった.そこで以下 の実験により運転条件の差による a 値の変化について検討した. . 初期導電率K0の影響 凝固過程における初期導電率の濃縮比 R と導電率比 K/K0と の関係に与える影響を調べた.試料には水道水を用いた.初期導 電率としては,水道水そのもの,およびそれを製氷によって濃縮 したものの 2 種類を用いた.それぞれの初期導電率は,159.7 nS /cm, 252.5 nS/cm であった.二つの実験において製氷速度は等 しく設定した.結果を Fig. 7 に示す. いずれの場合も R と K/K0との関係は良好な直線性を示し, その傾きはほぼ同じ a=0.83 であった.この実験から,ある結氷 率の範囲までは導電率変化に対して,傾き a の変化は無視でき, ( 7 )式の無次元関係式が成り立つことがわかった. . 電解質の種類の影響 食塩水を用いた実験(Fig. 6),および水道水を用いた実験(Fig. 7)は,いずれも製氷速度を等しく設定した.その場合,傾き a はいずれも 0.83 程度であった.これらの結果から電解質の濃度 が低い範囲での操作では電解質の種類の影響は現れにくいように 思われる.また一連の実験結果から,本計測法を適用するために 水道水に新たに電解質を添加する必要はなく,すでに含有されて いる電解質成分で十分であることがわかった.
Fig. 8 EŠects of ice formation rate onK/K0value at IPF= 20. Experiment conditions: Solution, distilled water +NaCl; K0, 151nS/cm; Brine supplying temperature, -8.5 °C(▲), -10 °C(●), -15 °C(△), -20 °C(□), -25 °C(×); without circulation of water.
. 製氷速度の影響 製氷速度が導電率の変化に与える影響を調べるために,食塩水 を用い,製氷コイルに供給するブライン(エチレングリコール)の 温度を変えることで種々の製氷速度を設定した.この実験では水 の循環は行わなかった.それは次の二つの理由に基づくものであ る.まず,本実験装置の断熱の不完全性に起因する装置上の問題 点である.本実験装置では凝固過程で循環を行うと水溶液は循環 経路内で 2 ― 3K 程度の温度上昇を受け製氷容器に戻る.この温 度上昇分は製氷容器に対しては大きな加熱熱源として作用するた めに,特に冷媒(エチレングリコール)の供給温度を高めた低製氷 速度での実験が難しくなる.次に本研究で対象とする蓄熱システ ムの方式上の制約である.この実験の目的はアイスオンコイルス タティック型氷蓄熱槽での製氷過程の結氷率と容器内液相の代表 的導電率の関係を得ることであり,容器内の液相の循環混合は凝 固操作が終了するまでは行わないのが妥当と考えられる. 製氷実験は水位変化から判断して結氷率が 20に達した時点 で終了し,その時点で残留している液相内濃度の不均一状態を解 消するために蓄熱槽内の水をよく循環混合したのち容器内全液相 の平均的導電率を計測して比較した.Fig. 8 に結果を示す. 横軸の製氷速度は 1 時間当たりの結氷率増加量(/h),縦軸 は IPF20時点での導電率比(=K/K0)である. この結果から,製氷速度の増大に伴い液体導電率の変化速度は 急激に低下することが判明した.この原因は製氷速度が大きい場 合に氷相内へに内包される電解質が増加するためと考えられる. 電解質が氷に内包される形態としては,分子のレベルで結晶格子 内へ取り込まれる場合や結晶粒界内に液体の状態で取り込まれ る11)場合などが考えられる.本実験の結果から,本計測法の採 用にあたっては製氷速度の影響について十分配慮し,傾き a を事 前に定量的に把握しておくことが必要であるといえる.一方,製 氷速度の低下に伴って,導電率比(=K/K0)は徐々に上昇してい る.電解質が完全に氷の外側に排除されながら製氷が進む理想的 な場合にあっては,結氷率が 20の時点において導電率比は 1.25 となるがこの理想的な状態に近づけるには製氷速度を極力 低下させることが必要であることが明らかとなった. 本研究で想定している深夜電力を利用した地域冷暖房システム やビル空調システムに用いられる氷蓄熱槽の場合には,約 10 時 間の運転で製氷を行うことになり,その製氷速度の範囲は最大 10/h 程度の低いレベルのものとなる.したがって Fig. 8 の実 験結果からは理想的な条件に近い形で電解質の排除がなされるも のと期待され,( 7 )式の中の傾き a はより 1 に近い数値となる と考えられる.
結
論
結氷率 f によって定義される濃縮比 R=1/(1-f )と,その 時点での導電率比(=導電率 K/初期導電率 K0)の関係は,以下 の無次元化された直線にて近似できる. K/K0=a( R-1)+1 その傾き a は多少の水質(電解質の種類,初期導電率)変化に対 してほとんど変化を受けない. 本計測方式では,水道水にすでに含有されている電解質を 指標にすることができ,新たな電解質の添加は要しない. アイスオンコイル型氷蓄熱槽においては,製氷速度が液体 導電率の変化に大きく影響する.あらかじめ実際の製氷速度にお ける傾き a を実験的に把握しておく必要がある. 製氷速度のゆっくり行われる深夜電力を利用した地域冷暖 房あるいはビル空調用氷蓄熱槽においてはほぼ理想的に近い凝固 現象が期待され,その傾き a は 1 に極めて近い値が適用できる. 実際の氷蓄熱槽においては,凝固および融解の各過程とも に蓄熱槽内での水の混合不良によって実際の結氷率と導電率から 算出される結氷率の間に不一致が発生する.より計測精度を高め るために,複数点での導電率の計測あるいは複数点からの液のサ ンプリングによって極力平均的な導電率を計測できる技術的な工 夫が必要と考えられる. (1996 年 4 月 16 日 第 30 回空気調和 冷凍連合講 演会にて 講 演.)1) M. Tanino, Y. Ozawa,Refrigeration,73, 24(1998). 2) 関 信弘, “蓄熱工学 1 基礎編”, 森北出版(1995), p. 157. 3) 相沢和夫,生越英雅,林 謙年,第 31 回冷凍空調連合講 演会講演論文集,1997, 149. 4) 生越英雅,相沢和夫,林 謙年,第 31 回冷凍空調連合講 演会講演論文集,1997, 153. 5) 谷野正幸,小澤由行,井上剛良,高木 周,日本冷凍空 調学会論文集,15, 237(1998). 6) 渡辺 裕,伝熱研究,34, 73(1996). 7) 相沢和夫,生越英雅,日特登録,01953278(1996). 8) 相沢和夫, 生越英雅, 林 謙年, 日特登録,3036288 (1998). 9) 福迫尚一郎,稲葉英男,“低温環境下での伝熱現象とその 応用”,養賢堂(1996), 320. 10) Fig. 4 における f と f とのずれについて審査員から活量 係数の温度依存性の関与の可能性について言及があった. 本論文では前提条件として活量係数の濃度依存変化を除外
していることに対し,導電率が比例するのはイオン種の活 量であり,その活量係数は濃度依存性で(濃度上昇で係数 は低下)結氷率の評価に影響を与える可能性もあるという 主旨の問題提起である. この指摘に対して,著者らはこのずれが活量係数の変化 を主要因として起こっていると考えることは難しいと判断 している.まず活量係数の変化が支配的な要因であれば結 氷時も解氷時も同じずれが起きるはずであるが,本研究で は解氷時のずれが非常に大きく現れている.一方,結氷時 には結氷率の低い領域では導電率から求めた値が体積から 求めた値よりも大きく,それが結氷率の増大とともに収束 していく傾向が見られる.この結氷時のずれはその大きさ や用いている塩の種類(NaCl)や濃度からみて,活量係数 の変化に基づく挙動の可能性がある.しかし解氷時のずれ はこれよりはるかに大きなものである.この解氷時におい て顕著な結氷率のずれは主として解氷時に特有の系内の不 均一化状態によるものであろうと考えられる.Fig. 3 にも 示されているように,結氷時に比べて解氷時は変化の速度 が大きく,信号と実際の状態のずれが生じやすい状況でも あったものと考えられる. 11) 林勇二郎,多田幸生,瀧本 昭,“未踏開拓学術研究推進 事業 エネルギ利用の高効率化と環境影響低減化 H10 報告書”,日本学術振興会(1999), p. 71.
Development of New Method for Measuring of Ice Packing Factor in Ice Storage
Tank by Sensing of ElectricConductivity of Aqueous Solution
―Application to IceonCoil Type Ice Storage Tank―
Kazuo A
IZAWA
,†,††,†††, Hidemasa O
GOSHI†, Kanetoshi H
AYASHI†,
Katsuya M
AEYAMA†††and Noriyuki Y
ONEZAWA††††
Engineering Research Center, NKK Corporation; 11 MinamiWataridacho, Kawasakiku,
Kawasakishi
2100855
Japan
††
Present address: Environment Plant Design Division, NKK Design and Engineering
Corporation; 3 Bentencho, Tsurumiku, Yokohamashi
2300044
Japan
†††