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要保護児童対策地域協議会担当部署職員の職業上のストレス―自由記述の分析から―

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【ABSTRACT】

This research aims to clarify the condition and the features of job stress that staffs at regional councils of countermeasures for children requiring aid have. Based on the questionnaire targeted at staffs in 68 special wards and core cities, it was analyzed how the analysis of job stress examined in free description relates to their basic characteristics. This research was analyzed using text-mining. The results of the research revealed 7 clusters as stress factors, such as “lack of technical knowledge”, “difficulty of work except responding to cases”, “cooperation with relevant institutions”, “relationship in job environment”, “difficulty of work about responding to cases”, “responding to difficulties”, and “parent support as a result of abuse notification”. In terms of characteristic, firstly about sex, the possible stress factor for men is not being able to keep ones’ pace, and for women it could be anxieties about responding to cases or the fact that they cannot get any advice. Secondly, stress factors for respective ages include, for 20’s, the volume of work and confusion or adaptation to work, complexity and responsibility of work for 30’s, coordination both in and out of office for 40’s, difficulties of judgement and the fact that one cannot get sufficient effect from advice for 50’s, and lastly, coping with abuse and the luck of technical knowledge for 60’s. In terms of marriage, for unmarried staff, cases understanding and difficulties about parent and child could be the stress factors, and for married, shortage of time in order to balance work and family could be the factor. In terms of certified or not, for certified, the low quality of work due to too much work, and for not certified, coordination both in and out of office could be the possible stress factor.

人間関係学研究 第 巻 第 号

The Japanese Journal of Human Relations, Vol. ‐ ‐

要保護児童対策地域協議会担当部署職員の職業上のストレス

―自由記述の分析から―

丸 谷 充 子

Job Stresses of Staffs of Local Municipality in Regional Councils of

Countermeasures for Children Requiring Aid in Local Municipalities

―From the analysis of free description―

MITSUKO MARUYA

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Ⅰ 研究の背景と目的 市町村においては、 年の児童福祉法改正で役割 が強化され、児童に関する相談の第一義的な窓口及び 児童虐待の通告先となった。要保護児童対策地域協議 会(以下要対協)を設置して、関係機関と連携して要 保護児童の適切な保護を図るための情報交換と支援の 内容に関する協議及び対応に当たることとなった) 年度の児童福祉法の改正では、これまで児童相談 所の設置が義務付けられていた政令指定都市と設置が 推奨されている中核市に加えて、新たに特別区におい ても児童相談所の設置が推進されることとなった。市 町村の責務が重くなるとともに、既に児童相談所を設 置している政令指定都市、児童相談所の設置が推進さ れている中核市と特別区、人口希望の小さい市町村で は、責務の重さと職員の業務範囲の問題などそれぞれ 課題が異なることが指摘されている))。要対協の課題 に関する先行研究では、市町村における経験の蓄積や 共有の難しさ、短期間での人事異動のシステム、管理 職の専門性の課題)、専門資格を有する職員の不足、業 務量に対する職員数の不足も指摘されており)、職員 は質的量的両面から業務の負荷が高いことが予想され る。このような課題を抱える中で、加藤は「環境条件 が未整備のまま、担当者らの熱意で対応している。一 方では燃え尽きている担当者も出現している。」)と、 職員のメンタルヘルスの課題に言及している。これま で要対協担当部署職員のメンタルヘルスに焦点を当て た研究はなく、職業上のストレスも解明されていない。 労働政策研究・研修機構による、「職場におけるメ ンタルヘルスケア対策に関する調査」において、メン タルヘルス不調者のいる割合は医療・福祉産業が最も 高く、ストレス反応については事務職や現業職と比較 して専門職で高くなっている)。児童福祉分野では、 金城らによる関東地区の児童福祉施設に勤務する保育 者を対象にした調査、丸谷らによる東京都子ども家庭 支援センターの女性職員を対象とした調査のおいて、 職業上のストレスの心理的な負担が高いという報告が あり))、児童福祉分野で専門職の割合が高い要対協 担当部署職員のストレスも高いことが予想される。 厚生労働省の 年度労働安全衛生調査によると .%の労働者が仕事や職業生活に強いストレスを感 じており、 割程度の高い水準で推移している )。地 方公務員においては「地方公務員健康状況等の現況(平 成 年度)の概要」によると、精神及び行動の障害に よる長期病休者は年々増加し、長期病休者数全体の .%を占め、 年前と比較して約 .倍増加してい る ) 年の北岡らの調査では市役所に勤務する地 方公務員において、疲弊感の強い職員が約 %、バー ンアウト予備分とみなされる職員が約 %、バーンア ウト状態に陥っている職員が約 ∼ %と報告されて おり )、現在はさらに状況が悪化していることが予想 され、地方公務員である要対協担当部署職員のストレ スの高まりも危惧される。 このような背景のもと、本研究においては、市町村 の要対協担当部署の職員の職業上のストレスに関する 基礎的研究として、役割の増加や機能の強化の推進に より業務の困難さと業務量増加が予想される特別区と 中核市の要対協担当部署職員を対象に職員自身のとら える職業上のストレスの要因を解明することを目的と する。 Ⅱ 研究方法 .調査対象と調査方法および分析方法 調査対象者は、児童相談所の設置が推進されている 東京都特別区 区と調査時点においての中核市 市の うち既に児童相談所を設置している横須賀市と金沢市 を除いた 市、計 都市の要対協担当部署に勤務する 地方自治体職員各 人の計 名とした。なお、中核 市は 年 月 日時点の指定である。 【KEY WORDS】 職業上のストレス 地方自治体職員 要保護児童対策地域協議会 ストレスマネジメント テキストマイニング

job stress, staff of local municipality, a regional council of countermeasures for children requiring aid, stress management, text-mining

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調査は 年 月に郵便調査法にて実施し、要対協 担当部署の所属長に対して、管理職を含む相談対応を 行っている職員の中から人選を依頼した。同意を得ら れた職員本人が厳封した上で個別に返送する方法にて 回収した。回収数 件であり、うち職務において最 もストレスと感じる要因の自由回答記述に記載のあっ た 名(有効回答率 .%)を分析対象とした。 調査内容は、属性として性別、年齢、婚姻状況、子 どもの有無、最終学歴、現在の部署での勤続年数、業 務に関する資格の有無、資格の種類、雇用形態、役職 の有無、ストレス要因に関しての質問文、「現在、あ なたが仕事をする中で最も強くストレスを感じている ことは何ですか?一つだけ回答欄に書いてください」 を質問項目とした。 分析方法は、テキストマイニングの手法を用いた。 テキストマイニングは定型化されていない文章の集ま りを単語やフレーズに分割し、質的データを数量デー タと同様に扱って分析する手法である。テキストマイ ニングツールには樋口が開発した計量テキスト分析シ ステム KH Coder(Ver.)を用いた ) )。分析の手順 として、収集データをデジタルデータ化し、エラーの 有無を確認した。回答内容を形態素に分解し前処理を 行った。テキスト化の過程で文脈を十分に考慮し、「保 護者」「親」を「親」に、「児童」「子ど も」を「子 ど も」に、「仕事」「業務」を「仕事」に、「児童虐待」「虐 待」を「虐待」とする類似語の置き換えを行い、「関 係機関」と「児童相談所」は一つの単語として認識す るよう強制出語の操作を行った。質問項目に含まれる 「ストレス」は分析から除外した。分析は、回答内容 の出現頻度を算出し、頻出語を抽出した後に、語と語 の繋がりを探るために共起ネットワークおよび階層的 クラスター分析を行った。階層的クラスター分析には、 Ward 法を採用した。Ward 法は、クラスター内のデー タ平方和を最小にするように考慮した方法で、クラス ター分析法の中ではバランスのとれた方法であること が指摘されている )。階層的クラスター分析で明らか になった各クラスターに分類して全体的な傾向を見た 後、共起ネットワークの外部変数と見出しを指定して 再度分析を行い属性との関連を検討した。なお、本文 中の「 」は単語として出力されたものであり、“ ” は回答内容の原文を表す。 .倫理的配慮 調査は無記名で行い、本研究への協力は対象者の自 由意思により決定され、いったん協力に同意した場合 でも、いつでも不利益を受けることなく同意を撤回す ることができ、個人情報やプライバシーを侵害するこ とはなく、得られたデータは本研究以外の目的で使用 しないことを明記した説明文を同封し、回答をもって 承認が得られたこととした。収集したデータは施錠下 で管理し、電子データについては、第三者が個人を特 定できる情報を含めないようにし、データをコード化 して個人が特定されないように配慮した。なお、本研 究は浦和大学研究倫理審査委員会の承認(倫理審査番 号 )を得て実施した。 Ⅲ 研究結果 .回答者の属性(表 ) 回答者の属性 性別(人数・比率) 男性: 名( .%) 女性: 名( .%) 年齢(平均±標準偏差) .歳(± .) ∼ 歳 婚姻状況(人数・比率) 未婚: 名( .%) 既婚: 名( .%) 子どもの有無(人数・比率) 有: 名( .%) 無: 名( .%) 最終学歴(人数・比率) 高校・専門学校・短大: 名( .%) 大学・大学院: 名( .%) 現在の職場での年数(平均±標準偏差) .年(± .) か月∼ 年 業務に関する資格の有無(人数・比率) 有: 名( .%) 無: 名( .%) 現在の雇用形態(人数・比率) 正規: 名( .%) 非正規: 名( .%) 役職の有無(人数・比率) 有: 名( .%) 無: 名( .%) 業務に関連した資格 社会福祉士 名、教諭 名、主事、 臨床心理士各 名、児童福祉司 名、 保育士、保健師精神保健福祉士、介 護福祉士、介護福祉専門員各 名 社会福祉士 名、保健師 名、保育士 名、臨床心 理士 名、教諭 名、児童福祉司 名、社会福祉主 事 名、精神保健福祉士 名、学校心理士、行動療 法士、児童指導員、認定心理士、看護師、養護教諭、 臨床発達心理士各 名

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性別の割合は男女で : 、年齢は 歳∼ 歳で平 均 .歳(± .)、既婚者と未婚者の割合は : 、 子どもの有無は : 、最終学歴は高校・専門学校・ 短大:大学・大学院で : 、現在の職場での年数は .年(± .)、業務に関する資格の有無は : 、 現在の雇用形態は、正規・非正規で : 、役職の有 無は : 、業務に関する資格の内容は、男女ともに 社会福祉士が最も多く、次いで女性のみ保健師、保育 士が多かった。 .出現数上位の頻出語 要対協職員のストレスにおける調査結果をデータ化 して形態素に分解した結果、総抽出語数 , 、異な り語数 であった。「仕事」「対応」「関係機関」「ケ ース」「多い」「自分」「時間」「虐待」「思う」「支援」 が上位に出現した。 .階層的クラスター分析の結果(図 ) 出現パターンの似通った語の結びつきを探るため に、階層的クラスター分析を行った結果、 つのクラ スターに分類された。 クラスター は「経験」「専門」「知識」が含まれ、 回答内容の原文を確認すると、“経験がない”“専門に 学んだことがない”“子育てや福祉の知識がない”な ど、子どもや児童福祉に関する知識や経験不足につい ての内容であった。それゆえクラスター は[専門知 識の不足]を示すクラスターであると考えられた。 クラスター は「会議」「事務」「記録」「家庭」「思 う」が含まれ、“会議への参加”“記録が追い付かない” “事務の仕事が多すぎる”“家庭が犠牲になっている” など、会議への参加、記録などの事務仕事の負担と家 族へのしわ寄せに関する内容であった。それゆえクラ スター は[ケース対応以外の業務の困難]を示すク ラスターであると考えられた。 クラスター は、「連携」「調整」「関係機関」「子ど も」「相談」が含まれ、“関係機関との連携は欠かせな い”“関係機関との調整が難しい”“子どもの命のリス ク”など子どもの命を守るための関係機関との連携の 難しさに関する内容であった。それゆえクラスター は[関係機関との連携]を示すクラスターであると考 えられた。 クラスター は、「職員」「難しい」「理解」「上司」 「内容」が含まれ、“正規、嘱託職員など責任のバラ ンスが難しい”“上司や他職種の無理解”など、職場 における人間関係に関する内容であった。それゆえク ラスター は[職場の人間関係]を示すクラスターで あると考えられた。 クラスター は、「職場」「関係」「時間」「仕事」「多 い」「自分」「ペース」「意見」「ワーク」「判断」が含 まれ、“職場で頼れる人がいない”“仕事量が多く時間 がない”など、仕事量の負荷と職場内での協力に関す る内容と、“自分のペースで仕事ができない”“ケース ワークの判断”“関係機関との意見の食い違い”など、 関係機関との判断の食い違いに関する内容であった。 それゆえクラスター は、[ケース対応に関する困難] を示すクラスターであると考えられた。 クラスター は、「対応」「ケース」「困難」が含ま れ、“適切な対応が難しい”“困難なケースが多い”な ど、困難ケースへの対応に関する内容が見られた。そ れゆえ、クラスター は[困難ケースへの対応]を示 すクラスターであると考えた。 クラスター は、「虐待」「通告」「支援」「入る」「親」 が含まれ、“虐待通告”“通告により親を支援する”な ど、虐待通告と親への支援に関する内容が見られた。 それゆえクラスター は[虐待通告からの親支援]を 示すクラスターであると考えられた。 .共起ネットワーク分析による属性との関連 ( )男女(図 ) 属性のどちらかにのみ結びついている語の内容を検 討すると、男性は、「時間」が最も強く、次に「上司」 「ペース」「連携」と強く結びついていた。“時間内に 仕事が終わらない”“自分のペースで仕事ができない” “上司の判断に納得がいかない”“関係機関との連携 がうまくいかない”などの内容であり、物理的な時間、 仕事上の判断の両面において自分のペースを守れない ことによるストレスが特徴的な要素であると考えられ た。女性は、「相談」「知識」「難しい」「職場」と強く結 びついていた。“相談が解決に結びつかない”“知識が ない中で仕事をすること”“仕事内容が難しい”“職場

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要対協担当部署職員のストレスの階層的クラスター分析

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に頼れる人がいない”などの内容であり、仕事の内容 が解決に結びつかず、職場内で支援が得られないこと によるストレスが特徴的な要素であると考えられた。 ( )年代(図 ) 代は「仕事」「多い」「ケース」「ペース」「会議」 「職場」の順で強く結びついていた。「ペース」「会議」 「職場」は 代のみに結びついており、“職場に頼れ る人がいない”“会議での発言”“自分のペースで仕事 ができない”などの内容から、 代は仕事量の多さと 仕事内容への戸惑いや適応に関するストレスが中心的 な要素であると考えられた。 代は「仕事」「関係」「機関」「対応」「多い」「ケ ース」「内容」「時間」の順で強く結びついていた。「内 容」は 代とのみ結びついていた。“仕事内容の難し さ、責任の重さ”などの内容から、 代は仕事量の多 さとケース対応における時間の不足、関係機関との対 応の難しさ、仕事の責任の重さに関するストレスが特 徴的な要素であると考えられた。 代は「仕事」「関係」「機関」「対応」「調整」「時 間」の順で強く結びついていた。「調整」の語は 代 とのみ結びついていた。“関係機関との連携、支援方 針や時間的な調整が難しい”などの内容から、 代は 代と同様の関係機関への対応の難しさに加えて、複 数の関係機関間の調整役を担うことに関するストレス が特徴的な要素であった。 代は「支援」「自分」「判断」「虐待」「関係」「機 関」の順で強く結びついていた。「支援」「判断」は 代とのみ結びついていた。“支援が問題解決に結びつ かない”“適切な判断ができない”などの内容から 代は、虐待の対応において難しい判断を迫られること と、解決に至らないことによるストレスが特徴的な要 素であった。 代は「相談」「入る」「知識」「虐待」の順で強く 結びついていた。「入る」「知識」の語は 代とのみ結 びついていた。“虐待通報や緊急対応”“専門知識の不 足”などの内容から 代は、虐待に関する相談の対応 と専門知識の不足に関するストレスが特徴的な要素で あった。 ( )婚姻状況(図 ) 未婚の職員は「知識」と最も強く、次に「専門」「意 共起ネットワーク( :男、 :女)

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共起ネットワーク(年代)

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資格の有無( :有 :無) 見」「親」「経験」と結びつき、既婚の職員は「時間」 と最も強く結びついていた。未婚の職員は婚姻に関す る知識や経験がないことと、ケース対応で親と関わる ストレスが、既婚の職員は家庭との両立に関する時間 的なストレスが特徴的な要素であった。 ( )資格の有無(図 ) 有資格の職員は「多い」と最も強く結びつき、無資 格の職員は「調整」「上司」「関係」と結びついていた。 有資格の職員は、ケース対応、会議、記録などの仕事 量の多さが、無資格の職員は、職場内、関係機関との 調整に関するストレスが特徴的な要素であった。 Ⅳ 考察 .職業上で最もストレスを感じる要因 クラスター 「専門知識の不足」、クラスター 「ケ ース対応以外の業務の困難」では、要対協職員の専門 性の有無と一連の業務の遂行能力に関するストレスが 明らかになった。先行研究において、全国要対協職員 の平均勤続年数の調査を見ると、 年未満の職員が正 規で .%、非正規が .%、 年未満の職員は正規 で .%、非正規が .%である))。本調査におい ても平均勤続年数 .年であり先行研究と同様の結果 であった。勤続年数が短い理由として、地方自治体職 員特有の 年程度の短期の異動体制、正規以外の職員 は任期付き雇用体制が多いことにより、職務に習熟す る前に異動または雇止めとなることがあり、そのため に専門性が積み上がりにくいという課題が指摘されて いる )。その人事体制に加えて、スーパーバイズ体制 の不足といった課題もあきらかになっている)。業務 に習熟した職員のモデル、スーパーバイズ体制の不足 と、専門性構築のための研修体制未整備の中で、経験 の浅い職員が仕事の遂行能力に対して不安を感じるこ とがストレス要因となっていると推察された。 クラスター 「関係機関との連携」とクラスター 「職場の人間関係」では、関係機関、機関内の連携・ 協働に関するストレスが明らかになった。関係機関と 連携するための調整は要対協担当部署職員として必須 の業務であるが、ネットワークの構築、役割分担の明 確化、多機関、多職種連携の困難さなど様々な課題も 明らかになっている) )。先行研究では「職場の人間 関係」においては、多職種、雇用形態の異なる職員と の連携の困難と、上司の理解やサポートを得られない

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ことがストレス要因となることが指摘されている) 近年、医療・保健分野を中心に連携教育が行われ始め ているが )、福祉分野においては連携に関する体系化 した教育体制は未整備である。関係機関、機関内の連 携・協働に関するスキルが不足していることがストレ ス要因となっていることが推察された。 クラスター 「ケース対応に関する困難」では、要 対協担当部署職員の最も主となる業務であるケース対 応に関するストレスが明らかになった。担当するケー スの量の調整や対応方法の決定やタイミングの判断の 困難、職場内外とのコンセンサスを得ることの困難な どがストレスの内容であった。先行研究においても「少 ない人数で膨大な相談に対応している」、「対人援助と して面接技術の不足」などが課題として指摘されてい る) )。保育所職員を対象とした先行研究では、職場 組織内での人間関係のストレス、保護者対応によるス トレスが保育士特有のストレッサーとして抽出されて おり )、本調査においても同様のストレス要因となっ ていることが推察された。 クラスター 「困難ケースへの対応」とクラスター 「虐待通告からの親支援」では、難しいケースへの 対応に関するストレスが明らかになった。市町村と児 童相談所の連携の基本的な考え方として比較的軽微な ケースは市町村が担当し、専門的な対応を必要とする ケースは児童相談所が担当する役割分担となってい る )。しかし虐待通告の初期対応においては困難ケー スの対応も必要であり、軽微であるかどうかの判断自 体も難しく、困難ケースと判断した場合であっても児 童相談所に引き継ぐまでは対応の必要があるため心理 的負荷は大きいことが予想される。また、軽微なケー スであるかどうかの明確な判断基準はないため、リス ク管理上は軽微なケースと判断しても実際の対応は困 難である場合もある )。対人援助に関する業種におけ る先行研究において、質的内容の困難さにより従事者 の精神状態に負荷がかかることが指摘されている ) 要対協の職員においても同様のストレス状態に陥りや すいと考えられ、本調査においても困難ケースへの対 応は自覚的なストレス要因となることが推察された。 .属性との関連 属性との関連において、男女では男性は自分のペー スを守れないこと、女性はケース対応に関する悩みと 助言が得られないことにストレスを感じる傾向がある ことが明らかになった。男性看護師のストレスに関す る調査において、男性は女性より職場環境によるスト レスが多く問題解決のために周囲に相談する傾向が少 なく、上司、同僚からの支援度も低いことが指摘され ている )。また、男性に比べ女性は「人と話す」など のストレス対処行動をとる確率が約 .倍高いとの調 査結果もある )。精神科医師を対象とした研究におい ては、男性医師は女性医師より仕事量を多く感じ、疲 労感を感じることが報告されており )、男性のストレ スは周囲が把握しにくく、周囲からの支援も受けにく い特徴があることが推察される。年代による特徴とし て、 代は仕事量の多さと仕事内容への戸惑いや適応 に関して、 代は仕事内容の難しさと責任の重さに関 して、 代は職場内外での調整に関して、 代は判断 の難しさと支援の効果が得られないことに関して、 代は虐待の対応と専門知識の不足に関してストレスを 感じやすい特徴があった。精神科医師を対象とした研 究においては、年齢が高いほど心理的な仕事の負担が 質・量ともに高いことが報告されているが )、東京都 子ども家庭支援センターの職員の調査では、年代が低 い方がストレスが高いことが報告されており)、領域 により傾向が異なる可能性がある。要対協の職員につ いては今後の検証が必要である。婚姻に関しては、未 婚の職員は、ケース理解や子どもと親に対応する際の 難しさ、既婚の職員は仕事と家庭の両立の時間の不足 が特徴的なストレスであった。児童虐待に関しては夫 婦の不和や DV の問題など家族の問題が深くかかわっ ており、家族理解と親子への関わりのスキルが必須で あるが )、未婚の職員は年齢が若く、職務経験も短い 場合が多く、自身の経験からの理解も困難であること からストレスを感じやすいこと、自由記述の内容から 自分より年長の保護者とのやりとりがストレスになる ことが推察された。資格の有無に関しては、有資格の 職員は仕事量が多く支援の質が下がることによるスト レス、無資格の職員は、職場内外との調整に関するス トレスが特徴的であった。

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Ⅴ まとめ 本研究では、特別区と中核市の要対協担当部署職員 が認識する職業上のストレスの要因を解明することを 目的としてストレスの内容と属性との関連を検討し た。職務において最もストレスを感じる要因として、 「専門知識の不足」、「ケース対応以外の業務の困難」、 「関係機関との連携」、「職場の人間関係」、「ケース対 応に関する困難」、「困難ケースへの対応」、「虐待通告 からの親支援」の つのクラスターが明らかになった。 属性との関連として、性別については、男性は自分の ペースを守れないこと、女性はケース対応に関する悩 みと助言が得られないことによるストレスが特徴的な 要素であった。年代については、 代は仕事量の多さ と仕事内容への戸惑いや適応に関するストレス、 代 は仕事内容の難しさと責任の重さに関するストレス、 代は職場内外での調整に関するストレス、 代は判 断の難しさと支援の効果が得られないことによるスト レス、 代は虐待の対応と専門知識の不足に関するス トレスが特徴的な要素であった。婚姻については、未 婚はケース理解や子どもと親に対応する際の難しさ、 既婚は仕事と家庭との両立に関する時間の不足がスト レスであること、資格の有無については、資格有りは 仕事量が多く支援の質が下がること、資格無しは職場 内外との調整に関するストレスであった。 市町村の児童虐待の対応においては、担当する職員 が職業上のストレスによって疲弊し、支援の質が下が ったり離職することになると、支援を必要とする子ど もと家庭の生活の質に影響を与えることが推測され る。そのため、職場におけるストレスの対策として組 織的な取り組みが重要であると考えられる。本調査か ら考えられる対策を次に挙げる。体制に関しては、短 期の異動体制の見直しによる専門性の獲得に必要は年 限の確保、職員の経験や専門性を考慮した担当ケース 数、男女、年代、婚姻や資格の有無などを考慮した人 員配置を行う。連携・協働に関しては、専門性の異な る職員の相互理解の推進、異なる属性に対する理解と 配慮、異なる専門性と属性の組み合わせによる複数担 当制、メンター制度を導入する。困難ケースへの対応 に関しては、スーパーバイズ体制、年代、経験年数に 応じた構造化された研修体制の構築が考えられる。 本研究の限界は、調査対象が特別区と中核都市の職 員のみであり、職員自身の感じるストレスを対象とし ていることにある。今後の課題として政令指定都市、 人口規模の小さい市町村を調査対象として拡大し、客 観的指標を用いた職業上のストレスを把握して、人口 規模による比較、地域差などの詳細な検討を行う。さ らにストレスを軽減する対策についても詳細に検討し たい。 謝辞 本研究の実施にあたり、ご協力いただいた特別区、 中核市役所の要保護児童対策地域協議会担当部署職員 の皆様に厚く御礼を申し上げます。 引用文献 )厚生労働省雇用均等・児童家庭局「 市町村に おける児童家庭相談体制の整備」, ,https : // www.mhlw.go. jp / shingi / 2006 / 04 / s 0428-2 e. html , .. アクセス. )研究代表者 川松亮(子どもの虹情報研修センタ ー)「平成 年度研究報告書 市区町村における 児童家庭相談実践の現状と課題に関する研究(第 報)」,社会福祉法人 横浜博萌会子どもの虹情 報研修センター(日本虐待・思春期問題情報研修 センター)発行, ‐ , . )研究代表者 川松亮(子どもの虹情報研修センタ ー)「平成 年度研究報告書 市区町村における 児童家庭相談実践の現状と課題に関する研究―政 令指定都市・児童相談所設置市」,社会福祉法人 横浜博萌会 子どもの虹情報研修センター(日本 虐待・思春期問題情報研修センター)発行, ‐ , . )佐藤まゆみ「市町村における子ども家庭福祉行政 実施体制の評価と課題」,和洋女子大学紀要, , 和洋女子大学, ‐ , . )厚生労働省労働局「要保護児童対策地域協議会の 設置運営状況調査結果の概要」, . http : //www.mhlw.go.jp/content/11900000/0003495 26.pdf, .. アクセス. )加藤曜子「要保護児童対策地域協議会―機能する

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