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認知症ケアのアウトカム評価票の項目別にみた重み付け得点と影響する評価者因子

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認知症ケアのアウトカム評価票の項目別にみた

重み付け得点と影響する評価者因子

内 田 陽 子, 清 水 さゆり, 杉 山

高 橋 陽 子, 加 藤 綾 子

要 旨 【目 的】 認知症ケアのアウトカム評価票の項目別にみた重み付け得点と影響する評価者の因子を明らかに することである. 【方 法】 第 1段階の調査では A 県で行われたケアマネジャー研修と A 県看護協会の研 修に参加した計 542人を対象に評価票の大カテゴリーの重み付け得点化を行った. 第 2段階の調査では, 脳 神経疾患を専門に扱う美原記念病院とその関連施設で働く認知症経験をもつ職員 22人を対象に,大・中カテ ゴリーに対する重み付け得点化を行った. 析は AHP理論を活用した. 【結 果】 第 1調査では重み付け 得点に関連する評価者の因子は職種, 所属機関, 経験年数であった. 第 2調査では背景条件との関連はみられ なかった. 両調査とも「その人らしい生き方」に対する得点は高かった. 【結 論】 これらの評価者の因子 の調整を行い, 重み付け得点化を行う必要がある.(Kitakanto Med J 2009;59:59∼66) キーワード:重み付け, 認知症, アウトカム, 評価, AHP 目 的 わが国は高齢化が急速に進行し, 認知症をもつ者 (以 下, 認知症者) も増加している. 1990年代初めにトム・ キッドの提唱するパーソンセンタード・ケアは多くの国 で大きな議論と論争を巻き起こし, わが国でもパーソン センタード・アプローチの関心は高い. それとともに,認 知症ケアの質を高めることの課題は多く, ケアの質の評 価方法についての研究は最近取り組まれるようになっ た. 質評価には構造, プロセス, アウトカムの 3つの視点 があり, 伴や山本らはそのうちプロセスに着目し, 認知 症ケアに関する質指標の構築と標準化に関する研究を 行っている. しかしながら,これらはケアの方法の標準 化レベルに留まっており, ケアの効果や成果を示すアウ トカムを測定することは不可能である. 従来, 認知症者 に対する評価では, 改定長谷川式簡易知能評価スケール (HDS−R), Mini-Mental State Examination (MMSE) 等 が代表的な尺度として紹介されてきた. しかし, その尺 度は認知機能を主に評価する認知尺度であり, ケアのア ウトカムそのものを評価するものではな い. 2004年, パーソンセンタード・ケアの理念を受けて, わが国では 認知症専用のアセスメントツールであるセンター方式が 開発された. センター方式では, その人らしいあり方や 安心, 安全, やかさ, 心身の力の発揮, なじみの暮らし の継続などの共通の視点が明確にされており, 認知症ケ アの質向上に役立てるものとして注目されている. しか しながら, そのシートは 15枚にも及ぶ量で構成されて おり, すぐにケアのアウトカムが明確になるものではな い. これらの背景をうけ, 2007年, 内田 (筆者) は認知症ケ アのアウトカム評価票原案の開発を行った. 原案はケア の前後である 2時点の状態をアセスメントし, その変化 であるアウトカムを客観的に評価するものとして開発さ れた尺度である. その後も内田らは原案の 用可能性を 検証し, 認知症症状・精神的安定 (以下,症状)」, 生活・ セルフケア (以下, 生活)」, その人らしい生き方 (以下, 1 群馬県前橋市昭和町3-39-22 群馬大学医学部保 学科 2 群馬県前橋市昭和町3-39-22 群馬大学医学部保 学科学部生 3 群馬県前橋市荒牧町4-2 群馬大学社会情報学部 4 群馬県伊勢崎市太田町366 美原記念病院 5 群馬県伊勢崎市太田町 427-3 介護保 施設アルボース 平成20年12月10日 受付 論文別刷請求先 〒371-8514 群馬県前橋市昭和町3-39-22 群馬大学医学部保 学科 内田陽子

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その人らしさ)」, 介護者」の大カテゴリーで構成される 評価票の信頼性や妥当性を検討している. また, その後 の内田らの研究では, 臨床現場で実際の認知症者に適応 し, 認知症ケアの専門家でなくても短期間で簡 にアウ トカムを測定が可能であり, アウトカムを高めるケア内 容の関連も明らかにできることを報告している. この ように, この評価票はケアのアウトカムを客観的に測定 できるだけでなく, ケアの質改善にも活用できる. しかしながら, このアウトカム評価票は全体の重みづ け得点化はなされていない. すでに広く汎用されている HDS-R,MMSE などは項目ごとに配点がなされ, 合得 点で, 臨床判定できる方式になっている. したがって, 今 後, このアウトカム評価票にも重み付け得点化が求めら れる. また, それと同時に適切な評価のためにはアウト カムに影響するリスクの明確化とリスク調整 (Risk Adjustment) が求められる. 本研究では, そのリスク として評価者の背景条件に着目した. 評価者の条件に よって評価の重み付け得点に差がみられるとすれば, 評 価の際には調整が必要となる. そこで, 本研究の目的を, 認知症ケアのアウトカム評価票の項目別にみた重み付け 得点と影響する評価者の因子を明らかにすることとし た. 方 法 調査は第 1, 第 2段階に けて行った. 1.第1段階の調査 1)対象 第 1段階の調査対象は評価票の大カテゴリーの重み付 けに対して幅広く対象者を募るため, 以下の対象者とし た. 2008年 10月の A 県ケアマネジャー現任者研修参加 者であり, 実務経験が通算 1年未満のケアマネジャー 351人のうち調査に同意が得られた 291人とした. 加え て, 2008年 10月に A 県看護協会主催で行われた認知症 高齢者の看護の研修を受けた看護師 311人のうち調査の 同意を得た 251人, 数 542人とした. なお, これらの対 象者が受けた研修の中にはアウトカム評価方法が含まれ ている. 2)重み付けを行うアウトカムの評価項目 内田らが発行している認知症ケアのアウトカム評価方 法の手引書 に掲載している評価票の評価項目に対する 重要度をたずね, 重み付け得点化を行った. 評価票の大 カテゴリーは症状, 生活, その人らしさ, 介護者の合計 4 個である. 第一段階としては対象者の調査票記録の負担 を え, これらの 4個の評価項目に対して重み付け調査 を依頼した. 2.第2段階の調査 1)対象 第 2段階の調査は大・中カテゴリーの両者の重み付け 調査を行うために, 詳細な説明と一人あたり 20 から 30 の記入時間が必要となる. そのために, 開発から協 力を得ていた美原記念病院と関連施設の職員に調査の協 力を得た. 美原記念病院は脳神経科の専門病院であり, 職員も認知症ケアの経験者が多い. 対象の条件は, 認知 症ケアの経験をもち, 認知症ケア専門士もしくは主任以 上の役職に就き, 調査の同意を得た 22人とした. 2)重み付けを行うアウトカムの評価項目 評価票には大カテゴリーに対して, それぞれに中カテ ゴリーが設定されている. 症状の中カテゴリーは, 中核 症状,周辺症状の精神症状,行動障害,苦痛に対する表現, 楽しいことに対する表現・笑顔の 5項目である. 生活で は身づくろい, 着替え, 食事, 入浴, トイレの 用, 移動, 金銭管理, 事故の回避, 休息・睡眠, なじみの暮らしの継 続の 10項目である. その人らしさでは, 役割の発揮, 過 去の趣味・生きがいの実現, 外見の保持, ニーズの表現, 他者とのあいさつ, コミュニケーション, 他者との 流 の機会, 療法に対する参加の程度の 8項目であり, 介護 者では, 認知症者に対する受容, 介護技術の取得の程度, 疲労の様子の 3項目である. 第 2段階では大カテゴリー 4個と中カテゴリー26個に対して重み付け調査を依頼し た. 調査票は第一段階の形式と同様であり, 調査項目に は中カテゴリーの重み付け項目が新たに加わった. 3.AHP 理論に基づく重み付けを行う調査票と記入方 法(図1) アウトカム評価票の評価項目に対する重み付け得点化 のための調査票は Thomas L.Saatyが提唱した AHP (Analytic Hierarchy Process: 階層 析法) 理論 に 従って作成した. AHPを本研究に適用するにあたって は事前に AHP に精通した研究者と協議を行った. AHP は意思決定において, 人間の主観的判断とシステムアプ ローチとの両面から決定を下す問題解決型の意思決定手 法である.その手順は, 階層的構造の構築」, 一対比較」, ウェイトの決定」である. 階層的構造の構築」は問題に 対する評価基準を明確に表現することとなる. 認知症ケアのアウトカム評価票に照らし合わせると, 問題というのがケアのアウトカム評価であり, 評価基準 がアウトカム評価票の評価項目に該当する. 大カテゴ リーを上位に, 下位を中カテゴリーとして階層化した. 同じ階層に異なる n個の要素 (ここではアウトカム評 価票の評価項目)がある場合,n個の要素から異なる 2個 の要素, すなわち, 一対 (ペア) の要素を選んで比較する ため, 一対比較の組数は C 組となる. よって, 第一段階

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の調査票では 6組, 第二段階の調査票では 54組の一対 比較を実施した. 回答には 9 目盛のリッカート尺度を用いた. 質問「認 知症ケアに対してどちらの評価項目が重要であるか?」 に対し, 中央を「両方の項目が同じくらい重要」, 両端に 比較する項目を設定してそれに向かって「若干重要」, 重要」「かなり重要」, 絶対的に重要」という表現を示し て該当する項目にチェックの記入を行う. この一対比較 により対象者の価値観が反映される. 4. 析方法(図1) 調査票の回答データは以下の AHPの 析手順にそっ て重み付け得点化を行った. まず, 調査票によって得ら れた一対比較の結果を AHPで一般的に用いられている 一対比較値によって置き換えた. すなわち, 一対比較 値は前後の項目を比較し, 両方の項目が同じくらい重 要」であれば 1, 前の項目の方が後の方より若干重要」 であれば 3, 前の項目が後の方より重要」であれば 5, 前の項目の方が後の方よりかなり重要」であれば 7, 前 の項目の方が後より絶対的に重要」であれば 9 で置き換 える. 次にこれらの一対比較値をまとめて表現するため に評価項目対評価項目の行列表, すなわち, 一対比較行 列をそれぞれ作成した.そして「ウェイトの決定」はこれ ら一対比較行列に対して固有ベクトル法を用いるのでは 図1 AHPに基づいた重み付けの得点化方法

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なく,計算が容易な幾何平 法 (対数最小 2乗法)によっ て求めた. なお AHPにおいて算出されるウェイトは 全体の和が 1になるが, 本研究では 100倍して合計 100 点となる得点として表した. この計算には Excel 2007を 用した. さらに項目毎の得点が明確になった後, 統計 ソフト SPSS 15.0Jを 用し, 各得点と対象の背景条件の データを入力し,それぞれの関連を t検定,一元配置 散 析, 相関 析を行った. 5.倫理的配慮 調査にあたっては研究の目的, 方法を口頭と文章で説 明し同意を得た. 第 2段階の調査では記入に集中できる ように専用の部屋を用意し, 一人一人に調査の説明を行 い, 対象の負担も 慮し, 疲労がみられたら休憩をとり 中止するなどの配慮を得た. なお, 第 2段階の調査にあ たっては, 美原記念病院の倫理委員会での承認を得た. 成 績 1.第1段階の調査結果 1)対象の背景条件(表1)と大カテゴリーの重み付 け得点(表2) 対象者 542人のうち, 性別は女性が 86.2%を占め, 職 種は看護師が 61.6%, 介護福祉士が 27.5%であった. 認 知症ケア経験年数の平 は 5.6±4.9 年であった. 大カテ ゴリーの重み付け得点の平 値で一番高かったものは, その人らしさ 35.7±17.8点であり, 次いで, 生活 23.9± 13.5点, 介護者 21.0±14.3点, 症状 19.4±13.1点の順で あった. 2)評価者の背景条件別にみた大カテゴリー得点の比 較(表3・4) 看護師と介護福祉士との得点の平 値をみると, 生活 の項目で, 看護師 26.3±14.6点, 介護福祉士 21.5±12.4 点で看護師のほうが高く有意な差がみられた (p<0.01). 逆に介護者の項目では介護福祉士 23.0±14.9 点, 看護師 18.3±13.3点であり, 介護福祉士のほうが高かった (p< 0.01). 病院では症状 21.1±14.8点, 生活 26.4±14.4点で 他よりも有意に高く (p<0.01−0.05), 施設ではその人ら しい項目が 40.5±18.7点 (p<0.05),在宅ケア機関では介 護者の項目が 23.7±14.1点と他よりも高かった (p< 0.01). また, 経験年数と症状の得点にはわずかな相関 表1 第 1段階の調査での背景条件 (n=542) n % 性別 女性 467 86.2 男性 75 13.8 所属機関 病院 232 42.8 在宅ケア機関 184 33.9 介護老人福祉・保 施設 68 12.5 グループホーム 23 4.2 その他 31 5.7 NA 4 0.7 職種 ※複数回答有 看護師 334 61.6 介護福祉士 149 27.5 作業療法士・理学療法士 5 0.9 医師 2 0.4 その他 86 15.9 認知症ケア経験年数 5年未満 207 38.2 5年以上 10年未満 142 26.2 10年以上 15年未満 50 9.2 15年以上 20年未満 23 4.2 20年以上 8 1.5 NA 112 20.7 M±SD 5.6±4.9 表2 第 1段階と第 2段階における大カテゴリー別重み付け得点の比較 大カテゴリー n M±SD p 値 第 1段階 534 19.4±13.1 0.000 認知症症状・精神的安定に関する項目 第 2段階 22 27.2± 8.1 第 1段階 534 23.9±13.5 0.067 生活・セルフケア行動に関する項目 第 2段階 22 18.6± 9.3 第 1段階 534 35.7±17.8 0.867 その人らしい生き方に関する項目 第 2段階 22 36.2±13.5 第 1段階 534 21.0±14.3 0.340 介護者に関する項目 第 2段階 22 18.1± 9.2 ** : p<0.01

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(r=0.104, p=0.033) がみられた. 2.第2段階の調査結果 1)対象の背景条件(表5)と第1・2段階の調査の 大カテゴリーの重み付け得点の比較(表2) 対象 22人の背景条件は, 女性が 86.4%を占め, 施設職 員が 54.5%, 病院職員が 40.9%を占めた. 認知症ケア専 門士の資格をもつ者は 40.9%であり, 認知症経験年数の 平 は 7.7±3.9 年であった. 第二段階でも大カテゴリー の得点で一番高かったものは, その人らしさ 36.2±13.5 点であった. 第一段階との得点差がみられたものは, 症 状の項目であり, 平 得点 27.2±8.1点であり第二段階 のほうが得点は高く有意な差がみられた (p<0.01).対象 の背景条件と得点には関連はみられなかった. 2)中カテゴリー別にみた得点(表6) 中カテゴリーで最も高い点数を示した上位 10項目は, 笑顔 9.4±5.1点, 介護者の認知症者に対する受容 7.6± 4.4点, 苦痛に対する表現 6.8±4.5点, 介護者の疲労の様 表3 第 1段階における看護師と介護福祉士の大カテゴリー別重み付け得点の比較 大カテゴリー 看護師 n=227 M±SD 介護福祉士 n=193 M±SD p 値 認知症症状・精神的安定に関する項目 20.4±14.5 18.7±12.1 0.216 生活・セルフケア行動に関する項目 26.3±14.6 21.5±12.4 0.000 その人らしい生き方に関する項目 35.0±18.5 36.7±17.2 0.319 介護者に関する項目 18.3±13.3 23.0±14.9 0.001 ** : p<0.01 表4 第 1段階における所属機関別にみた大カテゴリー別重み付け得点の比較 大カテゴリー n=232病院 M±SD 介護老人福祉・保 施設 n=68 M±SD 在宅ケア機関 n=207 M±SD F 値 有意確立 認知症症状・精神的 安定に関する項目 21.1±14.8 21.0±12.8 17.4±11.2 4.794 0.009 ** 生活・セルフケア行 動に関する項目 26.4±14.4 21.0±12.8 22.6±12.4 6.330 0.002 * ** その人らしい生き方 に関する項目 34.5±18.5 40.5±18.7 36.4±16.5 2.879 0.057 * 介護者に関する項目 18.0±12.9 17.5±12.8 23.7±14.1 11.311 0.000 ** ** * : p<0.05 ** : p<0.01 表5 第 2段階における対象の背景条件 (n=22) n % 性別 女 19 86.4 男 3 13.6 所属機関 介護老人保 施設 12 54.5 病院 9 40.9 居宅介護支援事業所 1 4.5 認知症ケア専門士資格の有無 資格あり 9 40.9 資格なし 13 59.1 職種 看護師 11 50.0 介護福祉士 8 36.4 その他 3 13.6 経験年数 5年未満 4 18.2 5年以上 10年未満 9 40.9 10年以上 15年未満 8 36.4 NA 1 4.5 M±SD 7.7±3.9

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子 6.7±4.5点, ニーズの表現 6.6±5.5点, コミュニケー ション 5.8±3.5点,過去の趣味・生きがいの実現 5.7±4.9 点, 役割の発揮 5.1±4.3点, 周辺症状の精神症状 4.6±2.4 点, 周辺症状の行動障害 4.3±2.4点であった. 察 1.重み付け得点に影響する評価者の因子 第一段階で行った調査結果から, 得点に影響する因子 は職種, 所属機関, 経験年数であった. 看護職は生活を, 介護職は介護者の項目を重視する傾向にあった. これは, 看護師は生活援助やセルフケアについての学習を積んで おり, 介護者は同じ介護に携わる介護者の気持ちに共感 しやすい立場であることが影響していると える. 病院に所属する者は症状を, 施設ではその人らしさ, 在宅機関では介護者に対して重み付けする傾向にあっ た. 病院では認知症の診断や治療や症状のコントロール を担っている. また, 施設では認知症高齢者の日常生活 自立度がランクⅡ以上の入所者は 80%を超えており, リハビリテーションやレクリエーションなどの各療法や 趣味活動などの実施は高い.また,要介護・要支援の認知 症者では利用者とのコミュニケーションがとりにくいた め, 家族等の介護者からのアセスメントが頼りにされ, 特に在宅機関は介護者と触れ合う機会が多いため, 介護 者の意向を重視する等, これらの機関別特性によりこの ような結果になったといえる. また, 認知症ケアの経験 年数と症状の重み付け得点には軽度の相関がみられた. 経験を積むと, 認知症者に対する接し方にも慣れ, 認知 症の中核, 周辺症状の専門的なアセスメントができるた めに症状重視になったと える. アウトカム評価の重み付けを行うときには, これらの 評価者因子, 本研究では, 職種, 所属機関, 経験年数が明 らかになったが, 重み付け得点化には影響因子を 慮す る必要があるといえる. しかしながら, 第 2段階の対象 では評価者因子は得点に影響はなかった. これは, 美原 記念病院が脳神経科の専門病院であり, 認知症ケア専門 士も多く, 数々の研修も受けており, 認知症ケアに対し て, 職員間で共通の認識がとれていると える. した がって, 得点化を行うときには, 認知症ケアについての 知識や認識, 経験がどれくらいなのか職員の条件を確認 する必要がある. また, 第 2段階の対象者は第一段階よ りも, 症状の得点が高かった. これも, 美原記念病院の専 門的認識の高さに影響しているといえる. 症状のアセス メントについては経験年数だけでなく, 専門的知識も必 要となる. したがって, これらを身につけると認知症の 症状を重視する傾向にある. 2.重要視されたカテゴリーの特徴 大カテゴリーで一番得点が高かったのは, その人ら 表6 第 2段階における中カテゴリー得点 大カテゴリー M±SD 中カテゴリー M±SD 認知症症状・精神的安定 27.1±8.1 中核症状 2.1±1.7 周辺症状-精神症状 4.6±2.4 周辺症状-行動障害 4.3±2.4 苦痛に対する表現 6.8±4.5 楽しいことに対する表現・笑顔 9.4±5.1 生活・セルフケア行動 18.6±9.3 食事 3.0±2.3 着替え 0.8±0.8 身づくろい 1.3±1.3 トイレの 用 2.8±2.7 入浴 1.4±1.4 移動 1.2±0.9 休息・睡眠 2.1±1.7 事故の回避 2.9±1.9 金銭管理 0.5±0.4 なじみの暮らしの継続 2.5±2.4 その人らしい生き方 36.2±13.5 役割の発揮 5.1±4.3 過去の趣味・生きがいの実現 5.7±4.9 外見の保持 2.2±1.6 ニーズの表現 6.6±5.5 他者とのあいさつ 3.5±3.4 コミュニケーション 5.8±3.5 他者との 流の機会 3.6±2.8 療法に対する参加の程度 3.7±3.1 介護者 18.1±9.2 認知症者に対する受容 7.6±4.4 介護技術の習得の程度 3.8±3.7 介護者の疲労の様子 6.7±4.5

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しさ」であった.これは,現場にパーソンセンタード・ケ アの理念が伝わり, また, センター方式でも, その人らし さを強調していることから, その人らしさの重要性の認 識が広まったことが影響しているといえる. また, 中カ テゴリーの得点で一番高かった項目は, 笑顔であった. 自 の気持ちをうまく自己表現できない認知症者も感情 を笑顔として表情に表すことができ, 笑顔は QOL が高 いことの指標といわれる. 家族の会の理事でもあり施設 で働く鎌田も, 笑顔の時が一番いい時, 笑顔のある生活 ということで認知症ケアの中心にしている」 と述べて いる. 笑顔はケア提供者にわかりやすく, ケア評価の指 標にしていることがわかる. また, 介護者の認知症者に対する受容の得点も高かっ た. 杉山は介護者の受容までの過程を 4つのステップで 紹介しており, 介護者が今, どのステップにいるかを知 ることは認知症介護の困難を乗り越えるにあたり大きな 意味をもつと述べている. さらに, 中核症状よりも周辺 症状の項目が得点は高かった. 周辺症状は中核症状と 違って環境因子が最も大きなウエイトを占め, ここにケ アの介入の余地があるといわれている. ケア評価には周 辺症状は重要な項目であるといえる. 3.本研究の限界と今後の課題 今回, 第 2段階の調査で大・中カテゴリーの重み付け を行ったが, 対象者数が少なく, 詳細な 析には至らな かった. 今後, 対象者を増やしての 析が必要であり, 集 団の合意形成のための 正な仕組みの検討ともに適切な 評価票項目の重み付けの標準値を設定し, その妥当性と 信頼性を検証することが課題となる. また, 一方で項目 の精選を重ねることも必要である. これらの課題を解決 し, アウトカムの重み付け得点化が実現できれば, 合 的な評価値が明確となり, ケア前後や機関別のアウトカ ム評価が簡 化し, 早急にケアの質改善に役立てること が期待できる. 謝 辞 研修を企画し調査にご協力いただいた A 県の社会福 祉協議会及び看護協会の方々, 調査票記載にご協力いた だいた皆様, 美原記念病院・関連施設の管理者や職員の 方々に深く感謝いたします. なお, 本研究は文部科学省 科学研究費 (基盤研究 C 課題番号 19592555) 助成研究の 一部として実施した. 文 献 1. トム・キットウッド,ボブ・ウッズ : スー・ベンソン (編), 稲谷ふみ枝,石﨑淳一,パーソンセンタード・ケア―認知 症・個別ケアの 造的アプローチ―.京都 : クリエイツか もがわ, 2007: 3-5.

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Weighted Scores by Outcome M easures in

Dementia Care and an Impact of Assessors Factors

Yoko Uchida,

Sayuri Simizu, Manabu Sugiyama,

Yoko Takahashi

and Ayako Kato

1 School of Health Science, Gunma University Faculty of Medicine

2 School of Health Science, Gunma University Faculty of Medicine (Student) 3 Gunma University Faculty of Social and Information Studies

4 Mihara Memorial Hospital 5 Nursing Home, Arbos

Purpose: To identify weighted scores by outcome measures in dementia care and an impact of assessors factors. M ethods: In the primary survey, the large category outcome measures were weighted in 542 persons who participated in the training programs for care manager and by Nursing Association in A prefecture. In the secondary survey, we weighted the large and middle categories measures in 22 staff members who experienced dementia care at Mihara memorial hospital and affiliated facilities. The Analytic Hierarchy Process (AHP) was used for the analyses. Results: The assessors factors affecting weighted scores were occupation,working institution,year of experience in the primary survey,while no relation with assessors background was found in the secondary survey. The both surveys showed higher scores in to spend ones life in ones own way. Conclusion : We need to adjust weight scores according to these assessors factors.(Kitakanto Med J 2009;59:59∼66)

参照

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第2章 環境影響評価の実施手順等 第1

100~90 点又は S 評価の場合の GP は 4.0 89~85 点又は A+評価の場合の GP は 3.5 84~80 点又は A 評価の場合の GP は 3.0 79~75 点又は B+評価の場合の GP は 2.5

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