• 検索結果がありません。

IRUCAA@TDC : グルココルチコイドにより誘発される胸腺細胞アポトーシスにおけるプロテアソームの機能

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "IRUCAA@TDC : グルココルチコイドにより誘発される胸腺細胞アポトーシスにおけるプロテアソームの機能"

Copied!
17
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)Title Author(s) Journal URL. グルココルチコイドにより誘発される胸腺細胞アポトー シスにおけるプロテアソームの機能 長谷部, 利一 歯科学報, 99(10): 833-848 http://hdl.handle.net/10130/1024. Right. Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/.

(2) 833. 床    著一. グルココルチコイドにより誘発される胸腺細胞 アポトーシスにおけるプロテアソームの機能 長谷部  利 東京歯科大学大学院歯学研究科 歯科矯iE学講座 (指導:一色泰成教授) 東京歯科大学大学院歯学研究科 ノ生化学講座. (指導:木崎治俊教授) 年6月25口受付) 年7月13日受理) 抄 録:マウス胸腺細胞のアポトーシスにおけるプロテアソームの機能を明らかにするために, とプロテアソーム阻害剤を用いDNAの切断,ミトコンドリア膜電位の測定およ び     法によるカルモデュリンの発現について検討した。 プロテアソーム阻害剤およびカルモデュリン阻害剤は         によるミトコンドリア 膜電位の低トとDNAの切断を抑制した。しかし,カルモデュリン    の発現に大きな変化 はみられず,プロテアソームはカルモデュリン遺伝子の発魂に重接関与しないことが考えられた。 プロテアソーム阻害剤単独で長期培養すると    タンパク質合成,タンパクリン酸化に依存 してDNAの切断を誘発した。従ってプロテアソームがアポトーシスの制御に多様な機能を持っこ とが示唆された。 キーワード:アポト-シス,マウス胸腺編胞,デキサメサゾン,プロテアソーム,カルモデュリン. による    の産4抑制2'や    の情報伝. 緒    ij ブルココルチコイドは副腎皮質で産生されるス テロイドホルモンの1種であり,糖質やタンパク 質代謝への影響,副腎皮質刺激ホルモン産生の抑 刺,種々のリンポカイン産生の抑制など多様な生 理的な作用を示す。また,グルココルチコイドは 抗炎症剤や免疫抑制剤として,自己免疫疾患やア レルギー疾患などに使用されている1)。 -般的に 抗炎症作用,免疫抑制作用はブルココルチコイド. 別刷請求先: 〒     千葉市美浜区貢砂1-2-2 東京歯科大学歯科矯正学講座 長谷部利一. 達系の抑制3)によるヘルパーT糸田胞の増殖の阻害 によると考えられてきた。しかし,ブルココルチ コイドは年理的,薬理学的濃度で種々のリンパ系 細胞に死を誘導する。特に胸腺編胞は感受性が高 くその死の過程が典型的なアポト-シスの形態を とることが古くから知られていた4)。アポト-シ スとは細抱内ですでにプログラムされている細胞 死に関わる遺伝子情報を発現させることで自ら死 んでいく糸田胞死であり,個体発生における組織, 器官形成や生体内でのホメオスタシス維持,生体 防御に生理的,病理学的にも重要な機能を担って. 一25-.

(3) 長谷部:アポトーシスにおけるプロテアソームの機能. 834. いる細胞の自殺である5)。 グルココルチコイドは細胞質内でグルココルチ コイドレセプターに結合した後,核内に移行し特 定の遺伝子のプロモーター領域のレスポンスエレ メントに結合して,その遺伝子の発現を調節す る6)。ブルココルチコイドによる胸腺細胞のアポ. デュリン    の発現を指標として で誘発されるマウス胸腺編胞のアポ トーシスにおけるプロテアソームの役割とカルモ デュリンの関与を,プロテアソームの特異的なペ プチド性阻害剤およびカルモデュリンの阻害剤を 用いて検討した。. トーシスの誘導作用がRNAの合成阻害剤である. 材料および方法. やタンパク質の合成阻害剤であ る        で抑制され7),また,転写活. 試薬. 性能を欠損したグルココルチコイドレセプターを. は高有製薬社製(東京)を用い た。プロテアソームの特異的な阻害剤としてペ プチドである. 持ったマウスの胸腺細胞はグルココルチコイドに よるアポトーシスが誘導されないことから8),グ ルココルチコイドが発現誘導する死の遺伝子が想 定されているが,その実体はいまだに不明である。. はペプチド研究所製(大阪) を用いた。カルモデュリン阻害剤 量測定の蛍光試薬di合成阻. 遺伝子の発現には種々の転写因子が関わっている が,それは転写因子の発現誘導や活性化とプロテ アソ-ムによる分角酎こよって調節されている9)。 プロテアソームはユビキチン化されたタンパク質 をATP依存的に切断する高分子のタンパク分解. 害剤             タンパク質合成 阻害剤            「ミトコンドリア 膜電位測定蛍光試薬. て成熟タンパク質を生成するのみならず,綿胞の. (〕 およびDNA染色試 薬          は    社製. 増殖・分化,さらにはアポトーシスにも関与して. を用いた。プロテインキナーゼC阻害剤. いる病原遺伝子由来の     一   一Myc や        などの転写因子の分解を調節. 1 I( 5 -jsoquinoline-sulfonyl) I 2 1methy1-. システムであり,前駆体タンパク質を限定分解し. して種々の遺伝子の転写活性を制御する重要な綿 胞質内プロテアーゼである10)。 また,グルココルチコイドによる胸腺編胞のア ポトーシスには細胞内カルシウム濃度の上昇がア ポトーシスに特徴的なヌクレオソ-ムでのDNA 坊断反応に必蜜であるばかりでなく,アポト-シ ス誘導の引き金としても機能すると考えられてい る11'。カルモデュリンはカルシウム結合タンパク 質であり,細胞内カルシウム上昇に伴う種々の細 胞機能の調節作用に近接関与している は,グルココルチコイドレセ プターに高い親和性を持ち,血清中のブルココル チコイド結合タンパク質に比較的結合しにくい特 徴を持っ合成ブルココルチコイドである。. は生化学 工業社製(東京)を用いた。細胞内カルシウムイオ ンキレート剤       は同仁化学研究所製 (熊本)を用いた。 培養液は免疫年物研究所 製(群馬)を用いた。牛胎児血清 は       社製       を 用いた。 実験動物 5週歯令の      雄マウス(オリエンタル酵 母,東京)を購入し,少なくとも1週間飼育し本 実験に供した。なお,実験にあたっては東京歯科 大学動物実験指針に基づき行った。 実験方法 1 胸腺細胞の調製. そこで,アポトーシスに特徴的なDNAの切 断と,ミトコンドリア膜電位の低下と,カルモ 一26一. マウスの胸腺を抽出し 中で,スリ付きの二枚のスライ.

(4) 歯科学報. 835. ドグラスで擦り合わせることにより胸腺細胞懸 淘液を作製した       含 50pM. 2-mercaptoethan01,. 0.. 1mg/ml. strepto一. 培養液で2回洗浄. 50。  分処理したものを を含む            弓 buffer(89mMTris, 89mMboric acid, 2 mM. 後, 1×107個/mlになるよう調製し, 1〃M dexamethasone, 0.1110pM P S I, 1.251. を用い電気泳動を行いUVライトトでポ ラロイドフイルムに言己録した。 4 ミトコンドリア膜電位の測定. 5 〃     存在下,または非存在下で5%の 炭酸ガス培養器で37 ℃で培養し,目的に応じ. 培養細胞をPBSで1回洗浄後1 ×106個/ml になるよう調製し,最終濃度   となるように ,nolに溶解した     を加え37 。  分 反応させた。その後PBSで1回洗浄L. を抽出した。 切断率の測定. に懸淘し試料とした。 社製     を用いて,細胞104個. 培養終了後,細胞を等量に2分画し600×g, 5分   で遠心後,上活を取り除き ・1・    1     、    ㌦   M. にて綿胞を溶解 し,つぎに断片化DNAは   ×   分, 4℃で遠心後,上清を試料とした。全DNAは で舶包を溶解したものを虐接試 料とした。各試料を水冷下で30秒超音波処理し, DNA測定検波とした    切断率の測定は2 mlの測定液 NaCl,. 0.02mM. EDTA,. 0.01%. Triton. 当たりの前方,側方散乱光からの解析と波長488 nInの励起波長による縁色蛍光によりミトコンド リア膜電位の刺定を行った。 5 胸腺細胞からのRNA抽出および 合成 それぞれの条件で培養したものから 法にてRNAを抽出した14)。培養終了後 で洗浄L thiocyanatc, 25mM sodium citrate(pfJ7. 0),. X一一. に上記検液を   〃1 加え蛍光光度計  日本分光社製,東京)を用. 仕1\    ・      上  、   -ll. い,励起波長    蛍光波長   で蛍光強 度を測定した。また各検体の蛍光強度はDNA測. 角率し   の. N-           〃1を加え細胞を溶. 定試薬に検波と同量のL       を加え て得られた蛍光強度を差し引いて補 を行い,全 細胞DNAに対する断片化DNA量の比を切断率 とした13)。 有意性の検定は各群の分散分析を行い,さらに 多重比較として   法 を用い     に設定し検 討した。 電気泳動法 培養細胞を600×g, 5分, 4℃で遠心後,上清 を取り除き. 〃       および100〃1の を水冷下で加えそれぞれ混合した後15分静置し, ×   分   で遠心したO 上層をマイ クロチューブに移し,等量の を加え  OCで60分冷却した。遠心後200〃1 80 にて洗浄LRNAを得た。得られた RNAは滅菌水に溶解した。濃度は分光光度計 日本分光社製,東京)にて測定し0.5 になるように調整した。 次に      に           を 加え65℃で5分インキュベートし放冷後, 10〃1 5 ×. 375mM KCl, 15mM MgC12, 50mM dithiothrC、ito仕 」0111    、 1. ( I)上  上     引     Ll. を加え細胞を溶解し, を加え50 。  分反応 させ,次に              を加え - 27. を水冷下で加えそれぞれ混合した 後,逆転写酵素            を加.

(5) 長谷部:アポトーシスにおけるプロテアソームの機能. 836. 表     反応溶液の組成. え, 37℃で60分インキュベートし,その後  で 5分処理を行い反応を止め   を舎成した。. 〃1. 6 カルモジュリン    の発現. 10×                       〃1. 合成した       から. MKLつ. lL \    恒 言上1°い 「 つ岬. dNTPsMix(2 mMeach)         6. 5pl. 宝酒造社製,滋賀)を用い,. 〃1. 引こより増幅した。カルモデュリンの特. 〃M)            工0〃1. 異的プライマーはDJjBJデータベースからの配. 〃M)             工0〃1. 列をもとに,タイプ1として, 5㌧. rTaq DNA Polymerase(5 U/pl)   0.5pl. '         -3'および5'…. l主0                     3トロ〃l. CAGTTCTGCCGCACTGATGTAACC- 3 ㌔. tota1                   50. Opl. タイプ2として5㌧ および. 表     増幅の反応条件  .  .  .  . 9. 4  .  . C   召 し O      °. 5. 召. 5.  .  .    . 5′00〃. 1′00〃「. ▼.  . し.  . 1′00〃. 7. 2.  .  . 召.  . 〕.  .  . 1′30〟. 」. 7.  . し. -. 2.  . 7′00〃    〕TT C.     4. マーは および. 4. を設定した      プライ. ,ノ. および. 9. て. グ. - 応 応 性 性 一 反   反 変 変 二 長 lj長 存 動画 動画 ア 伸 伸 保. タイプ3とし. C. を設定した。 P C R反応溶液の組成(義. ド輸送体の阻害剤である       やシクロ. 1)と,増幅の反応条件(表2)をそれぞれ示す。 P C Rのサイクル数は生成物を肉眼的に確実に観 察するために      は22回,タイプ1は28 回,タイプ2は22回,タイプ3は25回とした。 P C R生成物は を含む               を用 い電気泳動を行いUVライト下でポラロイドフイ ルムに記録した。それぞれのサンプルの の発視レベルは. スポリンAにより月莫電位の破綻を抑制すると,ア ポトーシスをも阻害されることが報害されている そこでプロテアソームの        誘 発アポトーシスにおける役割を明らかにするため に,その牲異的なペプチド性阻害剤であるP S Iを 用いて    切断とミトコンドリア膜電位への 影響を検討した。 のDNA切断に及ぼす作用(図1) 無処理の対照胸腺細胞では6時間の培養により ±   のDNA切断が観察された。また,. 製        を使用し を1にした相対比として半定量的に解 析した。. 0.1-10〃MのP S Iの存在下では    切断 に影響はみられなかった。 1〃 結     果. により誘発される胸腺細胞 アポトーシスに対するプロテアソーム阻害剤の 効果 は胸腺細胞に用量,時間依存 的にDNA切断を伴ったアポトーシスを誘発す るo しかもその初期段階にミトコンドリア膜電位 の破綻が観察され,膜電位のアデニンヌクレオチ. 存在IF6時間におけるDNA切断率は ⊥   であったが   〃     共存下では ⊥     〃Mでは        〃Mで は  土   と有意に低下し      用量 依存的にDNA切断を抑制したoデータには示さ ないが50〃     存在下でのDNA切断率も 10〃Mと同程度であった。 DNAアガロース電気泳動においても. -28 -.

(6) 歯科学報\701,99,ド0.10(1999) ▲U O ︻U O 一U ▲U 轟U ▲b 6 ■7 ∧■ 2 ■■ ︵ボ︶uO;町−亡心EmiJLYN凸. 15.5%と対照と有意な変化はなく膜電位への影響. l_トト. D. 837. は見られなかった。dexamethasone処理した胸 腺細胞では膜電位の低い分画は64.5%と増加し た。この膜竃偉の低い分画は10′∠MのPSI共存 下では3C),4%と減少し,P Slはdexametha soneで誘発される膜電位の低下を約67%抑制した。. 2.dexameLhasoneにより誘発される胸腺細月包 アポトーシスにおける細胞内外のカルシウムの 効果 dexamethasoneで誘発される胸腺細胞アポ トーシスには細胞内のカルシウムの上昇が関与し. O.1 Con¢entr8tlon(卜M). 図1〔lexamethasoneにより誘発される胸腺細胞 のDNA切断に及ぼすPSIの作間 (「J)control,(■)1FLMdexamethasonc: mean二S.E.(n 6)6時間培養でのDNA切 断率を示す。 各々のcontrol群と(1exanlethasone群, および全てのdexaInethasone群聞において 17亡配置分散分析,多顎比較により有意差(P. ていることが示唆されている10’。そこでカルシウ. <0.nl)が認められた。. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112. く1てIL−\=∵廿=右上京‖し l】Sl 1)\三\丁ブノロー方ゲルぷム泳動像. PSl単独(1anel6)と1FLMd(?XamethL asone共存下(1ane712)での,6時間における 胸瞳糾l胞のアガロースゲル電気泳動像を示す。. co【1trOl(laneユ,7).0.1〃M PSl(1ane2. 8),0.3JIM PSI(1ane3.9).1FLM PSl (lanp4、川),3/JM PSl(1ane5.11)10〃M PSI(1an(−6,12). ムの上昇が細胞外カルシウムの細胞内への流人 か,細胞内に貯蔵されているカルシウムの両分布 によるものかを明らかにするために,胸腺細胞を カルシウムの無い培養液と,細胞内カルシウムを QしIiI12AMでキレートした場合それぞれでの dcxamethasoneの効果をDNA切断率の測定に より検討した。 細胞外カルシウムの影響をみるためFCSを3 口間,1日2L口l外液のPBSを交換Lて透析し, 10%になるようにカルシウムフリーのMEMに加 え,さらにRGTAを0.5mMとなるように加 えた培養液を使用した。また,細胞内カルシウ ムの影響をみるためRPⅣIT1640培養液に5〟M Quin2AMを加え,370cで30分,炭酸ガス培 養器内で細胞にとりこませ,その後,P BSで 2回洗浄し,前述したカルシウムフリーのMEM にて培養した。細胞外カルシウムの除去および Quin2AMはそれ自体で培養時間を長くする と細胞傷害性を持つため,Quin2−AMを負荷 した胸腺細抱を2−6時間培養し,DNA切断率 の測定を行ない対照と比較し,できるだけ細1胞傷. 害の少ない4時間培養でのdexamethasoneの 効果を検討した。 紳格外カルシウムの非存在下と1mMの細胞外 カルシウムの存在下ではDNA切断ほほぼ同じで あった。dexamethasone処理においても細胞 外カルシウム存在の有無に関わらずに約31%の DNA切断が観察された(岡4A)。細抱内のカル. methasone処押した胸腺細胞にはアポトーシス に特徴的な約200塩某対単位のラダー状のDNA 断片像が観察され,PSI用景依存的にその減少 がみられた(図2)。 )3凶(響影のへ位電膜アリドンコトミのISP)2. 無処f弔の対照胸腺細胞では18.1%の膜電位の低 い分画が観察された。10〃MのPSI存在下では 29.

(7) 長谷部:アポトーシスにおけるプロテアソームの機能. 838. 肌     ∪. 0 0 円                         寸     0. 5辛unOU. 00Z O9L OZL O8  0tP. lou 1. 1 0v Hコ. ド l冗 FL1-H. FL1-H. Dex. Dex+PSI. 図          とPS I処理胸月新田胞のミトコンドリア摸電位 )ex)と       による6時間培 養の胸腺綿胞の       を用いたミトコンドリア膜電位の 角和子を示す。. B LO O 5 0 5 0 5 0 3 32 2 ー ー (%)uo!tt21uaLD6tZjj VNQ. LL) 0. (%)uo!ltZIuauj6tuj VNQ. Lt) O LE) O LL) O 3   3   2   2   ー   ー. (-)  (+)        (-)  (+) dexamethasone dexamethasone. 図          により誘発される胸腺紬胞のDNA切断に及ぼすCa2十 の作用 A :綿胞外カルシウムの有無での           によるDNA 切断率: (□     田 B :綿胞内カルシウムの有無での            によるDNA 切断率: (□        〃 く. - 30 -.

(8) 歯科学報\rol.99,No.10(1999) シウムをQuin2−AMでキレートをすると.. 泳動においても,dexamethasone処理した胸腺. 〔1examethasoncの無い条件でもキレートしない. 細胞には,アポトーシスに特徴的な約200塩基対. 細胞とほぼ「司じDNA切断が観察された。一方,. 毎のラダp状のDNA斬け像が観察され.CMZ. dexamethasone存在下においてQuin2AM. 用量依存的にその減少がみられた(図6)。. で細値内力ルシウムをキレートするとDNA切断. 2)CMZのミトコンドリア膜電位への影響(岡7). は約22%と有意にアポトーシスの抑制効果がみら. 無処押の対照胸睨細胞では約19%の膜電位の低. れた(囲4B)。. い分画が観察された。5/∠MのCMZ存在下で. 3.dexamethasoneにより誘発される胸腺糾1胞. は,約19%と対照と変化なくCMZによるミト. コンドリア膜電位への影響は見られなかった。 アポトーシスに対するカルモデュリン阻害剤の 効果 dexamethasone処理の胸腺細胞では膜電位の低 細胞内のカルシウムの再分布がdexametha−. い分画は約69%と増加した。この膜電位の低い分. soneで誘発される胸腺細胞アポトーシスに重要. 画は5iLMのCMZの存在Fで約47%と減少し,. な役割を担っていると示唆されたことから,その. dexamethasoneで誘発される膜電位の低下を約. カルシウムの情報伝達に関わるカルモデュリンの 44%抑制した。 4.カルモデュリンの発現. 関与についてその特異的な阻′ヤ剤であるCMZを. 上記の結果からdcxamcthasoneで誘発され. 用いて検討した。. る胸腺細胞のアポトーシスの情報伝達の一郎にカ. 1)CMZのDNA切断に及ばす作用(図5). ルモデュリンが関わっていること示唆された。そ. CMZ単独ではDNA切断には影響がみられ ず,対照と比べ有意烏変化は見られなかった。1. こでdexamethasoneによりカルモデュリン遺. 〃M dexamethasone存在ド,6時間におけ. 伝子の発現が誘導されるか,またプロテ7ソーム. るDNA切断率は,47.5]:8.1%であったが, CMZの1.25〃Mの存在下でほ44.1⊥5.6%,2.5. 1 2 3 4 5. 〃Mでは33.1二17.9%,5mMでは21.7⊥5.6% と有意に低下◆し(Pく0.01),CMZは用屋依存的 にDNA切断を抑制した。DNAアガロース電気 ▲U 一U O ︻U. ︵♂︶u〇一−ヱuO∈ロ巴﹄くN凸. 一U ▲U n−. 図5 dexanlethasonpにより誘発される胸腺細胞 のDT(^切断に及ばすCMZの作用 〔」)conLrol,(■)11JM dcxameLhasone :mean±S.E.(n 6)6時間培養でのDNA 切断率を示す。 各々のcontrol群とdexamethasone群, および全てのdexamethasone群において1 元配置分散分析.多重比較により有意差(P<. 上村(う1【し、ヽ÷川け1ll‖ドりIl−・とし\tン′畑H 仙しノ. l〕\∧の7力士ースケル揖ム泳動像 CMZ準独〔1allel d)と1/JM【1exa− methasoneJヒ存下(1ane5 8)での,6時間. 培養における胸腺細脹のアガロースゲル電気 泳動像 control(1ancl,5).1.25FLM CMZ(lane 2,6).2.5〃M CMZ(1ane3,7).5FLM CMZ(1ane4.8). 0.01)が認められた。 3】.

(9) 長谷部:アポトーシスにおけるプロテアソームの機能. 1 0 ' 1 0JE- 1 0lLJ 1 FL1-H. Control. 10u lO' 101L FL1-H. Dex 図          とCMZ処理胸腺糸田胞のミトコンドリア膜 電位 1〃             と5〃     による6時 間培養の胸腺綿胞の       を用いたミトコンドリア 膜電位の解析を示す。. がその発現調節に関わっているかをカルモデュリ. はそれぞれのPCRサイクル数が異なるためタイ プ2の発現が最も多く,次にタイプ3,タイプ1. ン    の発現により検討した。カルモデュ リンには3つのイソフォームが存在する。そこで そして両者の存在トで1. の順であった         処理により4時 間後にはタイプ1とタイプ2が約1.3倍,工6倍と 増加傾向がみられたが,いずれもmllNAの発. -4時間培養時のカルモデュリンの各タイプの. 現の増減は振著ではなかった。また    単. の発現を     法により検討した. 独,あるいは        とPSIの共存 下でも    の発現には大きな変化は観察さ れなかった。. タイプ     のプライマーを用いて. (図8)。 各プローブの生成物のサイズはタイプ1は798 bp,タイプ2は    タイプ3は   であ. 単独による胸腺細胞アポトーシスの誘発 胸腺細胞をPS I存在下6時間培養しても対照. り         により得られたDNA配列 はそれぞれのカルモデュリンのDNA配列と一致 していた。. 群と比較してDNAの切断には影響はみられず, むしろ        によるDNA切断の抑 制が観察された。しかし,プロテアソームは転写 因子の制御のみならず様々な機能に関わってい. カルモデュリンタイプ         はマ ウス胸腺細胞において全て発窮していた。発現室 32.

(10) 歯科学報 Vol.99,No.10(]999). 84l. 時間後からDNA切断率は徐々に増加し24時間後 る。そこでPSIの昆時間の処理が胸腺細胞のア ポトーシスにいかなる影響を与えるかを検討した。 には約81%となった(閲9)。24時間後のPSIに よるDNA切断は1〟Mで約dO%,10/JMでは約 1)PSlのDNA切断に及ぼす作用 80%観察され,DNA切断は用量依存的に誘発さ 10〃MのPSI単独で胸腺細胞を培養すると9 れた(区110)。. DNAアガロース電気泳動においても,用量依 存的に増加するラダー状のDNA断片像が観察さ れた(図11)。. 0 g 0 8 ▲U ▲U ∧U 7 ︻○−b−■ ∧リ ■J 8 0 8 ’■ l. ︵辞︶uO;ヱuの∈冨亡くN凸. ▲U. 0.1. 図8 PCRによる胸腺細胞のカルモデュリンタイブ 1.2,3mRNAの発現 Cal†1はタイプl,CalI2はタイプ2.Ca九1 3はタイプ3を示す。 GAIJ工川は対照として用いた。 0,4h control(1白山el,2). 1,2,4hlFLMdexamethasonc(1ane3,4.. 1. 10. C【〉n=〉ntr8tion(11〟). 回10 PSIにより誘発される胸腺細他のDNA. 切断. 24時間培養でのDNA切断率を示す。 mean±S.E.(n36) 1 2 3 4 5 6. 5).. 1,2,4h】0/JM PSI(1ane6,7.8). 1,2,4hlJJMdexameLhas(〕ne十10JJM PSI〔Ian(−9,10,11). 9 8 7 8. 0. −b▼+▲﹁. 0 0. 3 2. 〇. 1. 一U. 0. 8. 8. 園」11)ゝlにじり沃1−さされる仙rし山肌直JL)\.\りア. 0 12 15 18 21 24. O. ガロースゲル′産品′再叶像. ▼=Ⅵ色(h). PSl存在卜封時間培養月別泉柳川包じ\八のアガ ロースゲル電訊永軌像を示す。 c(〕ntrOl(1antさ1).0.1JJM PSI(1ane2). 0,3FLM PSlぐ1ane3),1JJM PS=1ane4), 3FLM f)SI(1ane5),1DFLM PSI(1ane6). 図9 PSIにより誘発される胸腺細胞のD㍉∧. 切一桁の時間経過. P SI存在ド,D\∧切断率の時間経過を 示す。 control(◆),10〃MPS T(▲) 33.

(11) 長谷部:アポトーシスにおけるプロテアソームの機能. 842. 2)PSlで誘発されるDNA切断に及ぼす^ct 1 2 3 4 5 6 7 8 D,CHX.H7の作Ff](図12) 程々の要因で誘発される胸腺細胞のアポトーシ スはAct T).CHX,H7で抑制される。そ こでPSIにより誘発されるアポトーシスへの効 果について検討した。0.5〃g/ml一斗ct D.10 〃g/mlCHX,50pM H7を共存させる と10pM PSI存在下でみられた約80%のDNA 切断率はそれぞれ約30%,24%,27%とほぼそれ ぞれの対照のレベルにまで抑制された。DNAア ガロースゲル電気泳動においても,約200塩基対 毎のラダp状のDNA切断は,ActD,CHX, H7により減少した(図13)。 剛3【)S一にり沃ブ仁さ著パ=∵中仙」し用\八の. アカロスケル㍍ユ両び」佗 考 察 10〝M PS=1anp2,4.6,8)とAct D, 免疫反応の中心となるT細胞の分化成熟は胸腸 CHX,H7共存卜での,24時間培養におけ 内で行なわれ自己と反応する細胞がアポトーシス る胸腺細脹のアブ7ロスゲル電気泳動像を 示す。 COntrOl(1anel,2),0.5JJg/m】∧ct D 応か異物に特異的におこなわれるようになる。こ (】ane3,4),10〃g/mlCtIX(1且ne5,6). 50〟M H7(1ane7,8) の胸腺細胞のアポトーシスはT細胞レセプターや によって除去され,自己寛容が確立されて免妓反. 細胞膜の補助分子を介したシグナルとグルココル チコイドの情報伝達系の密接な相互†′軒別こより制 誘導されるⅠ6−。グルココルチコイドは生理的な胸 御されている。胸腺細胞の80%以上を占めるCD 腺細胞のアポトーシスに関わるのみならず.抗炎 4■8L細胞はグルココルチコイドに感受性が高 砧作用あるいは免疫抑制作用として生体防御に奉 安な役割を担い,臨床的にも合成グルココルチコ. 度(0.1−1JJM)でもinvitroでアポトーシスが. イドであるdexamethasoneが,抗炎症剤ある いは免疫抑制剤として使用されている。本研究で はこのグルココルチコイドによる抗炎症†′ド用 疫抑制作用の解明の一端として,胸腺細胞のアポ トーシスにおける転写因子の制御や細胞内の重要 なタンパク質のターンオーバーに関わるプロテア ソームの機能と細胞内カルシウムとカルモデュリ ンとの関連性について検討を行なった。 1.dexamethasone誘発アポトーシスにおける プロテアソームの作用 プロテアソームは貢核細胞の主として細胞質内. 8. く,マウスやラットの場合生理的なピーク時の濃. 0 ∧V O. ︵ポ︶u〇一−雲∪む∈切空山くZ凸. 0 O−リ 0 0. (). Act D. CHX. H.7. け. 図12 PSlにより誘発される胸腺縮瞳のDTヽA 切断におけるAct」⊃,CHX,H7の作用 PSl存在下,24時間培養でのDトA切断 率を示す。. に存在する可溶件の高分子タンパク質複合休で, リソソーム経路とは異なり,変異や傷害により生. ずる異常タンパク質をユビキチン化し,ATP 依存的に加水分解する経路として認識されてい. (□)control,(T)10JJM PSI:mean± S.E.(n=6),P′0,01(・) 34.

(12) 歯科学報. 843. た  分子生物学的手法によるプロテアソームの. ナル伝達における重要な細胞内メッセンジャーの 1つである。様々な伝達物質の細胞膜レセプター. 構造解析研究の進展により,その構造や機能に関 する新しい知見が累積し,免疫の制御,細胞周期. への結合により引き起こされる細胞外からのカル シウムの流入あるいは細胞内カルシウム貯蔵部位. の制御,発生・分化・アポトーシスの制御などに 関わっていることが明らかになってきた18)。近. からの放出により細胞内カルシウム濃度が増加 し,多様な細胞機能の変化が引き起こされる。細. 年,プロテアソームの阻害がある種のリンパ腫綿 胞ではアポトーシスを誘発したり   細胞-イ. 胞の生存/細胞死には一過性の細胞内カルシウム 濃度の上昇よりも,恒常性の崩壊によるカルシウ. ブリドーマのT細胞レセプターを介した活性化T 編胞のアポトーシス20)を抑制することが報吾され ている。. ムの持続した上昇とそれに続くカスケードが重要 である。グルココルチコイドである で誘発される胸腺細胞のアポトーシス. 今回         はマウス胸腺綿月包に DNA切断を誘発し,それがPS Iにより抑制さ. は,細胞内カルシウムイオンの増加が関与してい ると言われている10)。. れることをみいだした(図1)。細胞にアポトーシ スが誘発されると,ヌクレオソームのリンカー部. そこでアポトーシスに関わるカルシウムが綿胞 外カルシウムの細胞内-の流入か,綿胞内に貯蔵 されているカルシウムの再分布によるものかを明. 位が醇素的に切断され断片化が起こる3)。アポ トーシスを起こした細胞からDNAを抽出し,ア ガロースゲル電気泳動法により解析すると,約200. らかにした。        で誘発される胸腺 細胞のDNA切断は細胞外カルシウム非存在下で. 塩素対の整数倍のはしご状になったDNAの断片 像が観察される。この特徴的な泳動像は現在アポ ト-シスの定義として広く用いられている 。 処理によりこのDNAラダーが. も        存在の有無による影響はみ られなかった        の存在下で細胞内 カルシウムをキレートすると. 観察され,それがP SIにより抑制された(図. によるDNA切断率は約50%抑制された(図4)。 ブルココルチコイドによるリンパ球のアポトーシ. 2)。. 種々の細胞のアポトーシスにはミトコンドリア. スは,タイプ3のI P3受容体が細胞膜に増加す ることによるカルシウムの流入によるとの報吾も. の膜電位の破綻による膜透過遷移孔からのシトク ロムCやアポトーシス誘発園子などのミトコンド. あるが          で誘発される胸腺細 胞のDNA切断は細胞外からのカルシウムの流入 によるものではなく,小胞体など細胞内のカル. リア成分の逸脱がDNA切断などのアポトーシス の進行に関わっていることが報吾されている23)。 事実         は膜電位の低下を誘発. シウムの再分布が関与することが推察された が    を用いたより詳細な検討が必要であ ろう。. し,しかもPS Iはそれを抑制していた(図3)。 膜電位の低下の抑制に対応してD N A切断の抑制 がみられたことから, 6時間培養でのPS Iはミ. 細胞質カルシウムの主要ターゲットは様々なカ ルシウム特異結合タンパク質で,綿胞内カルシウ. トコンドリアの膜電位の低下を抑制し,その結果 DNA切断を伴うアポトーシスを用量依存的に抑. ムの増加によりカルシウムが結合するとその構造 を変え,シグナル伝達下流の様々なタンパク繋, 酵素の機能調節に役割を果たす。これらカルシウ. 制していることが認められ,プロテアソームはミ トコンドリア膜電位の変化を起こす前の過程に作 用していることが示唆された。 カルシウムとカルモデュリンの関与. ム結合タンパク質のうち最もよく知られているの がカルモデュリン11)であり,カルシウム/カルモ デュリン活性化酵素の1つであるカルシニューリ. カルシウムはほとんどの真核細胞の様々なシグ. ンがカルシウム依存性アポトーシスに関与してい. 誘発アポトーシスにおける. 35.

(13) 長谷部:アポトーシスにおけるプロテアソームの機能. 844. が報菖されている28)。今回カルモデュリンタイプ. ることが報菖されている. の    の発現は. そこで細胞内のカルシウムの再分布が. およびP S Iの影響を受けないことから. で誘発される胸腺糸田月包アポトーシス に重要な役割を担っていることが示唆されたこと. で誘発されるアポトーシスにおいて. から,そのカルシウムの情報伝達に関わるカルモ. カルモデュリンの    の発現が直接調節に. デュリンの特異的阻害剤CMZの作用ついて検討. 関与しないことが示唆された。これは今回用いた. した。 6時間培養の     . で誘発さ. のは非増殖性の胸腺細胞であり,リンパ腫綿胞と. れるDNA切断は          により用量. いった増殖性の細胞とはアポトーシスの制御機構. 依存的に抑制された(図5)。また    ラダー. の違いが関係するのではないかとも考えられた。. 構造も抑制されたことから(図. 3.長期培養におけるプロテアソームの作用. で誘発されるアポトーシスがP S Iと. プロテアソ-ムは転写因子の制御のみならず代. 同様    により抑制されることが確認で. 謝調節の鍾となるタンパクのターンオーバーや細. きた。. 胞内タンパクの局在化,レセプターの内在化など 様々な機能に関わっている29)。胸腺細胞のアポ. 細胞内の種々のカルシウム結合タンパク質は,. トーシスは様々な要因により,タンパク質リン酸. その親和性,局所的分布に依存してカルシウムの. 化反応後,ミトコンドリア膜電位の破綻に続く,. 恒常性に害与している。 6時間培養でのCMZは. カスパーゼカスケードの活性化により実行され. によるミトコンドリア膜電位の 低下を抑制した(図7)。それに対応してDNA切. る. 断を抑制したことから,胸腺細胞のアポトーシス. 胸腺綿抱をPS I存在下で培養すると9時間以 上の培養により,時間および用量依存的にDNA 切断が誘発された(図   。このDNA切断は. においてカルモデュリンは少なくともミトコンド リア膜電位の破綻の過程の上流に一部作用してい. で抑制されることから, RNA合成,タンパク薯合成,タンパクリン酸化. ることが示唆された。 アポトーシスに関してカルモデュリンが一つの. に依存したアポトーシスの誘発であった(図1 。プロテアソームの機能として細胞周期の関与30)や,タンパク質の選択的な消失が生体反. 因子となることが示唆された。そこで によりカルモデュリンが誘導される か,またプロテアソームがその発現調節に関わっ. 応の動態を決定する重要な要素であり年休制御機 構の中枢を構成する31)ことから,長期のPS Iの. ているかを    の発現により検討した。カ ルモデュリンには3つのイソフォームが存在し,. 存在によるアポト-シスの誘導は,正常時にはユ ビキチン-プロテアソーム系で分解をうけるよう. それらの組織分布や機能が異なっていることが 報舎されている 。カルモデュリンタイプ1, はP C Rのサイクル数が異な. な短期的制御タンパクが細胞内に蓄積すること により起こっていることが考えられる。 はリン酸化されたIKBがユビキチンープロテ. るため発現量に差があるものの,マウス胸腺編 胞において全て発現していた(図8)。. アソーム系で分解をうけ,核に移行する転写因 子であるが    または   の形質移入に より     の活性化を抑制すると などの              や. 単独,あるいは とP S Iの共存下において,いずれもカ ルモデュリン    の発現の増減は顕著では なく,大きな変化はみられなかった。     一 で誘発されるラットリンパ腫細胞のアポ. によるアポトーシスを増強するこ. トーシスにおいてそのタイプは不明であるがカル. とが明らかになっている  また      に 依存した編胞の生存を維持するような因子の発現. モデュリン遺伝子の発現が   倍高くなること 36.

(14) 歯科学報. 845. 切断を伴うアポト-シスを用量依存的に抑制して いた。. が滅弱されるためにアポトーシスが誘導される可 能性が考えられたが, T細胞レセプター刺激によ. で誘発される胸腺細胞の DNA切断は細胞外からのカルシウムの流入には. る活性化一誘導アポトーシスにおいてはNF一 の活性化の抑制はアポトーシスを抑制することか り複雑であり今後の検討課題であるO癌抑制遺伝. 依存せず,小胞体など細胞内からのカルシウムの 再分布が関与した。. 子産物で転写園子であるp53はユビキチンープロ. は          によるミトコン. テアソーム系で分解される。種々のアポトーシス. ドリアの月莫電位の低下を抑制し,その結果DNA. 刺激でp53の発現が誘導されることが知られて. 切断を伴うアポトーシスを用量依存的に抑制して. いるが   近年     細胞や     細. いた。. ら       によるアポトーシスの制御はよ. 胞でPS Iによりp53タンパクの蓄積と共にアポ. 4.カルモデュリンタイプ     の. トーシスが誘導され. はマウス胸腺細胞において全て発現していたが,. ではアポトーシスが抑制されることが報. . による増減は顕著ではなく大き. 吾されている35)。 p53はサイクリン依存性プロテ. な変化は観察されず    による抑制もみられ. インキナ-ゼ阻害タンパクである    の転写. なかった。. を支配する因子であり,その蓄積により細胞周期. 5.胸腺綿胞をP S I存在下で培養すると時間,. は停止するが,非増殖系の細胞である胸腺細胞の. 用量依存的にRNA合成,タンパク薯合成,タ. PSIによるアポトーシスにおいてp53タンパク. ンパクリン酸化に依存したアポトーシスが誘発さ. の蓄積が起きているか否か,またp53の蓄積がア. れた。. ポトーシスに関連しているのか解析することが重. 以上より胸腺細胞のアポトーシスにおいて. 要である。. P SIには少なくとも2つの作用を持つことが. 生体内では細胞の増殖が様々な園子で適度に調. 明らかになった。すなわち     には. 節されているため,増殖と細胞死のバランスがと. で誘発される早期のアポトーシスを. れており,プロテアソームの機能においてはグル. 抑制する作用と    単独で長期培養するとア. ココルチコイドの刺激の有無や系田胞の増殖・分化. ポトーシスを誘発する作用が存在すると考えら. の状態によりアポトーシスの誘導に対する応答が. れ,プロテアソームがアポト-シスの制御に多様. 異なるものと推察された。. な機能を持っことが示唆された。. 結     論. 謝     辞. 胸腺細胞のアポトーシスにおけるプロテアソー. 稿を終わるにあたり,終始格別なる御指導,御校閲 を賜りました一色泰成教授ならびに木崎治俊教授に対 し深く感謝の意を表します。 また,本研究に際し,衝助言,御協力を戴きました 本学生化学講座,谷本 豊助手に謹んで感謝の意を表 すと共に,種々の御協力をいただいた本学生化学講座 ならびに歯科矯正学講座の教室貢各位に厚く御礼申し 上げます。. ムの機能を明らかにするために で誘発されるアポトーシス-のプロテア ソーム阻害剤    の効果と,そのプロテア ソームの阻害がカルシウムを介したシグナル伝達 系に関与するかカルモデュリン阻害剤    を 用い    切断率    電気泳動像,ミトコ ンドリア膜電位,カルモデュリン遺伝子の発現に. 本論文の要旨の-郭は,第264回東京歯科大学学会例会 年6月   千葉)及び第265回東京歯科大学学会 総会  年11月7日,千葉)において発表した。. ついて検討したところ以下の結論を得た。 は          によるミトコン ドリアの膜電位の低下を抑制し,その結果DNA 37.

(15) 長谷部:アポトーシスにおけるプロテアソームの機能. 846. 14) Chomczynski, P. and Sacchi, N. : Single-step. 文     献. method of RNA isolation by acid g・uanidinium. D Wilckens, T. and De Rijk, R. : Glucocorticoids and immune function : unknown dimensions and new frontiers. ImmunoI Today, 18 : 418-424, 1997.. thiocyanate-pheno1-chloroform extraction. Anal liioL,helll. 162 : 156-159. 198T. 151 1Iakl・    言上 P‥      (   町l).. 2) Daynes, R. A. andAraneo, B. A. : Contrasting. W. : Cyclosporin A inhibits 21Chloroadenosine-. effects of glucocorticoids on the capaclty Of T cell. induced DNA cleavage in mouse thymocytes.. to produce the growth factors interleukin 2 and. 1   °    こ1C          上109工. interleukin 4. Eur J Immunol, 19 : 2319-2325,. °、 Y言  \\つ 主 M言上'1・  Illく   IILI. 1989.. TCRICI)3 complex with CD4, CD8 or LFA-1 in. 31月'こ     主     .     \\∴ 。上私and. duces an anti-apoptotic slgnal in thymocytes :. Boumpas, D. T. : Novel mechanism for inhibition. the slgnal is canceled by FK506. Int Immunol, 7 : 1387-1396, 1995.. oIつ  こ     き    H coids inhibit slgnal transduction through IL-2. 17) Arrigo, A. P., Tanaka, K., Goldberg, A. C. and Welch, W. J. : Identlty Of the 19S 'prosome'. receptor. J Immunol, 151 : 4081-4089, 1993.. particle with the large multifunctional protease complex of mammalian cells (the protcasome). ・C ,      仕‖. L1月VJ ,  上      白         y mocyte apoptosis is associated with endogenous L  こISL当1°   川    、.284:555- 上 1980.. 5) Raff, M. C. : Socialcontrols on cell suvival and. 18)横沢英良   プロテアソームの分子動態と生理機 能.細胞工学. cell death. Nature, 356 : 397-400, 1992.. 19) Tanimoto, Y., Onishi, Y., i-Iashimoto, S. and. 6)中山敬一:胸腺外T細胞分化.実験医学. Kizaki II. : Pcptidyl aldehyde inhibitors of proteasome induce apoptosis rapidly in mouse. 48, 1994.. 7) Sun, X. M., Snowden, R. T., Skilleter, D. N" Dinsdale, I1, 0rmerod, M. G. and Cohen, G.. lymphoma RVC Cell. J Biochem, 121 : 542-. M. : A flowICytOmetric method for the separation. 20) Cui, H., Matsuki, K., Omura, S" Sehauer, S. L., Matulka, R. A., Sonenshein, G. E. and Ju,. and quantitation of normal and apoptotic thy-. 549, 1997.. mocytes. Anal Biochem, 204 I. 351-356, 1992.. S. T. : Proteasome regulation of activationinduced T cell death. Proc Natl Acad Sci USA,. Lql Rt、idml・d上1主\      、 lく      く. mann,J.,Kretz, 0., Wessely,0., Bock, a., Gass,. 94 : 7515-7520, 1997. 21) Cohen, J. J. and Duke, R. C. : Glucocorticoid. P‥      ‥      つ. hutz, G. : DNA binding of the glucocorticoid. activation of a calcium-dependent endonuclease. receptor is not essential for survival. Cell, 93 : 531-541, 1998. in thymocyte nuclei leads to cell death. J Immunol,132 : 38-42, 1984.. 9)田中啓二:エネルギー依存性のタンパク賛分解バイ オロジー.糸田胞工学. 22) Tepper, C. G. and Studzinski, G. P. : Teniposide induces nuclear but not mitochondrial I)NA つ     、 、 、 :338 ト. 10) Colotta, F., Polentarutti, N., Sironi, M. and らA∴. 23) Kroemer, G., Zamzami, N. and Susin, S. A.. C-fos and clun PrOtOOnCOgeneS in programmed cell death induced by growth factor deprlVation in lymphoid cell lines. J BioI Chem, 267 : 18278 -18283, 1992.. : Mitochondrial controlof apoptosis. ImmunoI Today, 18 I. 44-54, 1997. 24) Khan, A. A., Soloski, M. J., Sharp, A. H., 【1g. C「          ふST上、 , C.Aっ        ∴            :. 1D Iwata, M., Iseki, R., Sato, K., Tozawa, Y. and I主 Y. : T-1\・01ヽ刊      上      、 C-. mediation by increased type 3 inosito1 1, 4, 5trlSPhosphate receptor. Science, 273 : 503-507, 1996.. epsilon in glucocorticoid- induced apoptosis in thymocytes. Int Immunol, 6 : 431-438, 1994.. 12)祖父江憲治,籾山卓我,小畠秀人:カルモデュリン 結合蛋白質の生理機能.蛋白質核酸酵素. 251    こIk主 上  くし,ml°、私, Al用  T.I °n、 F∴       'sigT   つ. 1697, 1998.. transcrlPtlOn factor NF-AT by interactions between calcineurin and Bc1-2. Nature, 386 : 728. 13) Azuma, Y., Onishi, Y., Sato, Y. and Kizaki,. -731, 1997.. H・ : Effects of protein tyrosine kinase inhibitors with different modes of action on topoISOmeraSe. 26) Danchin, A., Sezer, 0., Glaser, P., Chalon,. 一            一2. `. -38-. P. and Caput, D. : Cloning and expression of mouse-brain calmodulin as an activator of.

(16) 歯科学報 Bordetella pertussis adenylate cyclase in Escherichia eoli. Gene, 80 : 145-149, 1989.. 847. 31)し 111. L M‥  kll九つ官,  、 壷l・.五 G., Schwartz, L. M. andOsborne, B. A. : Protea-. 27) Bender, P. K., ljcdman, J. R. and Emerson,. somes play an essential role in thymocyte apop-. CP. Jr. : The abundance of calmodulin mRNAs is regulated in phosphorylase kinase-deficient skelctal muscle. J BioI Chem, 263 : 9733-9737,. tosis. EMBO J, 15 : 3835-3844, 1996. 32) Jeremias, I., Kupatt, C., Baumann, B., Herr, I., Wirth, T. and Debrin, K. M. : Inhibition of. 1988.. nuclear factor kB activation attenuates apoptosis 買、  、(、  つ            上 91 : 」62」4631, 1998. 2臣 \\(主   ‥ A ・D用Mllc主     くomTl主 B. Sっ                   : for early induction of calmodulin gene expression. 33) Lopes,U. G.,Erhardt,P.,Yao,R. andCooper, G. M. : p531dependent induction of apoptosis by proteasome inhibitors. J BioI Chem, 272 : 12893 -12896, 1997.. l lつ    針   山、用  °i(1 11削l主. cl坤C甲    '       封23- 1Lq」26, 1991.. 29) Beyette, J., Mason, G. G., Murray, R. Z., Cohen, G. M. and Rivett, A. J. : Proteasome. 34) Nakajima,T.,Morita, A., Tsunoda, H., Imajoh l0hmi, S., Tanaka, H., Yasuda, H. and Oda,. activities decrease during dexamethasone-indu-. K. : Stabilization ofp53 by adenovirus EIA occurs through its aminolerminal region by modifi-. ced apoptosis of thymocytes. Biochem J, 332 : 315-320, 1998. 30月     ml主  くaWこ1gu。11了1' 哩 1 S., Tanaka, K., Omura, S. and Kikuchi, IL :. cation of the ubiquitin-proteasomc pathway. J BioI Chem, 273 : 20036-20045, 1998. 35 ) Lopes,U. G., Erhardt, P., Yao, a. andCooper,. Lactacystin, a specific inhibitor of the protea-. G. M. : p531dependent induction of apoptosis by proteasome inhibitors. J BioI Chem, 272 : 12893 -12896, 1997. some, induces apoptosis in human monoblast U937 cells. Biochem Biophys Res Commun, 217 : 1070-1077, 1995.. 39 -.

(17) 848. 長谷部:アポトーシスにおけるプロテアソ-ムの機能 The Role of Proteasome in Glucocorticoid-induced Thymocytc Apoptosis Toshikazu IIIASEBE Department of Orthodontics, Tokyo Dental College ( Dil・0、   °上Y   ・ TsJhilの Department of Biochemistry, Tokyo Dental College (Director : Prof. Harutoshi Kizaki) /甲 \事・ --L五、1用情・th肌用はつ肌  用汀   柚. To elucidate the role of proteasome in thymocyte apoptosis, the effects of a specific peptidyl proteasome inhibitor on dcxamethasone-induced apoptosis and on the expression of calmodulin \\つ1itつ1 11myつ11出 、出  l nHngつTlul五     °   Wm 、押tO上 、 p円山、昌"Tlu、 inhibitor blocked the reduction of the mitochondorial transmembrane potential and ljNA cleavage induced by dexamethasone in a dose-dependent manner. Dexamethasone-induced apoptosis depended on the intracellular calcium redistribution and was blocked by the inhibitl or of calmodulin. However, neither dexamethasone nor the proteasome inhibitor affected the expression of calmodulin mRNA, suggesting that the cxprcssion of calmodulin is not involved in the regulation of the apoptosis. The long-term culture of thymocytes with the proteasome inhibitor induced apoptosis which was depended on the synthesis of RNA and protein, and protein phosphorylation. Thcsc results suggest that protcasomc plays at least two function ; one ・   °   し、\こ1111月hこ 、  半(上11丸甲圧1 、.<u11用tlTlつ11つ 山、月 つ11。 111it圧 chondorial transmembrane potential, and the other is the induction of apoptosis after prolonged incubation.                    (The Shihwa Gahuho, 99 : 833-848, 1999). 40.

(18)

参照

関連したドキュメント

2 Combining the lemma 5.4 with the main theorem of [SW1], we immediately obtain the following corollary.. Corollary 5.5 Let l &gt; 3 be

Keywords: continuous time random walk, Brownian motion, collision time, skew Young tableaux, tandem queue.. AMS 2000 Subject Classification: Primary:

This paper is devoted to the investigation of the global asymptotic stability properties of switched systems subject to internal constant point delays, while the matrices defining

In this paper, we focus on the existence and some properties of disease-free and endemic equilibrium points of a SVEIRS model subject to an eventual constant regular vaccination

Then it follows immediately from a suitable version of “Hensel’s Lemma” [cf., e.g., the argument of [4], Lemma 2.1] that S may be obtained, as the notation suggests, as the m A

Classical definitions of locally complete intersection (l.c.i.) homomor- phisms of commutative rings are limited to maps that are essentially of finite type, or flat.. The

Yin, “Global existence and blow-up phenomena for an integrable two-component Camassa-Holm shallow water system,” Journal of Differential Equations, vol.. Yin, “Global weak

We study the classical invariant theory of the B´ ezoutiant R(A, B) of a pair of binary forms A, B.. We also describe a ‘generic reduc- tion formula’ which recovers B from R(A, B)