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蓄熱方式を複合した空調システムの効率的運用に関する研究 [ PDF

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Academic year: 2021

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50-1 中熊 霞 1. はじめに 蓄熱空調システムは電力負荷の平準化に寄与する有 効な手段であり、ピークシフトを図れる。蓄熱システム は、水蓄熱方式、土壌蓄熱方式などがあるが、個々の利 点を最大限に生かした蓄熱方式の組み合わせやシステ ム運転を考えることによってより一層の負荷平準化や 省エネルギーを実現できる可能性がある。 本研究は、水蓄熱システムと土壌蓄熱システムを組 み合わせた空調システムについて省エネルギーおよび ピーク電力削減を実現できる運転方法を明らかにする ものである。 2. 対象システム概要 対象とする建物の概要を表 1、空調システム図を図 1 に、空調システムの機器仕様を表 2 に示す。対象シス テムは冷温水系と年間冷水系に系統が分かれており、 冷温水系には蓄熱容積約 1,000m3の水蓄熱システム、年 間冷水系には蓄熱容積約 10,000m3の土壌蓄熱システム、 建物の 4 階~6 階には躯体蓄熱システムがそれぞれ採 用されている。また、対象建物には熱源機器はなく、地 域熱供給(以下、DHC)によって供給される冷温水を用い て空調を行っている。 3. シミュレーションモデル概要 計算フロー図を図 2 に示す。2 次側流量・供給熱量を 算出可能とするため 5 分間隔で出力できるように改造 した HASP/ACLD8501 を用いて基準階の負荷を算出した。 内部発熱は在室人数をもとに既往研究 1)を参考に設定 した。対象室の熱収支から設定温度(冬期:22℃、夏 期:28℃、6 月のみ:26℃)を実現するために必要な除去・ 供給熱量を算出し、風量を求める。冷水系は夏期に土壌 から採熱し執務室からの還気空気をプレクールする。 冷 温 水 系 コ イ ル で は 給 気 温 度 が 給 気 設 定 温 度 ( 冬 期:28℃、夏期:15.4℃)となるよう冷温水系 2 次側流量 が制御される。シミュレーションの入力は外気温湿度、 DHC からの受入水温度で、出力は冷水二次ポンプ、冷 水ポンプ、冷却塔ファンの電力消費量、土壌蓄熱量、土 壌採熱量、水蓄熱量、水蓄熱採熱量である。 2011 年 11 月から 2012 年 10 月の外気条件を入力と した計算値と実測値を比較する。図 3 に冷温水系、冷 所在地 香川県高松市 用途 事務所ビル 延床面積 13.922 ㎡ 階数 地下 1 階、地上 7 階、塔屋 1 階 構造 S 造、一部 SRC 造 竣工 2004 年 3 月 水蓄熱 システム 蓄熱:夜間(HEX-1 を介し DHC から熱を受け入れる) 放熱:日中にデマンド値を超えたときに放熱する 土壌蓄熱 システム 蓄熱:冬期(冬季の外気を熱源とする) 放熱:夏期の 8:30~17:30 の間、強制放熱を行う

蓄熱方式を複合した空調システムの効率的運用に関する研究

図 1 空調システム図 図 2 計算フロー図 表 1 建築概要 機器名 記号 仕様 冷却能力:498.8kW 冷却水出入口温度差:5.5℃(37.5 → 32℃) 交換熱量:1000kW 一次側冷水出入口温度差・流量:7℃(6 → 13℃),122.9m3/h 二次側冷水出入口温度差・流量:7℃(14 → 7℃),122.9m3/h 交換熱量:1000kW 一次側冷水出入口温度差・流量:7℃(7 → 14℃),122.9m3/h 二次側冷水出入口温度差・流量:10℃(18 → 8℃),86.0m3/h 交換熱量:1000kW 一次側冷水出入口温度差・流量:7℃(6 → 13℃),122.9m3/h 二次側冷水出入口温度差・流量:10℃(17 → 7℃),86.0m3/h 交換熱量:350kW 一次側冷水出入口温度差・流量:7℃(6 → 13℃), 43.0m3/h 二次側冷水出入口温度差・流量:10℃(17 → 7℃),30.1m3/h 冷温水一次ポンプ PCH-1,2 定格流量 66.0m3/h、定格消費電力 11kW、定格楊程 20kPa 冷温水一次ポンプ PCH-3,4 定格流量 90.0m3/h、定格消費電力 15kW、定格楊程 30kPa 冷水ポンプ PC-1 定格流量 90.0m3/h、定格消費電力 15kW、定格楊程 30kPa 冷水二次ポンプ PC-2,3 定格流量 24.0m3/h、定格消費電力 5.5kW、定格楊程 30kPa 冷水ポンプ PC-4 定格流量 5.4m3/h、定格消費電力 0.4kW、定格楊程 10kPa CT-1 冷却塔 HEX-1 HEX-2 HEX-3 HEX-4 熱交換器 表 2 空調一次側・二次側システムの機器仕様 表 1 空調システムの機器仕様 START 機器能力・初期値入力 設定温度・湿度から必要な供給 熱量を算出し、 風量を求める 熱交換器の計算 蓄熱槽の計算 供給熱量から室温を計算 電力消費量の計算 END 冷水系 2 次側流量の設定 仮冷温水系 2 次側流量から冷 水コイルでの供給熱量を算出 給気温度が給気設定温度 と一致している 熱交換器の計算 蓄熱槽の計算 YES NO

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50-2 水系供給熱量の比較を示す。冷温水系供給熱量では夏 期の供給熱量がやや大きく計算されている。冷水系供 給熱量では中間期の値が算出されていない。2 次側モデ ルは執務室が空調を行っている夏期、冬期を再現して いるが、実際は中間期に電気室等の特別室の空調を行 っているため、差が出ている。中間期以外の月では冷水 系供給熱量と冷温水系供給熱量の傾向を概ね捉えてい るといえる。図 4 土壌蓄熱の蓄放熱量の比較を示す。 放熱量の計算値は実測値を概ね捉えている。 4. 運転方法の検証 4.1 土壌蓄熱放熱運転方法の検証 表 3 に放熱運転の検討ケースを示す。表 3 の 25 ケー スに対象建物の負荷と蓄熱容量を用いた現状の条件ケ ース(C)、負荷を半分に削減したケース(LC)、蓄熱容量 を半分に縮小するケース(RC)の 3 つを組み合わせた全 75 ケースの検討を行う。冷水系統にバイパスが無いた め、採熱時の土壌蓄熱流量あるいは HEX-4 の流量は冷 水系 2 次側流量と等しい。 計算結果ではケースごとに土壌蓄熱からの送水温度 が変わるが室温はいずれも設定室温(28℃)を実現して いる。 図 5 に土壌蓄熱放熱量と年間の積算消費電力量の関 係を示す。DHC の消費電力量は DHC のシステム COP を 3.2 と仮定し、DHC からの受入熱量を 3.2 で除した ものである。積算消費電力量の削減には、流量の影響よ りも運転時間の影響が大きい。運転時間が長いほど放 熱量が増加し、DHC からの受入れ熱量が減少するため である。流量が現状運転(14 ㎥/h)の各ケースについて土 壌蓄熱放熱時間と放熱量・放熱時のポンプ消費電力量 の関係を図 6 に示す。運転時間が長くなるほど土壌蓄 熱の放熱量が増加するが、冷水系ポンプの消費電力量 も増加する。放熱時間が 549h と 1011h の放熱量の差は 約 20 kWh で、これを COP(3.2)で除して DHC 想定消費 放熱流量[㎥/h] 強制放熱時間 CaseC-6-2 8 (現状の運転-6 ㎥/h) 9:30~16:30 (現状の運転-2h) CaseC-6+0 8:30~17:30 (現状の運転+0h) CaseC-6+1.5 8:00~18:30 (現状の運転+1.5h) CaseC-6+2.5 8:00~19:30 (現状の運転+2.5h) CaseC-6+4 8:00~21:00 (現状の運転+4h) CaseC-3-2 11 (現状の運転-3 ㎥/h) 9:30~16:30 (現状の運転-2h) CaseC-3+0 8:30~17:30 (現状の運転+0h) CaseC-3+1.5 8:00~18:30 (現状の運転+1.5h) CaseC-3+2.5 8:00~19:30 (現状の運転+2.5h) CaseC-3+4 8:00~21:00 (現状の運転+4h) CaseC+0-2 14 (現状の運転+0 ㎥/h) 9:30~16:30 (現状の運転-2h) CaseC+0+0 8:30~17:30 (現状の運転+0h) CaseC+0+1.5 8:00~18:30 (現状の運転+1.5h) CaseC+0+2.5 8:00~19:30 (現状の運転+2.5h) CaseC+0+4 8:00~21:00 (現状の運転+4h) CaseC+3-2 17 (現状の運転+3 ㎥/h) 9:30~16:30 (現状の運転-2h) CaseC+3+0 8:30~17:30 (現状の運転+0h) CaseC+3+1.5 8:00~18:30 (現状の運転+1.5h) CaseC+3+2.5 8:00~19:30 (現状の運転+2.5h) CaseC+3+4 8:00~21:00 (現状の運転+4h) CaseC+6-2 20 (現状の運転+6 ㎥/h) 9:30~16:30 (現状の運転-2h) CaseC+6+0 8:30~17:30 (現状の運転+0h) CaseC+6+1.5 8:00~18:30 (現状の運転+1.5h) CaseC+6+2.5 8:00~19:30 (現状の運転+2.5h) CaseC+6+4 8:00~21:00 (現状の運転+4h) 0 100 200 300 400 500 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 熱量 [G J ] [月] 冷温水系(実測値) 冷温水系(計算値) 冷水系(実測値) 冷水系(計算値) 0 50 100 150 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 熱量 [G J ] [月] 実測値 計算値 0 1 2 3 4 0 10 20 30 40 50 60 70 549 709 634 895 1011 放熱時の ポンプ 消費電 力量 [ kW h ] 土壌蓄熱 放熱量 [kWh] 土壌蓄熱放熱時間[h] C:放熱量 LC:放熱量 RC:放熱量 C:消費電力量 LC:消費電力量 RC:消費電力量 図 4 土壌蓄熱の蓄放熱量の比較 図 3 冷温水系、冷水系供給熱量の比較 表 3 検討ケース 図 6 土壌蓄熱放熱時間と放熱量・放熱時 のポンプ消費電力量の関係 図 5 土壌蓄熱放熱量と積算消費電力量の関係 ○:現状の運転(C) □:負荷を半分に削減したケース(LC) △:土壌蓄熱容量を半分に縮小するケース(RC) 215 225 235 245 255 265 25 45 65 85 105 125 145 165 185 205 225 年 間 消費電 力量 [k W h ] 土壌蓄熱放熱量[MJ] C-6-2 C-6+0 C-6+1.5 C-6+2.5 C-6+4 C-3-2 C-3+0 C-3+1.5 C-3+2.5 C-3+4 C+0-2 C+0+0 C+0+1.5 C+0+2.5 C+0+4 C+3-2 C+3+0 C+3+1.5 C+3+2.5 C+3+4 C+6-2 C+6+0 C+6+1.5 C+6+2.5 C+6+4 大 流 量 小

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50-3 電力量に換算すると約 5kWh となる。これに対し、放 熱時のポンプの消費電力量の差は約 0.3kWh と小さい。 そのため、土壌蓄熱放熱時間を長くすることで積算消 費電力量は削減される。負荷を半分に削減したケース は現状の条件のケースと比べ空調稼働時間が短くなる ため放熱時のポンプの消費電力量は小さくなる。蓄熱 容量を半分に縮小するケースは、運転時間を長くして も放熱量の増加は少ないため、運転時間の延長には限 界があるといえる。運転時間が最も長い各ケース(8 時 ~21 時まで強制放熱) について流量と放熱量・放熱時 のポンプ消費電力量の関係を図 7 に示す。流量が 8 ㎥ /h と 20 ㎥/h の放熱量の差は約 10kWh で DHC 想定消費 電力量に換算すると約 3kWh となる。これに対し、放熱 時のポンプの消費電力量の差は約 3 kWh と大差ない。 「放熱量の増加量」と「消費電力量の増加量」はあまり差 が無く、2 つのバランスから設定する必要がある。放熱 運転は運転時間を長くし、流量は放熱量の増加による 「放熱時のポンプの消費電力量の増加」と「熱源側の消 費電力量の減少」のバランスから設定することで、全体 の消費電力量は削減される。 4.2 土壌蓄熱蓄熱運転方法の検証 表 4 に蓄熱運転のケース検討を示す。表 4 の 16 ケー スに対象建物の負荷と土壌蓄熱容量を用いた現状の条 件ケース(I)、負荷を半分に削減したケース(LI)、蓄熱容 量を半分に縮小するケース(RI) の 3 つを組み合わせた 全 48 ケースの検討を行う。図 8 に土壌蓄熱効率と年間 の積算消費電力量の関係を示す。土壌蓄熱効率は年間 放熱量を年間蓄熱量で除した値である。土壌蓄熱効率 が高いほど積算消費電力量は削減される傾向にある。 図 9 に外気・土壌温度差が 2℃の各ケースについて流量 と蓄熱量・蓄熱時の消費電力量(PC-1、冷却塔ファン、冷 却塔ポンプ)の関係を示す。流量を増加することで蓄熱 量を増やすことができる。しかし、図 8 より蓄熱量を 増やすことで蓄熱効率は低くなり、積算消費電力量の 蓄熱流量[㎥/h] 外気・土壌温度差[℃] CaseⅠ-18-1 10 (現状の運転-18 ㎥/h) 1 (現状の運転-1℃) CaseⅠ-18+0 2 (現状の運転+0℃) CaseⅠ-18+2 4 (現状の運転+2℃) CaseⅠ-18+4 6 (現状の運転+4℃) CaseⅠ-9-1 19 (現状の運転-9 ㎥/h) 1 (現状の運転-1℃) CaseⅠ-9+0 2 (現状の運転+0℃) CaseⅠ-9+2 4 (現状の運転+2℃) CaseⅠ-9+4 6 (現状の運転+4℃) CaseⅠ+0-1 28 (現状の運転+0 ㎥/h) 1 (現状の運転-1℃) CaseⅠ+0+0 2 (現状の運転+0℃) CaseⅠ+0+2 4 (現状の運転+2℃) CaseⅠ+0+4 6 (現状の運転+4℃) CaseⅠ+9-1 37 (現状の運転+9 ㎥/h) 1 (現状の運転-1℃) CaseⅠ+9+0 2 (現状の運転+0℃) CaseⅠ+9+2 4 (現状の運転+2℃) CaseⅠ+9+4 6 (現状の運転+4℃) 210 220 230 240 250 260 60% 65% 70% 75% 80% 85% 90% 95% 100% 105% 110% 積算消費 電力量 [kWh] 土壌蓄熱効率[-] Ⅰ-18-1 Ⅰ-18+0 Ⅰ-18+2 Ⅰ-18+4 Ⅰ-9-1 Ⅰ-9+0 Ⅰ-9+2 Ⅰ-9+4 Ⅰ+0-1 Ⅰ+0+0 Ⅰ+0+2 Ⅰ+0+4 Ⅰ+9-1 Ⅰ+9+0 Ⅰ+9+2 Ⅰ+9+4 0 2 4 0 10 20 30 40 50 60 70 8 11 14 17 20 流量[㎥/h] 放熱時の ポンプ 消費電 力量 [ kW h ] 土壌蓄熱 放熱量 [k Wh] C:放熱量 LC:放熱量 RC:放熱量 C:消費電力量 LC:消費電力量 RC:消費電力量 0 5 10 0 20 40 60 80 10 19流量[㎥/h]28 37 蓄熱時の 消費電 力量 [k Wh ] 土壌蓄熱 蓄熱量 [kWh] Ⅰ:蓄熱量 LⅠ:蓄熱量 RⅠ:蓄熱量 Ⅰ:消費電力量 LⅠ:消費電力量 RⅠ:消費電力量 表 4 ケース検討 図 9 流量と蓄熱量・蓄熱時の消費電力量の関係 図 8 土壌蓄熱効率と積算消費電力量の関係 図 7 流量と放熱量・放熱時のポンプ消費電力量の関係 図 10 土壌蓄熱放熱時間と蓄熱量の関係 0 20 40 60 80 700 800 900 1000 1100 1200 土 壌 蓄熱蓄 熱量 [k W h ] 土壌蓄熱運転時間[h] Ⅰ:蓄熱量 LⅠ:蓄熱量 RⅠ:蓄熱量 ○:現状の運転(I) □:負荷を半分に削減したケース(LI) △:土壌蓄熱容量を半分に縮小するケース(RI) 大 流 量 小

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50-4 削減にはならない。容量を縮小したケースの蓄熱量の 傾向が違うのは流量を小さくしても運転時間を大幅に 伸ばさずに蓄熱量を確保できるためである。流量が最 も小さい(10 ㎥/h)の各ケースを取り出し、土壌蓄熱運転 時間と蓄熱量の関係を図 10、土壌蓄熱運転時間と蓄熱 時の消費電力量の関係を図 11 に示す。放熱時間が短く なるほど蓄熱量は減少する。蓄熱効率は 100%に近くな るほど積算消費電力量は削減される。しかし、長期間運 用すると熱のバランスが崩れる可能性があることから 100%以内となるように設定する必要がある。蓄熱運転 は流量を小さくし、放熱量に見合った蓄熱運転時間に 設定することで、年間の積算消費電力量は削減される。 4.4 蓄熱複合化の検証 水蓄熱においても土壌蓄熱と同様な検討を行い蓄熱 目標値を現状値より 2GJ 小さい 5GJ、デマンド値を現 状値の 125%とし、ピーク時間帯(冬 9:00~12:00、夏 13:00~16:00)に強制放熱を行うケースが省エネルギー かつピーク時間帯消費電力量を削減し、効率的運転を 行う結果となった。そこで、土壌蓄熱と水蓄熱の効率的 な運用を組み合わせたケースと現状の運転、および蓄 熱システムを使用しない場合とを比較する。表 5 に検 討ケースを示す。図 12 に冬期と夏期の積算消費電力量 と ピ ー ク 時 間 帯 消 費 電 力 量 の 関 係 を 示 す 。 冬 期 は Case01 が最も積算消費電力量小さく、ピーク時間帯消 費電力量は Case02 が最も削減されている。水蓄熱は使 用しないほうが蓄熱時の熱ロスが無いため積算消費電 力は削減される。ピーク時間帯消費電力量はピーク時 間帯に水蓄熱の強制放熱を行うと削減される。夏期は Case02 が最も積算消費電力とピーク時間帯の消費電力 量が削減される。土壌蓄熱の放熱量を増加させ、冷温水 系にかかる負荷を削減し、水蓄熱の強制放熱時間を設 定したためである。図 13 に年間の積算消費電力量と DHC 想定消費電力量の関係を示す。数値は積算消費電 力量と DHC 想定消費電力量の和で Case00 を 100%と したときの値である。システム全体の省エネルギー性 のみ考慮すると蓄熱システムを使用しないケースが最 も省エネルギーとなる。しかし、ピーク時間帯の消費電 力量削減を考慮すると蓄熱システムを活用する必要が ある。水蓄熱と土壌蓄熱の効率的な運転を組み合わせ たケースは Case00 に対して 8.1%の積算消費電力量が 削減され、37%ピーク時間帯消費電力量が削減される。 5. まとめ 本研究は開発したシミュレーションモデルを用い土 壌蓄熱、水蓄熱及びその組み合わせについて効率的な 運転方法の検証を行った。得られた知見を以下に示す。 土壌蓄熱放熱運転 ・放熱運転時間を長く設定 ・ポンプの消費電力量の増加と熱源側の効率のバラン スから流量を設定 土壌蓄熱運転蓄熱運転 ・流量を小さく設定 ・放熱に必要な熱量を確保できる最低時間運転とする 土壌蓄熱、水蓄熱を適切に組み合わせることで現状 の運転と比べて年間の消費電力量を 8%削減でき、ピー ク時間帯消費電力を夏期・冬期とも約 37%削減できる ことが明らかとなった。 内容 Case00 現状の運転 水蓄熱:蓄熱目標値7GJ、デマンド値夏期 7.2GJ/冬期 3.6GJ 強制放熱を行わない 土壌蓄熱:[放熱]2 次側流量 23 ㎥/h、 強制放熱時間 8:25~17:30 :[蓄熱]蓄熱時流量 28 ㎥/h、外気土壌温度差 2℃ Case01 水蓄熱・土壌蓄熱を使用しない Case02 水蓄熱と土壌蓄熱の効率的な運転を組み合わせたケース 水 蓄 熱 : 蓄 熱 目 標 5GJ 、 デ マ ン ド 値 夏 期 9GJ/ 冬 期 4.5GJ 冬 9:00~12:00/夏 13:00~16:00 迄強制放熱を行う 土壌蓄熱:[放熱]2 次側流量 23 ㎥/h、 強制放熱時間 8:00~21:00 :[蓄熱]蓄熱時流量 10 ㎥/h、外気土壌温度差 4℃ 参考文献 1)今井新也:空調システム設計における執務室の内部発熱の設定方法に関 する研究(その5内部発熱の設定方法の提案, 空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集, 2013 年 9 月 100 200 300 0 10 20 30

Case00 Case01 Case02 DHC

想定消費電力量 [kW h] 積算消費電力量 [kW h ] PC-1電力 PC-2電力 PC-3電力 PCH-1電力 PCH-2電力 PCH-3電力 Fan電力 冷却塔ポンプ電力 DHC想定電力 表 5 検討ケース 図 13 積算消費電力量と DHC 想定消費電力量の関係 図 12 積算消費電力量とピーク時間帯消費電力量の関係 (夏期) 0 100 200 0 0.2 0.4 0.6 0.8 積算消費 電力量 [kWh] ピーク時間帯消費電力量[kWh]

Case00(夏期) Case01(夏期) Case02(夏期) Case00(冬期) Case01(冬期) Case02(冬期) 図 11 土壌蓄熱放熱時間と蓄熱時の消費電力量の関係 100% 82.7% 91.8% 0 1 2 3 4 600 800 1000 1200 土壌蓄熱 蓄熱時 消費電 力量 [k W h ] 土壌蓄熱運転時間[h] Ⅰ:消費電力量 LⅠ:消費電力量 RⅠ:消費電力量

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