Ⅰ.市場規模 4 兆ドルに迫るマネージド・アカウント Ⅱ.リテール金融を巡る制度及び経営の歴史的背景 1.FA の評価・報酬体系に関する議論 2.MDA の開発とオープン・アーキテクチャー化 3.IT バブル崩壊後の営業部門のリストラ 4.2008 年以降の規制強化による収益源の変化 Ⅲ.イノベーションによる運用手法の変化 1.金融危機を踏まえた最適ポートフォリオの 構築 2.リキッド・オルタナティブによる分散投資 3.ETF 活用の進展 Ⅳ.家計金融資産一括管理のためのサービス開発 1.税制優遇効果を最大化するユニファイド・ マネージド・アカウント 2.ユニファイド・マネージド・アカウントを 巡る各金融機関の動向 3.ゴール・ベースド・ウェルス・マネジメ ントとメリルリンチ・ワン Ⅴ.サービスの多様化と受託者責任の議論の喚起 1.メリルリンチ・ルールの無効化とレップ・ アズ・アドバイザーの登場 2.金融危機後に注目されるレップ・アズ・ポー トフォリオ・マネージャー 3.受託者責任の範囲拡大の影響 Ⅵ.投資アドバイスの変化に伴うフィー徴収方 法の多様化 1.低下する残高フィーの水準 2.多様化する残高フィーの取得方法 3.顧客満足度向上のための試み Ⅶ.マネージド・アカウントを巡る動向の総括
野村資本市場研究所 岡田 功太
要 約 と 結 論 1.米国のマネージド・アカウント(MA)の運用資産残高は 3.9 兆ドルに達し,過 去 5 年間で年率約 20 %の成長を遂げている(2014 年末)。MA とは SMA やファ ンドラップの総称であり,金融機関の営業担当者(FA)と顧客が投資一任契約を 締結し,顧客のポートフォリオ構築を請け負うサービスを指す。 2.米国の MA は,約 40 年間の歴史の中で,顧客が資産運用を行う上で最適なサー ビスとは,どのようなものかという観点から,米当局,ワイヤーハウス,資産運用 会社等の各関係者の間で議論が成熟し,切磋琢磨した結果として発展してきたサー ビスである。米国 MA の規模は日本の投資一任口座の約 130 倍に匹敵するが,あ る 1 つの要因によって市場規模が拡大したわけではなく,リテール金融業界を取り 巻く環境変化が複層的に関連している。 3.具体的には,第一に,規制改革の潮流を受け,リテール金融業界の付加価値は単 なる金融商品の販売から中長期的なアドバイス及びコンサルティングの提供に変化 した。第二に,IT バブル等の過去の市場の急変動を受け,リテール金融ビジネス は収益の安定化と FA の生産性重視へシフトした。第三に,2008 年の金融危機を 受け,最適なアセット・アロケーションの重要性が投資家や FA から意識され,更 には口座レベルではなく,家計レベルの最適化にサービス範囲が拡大した。 4.そのような一連のリテール金融業界を取り巻く変化が MA の拡大と多様化をもた らした。顧客にとっての選択肢の拡大及び満足度向上を目指して,たゆまぬ工夫を 続けている米国 MA 業界の動向は日本にとっても示唆に富むのではないだろうか。Ⅰ.市場規模 4 兆ドルに迫るマネージド・ アカウント セパレートリー・マネージド・アカウン ト(SMA)及びファンドラップとは,金融 機関の営業担当者(フィナンシャル・アドバ イザー,FA)と個人投資家が投資一任契約 を締結し,顧客のポートフォリオ構築や銘柄 選択を請け負うサービスを指す1)。これは株 式ブローカレッジ業務のように顧客の売買に よって収益をあげるコミッション型ビジネス とは異なり,顧客の運用資産総額(AUM) に応じて手数料を獲得するため,残高フィー 型ビジネスと呼ばれる。 米国の残高フィー型ビジネスは,SMA ア ドバイザー,ミューチュアル・ファンド・ア ドバイザー(以下,ファンドラップとする), レップ・アズ・アドバイザー,レップ・ア ズ・ポートフォリオ・マネージャー,ユニ ファイド・マネージド・アカウントなど多様 である2)。それぞれ投資対象資産や,FA が 有する権限に応じて分類されており,これら をマネージド・アカウント(MA)と総称す る3)。 資産運用業界専門調査会社のセルーリ社 によれば,図 1 が示す通り米国 MA の規模 は約 3.9 兆ドルに達し,過去 5 年間で年率約 20 %の成長を遂げている(2014 年末時点)。 日本の投資一任口座の AUM(2014 年 12 月 末時点で約 3 兆 1300 億円,日本投資顧問業 協会)の約 130 倍に達するが,この MA の 規模拡大は過去 40 年の米国リテール金融業 界の環境変化によって引き起こされた当然の 帰結とも言える。 具体的には,第一に規制改革の潮流であ る。1975 年の株式売買手数料の自由化から 始まり,投資信託など取扱商品のオープン・ アーキテクチャー化,2008 年の金融危機以 降の規制強化などによって,米国リテール金 融業界の付加価値を単なる金融商品の販売か ら顧客の立場に立ったアドバイスの提供およ び中長期的なコンサルティングの提供に進化 させたといえる。 第二に,1995 年の自主規制改革を契機と した FA の報酬体系の変更や,IT バブル崩 壊後の営業部門リストラの動きなどは,市場 動向に左右されがちだったリテール金融ビジ ネスの経営戦略を収益の安定化,FA の生産 性重視へと変える方向に作用した。こうした 図 1 米国のマネージド・アカウントの AUM 推移 (10 億ドル) (出所)セルーリ・アソシエイツ資料より野村資本市場 研究所作成 751 790 739 987 1,187 1,405 1,714 1,954 1,391 1,786 2,154 2,332 2,783 3,478 3,975 - 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 4,500 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 (年)
潮流を踏まえれば,米国金融機関が MA の 提案に注力したのは必然であったといえよ う。 第三に,運用手法に関するイノベーション である。特に 2008 年の金融危機以降,MA の投資対象としてリキッド・オルタナティ ブ及び ETF の活用が進展し,最適なアセッ ト・アロケーションの構築が追求された。そ の試みは 1 つの口座の最適化を超えて,家計 金融資産全体の構成の最適化を目指す形で, ユニファイド・マネージド・アカウントの開 発・普及につながったといえる。 一方で,後述するアドバイザー主導型など MA の多様化が進展する中で,米国の FA は金融商品販売業者である以上に,受託者責 任を負う投資顧問業者として見られるよう になってきている。以下では,MA 拡大を 促進した環境変化と課題について詳述する。 (図 1) Ⅱ.リテール金融を巡る制度及び経営の歴 史的背景 1.FA の評価・報酬体系に関する議論 まず,過去 40 年の MA の歴史の発端に触 れる。米国における MA の発祥は E.F. ハッ トンが残高フィー型口座の原型を開発した 1975 年に遡る4)。この年は株式売買手数料 が自由化され,その結果,大手証券会社は競 争の激化による当該手数料収入の低下を懸念 していた。そのような状況下において顧客が 個別銘柄を売買した際に収益を得るのではな く,顧客の AUM に応じて手数料を徴収す る残高フィー型ビジネスが開発された。しか し,残高フィー型ビジネスにおいては FA が 株式売買手数料を顧客から取得できないた め,歩合部分が相当の割合を占める FA の報 酬にネガティブな影響を及ぼすことが懸念さ れた。そのため MA は開発された当初から 約 20 年に渡って脚光を浴びることはなかっ た。 しかし,1994 年以降,MA は急速に存在 感を増す。当時の証券取引委員会(SEC)の アーサー・レビット委員長は,FA の報酬制 度が個別銘柄の売買によるコミッションを基 準としているため,顧客口座に対して過度な 回転売買を助長していると考えていた。そし て,その利益相反を最小化する方法を検討す るため,大手金融機関の経営陣を招集し,委
員会を発足した。当該委員会の参加メンバー は,ダニエル・タリー氏(当時メリルリンチ CEO),ウォーレン・バフェット氏(バーク シャーハザウェイ CEO),レイモンド・メイ ソン(当時レッグメイソン CEO)などであ り,ダニエル・タリー氏が委員長であったた め,「タリー委員会」と呼称される。 タ リ ー 委 員 会 は, ヒ ア リ ン グ や イ ン タ ビューを通じて,FA の報酬に関する実態を 調査した結果,多くの証券会社で「セール ス・コンテスト」と呼ばれるイベントが開催 され,FA の間で所謂「新発投信」や「新規 口座開設件数」の販売競争を行う商慣習があ ることが判明した。コンテスト期間中に成績 優秀者となった FA に対して旅行券やテレビ のセットなどの景品が提供されており,タ リー委員会は,各コンテストの対象商品は顧 客にとって適切なものであったのか,景品の 存在は顧客に開示されていたのか,などにつ いて問題提起した。1995 年に取りまとめら れたタリー委員会の報告書は,以下の 3 点を 証券会社におけるベスト・プラクティスとし た5)。 ①顧客と販売会社及び FA の利害を一致さ せるために残高連動の手数料体系が望ま しいこと ②顧客も目的を理解し,投資家教育を重視 すること ③系列商品とそれ以外で,販売員の報酬に 差をつけないこと そして,タリー委員会の提言は「コミッ ション型ビジネスから残高フィー型ビジネス への転換」が重要とした。その結果,タリー 報告書以降の約 5 年間において,各証券会 社が行った重要な変革は FA の評価・報酬体 系の変更であった。表 1 は,2000 年代前半 に行われた報酬体系の改革を例示したもの だが,2001 年 10 月,メリルリンチは,FA が 10 万ドル以上の AUM を有する顧客(世 帯)の資産を MA に転換した場合,35 %か ら 50 %の報酬を与えることとした。その一 方で,コミッションが 500 ドル以下の個別 銘柄の売買については無報酬とした6)。ま た,2001 年 12 月,UBS ペイン・ウェーバー (現 UBS アメリカ)は,報酬体系を変更し て MA を提供した FA を優遇し,コミッショ ン型ビジネスを抑止するために,個別銘柄を 1 回売買する毎に 12 ドルのペナルティーを 課すことを決めた7)。さらに,2002 年 9 月, 表 1 主な金融機関の FA に対する報酬体系の変更 金融機関名 発表時期 変更内容 メリルリンチ 2001 年 10 月 富裕層に対する MA の 提供にはインセンティブ を与え,コミッションが 500 ドル以下の個別銘柄 の売買には無報酬 UBS アメリカ 2001 年 12 月 MA の 提 供 に は イ ン セ ン テ ィ ブ を 与 え, 個 別 銘 柄 の 売 買 に は ペ ナ ル ティーを課す モルガン・ スタンレー 2002 年 9 月 MA の 提 供 に は イ ン セ ンティブを与え,コミッ ションが 85 ドル以下の 個 別 銘 柄 の 売 買 に は 無 報酬 (出所)各種資料より野村資本市場研究所作成
モルガン・スタンレーは,FA への報酬を残 高フィー型の資産に対して 2 %増加させ,個 別銘柄の売買によるコミッションについては 1 %減少させた。そして,コミッションが 85 ドル以下の個別銘柄の売買に関しては無 報酬とした8)。(表 1) 2.MDA の開発とオープン・アーキテク チャー化 変化したのは FA の報酬体系だけではな い。MA で構築するポートフォリオの組み 入れ対象資産も多様化した。1975 年に MA が考案された当初,組み入れ対象資産は単一 資産クラスであった。株や債券を組み合わせ てポートフォリオを構築されることはなく, 最低投資金額は原則 100 万ドルで,異なる 4 つの資産クラスに投資する場合は 25 万ドル ずつ個別の MA が設定された。しかし,顧 客にとって最適なポートフォリオを構築する ためには,複数の資産クラスによってポート フォリオを構築する必要があり,そのための システム開発が急がれた。 そのような状況下,1995 年,スミスバー ニー(現モルガン・スタンレー)がマルチ・ ディシプリン・アカウント(MDA)を開発 した。MDA とは,異なる投資対象資産およ び運用スタイルのポートフォリオを組み合わ せた商品であり,原則として,複数の資産 運用会社が運用を担当する商品である。そ して,MDA の登場によって最低投資金額が 10 万ドルに引き下がったことで他社も追随 し,MA のすそ野が広がった。 しかし,MA が普及するにつれて,以前 より FA が手数料を徴収できなくなったこと から,資産運用会社から販売会社へのキック バック料率が高い MA の取り扱いや,過度 に手数料の高い投信を MA に組み入れる傾 向が見られた。それに伴い,MA の手数料 構造や組み入れ投信の情報開示を怠る事例 が散見された。また,MA に限らず,当時 の証券会社の取扱商品は,自社もしくはグ ループ傘下の資産運用会社の投信に偏ってい た。こうした実態は,2003 ~ 2004 年にかけ て米国で大きな論議を呼んだ「投信・保険不 正問題」の中で批判を集めることとなり,特 に 2003 年 9 月,モルガン・スタンレーはグ ループ会社が運用する投信の販売を強化する ため,ブローカーに賞品を与えたり,資産運 用部門から証券部門にキックバックを支払っ ていたことなどを理由に,米当局から 200 万 ドルの罰金の支払いを命じられたことは業界 に衝撃を与えた9)。この前後に,証券会社の 取扱商品のオープン・アーキテクチャー化が 進展し,MA に関しても資産クラスや資産 運用会社が多様化した10)。 3.IT バブル崩壊後の営業部門のリストラ 変化したのは FA の報酬体系だけではな い。2000 年初頭は,規制改革とオープン・ アーキテクチャー化だけではなく,IT バブ
ル崩壊に伴う市況の急変とともに FA の生産 性の向上に関する動きが活発となった。その 変化を促したのは第一に,チャールズ・シュ ワブやフィデリティなどのオンライン中心の ブローカーがファンドラップの提供を本格化 し,リテール金融ビジネスにおける競争が激 化したことである。当時,2006 年にベビー ブーマー第一世代が 60 歳代に突入すること などを背景に,リタイヤメント資産の運用積 極化の機運が高まっていたためである。第二 に,2000 年の IT バブルの崩壊の影響である。 株式市場が急落した結果,大手証券会社は生 産性を向上するために大規模なリストラを実 施せざるを得なくなり,特に営業部門におい ては FA のリストラを断行した。例えば,当 時メリルリンチの個人顧客部門の責任者で あったジェームズ・ゴーマン CEO(現モル ガン・スタンレー CEO)は,2001 年に従業 員を約 9000 名(全体の約 15 %に相当)リス トラし,2000 年から 2003 年に FA を約 6700 名削減した。また,顧客預かり資産 100 万ド ル未満の口座の担当を FA から外し,コール センターに移管することで営業部門の生産性 向上を目指した。モルガン・スタンレーも ジョン・マック CEO(当時)の下,2005 年 に生産性の低い FA を約 1000 人解雇するな ど,各金融機関は市場動向に左右されない収 益体質確保のための改革を行った11)。 SMA やファンドラップなど残高フィー型 ビジネスを強化することは,金融機関にとっ て収益変動を安定化するための最大の施策の ひとつであり,特にメリルリンチを中心とす る大手証券会社は MA 拡大を強力に進めて いくことになった。(図 2) 4.2008 年以降の規制強化による収益源 の変化 IT バブル崩壊後の営業部門改革が功を奏 し,2000 年代後半にかけて MA の資産は順 調に拡大したが,2008 年にリーマンショッ クが発生する。金融危機による市況の急変動 が,またしてもリテール金融ビジネスを進化 させることとなった。 米国にはワイヤーハウスと呼ばれる個人向 け証券業務を行っている 4 大証券会社(モル ガン・スタンレー,メリルリンチ,ウェル ズ・ファーゴ,UBS アメリカ)が存在する。 2008 年の金融危機時に,モルガン・スタン レーは銀行持ち株会社となり,メリルリンチ 図 2 2000 年代前半におけるメリルリンチの営業部 門改革 (出所)各種資料より野村資本市場研究所作成 18600 20200 16400 14010 1353014140 15160 12000 13000 14000 15000 16000 17000 18000 19000 20000 21000 22000 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 9000 10000 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 コミッション収入(百万ドル,左軸) 残高フィー収入(百万ドル,左軸) FA の人数(右軸) (年)
はバンク・オブ・アメリカに買収されたこと で,ワイヤーハウスは全て銀行となった。そ の後,銀行を取り巻く規制環境はさらに激変 した。2010 年 7 月にドット・フランク法が 成立して以降,金融危機の再発防止を目的と した無数の規制が最終化・施行され,大手銀 行は自己資本の活用を伴わない分野において 収益を上げる必要に迫られた。 そのような状況下で,大手金融グループ が,リテール金融ビジネスに注力すること は自然な流れだったといえよう。もともと MA のプロバイダーとして高いシェアを持っ ていた大手 4 社が一層,MA の提供に力を 入れた他,大手 4 社から独立して登録投資ア ドバイザー(RIA)となる FA も続出し,そ うした RIA はフィデリティやチャールズ・ シュワブのカストディ部門の業務支援を受け たことから,MA 市場においては上位 10 社 による激しい競争が展開されている12)。中 でもモルガン・スタンレーは,かつてメリル リンチの営業部門改革を主導したジェーム ズ・ゴーマン CEO の下,残高フィー型ビジ 表 2 マネージド・アカウントの販売会社の AUM およびシェア(10 億ドル) 2012 年 2013 年 2014 年 AUM MA 全体に 占める割合 AUM MA 全体に 占める割合 AUM MA 全体に 占める割合 モルガン・スタンレー 547.2 19.80% 695.2 20.10% 783.0 19.70% メリルリンチ 422.9 15.30% 511.9 14.80% 591.7 14.90% ウェルズ・ファーゴ 298.5 10.80% 373.6 10.80% 421.7 10.60% UBS アメリカ 243.2 8.80% 304.4 8.80% 340.4 8.60% ワイヤーハウス合計 1,511.80 54.70% 1,885.00 54.50% 2,136.80 53.80% フィデリティ 138.2 5.00% 179.9 5.20% 216.5 5.40% チャールズ・シュワブ 132.7 4.80% 162.6 4.70% 181.7 4.60% LPL 121.6 4.40% 152.2 4.40% 175.8 4.40% アメリプライズ 124.4 4.50% 152.2 4.40% 174.4 4.40% レイモンド・ジェームズ 88.4 3.20% 121.1 3.50% 140.2 3.50% エドワード・ジョーンズ 88.4 3.20% 114.1 3.30% 135.7 3.40% 上位 10 社合計 2,205.50 79.80% 27,670.00 80.00% 3,161.10 79.55% (出所)セルーリ・アソシエイツ資料より野村資本市場研究所作成 図 3 モルガン・スタンレーの預かり資産における マネージド・アカウントの割合 18%21% 23% 26%28%29%27%25% 24% 28%30% 32% 37% 38% 40% 0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% 45% 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 (年) (出所)モルガン・スタンレー財務資料より野村資本市場 研究所作成
ネスに傾倒し,2015 年第 3 四半期末で,預 かり資産の約 40 %が MA による資金となる までに至った。(表 2)(図 3) Ⅲ.イノベーションによる運用手法の変化 1.金融危機を踏まえた最適ポートフォリ オの構築 残高フィー型ビジネスが台頭してきた背 景の一端には,1980 年代に個別銘柄の選定 以上に資産配分比率がパフォーマンスを左 右することが示されたことが挙げられる13)。 MA のパフォーマンスが良好で AUM が増 加すれば,MA を提供している FA の収益 は増加する。そのため,近年,各金融機関は 最適なアセット・アロケーションの構築手 法の研究に注力している14)。最適なアセッ ト・アロケーションの構築は,特に 2008 年 の金融危機時のように市場が下落し,ボラ ティリティが上昇する局面において真価が問 われる。JP モルガンの場合,顧客に MA を 説明する際,「金融危機時にどのような投資 行動をとったか」という質問をすることで ポートフォリオ構築の一助としている。ま た,「MAPS ツール」と称されるプランニン グツールを用いて,米国における過去約 20 回の株価下落局面のデータを基にダウンサイ ドリスクを計算し,顧客に提示している。各 資産の価格が大きく下落しても,中長期には 目標リターンが達成可能であることを示すの が,顧客とのコミュニケーション上,重要と いうことであろう。
MA の 運 用 業 績 は,2008 年 中 に 急 激 に 悪化したが,そのパフォーマンスは他の証 券,投信に投資していた場合と比べれば相 対的に良いものであった。例えば,2008 年 の S&P500 株 式 指 数 の パ フ ォ ー マ ン ス は -36.55 % で あ っ た が, モ ル ガ ン・ ス タ ン レーが提供するファンドラップの大型グロー ス株,大型バリュー株,小型グロース株,小 型バリュー株の単純平均パフォーマンスは -7.09 %であった15)。金融危機後に MA の 人気が復活し,危機前を上回るスピードで資 金流入が継続したのは,各金融機関による最 適なアセット・アロケーションの追求の結果 であり,2009 年以降,運用成績が劇的に改 善したことが主要因であると言える。そし て,MA が多様な階層の投資家に本格的に 普及し,個人投資家にとっても FA にとって も,分散ポートフォリオと定期的な見直しに よる安定運用という MA の付加価値を強く 認識する機会になったと考えられる。 2.リキッド・オルタナティブによる分散 投資 米国のファンドラップの投資対象は,株式 が約 56 %,債券が約 30 %と伝統的資産が大 半を占めているが,2009 年以降オルタナティ ブ(代替資産)の比率が増加している(2013 年末時点)。これは 2008 年の金融危機時に伝 統的な有価証券のパフォーマンスがアセット クラスを問わず急激に悪化したという経験を 踏まえ,ポートフォリオ最適化の観点から伝 統的資産以外のアセットクラスに分散投資す るニーズが高まったことを反映している。 以前から,機関投資家だけではなく,個人 投資家にとってもオルタナティブ投資への ニーズはあったものの,オペレーションの 都合上,投資することが困難であった。MA は基準価額算出のために組入れ対象資産を日 次で評価する必要があるが,オルタナティブ は投資対象が低流動性資産であるため,短く とも月次または四半期の頻度でしか時価評価 されず,通常は投資家が自由に設定・解約す ることを認められないからである。MA は 一般的には長期運用を旨とし,解約の自由度 が決定的に重要となるサービスではないもの の,個人投資家からすれば,流動性の低い資 産に多くの資金が配分されることを嫌う可能 性が高い。 しかし,近年,ヘッジファンドが日次の流 動性を有するリキッド・オルタナティブの提 供を開始した16)。リキッド・オルタナティ ブとはヘッジファンドの運用戦略を流動性の 高い投信の形態で組成した個人投資家向け商 品のことであり,米国においては 1940 年投 資会社法に基づき運用され通常の公募投信と 同様の規制に服する。そのため投資家は日次 の設定・解約が可能であり,一般的なヘッジ ファンドが投資家に対して要求する解約通知 期間(ノーティス)や解約禁止期間(ロック アップ)が付されていない。このような新商
品の開発が MA のポートフォリオの分散を 後押ししている。(表 3) 3.ETF の活用の進展 表 4 は MA の投資対象となっている金融 商品の内訳である。2008 年と 2013 年を比較 すると,投信や個別の有価証券の比率が減少 す る 一 方 で,ETF が 6.8 % ポ イ ン ト 増 加 している。その要因として 2008 年金融危機 を経て,伝統的なアクティブ運用に対して失 望感が高まったことと,より安価で分散し たポートフォリオの構築を達成するために ETF が注目を浴びたことが挙げられる。事 実,ブラックロックが提供する iShares には, 2014 年に約 820 億ドルの資金が流入したが, 後述するレップ・アズ・ポートフォリオ・マ ネージャーが台頭しパフォーマンス競争が激 しくなる中,ETF がポートフォリオ構築に 活用されたことが要因に挙げられる17)。(表 4) さらに,近年多様化する米国の ETF の中 で,スマートベータ型 ETF が MA に活用さ れる可能性もある。スマートベータ型 ETF とは,①ファクターへの投資,②非時価総 額加重,③ルール・ベースの運用,という 3 つの特徴を有するインデックスに連動す る ETF である18)。具体的には,ファンダメ ンタル・インデックス,最小分散インデック ス,高配当インデックス,クオリティイン デックス等がスマートベータに分類される。 スマートベータ型 ETF は 2000 年頃に登場 し,AUM は約 3600 億ドルと米国の ETF 市 場の約 20 %に達した(2014 年 6 月末時点, モーニングスター調査による)19)。コストを 抑制しながら,資産クラスだけでなく,投資 戦略の上でも分散を図ることができるスマー 表 3 米国のファンドラップの投資対象資産の推移 株式 債券 オルタナティブ バランス型 その他 2008 年 68.40% 27.50% 0.00% 0.00% 4.10% 2009 年 59.50% 30.10% 5.30% 2.40% 2.60% 2010 年 58.70% 30.40% 5.60% 2.80% 2.40% 2011 年 57.90% 29.50% 5.50% 4.00% 3.00% 2012 年 56.40% 30.40% 6.00% 4.10% 3.10% 2013 年 56.00% 30.60% 5.70% 4.70% 3.00% (出所)セルーリ・アソシエイツ資料より野村資本市場研究所作成 表 4 マネージド・アカウントの投資対象金融商品 の構成 投資対象資産 2008 年 2013 年 投信等 75.4% 68.6% 個別の有価証券 19.8% 18.9% ETF 2.8% 9.5% 現金等 2.0% 3.0% (出所)セルーリ・アソシエイツ資料より野村資本市場研 究所作成
トベータ型 ETF の増加は,FA 及び個人投 資家のアセット・アロケーション構築手法に 関する選択肢をより増やすことにつながろ う。 Ⅳ.家計金融資産一括管理のためのサービ ス開発 1.税制優遇効果を最大化するユニファイ ド・マネージド・アカウント MA のアセット・アロケーションに関す る議論は,1 つの口座の最適化を超えて,家 計の金融資産全体の構成の最適化にも波及 している。米国の平均的な家計は,金融資 産形成のための口座を 5 つ程度保有してい る20)。特に,米国には,退職後の資産形成 を担う「確定拠出年金(DC)」や「個人退職 勘定(IRA)」,将来の高等教育資金作りを支 援する「529 プラン」など複数の税制優遇口 座があることが大きな特徴として挙げられ る。各口座の税制優遇の条件はそれぞれ異な るため,米国の家計はそれを一括管理するこ とで,税制優遇のメリットを最大限に享受し つつ,資産を形成したいと考えている。事 実,バンガードが 2013 年 2 月に行った調査 によると,個人投資家は FA に支払った手数 料の対価として税務マネジメントを期待して いる21)。 以上のニーズを受け,現在,各金融機関 はユニファイド・マネージド・アカウント (UMA)の提供に注力している。UMA と は,個別銘柄,投信,ETF,ファンドラッ プ,SMA, 保 険 な ど 様 々 な 口 座 を 一 括 管 理するための MA であり,税制メリットを
最大化することを目的とした口座である。 UMA では,オーバーレイ・マネージャーと 呼ばれる大手金融機関が資産管理責任者とし て,UMA に組み入れられている各口座の損 益状況や税制優遇の詳細などを鑑みて家計 レベルで資産運用の最適化を目指す。UMA は,2003 年に登場して以降,2008 年の金融 危機の影響を受けることなく AUM を伸ば し,2014 年 末 時 点 で 約 3700 億 ド ル と MA 市場全体の 9.3 %に達した。(図 4) 2.ユニファイド・マネージド・アカウン トを巡る各金融機関の動向 表 5 は,UMA を提供する金融機関のラン キングである。上位 5 社のうち,ワイヤーハ ウスではモルガン・スタンレーとメリルリン チのみがランクインし,ウェルズ・ファーゴ と UBS アメリカはランク外である。4 位の フィデリティは,レップ・アズ・ポートフォ リオ・マネージャーを提供しないというビジ ネス判断の下,UMA に注力している(後述) (表 5) JP モルガン・チェースは,チェース・ブ ランドで展開するリテール銀行部門の顧客 に資産運用のニーズがあると JP モルガン・ セ キ ュ リ テ ィ ー ズ の FA が 説 明 す る 形 で, UMA である「チェース・ストラテジック・ ポートフォリオ」を紹介する。同サービス は,それまで投資サービスをあまり提供され てこなかったチェース部門の顧客に対する 包括的な資産運用サービスとして人気を集 表 5 ユニファイド・マネージド・アカウント:提供金融機関ランキング 2012 年 2013 年 2014 年 AUM (10 億ドル) シェア AUM (10 億ドル) シェア AUM (10 億ドル) シェア モルガン・スタンレー 62.7 27.70% 81.3 26.80% 92.9 25.10% JP モルガン・チェース 28.3 12.50% 39.1 12.90% 46.9 12.70% メリルリンチ 28.5 12.60% 37.0 12.20% 45.2 12.20% フィデリティ 23.8 10.50% 30.9 10.20% 34.5 9.30% エンベストネット 6.3 2.80% 10.0 3.30% 28.4 7.70% 上位 5 社合計 149.6 66.10% 198.3 65.40% 247.9 67.00% (出所)セルーリ・アソシエイツ資料より野村資本市場研究所作成 図 4 ユニファイド・マネージド・アカウントの AUM 推移(10 億ドル) (出所)セルーリ・アソシエイツ資料より野村資本市場 研究所作成 371 9.3% 0.0% 1.0% 2.0% 3.0% 4.0% 5.0% 6.0% 7.0% 8.0% 9.0% 10.0% - 50 100 150 200 250 300 350 400 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 AUM(10 億ドル、左軸) MA における UMA のシェア(%、右軸) (年)
め,JP モルガン・チェースの UMA 残高は, 2013 年にメリルリンチを抜き 2 位となった。 一方で,チェース・ストラテジック・ポート フォリオは,JP モルガン・アセットマネジ メントが運用する投信を多く組み入れている ことから,自社の利益を優先するような勧誘 を展開しているのではという問題意識の下, SEC による調査を受けていると報道されて いる22)。 エンベストネットも,近年,シェアを伸ば している。同社の主なサービスは UMA 及 びそれに関するプラットフォームの提供であ る。ワンクリックで複数口座のアセット・ア ロケーションを行うことができる高度なテク ノロジーが強みであり,UMA 事業に関して フィデリティと提携している。そして,同社 は,近年多くの合併・買収を行うことで事業 を拡大している。特に目立つのは 2014 年 7 月に公表されたプレイスマーク・インベスト メンツの買収である23)。プレイスマーク・ イ ン ベ ス ト メ ン ツ は UMA の オ ー バ ー レ イ・マネージャーであり,銀行や証券会社に UMA を提供していた。エンベストネットは 当該買収により AUM を 140 億ドル増加さ せ,5 番目に大きな UMA 提供者となった。 3.ゴール・ベースド・ウェルス・マネジ メントとメリルリンチ・ワン 家計金融資産一括管理のニーズを受け,近 年,米国ではゴール・ベースド・ウェルス・ マネジメント(GBWM)と呼ばれる考え方 が普及している。GBWM とは複数の口座を 個々人が設定したゴール(主に退職後のファ イナンシャル・プランや教育資金の準備な ど)に向かって,効率的に運用することを指 す。GBWM では,運用実績を,あるベンチ マークに対する勝敗ではなく,ゴール達成に 向けた進捗度合によって評価する。GBWM によって顧客の優先事項が明確化され,複数 口座の一元管理によってコスト削減が達成さ れる。 2013 年 9 月,メリルリンチは FA の生産 性向上を目的とした新しいプラットフォー ムである「メリルリンチ・ワン」を導入し た。これは GBWM という考え方を実際の金 融サービスにおいて実現したものであり,過 去 4 年間に渡り約 1 億ドルのシステム投資に よって開発された。そして,2016 年 1 月 1 日までに全ての MA をメリルリンチ・ワン で管理する方針を示しており,今後,顧客が 新規に MA を契約する際には全て同サービ スにて組み入れられる。既存顧客に対しては メリルリンチ・ワンへの切り替えを推奨し, 顧客同意によりサービスを移行する。 メリルリンチ・ワンが鳴物入りで導入され た背景には,第一に,サービスや情報管理シ ステムの効率化が挙げられる。メリルリンチ は 1987 年に最古の MA を設定して以降,新 しい MA が拡充される度にシステムを導入 していった結果,5 つの MA プログラムを
管理しなければならなかった24)。また,MA を複数保有する顧客からは,書類などの管理 が煩雑である,それぞれの MA に別の社内 担当者がいて混乱する,などの指摘を招いて いた。実際に手続は煩雑で,従来は一人の 顧客に対して 2 つの MA を開設する際には, 80 ステップの手順を踏む必要があり,また 顧客と 2 種類の契約書類を交わした上で 300 ページに及ぶ目論見書を交付しなければなら なかった。しかし,メリルリンチ・ワン導入 後は,手順は 40 ステップに減少し,目論見 書のページ数も 64 に効率化された。 第二に,メリルリンチでは,2012 年初か ら 2014 年末までに,所属している FA が約 2000 名減少していたことが挙げられる25)。 また,FA の業務における IT の活用が遅れ ていたために,FA の生産性を向上させる必 要性にも迫られていた。既存の MA からメ リルリンチ・ワンに移行させることで,顧 客の満足度を高め,その結果としてさらな る資産の獲得,FA のメリルに対するロイヤ ルティ向上に結び付けることが目指された。 2015 年 3 月 24 日時点でメリルリンチ・ワン の預かり資産は 3200 億ドルに達し,そのう ち約 4 分の 1 は新規顧客からの契約によるも のである。メリルリンチ・ワンは順調に預か り資産を拡大しているといえよう。 一方で,投資家が MA を1つだけ保有し ている場合,メリルリンチ・ワンへの移行で 従前より手数料が高くなるケースがある。例 えば,顧客 A がメリルリンチ・パーソナル・ アドバイザープログラム(レップ・アズ・ア ドバイザー)のみで 40 万ドル運用している 場合,メリルリンチ・ワンに移行することで 年間手数料は 1.4 倍になる(表 6)26)。メリ ルリンチ・ワンのフィー体系は証券口座の預 かり資産に現預金も加えた金額から計算され るため,結果として影響を受ける顧客は少な いとされるが,あくまでも顧客が複数の口座 を保有していることを前提としたサービスで あるといえる。(表 6) 表 6 メリルリンチ・ワン導入前後の手数料比較(顧 客が MA を複数保有していない場合) 口座残高 導入前手数料 導入後手数料 手数料変化率 顧客 A 40 万ドル 4,000 ドル 5,600 ドル 1.4 倍 顧客 B 300 万ドル 16,500 ドル 25,500 ドル 1.55 倍 (出所)各種資料より野村資本市場研究所作成
Ⅴ.サービスの多様化と受託者責任の議論 の喚起 1.メリルリンチ・ルールの無効化とレッ プ・アズ・アドバイザーの登場 以上の通り,MA の拡大は規制改革の潮 流,FA の生産性向上を主眼としたリテール 金融ビジネスの経営戦略の変化,運用手法に 関するイノベーションの変遷の賜物であるこ とがわかる。ただし,日本の投資一任ビジネ スと米国の MA 業界の大きな差異は,規模 だけではなくサービスの多様性にある。 再び MA の歴史を別の視点から振り返り たい。1975 年に株式売買手数料が自由化さ れ,MA の原型が開発されたが,実際にコ ミッション型ビジネスにおいて本格的な価 格競争が勃発したのは 1990 年代後半であっ た。そこで 1999 年,メリルリンチ(現バン ク・オブ・アメリカ)は価格競争によるコ ミッションの低下を回避するため,「アンリ ミテッド・アドバンテージ」という新サービ スの提供を開始した。これは株式ブローカ レッジ業務を行う証券取引口座であるが,手 数料の徴収方法は残高フィー型としたサービ スだった。そして,当該サービスの開発が, その後の米国 MA 業界における多様化に寄 与することになる。 「アンリミテッド・アドバンテージ」の提 供が開始された 1999 年,SEC は,当該サー ビスは投資顧問法の適用除外となるという 規則案を公表した27)。これによりメリルリ ンチの FA は投資アドバイスを顧客に提供 し,その対価として残高フィーを取得する一 方で,投資顧問業としての登録義務が免除 された(これをメリルリンチ・ルールと呼 ぶ)28)。そして,メリルリンチをはじめとす る各金融機関が積極的に「アンリミテッド・ アドバンテージ」のような残高フィー型証券 取引口座の販売に取り組んだことで,当該商 品の AUM は約 2800 億ドルに達した(2006 年末時点)。 しかし,米国フィナンシャル・プランナー 協会は,証券取引の一形態として残高フィー 型口座が提供されることを問題視し,メリル リンチ・ルールは越権行為であるという理由 で SEC を提訴した。その結果,2007 年,最 高裁によってメリルリンチ・ルールは無効と 判決が下され,約 2800 億ドルもの規模を有 する残高フィー型証券取引口座は,投資顧問 業登録が必要な残高フィー型口座に移行する こととなった。そして,その際に注目された のが,レップ・アズ・アドバイザー(RA) であった29)。 RA の主たる特徴として,①多数の投資対 象が提供されている,② FA が投資家に対し て資産形成に関する様々なアドバイスを継続 的に提供する,③最終的な投資判断は顧客で ある投資家が行う,を挙げることができる。 当初,RA はメリルリンチ・ルールに基づく
口座移行時において,顧客関係に影響を与え ないための受け皿であったが,残高フィー型 ビジネスの台頭の流れの中,2014 年末時点 で約 7700 億ドルに達した。(図 5) 2.金融危機後に注目されるレップ・アズ・ ポートフォリオ・マネージャー メリルリンチ・ルールが無効となった直後 の 2008 年,リーマンショックが発生し,そ の後,欧州危機が顕在化したことを受けて, 資産運用において急速に高まったボラティリ ティへの対応が意識され,より柔軟なポー トフォリオ構築が求められるようになった。 2007 年に RA が脚光を浴びたが,RA は投 資の執行に関して顧客同意が必要であると いう制約があった。また,近年,AUM が増 加しているとはいえ,RA は事実上,廃止さ れた残高フィー型証券取引口座の受け皿とし ての色彩が強かった。そこで新たに注目され たのが,レップ・アズ・ポートフォリオ・マ ネージャー(RPM)であった。 RPM とは,FA が受託者責任を負うこと で,投資行動に関して顧客の同意を得る必要 がない MA のことを指す。つまり,RPM を 提供する FA は,実質的に資産運用会社にお けるポートフォリオ・マネージャーとほぼ同 様の役割を担う30)。RPM の AUM は,2014 年末時点で約 9200 億ドルに達し,MA にお ける RPM のシェアも 2004 年以降,一貫し て上昇し続け,23 %となった。また,RPM は上位 5 社が全体の約 80 %を占めており, 特にワイヤーハウスが積極的に取り組んでい る。以上のように MA のサービスの多様化 と受託者責任に関する議論は対になって発 展・整備されてきた。(図 6)(表 7) 3.受託者責任の範囲拡大の影響 人気を博している RPM であるが,RPM を取り扱う FA は営業担当者でもあり,運用 担当者でもある。そのため,営業しやすい 図 5 レップ・アズ・アドバイザーと残高フィー型 証券取引口座の AUM 推移(10 億ドル) 275.9 769.1 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 残高フィー型証券取引口座のAUM レップ・アズ・アドバイザーのAUM (年) (出所)セルーリ・アソシエイツ資料より野村資本市場 研究所作成 図 6 レップ・アズ・ポートフォリオ・マネージャー の AUM の推移(10 億ドル) (出所)セルーリ・アソシエイツ資料より野村資本市場 研究所作成 922 23.2% 0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 20.0% 25.0% - 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1,000 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 AUM(左軸) MA における RPM のシェア(右軸) (年)
ように過度にポートフォリオの内容を変化 させるなど,潜在的な利益相反の可能性が 指摘されている。そこで,ワイヤーハウス は RPM を提供する FA に対して厳格なコン プライアンス要件を課すのが通常である。例 えば,ジュニアからシニアまでの階層を設 け,ジュニア資格を有する FA は,リサーチ 部門によって高い評価を受けている株式のみ 投資可能とするなど,ガイドラインの下での 一任運用となる。また,米国証券アナリスト の取得や,大学の投資理論に関するプログラ ム受講など,第 3 者機関の研修や試験による 資格要件も設定されることがある。実際,モ ルガン・スタンレーは,2006 年,コロンビ ア大学と提携し,RPM になるための要件と してサーティファイド・ポートフォリオ・マ ネージャーという資格プログラムを設立し た。さらに,RPM に携わる FA は,投資顧 問事業者として SEC 及び金融取引業規制機 構(FINRA)に登録し,1940 年投資顧問業 法上の受託者責任を負う31)。 一方で,ファンドラップ業界の雄である フィデリティは RPM に参入していない。こ れは,同社がワイヤーハウス並みに上記のよ うな対応をしても,潜在的な利益相反の可能 性を払拭できないと判断したためである。 なお,近年,米国では受託者責任の対象 範囲拡大に関する議論が活発になっている。 2015 年 2 月,オバマ大統領は,受託者責任 の対象範囲拡大を目指す労働省の規則案を支 持した32)。当該規則案は,確定拠出年金等 の退職勘定を扱う全ての FA に受託者責任を 課そうとするものである。2015 年 2 月に大 統領経済諮問委員会が,受託者責任を負わな い FA が退職勘定における投資アドバイスを 行うことにより,投資家の利益が年間 170 億 ドル失われていると報告したことが議論の発 端である33)。それに対して,米証券業金融
市 場 協 会 は,FA は 既 に SEC と FINRA に より厳格な規制を受けていることを理由に, 表 7 レップ・アズ・ポートフォリオ・マネージャーの販売会社の AUM およびシェア 2012 年 2013 年 2014 年 AUM (10 億ドル) シェア AUM (10 億ドル) シェア AUM (10 億ドル) シェア モルガン・スタンレー 174.2 30.10% 213.8 28.30% 257.3 27.90% メリルリンチ 116.9 20.20% 160.9 21.30% 196.9 21.40% UBS アメリカ 71.8 12.40% 103.5 13.70% 130.9 14.20% ウェルズ・ファーゴ 54.4 9.40% 71.8 9.50% 85.4 9.30% レイモンド・ジェームズ 25.5 4.40% 37.0 4.90% 46.6 5.10% 上位 5 社合計 442.9 77% 587.0 78% 717.1 78% (出所)セルーリ・アソシエイツ資料より野村資本市場研究所作成
当該対象範囲の拡大に反対しており,本稿執 筆時点では議論の方向性は明確ではない34)。 当該規則案は主に退職勘定をめぐる議論で あり,RPM をはじめとする MA に対する直 接的な言及はない。しかし,万が一,受託者 責任の範囲が拡大することが明確になった場 合,将来的に,ワイヤーハウスや資産運用会 社にとって RPM に参入すべきかどうかを左 右する可能性がある。 Ⅵ.投資アドバイスの変化に伴うフィー徴 収方法の多様化 1.低下する残高フィーの水準 セルーリの調査によると 2008 年の金融危 機以降,MA のフィー(単純平均)は 6bps 低下した。その要因として第一に,ワイヤー ハウスだけではなくフィデリティ(リテール 証券部門),JP モルガン・チェース,エンベ ストネットなどの金融機関が,MA の販売 ネットワークにおいて力を持ち,資産運用会 社に対して強い交渉力を持ったことが挙げら れる。第二に,上記に伴い,MA に組み入 れられている投信のシェアクラスを機関投資 家向けに変更するケースや,12b-1 と呼ば れる費用を削減していることが挙げられる。 12b-1 とは販売手数料と同様に,主に販売 関連サービスの対価として投資信託から販売 会社に支払われる手数料を指す35)。第三に, ETF の多様化に伴い,アクティブ運用より も安価な ETF の活用が積極化したことが挙 げられる。 一方で例外もある。UBS アメリカは 2014 年中旬から競合他社に先駆けて,投信のシェ アクラスをより安価な機関投資家向けのシェ アクラスに転換すると同時に,同社が提供 する MA の残高フィーを引き上げた。AUM が 25 万ドル以下の顧客から徴収する残高 フィーを 1 %から 1.25 %に,25 万ドル以上
100 万ドル未満の顧客については 0.75 %か ら 1 %とした36)。(表 8) 2.多様化する残高フィーの取得方法 近年の残高フィー型ビジネスを巡る議論と して,フィーに見合ったサービスを FA が提 供しているのかという批判も注目されてい る。例えば,FA がある顧客の残高フィー型 口座のメンテナンスに年間 30 時間しかかけ ていなかったとしても,顧客の AUM が 500 万ドルあれば年間 5 万ドル(年率 1 %)の 残高フィーを徴収することになる。こうし たフィー体系に不満を持つ顧客への対応とし て,AUM に対して一定の「割合」ではなく, 提供するサービス内容に応じて一定「額」を 徴収する手法が登場した。これは「カウンセ リング・フィー」と呼ばれているが,フィデ リティのデービット・カンター氏(インス ティテューショナル・ウェルス・サービス部 門副社長)は「AUM が多額になればなるほ ど,一定割合のフィー体系よりも一定額の フィー体系であるカウンセリング・フィーの 方がコストを抑えることができる。特に,富 裕層,超富裕層が選好している傾向がある」 と述べている37)。 他にも一定料率のフィー徴収方法に対する 批判を回避するため,金融サービスの提供に 費やした時間に応じた手数料や,パフォーマ ンスに応じた成功報酬などを採用する MA が 増 加 し て い る。 特 に RPM に お い て は, FA は実質的に資産運用会社におけるポート フォリオ・マネージャーと同様の役割を果た すことから,成功報酬の方が適切だという意 見もある。 2015 年 1 月,SEC は「2015 年の規制・検 査優先事項」の中で,残高フィーの徴収方法 を優先課題のひとつに挙げた。これは,近 年多様化する残高フィーの徴収方法を受け, FA が選択したフィー体系が顧客に推奨した 口座に最適なものであるか懸念しているため とされ,今後の展開が注目されている38)。 3.顧客満足度向上のための試み さ ら に は, 顧 客 の 満 足 度 に 応 じ て 残 高 表 8 金融危機前後のマネージド・アカウントの手数料変化 プログラム名 2008 年 2014 年 変化幅 SMA 1.7% 1.65% -0.05 ミューチュアル・ファンド・アドバイザー 1.16% 1.1% -0.06 レップ・アズ・ポートフォリオ・マネージャー 1.25% 1.2% -0.05 レップ・アズ・アドバイザー 1.04% 1.07% 0.03 UMA 1.53% 1.33% -0.2 (出所)セルーリ・アソシエイツ資料より野村資本市場研究所作成
フィーを払い戻すケースも登場し,注目され ている。 2013 年 12 月,チャールズ・シュワブは顧 客が「どのような理由であっても」マネージ ド・アカウントの資産運用サービスに満足し なれば,アドバイス料としての残高フィーの 返金を求めることができるサービスを開始し た。その結果,顧客から 550 件ほどの払い戻 し要請があったが,それは MA 口座数全体 の 1 %以下の水準に止まっており,顧客優先 を前面に出したシュワブへの信頼感は高ま り,ビジネス上も意義があったと評価できよ う。また,2014 年 8 月,TD アメリトレード も残高フィーの払い戻しサービスを開始し た。これは同社が提供する MA であるアメ リベスト・マネージド・アカウントにおける 運用実績が,2 四半期連続でマイナスになっ た場合,残高フィーを顧客に払い戻すという ものである。 また,近年,米国で注目されるロボ・ア ドバイザーの登場によって,MA の提供者 として FA による対面が最もふさわしいのか も,議論され始めている39)。ロボ・アドバ イザーとはスマートフォン等を通じて個人の 資産運用に関する提案を行う企業であり,対 面による金融サービスによって付加価値を 見出す FA と対比した造語である。ロボ・ア ドバイザーは主に西海岸を中心に拠点を置く ベンチャー企業によって提供されるが,近 年,大手金融機関も参入している。例えばバ ンガードのロボ・アドバイザー「バンガー ド・パーソナル・アドバイザー・サービス」 の台頭は目覚ましく,過去 1 年間で資産規模 は約 6 倍となり,AUM は 42 億ドルに達し た(2014 年末時点)40)。同サービスは完全 なロボ・アドバイザーではなく,必要に応じ て FA による対面のアドバイスも提供してい る。フィー水準はバンガードの投信や ETF を組み入れることで,対面型サービスを提供 する大手金融機関と,完全な非対面型サービ スを提供するベンチャー企業の中間の価格帯 に設定し,ミレニアル世代をはじめとする若 年層の顧客化に成功している。MA の提供 者は顧客満足度向上の観点から,対面・非対 面,あるいはその両方といったアプローチを 模索していく必要があると思われる。
Ⅶ.マネージド・アカウントを巡る動向の 総括 米国の MA は,約 40 年間の歴史の中で, 顧客が資産運用を行う上で最適なサービスと は,どのようなものかという観点から,米当 局,ワイヤーハウス,資産運用会社等の各関 係者の間で議論を積み重ね,切磋琢磨した結 果として発展したサービスである。重要な点 は,ある 1 つの要因によって市場規模が拡大 したわけではなく,リテール金融業界を取り 巻く環境変化が複層的に関連していることで ある。 規制改革の潮流を受け,リテール金融業界 の付加価値は単なる金融商品の販売から中長 期的なアドバイス及びコンサルティングの提 供に変化した。また,IT バブル等の過去の 市場の急変動を受け,リテール金融機関の戦 略は,収益の安定化と FA の生産性重視へシ フトした。さらに,2008 年の金融危機後は, 最適なアセット・アロケーションの重要性が 投資家や FA から意識され,更には口座レベ 表 9 参考:米国のマネージド・アカウントを巡る出来事 1975 年 ・株式売買委託手数料の自由化 ・E.F. ハットンが残高フィー型ビジネスの原型を開発 1979 年 ・E.F. ハットンがレップ・アズ・ポートフォリオ・マネージャーの原型を開発 1987 年 ・メリルリンチがマネージド・アカウントの取り扱い開始 1992 年 ・チャールズ・シュワブがワンソースを設定 1994 年 ・タリー委員会発足 1995 年 ・タリー報告書公表・スミスバーニーがマルチ・ディシプリン・アカウントを設定 1998 年 ・ウェルズ・ファーゴがマネージド・アカウントの取り扱い開始 1999 年 ・メリルリンチが残高フィー型証券取引口座の提供を開始 2000 年代初頭 ・マネージド・アカウントの多様化 ・ワイヤーハウスが FA の報酬体系を変更 2003 年 ・IT バブル崩壊後,ワイヤーハウスの営業部門改革 ・モルガン・スタンレーが過度な自社運用の投信を強化のため,米当局より罰金 ・ユニファイド・マネージド・アカウントの登場 2006 年 ・モルガン・スタンレーがコロンビア大学と提携し,FA のための資格プログラムを設立 2007 年 ・メリルリンチ・ルールの無効化 ・残高フィー型証券取引口座のレップ・アズ・アドバイザーへの移管開始 2008 年 ・バンク・オブ・アメリカによるメリルリンチの買収 ・モルガン・スタンレーが銀行持ち株会社に移行 2010 年 ・ファンドラップが SMA の運用資産残高を追い抜く 2014 年 ・ロボ・アドバイザーの台頭 2015 年 ・オバマ大統領が,受託者責任の範囲拡大を目指す労働省の規則案を支持 (出所)各種資料より野村資本市場研究所作成
ルではなく,家計レベルの最適化にサービス 範囲が拡大した。そのような一連の変化は, 常に顧客にとっての選択肢を拡大させる方向 に作用したといえよう。(表 9) 以上の米国リテール金融業界における環境 変化は,日本にとって決して無関係なことで はない。近年,市況の変化は急速であり,ボ ラティリティが増大する傾向にあることか ら,日本においても即時にアセット・アロ ケーションを変更することができるレップ・ アズ・アドバイザープログラムの登場が求め られても不自然ではない。また,2014 年 1 月の少額投資非課税制度(NISA)の登場に より,証券口座,NISA,銀行預金口座,確 定拠出年金など,複数の資産管理口座を有す る人口は増加していることを鑑みれば,日本 においても税制優遇のメリットを最大限に 享受したいというニーズが UMA のような サービスの開発を促す可能性は十分にある。 顧客にとっての選択肢の拡大及び満足度向上 を目指して,たゆまぬ工夫を続けている米国 MA 業界の動向は,日本にとっても示唆に 富むのではないだろうか。 《注》 1)受託者責任の詳細は,沼田優子「米国に見る証 券営業担当者のアドバイスのあり方に関する議論 -制度改革議論が進めた証券アドバイスの類型化 -」『野村資本市場クォータリー』2010 年春号参 照。 2)当該分類はセルーリ社の分類に基づく。詳細は 岡田功太,和田敬二朗「米国 SMA・ファンドラッ プの拡大を支えた規制と金融機関経営の変遷」『野 村資本市場クォータリー』2015 年夏号,岡田功 太,和田敬二朗「近年の米国 SMA 及びファンド ラップ市場におけるイノベーション」『野村資本 市場クォータリー』2015 年夏号参照。 3)本稿で取り扱っているマネージド・アカウント とは,個人投資家向けのものを指す。マネージ ド・アカウントとは,ある投資家に対して提供さ れる一任勘定のことであり,機関投資家向けや 401(k)プラン向けのマネージド・アカウントも 存在する。後者の詳細は,野村亜紀子「米国 401 (k)プランのマネージド・アカウントについて」 『野村資本市場クォータリー』2004 年秋号参照。 4)E.F. ハットンは,1988 年にシェアソン・リーマ ンに買収されシェアソン・リーマン・ハットンと なり,1993 年にスミスバーニーに買収され,スミ スバーニー・シェアソンとなった。2009 年の経営 統合を経て,現在ではモルガン・スタンレーの一 部となっている。
5)SEC,“Report of the committee on compen sationpractices”,April,1995.
6)“Merrill’s New Compensation Plan Rewards FeeBased Brokers”WealthManagement.com, November,2001.
7)“UBSPWPushingFeeBasedBusiness,Trans actional RepsUpset”WealthManagement.com, November,2001.
8)“Morgan Stanley Unveils New Comp Plan” WealthManagement.com,September,2002. 9)大崎貞和・大原啓一「投信販売をめぐるインセ ンティブ・スキームの問題点-米国における代行 手数料(12b-1)規制見直しの動き-」『野村資 本市場クォータリー』2004 年春号参照。 10)関雄太「ブラックロックと資産運用部門を統 合するメリル・リンチ」『野村資本市場クォータ リー』2006 年春号参照。
Day”WealthManagement.com,December,2005. 12)長島亮「独立系アドバイザーの拡大により成長 を遂げるチャールズ・シュワブ」『野村資本市場 クォータリー』2007 年秋号,中村仁「オンライン 証券会社の変遷から見た米国リテール金融」『野 村資本市場クォータリー』2009 年春号,沼田優子 「独立系アドバイザーから見た米国の個人向け証 券市場- 2009 年 1 月のチャールズ・シュワブ調 査より-」『野村資本市場クォータリー』2009 年 春号参照。
13)GL Brinson, R. Hood, and G. Beebower, “DeterminantsofPortfolioPerformance”,July -August,1986. 14)顧客が個別銘柄を売買することによって収益を 上げるコミッション型ビジネスにおいても,ア セット・アロケーションは重要な要素であるもの の,1995 年の「タリー委員会」の報告によると, それは必ずしも全ての金融機関で徹底されていた とは言えなかった。
15)Morgan Stanley,“Consulting GroupCapital MarketsFundsTRAK”,August2012.
16)岡田功太「米国の投信市場で拡大するリキッ ド・ オ ル タ ナ テ ィ ブ 」『 野 村 資 本 市 場 ク ォ ー タ リー』2014 年秋号参照。
17)“iSharessaysnotsofastonpassiveinvesting winning the day”InvestmentNews, January 2015 18)岡田功太「世界の年金基金で進むスマートベー タの導入」『野村資本市場クォータリー』2014 年 夏号,岡田功太「最近の米国 ETF 業界における イノベーション-スマートベータの取り込みとア クティブ型 ETF の開発-」『野村資本市場クォー タリー』2015 年春号参照。
19)Morningstar,“A Global guide to Strategic Beta ExchangeTraded Products,”September 2014
20)筆者の米国金融機関インタビューに基づく。 21)Vanguard,“Moving to feebased advice”,
February2013. 22)“JPMorganExecsSaidDeposedinSECAsset ManagementProbe”Bloomberg,March2015 23)Envestnet,“Envestnet toAcquirePlacemark Invetments”,July2014. 24)5 つの MA とは,メリル・コンサルト,ミュー チュアル・ファンド・アドバイザー,パーソナ ル・アドバイザー(レップ・アズ・アドバイザー), パーソナル・インベストメント・アドバイザリー (レップ・アズ・ポートフォリオ・マネージャー), UMA である。 25)バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ決算資 料を参照。 26)“BofAtoRevampMerrillFees”TheWallStreet Journal,July2013 27)2005 年 4 月,SEC はこの規則案をほぼ踏襲し た最終規則を採択した。 28)脚注 1 の論文を参照。 29)星隆祐・岩井浩一「米国レップ・アズ・アドバ イザー・プログラムの仕組みと特徴」『野村資本 市場クォータリー』2014 年夏号参照。 30)米国初の RPM は,1979 年に E.F. ハットンが 開発したポートフォリオ・マネジメント・プログ ラムであったとされるが,長らく注目を集めるこ となく,2008 年の金融危機時に脚光を浴びた。 31)投資アドバイスに関わる受託者責任については, 沼田優子「米国証券会社の投資アドバイス業務を 巡る議論」『野村資本市場クォータリー』2006 年 冬号参照。
32)“Obama directs Labor Department to move ahead on fiduciary rule”InvestmentNews, February,2015.
33)Council of Economic Advisers,“The Effects ofConflictedInvestmentAdviceonRetirement Savings”February,2015. 34)NERA,“TheEffectsofConflictedInvestment AdviceonRetirementSavings”March,2015. 35)野村亜希子「米国の投信手数料体系の多様性に ついて」『資本市場クォータリー』2006 年夏号参 照。
36)“Merrill Lynch’goalsbased’accounts to reach $200 billion milestone”Investmentnews, November2014
37)“Some Financial Advisors Abandon Asset BasedFees”,Wealthmanegement.com,January, 2014
38)SEC,“Examination Priorities for 2015”, January2015.
39)和田敬二朗 岡田功太「米国で拡大する「ロ ボ・アドバイザー」による個人投資家向け資産運 用」『野村資本市場クォータリー』2015 年春号参 照。
40)“Vanguardquintuplesassetsinroboadviser, leapfrogging competitors”Investmentnews, December2014