実測データと3次元構造モデルによる木造住宅の耐震安全性に関する研究 [ PDF
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(2) 大きいが一定の相関が見て取れる。ばらつきの原因に. きるモデルを構築することとする。また木造住宅は基. は微小振動時にはいわゆる構造体である耐力壁以外に. 準法において壁率で規定されていることからモデル化. も垂壁や腰壁の寄与が大きいことや充足率を算出する. に際して耐力壁を基準として考えることとする。つま. 場合の必要壁量が床面積によって決定されており、各. り構造物の挙動解析モデルを構築する方法としてまず. 住宅の重量を十分に反映できていないことも理由とし. 耐力壁レベルでのモデルを構築し、その後そのモデル. て考えられる。. を用いて構造物レベルに拡張する。. 表 2 常時微動計測より得られた固有振動数 略称 Ta Ks HK Mo MN E Ha A IR KU TK MT Ho Ma Sa Ko I Na Sh Hi IS SY NS Ka IW MR KN IK TM IK ST Wa. 1次固有振動数(Hz) 梁間方向 桁行方向. 6.86 8.11 6.54 7.01 7.74 5.69 9.38 5.25 6.23 6.01 7.20 6.37 5.64 6.18 6.27 6.69 7.13 6.69 6.74 7.74 6.15 5.76 6.30 7.10 7.67 6.93 5.88 4.47 5.08 4.42 4.79 8.01. 6.15 7.87 5.98 6.27 6.84 5.25 8.25 7.59 6.27 5.77 7.20 5.35 6.17 6.84 5.23 6.84 6.57 6.45 7.64 8.69 7.84 6.47 7.67 6.23 8.89 6.64 6.71 4.47 6.25 5.03 4.27 9.35. 3.2. 13.62 18.02 15.63 16.75 16.50 14.99 19.70 17.97 12.45 14.50 13.84 14.79 9.91 15.26 12.40 15.14 15.97 16.43 12.96 16.16 12.04 12.13 12.13 14.50 14.45 13.87 11.43 9.64 13.82 12.33 10.55 18.73. 耐力壁モデル. 耐力壁は大きく筋かい耐力壁と面材耐力壁に分けら. 2次固有振動数(Hz) 梁間方向 桁行方向. れる。そこでそれぞれの耐力壁を図 2 に示すように筋. 12.72 16.48 14.92 15.26 14.38 12.43 19.09 18.87 15.48 14.70 16.60 15.60 10.64 12.62 9.77 17.48 13.54 16.43 14.45 19.87 17.68 13.48 14.99 12.84 18.87 14.79 15.99 12.57 14.65 14.45 11.21 18.48. かい耐力壁は部材および軸方向バネ、回転方向バネで モデル化し、面材耐力壁は置換ブレースによってモデ ル化する。それぞれの復元力特性およびその特性値(初 期剛性や剛性変化点など)は既往の水平加力実験から 得られる変位荷重曲線を再現できるように決定した。 これらを初期モデルと呼ぶことにする. (a) 筋かい耐力壁. 10.0. 1次固有振動数(Hz). 8.0 6.0. (b) 面材耐力壁. 4.0 y = 0.6397x + 5.2448 R2 = 0.2105. 2.0. 図 2 耐力壁モデルの構築手法. 梁間方向 桁行方向. 3.3. 3 次元挙動解析モデル. 図 2 の耐力壁モデルを用いて構造物レベルに拡張す る。その例として住宅の図面をもとに組み上げた表 1. 0.0 0.0. 1.0. 2.0 3.0 1.2階の平均充足率. 4.0. 5.0. 中の Ta 邸の 3 次元挙動解析モデルを図 3 に示す。. 図 1 1 次固有振動数と平均充足率との関係 3. 3.1. 3 次元挙動解析モデルの構築 構築手法. 木造の軸組は木材自身とそれぞれの部材をつなぐ接 合部によって構成される。そもそも部材自身の変形性 能は小さく軸組構造の変形性能の多くは接合部が受け 持っていると言ってよい。そこで3次元構造モデルを 構築するにあたり最小単位として部材接合部を考慮で. 18-2. 図 3 Ta 邸の構造物解析モデル.
(3) 同様に表 1 中の他 8 棟(表 3 参照)についても図面を. 表 3 剛性を増加して同定したあとの固有振動数(Hz). もとに 3 次元の構造モデルを組み上げ、それぞれ固有. 略称. 値解析を行った結果を常時微動計測結果から得られた. Ta IR Ho Ma Sa Ko I IS Ka. 固有振動数と比較すると剛性がかなり不足することが 分かった。そこで初期モデルの剛性を増やしてどの程 度の剛性倍率で常時微動計測結果に近似できるかを試 みたところ各住宅の平均で 6.3 倍と大きな値となった。 しかしそもそも木造住宅は早い段階から非線形化する ため微小振動時における剛性をそのままモデルに考慮 することは現実的でない。そこで常時微動計測結果を. 構造モデル 微動( 変換後) 剛性倍率 長手方向 短手方向 長手方向 短手方向. 4.25 4.86 3.95 5.03 3.58 4.68 4.88 5.16 4.59. 5.14 4.08 4.29 4.27 4.43 5.17 4.98 4.79 4.71. 4.34 4.45 4.36 4.93 3.58 4.93 4.70 5.85 4.41. 4.96 4.40 3.92 4.36 4.45 4.80 5.20 4.34 5.17. 2.90 3.45 2.70 3.15 2.85 2.55 2.95 3.20 3.25. *微動(変換後)とは図 4 の関係を用いて常時微動計測結果 から得られた固有振動数を変換したものである. 挙動解析モデル構築に生かすため既往の実大振動台実 験時の常時微動計測とスイープ試験(加速度レベルで 100∼150gal に相当)それぞれから得られた固有振動数 の関係(図 4) 文献 1)を用いて算出した固有振動数に合う ように剛性を調整した。その結果得られた構造モデル の固有振動数を図 4 の関係を用いて計算した固有振動 数とともに表 3 に示す。表 3 より接合部単位から組み 上げたモデルを微動計測による固有振動数に合うよう にフィッティングすることが可能であるといえる。次. (a) 実大振動台実験結果 3.E+04. 1階層せん断力( k g f ). に各接合バネや置換ブレースの非線形領域のモデル構 築手法であるが初期剛性を増加させた場合、初期モデ ルの剛性変化点の降伏変位を一定にするとバネの最大 耐力も剛性倍率に比例して大きくなる。しかしそうす. 2.E+04 1.E+04. 0.E+00 - 0.04 - 0.03 - 0.02 - 0.01 0.00 0.01 0.02 0.03 0.04 - 1.E+04. ると非線形領域においての剛性が大きくなり最大耐力 が既往の部分実験と比較しても現実的でない値となっ てしまう。そこで初期モデルの剛性変化点の降伏荷重. - 2.E+04. を一定として構築する。. - 3.E+04. スイープ試験による固有周期(s). (b) 強震動シミュレーション結果 図 4 実大振動台実験との比較 ん断力−層間変形角関係を図 4 に示す。図より実験結 果をよく再現できているといえる。実験の方が幾分変 形が大きいが、実験の方は上下方向にも地震波を入力 しておりその結果接合部の変位が大きくなり変形が大 きくなっていると考えられる。 4. 強震動シミュレーション 常時微動による固有周期(s). 4.1. 図 4 実大実験結果による固有周期の関係 3.4. 層間変形角(rad). 概要. 表 3 に示す 9 棟に対して 3 章に示す方法で構築した. 挙動解析モデルの妥当性検討. 挙動解析モデルを用いた強震動シミュレーションを行. 前項のように初期モデルから常時微動計測結果に合 うようにモデルを組み上げた挙動解析モデルが妥当で. い木造住宅の耐震性能について考察を行なう。 4.2. 入力地震動. あるかを検討するために、原子力発電技術機構多度津. 解析に用いる強震動は表 4 に示す兵庫県南部地震. 工学試験所において実施された実大木造住宅の振動台. (1995 年1月)7 波(再現波を含む)、鳥取県西部地震. 実験での結果. と上記の方法で構築したモデルの強. (2000 年 10 月)4 波、宮城県北部の地震(2003 年 7 月)4. 震動シミュレーションとの結果を比較しモデルの妥当. 波の計 15 波形とする。入力は NS、EW の 2 方向同時入. 性を検討した。それぞれの結果より得られた 1 層層せ. 力とする。. 文献 2). 18-3.
(4) 4.3. シミュレーション結果. 表 4 入力地震動一覧. 表 5 に解析モデル 9 棟に関するそれぞれ 15 波に対す. 地震. る 1 層最大層間変位の一覧を示す(最大変位とは NS、. 1 JMAKOBE 818.0 617.0 830.7 284.5 2 再現波345 497.9 410.2 3 再現波381 4 再現波1002 646.8 265.1 M=7.3 568.0 241.7 5 再現波1796 495.2 210.1 6 再現波1996 643.9 358.5 7 再現波2150 725.9 573.2 8 TTR007 鳥取県西部地震 314.3 383.7 9 TTR008 628.2 595.5 10 TTR009 M=7.3 917.8 760.7 11 TTRH02 318.9 349.4 12 MYG004 宮城県北部の地震 555.2 513.2 13 M_WAKUYA M_ISHINOMAKI 390.4 488.7 14 本震M=6.3 15 M_KAJIMADAI 1605.5 910.3 (*再現波とは文献 5)の松島・川瀬らによる再現波). 大の意味である)。表よりどの住宅も最大応答変位は小 さく被害が考えられる変位は生じなかった。これは今 回の調査対象住宅には十分な耐力があることを意味し ており、部材が破断したり接合部が引き抜けたりする ようなことがない限りこれまで観測された大きな強震 動に対しても十分耐えうることが分かる。図 5 に応答 変位波形の代表として Sa 邸の TTRH02 波に対して、解 析モデルの中で最大応答変位を生じた点の時刻歴変位 波形を示す(NS 方向)。図から最大変位を記録後応答変 位は小さくなり残留変位も生じていないことが分かる。. 表 5 各入力地震動に対する 1 層最大層間変位(cm). 一方他の住宅に比べ Sa 邸の最大変位が全体的に大き. No. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15. いことがこの表 5 から見て取れる。偏心率を各住宅に ついて計算した結果 0.15 を超えるものはほとんどな く偏心による応答への寄与は少ないことを考慮すると、 固有振動数が他の住宅に比べて小さいことで入力地震 動の卓越振動数に近くなったこと(特に非線形領域に 入ってさらに固有振動数が低くなること)が理由とし て考えられる。図 6 には地震ごとに分類した場合の 1 層最大層間変位を入力地震動の NS 成分 EW 成分の平均 最大加速度に対して示す。この図から兵庫県南部地震 や鳥取県西部地震に比べ宮城県北部の地震の破壊能力 が小さいことがわかる。また鳥取県西部地震では TTRH02 波や TTR008 波は強い破壊能力を有しているが. 変位(㎝). 結論. 本研究では常時微動計測を用いた 3 次元挙動解析モ デルを構築し、さらに観測波による強震動シミュレー ションによって木造住宅の耐震安全性に関する考察を (1) 本論での調査住宅は過去の強震動に対しても十分. (3) 宮城県北部の地震の構造物破壊能は小さい。 《参考文献》 1)小野塚 浩基他:常時微動計測による軸組構法木造住宅の振動 特性に関する研究、日本建築学会大会学術講演梗概集、PP219 ∼220、1999 2)宮澤健二他:木造軸組構法住宅の実大振動実験、工学院大学総 合研究所年報、平成 10 年 3 月 3)松島信一、川瀬博:1995 年兵庫県南部地震の複数アスペリティ モデルの提案とそれによる強震動シミュレーション、日本建築 学会構造系論文集、第 534 号、PP33∼40、2000.8. 1層最大層間変位(cm). 震安全性につながる要因であることが確認された。. IR 5.15 5.54 2.56 4.18 2.85 1.85 5.47 3.65 2.62 2.02 5.78 2.01 2.78 0.70 4.09. Ho 5.08 5.27 2.19 3.67 2.30 1.37 4.44 3.07 3.33 3.34 6.70 1.28 2.09 0.45 3.12. 2. Ma 4.80 3.58 1.89 2.20 1.69 1.91 2.98 2.64 6.39 1.99 7.06 0.73 2.56 0.83 4.93. Sa 6.34 7.52 2.83 4.50 3.04 1.19 5.63 4.23 2.26 2.58 8.69 0.94 2.69 0.64 4.44. Ko 3.37 2.94 1.09 1.59 0.99 0.66 2.29 2.18 2.50 2.11 4.41 0.81 2.30 0.69 3.68. I 4.45 5.97 1.77 3.54 2.65 2.28 4.82 3.27 1.90 1.74 8.48 2.14 1.97 0.69 3.16. 4. IS 3.91 4.88 1.62 2.82 2.53 2.22 3.86 2.75 4.67 1.50 7.31 1.09 1.84 0.51 3.63. Ka 5.21 4.48 1.85 2.56 1.60 1.44 3.37 2.32 5.98 1.94 7.17 3.21 2.44 0.68 6.79. 6. 8 時間(s). 図 5 Sa 邸 TTRH02 波入力時の 1 層最大変位点時刻歴. な耐力を有している。 (2) 常時微動計測による固有振動数が大きいことが耐. Ta 3.40 3.23 1.20 1.97 1.29 0.75 3.02 2.21 1.21 1.37 4.13 0.73 1.71 0.90 2.53. 10 7.5 5 2.5 0 - 2.5 0 -5 - 7.5 - 10. 他の波の破壊能力は小さいと言える。. 行なった。その結果得た知見が以下のとおりである。. 最大加速度(gal) NS EW. 略称・呼称. 兵庫県南部地震. EW の 2 方向の変位を各時刻でベクトル合成した内の最. 5.. No.. 18-4. 兵庫県南部地震. 10.0 9.0 8.0 7.0 6.0 5.0 4.0 3.0 2.0 1.0 0.0. TTRH02. 宮城県北部の地震 鳥取県西部地震. TTR008. JMAKOBE M_KAJIMADAI. 0. 250 500 750 1000 1250 最大加速度(NS、EWの平均)(gal). 図 6 地震別の最大変位応答の比較. 1500.
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