援助場面における被援助者の感情および感謝の表出に関する実証的研究 [ PDF
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(2) Table1. 本研究における援助の分類基準. 名称. 情報的 (知らせること) 評価的. 分類 相手が自分の物品をくれる 相手があなたのためにコストを割き、 何らかの行為や手助けをしてくれる 相手があなたの役に立つ情報をくれる 相手があなたを好意的に評価してくれる. 情緒的. 相手があなたを精神的に支えてくれる. 分配的 (道具的×分け合うこと) 行為的 (道具的×援助すること). また,援助してくれる相手が何者かという要因は感情だ. Table2.援助場面の内容. 分類・ニーズ 分類・ニーズ ① 分配・低 ① ② 分配・低 情緒・高 ② 情緒・高 ③ 行為・高 ③ ④ 行為・高 評価・低 ④ ⑤ 評価・低 情報・低 ⑤ 情報・低 ⑥ 分配・高. 援助者の体験 援助者の体験 お腹がいっぱいなのにおにぎりをもらう お腹がいっぱいなのにおにぎりをもらう すごく誰かに相談に乗ってほしい状態のときに声をかけてもらう すごく誰かに相談に乗ってほしい状態のときに声をかけてもらう 荷物で手がふさがっているときにドアを開けてもらうように頼む 荷物で手がふさがっているときにドアを開けてもらうように頼む 自分の作ったお弁当の出来を褒められる 自分の作ったお弁当の出来を褒められる 自分でも解ける自信のある問題の解法を教えられる 自分でも解ける自信のある問題の解法を教えられる 定規を使いたいときに相手の定規を貸してもらう. ⑥ ⑦ 分配・高 情緒・低 ⑦ ⑧ 情緒・低 行為・低 ⑧ ⑨ 行為・低 評価・高 ⑨ ⑩ 評価・高 情報・高 ⑩ 情報・高. 定規を使いたいときに相手の定規を貸してもらう マスクをつけ咳をしていたら心配される マスクをつけ咳をしていたら心配される 一人でもできる荷物運びを手伝われる 一人でもできる荷物運びを手伝われる がんばったのに結果がついてこなかったとき、努力を認められる がんばったのに結果がついてこなかったとき、努力を認められる トイレを探していて、場所を案内してもらう トイレを探していて、場所を案内してもらう. けでなく行動にも影響する(青木,2011 など)。さらに,援. 相手に○をつけてもらった。その後,相手 A-C が自分を援. 助は受け手が必要とするサポートが提供されてはじめて効. 助してくれる場面を 10 場面(Table.2)イラストにより提. 果を持つ(Dakof&Taylor, 1990)ため,被援助者の「ニーズ. 示し,それぞれの場合についてⅠ.あなたはどのように感じ. (援助者が試みている手助けを被援助者が必要としている. ますか(感情)また,Ⅱ.その相手に対してどのように返事. 度合い) 」は,被援助者の感情や行動に影響を及ぼす可能性. したり,行動しますか(言動)という問いについて自由記. がある。特定の種類・内容の援助が,誰からどのように与. 述により回答を求めた。所要時間は約 15 分であった。. えられるのかによって,被援助者の体験は異なると考えら. 結果と考察. れる。 本研究では,以上の観点から,さまざまな援助場面の文. 得られた回答について,特定の単語の出現頻度を計上した。. 脈で被援助者がどのような感情を抱くのかについて,また,. 単語は I. 感情,II.言動のそれぞれで 15 カテゴリずつに分. 被援助者が援助者に対して起こす行動との関連について考. 類された(Table.3)。感情・言動のおおよその分布の快/. 察する。そして,感謝の表出の背景にある被援助者の内的. 不快傾向を把握するため,15 カテゴリの単語について筆者. な状態についての理解を深めることを目的とする。. +2 名で大分類を設定した(評定者間一致率・感情:100%, 言動 75%)。分類基準及び定義は以下に示す(Table.4) 。な. 方法. お,本研究で用いる「感情」という語は,社会的な意味づ. 予備調査 本調査で用いる質問紙を作成するため,大学院. けのなされた,持続する個人の内的状態と定義する。分類. 生 19 名に依頼した。 「ここ 1 ヶ月のあなたの生活を振り返. された単語の出現頻度についてχ2 検定により分析し,全体. って,[自分以外の誰かに何かをしてもらったり,助けても. としての有意な偏りが認められた場合は Ryan 方による多. らった]体験はありますか」と教示し, 「はい」の場合に,そ. 重比較を行った (***= p < .001) 。. の内容を 5 つ以内で列挙してもらった上で,それぞれ「1.. Table3. Ⅰ.感情 およびⅡ.言動 の分類. 誰に 2.どのような時/状況でしてもらったことですか」と. 感情 大分類. いう問いについて自由記述を求めた。得られた 77 データは 筆者を含む 2 名で 5 種類(Table1.)に分類し(評定者間一. Good. 致率 89.6%) , 2 場面ずつ回答の頻度の高いものを抽出し て場面を作成した(Table2.) 。ニーズの高低差の妥当性に ついては,別の 10 名に評定を依頼し,高群と低群の間に有. Bad. 意な差が認められた(t(49)=8.46, p <.001) 。. 感謝・ありがたい・ありがとう. 喜び. 喜ぶ・嬉しい. 幸運. ラッキー・助かる. 安心. 安心・心強い・元気出る. 相手への 好感. 親切だ・良い奴だ・さすが. 畏れ. お礼. 援助 受け入れ. 下位分類. 記述例(一部). 感謝を述べる. 「ありがとう」・「サンキュー」・「どうも」. 謝罪を述べる. 「すみません」「ごめん」「悪い」. お返しをする. (物理的)お返し・何かあげる・お礼する (言語的)「親切!」「優しい」/誉める. お願いする. 「お願い」・相談する/「もらう」/借りる 「風邪薬買って!」・「こっちも持って」. 悪い・申し訳ない・ごめん. 誇る. 自慢する・「すごいでしょ」・胸を張る. 疑い. 社交辞令・あやしい. 謙遜. 「たまたま」「そんなことない」・謙遜. 怒り. 憤り・イラッ・いらいら. 嫌悪. 余計なお世話・うざい. 期待. ~ほしい・~たい・ほしい. 特になし. 分類不可. 分類不可. 「そうなんですね」・「OK」・「あーね」. 同調. 「確かに」・相手の話を聴く・「だよね」. 援助を断る 援助拒否. (助けてもらうのは)あたりまえ 何もしない 「え・・・」「はい」など. あいづち. 現状のみを言う 病状を話す/「知ってる」. 恥ずかしい・照れる 驚き・びっくり・意外・テンパる. 特になし. 中立. ~しなくていいのに・いらない. 驚き 当然だ. により行われた。倫理的配慮として,回答の中断および回. 大分類. 更に要求する. 恥 Neither. =18.6 歳,SD =0.68 歳) ・有効回答率 53.5%であった。 調査は 2012 年 7 月,F 県の大学の講義の時間中に一斉配布. 感謝. 不要だ. 本調査 調査参加者は大学生 120 名(うち男性 83 名 M. 言動. 下位分類 記述例(一部). 「いいや」・「無理」・気持ちだけ受け取る. 理由つきで断る 「…なので~」+「いいです」「いらない」 はぐらかし. 「大丈夫」「なんでもない」「平気」. 抗議・無視. 「うるさい」「邪魔しないで」・怒る・無視. 何もしない. 行動にうつさない・特に何もしない・無言. 分類不可. Table4. Ⅰ.感情 およびⅡ.言動 の分類の定義 ⅠⅠ . 感. 感 情情 感謝・喜び・幸運・安心・好感(Good)…被援助者に快状態をもたらすと考えられる記述をまとめた群 感謝・喜び・幸運・安心・好感(Good)…被援助者に快状態をもたらすと考えられる記述をまとめた群 畏れ・疑い・怒り・嫌悪・不要(Bad) …被援助者に不快状態をもたらすと考えられる記述をまとめた群 畏れ・疑い・怒り・嫌悪・不要(Bad) …被援助者に不快状態をもたらすと考えられる記述をまとめた群 恥・驚き・期待・当然(Neither) …上記2つのいずれにも当てはまらない記述をまとめた群 …上記2つのいずれにも当てはまらない記述をまとめた群 恥・驚き・期待・当然(Neither) 特になし …そのように記述のあるもの 特になし …そのように記述のあるもの. 答内容の守秘義務を保証する内容を質問紙の表紙に記した。 調査票はフェイスシート(所属・学年・年齢・性別・出身 地・住居形態)と場面想定法による質問紙から構成された。 質問紙はまず,A.家族(父親・母親・兄・姉・弟・妹・そ の他)・B. 仲の良い友人(同性・異性)(年下・同い年・ 年上)・C. このとき初めて話す人(同性・異性)の 3 種類 の相手を思い浮かべてもらい,それぞれ括弧内の想定した. ⅡⅡ . 言. 言 動動 お礼……………被援助者がことば・行動・物品等により返報を行っていると考えられる記述 お礼……………被援助者がことば・行動・物品等により返報を行っていると考えられる記述 援助受け入れ…被援助者が援助を受容している・受容したうえでの行動が示されている記述 援助受け入れ…被援助者が援助を受容している・受容したうえでの行動が示されている記述 中立……………被援助者が援助を受容しているとも拒否しているとも判断できない記述 中立……………被援助者が援助を受容しているとも拒否しているとも判断できない記述 援助拒否………援助を拒否・援助者への糾弾など,援助に否定的な態度が示されている記述 援助拒否………援助を拒否・援助者への糾弾など,援助に否定的な態度が示されている記述 何もしない…そのように記述のあるもの 何もしない…そのように記述のあるもの. ※分類不可…いずれにも分類する理由が不十分であった回答(Ⅰ.感情/Ⅱ.言動 共通) ※分類不可…いずれにも分類する理由が不十分であった回答(Ⅰ.感情/Ⅱ.言動 共通). 2.
(3) 3-1.全体分析(Table.5)(感情:χ2(14)= 1149***, 言動:χ2(14)= 2017***). 情報:援助者が被る損失やコストのほとんど無い援助であ. Ⅰ.感情 援助を通して被援助者は利益を得るため多くの場. る。与えられた情報が役に立たなかった場合に不快状態を. 合快状態が体験される。全体として Good 感情群が上位を. 喚起する。しかし,その場合でも被援助者の表出は直接怒. 占める傾向があるといえるものの,その頻度が完全に Bad. りをぶつけるような直接的な手段がとられることは少なく,. 感情群を上回ることは無く,援助体験がかならずしも被援. 被援助者が不満をためこみやすい。. 助者に快い状態にさせるとは限らない。また,Neither 感情. 評価:発達の過程で「ごほうび」という形で与えられる. の記述の出現頻度は低く,援助というものが中立的には行. 機会が多いため,抵抗が少なく肯定的な結果につながっ. われがたいものであることを示している。一方で「特にな. た。手軽に行われることが多く同じ形で返報もしやすい. し」の頻度の高さは, 援助が“当たり前”である(Schein, 2009). が,社交辞令と受け取られ反感を買う危険性もはらむ。. という側面を示している。. 情緒:被援助者の内面を扱う必要性があり,援助者には. Ⅱ. 言動 援助を拒否する内容のバリエーションに比して. 相応のエネルギーが必要となる援助のため,畏れや嫌悪. 肯定的な言動の種類は少ない。また,言動の回答にはお礼. につながりうる。しかし拒否方法はソフトで,受容され. のほか援助を受け入れるか否かというものが上位を占めて. る場合も “言葉にならない感謝”など他の表現方法(佐久間,. おり,被援助者がみずからの気持ちを伝える回答はほとん. 1983)が適用される可能性がある。. どみられない。被援助者は援助を受けた際に心の状態を直. 3-2_2. ニーズ別分析 (Table.8-9)(感情:χ. 接ことばにするよりも, 「ありがとう」という言葉に気持ち. ニーズ高:Good 感情が多く素直に受け入れられやすいが,. を込めることが多いことが考えられる。簡単にでもまず感. 望み通りの利益が手に入ることへの不信感も体験される。. 謝の言葉を伝えることは,被援助者が援助の認知を知らせ. ニーズ低:期待度の低かったものを受け取ることで嬉しさ. る重要なサインであり(青木,2011),将来再度助けられる可. がニーズ高と比較して多く体験されるが,その分負債感も. 能性を高める(Grant & Gino, 2010)。そのため,被援助者は. 増し,返報意識が生じている。. まず援助者の行為に対する感謝を示すことが考えられる。. 3-2_3. 相手別分析(Table.10-11)(感情:χ. 3-2_1. 場面別分析(Table.6-7)(感情:χ. 言動:χ2(56) = 2704***). A 家族:家族は他とは異なる性質の社会的関係にあり. 分配:援助者にとって分配は他の分類の援助に比べて手の. (Dawkins, 1976),援助に対して一生懸命返そうとしなくて. 焼ける援助である(Tomasello, 2008)ため,被援助者が「不. も関係を保つことのできる相手である。. 要だ/恐れ多い」と感じ「援助を断る/謝罪を述べる」と. B 友人:青年期の男女にとって,多くの時間を共に過ごす. いう対応を選択しやすい。しかしそのような援助は被援助. 相手だが援助は“当たり前”には行われない。援助を通し. 者にとって利益も多く, 「幸運だ」と感じさせる側面もある。. て親密度は増すが必要のない援助であっても断りにくい。. 行為:援助者が援助によって具体的な損失を被る可能性が. C 初めて話す人:社会的にはお返しすることを強く強いら. 低く,被援助者のゴールを認知した上で手助けするという. れやすい相手であり中立的ではなく「お礼」のようなわ. 援助者の利他的な意図なしには行われない(Tomasello,. かりやすい表出を行う。社会的交換の量が少なく“想定. 2008)ため,その狙いがあまりにも大きく外れない限りは,. 外に”援助をしてくれる相手であるため,疑い/好感に. 被援助者にとって肯定的な体験となる可能性が高い。. つながる。. 2 *** (56) = 1580 ,. 2 *** (14) = 475.9 ,. 2 *** (28) = 268.3 ,. Table5. 感情と言動の度数 度数. 感情. 739 487 190 185 137 126 112 110 53 45 45 39 27 13 10. 度数. 感謝 喜び 不要だ 相手への好感 嫌悪 特になし 畏れ 幸運 驚き 期待 安心 疑い 怒り 恥 当然だ. Table6.. 言動. 1470 183 133 130 107 74 43 34 32 28 21 18 9 9 4. 援助を断る 理由つきで断る. 1.分配 2.行為 3.情報 4.評価 5.情緒. 現状のみを言う. p <.001. はぐらかし. 感情の「場面」ごとの度数分布(%). 感謝. 喜び. 幸運. 安心. 畏れ. 疑い. 怒り. 嫌悪. 不要だ. 恥. 驚き. 期待. 当然だ. 特になし. 31.0 43.4 37.5 10.4 21.2. 10.5 12.1 12.4 52.2 25.7. 4.9 7.6 7.0 0.3 0.9. 0.6 1.8 0.2 6.5 1.7. 4.2 11.5 9.4 4.3 10.1. 8.1 7.5 1.2 2.1 8.6. 0.1 0.0 0.6 8.9 1.1. 0.0 0.5 5.0 1.2 0.2. 4.8 2.3 12.0 3.1 9.5. 26.6 3.5 2.4 0.0 2.0. 0.0 0.0 0.2 3.1 1.3. 3.6 1.5 3.6 3.6 2.6. 1.3 0.3 0.2 1.0 6.3. 0.7 1.1 0.4 0.3 0.0. 3.4 6.9 8.0 2.9 8.8. 4<5<1<3<2. 1=2=3<5<4. 4=5<1=3=2. 3,1,5,2<4, 3<5. 1=4<3=5=2. 3=4<2=1=5. 2,1,3,5<4 2<5. 1,5,2,4<3 1<4. 2=4=1<5=3. 4<5=3=2<1. 1=2=3<4, 1=2<5. n.s.. 3=2=4=1<5. n.s.. 4=1<2=3=5. 謙遜 抗議・無視. Table7.. 謝罪を述べる 誇る 何もしない あいづち お返しをする 同調. 謝罪を 述べる. 言動の「場面」ごとの度数分布(%). 場面. 感謝を 述べる. 誇る. 謙遜. あいづち. 同調. 現状のみを 言う. 1.分配 2.行為 3.情報 4.評価 5.情緒. 52.1 76.3 66.8 67.5 19.1. 8.4 3.9 0.6 0.0 1.4. 0.8 1.0 1.4 5.1 0.0. 6.5 3.6 1.7 1.2 22.8. 0.0 0.4 0.2 0.0 0.8. 0.0 0.0 0.0 6.8 0.0. 0.0 0.0 0.2 10.2 1.2. 0.1 0.4 4.0 0.0 0.0. 0.0 0.0 4.0 1.4 0.3. 0.3 0.0 12.4 2.0 9.2. 14.7 4.0 0.3 0.2 9.5. 16.8 6.2 4.0 0.0 0.8. 0.4 2.6 0.8 0.0 34.2. 0.0 0.7 3.4 2.9 0.3. 0.0 0.8 0.3 2.7 0.6. 5<1<3<4<2. 4=3<5<2<1. 1,5,2,3<4 5<3. 2=4=3<1<5. n.s.. 1=5=2=3<4. 1,5,2,3<4 1=2<5. 1=5=2=4<3. 1,2,5,4<3 1=2<4. 2=1<4<5=3. 4=3<2<5<1. 4=5<3=2<1. 4=1=3<2<5. 1=5=2<4=3. 1=3=5=2<4. 感謝を 謝罪を 述べる 述べる. お返し をする. お願い する. p <.001. 更に要求する. お返しをする お願いする. 更に要求. Table8. 感情の「ニーズ」ごとの度数分布(%) 場面 ニーズ高 ニーズ低. 感謝. 喜び. 幸運. 安心. 39.9 16.3. 20.3 24.5. 6.4 1.7. 1.9 2.5. ***. ***. ***. n.s.. 相手へ の好感. 不要だ. 恥. 驚き. 期待. 当然だ. 特になし. 8.0 4.9 2.6 0.4 3.8 7.6 6.6 1.5 2.1 8.5. 0.6 15.8. 0.6 1.2. 2.0 4.0. 2.0 1.5. 0.6 0.5. 6.1 5.5. ***. n.s.. ***. n.s.. n.s.. n.s.. **. 疑い. **. 怒り. ***. ***. 援助を断る. 理由つきで 断る. はぐらかし. 抗議・無視. 何もしない. Table9. 言動の「ニーズ」ごとの度数分布(%). 嫌悪. n.s.. 畏れ. 言動:χ2(28) = 281.9***). 相手への 好感. 場面. 感謝を述べる お願いする. 言動:χ2(14)= 709.8***). *** p<.001, ** p<.05. 場面 ニーズ高 ニーズ低. 3. 74.1 37.9. 2.5 3.8. 0.8 2.1. 9.4 5.4. ***. **. ***. ***. 更に 要求. 誇る. 謙遜. 0.0 0.0 1.3 0.5 2.1 2.3 ***. ***. **. あい づち. 同調. 1.0 0.4 0.8 1.7 n.s.. ***. 現状のみ を言う. 援助を 断る. 0.4 8.8. 3.7 8.8. ***. ***. 理由つき で断る. はぐら かし. 抗議 無視. 0.3 3.9 12.1 11.5 ***. ***. 何も しない. 1.0 1.7. 1.1 0.4. n.s.. **. *** p<.001, ** p<.05.
(4) Table10. 感情の「相手」ごとの度数分布(%) 相手 A:家族 B:友人 C:初めて話す人. p <.001. 感謝. 喜び. 幸運. 安心. 31.0 30.4 25.8. 21.5 25.1 20.1. 5.3 5.2 2.3. 2.6 2.3 1.7. C<B C<A=B. n.s.. C<A=B. 相手へ の好感. Table11. 言動の「相手」ごとの度数分布(%). 畏れ. 疑い. 怒り. 嫌悪. 不要だ. 恥. 驚き. 期待. 当然だ. 特になし. 相手. 3.5 1.9 7.9 4.7 11.6 10.1. 1.1 1.0 4.2. 1.4 1.3 1.0. 8.0 4.0 6.1. 10.4 7.8 4.9. 0.9 0.6 1.2. 1.3 1.6 5.9. 2.1 2.4 0.8. 1.2 0.4 0.1. 7.9 5.4 4.4. A:家族. A<B<C A<B<C A=B<C. n.s.. B<A. C<A=B. n.s.. A=B<C. C<A=B. C<A. B=C<A. 感謝を 謝罪を 述べる 述べる. B:友人 C:初めて話す人. p <.001. 51.1 55.8 60.3. 0.7 3.5 5.1. A<B<C. A<B=C. Table12. 感情ごとの言動の分布(大分類)(%). お 礼. a 感謝・喜び・幸運・安心・好感(G). 援 助 受 け 入 れ. 援 助 拒 否. 中 立. 何 も し な い. お 礼 + お 礼. お 礼 + 援 助 受 け 入 れ. お 礼 + 中 立. お 礼 + 援 助 拒 否. 中 立 + 中 立. A. B. C. D. E. F. G. H. I. J. K. 51%. 22%. 52%. 38%. 50%. 40%. 67%. 19%. 0%. 0%. 更に 要求. 誇る. 謙遜. あい づち. 同調. 援助を 断る. 理由つき で断る. 1.9 1.3 0.2. 0.6 1.0 3.7. 1.2 1.0 0.6. 0.8 1.5 0.8. 8.4 5.1 0.8. 8.2 4.7 6.2. 8.1 6.7 4.1. 6.3 5.5 10.9. 2.1 0.7 1.2. 1.6 0.4 0.5. n.s. C<A=B A=B<C. n.s.. n.s.. C<B<A. B<A. C<A=B. A=B<C. B<A. B=C<A. 0.5 0.4 0.0. A<B C<A=B. お 礼. 現状のみ を言う. はぐら かし. 抗議 無視. 何も しない. n.s.. 8%. 17% 6 0 %. 28%. 10%. 21%. 40%. 13%. 54%. 50%. 100%. A<C. 3%. 18%. 7%. 8%. 10%. 0%. 20%. 0%. 3%. 0%. 0%. 4%. 5%. 6%. 9%. 43%. 3%. 0%. 9%. 1%. 0%. 0%. F<B G<E. e 複数(Gのみ) f 複数(Bのみ). 1%. 6%. 0%. 0%. 0%. 9%. 0%. 9%. 1%. 0%. 0%. C=D<B=F=H. 0%. 1%. 1%. 0%. 0%. 0%. 0%. 0%. 5%. 0%. 0%. D<I. g 期待&当然だ(N) h (G&B). 0%. 1%. 0%. 0%. 0%. 0%. 0%. 0%. 0%. 0%. 0%. A<B. 1%. 0%. 3%. 2%. 0%. 18%. 0%. 2%. 12%. 0%. 0%. B=E<F=I. I (G&N) j (G&B&N). 1%. 1%. 1%. 1%. 0%. 0%. 0%. 0%. 4%. 0%. 0%. 0%. 0%. 0%. 0%. 0%. 0%. 0%. 0%. 50%. 0%. n.s. 他<J. 187. 404. 172. 21. 34. 5. 45. 74. 2. 1. 2439. 2 = 1149***, (14). 援 助 受 け 入 れ. 援 助 拒 否. 中 立. お 礼 + お 礼. お 礼 + 中 立. お 礼 + 援 助 拒 否. 中 立 + 中 立. 中 立 + 援 助 受 け 入 れ. A. B. D. E. F. G. H. I. J. K. N. 78%. 6%. 6%. 6%. 1%. 1%. 0%. 2%. 1%. 0%. 0%. 1566. b 畏れ・疑い・怒り・嫌悪・不要(B) c 恥・驚き・期待・当然(N). 25%. 6%. 48%. 10%. 0%. 1%. 0%. 1%. 8%. 0%. 0%. 505. 34%. 27%. 23%. 12%. 2%. 0%. 1%. 0%. 2%. 0%. 0%. d 特になし. 48%. 8%. 19%. 13%. 7%. 1%. 0%. 3%. 1%. 0%. 0%. 121 126. e 複数(Gのみ) f 複数(Bのみ). 46%. 32%. 0%. 0%. 0%. 8%. 0%. 11%. 3%. 0%. 0%. 37. 23%. 15%. 31%. 0%. 0%. 0%. 0%. 0%. 31%. 0%. 0%. 13. g 期待&当然だ(N) h (G&B). 0%. 100%. 0%. 0%. 0%. 0%. 0%. 0%. 0%. 0%. 0%. 1. 28%. 0%. 28%. 7%. 0%. 14%. 0%. 2%. 21%. 0%. 0%. 43. 64%. 8%. 12%. 4%. 0%. 0%. 0%. 0%. 12%. 0%. 0%. 50%. 0%. 0%. 0%. 0%. 0%. 0%. 0%. 50%. 0%. 25 2. h<c,e,g. e<b,c,d,f,h. n.s.. n.s.. c<e. n.s.. 他< j. n.s.. 2439. I (G&N) j (G&B&N). p <.01 n.s.. C. 何 も し な い. お 礼 + 援 助 受 け 入 れ. a 感謝・喜び・幸運・安心・好感(G). p<.01. d 特になし. 3-3. 感情・言動分析(Table.12-13)(感情:χ. 8.0 10.2 4.2. Table13. 言動ごとの感情の分布(大分類)(%). 82%. 0%. お願い する. 0.7 2.3 1.3. 中 立 + 援 助 受 け 入 れ. b 畏れ・疑い・怒り・嫌悪・不要(B) c 恥・驚き・期待・当然(N). N 1494. お返し をする. 0% c<e,h e<d f<h. 時に経験されることが多い。さらに,援助が当然とみなさ. 言動:χ2(14)= 2017***). 感情→言動:Neither 感情が喚起されているときは,援助. れる家族へは感謝などの肯定的感情およびお礼と言う感謝. が受け入れられやすく Bad 感情が喚起されているときは拒. 表出は起こりにくい。友人やクラスメイトに対しては,関. 否される可能性が高い。しかし,Good 感情が喚起されてい. 係性を失わないためにしっかりと「お礼」を表出したり,. たとしても,必ずしも援助が受け入れられるとは限らない。. 角の立たない方法によって拒否するというような表出方法. 言動→感情:援助が受け入れられる際には常に快状態をも. が選択される。このように親密度の高さは被援助者の体験. たらす感情が,拒否される際には常に不快状態をもたらす. のよさを保証はしないが,援助体験が友人関係をよりよい. 感情のみが被援助者に喚起されているとは限らない。いず. ものにしてくれる可能性は期待できる(松井,1998)。. れの場合も Neither 感情群や,複数のカテゴリにまたがる. 本研究では,被援助者が被援助状況を通して複雑な感情. 回答のように快や不快のどちらかへと完全には振れない感. を体験しているということ,それらの感情や言動の肯定/. 情が体験されている。 「お礼」が述べられているときも,快・. 否定が直接結びついているわけではないこと,それらが状. 不快あらゆる感情が体験されうる可能性がある。また, 「す. 況によっても異なってくることを実証的に明らかにした。. みません」ということばには,被援助者の抱く申し訳なさ. しかしながら,本研究のデザインでは被援助者が実際には. のみが直結しているのではなく, 「ありがとう」と同じよう. どのような言動を行うのかという点や,個人内要因等との. に感謝や喜びが込められている可能性がある。. 関連などは検討できていないため,今後の課題としたい。. 総合考察. 主要引用文献. 多くの場合助けられるという体験は被援助者にとって肯定. 相川充. (2012). 対人状況での被援助に伴う心理的負債. (深田博己(編)社会心理学106-127 ミネルヴァ書房).. 的なものであるが,援助は常に受け入れられるわけではな. 青木瑠衣.(2011).「ありがとう」の発話文脈とその発達に関する実証的検討. 九州大学卒業論文.. い。その背景には,感謝や喜びのような快感情だけでなく. Dakof, G,A. & Taylor, S, E.(1990). Victims’ Perceptions of Social Support Journal of Personality and Social Psychology, 58(1), 80-89.. 「援助は要らない」と思う気持ちや,援助者への嫌悪感,. Dawkins, R. (1976). The Selfish Gene. (日高敏隆・岸由二・羽田節子・垂水雄二(訳) 利己的な遺伝子紀伊国屋).. 申し訳なさなどが関係する。その上,それぞれの言動に単. DeSteno, D., Bartlett, M, Y., Baumann, J. & Williams, L, A. (2010). Gratitude as Moral Sentiment: Emotion-Guided CooperationinEconomic Exchange. Emotion, 10(2), 289-293.. 一の感情が対応しているわけではないため,お礼を言われ. Grant, A,M,. & Gino, F.A (2010). Little Thanks Goes a Long Way: Explaining why gratitude expressions motivate prosocialbehavior.JournalofPsychology, 98(6),946-55.. たから被援助者が快い状態にあるとは限らず, 「すみませ. Greenberg, M. S. (1980). A theory of indebtedness. In K. J. Gergen, M. S. Greenberg & R. H. Wills (Eds.), Social exchange:: New York: Plenum.. ん」と謝罪を述べたり手助けを断ったりしたとしても,そ. House,J, S. (1981). Work stress and social support. Addison-Wesley Pub.co.. の人が不快感情を抱いていると決めつけることはできない. 松井豊・浦光博. (1998).人を支える心の科学. 誠信書房.. ということを援助者は念頭に置き,その場その場で被援助. Mauss, M. (1924). Essai sur le don- 吉田 禎吾・江川 純一(訳)(2009) 贈与論.ちくま文庫.. 者にどのような感情が喚起されているのかを考えていくこ. 成田義弘. (2003). 贈り物の心理学. 名古屋大学出版会.. とが重要であると考えられる。また,基本的にはニーズの. 西川正行. (1986). 返礼義務感に及ぼす援助意図性,援助効果,および援助出費の効果. 心理学研究, 57, 214-219.. 高いものが与えられるほど被援助者もよい体験になりやす. Nowak, M. A. and Sigmund, K. (1998). Evolution of indirect reciprocity by image scoring. Nature, 393, 573-577.. いが,願いどおりの援助が与えられる状況を疑う場合もあ. 佐久間勝彦. (1983) . 話し言葉=表現のかたち 感謝と詫び (水谷修(編)話し言葉の表現 講座日本語の表現3. 筑摩書房, 54-66.). ったり,相手にとって“貴重な”援助が喜ばれる一方で負. Schein, E. (2009). Helping-How to Offer, Give, and Receive Help: Berrett-Koehler Publishers- 金井壽宏 (監修),.英治出版.. 債感を抱かせることもあるなど,肯定・否定の両側面が同. Tomasello, M. (2008). Origins of human communication. Massachu se--tts: The MIT Press. 4.
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