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半導体物理講義ノート 2017 年 0823 版 目次バンド構造概論 金属の自由電子模型 電子の状態密度 フェルミ (Fermi) エネルギー フェルミ球 確率の保存則 バンド理論 結晶の格子ベクトル--

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(1)

半導体物理 講義ノート

2017 年 0823 版 目次 バンド構造概論---1 金属の自由電子模型---2 電子の状態密度---4 フェルミ(Fermi)エネルギー・フェルミ球---5 確率の保存則---5 バンド理論---7 結晶の格子ベクトル---7 逆格子ベクトル---7 結晶中の1 電子のハミルトニアンの空間的構造---8 Bloch の定理---8 波数

k

に関する周期性と波数

k

のとりうる範囲---10 固体電子のエネルギーバンド---15 弱い束縛近似----15 平面波展開による固有値、固有関数の求め方---18 強い束縛近似---23 有効質量---26 グリーンの定理---35 1 次元の結晶における電子の運動---36 正孔---37 固体の電気伝導---38 ドルーデモデル---39 フェルミ分布---40 ボルツマン方程式---41 半導体内のキャリアーの定性的な説明---43 不純物準位---43 熱平衡における不純物準位の占有密度---46 半導体電子の熱平衡分布---48 真性半導体---48 不純物半導体---50 キャリアーの濃度積---52 電気的中性条件---52 少数キャリアーの拡散と再結合---55 p-n 接合 ---57 拡散方程式による拡散電流の扱い---63 空乏層の幅---63 p-n 接合部での電流---64 ボルツマン分布---67 光検出器---69 問題---71 この講義ノートの著作権は、著者(矢野隆治)にあります。記述の間違いがあれば、連絡をお願いします

(2)

1

バンド構造概論

結晶中では電子が占有するエネルギー状態はほぼ連続となり、エネルギーバンドを形成する。そして結晶の 周期性によってエネルギーバンド間にエネルギーギャップが形成される。 この章ではこれらのエネルギー バンドとエネルギーギャップについて説明する。

エネルギーバンド

結晶中では結晶間の距離がオングストローム(Å)程度と近いため、原子の電子分布が隣接する原子の電子 分布と重なる。電子はフェルミ粒子であり、2 個の電子が同じ状態を占有することはできない。この原理をパ ウリの排他律(Pauli exclusion principle)という。

電子が占有可能な状態を作るために、電子のエネルギー準位は分裂し、新たなエネルギー準位が生成する。 このエネルギー準位の間隔は10-18eV 程度と極めて小さいため、ほぼ連続と見なされる。このように、ほぼ連 続したエネルギー準位の一群をエネルギーバンド(energy band)という。 電子が詰まっているエネルギーバンドを充満帯(filled band)という。共有結合結晶では、充満帯を占有してい る電子は結合に寄与しており、価電子と呼ばれている。そこで、共有結晶では、充満帯の事を価電子帯(valence band)ともいう。 一方、充満帯よりもエネルギーが高く、電気伝導に寄与するエネルギーバンドを伝導帯(conduction band) という。ただし、伝導帯を占有している電子が電気伝導に寄与するためには、伝導帯がすべて占有されていな い事、つまり伝導帯に空席がある事が必要である。結晶の周期性によって電子が占有する事の出来ないエネル ギー領域がエネルギーバンド間に形成される。この領域を禁制帯(forbidden band)、エネルギーギャップ

(energy gap)、またはバンドギャップ(band gap)という。禁制帯の大きさは電子エレクトロンボルト(eV)ある いはそれ以上の大きさである。 右図に絶縁体、半導体、金属のエネルギーバンドを示す。この図 において、曲線がエネルギーバンドを表し、灰色部分が電子を占有 している領域を示す。横軸は、後で述べるが、電子のもつ波数を表 わす。また、電子のエネルギーは上方ほど高い。 図(a)のように、伝導帯が完全に空の場合、あるいは伝導帯に電 子が充満している場合、電子は動くことができず、この個体は絶縁 体(insulator)になる。図(b)のように伝導帯が部分的に(10%から 90%程度)電子で占有されている場合、この固 体は金属(metal)になる。また、図(c)のように伝導帯がわずかの電子で占有されているかまたは価電子帯にわ ずかに空の部分(電子が入っていない部分)をもっている場合、この固体は半導体(semiconductor)となる。 この時、電気伝導に寄与する電子、即ち伝導電子の濃度は原子濃度のせいぜい10-2以下である。 多くの場合、半導体は、絶対零度において電子の満ちたバンド(価電子帯)と空のバンド(伝導帯)との間 のエネルギーギャップが小さい結晶である。しかしこの数十年で、GaN、AlN のようなバンドギャップの極 めて大きな窒化物半導体の研究(青色LEDなど)の進展があった。

(3)

2

金属の自由電子模型

アルカリ金属(Li, Na, K, Rb など)や貴金属(Au,Cu,Ag)などの金属では、最外殻の電子が特定の電子か

ら離れて、結晶中を自由に動く事ができる。この動く電子を、伝導電子という。1 つの伝導電子に着目すると、 この電子に働くポテンシャルは、周期的に並んだ正電荷のイオンによる周 期的ポテンシャル(右図)と着目している伝導電子以外の電子が作るクー ロンポテンシャルである。また、伝導電子が金属表面から外へ出るには大 きなエネルギーを必要とするため、伝導電子は無限大の高さの障壁により 金属内に閉じ込められている。 この様子を記述する一番簡単なモデルは、正電荷のイオンおよびその多数の伝 導電子によるポテンシャルの寄与を空間的に一様なポテンシャル(金属内では一 様:ポテンシャル

U

(

r

)

0

とする)で置き換え、金属表面でポテンシャルが急激 に大きくなる(無限大になる)モデルである。これを金属の自由電子模型という。 一辺の長さ L の直方体で出来た無限大のポテンシャルに囲まれた自由電子のシ ュレディンガー方程式は、

0

x

,

y

,

z

L

U

(

r

)

0

とおいて、

z

x

y

x

x

x

x

E

m

E

H

j j

 1 2 3 3 1 2 2 2

,

,

),

(

)

(

2

)

(

)

(

)

(

r

r

r

r

r

  

である。さらに、

x

,

y

,

z

0

および

L

x

,

y

,

z

(

r

)

0

とする。波動関数は、

(

r

)

x

(

x

)

y

(

y

)

z

(

z

)

の形に かけると仮定する。電子の伝播は、どの方向に対しても同様の可能性があるため、上の形を仮定する。さらに 次の周期的境界条件を課して、進行波の解を仮定する(定在波の形の解は、電子の流れを示さない。)。

)

,

,

(

)

0

,

,

(

)

,

,

(

)

,

0

,

(

)

,

,

(

)

,

,

0

(

L

y

x

y

x

z

L

x

z

x

z

y

L

z

y

以下は、方程式の解き方の詳細。

)

(

)

(

)

(

2

)

(

)

(

)

(

)

(

)

(

)

(

)

(

)

(

)

(

2

2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2

z

y

x

E

m

z

y

x

z

y

x

z

y

x

E

z

y

x

z

y

x

m

z y x z y x z y x z y x

両辺を

x

(

x

)

y

(

y

)

z

(

z

)

で割り算をする。 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2

2

,

}

2

)

(

)

(

1

)

(

)

(

1

{

)

(

)

(

1

0

2

)

(

)

(

1

)

(

)

(

1

)

(

)

(

1

 

 

x z z y y x x z z y y x x

mE

z

y

mE

z

z

z

y

y

y

x

x

x

x

mE

z

z

z

y

y

y

x

x

x

定数 の関数 の関数

任意の

x

,

y

,

z

で等式が成り立つので、この式は定数である。ここで、電子は

0

x 

L

では束縛されていない

(4)

3 ため、自由電子を表すとして、係数を(-)にとった。

y,

z

に関しても、同様の扱いを後で行う。

)

(

)

(

2

)

(

2

)

(

)

(

1

2 2 2 2 2 2 2

x

k

x

mE

x

x

mE

x

x

x

x x x x x x x x

周期的境界条件から、

k

xに対して、以下のような表式を得る。ここで

n

xは整数である。

L

n

k

n

L

k

L

x

ik

x

x x x x x x x x x

2

2

)

(

)

0

(

)

exp(

)

0

(

)

(

)

(

),

(

y

z

z

y

に関しても、以下に示すように、同様の方程式を得る。

)

(

)

(

2

)

(

2

)

(

)

(

1

2

}

)

(

2

)

(

)

(

1

{

)

(

)

(

1

2

2

)

(

)

(

1

)

(

)

(

1

2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2

y

k

y

mE

y

y

mE

y

y

y

mE

E

E

m

z

z

z

y

y

y

mE

mE

z

z

z

y

y

y

y y y y y y y y y x z z y y x z z y y

)

(

)

(

2

)

(

,

2

)

(

2

)

(

)

(

1

2 2 2 2 2 2 2 2

z

k

z

mE

z

z

E

E

E

E

mE

E

E

E

m

z

z

z

z z z z z y x z z y x z z

周期的境界条件を課すと、次のような波数が求まる。ここで

n

jは整数である。

L

n

k

n

L

k

L

z

x

y

x

x

x

x

ik

x

j j j j j j j j j

2

2

)

(

)

0

(

,

,

),

exp(

)

0

(

)

(

1 2 3

 

以上より、以下に示す波動関数および固有エネルギーを得る。

)

(

2

)

(

)

0

,

0

,

0

(

)

,

,

(

,

,

2

,

1

,

0

,

,

),

,

,

(

2

)

exp(

)

(

2 2 2 2 2 2 z y x z y x z y x z y x

n

n

n

mL

E

n

n

n

n

n

n

n

n

n

L

i

C





k

k

r

k

r

ただし これより、エネルギーが

E

(

k

)

E

0を満足する状態数は、 2 2 0 2 2 2 2 0 2 2 2 2 2 2

2

)

(

2

)

(

mL

E

n

n

n

E

n

n

n

mL

E

k

x

y

z

x

y

z

を満足する量子数の組

(

n

x

n

y

,

n

z

)

だけある事が分かる。

(5)

4

電子の状態密度

z y x

n

n

n

,

,

が不連続な整数の値をとるので、波数およびエネルギーも不連 続な値をとる。波数は

k

(

2

/

L

)(

n

x

,

n

y

,

n

z

)

で与えられるので、ある整数 の組

n

x

,

n

y

,

n

zが占拠する大きさは、

d

k

(

2

/

L

)(

1

,

1

,

1

)

より

(

2

)

3

/

L

3で ある。よって、波数の大きさが

k

~

k

dk

の間にある状態数

k

(

k

)

dk

は、 半径

k

厚さ

dk

の殻の体積

4

k

2

dk

(

2

)

3

/

L

3で割ることで与えられる。 右図で、半径

k

の球の殻(殻の厚さ

dk

)を考えると、

dk

k

L

dk

k

L

L

dk

k

dk

k

k 2 2 3 2 3 3 3 3 2

2

4

)

2

(

]

/

)

2

/[(

4

)

(

単位体積あたりでは、

L

1

とおけばよい。エネルギー

E

と波数

k

との関係は、



 

kdk

dE

m

dE

E

m

dE

E

m

dk

mE

k

k

mE

2

2

2

2

1

2

1

2

2

2

2 2 / 1 2 / 1 2 2 / 1 2 / 1 2 2 2 2

で与えられるので、

E

~

E

dE

の間になる状態数

E

(

E

)

dE

は、 2 / 1 3 2 / 3 2 3 2 / 1 3 2 / 3 2 3 2 / 1 2 / 1 2 2 2 3 2 2 3

)

2

(

4

)

(

)

(

)

2

(

4

2

2

1

2

2

2

)

(

)

(

)

(

E

m

L

E

dE

E

dE

E

m

L

dE

E

m

mE

L

dk

k

L

dk

k

dk

k

dE

E

E E k k E

 で与えられる。スピンのアップダウンの因子2 を考慮すると、それぞれ、

dk

k

L

dk

k

dE

E

m

L

dE

E

k E 2 2 3 2 / 1 3 2 / 3 2 3

)

(

,

)

2

(

2

)

(

別の考え方: 波数の大きさ

k

を半径とする球の体積は

(

4

/

3

)

k

3である。ある整数の組

n

x

,

n

y

,

n

zが占拠する大きさは 3 3

/

)

2

(

L

であるので、この球の中に含まれる状態数は、 3 3 3

/

)

2

(

3

4

L

k

である。これを

k

で微分する事で、 2 2 3 2 3 3 3 3 3

2

4

)

2

(

/

)

2

(

]

)

3

/

4

[(

)

(

L

L

k

L

k

dk

k

d

k

k

を得る。さらに、スピンの自由度を考慮し、2 倍する。

(6)

5

フェルミ(Fermi)エネルギー・フェルミ球

金属の自由電子模型(p.2)では、絶対零度において、電子はエネルギーの低い準位から上の準位へと、 パウリの原理に従って、詰まっていく。電子を充填した時、電子が持つ最も高いエネルギーを Fermi エネル ギーという。 先に求めた電子の持つエネルギーが

E

~

E

dE

の間になる状態数

E

(

E

)

dE

を用い、単位体積あたりの電 子数(電子密度)

n

を求める。

E

(E

)

において

L

1

とおいて 3 / 2 3 2 3 / 2 2 / 3 3 2 3 / 2 2 / 3 0 0

)

(

3

)

2

(

:

1

)

(

3

)

2

(

)

(

3

2

)

2

(

2

)

2

(

2

)

(

3 3 2 / 3 2 3 2 / 1 3 2 / 3 2 3 F F F E

m

n

L

m

L

m

L

dE

E

m

L

dE

E

n

F F

 

絶対零度における Fermi エネルギー

Fは、上で求めた関係式を逆に解き、電子数密度

n

を用い、 3 / 2 2 2

)

3

(

2

)

3

(

)

2

(

)

2

(

3

)

(

)

(

3

)

2

(

)

1

(

3/2 2 3 2 / 3 3 2 2 / 3 2 / 3 3 2 2 / 3

n

m

n

m

n

m

m

n

L

F F

F

となる。絶対零度では、電子は波数

k

空間で、 2

/

2

F

F

m

k

を半径とする球の内部に充満している。こ の球をフェルミ(Fermi)球と呼ぶ。また、

k

Fをフェルミ波数という。

確率の保存則

確率密度

(

r

,

t

)

(

r

,

t

)

*

(

r

,

t

)

に関する保存則の導出をする。

*

)

,

(

)]

(

2

[

)*

,

(

)*]

(

2

[

*

)

,

(

)

,

(

)]

(

2

[

)

,

(

:

)

(

,

,

,

,

),

(

2

)

(

),

,

(

)

(

)

,

(

2 2 2 3 2 1 3 1 2 2 2

t

U

m

t

U

m

t

t

i

t

U

m

t

t

i

real

U

z

x

y

x

x

x

x

U

m

H

t

H

t

t

i

j j

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

Δ

Δ

Δ

Δ

  

)

,

( t

r

の時間微分をすると、

)]

,

(

)*)

,

(

(

))

,

(

(

*

)

,

(

[

2

))]

,

(

(

*

)

,

(

)

,

(

)*)

,

(

[(

2

)]

,

(

)

(

)

,

(

2

[

1

*

)

,

(

)

,

(

)*]

,

(

)

(

*

)

,

(

2

[

1

)

,

(

*

)

,

(

)

,

(

*

)

,

(

)]

,

(

*

)

,

(

[

)

,

(

2 2

t

t

t

t

im

t

t

t

t

im

t

U

t

m

i

t

t

t

U

t

m

i

t

t

t

t

t

t

t

t

t

t

t

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

Δ

Δ

Δ

Δ

Δ

Δ

  

  

  

ここで、

)]

,

(

)*)

,

(

(

))

,

(

(

*

)

,

(

[

2

)

,

(

t

t

t

t

im

t

r

r

r

r

r

j





z

y

x

,

,

grad

を定義すると、

(7)

6

x

t

x

t

t

x

t

t

x

t

x

t

t

x

z

t

t

z

t

z

t

t

t

z

y

t

t

y

t

y

t

t

t

y

x

t

t

x

t

x

t

x

t

t

x

t

t

x

t

t

t

t

im

t

x z y x

)

,

(

*

)

,

(

)

,

(

*

)

,

(

)]

,

(

*

)

,

(

[

)]

,

(

)*)

,

(

[(

)

,

(

*

)

,

(

)

,

(

*

)

,

(

))]

,

(

(

*

)

,

(

[

)

,

(

*

)

,

(

)

,

(

*

)

,

(

))]

,

(

(

*

)

,

(

[

)

,

(

*

)

,

(

)

,

(

*

)

,

(

]

)

,

(

*

)

,

(

[

))]

,

(

(

*

)

,

(

[

)]

,

(

)*)

,

(

(

))

,

(

(

*

)

,

(

[

div

2

)

,

(

div

2 2 2 2 2 2 2 2

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

j

  

  

  

  

(

,

)

*

[

(

,

)]

[

(

,

)*]

(

,

)

2

)

,

(

div

)

,

(

)*]

,

(

[

)]

,

(

[

*

)

,

(

}

)

,

(

*

)

,

(

)

,

(

)*]

,

(

{[

)]

,

(

[

*

)

,

(

)

,

(

*

)

,

(

)

,

(

div

2

3 1 3 1 -1

t

t

t

t

im

t

t

t

t

t

x

t

x

t

t

t

t

t

x

t

x

t

t

im

j j j j j j

r

r

r

r

r

j

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

r

j

 

        

これより、

0

)

,

(

div

)

,

(

t

t

t

r

j

r

をえる。この式から、

j

( t

r

,

)

は確率密度の流れと解釈できる。 さて、電荷密度の流れ(電流密度)は、電子の確率密度の流れ

j

( t

r

,

)

e

をかけたもので与えられる。

)]

,

(

)*)

(

(

))

,

(

(

*

)

,

(

[

2

)]

,

(

)*)

,

(

(

))

,

(

(

*

)

,

(

[

2

)

,

(

)

(

)

,

(

t

t

t

m

e

i

t

t

t

t

im

e

t

e

t

r

r

r

r

r

r

r

r

r

j

r

i

   

確率の保存則の式は、有効質量テンソルの厳密な導出(p.27)で、利用する。

(8)

7

バンド理論

結晶の格子ベクトル

結晶の単位構造は、どれをとっても全ての原子の組成、配列が等しい。それらが多数規則的に配列する事で、 大きな結晶を作る。右図は、2 種類の原子で作られた結晶の最小単位である単位構造を示す。このような単位 構造は、単位胞とも呼ばれる。 結晶において、ある原子を原点に取り、原点にとった原子(例えば、図で、真ん中の灰色原子を原点にとっ て見よう。)から見た他の原子の配列を考えよう。原点にとった原子から図に示したベクトル

a

1

, a

2または

a

3 の適当な整数倍の移動で、原点にとった原子と同等の原子(灰色の大きな原子)に移る。その原子から見た周 辺の原子の配列は、原点にとった原子から見た配列と同 じである。この時、単位胞の体積は、3 つのベクトル 3 2 1

,

a

,

a

a

で囲まれる体積である。 以上の考察からわかるように、単位胞の位置

R

は、こ の よ う な 3 つ ベ ク ト ル

a

1

,

a

2

,

a

3 と 適 当 な 整 数 3 2 1

,

n

n

n

,

を用いて、 3 3 2 2 1 1

a

a

a

R

n

n

n

で表わされる。このようにして作られるベクトル

R

の終点は、規則正しい点の配列を作る。この配列を格子と いい、これらの点を格子点と呼ぶ。

a

1

,

a

2

,

a

3をこの結晶の基本ベクトルという。このようにして、単位胞の 結晶内での位置は決める事が出来るが、単位胞の中の原子の配置までは決まらない。

逆格子ベクトル

上で定義された

a

1

,

a

2

,

a

3の格子ベクトルに対して、



)

(

0

)

(

1

,

2

,

)

(

)

(

2

,

)

(

)

(

2

,

)

(

)

(

2

, , 3 2 1 2 1 3 3 2 1 1 3 2 3 2 1 3 2 1

j

i

j

i

j i j i j i



b

a

a

a

a

a

a

b

a

a

a

a

a

b

a

a

a

a

a

b

 

で定義されるベクトル

b

1

,

b

2

,

b

3を逆格子における基本ベクトルと呼ぶ。ここで“

”および“”はそれぞれ ベクトルの内積と外積を表わす。これら

b

1

,

b

2

,

b

3と適当な整数

h

1

,

h

2

,

h

3を用いてできるベクトル 3 3 2 2 1 1

b

b

b

K

h

h

h

を逆格子ベクトルという。格子ベクトルと逆格子ベクトルの間には、

)

(

2

1 1 2 2 3 3 ,

n

h

n

h

n

h

n

h

j i j i j i

R

b

a

K

の関係がある。

(9)

8

結晶中の

1 電子のハミルトニアンの空間的構造

空間的な周期性のある結晶における1 電子のハミルトニアンの空間的な構造を考える。3 次元の周期的なポ テンシャルU(r)中の1 電子のシュレディンガー方程式は、

3 1 2 2 2

),

(

2

)

(

),

(

)

(

)

(

j

x

j

U

m

H

E

H

r

r

r

r

r

で与えられる。結晶は、それを構成する最小単位である単位胞が規則正しく配列したものである。よって、結 晶の中の電子が感じるポテンシャルは、どの単位胞であっても、単位胞の同じ場所にあれば、同じポテンシャ ルになる。すなわち、結晶の任意の格子ベクトル

R

に対して、ポテンシャルは

U

(

r

R

)

U

(

r

)

が成り立つ。 よってハミルトニアンH(r)は、結晶の格子での併進操作に対して不変である:

H

(

r

R

)

H

(

r

)

。 これより、

)

(

)

(

)

(

)

(

)

(

)

(

r

R

r

R

E

r

R

H

r

r

R

E

r

R

H

となる。よって

(r

)

(一般に複素数の解)がシュレディンガー方程式のエネルギー固有値

E

の解なら、

)

(

r 

R

も同じエネルギー固有値

E

の解である。

Bloch の定理

結晶のような周期的なポテンシャル中の1電子の波動関数

(r

)

において、格子ベクトル

R

で与えられる併 進演算子

T

Rで、

)

(

)

exp(

)

(

)

(

r

r

R

k

R

r

R

i

T

が成り立つ。これを、Bloch(ブロッホ)の定理という。 以下では、そのいくつかの証明を示す。

Bloch の定理/ 証明その1

空間的な周期性のある結晶において、その結晶の任意の格子ベクトル

R

に対して併進演算子

T

Rを定義し、 1 電子の波動関数

(r)を

R

だけ位置をずらすものとする。

)

(

)

(

r

r

R

R

T

結晶中の電子のハミルトニアンは、格子ベクトル

R

に対して周期的な演算子であるので、

0

)

(

)

(

)

(

[

)

(

)

(

)

(

)

(

)

(

)

(

)

(

)

(

]

r

r

r

r

r

R

r

r

R

r

R

r

r

r

R R R R

T

H

H

T

T

H

H

H

H

T

)

(r

は任意の関数なので、 R R

H

r

H

r

T

T

(

)

(

)

の交換関係が成り立つ。加えて、連続して2 つの異なる併進操作を行っても、その順番に関係なく同じ併進操 作になる:

(10)

9

)

'

(

)

(

)

(

' '  

 

 

r

R R

r

r

R

R

R R

T

T

T

T

よって ' ' '       R R R R R R

T

T

T

T

T

が成り立つ。 R R

H

r

H

r

T

T

(

)

(

)

の関係式は、

T

Rとハミルトニアン

H

が互いに可換な演算子である事を示す。よって、 この結晶内の1 電子の固有関数として、

T

R

H

の同時固有関数

(r

)

を選ぶことができる(

T

Rの固有関数で もあり

H

の固有関数でもあるような、波動関数

(r

)

が存在するという事)。(*)すなわち、

)

(

)

(

)

(

)

(

)

(

r

R

r

r

r

R

c

T

E

H

である。よって複数の併進操作を考える事で、

c

(R

)

における次の関係式を得る。

)

'

(

)

(

)

'

(

)

(

)

'

(

)

(

)

(

)

'

(

)

(

)

(

' '

R

R

R

R

r

R

R

r

r

R

R

r

R R R R

c

c

c

c

T

c

c

T

T

(*)注意。あるエネルギー固有値

E

に対応する波動関数が複数(エネルギー縮退している)の場合は、複雑に なるので、詳細な考察が必要だが、結果は変わらない。さらに注意。1 次元の束縛された系では、1 つのエネ ルギーに対応する固有状態の縮退はない。しかし、結晶中の 1 電子の運動は完全に束縛された系ではない (| r|で波動関数(r)0ではない)ため、縮退している可能性がある。3 次元の場合も同様である。 さて、格子ベクトルは、基本ベクトルを

a

i

( 

i

1

,

2

,

3

)

を用いて、

R

n

1

a

1

n

2

a

2

n

3

a

3で与えられる。そこで、

)

)

1

((

)

(

)

(

)

(

)

'

(

)

(

)

'

(

3 3 2 2 1 1 1 3 3 2 2 1 1 3 3 2 2 1 1

a

a

a

a

a

a

a

R

a

a

a

R

R

R

R

R

n

n

n

c

c

n

n

n

c

c

n

n

n

c

c

c

の関係式がなりたつ。そこで、結晶の格子ベクトルを作る基本ベクトルに関する係数

c a

(

i

)

について考えよう。

)

(

i

c a

( i 1~3)(一般には複素数)について、

)

2

exp(

)

(

i

ix

i

c

a

と書く事にしよう。

x

iは、一般には複素数である。しかし、波動関数がその物理的内容を変えない事を要求す ると、実数になる。(もし

x

iに虚数成分が存在すると、

|

c a

(

i

)

|

1

または

|

c a

(

i

)

|

1

となるため、無限回の併進 操作で波動関数が発散(+∞)またはゼロになるという、不都合が生じる。よって

x

iは実数でなければならない。 注:

a

が実数のとき、

|

exp(

ia

)

|

1

である。) 関係式

c

(

R

R

'

)

c

(

R

)

c

(

R

'

)

を何度も用いると、任意の格子ベクトル

R

n

1

a

1

n

2

a

2

n

3

a

3に対して、

)]

(

2

exp[

)

(

)

(

)

(

)

(

c

1 1

c

2 2

c

3 3

i

n

1

x

1

n

2

x

2

n

3

x

3

c

R

a

n

a

n

a

n

となる。これは

x

1

x

2

x

3を係数(これらの係数が実数である事以上の制約は、この段階ではない。)とする 逆格子ベクトル j i j i

x

x

x

1 1

2 2

3 3

,

2



b

b

b

b

a

k

(11)

10 を用いて、

)

exp(

)

(

R

i

k

R

c

と書ける。まとめると、

)

(

)

exp(

)

(

)

(

r

r

R

k

R

r

R

i

T

----(A) となる。 結晶中の1 電子の波動関数が

(

r

)

exp(

i 

k

r

)

u

(

r

)

の形を持てば、

r

r

R

の置き換えで、

)

(

)]

(

exp[

)

(

r

R

i

k

r

R

u

r

R

となる。一方、関係式(A)から、

)

(

)]

(

exp[

)]

(

)

)[exp(

exp(

)

(

)

exp(

)

(

r

R

r

k

r

r

k

R

k

r

R

k

R

r

u

i

u

i

i

i

     

これらは等しいので、

u

(

r

)

 u

(

r

R

)

の関係式を得る。これらの関係式がBloch の定理(の一部)である。

1 電子の波動関数

n,k

(

r

)

の波数 k に関する周期性と波数 k のとりうる範囲

結晶中を伝播する電子を記述する波動関数は、規格化定数を別にすると、

n,k

(

r

)

exp(

i 

k

r

)

u

n,k

(

r

)

の形 で記述される。ここで

n

は原子の場合の主量子数に相当する、バンドを指定する量子数である。一方で波数

k

は、以下に示すように、一意的に決まらない。

K

を結晶の逆格子ベクトル、

R

を格子ベクトルとする。その時、

)

exp(

]

)

(

exp[

i

k

K

R

i

k

R

が成り立つ。

u

n,k

(

r

)

を波数

k

を中心として逆格子ベクトル

K

でフーリエ展開する。

)

(

)

"

exp(

]

)

(

exp[

"

'

'

"

]

)

'

(

exp[

]

)

(

exp[

)

'

exp(

)

exp(

)

(

, ' ' , " " ' '

r

r

K

r

K

k

K

K

K

K

K

K

r

K

K

r

K

k

r

K

r

k

r

K k K k K K K k K K k K k     

n n, n, n, n

i

u

i

i

u

i

i

u

i

    

    

     

    

の波数の変換 これは、結晶中の1 電子の波動関数(Bloch 関数)

n,k

(

r

)

k

空間において逆格子ベクトル

K

の周期性を持 つ事を示す。つまり

n,kK

(

r

)

n,k

(

r

)

と同じ関数である。このように、同じ波動関数を指定するのに際し て、kの値は一意的に決まらず、逆格子ベクトル

K

だけの任意性がある。 そこで、

K

の差異を持たないすべての波数kの数およびその範囲について考えよう。その際、波数

k

k

0

を中心とする取り方が有用である。 そこで、波数

k

のとりうる範囲について考えよう。波動関数に、より厳しい周期的境界条件を課す。 3 2 1

,

N

,

N

N

a

1

a

2

a

3軸方向の単位胞(結晶を構成する最小単位の構成物のこと。これが縦・横・奥の3 方向に積み重なって、結晶が出来る。)の数とし、以下のような厳しい条件をとる。

参照

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