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第 2 回死因究明等推進計画検討会議事次第 日時 : 平成 24 年 11 月 16 日 ( 金 )14:00~17:00 場所 : 永田町合同庁舎第 1 共用会議室 1. 開会 2. 小平死因究明等担当大臣挨拶 3. 内閣府死因究明等推進会議事務局からの説明 4. 死因究明等の推進に係る施策の取組

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死因究明等推進計画検討会

第2回議事録

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第2回死因究明等推進計画検討会議事次第

日 時:平成 24 年 11 月 16 日(金)14:00~17:00 場 所:永田町合同庁舎第1共用会議室 1.開 会 2.小平死因究明等担当大臣挨拶 3.内閣府死因究明等推進会議事務局からの説明 4.死因究明等の推進に係る施策の取組状況等についてのヒアリング (1)警察庁 (2)文部科学省 (3)厚生労働省 (4)海上保安庁 (5)法務省 5.その他 6.閉 会

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1 ○安森局長 ただ今から、第2回死因究明等推進計画検討会を開催いたします。 初めに、小平大臣から御挨拶をいただきたいと思います。 ○小平大臣 皆さん、こんにちは。大変御多忙のところ、第2回の死因究明等推進計画検討会 に御出席をいただき、誠にありがとうございます。 前回の検討会では、検討会の進め方を決めた後に、各構成員から抱負や関心事項について御 発言をいろいろいただいたところでございますが、本日から本格的に死因究明等の推進に関す る施策についての検討が始まるわけであります。 本日は、死因究明等の実態及びその推進に係る施策の取組状況等についての説明が関係行政 機関からなされます。 死因究明等の実態については、今後、各種論点について調査・検討していく上での出発点と も言えるべき事項でありますので、その共通理解を深めていただいた上で、死因究明等の推進 に係る施策について、具体的有用性を十分に検証していただきたいと思っております。 本日の検討会におきましても、皆様方に活発な御議論を展開していただくことをお願い申し 上げまして、私の御挨拶とさせていただきます。 どうぞ、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。 (報道関係者退室) ○安森局長 ありがとうございました。 なお、小平大臣は公務のため、ここで退席されます。ありがとうございました。 (小平大臣退室) ○安森局長 本日、有本委員におかれましては、所用のため、遅れての参加となります。 また、死因究明等を担当されております金子内閣府大臣政務官に御出席いただいております。 ○金子政務官 よろしくお願いいたします。 ○安森局長 それでは、ここから川端座長に司会を引き継ぎたいと思いますので、川端座長、 よろしくお願いいたします。 ○川端座長 本日は御多用中のところ、お集まりいただきましてありがとうございます。 それでは、議事次第に基づいて進めてまいりたいと思います。 まず、安森事務局長から死因究明二法成立の経緯及び死体の取扱いの流れ等について御説明 をお願いいたします。 ○安森局長 それでは、お手元の資料の中にこうしたポンチ絵が入っていると思います。 これは、共通理解を得るために、事務局で概略図として作りましたもので、詳細な説明は各 省庁にお任せしたいと思っております。 全体の大きな死体の取扱いという意味でありますと、平成 23 年中では 125 万 3,000 人余が亡 くなられたというのが薄い水色の部分でございます。 その中で警察が取り扱う死体というものは 17 万 4,000 件ほどでありまして、十数パーセント でございます。

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2 そして、その横に点線で丸をつけておりますが、医療提供関連死と呼ばれる部分でございま す。 ただ、この医療関連死というものにおきましては、推進法の第 16 条により、政府で別途検討 するという仕組みになっておりますので、これは当面この会議において検討から外すというこ とでございます。 では、この警察が取り扱う死体、濃い青い部分でございますが、これがどう流れていくかと いうところで、まず、身元確認作業というものが、これはイメージでございますので、このあ たりから入ってくるというイメージでございます。 そして、これが分類されていきまして、一番左端は犯罪死体から始まり、検証・実況見分、 そして司法解剖へ流れていく。 もう一つは変死体として取り扱われて検視を受け、ここから流れはいろいろございますが、 司法解剖に行くもの、遺族へそのまま引き渡されるもの、または行政解剖へ回す、特に監察医 解剖が多いと思いますが、それになるものがございます。 そして、犯罪死体、変死体、それ以外の死体につきましては、死体見分を警察官が行いまし て、医師の立ち会いを求める場合もあります。そして、監察医解剖が主になると思いますが、 行政解剖に流れていくラインと、医師による検案を経て遺族等へ引き渡されるという流れにな ります。 そして、推進法と同時に成立しましたいわゆる死因・身元調査法の話でございますが、行政 解剖の一番右端のところに新法解剖と、この名称は勝手につけさせていただきましたが、平成 25 年4月から、このところに入ってくる解剖であろうと考えております。これがイメージでご ざいまして、第1回目のときに、この青い部分の流れを中心に御検討いただきたいということ の説明でございます。 続きまして、本二法の成立に至る経緯を簡単に御説明させていただきます。これは、資料は ございません。 1999 年ごろに、横浜市立大学の病院の事件、または都立広尾病院事件等いろいろな、いわゆ る医療事故等が発生しました。これで世間の注目が高まったところでございます。 2004 年になりますと、民主党議員による死因究明推進の検討が始まりました。 2006 年には、いわゆる福島県立大野病院事件、医師逮捕というものがあって、医療事故、警 察の関与についてマスコミが注目したところでございます。 そして、同年はパロマ事件が、事件としての表面化が始まったころでございます。 こうした流れの中、一つは警察の犯罪見逃し的なもの、そしてもう一つは医療関連死的なも のを踏まえまして、2007 年に民主党が死因究明法案を提出しました。法案の名前は、非自然死 体の死因等の究明の適正な実施に関する法律案というものが一つでございます。 当時考えられておりましたのは、「死因究明が適正に実施されることを確保し、もって死者 及びその遺族などの権利利益の擁護並びに公共の安全と秩序の維持に資する」という目的で作 られたものでありまして、司法解剖はそのままにして、今回新法で作られました警察署長権限

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3 の解剖みたいなものを創設しようと。そして、警察庁に非自然死体死因究明局を設置してはど うか。医療関連死は、この法案の検討から除く。そして、先ほどの表にもありましたが、当時、 検視という部分についてはなくすのはどうか、というような法案が出されたのでございます。 もう一つの法案が、法医科学研究所設置法案というものでございまして、内閣府に法医科学 研究所を置くといったものであります。 当時、この法案を作られた方の文書を読みますと、法的に完結するコロナー制度、イギリス 等であるのですが、こうしたものを念頭におきつつも、直ちにそこに移行するのは無理であろ う。ですから、当面は調査する側と法医の側の体制を充実強化し、その連携、共同作業で死因 を究明して、かつ情報提供、情報発信を充実させていくべきではないかという意向であったと 思われます。 この民主党の法案と前後しまして、時津風部屋の事件が発生したわけでございます。 2008 年に至りましては、厚労省、民主党のほうで、いわゆる医療提供死関連の委員会設置法 案なり大綱案が出されたという流れがございます。 2008 年の7月には、法務委員会委員による提言がございました。 概略をお話ししますと、「全死亡者に対して的確な死因の究明を実施する制度に改革すべき だ。当面の目標は法医の倍増であり、現行制度を前提に運用で改善できる部分は早急に改善す べきだ。審議会を設け、制度の改善と基盤整備に向けた具体的な検討を始める。短期間のうち に医療関連死検討との整合、各種解剖の検討、改革などの制度改革を行うべきだ」という提言 がなされたわけであります。 2009 年には、これは自公が中心でありますが、異状死死因究明制度の確立を目指す議員連盟 の提言というのが行われまして、ここで、「死因究明は最後の医療であり、公衆衛生、犯罪等 見逃し防止、正確な死因統計に資する」ものである。 検討項目としては、推進基本法の制定。 第2として、検視体制の充実、医師検案能力の向上。 第3として、法医育成センターなど人材養成拠点の整備。 4番としまして、ニュアンスは監察医的組織の全国整備でございますが、行政解剖体制の充 実。 5番として、死亡時画像診断の活用等とされたわけでございます。 2010 年には警察庁におきまして、犯罪死の見逃し防止に資する死因究明制度の在り方につい てという検討会が開始され、2011 年には提言にまとめられたわけであります。 2010 年6月に自公法案として、死因究明推進法案が提出されました。 こうした流れの中で、警察庁の検討会を終えた後、2011 年の7月に、犯罪対策閣僚会議にワ ーキングチームが設置され、今年の7月にまとめが行われた。それと同時に法案の検討が始ま りまして、本年の6月、二法案が成立したわけでございます。

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4 この二法案の成立は、先ほど御説明した自公の案、推進会議を置く、2年の時限とするなど 骨格は同じでありますが、そこに身元確認という大きなテーマを加え、そして全国機関の整備 という検討項目を第1項目に据え、そして、医療関連死を除いております。 今、長々と御説明させていただきましたのは、以上のような複雑なと言いますか、いろいろ 流れが相まった上で今回の二法案が成立したということでございます。 そこで、事務局として留意すべきと考えておりますのが、3点ほどございます。 死因究明の全体的な在り方はどうなるのだということでございますが、これは、参議院内閣 委員会の提案者答弁として、「今回の法案提出の中身においては刑事訴訟法との関係ではすみ 分けはされておりますが、推進会議では、これを前提とせず、この死因究明に関する法制度全 体について最もよい形を追求していただきたいと提案者は考えている。死因・身元調査法につ いても、現在の形を前提とせず推進会議で議論してもらいたい。」という提案者の説明があっ た上で、附帯決議が参議院の内閣委員会でつきまして、「死因究明等推進計画における制度改 正については、関連法制の見直しを含めた幅広い検討を行うこと」という形になったわけでご ざいます。 そして、第2点目といたしまして、基本法なる文言が出てまいります。これは、衆議院内閣 委員会の答弁において、「基本的には、死因究明推進法、2年間の時限的な法律の中で関係省 庁において体制を整備し、その後、死因究明基本法のような形で、さらに着実に達成できるよ うにしていこうという話であり、会議の中でどこまできめ細かく議論するかどうかは現在想定 できないが、その次の段階の基本法などの中で、専門家の意見を聞きながら、我が国における 死因究明の達成度を高めていく、また、予算との関係でより成果の高い対応をしていくことが 望まれる」という発言があったわけでございます。 同様に参議院のほうでは、「だらだらやっていては仕方がない、一堂に集まって集中的に議 論し、計画を立て実施していく、さらに、例えば基本法などでそれを引き継いで推進していく」 などという発言があったわけであります。 3点目、医療関連死の関係では、先ほど経緯を御説明しましたが、いわゆる自公の法案時点 では別扱いされていませんでしたが、今回は別扱いにされたということでございます。 こうした経緯をまとめていきますと、推進会議に求められている内容としまして、まず第1 には、現行制度を前提にして、先ほどポンチ絵でお話ししました青い部分を対象として、当面 でき得る、すなわち予算や運用改善でできる対策を早急に進めるべきだ、これがまず第一だろ うと考えております。 これは、ワーキングチームで既に進められた施策が中心であることから、大臣の御発言にも ありましたように、その施策が一時しのぎではなくて、将来的にしっかり有用性を持っている のかというのを十分この委員会で、まずは検討してもらいたいという御趣旨でございました。 実態を十分に踏まえて、その対策の検証を行って、不十分であるなら、さらにその提案をお願 いしたいというのが、大臣の御意向でございます。

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5 これを進めながら、順番としましては、人材の育成、次には体制・施設の整備、更に制度の 整備というふうに、できる限り早い段階で進めていきたいというのが事務局としての考えでは ございます。 先ほど申し述べましたが、この検討を進めていきながら、ある段階では、この2年の検討の 先をどうするのかという話が検討の一つとして挙がってくるだろうと思っております。医療関 連死のほうの検討も見ながら、名称はともかく基本法なる考え方も、先ほど御説明したとおり 出ておりますので、こうした点もある時点からは検討していただきたいということになると思 っております。 さらに、死因究明全体のあり方はどうあるべきかというのは、先ほど御説明しましたように、 提案者の説明、附帯決議を踏まえると、検討の一つに含まれ得るものと考えられます。ただ、 2年間でどこまでこれがたどり着けるかという問題はありますが、こうした点も含め本検討会 としては進めていただくべきものと事務局としては考えております。 その意味で、第1回目に御説明しましたように、こうした順序で進めていただきたいという ものを、これまでの経緯を踏まえて改めて御説明したというところでございます。 以上でございます。 ○川端座長 どうもありがとうございました。 今、事務局から御説明を受けたわけですが、何か聞きたいという点がございましたら、若干 時間がありますので、御質問をお受けします。 どうぞ。 ○今村専門委員 確認なのですけれども、今の御説明を聞いておおよそは理解できたつもりな のですけれども、できるだけ早く現在の仕組みの中で、濃い青色になっている部分のところを きっちり固めていく、その先には、全体の死因究明制度の議論もこの場でしていいという理解 でよろしいかということ。 もう一点、ここでは医療提供関連死と書かれていますが、厚生労働省のほうで、いわゆる医 療事故に係る検討もされているわけですね。そちらとの整合性ということについては、今度ど こで議論をすることになるのでしょうか。つまり、もう医療は別だから、それは厚労省のほう の検討に任せて、ここでは議論を一切しないということなのか、全体の枠組みをここで議論し ていいということになると、その部分も、いずれ厚生労働省の御検討と同時に、ここでも何か 議論するということになるのかどうか、そこをちょっと確認なのですけれども。 ○安森局長 事務局として考えておりますのは、第1点、青い部分から始まりまして、最終的 には全体のところを見るのではないかというのは、そのとおりだと考えております。 ただ、全体のことを先に始めますと、当面の対策が進まないということを理解していただく ために、先ほどの経緯を全て説明したところでございます。 第2点目、医療提供死関連においては、16 条で別途検討するとなっておりますが、ただ、死 因究明を推進していく基本計画を立てていくのだとしますと、その部分を全く入れずにこの計 画を立てられるのかという疑問は残っております。

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6 それで、ここは、提案者のどなたも明言していただいておりませんので、私どもの今の考え 方は、タイミングを見て、その検討状況もお呼びして聞きながら、できますれば、お尻がきっ ちり一緒になれば推進計画の中に定めていただくのが一番きれいな形だと考えております。た だ、それができるかどうかというのを今後見ながら、また、委員の皆様に諮っていくことだと 考えております。 今の時点では、以上でございます。 ○川端座長 最終的には、基本法をどうするかという問題も議論の対象になり得るということ でございますので、その時点で総合的な観点から御議論いただきたいと考えております。 それでは、ただいまの御説明を受けて、これから関係行政機関から死因究明等の推進に係る 施策の取組状況等についてのヒアリングを行ってまいりたいと思います。 なお、御質問等につきましては、関係行政機関からの発表が終わった後、まとめてお受けす ることといたします。 それでは、警察庁から御説明をお願いします。 ○警察庁 では、警察庁から説明をさせていただきたいと思います。資料の2ということで警 察庁資料をお配りさせていただいておりますので、これを御覧いただきながら説明を聞いてい ただければと思います。 資料は、パワーポイントの資料を2枚ずつプリントアウトされておりますので、右下のとこ ろに1、2、3と書いてあります。私が何ページを御覧くださいと申し上げましたときは、こ の番号のことでございますので、紙のページではなくて、ここに数字で書いてある1ページ、 2ページということで御覧いただければと思います。 それでは、3ページ目のところから御説明をしてまいりたいと思います。「1 死体取扱総 数の推移」と書いてあるものでございます。 先ほど事務局長からもお話がございました。我が国におきましては、不自然な死を遂げられ ました死体につきましては、まず、警察が現場に臨場いたしまして、死体の状況を調べるとい うことになります。 このように、まず警察が死体を取り扱うということになっておりますのは、何と言いまして も、この死体が犯罪に関係しているものではないかということを見極める必要があるというこ とがございます。 また、犯罪にかかわらないということになりましても、何らかの公共的な安全にかかわって いるのではないかというようなこととか、また、御遺体を確実に御遺族のもとにお返しすると いうようなこともございまして、それによりまして、関係者の方の安寧を図る、そういったよ うな全体的なことから、現在の仕組みといたしまして、警察がまず取り扱っているのだと理解 をいたしております。 そのようにして警察が取り扱っております死体数でございます。3ページの資料にございま すとおり、平成 14 年は 12 万 5,403 体でございましたけれども、昨年は 17 万 3,735 体というこ とで、この 10 年間で約 1.4 倍にまで増加をしてきておるということでございます。

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7 資料の4ページを御覧ください。これは、警察が取り扱うこととなりました死体に関する現 在の流れを示したものでございます。これにつきましては、ただ今事務局から御説明がござい ましたものと重なりますので、説明を省略させていただきたいと思いますけれども、それぞれ に数字を書きましたとおりの取扱いということになってございます。 このように死体を3つに分けておりますけれども、それぞれ取り扱います手続の関係でこの ようになっており、最初、現場に到着いたしましたら、いろいろ死体の状況を見てみましたり、 関係者の方からお話を聞いたり、そんな中でそれぞれの手続に入っていくということになって まいるわけでございます。 前回の検討の際に、1日ぐらいでこの作業をというようなお話もございましたけれども、私 どもといたしましては、御遺体がございましたときに、できる限り早く御遺族のもとに御遺体 をお返ししなければならないというようなこともございまして、なるべく早く関係の調査とい ったようなものも行いまして、御遺体を御遺族にお引き渡しをしておるということでございま す。当然のことながら犯罪の嫌疑があるというものを曖昧にいたすということはいたしておる わけではございませんで、当然、捜査や調査あるいは検査の結果、必要があれば速やかに解剖 をお願いいたしましたり、また、必要な調査を継続していくという形で対応しておるものでご ざいます。 それでは、次の5ページを御覧いただきたいと思います。 これは、警察が取り扱うことになりました死体に関する警察と医師との役割分担でございま す。警察が死体を認知いたしますと、警察におきまして外表の調査や関係者からの聴取、既往 症の照会等を行いまして、犯罪性の有無ということを判断してまいりますけれども、同時に医 学的な見地からの御助言をいただく必要がございますので、医師に連絡をいたしまして、検視・ 死体見分に立ち会っていただくこととなっております。 警察から連絡を受けました医師の先生方におかれましては、医学的な死因を判断するために 警察と情報共有をしながら検案ということを行っていただくことになっております。 埋葬、火葬の許可を得るのに必要な死体検案書は、そういうことで医師の任務と言いますか、 責任と言いますか、そういうことで作成をしていただいているものでございます。 このように、警察は犯罪性あるいは事件、事故性の有無ということ、また、医師は医学的な 死因をそれぞれ情報共有しながら判断しているというのが実務でございます。 資料の6ページを御覧ください。 これは、大変残念ながら、平成 10 年以降に発生いたしました見逃し等事案でございます。社 会的にも大きな注目を集めました、先ほど御紹介にもありました時津風部屋の力士傷害致死事 件を初めといたしまして、現在までに 45 件の見逃し等事案というものを把握いたしております。 この 45 件につきまして詳しく分析をいたしますと、死体取扱いの専門家であります検視官、 これにつきましては後ほどどういうものか御紹介したいと思いますけれども、2か月間の警察 大学校での専門的な研修を受けた検視・死体見分の専門家でございますけれども、これが現場 に臨場しないで、警察署の刑事課員のみで死体取扱いに当たったというのが 45 件のうち 35 件。

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8 また、犯行に薬物が使用されておりまして、簡易薬物検査キットを用いまして検査をしておれ ば犯罪死であることを見抜けた可能性があるものが8件、保険金目的の犯行でありまして、保 険金照会が行われていれば犯罪死であることを見抜けた可能性があるものが 12 件となってお ります。 また、45 件のうち解剖を行っていなかったものは 41 件ということでございます。 資料の7ページを御覧ください。 これは、参考までに諸外国における法医解剖の状況と我が国の状況とを比較したものでござ います。 我が国の異状死体の解剖率につきましては、平成 22 年中の数字でございますが、これは県に よりまして、かなりばらつきがあるのでございますけれども、平均しますと 11.2%となってお ります。 前回の検討会の際に岩瀬専門委員から御指摘のありましたスウェーデンでございますけれど も、89.1%と大変高い数値となっております。 ただ、異状死体として警察に届出がなされます死体の数というのが、また国によってまちま ちでございまして、スウェーデンの場合には 6,000 体程度ということで、我が国と比べますと 28 分の1程度であるというようなことも影響いたしておりまして、全ての死体の中で異状死体 として解剖されておるものの数ということで見てまいりますと、我が国でも監察医制度が置か れております地域であります東京都の 23 区内とか、あるいは大阪市内というのと同じくらいの 数ということになっておるところでございます。 また、司法解剖の割合で見ました場合には、我が国の場合は、これも県によってばらつきが ございますが、平成 22 年中、平均しますと約 4.1%でございましたけれども、スウェーデンで は、我が国の司法解剖に相当するかなという解剖でございますけれども、3.3%ということで同 じくらいの数字ということになってございます。 続きまして、以上の状況を踏まえました警察における犯罪死見逃し防止のための取組につい て御説明をさせていただきたいと思います。 9ページを御覧いただきたいと思います。 取組のその1でございますけれども、これは、検視官等の増員及び臨場率の向上でございま す。 検視官につきましては、都道府県の実情によりまして多少異なる部分もございますけれども、 原則といたしまして、警視の階級にある警察官で、警察大学校における法医専門研究科、これ は大学の法医学教室の教授等にお越しいただきまして講義をいただきましたり、警視庁での検 視の研修あるいは法医学教室におきまして実務研修等をやらせていただいております約2か月 間のプログラムでございますが、これを修了いたしました警察官であって、かつ刑事部門にお ける 10 年以上の捜査経験を有する者のうち、検視・死体見分に係る法令・実務等に精通した者、 あるいは警部補以上の階級における強行犯捜査、検視・死体見分又は鑑識に関する4年以上の

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9 経験を有する者のいずれかに該当する者から選抜をされました検視・死体見分の専門家でござ います。 また、検視官の業務の効率性を高めるとともに、検視官の計画的な育成を図る観点から、原 則として警察署における死体取扱業務に従事したことのある警部補又は巡査部長の中から選抜 した補助者というものを検視官と一緒に業務に従事させております。 先ほど犯罪死の見逃し等事案 45 件のうち 35 件が検視官が現場に臨場していなかったと申し 上げましたが、見逃し防止のためには、こうした専門家であります検視官ができる限り多くの 現場に臨場し専門的な見地から犯罪性の有無について判断することが有効であることから、警 察庁におきましては、検視官及びその補助者について平成 21 年度以降、順次増員を図っており ます。資料の 10 ページにございますとおり、平成 20 年度に全国で 160 名でありました検視官 は、本年度には 304 名となっており、また、平成 20 年度に全国で 169 名だった検視官補助者は、 本年度には 520 名ということになっております。 こうした増員の効果といたしまして、次の資料の 11 ページを御覧いただきたいと思いますが、 平成 20 年には 14.1%でありました検視官の現場への臨場率でありますけれども、平成 23 年に は 36.6%まで向上いたしました。 警察といたしましては、臨場率を 50%には持っていきたいと考えており、更なる体制の増強 等に努めているところでございまして、平成 25 年度の要求におきましても検視官 24 名、補助 者 48 名の計 72 名の増員要求を行っているところでございます。 資料の 12 ページを御覧ください。 検視官及びその補助者の増員と併せまして、死体取扱業務に従事する警察官の知識、能力の 向上を図るため、教養の充実強化にも努めております。 まず、警察大学校において実施している検視官やその候補者を対象とした約2か月間の法医 専門研究科でございますが、検視官の増員に伴いまして、年間の受講枠の拡大を図っておりま す。 また、関東管区警察学校及び近畿管区警察学校において実施しております、検視官の補助者 や、その候補者を対象といたしました約3週間の検視実務専科につきましても、年間の受講枠 の拡大を図っております。 このほか都道府県警察におきましては、検視官やその補助者以外の一般の警察署の刑事課員 を対象とした検視や死体見分に係る教育訓練にも努めているところでございます。 資料の 13 ページを御覧ください。 取組のその2でありますけれども、装備資機材の整備・活用等であります。 先ほど御説明申し上げたとおり、検視官の現場への臨場率の向上に努めているところではあ りますが、どうしても検視官が現場に臨場することができない場合もございます。 そこで、現場と検視官とをリアルタイムの映像で結び、検視官が的確な指示をすることがで きるよう、検視支援装置の整備を図っているところであります。

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10 検視支援装置につきましては、平成 23 年度以降、5か年計画により整備を進めているもので あり、平成 25 年度予算の概算要求におきましても補助金、警察の補助金は2分の1の補助とい うことで国費を半分入れまして、残りは県費で手当てをするわけでありますけれども、これで 3,300 万円を要求しているところでございます。 そこに写真がございますが、現場とありますが、これは死体を見ておるものでございまして、 ちょっと見づらいのですが、マイクと右の耳のところにコンパクトなカメラがついておりまし て、これで現場の警察官が御遺体を見ながら状況を報告しますと同時に映像が送れまして、本 部なりに詰めています検視官はパソコンで映像を見ながら、あと音声を聞いて、そこのところ がこうだから、こうじゃないのかということでアドバイスをしたりしておるものでございます。 また、検視官が臨場いたすために必要な検視官用車両でございますが、これも全国で 221 台 を整備いたしまして、検視官の移動手段の確保に努めているところでございます。 続けて、資料の 14 ページを御覧ください。 警察庁におきましては、犯罪死の見逃しを防止する上で、簡易薬物検査キットの積極的な活 用を図るための予算措置を進めており、平成 25 年度予算の概算要求においても、国費として 5,100 万円を、補助金として1億 1,600 万円を要求しているところでございます。 また、死体を傷つけることなく、内部の骨折、出血状況等を明らかにすることができる CT 検査につきましても犯罪性の有無を判断する上で極めて有効な手段であることから、平成 25 年度予算の概算要求においても国費として 5,100 万円、補助金として 300 万円を要求している ところであります。 そのほか、CT 検査には及ばないものの、胸・腹腔内の出血状況等を確認するための一助とし て、死体内部の画像を撮影することができる携帯エコーを全国に整備したほか、身元確認に必 要な歯科所見を得るためにポータブルデジタル X 線装置も全国に整備したところでございます。 資料の 15 ページを御覧ください。 取組のその3は、解剖の充実に向けた取組であります。警察が取り扱う死体のうち、犯罪の 嫌疑が認められるものについては司法解剖、それ以外の場合でも必要があるときは行政解剖、 これは承諾解剖でありましたり、新法が施行されますと新法の解剖ということになりますが、 こういったようなものをそれぞれ実施することとなりますが、警察庁におきましては、司法解 剖の経費について、平成 25 年度予算の概算要求におきまして、本年度よりも増額をし、国費と して 15 億 6,600 万円を要求しているところであります。 また、平成 25 年4月1日から「警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律」 が施行され、犯罪捜査の手続が行われる死体以外の死体について、被害の拡大、再発防止等の 措置を講ずる必要があるかどうかを判断するために特に必要があると認めるときに行います解 剖でございますけれども、その解剖の実施に要する経費といたしまして、平成 25 年度の概算要 求におきまして、新たに補助金として1億 5,600 万円を要求しているところでございます。 このように解剖に要する経費の充実を図っているところでございまして、必要な解剖が確実 に実施されるよう努めているところでございます。

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11 資料の 16 ページを御覧ください。 取組のその4は、医師・歯科医師との連携であります。死体の死因または身元を明らかにす るためには、医師・歯科医師の方の知見が不可欠であることから、医師・歯科医師との連携は 極めて重要なものであります。 通常、検視や死体見分には警察医の先生に立ち会いをお願いすることとなりますが、法医学 に関するより専門的な見地から助言をいただくために、19 都道県におきましては、大学法医学 教室に在籍する医師に検視・死体見分への立ち会いに御協力をいただいておるところでござい ます。 また、各都道府県警察において判断の難しい事案等に関し、警察と警察医とで認識の共有を 図るため、警察医会、地元医師会等との合同研修を実施するとともに、災害時の身元確認方法 等に関し、警察と歯科医師とで認識の共有を図るため、地元歯科医師会との合同研修を実施し ているところであります。 17 ページを御覧ください。 取組のその5は、死体関連初動捜査力の向上であります。殺人事件の中には、巧妙に偽装さ れた保険金目的の犯行もあり、不自然な生命保険の加入状況を調査することは、犯罪死の見逃 しを防止する上で、極めて有効なものであります。 従来は、生命保険協会を通じて各生命保険会社に保険加入状況を照会することとなっており、 照会の回答を得るまでに時間を要することもありましたが、平成 25 年度からは、生命保険協会 が警察からの照会に一元的に対応する制度が構築される予定であり、回答をより迅速に得るこ とが可能となります。 警察庁においては、照会手数料として平成 25 年度予算の概算要求において、新たに補助金と して 200 万円を要求しているところであり、生命保険加入状況の積極的な照会に努めてまいり たいと考えております。 以上、予算等に関連する取組について御説明いたしましたが、犯罪死の見逃しを防止するた めには、何よりも関係者からの事情聴取、現場の状況の調査等の環境捜査・調査を徹底するこ とが重要であり、これをしっかりとやっていくことは当然のことでございまして、こういった ことにつきましても、過去の事例や、難しかった事例などを関係者で共有しながら取り組んで きておるところでございます。 以上、主として死因を明らかにするための措置に関する取組でありますが、資料の 18 を御覧 いただきたいと思います。 これは、身元確認の高度化のための取組でございますが、通常、死体の身元確認については、 死体の外見や所持品からなされることとなりますが、こうした手法からの身元確認が困難であ る場合には、DNA 型の対象や歯科所見の照合が極めて有効となります。 現在も個別の事案ごとに必要に応じて DNA 型や歯科所見を活用しておりますが、先ほど申し ました「警察等が取り扱う死体の死因等の調査に関する法律」にも、身元確認のための DNA 型 の対照に必要な資料の採取についての規定が設けられたところであります。

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12 今後、より効果的な身元確認作業を可能とするため、身元不明死体の情報と行方不明者の情 報を保管・対照する現行制度に、DNA 型及び歯科所見の情報を付加することについて検討を進 めているところでございます。 さらに、犯罪死の見逃し等事案の絶無に向けました今後の課題につきまして、簡単に御説明 をさせていただきたいと思います。 資料の 20 ページ、最後のところを御覧いただきたいと思います。 その1つは、死体関連初動捜査の徹底であります。先ほど申しましたとおり、現在もこのこ とにつきましては努力をいたしておるところでございますけれども、引き続き、検視官の現場 への臨場率の向上に努めるとともに、関係者からの事情聴取、裏付け捜査、各種照会等の徹底 を図り、不審点を残すことのないように、死体関連初動捜査を徹底していくということが大き な課題であろうと考えております。 その2つは、医師との連携であります。警察における死因究明を推進するためには、医師に よる医学的見地からの助言が不可欠であるとともに、「警察等が取り扱う死体の死因又は身元 の調査等に関する法律」の施行に当たっても、原則として医師に検査を行っていただくことと なることから、いかに医師の方に御協力いただくかは、極めて重要な課題であります。 しかしながら、現在、警察に御協力をいただいている立会医師の多くは、臨床医としての診 察業務の傍らで立会業務に従事していただいているものであり、本来、この分野の御専門では ない医師の方に御負担をおかけしているというところもございます。こうした状況を踏まえま して、立会医師の法医学的な知識・能力をいかに向上させていただくか、また、立会医師をい かにして確保していくかということが、現場におきまして重要な課題となっております。 その3つは、解剖受入れ体制の整備でございます。司法解剖、そして監察医制度のない地域 及び茨城県のほかは、行政解剖も現在は大学法医学教室にお願いしておりますが、教授が空席 となっている場合もあるほか、法医学教室の体制や教授の方針等によって解剖の受入れ状況に 差があるのが現状でございます。 必要な解剖を円滑に実施するためには、解剖の受入れ体制の整備も課題であると考えている ところでございます。 警察庁からの説明は、以上でございます。 ○川端座長 どうもありがとうございました。 続きまして、文部科学省、お願いいたします。 ○文部科学省 引き続き、文部科学省から御説明をさせていただきます。お手元の資料3をお 願いいたします。 文部科学省からは、基本的に大学の医学部、歯学部におきます教育実態につきまして御説明 をさせていただきたいと存じます。法医の先生方もいらっしゃいますので、行政的に把握して いるデータを中心に御紹介させていただきます。 まず、最初に2ページでございますけれども、基本的に医学部の卒前教育の中で、カリキュ ラム上どういう位置づけになっているのかということを御説明させていただきます。これは、

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13 医学教育モデル・コア・カリキュラムというものがございまして、全ての医学部共通に学ぶべ き内容を到達目標の形でお示しをしているものでございます。 その中の社会医学的な項目の中に「死と法」という項目がございまして、一般目標としては 「異状死体の検案について理解する」となってございます。 そして、到達目標としては、御覧いただくように1から5ということで、異状死についての 説明ができる、あるいは異状死体の取り扱いと死体検案について説明できる等々の到達目標が 掲げられているという状況でございます。 各大学は、このモデル・コア・カリキュラムの到達目標を踏まえて、それぞれの大学で教育 が行われているという状況でございます。 3ページでございますが、今度は、大学で実際に警察等から委託を受けて行っております、 司法・行政・承諾解剖の実施件数、これは 23 年度のデータをお示ししてございます。 これは、国公私立トータル 79 大学でございますけれども、その中で実施をしている大学数と、 実施件数ということで御覧いただいているものでございます。 これも当然でございますけれども、例えば都道府県に医学部が1つしかないところと、例え ば東京都のように監察医務院があり、あるいは複数の医学部があるところ、大学の立地によっ て状況が異なりますけれども、トータルとした数字を見ていただいてございます。 1つポイントを申しますと、司法解剖のところで丸が打ってございます、8,591 件というこ とでございますけれども、これは 22 年度から 216 件増加しているということで、近年の増加傾 向ということが 1 つ申し上げられようかと思います。 4ページでございますけれども、そういった解剖についてどういう体制で実施をしているの かという数字を見ていただいてございます。 これは、上に書いてございますけれども、今、医学部を置く国公私 79 の大学全てに法医学に 関する講座が設置されているわけでございますけれども、そのトータルとして足し上げた国公 私立の教員のうち医師・歯科医師、医師・歯科医師以外ということでお示しをしてございます。 その次の欄が大学院生ということで、研究生を含めます大学院生の数でございます。そして、 一番右側が技術職員等、解剖の補助をされる職員の方々の数ということでございます。 トータルの数がありまして、それを 79 大学で割ってみると、1大学当たりどのくらい平均か という数字を見ていただければと思いますけれども、例えば医師である教員の数 1.91 人という ことで、平均すれば2人にも満たない人数で解剖を実施していただいているという状況でござ います。それで、大学院生も御覧のような数という形になってございます。 下の5ページでございますけれども、解剖を実施している医師免許を持っている教員等の数 の推移を平成 20 年から 24 年までの数字でお示しをしてございます。 一番上が教員の常勤の数でございます。その下の緑色が教員以外の常勤職員の数、それから 一番下が大学院生ということでございます。 これを見ていただきますと、教員以外の職員数は若干伸びてございますけれども、教員、そ れから大学院生の数については、ほぼ横ばいといった数字でございます。

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14 そういった状況を踏まえて、6ページでございますけれども、これは、きょうの配付資料に も別途配付がなされておりますけれども、日本法医学会から、こうした各大学の法医学教室の 状況を踏まえた御提言をいただいてございます。その中で関連した重要な部分を抜粋させてい ただいてございます。 赤字のところを御覧いただければと思いますけれども、法医解剖は増えていますけれども、 やはり今の状況では法医学教室のかなり献身的な努力によってどうにか維持されているという ことでございます。 2番目の丸でございますけれども、解剖件数が急激に増えたということに対する状況の改善 がなかなか見られていないということで負担が大幅に増大しているということで、特に懸念さ れることとして、大学職員に本来求められる教育、研究等の職責が十分に果たすことが困難な 状況にあるということでございます。 さらに、現在期待されている新しい解剖、更にこれ以上の解剖の件数を受けとめなければい けないわけでございますけれども、そういった対応というのがなかなか困難になるのではない かということでございます。 そういったことを踏まえると、死因究明を担う機関の必要性あるいは現状を改善する新しい 積極的な方策ということが必要不可欠であるという御提言をいただいているということでござ います。そうしたことで、こうした法医学教室の状況を踏まえながら、どう改善していくのか ということを考えなければいけないわけでございます。 7ページでございますけれども、これは、今、そういう意味で厳しい状況の中ではございま すけれども、各大学それぞれ工夫していただいて、法医の人材を養成するための特別な教育コ ースを設けていただいてございます。6つほど各大学の例を御紹介してございます。 これも各大学によってやり方が違いますけれども、共通して言えるのは、できるだけ医学部 の早い段階で法医について関心を持っていただけるような機会を設けている点でございます。 そうした学生については、いろいろな特別なサポートをして、何とか大学院まで進んでいただ いて、法医人材を養成しようということで、いろいろな取組が始まっているという状況でござ います。 その例を8ページ、9ページで御紹介をさせていただいてございます。8ページが山口大学、 9ページが長崎大学のコースでございます。いずれも平成 22 年から始まっているコースでござ います。 例えば山口大学でございますと、これは法医だけではないのですけれども、法医に特に重点 を置いていただいているということです。 それから、例えば履修期間で言うと、学部の4年から6年の前期と大学院の1年から3年、 6年間ということで見通した形のコースを設けているということでございます。 コースとしては、授業期間内に週5回、配属先の講座、例えば法医を選んだ方で言うと法医 の講座で研究指導を受ける、あるいは早い段階で論文や学外研修の機会を与えるということで、 興味関心に応えるような教育をしていくということです。

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15 さらに5、6で書いてございますけれども、そういったコースを選ぶ学生については、一定 の優遇措置、場合によっては奨学金を貸与してインセンティブを与えるというコースを設けて いるというものでございます。 長崎大学でございますけれども、こちらは全ての法医解剖、大学における事例でございます とか検案事例、損傷部分の御遺体の3次元の画像化、そういったことで資料を蓄積する取組で ございます。この資料を基に死因究明の専門医の養成システムを開発したいということで取り 組んでいるということでございます。 次のページでございますけれども、10 ページ、11 ページは、法医学に関係するセンター等の 設置状況、これも本年5月に文部科学省で各大学に調査をお願いしまして、そのデータでござ います。例えば、法医学に関係する Ai センター等の設置の状況については、7大学で設置され ているということ、さらに2大学が設置予定であるということでございます。 それから、例えば法医学講座において、死亡時の画像診断を活用した専用の機器を導入して いる大学、これも本年の調査から抜粋をさせていただきました。 次に第2番目として、歯科法医学に関する教育の現状でございます。13 ページでございます。 これも医学と同じように、歯学につきましても、モデル・コア・カリキュラムが定められて ございます。 平成 22 年度の改定版を見ていただいております。22 年度の改定で大きな特色としては、そ の下の B―2―3、歯科による個人識別についての記述が初めて取り入れられたということで、 一般目標としては歯科による個人識別の重要性の理解、到達目標としては、今、見ていただい ているようなことをカリキュラムとして定めたという状況でございます。 次のページをお願いいたします。 歯科法医学に関する講座等の設置状況でございます。歯科法医学に関する講座の設置は、歯 学部を置いております 29 学部中7学部が設置をしているという状況でございますけれども、一 方で、15 ページで御覧いただけますように、歯科法医学講座に所属する教員の数等でございま すけれども、これも御覧いただいているとおり、常勤教員数が横ばいでございますし、大学院 生数は減少しているという傾向でございます。 16 ページでございますけれども、歯科法医学講座に所属する教員数等でございます。これも 先ほどの医学部の場合と同じようなデータの作り方をしてございます。 例えば、歯科医師である教員について見ていただきますと、1大学当たり 2.29 人ということ で、やはり同じように体制としては厚いとは言えない体制でございます。 これも先ほどと同様でございますけれども、17 ページは歯科法医学に関するセンターを設け ている大学でございます。2大学設置をしているということと、朝日大学が来年4月に歯科法 医学のセンターを設置する予定であるということでございます。 次でございますけれども、今後の法医学人材養成のための取り組み、方向性でございます。 19 ページにお示ししてございます。

(18)

16 上が、先ほど御紹介がございました死因究明二法の関係の抜粋でございます。その中でも、 やはり例えば薬物、毒物の検査、死亡時画像診断の活用等、新しい医学の進歩、発展に対応し た法医学教室の教育の充実ということが求められているわけでございます。 そうしたことを踏まえて、今後の方向性としては、死因究明のこういった高度化に対応する ための法医学教室の教育の充実を考えていかなければいけないということで、具体的には、こ うした法医学教育の充実に必要なエビデンスを収集しなければいけない、整理、分析をしなけ ればいけないということでございます。 さらに、これを基にしたテキストや教材あるいはマニュアル等を作成していかなければいけ ない、そういったことで新しい法医学人材の養成をしていかなければいけないという状況でご ざいます。 20 ページは概念図でございまして、今、お示ししたような新しい課題に対して、こうした形 での取組が求められているのではないか、そういう意味では、さまざまな観点から充実が求め られているということでございます。 一方、21 ページを御覧いただければと思いますけれども、そうした法医学人材養成について の課題はどうなのかということで、本年の5月に、各大学の法医学教室にアンケートをさせて いただきました。その結果でございます。 なぜ法医学を担う人材が増えないのかという質問に、3つ選択していただきました。やはり 一番大きな要因として挙げていただいたのが、法医に関する将来の就職先、ポストがないとい うことが多く挙げられてございます。 次に、収入面でほかに魅力的なキャリアがある、あるいは研究体制がまだ不十分だという指 摘がございました。やはりそういったことで、法医学に進む優秀な若手の医師に対するインセ ンティブあるいは将来の就職先ということを考えていく必要があるという結果でございます。 22 ページは省略をさせていただきまして、今後の法医学人材養成のイメージ図ということで、 23 でお示しをしてございます。これも今申し上げたことと重なる部分でございますけれども、 やはり、優秀な若手の医学生の方々に魅力的なキャリアパスをどう提示できるのか、そのあた りを考えていかないと、必要な人材に大学院に進んでいただく、あるいは更に将来の専門を選 んでいただくということがなかなか難しいという状況でございます。 24 ページに、文部科学省としての予算の取組を御紹介させていただいてございます。平成 25 年度の概算要求でございますけれども、大きく2つ事項がございます。 1つは、国立大学に対する運営費交付金の中で、特別経費という、特に政策的に重要な経費 については特別な措置をしてございます。その中で御覧いただいているような3つの大学に対 して、先ほど御紹介したような法医学の養成プログラムについて特別に予算措置をしてござい ます。東北大学、長崎大学、それから、東京医科歯科大学については、法医学・法歯学に関す る医科歯科融合型の新しい構想ということを念頭におきながら学生を育成するということで取 組を始めていただこうということで、これは 25 年度の概算で要求をさせていただいてございま す。

(19)

17 これは、例えば大規模災害時の身元不明者の識別ということで、デンタルチャートというこ とも含めて教育をしていきたい、研究をしていきたいということで要求をさせていただいてご ざいます。 24 ページの一番下の(2)でございますけれども、これは、今年度に継続した要求でござい ます。実は本年度から、法医学だけではございませんけれども、基礎の分野に進みたい、基礎 研究医の養成の優れたプログラムを持つ 10 大学を選定して支援をしてございます。 そのリストは、25 ページに 10 の大学が挙げられてございまして、その中の右側に、大学で ねらいとして養成する専門分野ということでございます。4大学は、法医学というのをその中 に含めて明示していただいてございます。例えば札幌医大については、死後画像診断力のある 死因究明医養成プランという形でプログラムを組んでいただいております。これは、本年も選 定されて事業が始まってございますので、継続支援の予算を要求させていただいているという ものでございます。 最後まとめということで、28 ページを御覧いただければと思っております。 大学におけます法医人材の養成ということで言えば、1つは、今、御紹介申し上げました、 これから高度化する法医の養成に応えるということで、どういう形で学生を養成していけばい いのか、教育のプログラムをしっかり開発して、開発したプログラムは全ての大学にその成果 を提供させていただいて、全体のレベルアップを図るということが大切であろうということで、 来年度についても概算要求をさせていただいてございます。 もう一方では、そうした各大学の取組、できるだけ意欲のある学生に来てほしいという取組 に対して、そうした学生が活躍できる場、あるいはそういった学生が将来法医を進路として選 んでいただくようなインセンティブをどう付与するのかと、そこがある意味では一番大きな悩 みであり、工夫をしなければいけないところだと存じております。 これは、大学も努力をいたしてございますけれども、一方で法医が活躍できる就職の場とい うことで、1つは、先ほどの御提言にあるような全国的なそういった研究機関ということも大 きな要因だろうと思いますし、どういう形で法医の活躍の場あるいはインセンティブを付与し ていくことを検討していく必要があると思います。 一方で、大学も努力しているということを申し上げましたけれども、今、大学の医学部自体 も、教育、研究、診療で、大変な負担がかかっているところでございます。地域の医師不足と いうこともございますし、新しい医学、医療への対応ということもございます。 そういった中で、各大学、医学部附属病院、相当疲弊しながら努力をしているということが ございます。 その中で、どこまで負担をかけられるのかということもございます。そういう意味では、そ ういった大学の自主的な努力とは別の形でどうインセンティブを付与できるのかということも、 ぜひ御検討いただければと考えているところでございます。 文部科学省からは、以上でございます。 ○川端座長 どうもありがとうございました。

(20)

18 続きまして厚生労働省、お願いいたします。 ○厚生労働省 資料をお配りしております、1枚めくっていただきまして、下のところからで ございます。死体解剖保存法の概要ということで、死因究明に関して厚生労働省として所管し ている法律について概要を述べさせていただいております。 この死体解剖保存法は昭和 24 年に制定された法律ですけれども、この目的として書いてあり ますのは「死体の解剖及び保存並びに死因調査の適正を期することによって公衆衛生の向上を 図るとともに、医学(歯学を含む)の教育又は研究に資することを目的とする」ということで 定められている法律でございます。 この法律制定の経緯を御説明しておきたいと思います。日本におきましては、伝統的に死体 尊重の考え方が強く、その損壊とか遺棄といったものについては死体損壊罪というものをつく って、刑法の保護法益としてきたところでございます。 そうした中で戦前には、医学の教育、研究のために解剖を行うときには刑法の死体損壊罪は 成立しない、こういった制度がございました。これが終戦直後、伝染病だとか中毒、こういっ たことで死亡する方が大変多い状況でございました。特に当時は、自宅で亡くなる方が8割く らい、病院等でお亡くなりになる方は2割もいないという状況で、全く今と状況が逆転してお ります。今は8割くらい病院等で亡くなるという状況でございますが、そういった終戦直後の 伝染病なり中毒、こういったものが蔓延した中で、やはり死因の究明をする必要があるという 観点から、監察医という制度が設けられまして、この監察医における解剖におきましても死体 損壊罪の保護法益から外そうということで制定されたものでございます。 こういった戦前からの制度と、戦後のそういった公衆衛生の観点からあわせまして、昭和 24 年に死体解剖保存法というのが制定されたということでございます。 中身でございますが、2つ目と3つ目のところで「死体の解剖を行う者」ということと、そ れから「解剖を行う際の遺族の承諾」と書いてありますが、これは、整理が余りしっかりでき ていなくて申しわけないのですが、死体解剖保存法の大きな枠組みというのは4つございます。 1つの大きな枠組みが死体解剖についての規制を設けております。その規制の中身が、上の2 つにあります許可と遺族の承諾ということなのでございますが、これが大きな枠組みになって おります。 2つ目の大きな枠組みとして、監察医の制度を設けております。 それから、ここに書いておりませんけれども、あと2つというのは、大学等に引き取り者の いない死体を交付するという仕組みと、それから、死体の保存に関する規制ということで、死 体を標本として保存するといったような場合の保存に関する規制措置を設けております。 そうした大きな4つの中で、今回の死因究明に関する制度として御説明をしたいのが「死体 の解剖を行う者」というのと「解剖を行う際の遺族の承諾」という規制の話と監察医の制度で ございます。 それで「死体の解剖を行う者」というところに書いてありますが、これは基本的には、解剖 を行おうとする者は事前に保健所長の許可を得る必要があるという規制になっております。

(21)

19 その例外規定がありまして、医学に関する大学の解剖学、病理学または法医学の教授等や監 察医等が解剖する場合には保健所長の許可は不要、こういう制度になっておりますが、これは もう少し中身を御説明したいと思います。 基本的には保健所長の許可に付しているわけですけれども、許可をする際には、これは法律 の目的に書いてあるものですが、公衆衛生の向上又は医学の教育、研究のために特に必要があ ると認められる場合にのみ与えられるというような制限になっております。 要するに、公衆衛生と研究の必要があるときは許可をしますという仕組みになっておりまし て、ただし、次の場合には許可が不要ですということで言っております。 その許可が不要であるという場合、ここに幾つか挙げていますけれども、法律上では6つ掲 げられております。 1つは、死体の解剖に関し相当な学識を有する医師で厚生労働大臣が認定した者ということ でございます。これは、医療行為をやっていて亡くなったといったときに、死因究明、それか ら研究のために病理解剖をする必要がある場合に解剖するといった場合には、認定を受けた医 師の方々は許可が要らないということでございまして、こういった医師、累計で今、8,000 人 くらい認定を受けております。こういった場合には許可は要らないということでございます。 2番目の大きな例外措置というのが、医学に関する大学の解剖学なり法医学の教授又は准教 授が解剖する場合には不要であるということでございます。 3番目が、監察医による解剖。 4番目が、刑事訴訟法の規定による解剖。 5番目として、これは中毒等の解明に資するものでございますが、食品衛生法上の規定によ って解剖する場合。 6番目として検疫法、これは伝染病等によって必要に応じて解剖する場合には不要だと、こ ういう仕組みになっております。 こういう仕組みの中で、解剖を行う際の遺族の承諾ということで、その際でも承諾が必要で あるということが決められています。しかし、承諾を受けなくてもいい場合ということで列記 されておりますが、これがここに書いてございます、死体の引き取り者のない場合、それから 監察医の解剖の場合、これは許可基準に準じていますけれども、あと、刑事訴訟法、食品衛生 法、それから検疫法の規程に該当する場合ということで列記されておりまして、一番最後に警 察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律ということで、先日、成立しました 法律に基づく解剖についても遺族の承諾は不要ということで追加をされてございます。これが 1つ大きな仕組みになっております。 それから、2番目の仕組みとして監察医という制度がございます。この監察医については、 次のページを開いていただきたいと思います。 監察医の仕組みですけれども、枠の中の黒丸の上のところで死体解剖保存法第8条というこ とで規定されております。政令で定める地を所管する都道府県知事、政令として今、定められ ていますのが、2番目の黒丸です。そこに書いてありますけれども、東京都の区の存する区域、

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20 大阪市、横浜市、名古屋市及び神戸市ということで5地域指定されておりますが、この政令で 定める地を管轄する都道府県知事は、その地域内における伝染病、中毒または災害により死亡 した疑いのある死体、その他、死因の明らかではない死体について、その死因を明らかにする ために監察医を置き、これに検案させ、または検案によっても死因の判明しない場合には解剖 させることができる、こういう規定になっております。 この規定に基づきまして、この5地域において現在監察医が設置されているところでござい ます。 その中身は、この下に書いてありますとおりでございまして、東京都におかれては、常勤の 医師 12 人、非常勤の医師 49 人という体制で、年間検案としては1万 3,937、解剖としては 2,624 という数字で実施をしていただいています。 その際、解剖の際の費用負担について一番右側に書いてありますが、東京都の場合について は、検案・解剖とも公費負担ということで実施をされております。 あと、下の各地都道府県の関係のところをごらんになっていただきたいと思いますが、実態 としては、東京都のように全額公費負担でやっているところと、神奈川県のように費用を取る ところ、それから件数としても、東京、神奈川、愛知県、兵庫もやっておりますが、それなり の件数の解剖等を実施しているところと、名古屋のように件数が非常に少ないものということ で、運用についてはかなり地域の実情に応じて差異があるという状況でございます。 次のスライドに行きまして、厚労省におきまして、死因究明等の体制の充実に向けた支援と いうことで、いろんな予算措置を講じております。主なものを7項目挙げておりますけれども、 1番目の診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業ということで、これは、冒頭いろいろ 議論もありましたけれども、診療関連死において、その原因究明のための体制整備と言います か、モデル的に診療行為との因果関係の有無とか、再発防止のための検討を行うためのモデル 事業、研修事業等を実施しております。 2番目の項目として異状死死因究明支援事業ということで、これは、まさに監察医制度がな い地域、先ほどの5地域以外のところで異状死に関連する死因究明のための取り組みを行って いる自治体に対する補助事業ということで、3年ほど前から実施している事業でございます。 これは、死因究明ということで非常に関心が高くなっているという観点から、厚労省として も立ち上げた事業ということでございます。 あとは、画像診断等のシステム事業とか、幾つか講じております。 その関連として、7番目、一番下に記述しておりますのが、歯科診療情報の標準化に関する 実証事業ということで、個人識別のための電子カルテで保有する身元確認の際に歯科診療情報 の標準化という方法を踏まえて、モデル事業として始めてみようということで、来年度の予算 要求で新規に要求しているものでございます。 今の予算事項につきまして、個別の幾つかのものについてはもうちょっと詳しいものをつけ ておりますが、これはまた必要に応じてごらんいただきたいと思います。 私からの説明は、以上でございます。

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