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市民による継続的な まちづくり活動に対する支援の研究

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平成27年度修士論文

市民による継続的な

まちづくり活動に対する支援の研究

弘前大学大学院 教育学研究科 教科教育専攻 家政教育専修

住居学分野14GP227 髙森 えりか 指導教員 北原 啓司

(2)

目次

Ⅰ.序論

第1章 はじめに

1-1.研究背景及び目的・定義・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 1-2.研究対象・方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6

Ⅱ.本論

第2章 弘前市市民参加型まちづくり1%システムの検証

2-1.1%システムとは・検証方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 2-2.公開プレゼンテーション・審査会分析 ・・・・・・・・・・・・・・・14 2―3.事業報告書分析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36 2-4.制度見直し委員会分析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48 2-5.事務局・審査委員・団体へのアンケート調査・分析 ・・・・・・・・・57 2-6.1%システムの分析まとめ‐1%システムの課題と方策の必要性‐ ・・90

第3章 先行事例からみる方策

3-1.先行事例の分析方法について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 94 3-2.行政と市民の協働を支える方策・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 97

(岩手県北上市:北上市役所といわてNPO-NETサポート)

3-3.財政支援・人材育成支援を両立する方策・・・・・・・・・・・・・・ 115

(北海道札幌市:札幌市役所によるさぽーとほっと基金)

3-4.地域密着型の中間支援組織によるコミュニティビジネス支援方策・・・ 136

(新潟県村上市:都岐沙羅パートナーズセンター)

3-5.連携を促す、裾野を広げる、助け合うための交流創出・・・・・・・・ 155

(東京都世田谷区:一般社団法人世田谷トラストまちづくりによる まちづくり交流会)

3-6.事業計画から審査、実施、継続、自立へ共に走る伴走型支援の方策・・・169

(東京都世田谷区:公益信託世田谷まちづくりファンド

「キラ星応援コミュニティ部門」) 3-7.先行事例における方策まとめ‐支援の共通項とは‐・・・・・・・・・ 189 第4章 弘前市での継続的なまちづくり支援の可能性と課題

4-1.これまでの振り返りと再定義 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・194 4-2.提案する上での弘前市の条件や先行事例での助言・・・・・・・・・・・197 4-3.弘前市×先行事例のマッチング分析・・・・・・・・・・・・・・・・・216 4-4.弘前式まちづくり支援の提案・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 232

Ⅲ.結論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・266 引用・参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・270 巻末資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・271 謝辞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・285

(3)

‐1‐

Ⅰ.序論

1-1.研究背景及び目的・定義

研究背景

明治以来の社会制度の中で、人材・技術・情報が政府・自治体などの行政機関に集中化 され、行政が社会全般で強い主導性を発揮し、住民もその中央集権システムの中で暮らし てきた。このような中央集権システムの中では、効率性の追求と大量生産、大量消費が重 視され、行政も公平・平等のもと画一的なサービスの提供に重きが置かれてきた。

一方で住民の視点からの働きかけが生かされることなく、行政に反発するような形式の 市民活動が行政を動かしてきた。また行政だけでは解決が困難であるニーズが生じた際に 市民活動として動き出す傾向が見られるようになり、そのような市民団体に補助金が交付 され、行政を補完する事業を行おうとする市民活動が数多く誕生するようになった。しか し、自立した住民が自由な発想に基づいて、地域社会の課題を解決するために行う自主的・

自発的な活動は成立が難しかった参考1)

こうして中央集権型の社会システムによる高度成長が達成され、「豊かな生活」が実現し た。一方で「自己実現」や「生きがい」といった個別的で多様な価値が求められはじめ、

従来の大量生産や画一的な社会サービスの提供では対応できない時代が到来した。少子高 齢化と人口減少社会の到来とともに国の行政全体が中央集権から地方分権へと転換し始め、

住民のニーズの多様化や複雑化、政府・地方の財政悪化等によって公的サービスを行政だ けで行うことも困難になってきた参考1)

都市計画においても次のような変化が見られた。変化前は「成長社会」として新規市街 地を開発する等の量的不足に対応し、成長・拡大を目的としていたが、変化後は既成市街 地再編する動きなど、質的変化に対応し、成熟・安定を目的とする「成熟社会」へ移行し

た(図1-1-1)参考2)。本研究では特に市民活動に関する分野(図1-1-1の赤丸部分)を取り

上げる。

図1-1-1:中央集権・成長社会から地方分権・成熟社会へ

(4)

‐2‐

地方分権は中央政府から地方自治体への分権だけではなく、地方自治体から地域の住 民・NPOへの動きもあることで、さらに実態的なものになる。これによって多様化する地 域的なニーズに対して、きめ細やかな対応を的確に実施する主体として市民活動団体は機 能し、分権の担い手となる参考1)。これを背景に住民参加が都市計画やまちづくりにおいて重 視されるようになり、1998年には特定非営利活動促進法が施行され、NPOとしてまちづく り活動を行う団体も増えつつあった。

このような市民活動が活発化する状況下、自身の研究において弘前市で展開された市民 活動の調査やその支援の現状、先行地域(東京都・東京都世田谷区)における市民活動支 援の現場を対象に、支援主体(行政、中間支援組織等)へのヒアリング・現地調査を行っ た。支援の具体的な手法として資金助成などひとつの手法に偏って力を入れるのではなく、

人材・情報・場づくりなど幅広く存在する手法に対して、それぞれのニーズに対応し支援 していくべきであることを明らかにした(図 1-1-2)。またそれを担うポテンシャルを持つ 主体(行政、中間支援組織、市民、企業)を明らかにし、市民活動が継続するためには様々 な主体による、団体の活動段階に合わせた継続的な支援が必要であると結論づけた(図1-1-3)

参考3)。自身の論文を通して、多くの市民活動支援の主体とその手法も様々であるという支援 の現状が明らかになった。

図1-1-2:まちづくり支援の具体的手法 図1-1-3:継続的なまちづくり支援のイメージ

またその後の追跡調査で弘前市において財政支援された市民活動が消滅するという事例 が見られ、活動を継続させることの難しさと財政支援の限界が明らかになった。

また他の先行研究においても財政支援の限界が論述され、新たな活動や事業を立ち上げ、

事業モデルを模索しながら成長する「成長・模索段階」に対し財政支援は有効な支援であ るが、組織、外部資源(財源や有形無形の支援)、顧客で構成される事業モデルが安定する

「安定段階」、つまり毎年同じ活動を繰り返している市民活動には財政支援がされにくい、

という点が挙げられた。それに加え、例えば地域の緑化活動など「相互扶助の領域」では 財政支援によって独立出来ることが多いが、例えばホームレスの居住支援を行う活動など、

「新しい公共の領域を開拓するまちづくり活動」では、受益者からの負担が得られず、か

(5)

‐3‐

つ法制度等の環境が整っていない活動は、数年間支援を行っても自立できない活動が多い、

など市民活動の支援に限界がある(饗庭・2007)参考4)という点が課題となっている。

市民活動が継続・安定して行われるメリットも論じられており、市民活動が継続・安定 して行われる地域では4つの特性(「地域における行動規範」「地域内での信頼」「地域に対 する愛着」「地域内外での人との付き合い」)が見出され、「地域活動支援力」が生じるとい うことが述べられ、継続・安定な市民活動による地域のポテンシャルや効果が論じられて

いる(伊藤ら・2010)参考5)。また市民活動が継続していくための要因やその現状に関する研究

も行われており、都市づくりを支えてきた市民活動の核となる組織を抽出し、その構成員 によるこれまでの市民活動の変遷と、各過程での行政など各主体との連携内容について明 らかにされてきた(片岡・2010)参考6)

以上を踏まえると市民によるまちづくり活動の継続が地域活性化のポテンシャルや効果 を高めると示唆され、その支援主体・手法が様々存在している一方で、まだ財政支援の限 界や活動が継続することの難しさについて課題が見られるということが明らかになる。

そのような市民活動支援が活発化する社会背景の中、青森県弘前市においても平成23年 度に市民活動を支援する公募型の補助金制度、「弘前市市民参加型まちづくり1%システム

(以下1%システム)」が定められた。5年目に突入した現在、制度の効果の検証や新たな 支援の提案・実行の必要性が生じており、研究背景に見られる財政支援の課題が弘前市で も見られるのだろうか、また弘前市における特有の課題や方策を考察することが出来ない だろうかという問題関心から弘前市の支援体制を明らかにするために本研究を行う。

1%システムを研究することの意義として以下の4点が挙げられる。

(1)平成23年からの比較的新しい制度であるが、5年目に突入し、新たな支援体制を検 討する必要性が生じている。

(2)毎年三次募集の審査会後に制度の見直しが行われる仕組みであるため、新たな支援 に関する提案や議論を行うことができる。

(3)これまで(自身の研究開始の平成25年度から現在まで)1%システムにおける市民 活動の継続に関する分析やアンケート調査等の具体的な効果検証がまだされてない ということ。

(4)自身も審査委員であることから団体と関わりながらも、事務局・審査委員の現状を 継続的に研究することが出来る。

以上の4点を踏まえて、本研究では1%システムを対象に支援制度としての現状を明ら かにし、新たな支援体制の提案を行う。

(6)

‐4‐ 研究目的

本研究では研究背景も踏まえ、市民活動に対する継続段階までを見据えた支援は、エン ドレスに行われる「まち育て」において必要であるという視点に立ち、以下の3点を研究 目的とする。

①1%システムによる市民活動支援の現状調査を行い、現制度の効果と弘前市における支 援体制の課題を明らかにする。(2章:弘前市市民参加型まちづくり1%システムの検証)

図1-1-4:1%システム検証方法

② ①で明らかになった課題に対する方策について先行事例を対象に、支援効果やそのプロ セス、実施における要因などを明らかにする。(3章:先行事例からみる方策)

図1-1-5:先行事例の研究対象(対象は目的①の検証より決定)

(7)

‐5‐

③ ①②を踏まえ、まちづくり支援の在り方を定義し、さらに弘前市における新たな支援体 制の提案を通して、継続的なまちづくり支援の可能性とその課題を明らかにする。(4 章:弘前市での継続的なまちづくり支援の可能性と課題)

図1-1-6:本論文の流れ

本研究での定義

本研究で用いる用語の定義について

「まち育て」とは、図1-1-1でのこれまでの成長社会のように、まちを作って終わりとす る成長・拡大を目的としたまちづくりではなく、成熟・安定を目的とし、そこに住む住民 とまちが共に継続的に育ち育っていく、常に変化する終わりのないまちの盛り上がり方を 表す。参考2)

「市民活動・市民によるまちづくり活動」とは、町会やNPO、学生、ボランティア団体 をはじめとする市民たちが自らの地域を考え、自ら実践することにより、地域課題の解決 や地域活性化に繋がる活動と定義する引用1)

「継続的な市民活動」とは、例えば補助金ありきで成り立ち、補助金がなくなると終了 してしまうような単発的かつ一過性の活動ではなく、いずれは補助金をはじめとする外部 支援から自立し、団体としての運営機能(人材、ノウハウ、活動拠点、ネットワークなど)

を持ち、各地域でのモデルケースとなり得る活動であり、それらを踏まえて地域へ主体的 に取り組む活動のことを定義する。

(8)

- 6 - 1-2.研究方法

本研究の方法について、1-1で挙げた3点の研究目的に沿って論じる。

研究目的①

1%システムによる市民活動支援の現地調査を行い、現制度の効果と弘前市における支 援体制の課題を明らかにする。

…研究方法①

継続的な支援体制の実態を調査するために、例えば審査会だけを対象に分析するのでは 断片的な分析となってしまうことが考えられる。そこで本研究では1%システムにおける スケジュールのフローを重視し、分析①審査会(公開審査会)の議事録分析、分析②成果 報告の事業報告書の分析、分析③制度見直し委員会での提案資料の整理・分析、分析④フ ロー全体に対応する質問項目を設定したアンケート調査(巻末資料にアンケート用紙添付)

の4つの段階における分析を実施する。それらを踏まえた上で、1%システムにおける効 果と課題を明らかにする。なお分析①②においては議事録、事業報告書のカテゴリー分類 の分析を行う。

図1-2-1:1%システムのフロー

研究目的②

目的①で明らかになった課題に対する方策について先行事例を対象に、支援効果やその プロセス、実施における要因などを明らかにする。(3章:先行事例からみる方策)

…研究方法②

目的①で分析された1%システムの課題やデータを根拠として弘前市に必要な支援方策 を考察する。本研究では本論作成段階で5つの支援方策(行政と市民の協働、財政・人材 育成支援の両立、地域密着型の中間支援組織、交流の創出、伴走型支援)を考察した。そ こでそれぞれの支援方策に取り組まれている先行事例を、弘前市と類似した都市の規模、

学術論文、支援主体、支援実績、全国的先行事例などの選定理由・研究意義から選定し、

それぞれ以下の研究方法・対象を元に調査を実施した(表1-2-1)。

(9)

- 7 -

表1-2-1:選定した先行事例の選定理由・研究意義と調査対象・方法

3-7.3-2から3-6の先行事例において共通して明らかになった支援体制を分析 し、第4章の提案作りの情報とする。

また上記で明らかになった支援方策の共通項を明らかにし、そこから先行事例における まちづくり支援の方策の再考を行う。

研究目的③

研究目的①②を踏まえ、弘前市における新たな支援体制の提案を通して、継続的なまち づくり支援の可能性とその課題を明らかにする。(4章:弘前市での継続的なまちづくり支 援の可能性と課題)

…研究方法③

これまでの1%システムの課題と先行事例における支援方策を掛け合わせることで、弘 前市における新たな支援方策を提案する。おおまかな流れとして、以下に表わす4つの段 階による研究方法を用いて、支援方策の提案、まちづくり支援の在り方、弘前市での継続

(10)

- 8 - 的なまちづくり支援の可能性と課題を明らかにする。

・提案ステップ1

第2、3章の振り返りから1%システムの課題と先行事例の取り組みが対応しているの かを整理する。また先行事例の第3章を受けて、市民活動の継続についての再定義を行う。

・提案ステップ2

現役事務局・審査委員(平成27年度時点)を対象に、1%システム検証時に実施したア ンケート調査のフィードバックを行い、1%システムの課題やその対応策に関する反応を、

アンケートの手法を用いて明らかにする。また先行事例にて収集することが出来た、弘前 市の支援体制への助言を整理し、提案へ必要な情報を明らかにする。

・提案ステップ3

これまでの提案ステップを踏まえて弘前市の現状と先行事例の支援体制を対象に、実際 に弘前市で先行事例に見られた支援体制を実施することが出来るのか、必要な要因や取り 組みはどのような条件であるのかを明らかにするための本研究独自のマッチング分析を実 施する。具体的な手法については4-3に記述。

・提案ステップ4

これまでの提案ステップで明らかになった分析内容と2章3章の情報を踏まえて、弘前 市で新たな支援体制を実施するための提案である「弘前式まちづくり支援」を考察する。

(11)

- 8 -

Ⅱ.本論

第2章 弘前市市民参加型まちづくり1%システムの検証 2-1.1%システムとは・検証方法

(1)1%システムとは

弘前市ホームページを参考に1%システムの概要をまとめる参考7)

【1%システムの概要:市民税による公募型の補助金制度】

弘前市市民参加型まちづくり1%システム(以下1%システム)とは、平成23年6月か ら弘前市にて実施された制度である。弘前市の個人市民税の1%相当額を財源に市民自ら が実践するまちづくり、地域づくり活動に係る経費の一部を支援する、公募型の補助金制 度である。具体的には町会やNPO、ボランティア団体をはじめとする市民活動団体などが 対象であり、それぞれが自らの地域を考え、自らを実践することにより、地域課題の解決 や地域の活性化につながる活動を支援する。市民活動のきっかけづくりや活動内容充実・

発展をはじめ、「市民力」による魅力あるまちづくりの推進を図ることを目的とする(図 2-1-1)。

図2-1-1:1%システムの仕組み図

【申請から審査までのフローでは事務局・団体・審査委員が関わる】

1%システムの窓口は弘前市市民協働政策課(以下事務局)であり、団体への申請受け 付けや相談窓口、審査委員への資料送付や事前質問送付などの事務機能を担っている。団 体が助成されるためには、申請書類を提出し、その後に行われる審査会での公開プレゼン テーション(以下プレゼン)と公開審査(以下審査)を通して、採択結果を受けるプロセ

(12)

- 9 -

スを踏む。(審査委員会については後述)申請から審査までの流れとして、団体が事業に関 する申請書類を事務局に提出し確認作業が行われた後、各審査委員へ送付される。審査委 員は送付された申請書類に関して事前質問を事務局へ提出し、事務局が団体へ送付する。

団体は事前質問への回答を作成のうえ事務局へ提出する。その後、完全公開性の審査委員 会にてプレゼン、審査が行われ、最終的に採択か不採択か決定する。採択が決定した団体 は事業完了後、事務局に実施報告書を提出する。また成果報告として指定された団体を対 象にプレゼン形式の事業成果発表会が行われる(事業完了後の報告のため前年度採択団体 を対象に、年度初めに実施する)。また三次募集審査会の終了後には1%システムの制度を 振り返る、制度見直し委員会が実施される。全団体の事業報告書が揃った後、審査委員に 単年度事業報告書が送付される。(図2-1-2・図2-1-3)。

図2-1-2:1%システムフロー

図2-1-3:申請から事業完了までのフローと各主体の関わり

(13)

- 10 -

【審査会は年に3回、3・6・9月に実施される】

審査会は一次から三次募集まであり、それぞれ募集ごとに審査会が実施される。

(平成28年度の例)

・一次募集期間…1月4日~2月10日 (審査会…3月)

(事業実施期間…4月1日~平成29年3月31日)

・二次募集期間…4月4日~5月6日 (審査会…6月)

(事業実施期間…7月1日~平成29年3月31日)

・三次募集期間…7月4日~8月5日 (審査会…9月)

(事業実施期間…10月1日~平成29年3月31日)

【弘前市民で構成される審査委員と完全公開性の審査委員会】

「まちづくり1%システム審査委員会(以下審査会、審査委員)」とは弘前在住の学識経 験者(社会福祉協議会・社会教育協議会・体育協議会・商工会議所・農業協同組合・町会 連合・大学教授)、団体推薦者、弘前リードマン、公募市民の合計 15 名の審査委員で構成 され、市民の代表が事業の妥当性を審査する。審査委員の役割は、応募された事業の採択 や補助金額の精査(審査委員会)、事業完了後の効果検証、制度見直し(制度見直し委員会)

などについて、市民の意見を取り入れた審査を行うものである。

審査会は、1事業15分程度のプレゼンを行い、審査委員はそれに対する質疑応答、応募 団体は回答や事業内容説明を行う。ただし申請金額が20万円以下の事業については、プレ ゼンの参加は申請団体の任意とし、参加を希望しない場合には、申請書類と庶務に従事す る職員からの事前説明により実施する。プレゼン終了後、審査として引き続き事業内容や 経費について審査委員で審議を実施し、採点方式により採択事業を決定する。

写真2-1-1:公開プレゼンテーション・審査委員会の様子

(平成25年6月22日撮影)

(14)

- 11 -

【審査項目は10の観点】(平成27 年11月時点)

参考資料:審査採点表 審査の基準として、

・公益性

①事業の効果が特定の者に限定されない

②社会公共的なまちづくりや地域づくりのためのものになっている

・必要性

③地域社会における課題を的確にとらえ対応している

④地域の状況や市民ニーズに即した対応をしている

・実現性

⑤事業の計画が具体的で、実施手段や体制などが合理的である

(15)

- 12 -

⑥提案されている事業が実現可能なものとなっている

・将来性

⑦事業効果が一過性ではなく、継続性(継続事業については発展性)が期待できる

⑧将来的に広く波及効果が期待できる

・費用の妥当性

⑨予算が具体的で、事業の内容・規模に合った予算になっている

⑩市民の貴重な税金を使うことによる効果が認められる の大きく分けて10の観点で審査される。

出席委員の平均点が60点未満の場合または各審査項目ごとに算出した平均点が3点未満 となる項目がある場合は、不採択となる。

【対象団体:原則として弘前市で展開される事業が対象】

応募できる団体は以下の要件を満たしている団体に限られる。

①構成員が5人以上であること。

②主に市内を活動拠点としていること。

③組織の運営に関する規則(規約・会則等)を有していること。

④継続かつ計画的に事業を行うことが可能であること。

団体については既存団体のほか、新たに組織する団体も対象となる。

(16)

- 13 -

(2)1%システムの検証方法

図2-1-4:1%システムフローと検証方法

弘前市における支援体制の継続性を検証するという観点から、断片的な調査では効果が ない。そのため図2-1-4のように1%システムのフローに合わせ、分析を行う必要があると 推測する。本研究では本章において、2節:審査会議事録分析、3節:事業報告書分析、

4節:制度見直し委員会分析、5節:アンケート分析を行い、審査・事業実施後・1%シ ステムの展望・フロー前後を対象に継続的な分析を行う。

(17)

- 14 - 2-2.公開プレゼンテーション・審査会分析

1%システムの課題や現状を検証する上で、まず図2-2-1に表わされているフローの中の まちづくり1%システム審査委員会(以下審査会)を分析する。審査会は公開プレゼンテ ーション(補助金の申請金額が20万円以下の事業については申請団体の任意)と公開審査 で構成されている。学識経験者や団体推薦者、公募市民の15名で組織されるまちづくり1%

システム審査委員(以下審査委員)が採択の可否と補助金の額を決定する。

図2-2-1:1%システムフロー内の分析対象

【分析目的】

申請団体と審査委員の相互の発言を分析することによって、以下の3点を目的とする。

①審査での議論内容と公開審査形式の有効性について

②事業と補助金の関係性と各立場での捉え方

③継続性に関する議論について

【分析対象】

対象としたのは平成25年度第一回弘前市まちづくり1%システム審査会の全日程(7月 14、15、18日)、申請団体20団体の審査である。審査結果は17団体が採択、3団体が不 採択となった。選定理由として自身が審査委員に就任して初期段階の審査会であり、他の 審査会と比較すると客観的に議論を分析することが可能である点や、気付きが多いという 点があることから対象にした。

平成25年7月14日(日)(8:50~15:35)、 15日(月)(9:00~15:40)、 18日(木)(18:00~21:00)

【分析方法】

弘前市で公表している会議録概要と自らの発言、フィールドノートを用いて、公開プレ ゼンテーションでの審査委員の質問、申請団体の回答、公開審査会での審査委員の意見を 対象とし、発言をコーディングし、整理・分析を実施する(図2-2-2)。

(18)

- 15 -

図2-2-2:公開プレゼン・審査会の分析方法

【分析結果】

発言のカテゴリーと分析シートは以下の通りである。なお申請団体の発言には発言の語 尾に(団)と記す。それ以外はすべて審査委員の発言である。

表2-2-1:運営方法

運営方法

(6点)

上映する映画の選定方法を教えて欲しい 参加者を増やす工夫はしているのか どのようにPRしているのか

どのようなかたちで地域に根付かせようと考えているのか 子どもの安全対策はどうなっているか

備品を最初から揃えるのではなく、もっと自前でできることがあるのではな いか

表2-2-1における概要・考察として、運営方法についてはすべての事例で審査委員からの

質問が見られた。広報や備品等の具体的な運営方法や、地域と事業との関わり方という点 での今後を見据えた運営に関する質問もあった。

表2-2-2:実施結果を受けて

実施結果 を受けて

(11点)

過去の参加状況 伸びがあった参加者の年齢層を知りたい 参加者はどのくらいなのか

変化の要望 昨年までの事業と大きな変化がないことが気になる 昨年からの継続事業であるが、実施したことによって町 内会にどのような交流の変化があったか知りたい 効果の振り返り 広域なネットワークができてきている(団)

事業を通じて世代間の交流も生まれた(団)

子どもたちの遊び場を増やすことができた(団)

1%システムを活用してテントを設置した(団)

課題を見出す 今年で3年目の事業だが、これまで工事中に事故や問題 は発生しなかったか

昨年開催したときは会場周辺から苦情はなかったか 昨年の事業を通して改善しなければいけないと思う箇所

(19)

- 16 -

はあったか、またその箇所は改善されそうか

表2-2-2における概要・考察として、継続事業に対しては実施した結果に関する発言を求

められていることが明らかになった。または以前に1%システム以外の補助金や自助努力 での実施をした団体に対しても類似した質問がみられ、審査委員と団体のやり取りとして、

継続事業に関しては参加状況や課題点、また課題を踏まえてどのように改善するのか等の 質問や報告が多い。継続事業では前年からの変化や工夫などが求められることが分析され た。

表2-2-3:弘前市をフィールドとすること・地域性

弘前市を フィールド とすること

・地域性

(18点)

弘前で実施する 必要性

弘前にはどのようなメリットがあるのか

この事業を弘前で展開させることの意義を聞きたい 弘前全体の着物文化の底上げにつながっていく

(事業目的を達成するために)弘前の文化を学び直すこ とが必要だと感じた

弘前市だからできるアフタースクールということで進め ていきたいと考えている(団)

地域資源の活用 の要望や意義

地方の伝説や昔話を発掘していくことのほうが弘前にと って必要なことなのではないか

弘前には全国的にまれな鬼を祭る文化があるので、興味 に絡めていきたい(団)

担ぎ太鼓とお山参詣の関係を弘前の人に広く知ってもら いたい(団)

藤田記念庭園への来場者増加のきっかけを作ることがで きれば(団)

来年以降りんご公園や弘前公園を使うことがあるかもし れない(団)

弘前のまちは洋館や歴史的建造物が残っているまちなの で

弘前はお寺の街なので、県外から講師を呼ばなくてもお 寺の住職の方などがたくさん話を知っていると思う 地域課題の共有 弘前には怪談がたくさんあるのに埋もれてしまっている

(団)

過去にあった分踊り大会や運動会といった行事も、下湯 口や悪戸地区からなくなってしまった(団)

弘前市の現状を見ると子どもが減少する可能性はある 弘前市では映画館が減ったことによってマニアックな映

(20)

- 17 -

画を見る機会が減った

事業のような場は弘前市にもあるが全てを補てんしてい るとは言えない

近年弘前市では空き家が増えており、どんどん荒れてい る箇所がある

表2-2-3における概要・考察として、審査会を通し団体や審査委員とのやりとりから、弘

前市の資源や課題が明らかになる。地域資源の活用に関する発言から「弘前市のポテンシ ャル」、地域課題に関する発言から「弘前市の現状」について、申請団体・審査委員の相互 において情報交換や現状の確認が可能になっている。(事務局が情報提供をした部分もあっ た。)あくまでも弘前市というキーワードで地域資源の活用、活性化に関する視点の発言が 団体、審査委員相互に多く見られるが、これは市民税が財源の補助金であるという点が関 係しているのではないだろうか。

表2-2-4:助言または助言の要求

助言 または 助言の要求

(23点)

審査経験を 活かした助言

今後「あおもり食命人」のような人材も活用して欲しい 1%システムには町会のイベントもたくさん申請されて いるので、そういった地域に出向いて、その地域のお話 を掘り起こして子どもたちに伝えることができればいい と思う

(他の小学校の例を出し)資金面で参考にしてみて欲し い

事業の目的と手段が結びつかないため、実現可能な計画 で生ごみ削減の啓発活動を実施していただきたい

(他事業を例にし)祭りと併せて防災教育をすることで、

より効果が得られるのではないか 費用と事業の

兼ね合い

過去にも1%システムを使わずに祭りを実施しているの で、身の丈に合った祭りを展開して欲しい

隣接する町会から補助金や負担金などをもらった方が良 いと思う

今後事業を継続していく中で、参加者が会費を集めなが ら整えていただきたい

運営・事業を より効果的に するために

市民も参加するような形を考えてほしい

お茶やお花など着物に似合う体験を事業に入れると良い のではないか

違う分野でも一流の演奏を聞くことも必要ではないか 子どもの意見をじっくり聞くような組織をつくっていく

(21)

- 18 - 必要がある

子どもたち自らが企画することを考えてみてはどうか

(伝統芸能について)プロセスの伝承を大切にして欲し い

目的に合わせた整備は必要だと思う

安全管理についてしっかりと体制を整えていただきたい いつまでも映像を残していける体制が取れるようになれ ばいいと思う

情報交換ができる場所を作りたい(どうすれば良いだろ うか)(団)

地元の人がホスト側になるためのトレーニングの場が事 業内に設けられれば効果が大きくなると思う

広報の必要性 工事に関心を持ってもらうことが必要なのではないか 学校と家庭に同時発信していただきたい

小中学生へのアプローチをすることで底辺を広げる目的 もある(のではないだろうか)

1%システム事業として後押しをしてもらえれば、教育 委員会を通して学生全員にチラシ配布をお願いしやすく なる(団)

表2-2-4における概要・考察として、審査委員がこれまで審査した団体が実施してきた資

金・運営に関するノウハウの工夫や、連携可能な事業または団体の提案をしている。様々 な申請団体を見てきたという実績のある審査委員が行う審査会だからこそ可能なことで あると言える。また割合としては運営や事業内容に関するアドバイスが多く、事業の継続 性、実現性、発展性をより上げるアプローチが見られる。費用に関しては自立に向けた(ま たは補助金がなくても実施できること)アドバイスが見られる。具体的な手法のアドバイ スと、こうであって欲しい等の事業の展望を見出すアドバイスと2パターンが見られた。

審査会においても少数ではあるが団体がアドバイスを求める発言も見られた。

(22)

- 19 -

表2-2-5:費用(資金)に関するやりとり

費用(資金)

に関する やりとり

(29点)

1%システム としての 費用の効果

今回、1%システムへの申請をきっかけに、再度町会に 対して協力を依頼したい(団)

集客をアップさせる部分に1%システムの補助金を活用 して(団)

継続実施することで、各近隣町会の(資金)協力が得ら れるのではないか

昨年の審査委員の意見を取り入れて計上したマップの印 刷製本費がほとんどである

資金調達・削減の 方法や展望

昨年は協賛金を設定していたが、今年は協賛金を集めな いのか

予算について、近隣町会に無料でテントや発電機を借り たり、町会の協力を得ることはできないか

事業収入として町会費からの支援が見込めないのか知り たい

昨年はスタッフが動けずに、協賛金を数万円しか集める ことはできていなかった(団)

スタッフの経済的負担が減るようにマイナス面を補う作 業をしている(団)

今後は町会にも(事業費用を)補助してもらうことを検 討している(団)

(他の小学校の例を出し)資金面で参考にしてみて欲し い

今後はスポンサーをつけることによって収益が見込める ようになり、協賛金等で展開していけるような事業だと 思う

隣接する町会から補助金や負担金などをもらった方が良 いと思う

今後事業を継続していく中で、参加者が会費を集めなが ら整えていただきたい(団)

補助金からの 自立

資金面での課題を解決するために、通年で事業をするこ とを考えているのではれば、ある程度の蓄えがあれば良 いと感じた

ポスター・チラシにかかる経費を自分たちで作成したり、

可能な限り予算を少なくしようと検討している(団)

自立して事業を運営しようとする姿勢が見える。どのよ

(23)

- 20 -

うにやりくりしたのか教えて欲しい 市民税の補助金

としての妥当性

着物レンタル会社に対する利益供与と感じられる 1%システムを活用する場合は団体の収益事業になって はいけないと指摘を受けた(団)

県外から招く講師に対する謝礼の費用の妥当性について 判断しづらいと感じる

事業費に占める講師謝礼と旅費の割合が大きい

印刷業者に関して、透明性を確保して事業を実施して欲 しい

市民税を利用するのだから、県外の参加者にも市にお金 を落としてもらえるツールとして捉える

自助努力に 対する 評価と必要性

前回に比べて1%システムの申請額が三分の一の額で、

経費に対する自助努力を感じる

事業費の三分の一の額を団体が負担する予算組で、自助 努力が見える

今年は参加費が協賛金でもあると捉えている(団)

過去にも1%システムを使わずに祭りを実施しているの で、身の丈に合った祭りを展開して欲しい

行政対応 事業で実施した堰の上流や下流は市の予算で整備してい るのか

表2-2-5における概要・考察として次の点が挙げられる。補助金から自立するためには「協

賛金・会費・予算削減の自助努力」がキーワードになっている。審査委員からは資金調達・

削減について積極的に推奨する意見が多いが、団体からは集めることの難しさに関する意 見もある。活動の継続は資金調達に効果があるという意見がある一方で、継続のためには 補助金としての費用が必要であるという面が見られる。補助金の規定に関する意見や市民 税からの補助金制度であるという視点からの意見が見られる。

(24)

- 21 -

表2-2-6:予測される問題・実施への懸念

予測される 問題

・ 実施への

懸念

(16点)

参加者確保 の難しさ

参加者が集まらなかった場合、また事業が実施できなく なることはないか(昨年事業が廃止になったことから)

参加人数は30人と想定しているが、集まる見込みはあ るか

会場整備 会場周辺は道幅が狭いが、車両対策はどのように考えて いるのか

夜間警備は不要ではないか

ここまで本格的な舞台装置でなければ事業を行えないも のか

補助金の必要性 前年に1%を活用せずに世界大会を開催しているが、今 回1%システムを活用するのはなぜか

1%システムを活用しなくても事業が成立するのではな いか

目的と手法の 明確さ

安全マップを作るだけでは地域の危険な環境を改善する ことにつながらないのではないか

怪談による自殺予防の効果が見えてこない 狙いがどこにあるのか性格が曖昧な事業に感じる 事業の目的と手段が結びつかないため、実現可能な計画 で生ごみ削減の啓発活動を実施していただきたい 事業に対する団体の熱意や、イベント開催の先にある効 果が見えてこない

事業の趣旨にまとまりがないように感じる

公益性 ある一部の人のための映画館となるのは良くないと思う 町会の住民が作業に出てこないのが残念

実現性 町会だけで対応できるものではないと思う

表2-2-6における概要・考察として次の点が挙げられる。実施をしなければ不明確である

集客力に関する懸念がある。事業の必要性よりも、補助金の必要性について問う質問が見 られる。プレゼンで多くの団体が弘前市の課題とそれに対する事業の必要性を明らかにす るが、補助金がなくても実施できる(できていた)団体は補助金を伴う事業の必要性を明 らかにすることが必要である。目的と事業内容(手段)がリンクしていることは審査の論 点になる。

(25)

- 22 -

表2-2-7:事業・団体の連携

事業・団体の 連携

(8点)

対 地域 子どの団体とは何らかの連携はあるのか

学校からの登下校の問題点などの情報提供はあるのか 町会と学校が連携をして毎年続けて行っている。このよ うな事業は継続して欲しい

最終的には近隣町会も一緒になって祭りを開催するよう 期待したい

この事業に学校はどのように関わっているのか 対 過去の

採択団体

他の1%システム活用団体と連携を取りながら実施する ことは可能か

他の団体と連携することは可能と考えるが、今回実施す る事業は子どもたちに民謡を広げていくことを考えてい る(団)

1%システムには町会のイベントもたくさん申請されて いるので、そういった地域に出向いて、その地域のお話 を掘り起こして子どもたちに伝えることができればいい と思う

表2-2-7における概要・考察として次の点が挙げられる。団体が地域や他団体と連携する

ことで、事業内容にも成果にもより効果があるという点を見出している意見が多い。過去 に採択された事業や団体との連携を促す意見や、事業の差別化、発展性に注目した見が見 られる。審査委員は1%システム採択団体との連携も事業内容によっては必要、または有 効であると考えている。

表2-2-8:ミッションの共有・確認

ミッション の共有・確認

(14点)

申請事業として この事業は人材育成をする事業という捉え方で良いか 事業が実行されることで地区としての交通安全の問題は 大方解決するのか

事業目的について具体的に教えていただきたい

事業の目的は上映会で見てもらうことで、文化の継承を するという捉え方で良いか

子どもたちの意識や関心を高めることを目的としてイベ ントを行っている(団)

団体の活動 として

怪談をテーマとした団体を立ち上げたときに、目標をど のように設定しているのか

団体のミッションを教えて欲しい

若い人たちに地元の怪談を伝えていきたい(団)

(26)

- 23 -

絵の面白みや街並みの大事さや歴史といったものを伝え ていきたい(団)

日本の文化をずっと伝えていくという意味でプライドを 持ってやっている(団)

社会的な責任を果たし、(中略)多くの業界のつながりの 基になっていきたいと考えた(団)

活動の 発展性

まずは実績をつくることが必要である(団)

今まで地域の委員会や学校の PTA との連携が出来なか ったため、今年はベストをそろえたいということで良い か

補助金での 差別化

これまで町会費だけで実施してきたが、今回申請したの は来場者を増やす取り組みをするためでもある(団)

表2-2-8における概要・考察として次の点が挙げられる。審査委員はプレゼンに対し、事

業や団体のミッションを明らかにする、整理する発言が見られる。団体は事業の意義、将 来の発展性を推すための発言が見られる。団体は補助金を活用することの必要性を、過去 に実施してきた事業との差別化を明らかにした上でミッションと共に発言していた。

表2-2-9:事業実施後の展望

事業実施後 の展望

(16点)

申請事業として 今後、この怪談ライブの事業はどのように展開していく 予定か

今後の事業の進め方について団体の見解を知りたい この事業を通してネットワークを構築し、さまざまな分 野の囃子を勉強していきたと思う(団)

今年度は市民先生をしっかりとしたかたちで養成する

(団)

一般家庭にも普及させることを検討している(団)

町会内にある企業等との全体的な交流を図りたい(団)

団体・仕組み の変化

最終的な選定の条件や、その後どのような仕組みにして いくのか

これからは市民の意見を取り入れてイラストを増やして いきたい(団)

アンケート実施によるフィードバックはどうする予定か 今後の展望について教えていただきたい

映像を残していくことの必要性が、今後より高まったと きに団体で対応できるか

(27)

- 24 -

新しい力を団体に入れ、経験者や有識者の参加もお願い したい(団)

事業と地域 の展望

地域の町会や子ども会などとも交流していきたい(団)

ゆくゆくは各地域の中で子どもたちと関わるようになっ て欲しいという思いがある(団)

可能であれば、切手の絵柄として採用してもらい、全国 を飛び回ってもらえればと考えている(団)

弘前で地域の映像目録が作れるということに協力できる のであれば、ぜひ行っていきたい(団)

表2-2-9における概要・考察として次の点が挙げられる。事業実施後の展望を聞くことで、

審査における申請事業の将来性を見出している。カテゴリーのミッションと類似している が、事業実施の前後という観点から分類した。申請事業としての展望だけでなく、地域の ニーズの変化を考慮する内容を含む発言が団体、審査委員相互に見られる。

表2-2-10:事業内容

事業内容

(11点)

プログラム内容 事業で行う市民先生育成講座の内容を詳しく教えていた だきたい

マーチング委員会という全国組織の事業のパッケージを 弘前でも行うということなのか

配布するマップはどのようなものになるのか なぜワークショップ形式なのか

題材になぜオーロラを選んだのか

開催場所 あえて開催場所を藤田記念庭園にした理由は なぜ介護事業所でなければいけないのか知りたい 事業所を限定して選定した経緯について知りたい 関わる人材 実行委員会が主体となって申請した経緯を知りたい

県外から担ぎ太鼓の奏者を呼んでくることの関連性につ いて伺いたい

整備事業の参加人数は1世帯1人の参加を想定している のか

対象はなぜ親子なのか

将来的に町会内に「商店会」をつくるように展開を考え ているという説明があったが、詳しく教えて欲しい

表2-2-10における概要・考察として次の点が挙げられる。プログラムや開催場所をなぜ

その事業では選定したのかなど、その狙いや意義を質問する傾向がある。人材に関しては

(28)

- 25 -

講師、参加者(対象者)、メンバーなど枠にとらわれず、広く事業に関わる人の質問があっ た。

表2-2-11:期待する効果

期待する 効果

(4点)

増えた参加者から派生してワークショップや映画教室も行うので、それらを 体験した人たちが実際に映画を見に足を運んでくれたらいいと思う(団)

ネットワークができれば、これからいろいろな展開が期待できる

事業を実施することによって今後は弘前が全国的に参考にされることがあ るかもしれない

最終的には近隣町会も一緒になって祭りを開催するよう期待したい

表2-2-11における概要・考察として次の点が挙げられる。・事業の発展・波及効果の期待

への発言が多い。規模が大きいものでは弘前が全国的に参考にされるのではという期待も ある。団体としても審査委員としても期待に関する発言は見られる。

表2-2-12:継続に関する議論

継続に 関する議論

(22点)

前回からの変化 今回の申請が2回目の継続事業であるが、1%システム を活用することによって良くなった点や違いがあったか 継続実施する

という意志

事業の継続性と絶えず変化していくという両方の面を持 っていなければならないと思う(団)

大きなイベントを1回実施して終わるのではなく、年間 を通して小さなイベントをシリーズ化して続ける(団)

団体の主眼は活動をずっと続けていくこと(団)

事業を継続していきたいと考えている(団)

マンネリ化を防ぐために事業を考え、今後1%システム を活用しなくても祭りを実行していこうと考えている

(団)

今後、継続して事業を実施していく上で検討していきた い(団)

完成後には保守管理についてもしっかり考えていただき たい

引き続きこのような活動を通じて地域づくりをしていき たい(団)

継続する上での 課題

子どもが減少していくような状態でもこの事業を継続す るのか

今は事業の継続性に重きを置いているが、本事業だけで は限界がある(団)

(29)

- 26 -

資金面での課題を解決するために、通年で事業をするこ とを考えているのではれば、ある程度の蓄えがあれば良 いと感じた

継続で 見出される 効果と期待

参加者は継続することによって伸びると思う 今後も事業に膨らみを持たせて欲しい

(世代交代ができるように)事業を継続して欲しい 町会と学校が連携をして毎年続けて行っている。このよ うな事業は継続して欲しい

予算の工夫と 自立

来年度以降は経費をかけずに自立して実施したいと考え ている(団)

今後はスポンサーをつけることによって収益が見込める ようになり、協賛金等で展開していけるような事業だと 思う

今後事業を継続していく中で、参加者が会費を集めなが ら整えていただきたい(団)

事業費の三分の一の学を団体が負担する予算組で、自助 努力が見える

今後補助金を使わずに独自に事業を行うことができるよ うになるのではないか

前回に比べて1%システムの申請額が三分の一の額で、

経費に対する自助努力を感じる

表2-2-12における概要・考察として次の点が挙げられる。継続事業については変化やス

テップアップが求められる傾向にある。(カテゴリー「実施結果を受けて」にも表記あり。)

「継続実施するという意志」より、団体としても事業を継続するということを目標として いる。「継続で見出される効果と期待」より、審査委員も継続への期待をしている。継続し て活動を実施することによって、参加者増加や連携の可能性がある。一方で単純に継続す るのではなく、絶えず変化することも必要である。発言を見ると補助金からの自立と継続 が目標とされている傾向があるが、極端な規模縮小や休止のリスクもあるのではないか。

(30)

- 27 -

表2-2-13:人材の関わり

人材の 関わり

(12点)

事業の講師 について

着付け師の予算が計上されているが、構成員以外の人 か

講師は専門家でなければできないのか

県外からファシリテーターを呼ぶことは必要だと考え ている(団)

県外から招く講師に対する謝礼の費用の妥当性につい て判断しづらいと感じる

外部の人が知っている地元の知識を取り込むことはい いことだと思う

協力メンバー 技術を持っている人だけが参加しているのだと思う 事業に協力してくれるかが疑問である

人材育成の 必要性

(継続のためには)スキルアップしている人が必要に なる

地元の人がホスト側になるためのトレーニングの場が 事業内に設けられれば効果が大きくなると思う

子どもたちを見守る人材の育成は必要

これから講師となるリーダーが地区内に増えていくこ とを考える

課題 町会だけで対応できるものではないと思う

表2-2-13における概要・考察として次の点が挙げられる。・弘前市外から呼ぶ講師に関し

ては費用面でも必要性でも説明できる必要性がある。可能であれば市内の人材を活用した 事業に重点を置く傾向がある。事業が発展していくために人材育成は必要である。事業の 実現性において人材も重要視される。(活動団体のキャパシティーを判断する材料になる。)

表2-2-14:団体の課題

団体の 課題

(8点)

継続 今は事業の継続性に重きを置いているが、本事業だけで は限界がある(団)

伝統芸能を伝承するためには地道な活動が必要である

(団)

広報 昨年はスタッフが無理をし、告知が遅れたことが事業廃 止に至った原因だった(団)

どうしても告知が届かない部分に対して有効な手段を検 討している(団)

市街地から離れた地域にもまんべんなく広がるかどうか が課題だと思う

(31)

- 28 - 弘前市との

協働

市と一緒にできれば良いと考えてはいるが、実現には至 っていない(団)

市とも連携を取りながら進めているが、(安全マップを活 かして)改善できない場所もあるというのが現状である

(団)

資金集めの 課題

昨年はスタッフが動けずに、協賛金を数万円しか集める ことはできていなかった(団)

表2-2-14における概要・考察として次の点が挙げられる。・団体は継続に関しても課題を

抱えている。事業を弘前市と協働して展開することを必要としているが、そのような団体 もまだ実現できていないケースもある。カテゴリーの課題に関しては、事業報告書の分析 でさらに明らかにしていく。

(32)

- 29 -

以上の審査会における発言から考察した発言カテゴリーと分析シートを用いて冒頭に述 べた【分析目的】の①~③を順に明らかにしていく。

①審査での議論内容と公開審査形式の有効性について

審査会での発言をコーディングした結果、以下のカテゴリーに分類することが出来た。

表2-2-15:発言カテゴリーまとめ

カテゴリー サブカテゴリー

運営方法

実施結果を受けて 過去の参加状況

変化の要望 効果の振り返り 課題を見出す

弘前をフィールドとすること・地域性 弘前で実施する必要性 地域資源の活用の要望や意義 地域課題の共有

助言まだは助言の要求 審査経験を活かした助言 費用と事業の兼ね合い

運営・事業をより効果的にするために 広報の必要性

費用(資金)に関するやりとり 1%システムとしての費用の効果 資金調達・削減の方法や展望 補助金からの自立

市民税の補助金としての妥当性 自助努力に対する評価と必要性 行政対応

予測される問題・実施への懸念 参加者確保の難しさ 会場整備

補助金の必要性 目的と手段の明確さ 公益性

実現性

事業・団体の連携 対 地域

対 過去の採択団体 ミッションの共有・確認 申請事業として

団体の活動として

(33)

- 30 -

活動の発展性 補助金での差別化

事業実施後の展望 申請事業として

団体・仕組みの変化 事業と地域の展望

事業内容 プログラム内容

開催場所 関わる人材 期待する効果

継続に関する議論 前回からの変化

継続実施するという意志 継続する上での課題

継続で見出される効果と期待 予算の工夫と自立

人材の関わり 事業の講師について

協力メンバー 人材育成の必要性 課題

団体の課題 継続

広報

弘前市との協働 資金集めの課題

表2-2-15のカテゴリー・サブカテゴリーから事業内容、関わる要因、事業の展望に関わ

る内容を抽出し、議論の大まかな流れとして、以下の図2-2-3にまとめた。

図2-2-3:審査会で見られた議論内容

「発言の内容」としては、直接的に事業内容に関わる発言の「運営方法」「事業内容」「実 施結果を受けて」に分類され、団体の企画する(または過去に実施した)事業についての

(34)

- 31 -

やりとりが見られた。さらに事業に関わる要因としての「地域性」「費用」「人材」のやり とりから、その事業の展望を明らかにするための発言への流れのやりとりが見られた。事 業内容を明らかにし、そのための要因への問いや助言、そこから事業の展望を見出すとい う一連のやりとりを分析することが出来た。続いて発言の主旨と主体の分類を明らかにす

る。表2-2-15のカテゴリーを用いて審査会における発言者(発言主体)の整理をする。

表2-2-16:発言主体の整理

審査委員 両者の発言 申請団体

運営方法 実施結果を受けて 助言の要求

助言する 弘前市・地域性 団体の課題

事業の問題・実施への懸念 費用(資金)に関して

事業内容 事業・団体の連携

期待する効果 ミッションの共有・確認 事業実施後の展望 継続に関する議論 人材の関わり 事業内容

図2-2-4:発言主体と主旨の関係図

まず審査委員の発言として大きく「質問」「助言」「確認」「問題指摘」「要望」次の5つ に分類される。分類の根拠とケースについてそれぞれ後述する。

「質問」についてはほぼすべてのカテゴリーに見られ、過去の実施(過去)、計画段階(現 在)、これからの展望(未来)のそれぞれに関する質問があった。特に「費用」については これからの展望、自立していくためにどのような努力をするのか等の未来に関する質問が

カテゴリー「助言」に 関しては助言するケ ース(審査委員)と助 言を求めるケース(申 請団体)が見られたた め、2つに分類する。

(35)

- 32 -

多く、継続団体には過去の質問、そのほかはすべて過去、現在に関する質問が見られた。

また審査項目に乗せた質問も多く、公益性や費用の妥当性などの質問もあった。

「助言」に関しては審査委員がこまで経験してきたことを活かし、同じ分野で活動をし ている団体との連携の可能性や、費用の運営方法をアドバイスすることが多かった。審査 委員でなければ出来ないアドバイスも見られ、有効性が明らかになる。

「確認」に関しては、団体のミッションや手法と目的の繋がりを見出す際に見られる発 言であった。団体がプレゼンしている中で伝えたいことが多すぎる、または緊張によって、

うまくプレゼン出来なかったときに、審査委員として得た情報の中で整理をして、サポー トするという流れである。全体の割合としては少ないが、団体のサポートになっている実 態が見られた。

「問題指摘」に関しては多くのカテゴリーで見られ、それに対応出来なかった団体に対 してはさらに準備不足を指摘するような流れが多く見られた。団体側が予測していなかっ たある意味での事業の抜け目(実際に経験した審査委員がいるから分かる会場の扱いの難 しさや、過去の団体の話を聞いて感じている参加者確保の難しさに対する政策)を明らか にし、そこから事前に対応策を考えてもらうきっかけになっている場合が多い。

「要望」に関しては弘前市の地域資源をさらに活かして欲しい点や、これまでの1%シ ステム採択団体との連携など、事業がさらに活発になるため、または社会に効果的な影響 を与えるための助言効果を含んだ発言が多かった。

また団体の発言としては、公開プレゼンテーションの質疑応答の回答をコーディングの 対象としているため「回答」がほとんどであるが、そのほかに「要望」「事業の必要性の主 張」が見られた。

「回答」は審査委員の「質問」に対応しているため、ほとんどのカテゴリーで見られた。

「要望」については団体の抱えている課題を明らかにしたうえで助言を求めたり、1%

システムでなければ解決に繋がらないという現実問題を主張したり、審査で重要になるキ ーワードの発言が多く見られた。

「事業の必要性の主張」として特にカテゴリーのミッションや弘前市をフィールドとし て実施することの必要性に関する発言が見られた。事業がどれだけ課題解決に効果が期待 できるのかを明らかにして主張するというやり取りはほとんどの団体で見られた。

審査委員と団体のやりとりを図示したものから次のことを明らかにする。最も多いのが 質問と回答のやりとりであるが、その他にも団体から助言を求めたものに対し助言を与え るパターンと、審査委員が事業に対する問題や懸念の指摘をした後に助言を与えるパター ンなどが見られる。また審査委員の問題・懸念の指摘や要望に対する団体の回答というや り取りも見られた。審査委員が事業の意義やミッション、必要性に関する確認をした際の

(36)

- 33 -

レスポンスとして、弘前市での課題やポテンシャルを明らかにした上で事業の必要性の主 張をするというやり取りもある。

このように公開プレゼン・審査会を行い、審査委員と団体相互のやり取りをすることに よって事業の課題解決策としての有用性や事業としての効果を団体はもちろん審査委員も 吟味し直す場になる点、つまり団体・審査委員ともに市民活動を考える場になっていると いうこと、また審査委員が自らの経験を活かした助言による支援の場になっている点が見 られ、公開プレゼン・審査会の有効性が実証された。ただし本節で分析対象にした公開審 査に関しては、プレゼンを行った申請団体と審査委員のみに限られており、出席が自由で ある本来の広い市民参加を伴う公開審査会ではないことに留意する。

②事業と補助金の関係性と各立場での捉え方

考察する上で以下のカテゴリーとサブカテゴリーを用いて論にする。

表2-2-17:事業と補助金の関係性の発言

カテゴリー サブカテゴリー

助言または助言の要求 費用と事業の兼ね合い

費用(資金)に関するやりとり 1%システムとしての費用の効果 補助金からの自立

市民税の補助金としての必要性 予測される問題・実施への懸念 補助金の必要性

ミッションの共有・確認 補助金での差別化

継続に関する議論 予算の工夫と自立

団体の課題 資金集めの課題

審査委員の発言として「1%システムを活用しなくても事業が成立するのでは」や「過 去にも1%システムを使わずに祭りを実行しているので、身の丈に合った祭りを展開して 欲しい」が見られる。この点から無理に補助金を活用して事業を大きくすることの有効性 について、団体側が明らかにしていなければいけない。これまで補助金を使わずに実施で きていた事業について、ただ規模を大きくしたいから補助金を活用するという考えであれ ば審査委員も慎重であるということが分かる。

ではこれまで1%システムを活用せずに事業を行えていた団体は、補助金に対してどの ような効果を検討して事業を企画しているのだろうか、カテゴリーから明らかにする。団 体としては「集客をアップさせる部分に1%システムの補助金を活用して」や「これまで町 会費だけで実施してきたが、今回申請したのは来場者を増やす取り組みをするためでもあ る」という発言が見られ、補助金を活用することで広報・集客力向上の期待をしていると いうことが分かる。

それに対して団体の発言として「来年度以降は経費をかけずに自立して実施したいと考 えている」や「ポスター・チラシにかかる経費を自分たちで作成したり、可能な限り予算

表 2-5-27 : (事務局)        最も難しい審査項目     表 2-5-28 : (審査委員)

参照

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