共働き夫婦の会話に関する実証的研究
柳 田 泰 典
Study on Communications between Husband and Wife Yasunori YANAGIDA
はじめに
夫婦が共に働く,それだけなら夫婦関係の発展はありえない。共に働くことは,性別分 業的夫婦関係(夫は社会的労働,妻は私的家事労働)を廃棄し,また,やさしさの発揮に よって夫婦間の人間的平等性は実現するなどという空想的な議論を打破していく歴史的な 過程である。だが,現実の共働き夫婦は,働いている妻が家事,育児のほとんどを担う,
また,妻は家事,育児に支障が出ない範囲で就労(パート就労,M字型就労形態など)す る,せざるをえないような状況が一般的である。これは,「性別分業的夫婦関係を基底とす る共働き」であり,就労形態によって妻にたいする社会経済的評価の違いはあるとしても,
家事や育児で夫の協力が得られないという意味で「妻の孤立的自立化過程」と性格づけら れるものであろう。現在の共働きが「性別分業的夫婦関係を基底としてもち」かつ「妻の 孤立的自立化過程」であるならば,夫婦関係は発展するどころかかえって夫婦間の矛盾と 軋礫を拡大していくであろう。
発展性が弱く,年を経るにつれて夫婦の関係が後退していく。これは,共働き夫婦,性 別分業夫婦のいずれにもみられる日本の夫婦関係の特徴であろう。「釣った魚にエサはいら ない」,こんな言葉がいまだに生きている。会話も少なく「酒,風呂,寝る(夫)」ですむ ような夫婦関係,「話したい妻と話したくない夫」との軋礫などが指摘されている。「言葉 が少ない,話すことがない,話したくない」,それが夫婦の会話の寂しい現実なのであろう か。最近の離婚は,結婚生活期間10年以上で急増している,また,夫の定年退職を待って 離婚するケースも増えているのである。その理由は様々であろうが「性格の不一致」など
というより,根本的には年を経るとともに夫婦の関係が発展していくのではなく,逆に後 退していくことに原因あると思われるのである。
「結婚はたのしいという話をあまり聞きませんが,なぜ結婚するのですか」,そんな若者 たちの疑問に現代の夫婦たちは答えを用意できるのだろうか。結婚しないSingleと呼ばれ る女性の増加や子どもをつくらず「新しい男女関係」を模索するDINKS,果ては「不倫」
「売春」などなど,それらは豊かさを持ちきれない現在の夫婦関係の否定的な反映なので ある。子どもが産まれ「お父さん」「お母さん」と呼びあい,孫ができ「おじいちゃん」「お ばあちゃん」と呼び合う子ども中心の夫婦関係,ここには夫婦として結ばれ,夫婦として 生き,夫婦として死んでいこうする「わたしとあなた」が欠けている。
現在の共働き夫婦は,労働権条件,家事・育児,夫婦関係などの点で解決されなけれぼ 長崎大学教育学部教育学教室
ならない多くの問題を抱えており,その意味では「未だ共働き夫婦成立せず」と言ってい いだろう。しかし,困難を抱えているとしても共に働き,共に家事・育児をする,そして それを基礎に新しい夫婦関係を築いていけるのは,現在の共働き夫婦をおいて他にないの である。現在の共働き夫婦,まさにその現在を明らかにし,共働き夫婦の発展と成立可能 性を模索する必要があるのだ。
第1章 運動としての共働き夫婦
性別役割分業における夫婦関係は固定的で発展性に乏しい。それにたいして,共働き夫 婦の夫婦関係は,夫婦や家族の協同的な生活づくり,働くことにたいする夫婦相互の支え 合い,男と女の性別役割を越えた対等な関係の確立などを,日々の努力さらには目的意識 をもった運動によって形成していかざるをえないものであろう。この運動の方向性と内容 を共働き夫婦家族の現状から検討してみよう(表1)。
表1 共働き夫婦家族の現状と課題
基本問題 基本課題 現実的基本対応
夫婦や家族の生活に時間 ①長時間労働。通勤時間がかかる。日本的
①労働時間の短縮。
的・精神的余裕がない。 労働慣行(残業,付き合い)。これらは,
残業,付き合いの短縮と制限による夫 また,生活における夫婦職種によって大きな格差がある。 婦・家族生活との部分的な「調和」。
や家族の協同関係が未形 ②家事労働における性別役割分担。共働き ②家事労働における夫,子どもの参丁目家
成である。
でも家事,育児は女性が主にやっている。族協同性の日常的な拡大。
家事労働の創造性と「たのしさ」の拡大。
③子育てを中心に形成される生活とライフ ③子育てを含めた夫婦・家族の総合的な共
サイクル。
働きライフサイクルの形成。
④余暇の個人的利用と夫婦間の格差。i妻は
④余暇の共働き夫婦的編成。
家事,育児に追われ,夫は余暇を楽しむ。
共に働くことで夫婦それ ①労働時間,労働条件,賃金などの問題。 ①勤務状況の相互理解と改善運動への労働 それが労働条件,労働内 ②労働における主体性,自己実現性の弱さ 者的連帯。
容などのもつ諸矛盾の影
(これらの現われ方は職種によって異な ②労働力能の個人的,集団的(研究会,サー
響を受ける(労働疎外)
る)。 クルなど)形成とそれにたいする夫婦的が,それを支え合うこと
支え合い。
はきわめて少ない。
③労働と家庭生活の分離(仕事のことは家 ③仕事自体ではなく,仕事内容や職場の状にもちこまない)
況については日常的,継続的に理解を深める。
④疲労回復(休息)と家事・育児,文化・ ④家事,育児における夫婦協同の拡大とそ
スポーツ活動との矛盾。 れによる休息時間の夫婦的確立。
個人,夫婦,家族の文化活動やスポーツ
活動など生活文化の拡大。
共働き夫婦は対等性とと ①労働一生活一文化的行動における夫婦の ①社会的諸行動の相互規制と調整による夫
もに対立を拡大し,同時
対等性の拡大と対立。
婦の対等性の確立(共働きライフサイクに男性・女性の役割葛藤 ル…子どもが小さければ規制は強くなる
を増大させている。
が,子どもの成長とともに自由度は拡大する)。
②家事,子育てにおける男性女性の役割葛 ②男女の性別役割によってではなく,男性,
藤の増大。
女性それぞれの個性発揮による協同的な家事と子育ての拡大。
(1)夫婦や家族の生活に時間的・精神的余裕がない。また,生活における夫婦や家族の協 同関係が未形成である。
共働き夫婦は忙しい。長時間労働,通勤に時間がかかる,残業・付き合いなどの日本的 労働慣行が夫婦や家族の生活時間を奪っていく。生活時間が少なければなおさら夫婦は家 事や育児を協同し,夫婦の時間をつくるべきであろう。しかし,現実には家事や育児での 夫の参加は少なく,大半を妻が担っているのである。妻が少ない生活時間のなかで家事や 育児に専念している時,多くの夫たちはテレビを観ているか,まだ帰宅していないのであ る。このことが夫婦の少ない生活時間をさらに縮めてしまっている。「妻の負担は夫の余 裕」,そんな夫婦の関係から何かが生れるのだろうか。夫は仕事で疲れているだろうが,妻 だって同じはずなのだ。それを理解しあい,夫婦一緒に家事や育児をする,それによって 二人で二人分の余裕をつくる必要があろう。
妻は,家事や育児を一緒にするよう夫に要求すべきである。何故それが要求できないの であろうか。妻は,働くだけでも夫に迷惑をかけているのに家事,育児までさせられない
(迷惑論),家事や育児は女性がすべきものである(女性の役割論),夫は家事や育児をす る気もする時間も,ましてやそれをする能力もない(不可能論)などと考えてはいないだ ろうか。しかし,様々の理由があるとしても結局は妻がひきうけざるをえない根本的な要 因は,家事や育児それ自身の性格のなかにある。毎日毎日が同じ事の繰り返し,洗う,干 す,たたんで片付ける。つくる,食べる,洗って片付ける。掃除,汚れる,掃除など。日 常生活は雑多な仕事の繰り返しである。そしてそれらの多くは,「元に戻す」という特徴を もっており,他からの評価を受けずらいのである。例えば,汚れた部屋を掃除したとしよ う。人は部屋が汚れていれぼ文句の一つも言うだろうが,整理整頓されている時はそれを 当然な状態とみなしがちである。なぜなら,整理整頓された部屋からは,汚れた状態やそ れを掃除している過程がまったく見えないからである。
たしかに,料理づくりは創造である,子どもと遊ぶこともたのしい。しかし,家庭生活 を支えているほとんどの家事,育児が「雑多で,他から評価の受けずらい元に戻す労働の 繰り返し」だとしたら,家事・育児労働は「せざるをえない必要悪」となりたのしいもの ではない。せざるをえないものの分担や平等化は,それが正当な主張であるとしても実現 することはむずかしい。夫の家事や育児への「些細な協力」さえ,夫のやさしさや人間性 によるものと評価される現実的な誤解の根拠もこの辺にある。いやなことも夫婦で,家族 みんなでやれぼたのしい,その側面の拡大も必要であるが,同時に,家事・育児労働それ 自体をたのしいものに変えていくことが重要である。
労働時間,家事・育児労働の問題とともに,子育てを中心に形成される夫婦の生活とラ イフサイクルの問題がある。今日,夫婦・家族の日常生活とライフサイクルは,子どもの 成育過程によって決定的な影響を受けている。妻は子どもが産まれると退職し,子どもが
4,5年生になると再び就職する(妻のM字型就労形態)。子どもの成育とともに教育費を はじめとする子どもにかかる家計支出は急増し,子どもが大学へ行くころ家庭経済はもっ とも深刻な状況となる。そして家庭経済は,子どもが就職し自立することによってはじめ て一息できるのである。このように家庭生活が子育てを中心に展開していかざるをえない のは,子どもは私的に育てるべき(私的責任),子どもには母親が一番いい(母子関係 論),受益者負担主義の拡大などによってつくられているのだが,このことが妻や夫,さら
には家族の自己実現の可能性を三二なものにしているのである。
現実的基本対応として以下のことが必要となろう。
①労働時間の短縮(社会的課題)。残業と付き合いの短縮と制限による夫婦・家族生活と の部分的な「調和」。
②家事労働における夫,子どもの参加と家族協同性の日常的な拡大。家事労働の創造性 と「たのしさ」の拡大。
③子育てを含めた夫婦・家族の総合的な共働きライフサイクルの形成。
④余暇の共働き夫婦的編成。
(2)共に働くことで夫婦それぞれが労働条件,労働内容などのもつ諸矛盾の影響を受ける (労働疎外)が,それを支え合うことは極めて少ない。
共働き夫婦は,働くことによる「喜び,悲しみ,辛さ」を支え合う必要がある。共に働 くことによってのみ,夫婦の社会経済的な対等性は実現していくであろう。そして,これ を基礎に家庭内における夫婦の関係は対等なものになっていくはずである。しかし,働く ことにおける夫婦の対等性は,同時に労働のもつ諸矛盾を夫婦それぞれが抱えることを意 味している。このことをもっと重視しなければならないだろう。
現在の労働の多くは「賃労働」であるが,「過労死」という言葉が発生する程,労働時 間,労働条件,賃金など様々な問題を抱えている。また,雇われて働く場合,労働者の主 体性は労働過程の従属的な位置におかれてしまう(単純労働,部分的労働など),そのため 必要なかぎりでの部分的な能力の形成がはかられるだけで,労働における自己実現性は弱
いのである。労働がよろこびとならず,そして自己を発達させることが少なければ少ない ほど,仕事は生活の手段としての性格を強めていく。「仕事は辛いものであるが,生活のた めに頑張ろう」ということになっていくのである。
このことによって,夫婦はお互いの仕事の話をあまりしない,仕事のことはできるだけ 家にもちこまないという関係に陥りやすいのである。仕事それ自体を家庭にもちこみ,生 活時間を圧迫することは基本的に良くないであろうが,お互いの仕事の内容,職場の状況 を話し合うことが少なければ,共働き夫婦は支え合い,励まし合うことはできないであろ う。そしてこのことが,生活時間や余暇時間を貧しいものにしているのである。
共働きをしていくうえで生活時間や余暇時間は,夫婦にとっても,家族にとっても特別 な意味をもっており,それは夫の休息や夫のよる家庭サービスなどの時間ではない。共働 き夫婦は少ない生活時間と余暇時間のなかで,共に休息(疲労回復)する,家事・育児を する,文化やスポーツ活動をしなければならないが,それらは時間が少ないことによって 矛盾し合い,それぞれが不十分にしか展開できないのである。しかし最大の問題は,共に 働いていることを理解し合い,少ない生活時間と余暇時間を夫婦や家族のために編成しよ うとする努力が欠けていることであろう。このことによって,日曜日,妻は家事と育児に 追われているのに,夫は趣味や遊びに行くなどという状況がつくられていく。
現実的基本対応として以下のことが必要となろう。
①勤務状況の相互理解と改善運動への労働者的連帯。
②労働力能の個人的,集団的(研究会,サークルなど)形成とそれにたいする夫婦的支 え合い。
③仕事自体ではなく,仕事内容や職場の状況について日常的,継続的に理解を深める。
④家事・育児における夫婦協同の拡大とそれによる休息時間の夫婦的確立。個人,夫婦,
家族の文化活動やスポーツ活動など生活文化の拡大。
(3)共働き夫婦は対等性とともに対立をも拡大し,同時に男性・女性の役割葛藤を増大さ せている。
共に働くことは,夫,妻(男,女)それぞれが社会的に自立し対等な関係になっていく ことである。そして夫婦は,性差による役割関係を越え,労働一生活一文化的行動などす べての面で対等性を確立していくであろう。しかし,この対等性は夫婦関係のなかに新た な対立をつくりだしているのである。社会的に生きようとすればするほど,人間関係や社 会的諸活動(会合,行事,研究会,組合,付き合いなど)の範囲とそれに必要とする時間
は,夫婦ともども増加していくことになる。そしてこれらは性別役割分業,すなわち家に 家事や育児を主に担当しているものがいることを前提に,夜や土曜,日曜に開催,実施さ れることが多いのである。もしも共働き夫婦のそれぞれがそのほとんどに参加するならば,
夫婦や家族の生活は成り立たないであろう。現在の共働き夫婦は,このことを夫には保障 し妻はできるだけ自己規制する,また,させられているのである。社会的諸活動への妻の 参加要求が高まっている現在,夫婦は相互の規制と調整によってそれを保障しあう必要が あろう。そうしなければ,共働き夫婦は対立を深めていかざるをえない。
労働や生活において夫婦が対等になっていくとき,男性がすべきことか,女性がすべき ことか,それぞれの役割は何かなどが問われ,家庭内においても家事・育児をめぐって役 割葛藤が増大していくであろう。共働き夫婦における家事・育児をめぐる役割葛藤は極め て深刻である。しかし今日,性の役割や分担を問うこと,それ自体が意味のないことであ る。職場では,男性か女性かによる仕事上の格差は大幅に縮小してきた(母性保護の課題 は残されている)。にもかかわらず家事・育児は依然として女性のみの役割であるかのよう な理論や意識が根強く残されている。「性別役割分業を前提とした子育てにおける男性の機 能,女性の機能」論を,共働き夫婦にあてはめるべきではない。共働きの男と女はそれぞ れが社会性と家庭生活性とをもっていくのであり,そこに性差などはなく,あるものはそ れぞれの個性であろう。性差とその役割ではなく,個性の発揮による協同的な夫婦として の新しい機能が求められているのである。
現実的基本対応として以下のことが必要である。
①社会的諸行動の相互規制と調整による夫婦の対等性の確立(共働きライフサイクルの 追及………子どもが小さければ規制は強くなるが,子どもの成長とともに自由度は拡 大していく)。
②男女の性別役割によってではなく,男性,女性それぞれの個性発揮による協同的な家 事と子育ての拡大。
(4)運動の方向性と会話の拡大
夫婦の会話を発展させなければ,共働き夫婦は成立しえないであろう。共働き夫婦が豊 かに発展出来ない原因は,豊かさの少ない労働内容,生活時間を保障しない労働諸条件や 女性を一人前に扱わない労働形態,子どもの社会的保育(保育所,学童保育など)の未整 備,家事・育児は妻(女性)の仕事と考える性別役割分業意識などであり,これらは個々 の夫婦の努力だけで解決できるようなものではない。しかし,社会的にしか解決できない のであれば社会的に解決していく努力が共働き夫婦に求められるのであり,同時に,社会
的課題を夫婦間の対立とすることなく支え合いによって夫婦と家族をつくっていく必要が あろう。この意味で,現在は「共働き夫婦づくり」の段階にあるといえよう。
「共働き夫婦づくり」の運動方向と内容は前述したが,これを日常的に保障し発展させ ていくものは,夫婦の会話であろう。これまで「夫婦は会話をしたほうがいい」「すべきで ある」など会話一般の必要性は言われてきたが,共働き夫婦の形成によって夫婦の会話は はじめてその内容と方向を獲得する段階になったのである。
現在の共働き夫婦は,困難と可能性とを秘めている。この現状と発展可能性を具体的に 明らかにしていかなければならないだろう。
第2章共働き夫婦と会話
この研究を進めるにあたり,長崎市と佐世保市(いずれも長崎県)における公立小学校 の30才から49才までの女性教諭200名にたいし,郵送によるアンケート調査を行なった
(1989年12月19日から12月28日)。回収率は43.5%(回収した調査票は87)である。これを 年齢別にみると,30代前半20部,30代後半24部,40代前半20部,40代後半23部となる。尚,
調査員は柳田と教育学部4年生大久保朋子である。
現在の共働きのなかで,妻が教員というのはもっとも恵まれた形態である。労働時間,
賃金,専門性,育児休業などの労働諸条件は,男女の平等が実現しかつ女性は出産後も仕 事が続けられるようになっている。またこれを基礎に,対等な夫婦関係が発展する可能性 をもっているのである。妻が教員の共働き夫婦を検討することによって,共働き夫婦の現 状と課題とを探り出してみよう。
まずはじめに,妻の年令から夫の職業と子どもの数(表2)を見ておこう。全体的な特 徴は,教員は教員同士で結婚し子ども二人を育てながら共働きを続けているようである。
これを妻の年令別で見ると,30代と40代では夫の職業に大きな違いがある。40代は教員同
職2 妻の年令からみた夫の職業と子どもの数
区分
30〜34才(20人) 35〜39才(24人) 40〜44才(20人) 45〜49才(23人)合計(87人)
教員 40.0%(8人) 37.5(9人)
75,0(15人) 65.2(15人) 54.0(47人)夫 公務員 25.0 (5人) 20.8(5人) 10.0(2人) 17.4(4人)
18.4(16人)の職
会社員など
35.0 (7人) 16.7(4人) 15。0(3人) 8.7(2人)
17.2(15人)業 自営業 0.0 (0人) 16.7(4人) 0.0(0人)
0.0(0人)4.6(4人)
無 職
0,0 (0人) 4.2(1人) 0.0(0人) 0。0(0人) 1。1(1人)
いない 20.0%(4人) 8.3(2人) 10.0(2人) 0.0(0人) 9.2(8人)
1人
15.0 (3人) 12.5(3人) 5.0(1人) 13.0(3人)
11.5(10人)子ど 2人
45.0 (9人)
41.7(10人) 55.0(11人) 56.5(13人) 49.4(43人)も 3人
20。0 (4人) 37.5(9人) 25.0(5入) 26.1(6人)
27.6(24人)の数 4人
0.0 (0人) 0,0(0人) 5.0(1人) 4.3(1人) 2.3(2人)
平均 1。7人 2.1人 2.1人 2.2人 2.0人
注1.子どもの年令。30〜40才:ほとんどが幼児,大きい子でも小学校1年生(3人)
35〜39才:ほとんどが幼児と小学生である。
40〜44才:小学生中・高学年と中学生が中心である。
45〜49才=高校生と大学生が中心である。また,社会人も7人いる。
士の結婚が7割と多く,これに他の公務員を加えると8割以上が公務員となる。これにた いし30代は,教員同士の結婚が4割弱まで激減する。30代の結婚相手は,他の公務員,会 社員,自営業なども多くなり範囲が拡大している。しかし,減少するとはいえ6割の人は 教員を含めた公務員を結婚相手に選んでいるのである。子どもの数は二人を中心に変動す
るが40代は少なくても二人以上,30代は多くても三人を特徴としいる。また,30代の子ど もの数は,「いない」から3人までに多様化しており,そういう形をとりながら徐々に減少 しているのである。
共働きを続ける上で,夫の職業と子どもの数は重要な要素である。30代と40代との違い に着目しながら検討していこう。
(1)共働き夫婦の会話曲線と「ながら」会話
夫婦の会話は,話題の範囲,頻度ともに多いようである(表3)。会話の内容は,子育て や仕事・職場についてのことが多く,趣味や時事問題については多くない。また,年令階 層でみると40代前半の会話が非常に少なくなるような,共働き夫婦の「会話曲線」が存在
している。
この「会話曲線」は,夫婦の会話は30代前半に話題の範囲,頻度とももっとも多いこと を示している。これが30代後半になると子育て中心の会話となり,いろいろな会話ができ にくくなっている。会話を増やしたいという要望は30代後半に多くなり,逆にみると会話 のできないストレスがこの年代に集中していると言えよう。子どもが小学校中・高学年や
表3 夫婦の会話 単位:%
区 分 30〜34才 35〜39才 40〜44才 45〜49才 合計 夫婦の会話 よくする 70.0 70.8 45.0 65.2 63.2 時々する 30.0 20.8 35.0 21.7 26.4 あまりしない
0.0 8.3
20.0 13.0 10.3 子育てについて よくする 60.0 66.7 35.0 47.8 52.9 時々する 35.0 16.7 50.0 43.5 35.6あまりしない
5.0
16.7 15.08.7 8.0
仕事職場につい よくする 50.0 45.8 40.0 47.8 46.0て 時々する 45.0 45.8 35.0 34.8
402
あまりしない
5.0 8.3
25.0 17.4 13.8 趣味・スポーツ よくする 30.0 25.0 10.0 30.4 24.1 について 時々する 60.0 45.8 35.0 43.5 46.0、 あまりしない 10.0 29.2 55.0 26.1 30.0 時事問題につい よくする 40.0 41.7 25.0 39.1 36.8
て 時々する 45.0 45.8 50.0 43.5 46.0
あまりしない 15.0 12.5 25.0 17.4 17.2 今後の会話 増やしたい 25.0 62.5 30.0 13.0 33.3 いまのまま 75.0 31.5 70.0 87.0 66.7 減らしたい
0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
中学生となり手がかからなくなる40代前半になると,夫婦の会話は全体的に縮小し危機的 な状況を迎えることになる。40代後半になり,40代前半につくられた夫婦の会話の危機は 改善され,話題も子育て,仕事・職場,時事問題,趣味・スポーツなど豊富になっていく。
しかし,40代後半でもう一つ注目すべきことは,40代前半の会話の危機を乗り越えている 夫婦とその危機をひきずり,持ち越してしまう夫婦がいることであろう。すなわち,40代 後半になると「よく会話をする夫婦」と「あまり会話のない夫婦」とに分かれていくので
はなかろうか。
このように共働き夫婦の会話が「会話曲線」を形成するのは,会話の内容が子育て中心 であり,それが年令的な格差をつくりだしていること,また,生活時間に余裕のでてくる 40代後半で趣味が活発になり,夫婦の会話は回復してくるのであろう。そして,会話の年 令階層的な増減は,年令にはあまり関係のない「仕事・職場について」の会話があること で支えられているようである。しかし,会話が曲線を描くのは,共働き夫婦の会話が日常 生活に流され,夫婦の会話が目的意識的に追及されていないことを意味している。これは,
夫婦の会話が「夕食を食べながら」「テレビを観ながら」「残業しながら」など「ながら会 話」に集中し,「テレビを消して」「ゆっくり時間を取って」するなどがきわめて少ないこ
とからも言えることであろう。
(2)家事・育児と夫婦の会話
共働き夫婦は家事・育児で協力し合わなければ,会話時間をつくりだすことは困難であ る。また,家事・育児が主に妻によってなされることが40代前半の夫婦の会話の危機をつ
くっていると思われるのである。
共働きの夜は毎日が忙しい。夕食の準備,夕食,後片づけ。子どもや自分たちの入浴。
洗濯。子どもの勉強。子どもが小さければ寝かすだけでも大変なのだ。ましてや,子ども が中耳炎や虫歯,アトピー性皮膚炎,ゼンソクなどで通院していると肉体的な疲労だけで なく精神的な疲労が加わってくる。子どもが眠り一段落する,そして自分の明日の準備を するころに,疲れはピークに達している。ここで夫婦の協力はどうなっているだろうか。
妻と夫の帰宅時刻(図1)をみると,ほとんどの妻は午後6時15分までに帰宅している。
夫たちの帰宅も比較的早く,教員,公務員のほとんどと会社員の一部が7時までに帰宅し ている(全体の6割)。会社員の帰宅はほとんどが8時から9時の間に集中する。自営業の 夫が仕事の性格であろう9時以降に帰宅しているが,教員,会社員のなかにも9時以降に 帰宅したものがいる。夫が午後7時以前に帰宅するなら,家事・育児を一緒にしたり,夫 婦が会話をしたりする時間的な余裕はあるだろう。一緒に夕食を食べた夫婦が6割(30代 前半55%,30代後半74%,40代前半45%,40代後半74%)となることから,その可能性は 十分あると思われる。
6割の夫が午後7時以前に帰宅し,夫婦一緒に夕食をとっている。しかし,家事・育児 を協同している姿はあまり見られないようだ。妻が夕食の後片づけをしている時,一緒に 後片づけをする(7人),夫が主にする(3人)のは,ほぼ1割にすぎず,ほとんどがテレ
ビを観ているか子どもと遊んでいるのである。年令的には,30代がテレビを観るか子ども と遊ぶ,40代はほとんどがテレビを観ている。このことから夫は,家事・育児を直接手伝 うのではなく,子どもが小学生までのうちは子どもと遊ぶことによって,妻の家事と育児 を間接的に支えていると言えるだろう。夫が重い腰をあげ家事・育児に参加するのは,妻
24二〇〇
23:00
22:00
21:00
20:00
19:00
18:00
17:00 夫
図1 妻と夫の帰宅時刻(平日)
◎
♪ぐ
◎ △ ◎
△◎
◎麹 ◎◎
△ △ △,、△◎
△
△
◎ ○ △◎△
唇
品畠◎ ○
◎
◎ ○
0808◎
合◎
・○ ◎ ◎ ◎ ◎
妻 の 帰 宅
ブ イ
ン 18:15◎
夫の職業◎教員 ○公務員 △会社員 ×自営業
(なお、自営業2人は当日中に帰宅していない)
○
◎ ◎
ド」
◎
妻 17:00 18:00 19:00 20:00 21:00 22:00
表4 妻と夫の日曜日の過ごし方(複数回答) 単位:%
区 分 30〜34才 35〜39才 40〜44才 45〜49才 合計 家事に追われる 85.0 82.6 75.0 73.9 79.1
趣味,くつろぐ 35.0 17.4 50.0 65.2 41.9
子どもと遊ぶ 40.0 34.8 15.0
4.3
23.3 妻 家で仕事(残業) 10.0 17.4 40.0 21.7 22.1ショッピング,映画 15.0 17.4 15.0
8.7
14.0ドライブ,スポーツ,ハイキング 15.0 17.4
0.0 8.7
10.5友人との交際
0.0 4.3 0.0 4.3 2.3
出勤する
0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
子どもと遊ぶ 70.5 54.2 20.0
4.3
36.8家事を手伝う 40.0 29.2 35.0 34.8 34.5
家で趣味を楽しむ 15.0 25.0 50.0 47.8 34.5
家族と買物,ドライブ 30.0 33.3 25.0 26.0 28.7 夫 出勤する 25.0 25.0 25.0
8.7
20.7一人で遊びに行く
5.0 4.2
15.0 39.1 16.1 家で仕事(残業)5.0
12.5 20.04.3 9.2
友人との交際
5.0 4.2 0.0
ユ3.05.7
家で休養する5.0 4.2 0.0 8.7 5.7
の帰宅が遅くなる時の夕食の支度(3割),子どもの看病のために妻と交代でやすむ(2割)
時である。日常の生活で夫は家事・育児に直接参加しておらず,緊急避難が必要なときに 一部の夫が参加してくる程度である。
これを,妻と夫の日曜日の過ごし方(表4)で見てみよう。日曜日,妻たちは家事に追 われる。家事が済んだら30代は子どもと遊び,40代は趣味とくつろぎが多いようだ。これ にたいして夫は,30代で子どもと遊ぶ,40代で趣味を楽しむことが多くなる。また,家事 を手伝う夫が年令に関係なく3割強おり,共働き夫婦は「日曜日に家事の協同関係を発展 させる」と言えそうである。このことは,家族で買物,ドライブなどが日曜日に集中し,
早く家事を済まそうとする努力によるものであろう。
共働きといえども家事・育児は妻の仕事になっている。それを夫たちは,早く帰宅し子 どもと遊ぶことで支えている。子どもが成長し子どもと遊ぶことが少なくなるにしたがっ て,妻は家事,夫はテレビと趣味になってしまうであろう。40代後半で日曜日一人で遊びに 行く夫が急増する,それは家事・育児における直接的な協同の弱さの反映ではなかろうか。
(3)仕事と夫婦の会話
共に働いているということを,夫婦はどのように支え合っているのだろう。会話曲線の 分析の際,夫婦の会話は共に働いていることで支えられているが,目的意識性が弱く発展 性に乏しいと性格づけておいたが,はたしてどうなのであろうか。
「労働会話」が発展する条件は,自分の仕事にどれだけ主体的に関わろうとしているの か,そして相手の仕事をどれだけ理解しようとしているのかにかかっている。仕事と夫婦
表5 仕事と夫妻 単位:%
区 分 30〜34才 35〜39才 40〜44才 45〜49才 合計 研究会・ 官 参加している
30.0 37.5 68.4 47.8 45.3
サークル参 製 参加していない
70.0 62.5 31.6 52.1 54.7
加 民 参加している25.0 47.8 35.0 47.8 39.5
問 参加していない75.0 52.2 65.0 52.1 60.5
仕事書籍購 よく購入する
25.0 70.8 45.0 60.9 51.7
入 時々購入する55.0 29.2 50.0 34.8 41.4
ほとんど購入しない
25.0
0.0 5.0 4.3 6.9夫の書籍を よく読む 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
よむか 時々読む
20.0 43.5 35.0 39.1 34.9
ほとんど読まない
80.0 56.5 65.0 60.9 65.1
家で残業を 二人ともよくする
45.0 26.1 55.0 52.2 44.2
するか 妻はよくする25.0 60.9 40.0 39.1 41.9
夫はよくする 0.0 4.3 5.0 4.3 3.5
二人ともあまりしない
30.0
8.7 0.0 4.310.5
残業の手伝 二人ともよく手伝いあう 0.0 0.0 5.0 0.0 1.1い
夫はよく手伝う25.0 16.7 25.0 13.0 19.5
妻はよく手伝う 0.0 0.0 5.0 0.0 1.1
手伝いあうことはない
75.0 83.3 65.0 87.0 78.2
(表5)で,研究会やサークルへの参加状況などを見てみよう。ここでの特徴は,30代前 半,30代後半以降との間に大きな格差があることであろう。30代後半以降の人たちは,官 制(学校,教育委員会主催),民間の違いはあるがほとんどが研究会,サークルに参加し,
書籍購入も多く,また仕事を家ですることも多い。これにたいして30代前半では,研究会,
サークルへの参加が半減し書籍を購入するものも大きく減少している。30代前半は小さい 子どもをかかえており,共働巻をするだけでも大変なのだが,主体的な努力も後退してい
表6 研究会,サークル参加(妻)と仕事の会話 単位:%
区分
仕事のことは話してもわからない フで,話さないほうがよい
お互い仕事上のことは干渉しない ルうがよい
家では仕事や職場の話はしないほ
、がよい
研究会,サークル ヨの参加状況
官民両
Q加官制に
Q加
民間に
Q加
どちらえも
s参加
官民両
Q加
官制に
Q加
民間に
Q加
どちらえも
s参加
官民両
Q加
官制に
Q加
民間に
Q加
どちらえも
s参加 強く思う
?髓 度はそう思う
?ワり思わない Sく思わない
0.0
Q5.0 T0.0 Q5.0
0.0
P3.0 R9.1 S7.8
00
R3.3 R8.9 Q7.8
3.3
Q0.0 T0.0 Q6.7
0.0
T0.0 R7.5 P2.5
0.0
R4.8 S7.8 P7.4
5.6
U6.7 Q2.2
T.6
3.3
U3.3 R0.0
R.3
00
R1.3
T00
P8.8
0.0
P3.0 R9.1 S7.8
11.1
T.6
V2.3 P1.1
3.3
R0.3 T3.3 P3.3
合 計
100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0注1.官制,民間いずれの研究会,サークルへも参加しているもの16人。官制のみの参加23人。
民間のみの参加18人。いずれにも参加していないもの30人である。
るのではなかろうか。
しかしより問題なことは,この主体的な努力が夫婦関係の発展に結びついていかないこ とであろう。家に仕事を持ち帰った時,その仕事を手伝うのではなくその仕事が出来るよ うな条件をつくることで支え合っている。「夫の仕事上の書籍を読みますか」という問の答 えでも,夫の仕事内容を理解しなければならないという切実さはないようである。
これを研究会,サークルへの参加状況別(表6)に見ると,参加,不参加にはあまりか かわりなく「仕事の話はするが,干渉しないほうがいい」という考えが大勢をしめている
ようなのだ。また,これらの表からは明確ではないが,夫が教師でない場合は「仕事(職 種)が違えば,仕事の話はできにくい」(後述)とする考えも多い。
この調査で仕事における主体的な関わりの状況までは性格づけられないが,仕事の話を 家庭,夫婦ですることやお互いの残業を保障しあうことは比較的行なわれているようであ る。しかし,「干渉しないほうがいい」すなわち批判,議論,学習しあうことは少ないと言 えよう。
第3章夫の職業と夫婦の会話
共働き夫婦の会話を,妻の年令と夫の職業とをクロスして検討しよう(表7,表8,表 9,表10)。全体的な特徴は前述したとおりだが,ここでは夫の職業,教員,公務員,会社 員,自営業に区別して分析する。
(1)夫が教員の場合
夫婦の会話は年令に関係なく比較的多いが,妻が40代前半の時にもっとも少なっている。
夫の帰宅時間は30代で早いが,40代になると早く帰宅する夫と帰宅の遅い夫に分かれてい くらしい。帰宅の遅い夫との夫婦関係は全体的に豊かではない。また,30代では家族,夫 婦で買物や遊びに行くことも多いが,40代になるとそれが非常に少なくなるのである。仕 事についての会話は多く職場の状況なども知っているようだが,40代になると「干渉しない,
家にもちこまない」という人が多くなるのである。子育ての必要度が30代と40代との差異を つくりだしているが,40代の夫婦はそれぞれの努力の差が顕著に現われているのだろう。
(2)夫が公務員の場合
公務員の帰宅は早く,それは30代で顕著に現われている。帰宅の早いことが,夫婦の会 話や子どもと遊ぶ,さらに,家族,夫婦で買物や遊ぶ,夫婦そろっての食事などを多くし ている。しかし,職場・仕事の話をあまりしない,お互いの仕事の内容をあまり知らない 状態がつくられているようだ。仕事のことは「干渉しない」「家にもちこまない」「夫には わからない」が,年令とともに増加していくのは,これの反映と思われる。
(3)夫が会社員の場合
会社員の夫は帰宅時間が遅い,これは年令に関係なく全体的な特徴である。そのため普 段の家事・育児への参加も少なく,夫婦一緒に食事をとることすら少なくなっている。た だし日曜日など,家族や夫婦で買物,遊びにいく努力はされているようである(年令差が ある)。また,夫が会社員の場合,お互いの仕事に干渉しない,家にもちこまないというこ とがもっとも強くあらわれている。妻の会話要求も強い。
(4)夫が自営業の場合
夫が自営業を営んでいるのは,30代後半の4ケースだけである。また,自営業は種類が