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1妻の婚姻費用分担請求に対し,夫と同棲中の他女

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(1)

一刀掘卜岬  

617  

判例研究   

1969年10月,本学の法律関係の経済研究所所員を中心紅,法律研究会が結成された。毎   月1回,原則として,判例研究をしたいと思っている。したがってニ,今後,本論叢に掲載  

される判例研究は,同研究会での討議を経て∴成ったものである。ただし,論稿の賓任は執  

筆者に・ある。  

1妻の婚姻費用分担請求に対し,夫と同棲中の他女   の生活費を,夫方の生活費として算入することの可否  

(鳥取家裁米子支部昭41(家)ユ0号,昭4111・・15審判恕容,抗告棄却,家裁月報ユ9巻7専78貢)  

山 脇 良 司   

本音判ほ,妻の婚姻費用分担請求に対し,別居の原因となった現紀夫と同棲中の   他女を明確に重婚的内妻と認め,その生活費を夫方の生活饗として.静入した唯一・の   審判例である。本審判が妥当な婚姻費用分担額を決定せんとするため,事実的側面   を監視して言いる点は,まことに魅力はあるけれども,望婚的内縁を認定し,それを   法的紅保護した従来の判例が,重婚的内縁の成立要件を厳格紅解している根拠に立  

ち戻れほ,やはり,叫・夫一層制の現行法秩序における盈婚的内妻の位置づけを曖昧   にする本審判は問題があると私は思う。なお本件は判タ219号に・も掲載されている。  

〔参照条文〕民法760粂   

≪事実≫Ⅹ女とY男は,昭和30年12月に結婚し,Yの実母Cとともに結婚生活を続け,  

昭和32年2月長女Alを,昭和33年12月長男A2をもうけた。結婚当初は,家庭内のいざこ   ざもなく平穏な結婚生活を続けていたが,そのうちⅩの理知的で勝気な性格に・なじめなく   なったYが,昭和34年4月噴から件外Z女と情を通ヂるよう紅なり,家庭内に・不和が生ず   るように.なった。昭和34年12月9日頃,Yは.Xに対し,冷却期間をおいて十人粧してこ考え   させてくれとの理由で突如1ケ月位の別居を提案し,ⅩはYの姉夫婦・仲人等と相談した   結見不本意ながらAlを連れて米子市内の実家に身を寄せた。ところが離婚を決意して  いたYが同月13日頃,一方的に.離婚を要求してきたが,離婚の意のないⅩは,これを拒絶  

しながらYの翻意を待ち,昭和35年3月頃に・は,自らの意思で一旦Yのもとに・帰ったが,  

Yに冷遇され,とても同居しうる状況にないので,約5日程で再び実家紅・戻るのやむなき   

(2)

第42巻 第畠号  

618  

−Jヱ∂・−  

に至った。その後,Yが同年4月頃,Ⅹの荷物を一方的にⅩのところに送付し,同年5月   頃紅はZと同棲するかたわら,Ⅹ紅再婚したから帰るに及ばない旨連絡してきたので,Ⅹ   は,YとZとの関係もいつかは冷却し,いずれ正常な結婚生活に・復帰できると考えて,や   むなく別居のまま現在に.及んでいるく。Ⅹは現在,Alとともに.Xの実家の一・部を借り,某   会社に勤務し,手取月収17,744円を得ている。しかしながら,それだけでは到底生活が維   持出来ないので,毎月8,000円を姉弟に.借り,合計毎月約25,600円の生活を送って:いる。他  

方,Yほ現在,Z,A2,C及び昭和37年4月紅Zとの間に也生したB(Y認知)ととも  

(1)  にり大阪市把住み,其営業所次長として勤め,手取月収101,971円を得ている。叙上の状   

況において,ⅩはY紅対し,結婚生活が正常な状態に.戻るまで,Ⅹ及びAlが,Yと同一  程度の生活をするために.,婚姻費用の分担としで毎月3万円を支払えとの審判を求めた。   

≪判旨≫〔婚姻費用分担義務の有鯨〕Yが某営業所次長の俄に・あり,Ⅹがその妾とし    ての体面を保ちつつ,Alとともに生活するために,月収17,744円で足りないことは,現    に・Ⅹがその姉弟から月8,000円の借金をしながら生活しでいること,及び,現在の経済事    情,∵般の生活水準,Ⅹの必要経費の内訳等からして明らかである。しかしてニ,本件別居    に至った原因が,その遠因がⅩとYとの性格の不一・致に.あぅたとして:も,直接にはYがZ   

との情交関係に・基き一方的に.Xに別居を要求し,遂に.はZと同棲するに至ったことに.ある    ことを思えば,本件の別居の原因はもっばらYに.あるといっても過言でないこと,及び,  

(9)  Yの収入とその使途等からして,YはⅩの生活費の不足分を補う義務がある。  

〔婚姻費用の分担の額〕労研方式諺.ゝり,Ⅹ及びAlの最低生活費,及びその不足額を静       (4)  

出すると以下のようになる。なお,Zを家庭の主婦として静入したのは.,現実に.内妻とし    てYと生活し,家事全般は勿論,Yの実母C及び子供の監護・教育に従事しているもので  

●●●●●●●●●●●●●  主婦と同様の生活費を要す・ると考えるからである。  

(1)抗告審では,茨木市紅なっているが,抗告人は,大都市大阪と,Ⅹ方の住む小都市米    子・では,生活費の面で多額の地域差があると主張するが,認められて∴いない。  

(2)交際費4,鋸0円,職菓費15,700円,雑費6,200円,敢立貯金5,000円などがあげられ畠。  

(3)山脇「扶養義務の程度紅ついて」香川大学経済論葦42.】・21.鎚7以下参照  

(4)本審判では,Ⅹ方紅とって,Y方と同程度の生活貿のことを,Ⅹ方の最低生酒費とい    って■いるので注意されたい。   

(3)

1婁の婚姻費用分担請求に対し,夫と同棲中の他女の生活彗を,・−ムけ一  

夫方の生活費として算入することの可否  

619  

労研方式に.よる最低生活費の静定  

Ⅹ及びAlの消費単位合計180  

Y及びC,A2,B,Zの消費単位合計350   消費単位合計530  

Yの月収101,971円,Ⅹの月収17,744円  

Ⅹ及びAlの最低生活費  

(101・971+17,744)×・≡40,65網  

ゆえに,Ⅹ及びAlの不足額40,658−17,捏4=22,914円   

しかして,Ⅹの不足額約23,000円を,Yが負担した場合のⅩ及びYの現実の生活状況の対   比を経費内訳をもと紅考察すると,Ⅹとしてはその借金の返済を別として,ほぼその主張   の生活状況を充足して,3,600円の余剰を生ずることとなる。他方,Yとしては,Ⅹの不   足親を負担する為に伸縮が可能と考えられる項目の合計額碓27,400円であって,その他は   その縮少がかなり困難でせいぜい2〜3,000円と考えられるから,叙上の如き状態で月23,  

000円を負担することは,その生活状況がかなり縮少されるものと考えなければならない○   

以上のような比較考察のうえ,これを静定方式転より静定された不足額と対比すれば,Y   が負担すべき婚姻費用分担額は,本件申立ての日である昭和40年11月26日から婚姻を継続   して別居する期間中,月2万円と考え.るのが相当である。よって履行期の到来しでいる昭   和40年11月26日から昭和41年12月25日までの12ケ月分合封24万円を即時に,昭和41年12月  

から別居期間中毎月2万円を支払うぺきものであるp   

≪研究≫1ZがYに・対して協力・扶助請求権を有するととろの重婚的内妻である声、   

(4)

−J∫2−   第42巻 第5号  

620  

どうかを検討することが本稿の目的である,なお,過去の扶養料の問題も重要であるが,  

木琴では割愛した。   

2 最初把.,重婚的内縁の認否を問題にした判例を検討する。重婚的内縁を怨める判例   が最近,急激に増加しつつあるが(①大判昭12.4い8民集16420 ④大阪地判昭31.8..27下級  

属集7小8.218 ⑧束京地判昭34.12..25家月12小6.146,下級民集10.12.197④大阪地判昭38.  

3.30判例時報338.34,判例タイムズ144.99 ⑤広島高松江支判昭40.11小15判例時報434.42  

⑥東京地判昭411.8。31判例時報474..33 ⑦東京地判昭43い12..10判例時報別4.3一本文中の  

①②……⑦は上に.あげた事例の番号,以下3〜5の事例の引用はすぺてこれに.ならう),藍婚   的内縁の不当破棄による慰謝料請求の⑧例(この場合,法律婚が事実上永らく離婚状態紅  

あり,かつ同棲関係の当事者に.婚姻意思があったかどうかにてっいて不明確なので,藍婚的   内縁といいうるかどうかは疑問である)を除き,その他の事例は,算1紅,法律婚が10数   年以上共同生活の実体がなく破綻して.おり,その間,配偶者は一切,婚解法上の権利を行  

使して.いない。第2に,事実婚は.㊥例(3年で雷婚約内縁の夫死亡)と⑥例(約2年で藍   婚的内縁解消)を除き,10数年以上継続している。算3に.,法律婚が破綻するにあたり,  

明確な離婚合意があったか,それとの関連で有責事由があったかどうか紅ついては認定さ   れておらない(ただし,⑥例では別居後10年して算3者が妻に・戻るように・申入れたの粧対   し,妻は拒絶しているので,明縫な離婚合意があるといえ.ようか。なお,盛岡地判昭31  

5…31(下級民集7.5い306判例時報83・18)の事例は,30年にわたり法律婚の実体がなく,約  

3年の盈婚的内縁期間を経て内縁配偶者が死亡したので,加害者町対し生命侵害檻基く   慰謝料を請求した事例であるが,夫が有費に・より別居したので離婚合意がないとして∴重婚   的内縁と認定されなかった。この判旨を私は疑問に・思う)。第4に,社会的承認が確認さ   れているのが4例(①,㊥,⑤,⑥)あり,第5紅,重婚的内縁関係を認めるに.つき,法   律婚に・ない配偶者の尊意が評価されているのが2例(⑥,⑦)ある(ただし⑨例は,重婚   的内縁関係紅入るにつき,法律婚にない配偶者が悪意であって:も,法律婚が事実上離婚状  

態に.あって,戸藩上形骸をとめて:いるにすぎぬことを認識し,これを考慮に.入れて其面目   な夫婦生活を営むつもりなら,重婚的内縁は認められるという)。   

以上を整理すると,判例は,当事者の尊意・悪意,有資性の有無を問わず,抽象的では   あるが,次の2つの要件を充足しておれば,重婚的内縁は認定され,法的に腐謹されると   いえよう。それは,要件(1),法律婚が事実上永らく離婚状態にあって,復活の見込もな  

く,全く戸籍上に形骸をとめている紅すぎないことと,要件(2),同棲関係にある男女が,   

(5)

1妻の婚姻費用分担請求に.対し,夫と同棲中の他女の生活費を, −∵石ほ一   夫方の生活費として算入すると.との可否  

621  

夫婦としで共同生活の本拠を有して,相当期間公然的な共同生活を継続し,周囲からも容   認されていること,の2つである(⑥例に判示されている)。そして,要件(2匿いう相当  

期間は.,第2の項目(本稿112頁二参照)が示す通り,必ずしも約10年を要しないけれども,  

要件(1)にいう「永らく」とは,約10年程度は要するといえそうである。   

3 次阻重婚的内縁紅関する学説を検討する。従来,一一応,無効説,相対的有効説,有   効説の3つ紅大別されてこきた。重婚的内縁関係が準婚関係としては,一層的に法的保護の  

(5) 外紅あるとする無効説は,内縁関係の法理が既成事実にヌ寸する法的保護の側面において成  

長して.いったということよりすれば,適切ではない(中川淳「民事判例研究」法律時報   38.7.91参照)。したがって,相対的有効説と有効説を検討する。判例で示された要件(1),  

(2)を重婚的内縁成立の最大公約数的な要件とする点は学説もー・致しているのであるが,そ   の内容に若干の差異が見られる。   

まず要件(1)についてい.えば,それぞれの重婚的内縁の実質に即して,その準婚的効果を  

(6) 判断しようとする相対的有効説は,「事実上永らく離婚状態にある」とほ,事実上の離婚  

のことであるから,明確な離婚合意が必要であるとし,したがって,悪意の道東等の有責  

事由によって両者間に.夫婦共伺生活の実体がなくなってこも事実上の離婚ではなく,要件(1)  

は充足しないから,原則として二,患婚的内縁と認定されない,とする(我妻・親族法136,  

高梨「判批」判例評論104 32,島津・家族法入門80)。ただし,同説の立場も,法律婚の  

実質と甲相関関係に・おいで,墓婚的内縁の認否を決定するのであるから,叙上の原則もー  応の原則と考えてよいようである(我妻・前掲200・207高梨・前掲31島津・前掲80)。重  

(7) 婚的内縁を法律婚と同視して,取消しうべき墓婚としての準婚の成立を認める有効説も,  

要件(1)の状態を事実上の離婚と解するのであるが,それは「然示の(離婚)合意でも足る   と解すぺくまた(婚姻が)完全に・,もしくはそれ紅近い程度に破綻している場合には,反   対の積極的な意見なき限り,離婚につき黙示の合意あろものと解して」いる(太田・内縁   の研究164)。したがって,同説では破綻原因たる有望事由があって:も,黙示の離婚合意が  

認められれば事実上の離婚が成立し,要件(1)は充足するから重婚的内縁は認定されるこ  

(5)大原「内縁の概念」家族法大系Ⅱ289,同・注釈民法(20)246以下  

(6)中川(尊)・新訂親族法337,我妻・親族法200,島津・家族法入門80,高梨「判批」判    例評論104.31,山畠「判批」判例評論軋19など  

(7)於保「判例研究」法学論叢亜.1.186,太田・内縁の研究162   

(6)

第42巻 第5弓  

ーJヱ4−   622  

とになる○鱒上の2つの見解は,穿件(1橡事実上の離婚と同じく考え・るものであるが,学   説の中には,要件(1)を婚姻が事実上破綻しておればよく,相当品期間の夫婦共同生活態の継   続と,明確な社会的承認の必要がもっぱら重婚的内縁の認否を決定するとするものもある  

(有地「判批」判例評論62…14)。この見解は,有効説に.近く,私はこの見解に贋成であ・る。   

次紅,重婚的内縁者の着意・悪意の点にンつき,要件(1卜(2)を充足する尊意の当事者が保   護されることは,無効説を除き学説の一致するところである(我妻・前掲200,中川(着)・  

新訂親族法337,太田・前掲162)。悪意の当事者kっいてほ,相対的有効説は安められな  

($)  

い悪意の場合のみ,その当事者は保護されると解している(中川(啓)「藍婚的内縁の効   力」汐ユ・リスト別冊12.17,高梨・前掲32)。なお,有効説でも,藍婚的内縁の悪意の当事者   からの財産分与請求を認めない見解(太田・前掲219)は相対的有効説への接近を示すの   紅対し,「婚姻関係の客観的な破綻があると認定されるときは,その事実は身分法に・おける   事実の克行性から当然に法的評価の対象となり」うるとする見解(中川浄・前掲91)ほ,  

有安かつ悪意の当事者の場合でも,法的保護の対象として,検討の余地を残し七■いる点   で,若干ニュ.アンスの差異がみられる。私は中川浄氏の見解を支持したいと思う。   

次に,重婚的内縁者の婚姻法上の樅利行使紅対してこは,一応,否定する立場と肯定する立   場を設定しうる。前者の根拠は,重婚的内縁関係の存続維持を国家的価値判断に.よって誘   致し,戸籍上の婚姻関係を決定的破壊に導くことは−・夫→婦の婚姻秩序に.立つ現行民法下   では許されぬ,ということ紅ある(有地・前掲14)。なお,有地氏は,重婚的内縁者の他   方に対する協力・扶助等の請求を否定されているのであって二,それらの義務違反紅基く損  

害賠償請求権,それらの義務の存在を前提とする不当利得返還請求権,あるいは.過去紅生  

(9)  

じた財産の清算等の権利行使について:は言及されて:いない。同じ立場であっても嘗井氏   は,重婚的内縁者に.,婚姻法上の諸権札 及びそれに・基く叙上の梅利の一切を認めるとと  

(1(り を,なしくずしに雷婚約内縁の公認につながるおそれがあるとして,消極的紅解される  

(官井「民事判例研究」法律時報41小9・・146)。だが氏の見解は歪婚的内縁者の保護を欠きは  

(8)例として,「法律上の正妻があるが,その妻は他の男と馳落ちをして行方不明である   

から,目下,離婚手続中だといわれて,22才の初婚の娘が結婚を承諾したというような    場合」が,あげられている。(中川(酋)「妥婚的内縁の効力」クエ・リスト別冊12・17)。  

(9)したがって,有地氏の見解を,それらの権利行使は,曳婚的内縁の存続維持を誘致し    て,戸籍上の婚姻関係を決定的破壊紅導くとはいえ.ないから,蛮婚的内縁にあった者の    それらの権利行使は認められる,と解することも出来る。  

はα 氏は「不法行為ないし不当利得の法理によって救済すべきである」といわれる(同   

「判批」同志社法学100.108)。   

(7)

1妻の婚姻贋用分担請求紅対し,夫と同棲中の他女の生活費を, −〟7J5一  

夫方の生活費として算入することの可否  

623  

しないだろうか。後者の根拠ほ,その実体ほ.通常の内縁と異る関係でないから,夫婦共同   生活の実体の存在を前提として「認められている同居・協力・扶助義務は重婚的内縁に.も認   められる,ということである(太田・前掲163同・親族法概説80)。同じ立場をとる山畠氏   は「法律婚について協力・扶助義務が存在しない場合にのみ,重婚的内縁に協力・扶助義   務が認められる」といわれるのであるが(山畠「判批」判例評論94,19),氏は要件(1)の「事実  

り11 上永らく離婚状態にある」を「事実上の協議離婚」と解されることより判断すれば,重婚  

的内縁者の婚姻法上の権利行使は殆ど認められないことに.なる。他方,太田氏のいわれる  

事実上の離婚は,婚姻の実質が完全もしくはそれに近い程度紅失われているかどうか紅よ   って決まるのだから,協力・扶助の権利の消滅,及び発生の時期は極めて不明確である。   

私は事実上の離婚を認定して−,法律上の配偶者の協力・扶助の権利を消滅させるために 

は,余程,厳密に・認定する必要があるど思う。そうすると,やはり,相対的有効説の如く,  

事実上の離婚には,明確な離婚合意が必要であるとし,その場合のみ,法律上の配偶者の   協力ー扶助の権利を消滅させ,婚姻が事実上破綻していても,明確な離婚合意のない限  

り,その配偶者は,協力・扶助の権利を有すると考えるのが妥当であると私は思う。その   場合,重婚的内縁者は協力・扶助の椀利が否定されるかどうか紅ついてほ,私は,重婚的   内縁者も要件1)・(2)を充足しておれぽ,重婚的内縁は謬挙られるのギから,協力・扶助の   権利を有すると考え太い。ただ,有地氏が指摘されたよう紅,重婚的内縁関係の存続維持   を希求する梶利は.,事実上の離婚が成立す・る前紅,重婚的内縁者に認めるわけにはいかな   いけれども,それらの権利に.基く損害磨償請求権や不当利得返還請求権等は,重婚的内縁  

(12)  

者紅も認められるべきだと私ほ.思う。ちなみ紅,雷婚的内縁を認めた判例の⑦例では,法   律上の婁と重婚的内妻に,扶養請求権喪失による損害賠償請求権を認めているのである。   

4 以上で,蛮婚的内縁の認否についての判例・学説の検討を終え.,次に・,本審判を検   討するにあたり,妻の婚姻費用分担請求に対し,夫と同棲中の他女の生活費を大方の生活   費に算入しているかどうかに・ついての審判例・決定例を簡単に見ておこう。1〜3年の夫   婦共同生活しか経ていない仙女はいうに及ばず(⑨松山家審昭40.9・24家月18−・2・82◎新  

仏力 明確な離婚合意(届書作成その他)のはか,さらに,離婚の事後措置(子の監護,財    産分与)紅ついて−も,すべてが解決されたが,離婚届が提出されていない状態をいう   

(山畠・前掲20)  

(1オ 婚姻法上の権利紅基く損害賠償請求権と不法行為に基くそれとが,実際,重婚的内縁   

者紅射し,どの程度の保護の差となるのかほ,今後検討されるべき問題である。   

(8)

算42巻 第5号  

624  

−JJ6−  

潟家審昭41u5,.2家月19..4u82⑲福岡家甘木支審昭41..11..8家月19.7.67),夫は有責である   が,他女との夫婦共同生汚が8年匿わたる場合(⑪大阪家堺支審昭39い6.11家月16…11・  

156),合意別居したまま,夫は仙女と夫婦共同生活6年紅わたる場合(⑱東京高決昭42.  

12..25家月20小7.43)の他女も,重婚的内妻と認められず,したがっで,.協力・扶助請求権   はなく,その生活暫を大方の生活肇華.静入されて1いない。   

5 以上2,3,4より本件を判断すれば,Y・Zの関係は要件(2)は,ほぼ充足するけ   れども,要件(1)を充足していない。なぜなら,法律上の妻が,婚姻法上の権利を行使して 

いる段階では,到底,法律婚が事実上永らく離婚状態紅あるとはいえないからである。重   婚的内縁を認めた判例の算1項目(本稿112頁)からも,⑪・⑩例と類似した事例である   ことからも,Y・Zの関係を重婚的内縁と認めることは要件が不充分である。したがって−,  

私は,Zを重婚的内妻とし,Ⅹの婚姻費用分担請黎に・対し,Zの生活費をY方の生活費と   して算入したところの本審判に.は反対である。   

6 そうであれば,主婦としてのZの生活賀をY方の生活費の中に静入したところの算   定方法ほ訂正されなければならない。そこで,Yの婚姻費用分担額をいくらにすべきかに   つき検討して−みる。分担額算定にあたり,Yは.営業所次長をしているのであるから,職業   経費として収入の2割(審判例・決定例に.おける最高の割合)を,Ⅹほ普通の勤務ゆえ,  

職業経牽として収入の1割を控除しで計算するものとすると,   

Ⅹ方の収入17,744円   

Ⅹ方の実収17,744−1,774(職業経費)=15,970円   

Y方の収入101,971円   

Yおの実収101,971−20,394(職業経費)=飢,577円   

Ⅹ方の消費単位 Ⅹ(95+・25(別居加算))+Al(60))=180   

Y方の消費単位 Y(105)+C(65)+A2(55)+B(45)=270  

ゆえに,Ⅹ方の生活費(15,970+81,577)×=39,019円    ゆえに.,Yの分担額 39,019−15,970=23,049円  

となる。本審判では,分担額が23,000円と算定され,Ⅹ方,Y方の生活状況の比較考察   の上,結局,分担額2万円と決定されたのであるが,Zが重婚的内妻と認められない結   果,計上されたY方の生活費のうちから,Zの生活費が除かれざるを得ないこと(実際に   はY方の生活程度をある程度,引下げること),Yが本来,負担すべきであるのに.負担しな   

(9)

1妻の婚姻費用分担請求に対し,夫と同棲中の他女の生活貿を, −ヱJ7一  

夫方の生活曹として算入することの可否  

625  

かったため,Ⅹは姉弟,及び実家濫毎月11,000円の借金があること(過去の扶養料として   参酌されるぺきであること)を考えれば,YはⅩに,月23,000円の分担額を負担すべきで   あると,私は思う。  

追記 本審判を不服として,Yは広島高裁松江支部へ抗告したが,昭和42年2月6日,  

統告審は,Zを重婚的内妻とし,その生活費を夫方の生活費に算入した本審判を全面的に   認めて,抗告棄却している。なお,同決定ほ公開されて:いない。   

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