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(1)

令和元年度厚生労働科学研究費補助金 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業

「生涯にわたる循環器疾患の個人リスクおよび集団のリスク評価ツールの開発を目的とした大規模 コホート統合研究(

H29

-循環器等-一般-

003

)」

2019

年度分担研究報告書

7.

JACC Study

並びに筑西・神栖コホート研究

研究分担者 磯 博康 大阪大学大学院医学研究科公衆衛生学 教授 玉腰 暁子 北海道大学大学院医学研究院公衆衛生学 教授 研究協力者 今野 弘規 大阪大学大学院医学系研究科公衆衛生学 准教授

村木 功 大阪大学大学院医学系研究科公衆衛生学 助教

山海 知子 筑波大学医学医療系 教授

山岸 良匡 筑波大学医学医療系 教授

木原 朋未 大阪大学大学院医学系研究科公衆衛生学 博士課程 松村 拓実 大阪大学大学院医学系研究科公衆衛生学 博士課程

研究要旨

本研究では

JACC

研究において、①湿疹・じんま疹の頻度と循環器疾患死亡との関連、②血 圧区分と循環器疾患死亡との関連 、③高血圧治療者における収縮期・拡張期血圧値と循環器疾 患死亡との関連、④水溶性ビタミン摂取量と

2

型糖尿病発症との関連、⑤炎症性の食事指数と総 死亡・死因別死亡との関連、⑥生殖歴と循環器疾患死亡との関連、を分析した。また、茨城県の 2つの地域において、コホート研究を構築するための追跡体制の整備を行った。

JACC

研究では、がん、循環器疾患の既往を除く

40

79

歳の男女約

10

万人を対象に

1988

1990

年間にベースライン調査を実施し、

2009

年末までに循環器疾患死亡の有無を追跡 した。また、③のテーマに関しては、ベースライン調査時と

5

年後調査時に

2

型糖尿病の有無を 自己回答による問診票で把握した。解析において、湿疹・じんま疹の頻度は

3

群(あまりでな い、時々でる、よくでる)に、炎症性の食事指数は

5

分位に、出産回数は

6

群に、初産年齢は

5

群に分けて、循環器疾患死亡との関連を検討した。血圧値は

5

[

至適(

120/80

未満) ・正常

120-129/80-84

) ・正常高値(

130-139/85-89

) ・Ⅰ度高血圧(

140-159/90-99

) ・Ⅱ度以上の高血

圧(

160/100

以上)

]

に分けて、降圧薬服薬の有無別に循環器疾患死亡との関連を検討した。水溶

性ビタミン摂取量は

4

分位に分けて、

2

型糖尿病発症との関連を検討した。その結果、湿疹・じ

んま疹がよく出る人では虚血性心疾患死亡が多かった。血圧値は降圧薬非服薬者では血圧区分が

高くなるにつれて、全循環器疾患死亡リスクが高くなるが、降圧薬服薬者では血圧区分が低い人

でも高い人でも全循環器疾患死亡リスクが高かった。降圧薬服薬者において、収縮期血圧値の十

分な降圧がなされた場合、拡張期血圧値の管理が重要となる可能性が示唆された。水溶性ビタミ

ンの中で、ビタミン

B2

、葉酸、ビタミン

C

摂取量が多いと、女性において

2

型糖尿病のリスク

が低かった。炎症性の食事指数が高いと、総死亡および全循環器疾患死亡リスクが高かった。出

産経験がない人、出産経験が多い人、高齢初産において、脳卒中死亡リスクが高く、特に高齢多

産で全循環器疾患死亡リスクが高かった。

(2)

A.

研究目的

日本における大規模な疫学研究である

JACC Study

1980

年代後半、当時名古屋 大学医学部予防医学教授 青木國雄先生を中心 にがんと循環器疾患の疫学研究者が集まり、構 築された日本人約

12

万人の一般住民からなる コホート研究である。

今年度は、①湿疹・じんま疹の頻度と循環器 疾患死亡との関連、②血圧値と循環器疾患死亡 との関連、③高血圧治療者における血圧値と循 環器疾患死亡との関連、④水溶性ビタミン摂取 量と

2

型糖尿病発症との関連、⑤炎症性の食事 指数と総死亡・死因別死亡との関連、⑥生殖歴 と循環器疾患死亡との関連の

6

つのテーマにつ いて分析することを目的とした。

また、茨城県の

2

つの地域(筑西市及び神栖 市)において、新たにコホート研究を行うため の追跡体制の整備を行い、循環器疾患死亡毎に 見た健診所見及び生活習慣別、地区別の死亡者 数及び死亡率の集計を行った。さらに、当該地 域の一部において実施している脳卒中及び虚血 性心疾患の発症登録情報について、その精度管 理指標として、

%DCN

(全登録症例のうち、死 亡票及び死亡個票のみにより把握された脳卒 中・虚血性心疾患症例の割合)を算出した。

B

.研究方法

JACC Study

研究は全国

45

地区に住む住民 を対象に、

1988

年から

90

年の間に自記式問診 票で生活習慣、既往歴などの調査を行い、回答 の得られたもののうち調査時に

40

79

歳だっ た

110,585

人(男

46,395

人、女

64,190

人)

を追跡対象とした。

本研究は、

JACC

研究において、がん、循 環器疾患の既往を除く

40

79

歳の男女約

10

万人を対象に、

2009

年末まで循環器疾患死亡 を追跡した。循環器疾患死亡の死因は

ICD10

に従って分類した。

2

型糖尿病の有無は、問診票を用いて、医師 から

2

型糖尿病の診断を受けたことがあるか、

対象者の自己申告をもとに分類した。

JACC

Study

参加者を対象に、自己申告による

2

型糖

尿病発症の妥当性について、感度・特異度は男 性でそれぞれ

70%

95%

、女性でそれぞれ

75%

98%

であった。

また、茨城県の

2

つの地域において、人口動 態統計の目的外申請を行い、平成

30

年末まで の死因情報を得た。筑西市および神栖市におけ るコホート対象者を追跡し、健診所見及び生活 習慣別、地区別の循環器疾患の粗死亡率の集計 を行った。さらに、当該地域の一部において実 施している脳卒中及び虚血性心疾患の発症登録 情報について、その精度管理に資するた め、

%DCN

として、全登録症例のうち、死亡 票及び死亡個票のみにより把握された脳卒中・

虚血性心疾患症例の割合を算出した。

C

.研究結果

研究1.湿疹・じんま疹の頻度と循環器疾患死 亡との関連

研究目的:皮膚疾患は全身性の炎症反応を伴う ことから、動脈硬化を促進する可能性がある が、循環器疾患との関連については必ずしも一 致した報告が得られていない。そこで、本研究 では、日本人を対象に湿疹・じんま疹のできや すさと循環器疾患死亡との関連を検討すること を目的とした。

研究方法:

JACC

研究で、

1988

1990

年の

ベースライン調査に参加した

40

79

歳男女

のうち、がん、循環器疾患既往のある者を除く

男性

35,489

人、女性

49,610

人を

2009

年末ま

で追跡した。ベースライン時の問診票におい

て、「皮膚に湿疹やじんま疹ができやすいです

か」への回答である「あまりでない」「時々で

る」「よくでる」について、解析を行った。解

(3)

析において、

SAS

統計ソフトを用いて、全循 環器疾患死亡、病型別循環器疾患死亡のハザー ド比を算出した。調整因子は、年齢、性別、

BMI

、飲酒量、喫煙状況、歩行時間、運動時 間、自覚的ストレス、教育歴、睡眠時間、高血 圧既往歴、糖尿病既往歴とした。

研究結果:

1,389,818

人年の追跡期間中に

5,628

人の循環器疾患死亡(虚血性心疾患

1,174

人、全脳卒中

2,454

人を含む)を認め た。湿疹・じんま疹が「あまりでない」人と比 べて、「よくでる」人では虚血性心疾患死亡ハ ザード比が

1.26

95%

信頼区間:

1.01-1.56

) と高かった。この関連は、性別や年齢による大 きな違いはなかった。湿疹・じんま疹と脳卒中 死亡との間に関連は認めなかった。

結論:湿疹・じんま疹がよくでる人では虚血性 心疾患になりやすい可能性が示唆された。

研究

2

.血圧区分と循環器疾患死亡との関連

研究目的:高血圧が循環器疾患危険因子である ことは明らかである。介入研究からは血圧値は 低い方がよいと言われている一方、観察研究か らは高血圧治療者において低い血圧値は循環器 疾患リスクが高いことも報告されている。そこ で、本研究では、日本人を対象に血圧値と長期 的な循環器疾患死亡リスクとの関連を検討する ことを目的とした。

研究方法:

JACC

研究で、

1988

1990

年の ベースライン調査に参加した

40

79

歳男女 のうち、がん、循環器疾患、慢性腎臓病既往の ある者、健診における血圧値が不明の者を除く

29,928

人を

2009

年末まで追跡した。血圧値は

ESC/ESH2018

の基準を用い、至適(

120/80

未満)・正常(

120-129/80-84

)・正常高値

130-139/85-89

)・Ⅰ度高血圧(

140-159/90- 99

)・Ⅱ度以上の高血圧(

160/100

以上)に分

けて解析を行った。解析において、

SAS

統計 ソフトを用いて、

Cox

比例回帰モデルを実施 し、循環器疾患死亡リスクのハザード比を算出 した。多変量調整モデルにおいて、年齢、性 別、

BMI

、血清総コレステロール値、糖尿病既 往歴、喫煙状況、飲酒状況を調整した。

研究結果:

18.5

年間(中央値)の追跡中、循 環器疾患による死亡者は

5,239

人(うち循環器

疾患死亡

1,477

人)であった。血圧区分が高く

なるにつれて、循環器疾患死亡リスクが高くな ることが認められ、降圧薬非服薬者でも同様の 結果であった。しかし、降圧薬服薬者において は高血圧者だけでなく、至適血圧・正常血圧に おいても循環器疾患死亡リスクが高かった。

結論:全集団および降圧薬非服薬者では血圧区 分と循環器疾患死亡リスクが正に関連する。一 方で、降圧薬服薬者では至適血圧・正常血圧で あっても、循環器疾患死亡リスクが高かったこ とから、降圧薬服薬者においては血圧管理の重 要性が示唆された。

研究

3

.高血圧治療者における収縮期・拡張期 血圧値と循環器疾患死亡との関連

研究目的:高血圧者における血圧管理として、

AHA/ACC

では収縮期血圧

130

未満、拡張期血

80

未満が望ましいとされているが、脳卒中 が多いアジア・東ヨーロッパ諸国にも同様の基 準が当てはまるかはわからない。そこで、本研 究では高血圧の日本人において、収縮期血圧 値・拡張期血圧値と循環器疾患死亡との関連を 明らかにすることを目的とした。

研究方法:

JACC

研究で、

1988

1990

年の

ベースライン調査に参加した

40

79

歳男女

のうち、がん、循環器疾患既往のある者、質問

紙において血圧値の回答がない者を除く降圧薬

服薬者

10,061

人を

2009

年末まで追跡した。

(4)

収縮期血圧値は

130

未満、

130-139

140- 149

150-159

160

以上の

5

群に、拡張期血 圧は

70

未満、

70-79

80-89

90-99

100

以 上の

5

群に分類し、解析を行った。解析におい て、

SAS

統計ソフトを用いて、

Cox

比例回帰 モデルを用い、循環器疾患死亡のハザード比を 算出した。調整因子は、年齢、性、

BMI

、飲酒 量、糖尿病既往歴、循環器疾患家族歴、自覚的 ストレス、喫煙状況、身体活動量、教育歴と収 縮期血圧区分または拡張期血圧区分とした。

研究結果:

21

年間の追跡中、全循環器疾患死 亡が

1,081

人(うち脳卒中

565

人、虚血性心疾 患

275

人)であった。脳卒中死亡については、

収縮期血圧値、拡張期血圧値ともに

J

型の関連 を認めたのに対し、虚血性心疾患については、

収縮期血圧値とは正の関連を認め、拡張期血圧 値とは負の関連を認めた。

結論:収縮期血圧値が

130

未満であることは虚 血性心疾患死亡に利益をもたらすが、脳卒中へ の利益はない可能性が示唆された。拡張期血圧 値が低いことは脳卒中死亡、虚血性心疾患死亡 を増やす可能性があり、収縮期血圧値の十分な 降圧がなされた場合、拡張期血圧値の管理が重 要となる可能性が示唆された。

研究

4

.水溶性ビタミン摂取量と糖尿病発症と の関連

研究目的:ビタミン

C

は抗酸化作用があり、

ビタミン

B

群は糖代謝などに関連している が、糖尿病罹患リスクとの関連についての報告 は一定していない。そこで、本研究では日本人 において、水溶性ビタミン摂取量と

2

型糖尿病 との関連を明らかにすることを目的とした。

研究方法:

JACC

研究で、

1988

1990

年の ベースライン調査に参加した

40

79

歳男女 のうち、糖尿病既往のある者、

5

年後調査に回

答していない者を除く

19,168

人を対象とし た。ビタミン

C

、ビタミン

B1

、ビタミン

B2

、 ナイアシン、パントテン酸、ビタミン

B6

、葉 酸、ビタミン

B12

の摂取量については、

FFQ

をもとに、日本食品標準成分五訂を用いて算出 した。水溶性ビタミン摂取量について、それぞ れ対象者を

4

分位に分けて解析を行った。解析 において、

SAS

統計ソフトを用いて、

5

年累 積糖尿病罹患リスクのオッズ比について、ロジ スティック回帰分析を用いて、男女別に算出し た。多変量調整モデルでは、年齢、高血圧既往 歴、糖尿病家族歴、

BMI

、喫煙状況、飲酒状 況、歩行時間、運動時間、サプリメント使用状 況、コーヒー摂取量、緑茶摂取量、総エネルギ ー摂取量、マグネシウム摂取量を調整した。

研究結果:

2

型糖尿病の罹患者数は

494

人であ った。間)は、

0.24

0.08

0.71

)であった。

男性で

2

型糖尿病罹患と関連する水溶性ビタミ ンは認められなかった。女性では、ビタミン

C

p-trend=0.04

)、ビタミン

B2

p-

trend=0.03

)、葉酸(

p-trend=0.03

)におい て、多く摂取するにつれて、

2

型糖尿病罹患リ スクが低かった。最高摂取群の多変量調整オッ ズ比は最低摂取群と比べて、ビタミン

C

0.61

95%

信頼区間:

0.44-0.94

)、ビタミン

B2

0.56

0.34-0.93

)、葉酸で

0.70

0.46- 0.98

)であった。

結論:女性では、ビタミン

C

、ビタミン

B2

、 葉酸を多くとっていると、

2

型糖尿病罹患が低 下する可能性が示唆された。

研究

5

.炎症性の食事指数と総死亡・死因別死 亡との関連

研究目的:

CRP

IL-6

などの炎症マーカーが

総死亡、循環器疾患死亡と関連することが報告

されている。炎症マーカーは生活習慣の一つで

ある食事の影響を受けることが知られており、

(5)

先行研究から食品・栄養素ごとの炎症への寄与 度から計算された炎症性の食事指数が総死亡、

循環器疾患死亡と関連することが報告されてい るが、アジア人での報告は少ない。本研究で は、日本人を対象に炎症性の食事指数と総死 亡、循環器疾患死亡との関連について検討する ことを目的とした。

研究方法:

JACC

研究で、

1988

1990

年の ベースライン調査に参加した

40

79

歳男女 のうち、がん、循環器疾患既往のある者、食事 に関する問診票の回答に不備のある者を除く男 女

58,782

人を

2009

年末まで追跡した。炎症 性の食事指数については、先行研究に示されて いる食品・栄養素ごとの食事由来の慢性炎症指 標の係数と

FFQ

で回答が得られている

26

項 目を掛け合わせて、合計して算出した。炎症性 の食事指数を

5

分位に分けて、総死亡および死 因別死亡との関連を解析した。解析において、

SAS

統計ソフトを用いて、

Cox

比例回帰モデ ルを実施し、ハザード比を算出した。多変量調 整モデルでは、年齢、地域、

BMI

、教育歴、喫 煙状況、身体活動、睡眠時間、高血圧既往、糖 尿病既往、総エネルギー摂取量を調整した。

研究結果:

19.3

年間の追跡中、死亡者は

11,693

人(うち循環器疾患死亡

3,408

人、脳 卒中死亡

1,524

人、虚血性心疾患死亡

707

人)

であった。炎症性の食事指数が高くなるにつれ て、総死亡、循環器疾患死亡、および虚血性心 疾患死亡リスクが高かった(

p-trend:

総死亡

=0.004,

循環器疾患死亡

=0.006,

脳卒中死亡

=0.09

、虚血性心疾患死亡

=0.02,

がん死亡

=0.45

)。脳卒中死亡ハザード比は、炎症性の食

事指数の最低群と比べ、最高群で

1.29

95%

信 頼区間:

1.05-1.59

)と高かった。

結論:炎症性の食事指数が高いと、総死亡、循 環器疾患死亡リスクが高いことが明らかとなっ た。

研究

6

.生殖歴と循環器疾患死亡との関連

研究目的:先行研究において、生殖歴と循環器 疾患との関連について報告がなされているが、

一貫した結論は得られていない。本研究は日本 人において出産数、初産年齢と循環器疾患死亡 との関連について、多変量解析を用いて、明ら かにすることを目的とした。

研究方法:

JACC

研究で、

1988

1990

年の ベースライン調査に参加した

40

79

歳男女 のうち、がん、循環器疾患既往のある者を除く 女性

60,914

人を

2009

年末まで追跡した。出 産数、初産年齢は自己申告により数値で回答を 得たものを、出産数は

0

人、

1

人、

2

人、

3

(基準)、

4

人、

5

人以上の

6

群に、初産年齢は

20

歳未満、

20-23

歳、

24-27

歳(基準)、

28-31

歳、

32

歳以上に分類して、解析を行った。ま た、出産数ごとに初産年齢を

24

歳未満、

24-27

歳(基準)、

28

歳以上に分けて、解析した。解 析において、

SAS

統計ソフトを用いて、

Cox

比例回帰モデルを実施し、循環器疾患死亡リス クのハザード比を算出した。調整因子は、年 齢、

BMI

、睡眠時間、歩行時間、運動時間、喫 煙状況、飲酒状況、教育歴、雇用状況、自覚的 ストレス、婚姻状況、高血圧既往、糖尿病既往 とした。

研究結果:

19.4

年間の追跡中、

2,982

人が循環

器疾患により死亡した(うち脳卒中死亡

1,312

人、虚血性心疾患死亡

561

人)。循環器疾患死

亡ハザード比は、出産数

3

人と比べて、出産歴

なしで

1.33

95%

信頼区間:

1.12-1.58

) 、出産

5

人以上で

1.11

0.99-1.24

)であった。初

産年齢についての循環器疾患死亡ハザード比

は、

24-27

歳と比べて、

28-31

歳で

1.22

1.00- 1.36

)、

32

歳以上で

1.26

1.04-1.52

)と有意

に高かった。出産数と初産年齢を組み合わせる

と、高齢初産での循環器疾患死亡ハザード比の

上昇は出産数

3

人以上で認められた。

(6)

結論:出産数と循環器疾患死亡リスクは出産数

3

人を底とする

U

字型に関連した。初産年齢

28

歳以上で循環器疾患死亡リスクが高く、特 に出産数

3

人以上でその関連は強いことが明ら かとなった。

研究

7

2

地域コホートにおける追跡体制の整 備と集計

研究目的:茨城県の

2

つの地域(筑西市及び神 栖市)において、新たにコホート研究を行うた めの追跡体制の整備を行い、循環器疾患死亡毎 に見た健診所見及び生活習慣別、地区別の死亡 者数及び死亡率の集計を行った。また、当該地 域の一部において実施している脳卒中及び虚血 性心疾患の発症登録情報について、その精度管 理指標として、

%DCN

(全登録症例のうち、死 亡票及び死亡個票のみにより把握された脳卒 中・虚血性心疾患症例の割合)を算出した。

研究方法:茨城県の

2

つの地域において、人口 動態統計の目的外申請を行い、平成

30

年末ま での死因情報を得た。筑西市における

2006

2018

年の健診受診者

27613

人および神栖市に おける

2014

2018

年の健診受診者

15921

人 を追跡し、健診所見及び生活習慣別、地区別の 全循環器疾患および脳卒中、虚血性心疾患の

10

万人年あたりの粗死亡率の集計を行った。

また、当該地域の一部において実施している脳 卒中及び虚血性心疾患の発症登録情報につい て、その精度管理に資するため、

%DCN

とし て、全登録症例のうち、死亡票及び死亡個票の みにより把握された脳卒中・虚血性心疾患症例

DCN

)の割合を算出した。

研究結果:筑西市における期間内の循環器疾患 死亡者数は

48

人であった。その集計結果を表

1

に示した。神栖市については追跡年数が短 く、期間内の循環器疾患死亡者が

5

名であった ため、今後追跡期間を延ばして集計を行いた い。

%DCN

については、平成

23

年~

26

年の

4

年間で

9

例の

DCN

が認められた。この地域の 脳卒中・虚血性心疾患(急性死、急性心筋梗 塞、労作性狭心症)の発症数は

4

年間で

232

例であり、

%DCN

4%

程度と推定された。

D

.(倫理面への配慮)

JACC

研究の開始当時はまだ観察型の疫学

研究参加に際して説明・同意手順を経ることは 稀であったが、原則として、調査票の表紙に

「調査への協力のお願い」として研究の説明を し、対象者に署名を依頼した。ただし、一部の 地区では、地域の代表者への説明と了解の返事 をもって、研究を実施した。死亡情報は、

1

2

年ごとに総務省に人口動態統計資料の目的外利 用申請を行い、死亡小票をベースに 死亡年月 日、死因を把握していた。対象地区からの転出 は各施設で市町村と協力して調査した。全ての 情報は氏名や住所など個人を特定できる情報を 外し、個別

ID

を付与して解析担当事務局に 送付されたため、個人情報は担当する施設内に 留まった。このコホート研究全体については、

2000

年に名古屋大学医学部倫理審査委員会で 倫理審査を受け、承認を得た。また、

2003

年 に筑波大学、

2008

年に大阪大学の倫理審査委 員会で倫理審査を受け、承認を得ている。

筑西市及び神栖市におけるコホート研究は、

当該自治体との協働事業として行っているもの であり、いずれも大阪大学または筑波大学の倫 理審査委員会で審査を受け、承認を得ている。

E

.健康危機情報 なし

F

.研究発表

1. Nishida Y, Kubota Y, Iso H, Tamakoshi A;

JACC Study Group.. Self-Reported Eczema in Relation with Mortality from Cardiovascular Disease in Japanese: the

(7)

Japan Collaborative Cohort Study. J Atheroscler Thromb. 2019;26(9):775-782.

2. Yamagishi K, Sawachi S, Tamakoshi A, Iso H; JACC Study Group.. Blood

pressure levels and risk of cardiovascular disease mortality among Japanese men and women: the Japan Collaborative Cohort Study for Evaluation of Cancer Risk (JACC Study). J Hypertens.

2019;37(7):1366-1371.

3. Sakaniwa R, Tromp J, Shirai K,

Yamagishi K, Tamakoshi A, Iso H. The association of conventionally medicated systolic and diastolic blood pressure level and mortality from cardiovascular

disease: is the lower the better in high stroke population? Clin Res Cardiol. 2020 Jan 16 (in press)

4. Eshak ES, Iso H, Muraki I, Tamakoshi A.

Among the water-soluble vitamins, dietary intakes of vitamins C, B2 and folate are associated with the reduced risk of diabetes in Japanese women but not men. Br J Nutr. 2019;121(12):1357- 1364.

5. Okada E, Shirakawa T, Shivappa N, Wakai K, Suzuki K, Date C, Iso H, Hébert JR, Tamakoshi A. Dietary Inflammatory Index Is Associated with Risk of All-Cause and Cardiovascular Disease Mortality but Not with Cancer Mortality in Middle-Aged and Older Japanese Adults. J Nutr.

2019;149(8):1451-1459.

6. Tanigawa K, Ikehara S, Kimura T, Imano H, Muraki I, Shirai K, Tamakoshi A, Iso H. Relationships between reproductive history and mortality from

cardiovascular diseases among Japanese women: the Japan Collaborative Cohort (JACC) Study. J Epidemiol. 2019 Nov 16.

(in press)

G

.知的財産権の取得状況

1.特許取得 なし

2.実用新案登録 なし

3.その他 なし

(8)

1

.筑西市コホートにおける循環器疾患粗死亡率(

10

万人年対)

高血圧:収縮期血圧

140mmHg

以上又は拡張期血圧

90mmHg

以上又は高血圧で通院中

糖尿病:空腹時血糖

126mg/dl

以上又は随時血糖

200mg/dl

以上又は

HbA1c6.5

以上又は糖尿病で 通院中

人数 循環器疾患 脳卒中 虚血性心疾患 非喫煙(未回答・時々を含む) 17144 35.1 14.3 10.4

過去喫煙 6431 54.7 8.4 16.8

現在喫煙 4038 38.9 19.4 14.6

非飲酒(未回答を含む) 16575 45.0 16.4 13.6

機会飲酒 4579 23.3 14.0 4.7

現在飲酒 6459 37.7 7.5 15.1

正常 14923 19.6 4.5 9.0

高血圧 12690 63.8 25.5 16.4

140mg/dl未満 17430 35.6 13.4 10.0

140mg/dl以上又は脂質異常症で通院中 10183 50.8 15.9 19.0

40mg/dl未満 2841 41.1 24.7 16.4

40mg/dl以上 24772 39.4 12.8 11.9

150mg/dl未満 22111 41.6 15.6 12.5

150mg/dl以上 5502 31.8 8.0 11.9

25未満 19821 41.0 15.2 12.9

25以上 7792 36.2 11.1 11.1

正常 24296 38.8 12.9 12.0

糖尿病 3317 46.4 23.2 15.5

Body mass index区分 耐糖能区分

喫煙歴

飲酒歴

血圧区分 LDLコレステロール区分 HDLコレステロール区分

中性脂肪区分

(9)

湿 疹 ・ じ ん ま 疹 の 頻 度 と 循 環 器 疾 患 死 亡 リ ス ク と の 関 連 西 田 陽 子

湿 疹 は 慢 性 炎 症 の 一 つ で あ り 、 循 環 器 疾 患 と の 関 連 に つ い て 多 く の 報 告 が あ り ま す 。 し か し 、 未 だ に 一 貫 し た 結 果 が 得 ら れ て い ま せ ん 。

JACC

研 究 で は 、 ア ン ケ ー ト で 湿 疹 や じ ん ま 疹 の 頻 度 に つ い て 有 効 回 答 が 得 ら れ た 男 女

89,055

名 を 対 象 と し て 、 湿 疹 ・ じ ん ま 疹 の 頻 度 と 循 環 器 疾 患 死 亡 リ ス ク と の 関 連 を 分 析 し 、 学 術 雑 誌 に 発 表 し ま し た 。 (

J Atheroscler Thromb, 2019; 26: 775-782.

湿 疹 ・ じ ん ま 疹 が よ く で き る 人 で は 虚 血 性 心 疾 患 死 亡 リ ス ク が 高 い

湿 疹 ・ じ ん ま 疹 の 頻 度 と 循 環 器 疾 患 死 亡 リ ス ク と の 関 連 に つ い て 、 「 あ ま り で な い 」 と 比 較 し て 、 「 よ く で る 」 で

1.26

倍 虚 血 性 心 疾 患 死 亡 し や す い こ と が わ か り ま し た 。 し か し 、 湿 疹 ・ じ ん ま 疹 の 頻 度 が 多 く と も 脳 卒 中 死 亡 が 多 く な る こ と は あ り ま せ ん で し た 。 ( 図

1

) こ れ ら の 関 連 に 男 女 差 は あ り ま せ ん が 、 高 齢 者 よ り も 中 年 者 で よ り 強 く 関 連 す る 可 能 性 が あ り ま し た 。

※ 年 齢 、

BMI

、喫 煙 状 況 、飲 酒 状 況 、歩 行 時 間 、運 動 習 慣 、自 覚 的 ス ト レ ス 、睡 眠 時 間

、 教 育 歴 、 高 血 圧 既 往 、 糖 尿 病 既 往 を 調 整

図 1 . 湿 疹 ・ じ ん ま 疹 の 頻 度 と 循 環 器 疾 患 死 亡 と の 関 連

(10)

ま と め

本 研 究 に よ り 、 湿 疹 ・ じ ん ま 疹 と 虚 血 性 心 疾 患 死 亡 が 多 く な る 可 能 性 が 示 さ れ ま し

た 。 虚 血 性 心 疾 患 死 亡 が 多 く な る メ カ ニ ズ ム と し て は 、 全 身 性 の 炎 症 反 応 に よ る こ と

が 考 え ら れ ま す 。 湿 疹 や じ ん ま 疹 は ウ ィ ル ス 感 染 な ど に よ り 生 じ や す く な り ま す の

で 、 睡 眠 不 足 や 偏 っ た 食 習 慣 な ど に 気 を 付 け 、 体 調 管 理 を 心 が け る こ と が 望 ま し い 可

能 性 が あ り ま す 。

(11)

治 療 の 有 無 別 に 見 た 血 圧 と 循 環 器 疾 患 死 亡 と の 関 連 山 岸 良 匡

高 血 圧 は 、 循 環 器 疾 患 の 最 大 の 危 険 因 子 で あ り 、 一 般 集 団 で は 、 血 圧 は 低 け れ ば 低 い ほ ど 循 環 器 疾 患 の リ ス ク が 低 く 、 高 け れ ば 高 い ほ ど リ ス ク は 高 く な る こ と が 知 ら れ て い ま す 。 そ し て 、 血 圧 が 高 い 人 に 対 し て 血 圧 を 下 げ た 場 合 に 循 環 器 疾 患 の リ ス ク が 下 が る こ と も 古 く か ら 知 ら れ て い ま し た 。 た だ 、 血 圧 を ど の く ら い ま で 下 げ る の が よ い の か に つ い て は 、 長 ら く 結 論 が 得 ら れ て い ま せ ん で し た 。 特 に 、 薬 を 使 っ て 血 圧 を か な り 低 く 下 げ る こ と の 是 非 に つ い て は 、 さ ま ざ ま な 議 論 が あ り ま し た 。

こ の よ う な 中 で 、 米 国 で は

2017

年 に 、 高 血 圧 の 基 準 を 従 来 の

140/90 mmHg

か ら 、

130/80 mmHg

に 引 き 下 げ る 決 定 を し ま し た 。 一 方 、 欧 州 で は

2018

年 に 、 高 血 圧 の 基 準 は 従 来 通 り

140/90 mmHg

と す る 決 定 が な さ れ ま し た 。 日 本 で は

2019

4

月 に 高 血 圧 治 療 ガ イ ド ラ イ ン が 改 定 さ れ 、 血 圧 区 分 の 一 部 と 用 語 が 変 わ り ま し た が 、 従 来 通 り

140/90 mmHg

を 高 血 圧 の 基 準 と し て い ま す 。

今 回 、 実 際 に 地 域 で 生 活 す る ( リ ア ル ワ ー ル ド で の ) 日 本 人 の 実 態 を 明 ら か に す る た め に 、

JACC

研 究 に お い て 血 圧 と 循 環 器 疾 患 死 亡 と の 関 連 を 分 析 す る と 共 に 、 そ の 関 連 が 服 薬 の 有 無 別 に ど の よ う に 異 な る の か を 分 析 し ま し た 。 (

Journal of

Hypertension 2019 ;37(7):1366-1371.

降 圧 薬 を 服 用 し て い る 場 合 、 血 圧 が 低 い 場 合 で も 循 環 器 疾 患 に よ る 死 亡 リ ス ク が 高 い

JACC

研 究 の

45

地 域 の う ち 、 血 圧 の 実 測 デ ー タ の あ る

30

地 域 の

27,728

人 を 対 象 と し ま し た 。 健 診 時 の 血 圧 値 を 、 欧 州 の 基 準 に 基 づ き 、 至 適 血 圧 (

120/80

未 満 ) 、 正 常 血 圧 (

120-129/80-84

) 、 正 常 高 値 (

130-139/85-89

) 、

I

度 高 血 圧 (

140-159/90- 99

) 及 び

II

III

度 高 血 圧 (

160/100

以 上 ) の

5

つ の 群 に 分 け ま し た 。 循 環 器 疾 患 の 主 な リ ス ク 要 因 を 統 計 学 的 に 調 整 し た 上 で 、 正 常 高 値 群 に 対 す る 他 の 群 で の 循 環 器 疾 患 の 死 亡 リ ス ク を 算 出 し ま し た 。

そ の 結 果 、 正 常 高 値 群 と 比 較 し て 、 循 環 器 疾 患 の 死 亡 リ ス ク は 、 至 適 血 圧 群 で

0.85

倍 (

95

% 信 頼 区 間

0.69-1.04

) 、 正 常 血 圧 群 で

0.96

(

0.81–1.15)

I

度 高 血 圧 群 で

1.26

(

1.09–1.46)

II-III

度 高 血 圧 群 で

1.55

(

1.31–1.84)

と 、 血 圧 が 高 く な る

に つ れ て リ ス ク が 高 く な る こ と が 明 ら か と な り ま し た ( 図 1 ) 。 こ の 関 連 は 、 降 圧 薬

を 服 用 し て い な い 人 だ け で 見 た 場 合 で も 同 様 で し た 。 一 方 、 降 圧 薬 を 服 用 し て い る 人

だ け で 見 た 場 合 は 、 こ の 関 連 は 、 至 適 血 圧 群 で

2.31

(

1.25–4.27)

、 正 常 血 圧 群 で

1.68

(

1.05–2.69)

I

度 高 血 圧 群 で

1.56

(

1.10–2.22)

II-III

度 高 血 圧 群 で

1.63

(

1.13–2.36)

と 、

U

字 型 の 関 連 を 示 し ま し た ( 図 2 ) 。 こ の 関 連 は 、 脳 卒 中

死 亡 や 虚 血 性 心 疾 患 死 亡 で も 同 様 で あ り 、 ま た 男 女 別 に 見 て も 同 様 で し た 。

(12)

地 域 で 生 活 す る 一 般 住 民 を 長 期 間 追 跡 し て 、 そ の 後 の 病 気 の 発 症 や 死 亡 と の 関 連 を 調 べ る 研 究 を コ ホ ー ト 研 究 と い い ま す 。 一 方 、 す で に 病 院 な ど に か か っ て い る 患 者 に 対 し 、 特 定 の 条 件 の も と で 、 あ る 薬 を 使 う か 使 わ な い か で 、 そ の 後 の 健 康 状 態 が ど の よ う に な る の か を 調 べ る 研 究 を 介 入 研 究 と い い ま す 。

JACC

研 究 は コ ホ ー ト 研 究 で あ り 、 血 圧 が 低 い 人 や 下 が っ て い る 人 の そ の 後 を 検 討 す る こ と は で き ま す 。 し か し 、 血 圧 を 下 げ た こ と に よ る 効 果 は 介 入 研 究 で な け れ ば 厳 密 な 検 討 は で き ま せ ん 。 今 回 の 研 究 で は 、 薬 を 飲 ん で 血 圧 が

129/84

以 下 に 下 が っ て い る 人 の 中 に は 、 糖 尿 病 や 脂 質 異 常 な ど の 併 存 す る リ ス ク 要 因 が あ る た め 、 全 身 の 状 態 を 医 師 が 総 合 的 に 診 た 上 で 、 意 図 的 に 血 圧 を 強 力 に 下 げ る 治 療 を 受 け て い た 人 が 含 ま れ て い ま す 。 ま た 、 心 房 細 動 や 動 脈 硬 化 な ど が 高 血 圧 に 合 併 す る と 、 血 圧 が 下 が る こ と が あ り ま す 。 し た が っ て 、 今 回 の 結 果 は 、 主 に 降 圧 薬 に よ っ て 血 圧 を 下 げ る こ と が 原 因 で 循 環 器 疾 患 の 死 亡 リ ス ク が 高 く な る こ と を 示 す も の で は な く 、 こ れ ら の 併 存 す る リ ス ク 要 因 や 合 併 症 が 原 因 で 、 循 環 器 疾 患 の 死 亡 リ ス ク が 高 く な っ た と 解 釈 さ れ ま す 。 実 際 に こ れ ま で の 特 定 の 条 件 の 下 で 行 っ た 介 入 研 究 の 結 果 か ら 、 薬 を 飲 ん で 血 圧 を 下 げ る こ と で 、 循 環 器 疾 患 の リ ス ク が 下 が る こ と が 証 明 さ れ て い ま す 。 一 方 で 今 回 の 結 果 か ら 、 降 圧 薬 を 服 用 し 、 血 圧 が

129/84 mmHg

以 下 に 下 が っ て い る 人 は 、 併 存 す る リ ス ク 要 因 や 合 併 症 の 管 理 に 注 意 す る 必 要 が あ る と い え ま す 。

血 圧 の 薬 を 飲 ん で い て 血 圧 が 非 常 に 下 が っ て い る 場 合 で も 、 医 師 の 指 示 な く 、 自 己 判 断 で 血 圧 の 薬 を や め る の は 危 険 で す 。 上 述 の 合 併 症 な ど の 影 響 を 含 め た 全 身 状 態 に つ い て 、 主 治 医 と よ く 相 談 す る こ と が 大 切 で す 。

1

血 圧 区 分 と 循 環 器 疾 患 死 亡

※ ハ ザ ー ド 比 は 正 常 高 値 群 を 基 準 と し 、 性 別 、 年 齢 、Body Mass Index、 血 清 総 コ レ ス テ ロ ー ル 、糖 尿 病 既 往 、喫 煙 、飲 酒 を 調 整 、地 域 を 層 別 化 。図 中 の ● は ハ ザ ー ド 比 を 、そ の 上 下 の 棒 が 95%信 頼 区 間 の 範 囲 を 示 す 。

2

服 薬 の 有 無 別 に み た 血 圧 区 分 と 循 環 器 疾 患 死 亡

※ ハ ザ ー ド 比 は 正 常 高 値 群 を 基 準 と し 、 性 別 、 年 齢 、Body Mass Index、 血 清 総 コ レ ス テ ロ ー ル 、糖 尿 病 既 往 、喫 煙 、飲 酒 を 調 整 、地 域 を 層 別 化 。図 中 の ● ■ は ハ ザ ー ド 比 を 、そ の 上 下 の 棒 が 95%信 頼 区 間 の 範 囲 を 示 す 。

(13)

水 溶 性 ビ タ ミ ン 摂 取 量 と 糖 尿 病 リ ス ク と の 関 係

Ehab S. Eshak

微 量 栄 養 素 が

2

型 糖 尿 病 の 発 症 に 関 与 し て い る こ と が 近 年 報 告 さ れ て い ま す が 、 水 溶 性 ビ タ ミ ン で あ る ビ タ ミ ン

C

、 ビ タ ミ ン

B

群 、 葉 酸 と 糖 尿 病 発 症 と の 関 連 を 調 査 し た 報 告 は あ ま り あ り ま せ ん 。そ こ で 、

JACC

研 究 に 参 加 し て い る

40

79

歳 日 本 人 男 女 で 、 食 事 に つ い て の ア ン ケ ー ト か ら 、 食 事 か ら の 水 溶 性 ビ タ ミ ン 摂 取 量 が 推 定 で き た

19,168

名 を 対 象 と し て 、 水 溶 性 ビ タ ミ ン 摂 取 量 と 糖 尿 病 発 症 と の 関 係 を 分 析 し 、 そ の 結 果 を 専 門 誌 に 発 表 し ま し た 。(

British Journal of Nutrition. 2019;20: 1-22.

)。

女 性 で は 、 ビ タ ミ ン

C

B 2

お よ び 葉 酸 の 摂 取 量 が 多 い と

2

型 糖 尿 病 に な り に く い 女 性 で は 、 ビ タ ミ ン

C

, ビ タ ミ ン

B 2

お よ び 葉 酸 の 摂 取 量 が 多 い と

2

型 糖 尿 病 に な り に く い こ と が わ か り ま し た 。 水 溶 性 ビ タ ミ ン を あ ま り 摂 取 し な い 女 性 ( 下 位

25%

) に 比 べ て 、 多 く 摂 取 す る 女 性 ( 上 位

25%

) は 、 ビ タ ミ ン

B2

で は

44%

、 ビ タ ミ ン

C

で は

39%

、 葉 酸 で は

30%

2

型 糖 尿 病 に な り に く く な っ て い ま し た 。( 図

1

、 図

2

) 男 性 で は 、 ビ タ ミ ン

C

、 ビ タ ミ ン

B

群 、 葉 酸 と

2

型 糖 尿 病 へ の な り や す さ に 関 連 が み ら れ ま せ ん で し た 。

ま と め

本 研 究 に お い て 、女 性 で は 、ビ タ ミ ン

C

B 2

お よ び 葉 酸 の 摂 取 量 が 多 い と

2

型 糖 尿 病 に な り に く い こ と が わ か り ま し た 。詳 細 な メ カ ニ ズ ム は ま だ わ か っ て い ま せ ん が 、ビ タ ミ ン

C

を 多 く 含 む 野 菜 や 果 物 、ビ タ ミ ン

B

群 を 多 く 含 む 魚 介 類 、葉 酸 を 多 く 含 む 葉 物 野 菜 を バ ラ ン ス よ く 食 べ る こ と で 糖 尿 病 に な り に く く な る 可 能 性 が あ り ま す 。

1.

水 溶 性 ビ タ ミ ン

B1, B2, B3, B5

と 糖 尿 病 リ ス ク と の 関 連

(14)

2.

水 溶 性 ビ タ ミ ン

B6,

葉 酸

, B12, C

と 糖 尿 病 リ ス ク と の 関 連

(15)

炎 症 性 の 食 事 指 数 と 総 死 亡 ・ 死 因 別 死 亡 リ ス ク と の 関 連 岡 田 恵 美 子

食 事 由 来 の 慢 性 炎 症 が 死 亡 と 関 連 す る こ と が 欧 米 の 研 究 よ り 報 告 さ れ て い ま す が 、 ア ジ ア 人 で の 報 告 は 多 く あ り ま せ ん 。

JACC

研 究 で は 、 食 事 調 査 の す べ て に 回 答 し た 男 女

58,782

名 を 対 象 と し て 、 炎 症 性 の 食 事 指 数 と 総 死 亡 ・ 循 環 器 疾 患 死 亡 リ ス ク と の 関 連 を 分 析 し 、 学 術 雑 誌 に 発 表 し ま し た 。 (

J Nutr 2019;149:1451–1459.

炎 症 性 の 食 事 指 数 が 高 い と 総 死 亡 ・ 循 環 器 疾 患 死 亡 リ ス ク が 高 い

炎 症 性 の 食 事 指 数 と 総 死 亡 ・ 死 因 別 死 亡 リ ス ク と の 関 連 に つ い て 、 炎 症 性 の 食 事 指 数 が 高 く な る に つ れ て 、 総 死 亡 、 脳 卒 中 死 亡 、 虚 血 性 心 疾 患 死 亡 の い ず れ も 多 か っ た こ と が わ か り ま し た 。 ( 図

1

) こ の 関 連 は 男 性 よ り も 女 性 で 、 中 年 よ り も 高 齢 者 で 、 喫 煙 者 よ り も 非 喫 煙 者 で 、 飲 酒 者 よ り も 非 飲 酒 者 で 強 く 認 め ま し た 。 図 に は 示 し て い ま せ ん が 、 炎 症 性 の 食 事 指 数 は が ん 死 亡 と は 関 連 し ま せ ん で し た 。

※ 年 齢 、

BMI

、 喫 煙 状 況 、 飲 酒 状 況 、 歩 行 時 間 、 運 動 習 慣 、 自 覚 的 ス ト レ ス 、 睡 眠 時 間 、 教 育 歴 、 高 血 圧 既 往 、 糖 尿 病 既 往 を 調 整

図 1 . 炎 症 性 の 食 事 指 数 と 総 死 亡 ・ 死 因 別 死 亡 と の 関 連

(16)

ま と め

本 研 究 に お い て 、 日 本 人 に お い て も 炎 症 性 の 食 事 指 数 が 総 死 亡 ・ 循 環 器 疾 患 死 亡 リ

ス ク と 関 連 す る こ と を 示 し ま し た 。 炎 症 性 の 食 事 指 数 が 高 く な る の は 、 炭 水 化 物 、 脂

質 ( 特 に 飽 和 脂 肪 酸 や ト ラ ン ス 脂 肪 酸 ) の 摂 り 過 ぎ や 魚 、 大 豆 、 野 菜 、 果 物 の 不 足 し

て い る よ う な 食 事 で す 。 こ れ ら に 注 意 し 、 バ ラ ン ス の 良 い 食 事 を こ こ ろ が け る と 循 環

器 疾 患 の 予 防 に つ な が る 可 能 性 が あ り ま す 。

(17)

女 性 の 出 産 経 験 と 循 環 器 疾 患 死 亡 リ ス ク と の 関 連 谷 川 果 菜 美

こ れ ま で の 海 外 で の 先 行 研 究 で は 、 出 産 経 験 が 循 環 器 疾 患 の リ ス ク 要 因 の

1

つ と し て 注 目 さ れ て い ま す が 、 未 だ に 一 貫 し た 結 果 が 得 ら れ て い ま せ ん 。

JACC

研 究 で は 、 ア ン ケ ー ト で 出 産 経 験 に つ い て 有 効 回 答 が 得 ら れ た 女 性

53,836

名 を 対 象 と し て 、 出 産 経 験 と 循 環 器 疾 患 死 亡 リ ス ク と の 関 連 を 分 析 し 、 学 術 雑 誌 に 発 表 し ま し た 。 (

J Epidemiol 2019 Web

先 行 公 開 )

出 産 回 数 と 循 環 器 疾 患 死 亡 リ ス ク に は

U

字 型 の 関 連

出 産 回 数 と 循 環 器 疾 患 死 亡 リ ス ク と の 関 連 に つ い て 、 出 産 回 数

3

回 と 比 較 し て 、 出 産 回 数

0

回 で

1.33

倍 循 環 器 疾 患 死 亡 リ ス ク が 高 く 、 出 産 回 数

5

回 以 上 で

1.11

倍 と 循 環 器 疾 患 死 亡 リ ス ク が 高 い 傾 向 が あ る こ と が 分 か り ま し た 。 ( 図

1

初 産 年 齢 が 高 い と 循 環 器 疾 患 死 亡 リ ス ク が 増 加

初 産 年 齢

24

27

歳 と 比 較 し て 、

28

31

歳 及 び

32

歳 以 上 で 循 環 器 疾 患 死 亡 リ ス ク

1.22

1.26

倍 高 い こ と が 示 さ れ ま し た 。 一 方 、

20

歳 未 満 で は 、 有 意 な リ ス ク 増 加

は 認 め ら れ ま せ ん で し た 。 ( 図

2

(18)

初 産 年 齢 が 高 い 群 で の 循 環 器 疾 患 死 亡 リ ス ク の 増 加 は 出 産 回 数

3

回 以 上 で 顕 著

出 産 回 数 で 層 別 化 し た 場 合 、 初 産 年 齢 が 24

27

歳 に 比 べ て 、

28

歳 以 上 で の リ ス ク 増 加 は 出 産 回 数

3

回 以 上 の 女 性 で 認 め ら れ ま し た 。 ( 図

3

ま と め

本 研 究 に お い て 、 出 産 回 数 と 循 環 器 疾 患 死 亡 リ ス ク の 関 連 は 、 出 産 回 数

3

回 を 底 と

す る

U

字 型 を 示 し ま し た 。 ま た 、 初 産 年 齢

28

歳 以 上 で 循 環 器 疾 患 死 亡 リ ス ク の 増 加

が 認 め ら れ 、 そ の 傾 向 は 出 産 回 数

3

回 以 上 で 顕 著 で し た 。 こ の リ ス ク 増 大 に 関 す る メ

カ ニ ズ ム は 明 ら か で は あ り ま せ ん が 、 多 産 の 女 性 で は 妊 娠 中 の イ ン ス リ ン 抵 抗 性 の 増

大 や 脂 質 レ ベ ル の 変 動 等 が よ り 多 く 認 め ら れ る こ と や 、 高 齢 出 産 で は 妊 娠 合 併 症 の リ

ス ク が 高 ま る こ と が 関 与 し て い る 可 能 性 が あ り ま す 。 た だ し 、 こ の 結 果 は

1988

年 ~

90

年 に

40

79

歳 だ っ た 女 性 を 対 象 と し て 検 討 し た も の で す 。 近 年 、 晩 婚 化 や 初 産 年

齢 の 上 昇 、 高 齢 出 産 の 増 加 、 少 子 化 な ど 妊 娠 ・ 出 産 に 関 わ る 状 況 が 変 化 し て お り 、 今

後 さ ら な る 研 究 が 必 要 と 考 え ら れ ま す 。

表 1 .筑西市コホートにおける循環器疾患粗死亡率( 10 万人年対) 高血圧:収縮期血圧 140mmHg 以上又は拡張期血圧 90mmHg 以上又は高血圧で通院中 糖尿病:空腹時血糖 126mg/dl 以上又は随時血糖 200mg/dl 以上又は HbA1c6.5 以上又は糖尿病で 通院中 人数 循環器疾患 脳卒中 虚血性心疾患非喫煙(未回答・時々を含む)1714435.114.310.4過去喫煙643154.78.416.8現在喫煙403838.919.414.6非飲酒(未回答を含む)1657545.0
図 2. 水 溶 性 ビ タ ミ ン B6,  葉 酸 , B12,  C と 糖 尿 病 リ ス ク と の 関 連

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