人 口 法 則 と 産 業 豫 備 軍 の 法 則
南 亮
三
K 良
要目
一︑マルサス入口法則と融會主義il問題の所在
二︑マルクスの﹃資本制蓄積の︼般法則﹄概説
三︑詳説第一段︑資本の蓄積と勢働者の蓮命
四︑詳説第二段︑資本の蓄積と勢働者の蓮命(綴)
五︑詳説第三段︑慶業豫備軍の累進的生産
六︑批評第一段︑機械は勢働者彪曝放するか
七︑批評第二段︑農民向都の傾向に何な意昧するか
八︑批評第三段︑マ〃〃スに果して入口法則な根抵轟り覆へし穴か
九︑残されたる問題
入口法則と産業橡備軍の法則 ●
一〇三
商學討究第一巻(上)一〇四
あもへば一七九入年無名の青年論客マルサメが︑肚會改造と人類の幅祉への抑へ難き情熱を胸に
秘めながら︑改造途上に横πはる︑﹃到底打ち難き底の一大困難﹄を登見して︑﹃人口法則﹄てふ恐
るべき互砲をば︑當時英佛を中心に禰漫しつ\あつ力共産主義思想に向けてから︑肚會改造の可能
を論謹する義務は肚會主義者の側に轄嫁さる\に至つπ︒即ち肚會主義者が理想肚會實現の可能な
る所以を主張するπめには︑須らく先づ彼等は︑マルずスに依つて備へられだ﹃人口法則﹄を論破
し︑その所謂﹃肚會改善の途上に横πはる重大なる困難﹄は﹃少くと竜理論上だけでも︑取除くこ
とを得るものである所以﹄を論謹せざるを得なくなつπのである①︒されば僅かに少数の例外を除
いて(註一)︑大部分の肚會主義者はマルサス説に反劃し﹃人口法則﹄の論破に努めπ︒その詳細は之
を他日に留保するが︑自からの立揚を﹃科學的﹄と標榜しπエンゲルスやマルクスですら︑マルサ
スの學説を以て︑或は引用するに堪わざる﹃下劣下賎の敷義﹄︑﹃自然と人類とに劃する嫌悪すべき
冒漬﹄と罵う⑭︑或は﹃學生的に淺薄な且つ信侶流に書き換へられた剰縞﹄と罵倒するに至つπの
も③︑その意ゐのつから明白である︒
り (註一)エ〃スターの記すところに櫨ろと④︑英のウヰリアム・タムソy(乏旨冨菖↓ゴoヨ宏8)︑佛のルヰ・プラy(ピ2尻
団貯口o)︑濁のカール・マ〃ロオ(内卑昌冨昌9︑填のカール・カウツキー(国鎖昌内碧ヨ昇同)等にその少鍛の例外であつて︑埋
ルサス學説の眞理性な認廓すろ杜會主義者であろo
さり乍ら一切の悪罵と笑嘲の背後にも︑﹃資本論﹄第一恕に展開されたマルクスの産業豫備軍の
法則Il正確に言へば﹃資本制蓄積の一般法則﹄U霧巴碧ヨ︒貯︒Ω8︒言飢・﹃ぎ℃冨一韓一︒︒9睾︾穿=‑
ヨ巳9け凶︒旨ーは︑マルずスの﹃人口法則﹄に取つて殆んど致命的の傷手であるが如く見ねる︒否︑
マルクスは下暦肚會に於ける窮乏の恒久的駆迫と生活不安の窮極原因をば︑歴史的範疇としての資
本家的生産方法の本質に求むる乙とに依つて︑マルサスの唱へ泥るが如き﹃抽象的の人口注則なる
ものは︑人類から歴史的に干渉を受けないといふ方面から見泥動植物の上にのみ存在する﹄もので
あう︑入間肚會には毫末も作用せざるものなる所以を力説したのである⑳︒言ひ換ふればマルクス
は︑その昔マルサスが肚會改造途上に横πはると見た﹃一大困難﹄をば︑資本家肚會の解剖に依つ
てその存在を否定し︑ブルヂヨァ學者の錯解的理解に基づく竜のと主張するに至つπ︒乙\に於て
肚會主義は初めて﹃人口法則﹄の脅威から救ひ出さる\と同時に︑新πなる學問的地盤を保有する
に至つカのである︒,
人口法則と産業豫備軍の法則一〇五
商學討究第・一巻(上﹀一〇心ハ
但しこ︑に特に=臼を費やして讃者の注意を乞はざるを得ない乙とは︑肚會改善の可能といふ乙
と︑肚會主義肚會實現の可能といふこと\の匠別これである︒肚會改善の可能といふ乙とに就ての
マルサスの態度は︑既に幾度となくマルサメ研究家に依つて指摘された如く︑﹃人口論﹄第一版と
第二版とでは大いにその趣きを異にし︑第二版に於てマルサスはその所謂﹃愼しみ深い慣習﹄℃﹁〒
血窪薮;普一富が勢働者階級の間に行はる\に至らば肚會の改善は絶望にあらずと考ふるに至つ控︒
之れ肚會改善の可能に關するマルサスの態度の根本的愛化である⑥︒然し肚會主義の實現といふこ
とに劃するマルサスの態度は終始一貫してゐるのであつて︑その實現の可能性は全然彼れの考へ及
ぱざる所であつ虎︒然るにマルクスに取つては之れが全く逆であつて︑肚會主義肚會の實現は疑ふ
べからざる歴史的必然の経過であるが︑資本家肚會の下に於ける勢働者階級の窮状は如何ともすべ
からざるものであつπ︒否︑その窮獣のず︒℃・房︒︒であるといふことが彼れの學説を基礎付けるも
のであう︑從つてマルサメの主張するが如き﹃道徳的抑制﹄に依る肚會改善の可能性すら︑その學
説を維持する控めには論難せざるを得なかつπのである︒(註二)
(註二)英吉利に於けるマルサス研究の第∴人者瀞ーナーに︑﹃マル〃スに︑資本家杜會に於ては勢働者の地位の紹望なる所以
な論設ぜんとし︑若しマルサスの學観な受け入れて勢働者階級に依る冒&︒昌p;菩計探用の可能性な認摩し表ならば︑
自己の論誰は著しく弱めらる㌧ものと考へ五︒之れ︑彼れが﹃入口論﹄に劉して手酷い攻撃な敢てすうに至つt眞の理由
イあろo﹄と観いてゐろのo
防で吾等に解決すべく残された問題は︑マルずスの﹃人口論﹄はマルクスの﹃資本論﹄に依つて
根抵よう覆へされカかどうかといふこと︑他の言葉を以つて言へば︑肚會人口の大部分を構成する
勢働者階級が不断の急迫的並に慢性的の窮乏及び︑生活の不安と失業とに威嚇されつ\あるの事實
は︑全然資本家肚會の特有なる法則に依って新πに造り出さる㌧ものと解すべきであるかどうかと
いふこと︑從つて資本主義が屡止されだ後の肚會に於ては︑何故にマルサスの提唱せるが如き人口
問題は生ずるの虞れはないかといふこと是である⑧︒これは吾々に取つて甚だ興昧ある然し極めて
困難なる問題である︒固よう淺學の余の満足なる同答を與へ得べくもないが︑以下少しく學び得か
る所を陳べて同學の士の敷示を乞ひたいと思ふのである︒
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(5) (4)(3)(2)(1
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寓舘き︼)器内p℃津9︒ピ剴PH鴇図ρ︾島壱ω■いQρ高畠素之氏﹃改課資本論﹄第︼巻八二〇頁o
国碧q笥α慧o﹃げ口oげαo﹃oe3潜ヨ乱︒・︒曙①話9勢津o戸い・︾ロ鵠.博団9一ポ¢O⑧自
爵噌ぎ鉾9,・○"o自"いOひ.前掲八三八‑九頁o
入口法則と産業豫備軍の法則一〇七
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(8) (7)(6)
商學討究第日巻(上)
拙稿﹃牡會改夏論としてのマルサ入入口論﹄國民縄濟雑誌第三十八巻第六號謬照︒
bdo舜ひ嵐巴9蕊9・昌謳鵠凶q・髪o蒔・いロ山巴.M紀轟℃℃●逡H・
小泉信三著﹃杜會組織の縄濟理論的批評﹄大正十年刊三三頁肇照︒
= ︼〇八
こ︑に改めて言ふまでもなく︑﹃資本制蓄積の一般法則﹄と題するマルクス資本論の第一忽第二
十三章は︑﹃資本の塘殖が勢働者階級の運命に及ぼす影響を研究しπ﹄ものであつて頗る重要なる
一章である︒オッペンハイマーは︑こ\に展開され虎﹃蓄積法則﹄を以つて﹃マルクスの肚會學設
の大黒柱πる竜の︑即ちその重要なる秦断定の擦つて立つ最根本的なる前提﹄であると云つてゐる
がω︑正しくそれはマルクス學説の益禮系に取つての根幹であるのみならず(註三)︑勢働者階級の陰
惨なる運命を説明するものとしてそれ自身濁自の意義と重要とを有つものである︒
(註三)その所謂﹃重要なろ全噺定﹄とば︑オツペンハイマーに工れば︑資本家肚會崩壌理論︑共産的未來國家の學観︑及び
唯物史観即ちこれ.てあるo
﹂ノ蓋し若し蓄積法則にして正常な吻とぜば︑資本家肚會の崩壊は必然不可避のものである︒なぜならば釜々産業中心亀
に集中し︑資本そのものに俄つて盆々かおく團結しつ︑あろプロレタリア階級に︑か︑ろ事情の下に於てに︑いつかに或
0 ろ一黙︑1内部的反抗が公然れる反抗に︑即ち﹃賢本制生産行程それ自勇の機購に依って訓練,続合︑組織される所の︑
‑盆々膨大となりつNある勢働者階級の反抗﹄②に墜化すろの一黙ーに追ひ詰められざるな得ないであらうから︒
⇒共産的未來國家の學説に同檬に﹃蓄積法則﹄から出て來る︒即ち資本家的蓄積︑及びそれな促進する賢本の集中に︑(小資本家が﹃輩純なる商品生産者﹄存市揚より臨遽し宏ると同じ意味に於て︑今日では大資本家が小資本家な併呑歴倒す
ること彪跳明する︒尤も此の資本主義縄濟の傾向は特定の事情の下に於ては妨げられざるな得ない︒そに近代生産力の増
進がプロレタリア階級の利盆となる場合であつて︑生産力増進の結果として個々のプロレタリアに蹄すろ享樂財の分前が
増加すれば︑新規の小資本及び小資本家が縷々と現はれる.てあらうからであろo然し﹃蓄積法則﹄は近代技術の進歩は全
然プロレタリア階級の利盆に反すうものであ・り︑資本の集中行程は何等の妨げなく行にれて︑全生産は少鍛の大煙管に集
申されるものと観く︒かくしてマル〃スによれば此の傾向の究極的蹄結は共産主義純濟に他ならないのである︒
弍更に﹃蓄積法則﹄は唯物史観の前提であろ︒唯物史観に︑一切の歴更的事象の決定原因なば縄濟的基礎の姿容に求む(ろものであつて︑﹃物質的生活の生産方法ぼ祉會的︑政治的︑並に精淋的生活行程一般が規定すろ﹄といふ﹃縄濟學批剣﹄
に於ける序丈の一節に刻明にその根本的見解な示してゐる︒が︑エyゲルスは更に進んで︑生産物の分配なも歴史的搬展
に取つては何等濁自的の意義な有ぜざうもので生産關係の直接の機能であろと述ぶるに至つ六︒而して是等の論者がか︑
る見解に取つて唯だ一つの謹撮として呈示し六ものに正しく﹃蓄積法則﹄であつて︑それに依れば全生産物の分配に事實
上生産方法の直接の一蹄結に他ならないのである③︒
さて﹃資本制蓄積の法則﹄とはマルクス自身の言葉を以つていふと︑﹃肚會的の富や︑機能費本
や︑此の資本の檜殖の範園及び精力や︑随つて叉プロレタリアの絶劃数及び彼等の勢働の生崖力や︑
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