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言語活動の充実 と 「 書 くこと 」 の指導の課題

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言語活動の充実 と 「 書 くこと 」 の指導の課題

‑ 作文 ・綴方教育史の遺産 に照 らして ‑

飯 田 哲 夫

は じめに

平成20 年改訂の学習指導要領が小学校では本年度 ( H23) よ り完全実施 された。授 業時間数 も増加 し、改訂 に沿った新 たな方針の もと学校教育が展開 されている。

今期改定のね らいを一言でいえば 「 学力向上」である。そのための教育施策が教育 諸法規の改定 をともないなが ら進め られて きた。そ して最終的に学校教育の具体的な 内容 を規定する法令、学習指導要領 として告示 されたのである

この学力向上の重点事項 に 「 言語活動の充実」が掲げ られている。すべての学習の 基盤 に言語があ り、話 し ・聞 き、読み、書 くといった言語活動能力の向上が重要であ ると捉 えたためである。国語教育が学力向上の根幹 として確認 されたことは、国語科 を担当する教師のみならず、国語教育関係者 にとって喜ば しいことではある。しか し、

逆 に言 えば、これまでの国語教育が十分ではなかった、 ということで もある。それは

OECD の PISA 調査等 をは じめ とする学力テス トの結果で明証 される。

言語活動の充実 は、国語科のみの課題ではな くなった。「由語科で培 った能力 を基 に、すべての教科等 において積極的に言語活動 を行 う」 とい う。 これは従来の授業方 法 に変更 を要請する ものである。そこで新学習指導要領 は、指導事項 ( 内容)に加 え て、例示 とい うかたちで 「 言語活動例」 を示 した

1

。そ して教科書 も、 この考 えをも とに して、言語活動 を取 り入れた内容 に変更 した。

言語活動例 を見 ると、 自分の考 えを表現する ( 書 く、話す)力 とい うものが重視 さ れていることが分かる。それは逆 に、その ような能力 において、我が国の児童生徒 に 課題があるとい うことである。書 く力の衰退 とい う事態が注視 され、克服すべ き喫緊 の課題 となったのである。

だが、書 く力の育成、その教育実践 については、我が国は、作文 ・綴方教育の伝統 をもち、一定の水準 を維持 して きたはずである。なぜ、それが衰退 したのか を、いま は追究 しない。いかなる現状か を捉 え、その解決 に取 り組 む方向で本論 を展 開す る

この とき、不足 している書 く力 を高めるため、 さまざまな書 く活動 を並べてみて も仕 方 ないのではないか。これまでの研究実践の成果 を生か し,書 く力は何 を基盤 として、

どの ように発展 させ るか、それを踏 まえ、指導改善 に取 り組むことが重要である。

作文 ・綴方教育の研究 と実践 には、学ぶべ き財産がある。だが、今回の言語活動事 例や教科書 を散見する中で、それが十分生か されてお らず、む しろ重要なポイン トに おいて、筆者 には課題が見 えて きた

今後、「 言語活動の充実」 として実践する、書

く活動 において留意すべ き点は何 か。本論 はそのことを論ずる。

‑1 2 7‑

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1 言語活動の充実の背景 とね らい

(1)「 生 きる力」 とい う理念 一 国際競争 を勝 ちぬ くカー

今期学習指導要領の改訂 は、「ゆ と り教育」が修正 された との受 け止めがあろう。

平成以降の学習指導要領の変遷 を追 うと、 まず、平成元年改訂 は、「 個性重視 」 「 生 涯学習体系への移行 」 「 変化への対応」 との臨時教育審議会答 申を受 け、「 思考力、判 断力、表現力の育成」 と 「自ら学ぶ意欲 や主体的な学習」 を重視 し、従来の 「 知識 ・ 理解 ・技能」 の育成 に対 し、副次的な 「 関心 ・意欲 ・態度」 を学力の中核 に位置付 け た ( 「 新 しい学力観」の提唱 ) 。体験 的学習活動の重視 と生活科の新設があった

続 く、平成 1 0‑1 1 年改訂 は、「 変化 の激 しい時代 を担 う子 どもたちに必要な力」 と して 「自ら学び考 える 『 生 きる力』の育成」 の理念が提唱 された。それを目指 し 「 総 合的な学習の時間」が新設 された。 また学校週5日制完全実施への対応 とともに、内 容の厳選 と、授業時間の削減が はか られた ( いわゆる 「ゆ とり教育 」) 。 しか し、 この 改訂後 まもな く、学力低下が国民の話題 とな り、文部科学大 臣による 「 確かな学力向 上のための緊急 ア ピール」が出 された。平成1 5 年 には学習指導要領の一部改訂が行 わ れた。学習指導要領の基準性 を明確 に し、実態 に応 じ内容 を加 える指導が可能 となっ た ( 「 ゆ と り」か ら 「 学力向上」への シフ トチ ェンジ)0

今期学習指導要領 の改訂 は、「ゆ と り教育」 で提 唱 された 「 生 きる力」 の理念 を引 き受 けなが らも、その中核 には 「 確 かな学力」 を置 き、学力向上 を図っていることは 指導内容 と授業時数の増加 とい う目に見 える形 で明 らかになっている。 カリキュラム 編成の原理が、子 ども中心か ら教科 中心 に軸が振 れたことは学習指導要領の内容 と教 科書の改訂か らとらえる事がで きる

基本的な理念や方向は変わ らない との文部科学 省 の説明はある。だが、マス コ ミや国民が 「ゆ とり教育か らの修正」 と受 け止めるこ とには無理 もない部分がある。ただ筆者 は 「 文部科学省 の方針が変わったのか、一貫 しているのか」、「ゆ と り教育 の是非」、「 児童 中心か教科 中心 か」、 とい う議論 をは じ めない。重要なのは 「 生 きる力」 とは何 か を明確 に捉 えてお くことである。

今期改訂 は平成 2 0 年 中央教育審議会答 申に基づ いている。以下、 この文書か ら 「 生 きる力」 の理念、改訂 に至 る経緯 を見てい こう

2

「 生 きる力」 とい う理念 は、平成 8 年 中央教育審議会答 申 「 21 世紀 を展望 した我が国 の教育の在 り方 について」 においては じめて登場 した。その理念 とは 、21 世紀 は 「 変 化 の激 しい社会」であるか ら、子 どもたちに必要なのは 「 基礎 ・基本 を確実 に身に付 け、いかに社会が変化 しようと、 自ら学 び、 自ら考 え、主体的に判断 し、行動 し、 よ りよ く問題 を解決す る資質や能力、 自らを律 しつつ、他人 とともに協調 し、他人 を思 いやる心や感動す る心 な どの豊かな人間性、た くましく生 きるための健康や体力 な ど」

であ り、それが 「 生 きる力」である と定義 されている。

この理念 は、インターネ ッ トの普及 による世界の高度情報化、経済のグローバル化 を背景 に出て きた もの と思われる。 この理念 について 「 今回改めて検討 を行 った」 と ころ、平成 8 年答 申以降 、「 1 9 9 0 年代半 ばか ら現在 にかけて顕著 になった」 ところの

「 知識基盤社会」 と呼ばれる 「 社会の構造的な変化」 のなかで、「 生 きる力」 とい う理

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念が重要であると確認 されたためである。つ ま り、「 知識基盤社会」 とい う捉 え方が、

「 生 きる力」 の理念の確か さを強化 した といえる。

この 「 知識基盤社会」 は、平成 1 7 年中教審答 申 「 我が国の高等教育の将来像」 に登 場する。では、「 知識基盤社会」 とは何か。21 世紀の社会 を、「 新 しい知識 ・情報 ・技 術が政治 ・経済 ・文化 をは じめ社会のあ らゆる領域での活動の基盤 として飛躍的に重 要性 を増す」 として、 これを 「 知識基盤社会 ( k n o wl e d g e ‑ b a s e ds o c i e t y) 」 と呼ぶ。そ の特徴 は①知識のグローバル化、②知識や技術革新の絶え間ない更新、③知識のパ ラ ダイム ・チェンジに対応する柔軟な思考力 と判断力の要請、④年齢性別 を問わぬ参画 促進社会、などである。

ここで注意すべ きは、国際競争 をいかに生 き残 るか という産業 ・経済界の課題 に応 じた人材育成 とい う観点である。キーワー ドは 「 競争」である。答 申では、次の よう に書かれている。

この ような知識基盤社会やグローバル化 は、アイデアなどの知識その ものや人材 をめ ぐる国際競争 を加速 させ るとともに、異なる文化 ・文明 との共存や国際協力の 必要性 を増大 させている。

「 競争」の観点か らは、事前魂制社会か ら事後チェック社会への転換が行 われて お り、金融の自由化、労働法制の弾力化 など社会経済の各分野での規制緩和や司法 制度改革などの制度改革が進んでいる。 このような社会において、 自己の責任 を果 た し、他者 と切瑳琢磨 しつつ一定の役割 を果 たすためには、基礎 的 ・基本的 な知 識 ・技能の習得やそれ らを活用 して課題 を兄いだ し、解決するための思考力 ・判断 力 ・表現力等が必要である

しか も、知識 ・技能は、陳腐化 しない ように常 に更新 す る必要がある。生涯 にわたって学ぶ ことが求め られてお り、学校教育はそのため の重要な基盤である。

他方、同時 に、「 共存 ・協力」 も必要である。国や社会の間を情報や人材が行 き 交い、相互 に密接 ・複雑 に関連する中で、世界や我が国社会が持続可能な発展 を遂 げるためには、環境問題や少子 ・高齢化 といった課題 に協力 しなが ら積極的に対応 す ることが求め られる。 この ような社会では、 自己 との対話 を重ねつつ、他者や社 会、自然や環境 とともに生 きる、積極的な 「 開かれた個」であることが求め られる

( 傍線筆者) ここでは 「 競争」 と 「 共存 ・協力」が重視 されているが、傍線の学力観 は明 らかに

「 競争」 に必要 な力である

そ して、 この部分 は学校教育法3 0 条2 項 に組み こまれた。

生 きる力は、 ( 1 )確かな学力、 ( 2)豊かな心、( 3)健やかな体で、知徳体 と調和 よく 整 えられているが、知識基盤社会 においてます ます重視 されるのは明 らかに 「 確かな 学力」である。そ してそれは 「 競争」 に対応する力 なのである。

そ して、この理念 はグローバル ・ス タンダー ドの学力基準 と重なる。経済協力開発 機構 OECD は、国際化や情報化の進展 にともない国際社会の要求する能力概念 (コン

ビテ ンシー) を 1 9 9 7 年 に 「コンビテ ンシーの定義 と選択 」( De S e Co プログラム) をス ター トさせ、2 003 年 に最終報告 をした

この研究 によって明 らかにされたコンビテ ン

ー1 2 5‑

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シーの主要部分 を 「キー ・コンビテ ンシー」 と呼ぶ。次の 3 点である

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( ∋ 自律的に行動す る能力

② 多様 な社会 グループにおける人間関係形成能力

③ 社会 ・文化的、技術 的ツールを相互作用的 に活用する能力

答 申では、「 生 きる力」が、「この主要能力 ( キー ・コンビテ ンシー) とい う考 え方 を先取 りしてい た」 と自負 してい る

しか し、 この キー ・コ ンビテ ンシー を測 る pI SA の学力調査 で、 日本 の子 どもたちの学力 の課題が明 らか になった。読解力 の低 下である。 この結果 に基づいて、学習指導要領が大 きく改善 された。

(2) p ISA調査結果 と学 力の課題 一読解 力の低下‑

pI SA 調査 とは 「 p r o g r a m f わrl nt e ma t i ona lSt ud e ntAs s e s s me n t 生徒の学習到達度調査」

で、調査項 目は、「 読解力」 ( 書 かれたテキス トを理解 し、利用 し、熟考す る能力)、

「 数学的 リテラシー」、「 科学的 リテラシー」、「問題解決能力」 の四つである。

2 003 ( 平成1 5)年調査が明 らかに した課題 は、読解力低下であった。特 に自由記述 問題 において無答が多い。 また、成績下位層の増加があった。2 0 06 ( 平成 1 8)年調査 は、読解力 は同様 の傾 向の ままであ り上位 にある数学的 リテラシーでの成績上位層 の 減少があ り平均点の低下がみ られた。科学的 リテラシーでは、科学への興味関心の低 下 な どが明 らかになった

2009 ( 平成 1 9)年調査 は、読解力の改善傾 向が表れた。 しか し、「テキス トか ら情 報 を取 り出すのは得意だが、関係性 を理解 して解釈 した り、 自らの知識や経験 と結 び つけた りす ることが苦手である」ことが明 らか となった。読書 しない割合 も依然高い。

pI SA の読解力 は、実生活 に必 要 とされ るあ らゆるテキス トが対象 になっているの で、国語科 のみの課題ではないが、国語教育 としてこの間題 にどう対応す るかは重要 である。読解力向上 について、 どの ような取 り組みが必要なのか。

文部科学省 は2 005 ( 平成1 7)年 「 読解力向上 プログラム」 を策定 し、取 り組み を明 示 した。その中に 「 読解力 は、国語 だけでな く、各教科、総合的な学習の時間な ど学 、 校 の教育活動全体で身につけてい くべ き」 とし、改善の具体 的な もの として、

・テキス トを理解 ・評価 しなが ら読 む力 を高めること、

・テキス トに基づいて 自分 の考 えを書 くこと、

・様 々な文章や資料 を読 む機会や、 自分の意見 を述べ た り善いた りす る機会 を充実 す る、

の3 点 を示 した

4

平成20 年 中教審答 申は、pI SA 調査等 を参考 に、各教科での学習活動例 として、

( ∋体験 か ら感 じ取 ったことを表現す る、

( 参事実 を正確 に理解 し伝達す る、

③概念 ・法則 ・意図な どを解釈 し、説明 した り活用 した りす る、

( 訓育報 を分析 ・評価 し、論述す る、

( 9課題 について、構想 を立てて実践 し、評価 ・改善す る ,

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⑥互いの考 えを伝 え合い、 自らの考 えや集団の考 えを発展 させ る、

の 6 点 をあげた。 この考 えはその まま新 しい学習指導要領の改善の重点 「 言語活動の 充実」 に反映 されてお り、その方向で本年度 より、小学校 は新 しい教科書の もと、学 習が進め られている。

以上 をまとめると次である

・言語活動の充実は、あ さらかに P I S A 型読解力の向上 を意識 している。

・第一が、正確 な読み とりと分析、論理的思考力 を育成する活動の重視 ( ( 参、③、④ ) 0

・第二 に、 自分の考 えを書 く ・述べ るなど表現することの重視 ( ①、( 参、③ 、④) 0

・第三 に、 コミュニケーシ ョン能力 に関わった活動である。

この言語活動 の充実 によ り、確 かな学力 の向上 ‑p I S A 型読解力の向上が図 られ、

生 きるカ ニキー ・コンビテ ンシーの育成が図 られるとい う構造である

0

では次 に、具体的な言語活動の内容 と国語科教科書の実態 を見ていこう

2 「 書 くこと」の言語事項及び言語活動例 と教科書の実態 (1 )作文 ・綴方教育か ら学ぶ 「 作文指導の要点」

は じめに考察の視点 を述べ る。本論 は国語科 における 「 書 くこと」 の領域 において 限定 して検討する。筆者の検討の視点 は、 日本作文 ・綴方教育史上の筆者が重要 とみ なす次の二点である。それをあげ、若干の解説 をする。

○視点 1 作文の題材 を子 どもが選択する。 ( 題材指導、選題指導)

日本作文 ・綴方教育史 において、芦 田恵之助の 「 随意選題」 は画期的な実践であっ た

5

。従来の実用的な文章 を中心 に模範 となる文章 を模倣 した学習活動が、今 日では 当然 となる自己表現 としての作文 に転換 した。 この転換 を 「 範文模倣期」か ら 「自己 表現期」 と西尾実 は捉 えていた

6。

この転換 を促 した芦田の 「 随意選題」 は、教室 に おける子 どもの声 による。高等師範附属小で芦田が した課題作文 に対 しての児童の反 発 にある。それに応 じて 「 勝手 にせい」 と自由な題材で書かせた作文が素晴 らしい出 来ばえだった。岩波書店雑誌 『 教育』主催の帝国教育会館で昭和 11 年の座談会で、芦 田は石山修平、今井誉次郎、谷川哲三、西尾実の前で、それこそが随意選題の起源で あると語 っている

了。

では、題 を子 どもが選ぶ ことでなぜ素晴 らしい作文 となったか。それは書 く意欲が 喚起 されたか らである。現在で も作文嫌いな子 どもは、何 を書いていいかわか らない と訴 える

ほとん どが教室で与 えられる課題 に対 して、 これを書 こうと定め られない にもかかわ らず、書かせ られることによって起 こる事態である。芦田の場合は、何 を 書 くかを自分が決めるとい うことによって、子 どもたちは書 くこと ( 書 きたいこと)

を見つけることが出来たのである

戦前戦後の生活綴方運動 を推進 した国分一太郎 は

「 選ばせ る」 こと、選題力の育成 を重視 したことが伝統的な遺産であった と書いてい るS 。これは単 に、題 を与 えるか、与 えないかの問題ではない。題 は与 えてはいけない とい う事で もない。題 を与 えて も、その題の範囲で、 自分 な りに書 くべ き内容 を見っ けさせ る、r 題材指導が重要だ とい うことである.そこが指導 されると、書 く意欲 は向

‑1 2 3‑

(6)

上す るのであ る。この発見 の意義が どう生 か されてい るか。これが視 点 の一つであ る。

○視 点

2

経 験 を順 序良 く、展 開的過去形 ( 〜 ま した。) で書 く指導 か ら発 展 させ る。 ( 文章指導 の系統性 )

書 く指導 は、 身近 な経験 ( 生活体験 、出来事) を書 くこ とか ら始 め るのが重要であ る。これ は書 く内容 を子 どもが持 ってい るか どうか とい うこ と ( 題材指導)とともに、

実際 に書 く文章 の問題 ( 記述指導) と関わ る。様 々 なジ ャンルの文章 は、様 々な文体 を もつ。入 門期 の1 、2 年生 に観察 、説 明、手紙 、報告等 さまざまな文章 をい っぺ ん に 教 える こ とが どうか、 とい う問題 で あ る。 「日本作 文 の会」 が系統 的指導 と して、入 門期 には子 どもた ちの身近 な生活 の出来事 を、展 開的過去形 で書 かせ る こ とか ら始 め る とす るの には、十分 な成果 と実績 が あ る

これ に 関 して は 、 つ とに 「赤 い 鳥 」 綴 方 の 主 導 者 、鈴 木 三 重 苦 が 『綴 方 読 本 』 ( 1 935)の中で、 「 作 品が伸 びない とい うの には、 まず第‑ には、児童 には到底 か けな い こ とを書 かかせ ようとかか ってい る ような、根本 の無理が手伝 ってい る。 まず その 点 を反省 しなければ な らない。つ ま り題材 の問題 で あ る」 と述べ 、 「 忍耐 」 「 春 」 「国 家」 とい うような題材 の問題 点 を挙 げてい る。三重苦 に よれ ば、 これ らの題材 の記述 は 「 総合 記叙」 にあた り、 それ は低 学年 で は困難 で あ る とす る 。 「 展 開記叙」 で 「あ った ままの事象 の進行 を、その まま同 じ平面上 で同方 向 に跡づ けて書 く」方がや さ し いの に くらべ 、様 々な時 間の様 々の観点 か ら、多角 的 に捉 え説 明 した り、短 い展 開の 挿 入 を した りな ど、 「 鋭 い頭脳 が要 る

普通 年少 の子 どもなぞ にはなか なかの努 力 で なければ な らない」 と述べ てい る

9。

様 々な文体 を使 い、総合 的 な記述が で きる ようにす る ことは重要 だが、 それ には段 階が あ るだろ う。 その点 につ いて実際 どの ような意識が働 いてい るか。 これが視 点 の 二つ 目であ る。

(2 )新学習指導要領 、言語事項及 び言語活動例 、「 B 書 くこ と」の領域 の実態 学習

旨導要領 は指導 内容 を示す こ とで、指導方法 について は実態 に応 じ創 意工夫 を 現場 に託 していた。 しか し、平成20 年 の学習指 導要領 か ら、言語活動 の充実 に重点が おかれ、指導事項 に加 え、言語活動例 を示 した こ とは一つの大 きな転換 であ る。活動 例 とい う提 示 であ るが 、 この提示 が、教科書 や実際 の現場 の授 業 に強 く影響 す る と思 われ る

実際、教科書 は この提示 を もとに編纂 されている

で は 、「 B 書 くこ と」 の領域 の実態 を、指導事項 、言語活動例 の順 に見 てい こう。

① 学習指導要領 ・指導事項 の実態

まず、指導事項 については、ア 題材 、イ 構想 、り 記述、エ 推蔽 、オ 鑑賞 、 と基本 的 な指 導過程 を踏 み なが ら、低 中高学年 の段 階 に応 じた指導事 項 が示 されてい る。例 えば、 アの題材指導 を見 る と以下であ る。

○低 学年 題材 「 経験」 や 「 想像」

重点 「 題材 に必 要 な事柄 を集 め る こ と 」

○ 中学年 題材 「関心 のあ る こ とな ど 」

(7)

重点 「 相手や 目的に応 じて、書 く上で必要な事柄 を調べ ること 」

○高学年 題材 「 考 えたことな ど 」 、

重点 「目的や意図に応 じて、書 く事柄 を収集 し、全体 を見通 して事柄 を整理す る」

題材 について、低学年が、生活文、観察文、物語文 など、

中学年が、関心のあることであるので、様 々なジャンル 高学年が、意見文、論文 など、

が想定 され、 これ までは上記範囲で児童 の実態 に応 じて教 師が工夫で きた

②学習指導要領 ・言語活動例 の実態

今期 の学習指導要領 は 「 例 えば、次の ような言語活動 を通 して指導す る もの とす る」

と、以下の言語活動例が示 された。

○低学年

想像 したことな どを文章 に書 く ( 物語文、詩 な ど) イ 経験 したことを報告す る文章 ( 報告文、生活文 な ど)

・観察 したことを記録す る文章 ( 観察文、記録文 な ど)

身近 な事物 を簡単 に説明す る文章 ( 説明文 な ど)

・ エ 紹介 したい ことをメモや文章 に ( 紹介文 な ど)

○ 中学年 ア 想像 な どをもとに詩や物語 を書 く ( 物語文、詩 な ど)

イ 疑問 に思 ったことを調べ た りす る文章 ( 報告文 レポー トな ど) 学級新 聞な どに表 わす ( 記事、 コラムな ど)

)

収集 した資料 を使 い、説明す る文章 ( 説明文 など)

エ 目的に合 わせ て依頼状、案内状、礼状 などの手紙 を書 く ( 手紙 な ど)

○高学年

想像 したことな どを文章 に書 く ( 物語文、詩 な ど) イ 経験 したことを報告す る文章 ( 報告文、生活文 な ど)

観察 したことを記録す る文章 ( 観察文、記録文 な ど)

身近 な事物 を簡単 に説明す る文章 ( 説明文 な ど) エ 紹介 したいことをメモや文章 に ( 紹介文 など)

③考察

○視点 1選題 ・題材指導 について

※(

)は筆者

選題 ( 題材指導)については、言語活動例 には書かれていない。題材指導で最 も重要 なのは、題材 を選ぶ力 を育てる事 である。それは書 くことを見出す力であ り、そ こに 書 く意欲がついて くる。指導事項では 「 書 くことを決め」と、ひとことで済 ませ ている

ここには、選題 とい うことが学習の課題であるとい う意識が感 じられない。 ここを し っか りしない と、書 くことが ないな ど、書 く意欲が生 まれない事態 になるのである。

○視点 2 文章指導の系統性

言語事項 の範囲では、低学年の 「 経験」を書 く、か ら、高学年の 「 考 えたことなど」

と文の系統性、発達段 階 を考 えて整 え られていた。 しか し、言語活動例 は指導事項以 上 に、様 々な文書 を書かせ るように している

この ことは、先の視点2の観点か ら見 て問題 と言わざるを得 ない。小 中高の系統性 をみて、発達段 階 を考 える とき、経験 を

‑1 21‑

(8)

もとに した文章 を基盤 に発展 させ るこ とが重要である と考 える。その基盤 に、低学年 で観察文、中学年 で報告文、記録文 な ど、高学年 で意見文 な どの書 き方 を教 えてい く ことが良いのではないか。

(3 )教科書 の実態 一光村図書 の場合一

平成23 年度新指導要領完全実施 に伴 い教科書 も一新 された。で は、国内最大 シェア の光村 図書 の教科書で、具体 的 に 「 B 書 くこと」 の教材 を見 てい こう。

まず、一年生の教科書 ・指導書 を先 の視点で分析 す る。他学年 は紙面の都合 で単元 名 と時数、文 の種類 を示すのみ とす る。。

①小学校 1 年 ( 「か ざ ぐるま」上 、「ともだち」下)

入学 した一年生が、初めて書 く教材 は、単元 「どうぞ よろ しく」 ( 四月中旬)で、

言語活動例 「 エ 紹介 したい こ とをメモや文章 に」 に相 当 し、紹介文 の指導 であ る

具体 的 には カー ドに名前 を書 いて、 自分 の好 きな物 の絵 を書 く。場面 で話 す文章 は

「わた しのな まえは ○ ○ です。 どうぞ よろ しくおねがい します

.す きな もの は ○ ○ で す。 ( 握手 ) 」 とい う形式 で行 うもので、 まだ、本格 的 な書 く指導ではない。相手 に自 分 を紹介す る口頭 の文章の学習である ( 口頭作文 は入 門期 に重要である)0

文章 の指導 は次 の単元 「 す きな もの、 なあ に」 ( 七 月上旬 ・四時 間) で、言語活 動例 は 「エ」 で紹介文。 自分 の好 きな物 を書 いて知 らせ る とい う活動 であ る 。 「わた

しのす きな もの は、 ○ ○ です。 ○ ○ だか らです。 」 とい う文体 で二文 を書 く。 それぞ れが 自分 の好 きな物 を書 く学習であ る。 自分 の好 きな物 を決める題材指導 は最初 の二 時 間。教科書 の参考作 品 を視写 し、記述 について も学ぶ。三時 間 目に記述 し、四時間

目で互 いに読 み合 い感想 を述べ る

鑑賞指導 となる。

本格 的 に文章 を書 く単元 は 「か ける ように なった」 ( 七 月中旬 ・六時 間) で、言 語活動例 は 「オ」 で経験 を善 くに相 当す る。絵 日記 と手紙であ る

一時 間 目で意欲 喚 起 、二時 間 目で教科書作 品 を参考 に、休 み時 間の出来事 を絵 日記 に書 く。三時 間 目に

%' きたい ことを選 んで絵 日記 を書 く。四時間 目に絵 日記 を読み合 う。五時 間 目に手紙 を知 り、六 時 間 目に手紙 を書 く

日記 は経験 を展 開的過去形 ( 〜 ま した。) で書 く

三文程度 とい うことである

次 は単元 「しらせ たい な、見 せ たい な」 ( 十 月下旬 、八 時 間) で、言 語 活動例 は

「イ 観察 した こ とを記録す る文章」 で、観察文 の指導 であ る

手順 は、教科書 を読 み、学習課題 を理解す る ( 二時 間 ・意欲 喚起)。題材 を決 め、 まずその絵 を書 き、そ の絵 に見つけたこ とを書 きこむ。そ してその書 きこみ を文章 に して、短冊 に書 く ( ≡ 時 間 ・題材 と取材指導)0

単元 「あつ まれ、ふ ゆの こ とば」 ( 十二 月上旬 、十時 間) は、 カル タづ くりで、

言語活動例 「イ 経験 や観察 した こと 」

「り

事物 の説明」 に相 当す る。

単元 「いい こ と い っぱい、一年生」 ( 三月 中旬 、十時 間) は、一年 をま とめ と

して、心 に残 った出来事 を、四文以上 で書 く。教科書 の参考作 品 には給食 当番 の絵 が

書 かれ、その下 に

(9)

きゅうしょくとうぽんで、は じめて、スープで よそいました。

さとうさんが、

「 か きまぜ なが ら、 よそ うんだよ。 」 と、お しえて くれました。先生 にも、はめて もらいました

いえで もや りたいな、 とお もいました

とい う文章である。 この ような短文で何枚かを書 く。言語活動例 は 「イ 経験 したこ とを報告する文章」であ り、いわゆる生活文である

ずいぶん長い期 間を思い出すた めに、写真 を使 う。題材指導 に二時間、構想指導 に一時間、記述 ・推蔽指導 に三時間、

表紙づ くりを入れ、鑑賞指導 に二時間の構成である。 アルバムを作 る活動である

②他学年

○小学校 2 年 ( 『たんばぽ』上、『 赤 とんぼ』下) 4 月 「 今週のニュース」 ( 四時間)

5‑6 月 「 かんきつ名人になろう」 ( 十二時間) 7 月 「 お話の さ くしゃに なろう」 ( 八時間) 1 1 月 「 友だちの こと、 しりたいな」 ( 八時間) 1 2 月 「 お もちゃの作 り方」 ( 六時間)

1

月 「 見 たこと、かん じたこと」 ( 五時間) 3 月 「 楽 しかったよ、二年生」 ( 十二時間)

○小学校 3 年 ( 『わかば』上、『あおぞ ら』下) 5‑6 月 「 気 になる記号」 ( 十二時間)

7 月 「 手紙 を書 こう」 ( 四時間)

1 1 月 「 食べ物のひみつを教 えます」 ( 六時間) 1 2‑1 月 「 物語 を書 こう」 ( 七時間)

2‑3 月 「 本で調べてほうこ くしよう」 ( 十六時間)

○小学校 4 年 ( 『かがや き』上 、『はばたき』下) 5‑6 月 「 読書生活 について考 えよう」( 十二時間)

7 月 「 新聞を作 ろう」 ( 五時間) 夏 ・秋 「 夏 さかん 」 「 秋探 し」 ( 各一時間)

1 1 月 「 『 仕事 リーフレッ ト』を作 ろう」( 七時間) 1 2‑1 月 「 野原の仲 間になって」 ( 四時間)

2‑3 月 「 『ことわざブ ック』を作 ろう」( 十五時間)

○小学校 5

( 銀河』 )

5‑6 月 「 次への一歩 一活動報告書」 ( 十時間) 9 ‑1 0月 「 豊かな言葉の使い手になるためには 」( 十四時間)

1 1 月 「グラフや表 を引用 して書 こう」 ( 四時間) 1 2‑1 月 「 物語 を作 ろう」 ( 六時間)

○小学校 6 年 (

『創造

』)

5‑6 月 「ようこそ、わた したちの町へ」( 十二時間)

‑1 1 9‑

言語活動例 言語活動例 言語活動例 言語活動例 言語活動例 言語活動例 言語活動例

文 文 文 文 文 文 告 察 作 介 明 活 報 観 創 紹 説 詩 生

イ イ ア ユ ウ ア イ

言語活動例 イ 調査報告文 言語活動例 工 手紙文 言語活動例 り 説明 ・報告文 言語活動例 ア 創作文 言語活動例 ィ、り 調査報告文 言語活動例

言語活動例 言語活動例 言語活動例 言語活動例 言語活動例

イ 調査報告文 イ 新聞 ア 俳句

イ 説明 ・報告文 ア 詩

ィ、 り 報告文

文 文 告 告 報 報 ム ⁚ 文 動 ラ 明 作 活 コ 説 創

イ イ イ ア リ = 一 n H一 .日日‖一 伊 伊 伊 伊 動 動 動 動 活 ̀活 活 活 語 語 語 語 言 言 言 言

言語活動例 ィ、り 案内 ・説明文

(10)

9

月 「たの しみは」 ( 四時間) 言語活動例 9‑1 0月 「 平和』 について考 える」 ( 十四時間) 言語活動例 1 1 月 「この絵、わた しはこう見 る」 ( 四時間) 言語活動例 1 2‑1 月 「自分 を見つめ直 して」 ( 七時間) 言語活動例

ム )フ コ ・ 文 文 歌 見 説 筆 短 意 解 随

ア イ ウ ア

③考察

教科書は、 じつ に様 々な文章 を書かせ る。すなわち、紹介文、 日記文、手紙文、観 察文、報告文、生活文 と様 々なジャンルの文章が、め じろお しに並列 されている。そ れぞれの 目的に応 じて文体 は変わる。描写 と説明、記録 と報告、感想 と考察、それ ら をどう書 き分けるか、入門期の一年生 に課す ことではない。実際は、文例 を見て、二、

三文 をマネ して書 く指導 と思われる

他学年の教科書 もこの傾向で構成 されていた。そ して、何 よりも書 く内容 ( 題材 ・ テーマ) を選ばせ ることに少 しも手間 ( 時間 と工夫) をかけていない。各視点で見て いこう。

○視点 1:選題 ・題材指導について

一年生の教科書か ら分析す る と、 まず、題材指導 において、月分の事 を振 り返 り、

このことを書 きたい と意識 させ る選題指導が欠けていると思われた。他学年の指導書 を見て も、同様の傾向が見 られる。書 くことが決 まっていて、そのあ との取材の仕方 や構成などについては工夫があるが、何 を善 くか をどう指導するか とい う点、すなわ ち、子 どもたちが、何 を書 こうか と迷い、取材 し、選ぶ指導 については、あま り意識 された指導がない。 これが実態である

○視点 2 :文章指導の系統性 について

日本語 ・国語 として、文章が どの ような発展 をしてい くのかについて、系統性が意 識 されていない。低学年か らさまざまなジャンルの文 を理解 させ書かせ ることは、つ とに鈴木三重苦が言及 した とお り、困難である。展開的過去形 を基本 に、 しゃべ った こと、思 ったこと、説明、描写、観察、などが出来 るように しなが ら、本や文章、グ ラフや写真 など様 々な情報 を引用 した り、比較 した り、次第に読 む活動 と連携 しなが らし論文等 に発展 させ ることが必要だろう。物語、詩歌 な どを創作することは、読む ことの発展 として入れてい くことであ り、別の尺度で系統性 は考 えるべ きだろう。

この ように教科書はみごとに、学習指導要領の意識 を反映 させ、その構成がで きて いた。特 に調べて報告する調査報告文が教材 として多 く出ている。 これは知識基盤社 会の、企業や様 々な組織で求め られている文書 を意識 し、その要求に応 えていると思 われた。

3 これか らの書◆ く力の育成のために (1 )書 く力の現状 をどう克服するか

.い ま子 どもたちの 「 書 く力」 は どうなのか。pI SA 調査 は、 日本の子 どもたちの課

題 を明 らかに した。特 に他国に比 して 自由記述 における無答率の高 さは、衰退の実態

を我 々に突 き付 けている。そのために言語活動の充実の もと、言語活動例が示 された。

(11)

しか し、 ここには課題があるとこれまで述べて きた。その克服 には日本作文 ・綴方教 育史か ら学ぶ視点 1 、2 の観点で、現場の教師力亨 工夫 を図ってい くべ きである

だが、

それだけで 「 書 く力」が向上するとはいえない。一方では、われわれの授業改善が必 要である。PI SA の問題 は、理科や社会 に関す る もの、実用的な地図や図表 を読 むこ

と、テキス トに評価や批判 をすることなど、従来の国語科の読解 とは違 う。

た とえば、有元秀文民 ( 国立教育政策研究所) は、pI SA 読解力の 自由記述の無答 率が特 に高い ことに着 目し、 日本の学校教育では、読んだことについて評価 した り批 判 した りして自分の意見 を書かせ るとい う、クリティカル ・リーディングの弱 きを指 摘 し、その原 因について、① 自由記述 に慣れていない、② オープンエ ン ドの問いに慣 れていない、③授業中に自分の意見 を述べ る機会が少ない、④意見 を述べ る根拠 を教 材文か ら挙 げる指導が不徹底である、 と分析 している。その克服 は、全教科の学習で オープンエ ン ドの課題 を与 え、グループなどで討論 し、相互批判するクリティカル ・ シンキ ングをさせ ることだ と論ず る

10。

言語活動の充実は、 この ような学習活動 を期 待 していると思われる。

この ような視点で、子 どもたちが積極的に自分の考 えや感 じたことを表明 し、それに 対 して、 また別の観点で議論がで きる、そ うした学習に転換する必要がある。

しか し、問題 は、全ての授業改善の基盤 になる言語活動の基礎的な国語力 を培 う国 語科である

(2 ) これか らの書 く力の育成の視点

言語活動 を充実 させ る基盤の国語力の育成 は、国語科の役割である

しか し、国語 科 に示 された 「 B 書 くこと」言語活動例 には問題がある。重要なのは国語科で何のジ ャンルで も書 ける形式 を学習 させ るのか、 とい うことである。書 くことの基本 を国語 科 は培 うべ きである

あ らゆるジャンルの文 に発展で きる基盤 としての書 くことの基 本である。

その基本 とは、 まず、 自分の視点か ら書 くべ き、書 く価値のある内容 を見極め、選 ぶ力である。次 に、書 くべ き文のジャンルに応 じて、 どう善いた らいいかを構成、記 述する力である。それ を発達段階に応 じて育てるためには、文章学習の系統性 を考慮 しな くてはならない。にもかかわらず、現状 は知識基盤社会で求め られる論理的思考 力 を生か しテキス トを解釈 し批判 し、 自らの意見 を書 くとい う報告文が小学校教科書 の中心 に構成 されている。 もし、その ような文章が一番求め られるとして も、そこに 至るには、他の言語活動や他教科の学習 との関わ りと、文章 を善 くとい う学習の発達 段階の応 じた系統性 と両者 を考慮する必要がある。 しか し、実態は、様 々なジャンル の文章 を国語科 に低学年か ら入れている。国語科で書 くことの基本 をしっか りあつか うことが求め られる

そ して、 ここには もうひ とつ重要な課題がある。pI SA 調査 のみな らず、学力学習 状況調査等が明 らかに したのは、読解力、書 く力等の低下だけでな く、学習意欲、学 習習慣、読書習慣 な どの著 しい低下 と二極化である。「 書 くこと」 に限ってみた とこ

‑117‑

(12)

ろで、子 どもたちは意欲的に書 く活動 にむか うだろうか。そ うでな くて も、書 くこと は面倒で、 きめ細かな指導が必要 となる。時間がかかる営みである。何 もしない と、

「 書 くことがない 」 「 書 けない」だか ら 「 作文 は嫌い 十 とい う事態 を招 く。その点で筆 者 は、先 に掲げた二つの視点で現場では もう一度具体的な計画 を立てて、実践 を進め てい く必要があると思 う。

最後 にどうして も付 け加 えるべ きことがある

。それは、「 書 くこと」 とは技術 だけ でな く、個人の人間性全体 を育てるこ七 と繋が らざるを得 ない し、そこを欠いた とき、

表現 ざれた ものは浅薄になる。書 くとは個別の活動である。書かれた文章はひとり一 人ちが う。そのことを大切 に したか らこそ、書 くことをとお して、子 どもたちが人間

として成長 して きた。再生の鍵 もここにあるのではないだろうか。

l

平成

22

12

月には r 言語活動の充実 に関す る指導事例集 ・小学校版 J ( 文部科学省)で、活動事例 も紹介 されてお り、現場の教育実践のひな型 になると思われる。

2

中央教育審議会答 申省 「 幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領の改 善 について」、平成

20(2008)

年、文部科学省HPよ り

3 ドミニ ク ・S ・ライチェン、 ローラ ・H ・サルガニク編著 、OECD De S e Co r キーコンビテ ンシ

ー ー 国際標準の学力 をめ ざしてJ立田慶裕他訳 、明石書店、2

006 4

「 読解力向上 に関す る指導資料」、文部科学省、平成

17

12

月、東洋館出版

5

滑川道夫 F日本作文綴方教育史 (1)明治別 、国土者

、19

7 70 また、芦田の随意選題が教室の児童 を中心 に生 まれた と筆者 はかつて論 じた

(r

芦 田恵之助 綴方教育思想の研究』上越教育大学修士 論文、平成7 年)0

6

西尾実 F 書 くことの教育』、習文社

、1952

7

雑誌 『 教育j岩波書店

、1936

5

月号、『 芦 田恵之助国語教育全集 ( 第

25

巻 ) J 、明治図書

、1987

、所 収。

8

国分一太郎 r 現代つづ りかたの伝統 と創造」、百合出版

、1982 9

鈴木三重苦、r 綴方読本」、講談社学術文庫

、1987

1

0 有元秀文、「日本の高校生のPI

SA読解力 と科学的 リテラシーの課題」、 日本科学教育学会、r

科学 教育研究 ( 第

32

巻第

4

号 ) J

、2009

( 平成7 年度修了)

参照

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