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東京医科大学雑誌

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Academic year: 2021

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一 90 一

東京医科大学雑誌 第68巻 第1号

6.造血幹細胞移植における経時的KIR genotypingの臨床  的意義

(内科学第一(血液内科))

         吉澤成一郎、北原 俊彦、赤羽 大悟       後藤 守孝、大屋敷一馬

(難病治療研究センター)

      張   宇、大屋敷純子

 【背景と目的】 同種造血幹細胞移植において、HLA class I を認識するドナーのNK細胞受容体KIR(Killer cell lg−like receptor)とそのリガンドである患者HLA class Iの不適合に よってもたらされる同種反応性NK細胞はGvL誘導に効果 を発揮すると考えられているが、その詳細は不明である。

そこで同種造血幹細胞移植におけるKIR陽性細胞の役割を 明らかにするため以下の検討を行った。

 【対象と方法】 対象は2008年3月から2009年3月まで に東京医科大学病院、血液内科で同種造血幹細胞移植を施 行した9例(AML 4例、 ALL l例、 CMML l例、 NHL 2例、

CLL l例)で、ドナーソースは血縁2例、非血縁骨髄4例で 膀帯血が3例。9例中5例は骨髄破壊的前処置であった。学 内の倫理委員会の承認後(IRB承認番号928)、文書で同意 を得て、患者末梢血を経時的に採取し、全血700μ1より DNAを抽出した。 KIR genotypingは16種類のKIRと2種類 の偽遺伝子を含むKIR typing kit(Miltellyi Biotec, Auburm,

CA, USA)で測定した。また一部の症例では表面抗原の解 析も行い、genotypeとphenotypeの比較検討を行った。

 【結果】 同胞間移植の1例ではKIR genotypeの変化はみ られなかったが、骨髄非破壊的前処置で同胞間移植を行っ

た1例と非血縁者間骨髄移植の4例では生着後にKIR geno−

typeの変化が確認された。一方、膀帯血移植を行った全例 で生着時および再発時にKIR genotypeの変化(i.e. KIR2DS4,

KIR2DS5)を認めた。また、表面抗原の発現は全般的に弱く、

一部の症例では表面抗原の発現とgenotypeの解離がみられ

た。

 【考案】 KIR不適合移植の同種反応性NK細胞の検討は 抑制型KIRについての報告が主体であったが、我々の検討 では活性型KIRの関与が示唆された。また、表面抗原の発 現とgenotypeの解離が見られたことより、ドナーの選択に はリガンドやKIR genotypeのみならず、 KIR phenotypeの解 析や、さらにはNK細胞の機能解析も重要と考えられた。

7.家族性地中海熱(FMF)の姉妹例

(小児科学)    奈良昇乃助、森地振一郎、西亦 繁雄          柏木 保代、河島 尚志、武隈 孝治          星加 明徳

 症例は13歳と8歳の姉妹。月に1回程度の1、3日の発 熱と腹痛を訴えていたが、そのつど虫垂炎疑いとして構成 剤の治療を受けていた。家族性地中熱を疑い、インフォー ムドコンセントを得て遺伝子検査を行なった。その結果、

父親と姉にFMFの変異を認めた。8歳の弟はコルヒチンを 開始したが、その後発熱、腹痛なく、食欲も増加。下痢・

嘔吐などの副作用もなく、身長の増加を認めた。一方、姉 に関しては症状が軽微なため、無投薬で経過観察中である。

診断されず経過をみているFMFが多いことが推察され、文 献的考察を加えて発表する。

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