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環境税における脱税の

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(1)

環境税における脱税の 社会厘生的評価の理論的検討

一公害税を中心に一

立正大学経済学部 藤岡明房

4 5

The lcaitreoeTh Examination tfo eh ontiuavalE fo eht laicoS Welfare tfo eh Tax Evasion ni eht alonmentEnvir Tax

- Mainly on a Pnoitullo Tax - R

i s s h

o ,ytisrevinU epartmentd fo economics A

k i f u s

a FUJIOKA

本論文では,ピグー税タイプの環境税が賦課された場合の脱税の経済的効果 は,社会的余剰の変化に枯づいて評価するという手法が用いられる.環境税に おいて脱税が生じたならばどのような経済効果が生じるのかということを評価 することによって測定するのである.

環境税の賦課によって

2

つの効果が生じる.

1

つは,環境税の賦課によって 外部不経済を内部化するというプラスの効果である. も う

1

つは,環境税は商 品課税の一種として賦課されるため,市場をゆがめ死重損失を発生させるとい うマイナスの効果である.この

2

つの効果を合計することによって,環境税の 効果が評価できることになる.

課税によるマイナスの効果は,税の中立性をゆがめることによる効果でもあ る . したがって,課税された企業の中には中立性のゆがみによる不利益を回避 するため脱税を図る企業も出てくる.しかし,脱税に関してはある確率

0%

で成功するが, (1-0) %で失敗することになる.脱税が成功した場合課税分

だけ収入が増加するが,脱税が失敗した場合罰金を支払わなければならない.

(2)

4

6

立正大学経済学季報第

59 巻 4

したがって,脱税に関しては,不確実性の下での選択とみなせる.

もし脱税が行われるならば,市場のゆがみによる死重損失というマイナスの 効果を削減させるため,社会的余剰を増加させることになる. しかしながら,

外部不経済の内部化によるプラスの効果については,脱税によってその効果を 減少させるため,社会的余剰を減少させることになる. したがって,脱税が行 われた場合の経済効果は,これら

2

つの効果を合計することによって評価でき ることになる.

【キーワ_ド】環境税,公害税,外部不経済,内部化,脱税,

(3)

環境税における脱税の社会厚生的評価の理論的検討

47

環境税における脱税の 社会厚生的評価の理論的検討

一公害税を中心に一

立正大学経済学部 藤岡明房

l

.

はじめに

経済の発展に伴い環境問題が発生するようになった.環境問題は,はじめ,

公害問題として現れた.大気汚染,水質汚濁,土壌汚染などが代表的な公害問

題である.欧米では,公害問題に関する対策として公害税が導入•

実施された.

これは,公害問題を外部不経済問題として捉え,その解決策として外部不経済 効果の内部化の手段として公害税が望ましいという判断を下した結果であった.

それに対し,

H

本では法律や規制という手法が適用され,公害税は採用されな かった.公害問題が,さらに広がりを見せ,国境を超え,他国へも影響するよ うになると,一国の範囲内でしか適用されない法律や規制では解決が困難にな った.ヨーロッパでは,公害問題を解決するために新たに

PPP

(汚染者支払 い原則:

retulloP s'ayP )elpicnirP

の原則が示された.この原則は,国境を 越えた公害問題に対しても,外部不経済効果を内部化するための公害税のよう な経済学的手段を適用するという原則であった.越境汚染問題に経済学的手段 を適用した背景には,経済学的手段はどの国でも共通に適用される普遍的な手 段とみなせるという判断がなされたからである. ところが,この原則は,日本 では「汚染者負担原則」として紹介され,外部不経済効果を内部化するための 経済学的手段としての意味は失われてしまった.むしろ,汚染者に対する懲罰 的な意味合いが込められており,衰源配分の効率性に関する考慮はほとんどな

されないことになった

.n

(4)

4

8 立正大学経済学季報第5 9

4

環境問題は.その後,自動車公害のような都市型公害へと拡大していった.

1 9 8

0

年代にはオゾン層の破壊や地球温暖化といった地球環境問題が新たに登場 した.また,生産の拡大に伴い,廃棄物問題も重要な環境問題になった.廃棄 物問題の解決の過程で, リサイクル問題も誕生した.都市型公害は複合汚染の 問題であり,地球環境問題はグローバルな環境問題であった. したがって,ょ り複雑な環境問題といえる.また,廃棄物はそれを処理する市場が存在しない という問題であり. リサイクル問題は新たにリサイクル市場を作っていくとい う問題であった.

このように環境問題とーロで言っても.様々な経済現象と関係する問題であ ることが分かる.それぞれの環境問題に応じて.最も適切な解決策が選ばれる ことが望ましい.欧米では,地球環境問題.特に地球温暖化問題については

「炭索税」が適用された.それに対し,わが国では炭索税は導入されず,その 代わりにわが国では経団連の自主行動方式が採用され,企業の自己判断で二酸 化炭索の排出屎を削減するという解決策になった.

このようにわが国では,経済界は環境問題の解決策として.課税方式を敬遠 するのは.

1

つには,環境税が非中立的税であることが挙げられる叫環境税 の賦課によって,利害関係が生じることから,それを嫌った経済界は環境税に 反対していることが認められている.さらに.税制の運用に関して政府に対す る不信感があるからかもしれない.なぜなら.ひとたぴある政策課税が導入さ れてしまうと,当面の問題が解決しても,課税は継続される傾向があるためで ある

.)3

また,環境税が導入されない別の大きな原因としては,環境税が既存 のガソリン税などの道路特定財源と類似の税であることから.環境税を導入す るためには既存の道路特定財源の大幅な見直しが必要となる.これは,大きな 利権が絡んでいることを考慮するならば,政治的に解決が困難な問題である.

1

> PPP の解釈が, H 本で大きく変化してしまった原因としては,経済学的思考方法ではな く,法律的思考方法が優先したことが挙げられる.これは,日本における政策決定の過 程が官僚による指導が強いことが背景にある.

2) このような観点は,横山]91[ においても見られる.

3) このような観点は,植田]7[ においても見られる.

(5)

環境税における脱税の社会厚生的評価の理論的検討 9 4 したがって,環境税にはなるべく手を付けないことが,政治的な判断として優 先されている可能性が高い

.)4

しかし,一方では,公害税の資源配分上の優れた面を軽視している可能性が ある.そこで,本論では,環境税のはじめである公害税を取り上げ,公害税が 果たす資源配分上の役割について改めて検討してみる.

2

.

公 害 税

2-1.

公害の発生の抑制方法

経済活動に伴って,大気汚染物質を放出したり,有害物質を水中や土壌中に 排出したりして公害問題が発生する.公害問題は,経済学的には外部不経済問 題として捉えることができる.すなわち,有害物質が市場を経由せず,直接住 民に配分されることによって発生する問題である.

一般的に,公害問題とは,生産物を生産している企業が,生産の過程で有害 物質を副産物として生産し,その副産物が住民などに被害を与えている現象と みなすことができる.その副産物については,有害物質であることから,通常 は市場が存在しない. したがって,副産物を市場で処理することができない.

もしその副産物が,住民に被害を与える場合,その副産物の取引は市場では行 われないので,住民が一方的に被害を受けることになる.

このような状況の下で副産物による被害を発生させないようにするためには,

1

つは,法律的な制度を利用して,副産物を発生させることを禁止する方法が 上げられる. もし公害を発生させる副産物を生産している場合,罰則を科すか,

あるいは罰金を負担させることによって,副産物の生産を減少させることを目 指すことになる.もう

1

つは,税・課徴金のような経済学的な手法を利用し,

副産物の発生を抑えるような対策をとらせる方法である.さらに,説得によっ て企業に副産物の発生を自ら抑制させる方法も挙げられる.

は, る.

(6)

5

0 立 正 大 学 経 済 学 季 報 第9巻 4号5

2-2.

公害の原因の解決と被害者の救済

公害対策といっても,公害問題の原因を明らかにし,公害を発生させないよ うな施策を採ることと,公害による被害者を救済するための措置を採ることと は異なっている.欧米流の公害対策は,前者の公害を発生させないような施策 を行うことに重点が臨かれている.被害者の救済に関しては,一般財源の投入 による救済が行われた.それに対し, 日本の公害対策は前者とともに後者も併 せて行う場合が多い

.)5

このような違いが生じた理由は,

H

本における公害は 水俣病をはじめいくつかのケースで死者が多数出たために,被害者の救済が優 先されたからである.

2- 3.

外部不経済効果しての公害

欧米流の公害の典型例として,あらためて「大気汚染物質の越境移動」の問 題を取り上げることにする.「大気汚染物質の越境移動」の問題とは, ドイツ の工場から大気中に排出された窒索化合物や硫黄化合物のような有害物質が,

酸性雨などの形でドイツの北の黒い森を枯らし,越境して隣国のデンマーク,

さらにはスウェーデン,ノルウェー,あるいはバルト

3

国にも被害を与えると いう問題である.

ドイツの工場から排出された煤煙の中に有害物質が含まれ,それが住民に被 害を与える場合,経済学的には外部不経済効果とみなされる.すなわち,煤煙 は工場から住民に市場での取引を経由することな<'直接的に配分されるので,

市場を通じない取引ということから市場の外での取引ということを意味する

『外部経済』

)6

といういいかたがなされた. しかも,住民にマイナスの影響を与 えることから厳密には『外部不経済』ということになった.

外部不経済効果を図で示したものが,図

1

である.この図

1

において, もし 生産の過程で利用されたかあるいは生み出された有害物質によって公害が生じ ているならば,外部不経済効果が発生し,地域住民に被害を与える. しかし,

て る公害

は,被害者の救済を目指した政策の意義を明らかにしている.

6

)外部経済の用語については, C.A. ピグー]7[ の『厚生経済学』の中で利用されている.

(7)

環境税における脱税の社会厚生的評価の理論的検討 1 5 外部不経済効果を発生させている有害物質を取引する市場がないので,有害物 質を適切な水準まで減少させるための経済学的方法がないことになる.そこで,

有害物質の生産は,主生産物の生産過程から生じた副産物とみなし,その副産 物の生産水準を主生産物の市場で調整しようという方法が考えられた.それが,

外部不経済効果の内部化という手法である.その具体的な手段が「公害税」で あった.外部不経済効果の大きさに等しいだけの公害税を賦課することによっ て,生産物の価格を高くし,それによって売れ行きを落とすことによって,生 産物の生産水準を低下させ,それに伴い副産物である有害物質の生産水準も低 下させるという方法である.有害な副産物を生み出している企業は,その分の 外部費用を公害税という形で負担させることによって,生産水準を低下させる ことが望ましいという判断がなされていることによる.

2-4.

外部不経済か存在する場合の社会的厚生

外部不経済効果の分を外部費用として計上すると,外部費用は生産物の数鼠 に応じて増加することになる.単純化のため,原点を通る直線として示した.

公害を発生させている企業が生産している生産物市場を考える.この市場で

と が に る. と は •

で均衡数量は炉になる.社会全体の費用は,生産にかかった費用である私的 費用に住民が受けた被害に甚づく外部費用を上乗せした社会的費用である.

図1

外部不経済効果

被害額

X X 数最

(8)

5

2

立正大学経済学季報第

59巻 4号

2 社会的限界費用曲線

価 格

A

c

供給曲線=私的限界費用曲線

x• B

数量

社会的費用=私的費用+外部費用

図 2 において外部不経済に基づく外部費用の総巌は,三角形 C E G である.

したがって,社会的限界費用曲線は私的限界費用曲線に限界外部費用を上乗せ

し に る. し が • し, が に ると,

部費用は三角形 C E G になる.この外部費用の総鼠は社会的に見て望ましい外 部費用の総最より多くなる.社会的に望ましい外部費用の総量は,社会的限界 費用曲線と需要曲線が交わった点である点

F

のときの生産量 x * によって決ま ってくる三角形 C D F である.すなわち,市場で決まった外部費用は,社会的 な最適量から比べると四角形 D E G F だけ多くなる.

2-5.

公害税

( 1

) 公害税の賦課

(9)

環境税における脱税の社会厚生的評価の理論的検討

35 3

公害税の賦課

価格 A

c B

x' 数量

公害が生じ.住民に公害という形で被害を与えている場合,その被害額を外 部費用とみなし,その外部費用を内部化することが社会的に望ましい.内部化 の方法としては,『公害税』が考えられる. しかし,公害をもたらす有害物質 は住民に被害を与えるものであるが,その有害物質を取引する市場は存在せず,

工場から直接住民に配分されるという性質を持っている. したがって,公害税 は有害物質そのものには賦課できないことになる.そこで,公害を発生させて いる企業の生産物に公害税を賦課するという代替的方法が採用されることにな る.そのため.公害税は,公害を発生させている企業の生産物の価格の上に賦 課される.

公害税は,生産物

1

単位に一定額が賦課されるという『定額税りであると

7)

本論文では『定額税』としたが,定率税に変えても結論には影評しない.

(10)

54 立正大学経済学季報第59巻 4号

する.公害税は,外部費用を内部化するために賦課されるので,需要曲線と社 会的限界費用曲線が交わる点である点

F

を通るように賦課される必要がある.

公害税が賦課されると生産物の価格は私的限界費用の価格に公害税を上乗せ した価格になる

.)8

公害税を含んだ供給曲線は,直線

JK

となり,社会的最適 点

F

を通ることになる.

( 2

) 公害税の二重の配当問題

公害税の賦課によって公害という外部不経済効果を内部化することができる ため,便益がもたらされる. しかし,公害税の便益はそれだけにとどまらない.

政府は確保できた税収を用いて,ある商品課税の減税を行うならば,その商品 課税の賦課によってもたらされていた死重損失を削減することができることに なる.この死重損失の削減が,公害税がもたらすもう

1

つの便益である.これ

ら2つの便益は,『公害税の二重の配当』と呼ばれている

).)109

したがって,公害税の賦課に当たっては,この

2

つ目の便益まで考慮するこ と力苦生

t

しい. しかし,

2

つ目の便益まで考慮すると,分析が複雑になる.そ こで,当面は二重の配当については考慮しないことにする.

3

.

公害税の経済効果分析

3-1.

企業の主体的均衡条件

公害税が賦課される前と後の主体的均衡条件を求めてみる.

8

)公害税は,『商品課税」としての性質を持っている.したがって,非中立的な課税である ことから,公害税の賦課によって市場のゆがみが生じ,死重損失が発生するというマイ ナスの効果をもたらす.他方,外部不経済によるマイナスの効果を内部化するというプ ラスの効果も存在している.これら2つの効果を合計したのが公害税の効果である.

に関しては, ある. に関しては, 横山]31[ の第7.3 を参照のこと.

1 0

)公害税の二重の配当を明示的に示すためには,商品課税が賦課されるある財を導入すれば よいことになる.すなわち,外部不経済を発生させる生産物X1と単に商品課税が拭かさ れる生産物X2, そしてその他の財を表す合成財z3つの生産物を想定すれば,二重の 配当の効果を示すことが可能である.

(11)

環境税における脱税の社会原生的評価の理論的検討 5 5 (

1

) 公害税が賦課される前

企業は,生産物の生産によって利潤を得るが,その利潤の最大化を図るもの とする.ただし,生産に伴い生産費用 Cが発生する. しかも,外部不経済効 果が存在する場合は,さらに,生産に伴い外部費用

D

も発生する. しかし,

企業は外部不経済効果については考慮せずに利潤を最大化する.このことを前 提に,企業の行動を定式化すると次のようになる.

Max

= q x - C

s

. t

C = C ( x ) D = D ( x )

( 1 )

( 2 ) ( 3 ) ここで,冗=利潤, q=生産者価格, x=生産量, C= 費用, C ( ・)=費用関 数 , D=外部費用, D ( x ) =外部費用関数,

である.

費用関数は,

C = C = C ( O )

d C / d x = C ' ( x ) >O d℃

( 4 ) ( 5 ) ( 6 ) という性質を満たすものとする.ただし,図解する場合は,単純化のため,

d 2 C / d x 2 = C " ( = 0 ) x と想定する.

また,外部費用関数は,

D = O = D ( O )

d D / d x = D ' ( x ) >O がD / d

= D " ( x )

o;;;;

( 7 )

(

8

)

(

9

)

(

1

0

)

という性質を満たすものとする.ただし,図解する場合は,単純化のため,

(12)

5

6 立正大学経済学季報第59 巻 4 号

d2D/dx2=D"(x) =O

)1(1

と想定する.

企業は,収入から費用を引いた差である利潤を最大化する.ただし,外部費 用については無視するものとみなす.

利潤最大化の最適条件は,

q=C'(x) となる.

( 2

)

公害税が賦課された後

企業は公害税を賦課され,販売後は税額を納税しなければならない.

Max

冗 =

(q+T)x-C-Tx

s

. t

C=C(x)

ここで, T = 公害税(定額税)である.

企業の利潤最大化の最適条件は,

q=C'(x) となる.

( 1 2 )

( 1 3 )

( 1 4 )

( 1 5 )

したがって,公害税が賦課される前と後とでは企業の最適条件は変わらな ぃ

)11

11) 外部費用を発生させていることから,公害税を賦課されている企業の主体的最適条件は,

公害税が賦課される前と変わらないが,公害税の存在によって公害税を含んだ消費者が 支払う価格p は高くなるので,市場均衡の値は変化する.その結果,供給者価格qは低 下するので,生産拭x も減少する.

(13)

環境税における脱税の社会厚生的評価の理論的検討

75

3- 2.

家計の主体的均衡条件

家計は様々な財を消費することによって満足を得ている.その家計の消費に 対し公害税が賦課されるものとする.このときの家計の行動を分析するため,

単純化を行うものとする.

1) 家計は.公害を発生させる生産物

x

とそれ以外の財の集合体である合 成財

z

を消費することによって満足を得ている.

2)

家計の所得

I

は,外生的に与えられているものとする.

3

)

生産物

x

の価格を

p

とする.合成財の価格は

1

とする.

4)

効用関数は,合成財

z

に関し,準加法的な関数とする.

5) 生産物の消費者価格

p

の中には公害税 Tx が含まれている.

このような単純化を行うと,家計の最適化行動は,所得の制約の下での効用 最大化になる.

Max U x)(u +z s

. t

I=px+z

( 1 6 )

( 1 7 )

ここで,

Uh=

効用水準,

u=

生産物

x

についての効用,

u(x)=

生産物

x

につ いての効用関数,

p=

生産物の消費者価格,

z=

合成財

また,生産物

x

の効用関数は,

du/dx=u'>O, d 2 u /

d =u"<O

という性質を持っている.

( 1 8 ) ( 1 9 )

家計は所得の制約の下で効用を最大化するものとする.そのときの最適条件 は次のようにして求めることができる.

まず,所得の制約の下での最大化問題なので,ラグランジュ未定乗数法を適 用する.ラグランジュ方程式は,

L=u(x) +z 十入{1-px-z} )02(

(14)

5

8 立正大学経済学季報第9 巻 45

となる.これから,最適条件は,

dL/dx=u'(x)

―入

p=O dL/dz=l

一入

=O dL/d

=1-px-z=O となる. したがって,

u ' ( x ) =p

という主体的均衡条件が得られる.

3-3.

市場の均衡条件

( 2 1 ) ( 2 2 ) ( 2 3 )

( 2 4 )

企業の主体的均衡条件と家計の主体的均衡条件が得られたので,改めて市場 の均衡条件を求めてみる.

( 1

) 公害税が賦課される前 市場の均衡条件は,

q=C'(x) u ' ( x

) =p p=q

( 2 5 ) ( 2 6 ) ( 2 7 )

である.この

3

つの方程式において内生変数は,

,x ,p q

3

つである. しか

し , p=q なので,実質的には,

u ' ( x

) = C ' ( x )

)82(

という条件だけである.

このとき最適生産贔

Xe

が決定される.

x=xe

)92(

(15)

環境税における脱税の社会厚生的評価の理論的検討

59 (

2

)

公害税が賦課された後 市場の均衡条件は,

q=C'(x) u ' ( x ) =p p=q+T

( 3 0 ) ( 3 1 ) ( 3 2 )

である.この

3

つの方程式において内政変数は,

,x ,p q

3

つであり,政策 変数は

T

1

つである.

効用関数の形と費用関数の形から均衡生産鼠

x

が求められる. したがって,

qや p

も決定できる.そこで,均衡値については

t

の符号を付けることにする と ,

x=x

t

p=pt q=qt

( 3 3 ) ( 3 4 ) ( 3 5 )

という均衡値が決定される.この均衡値は,公害税

T

が賦課されている場合 の市場均衡値である.市場均衡値を図で示したのが,図

4

である.

3-4.

公害税の厚生評価

公害税を賦課することによる厚生の変化を検討してみる.そこで,課税前と 後の社会的余剰を求めてみる.

( 1

) 公害税が賦課される前の社会的余剰の最大化条件

公害税が賦課される前は,外部不経済効果が存在し,それが内部化されてい ないので,社会的余剰は次のようになる.

Max W=Uh-px-z 五 ー D(x)

s

. t

Uh=u(x) +z

( 3 6 )

( 3 7 )

(16)

6

0 立正大学経済学季報第59 巻 4 号

4

公害税賦課の場合の市場均衡

A

p t

H c

供給曲線

x'x'

X

=qx-C(x) p=q

このモデルを解くためにラグランジュ未定乗数法を適用する.

L=u ( x ) -px +qx-C ) x ( - D ( ) x これを解くと,次のようになる.

dL/dx=u'(x)-p+q-C'(x)-D'(x) =O したがって,

u ' ( x

) = C'(x) + D'(x)

のとき社会的余剰が最大化されることになる.

( 3 8 )

( 3 9 )

( 4 0 )

(

4

1

)

(17)

環境税における脱税の社会厚生的評価の理論的検討

61 5

外部不経済効果がある場合の社会的余剰

A

p t

c X x' X

このときの生産鼠は,

x*

になる.

x=x* )24(

社会的余剰は

W*

となる.

W* =u(x*)-C(x*)-D(x*) )3(4

ここ

W* =AOx*F-COx*D-CDF

=ACF

である.

( 4 4 )

( 2

)

公害税の賦課の前で,市場均衡が成立している場合の社会的余剰の大きさ

(18)

6

2 立正大学経済学季報第954

市場均衡が成立している場合

,=q)(p

生産物

x

の生産鼠は炉になる.し たがって,社会的余剰の値

we

は次のようになる.

Max we=Uh-pxe-z+ -D(x

s

. t

Uh=u(xe) +z

=pxe-c(xe)

このとき,社会的余剰は,

we=u(xe)-C(xe) -D(xe)

となる.

ここで,

x=

炉 は , u

'

( 炉 ) =C'( 炉 ) という関係を満たしている.

( 4 5 )

( 4 6 ) ( 4 7 )

( 4 8 )

( 4 9 )

これらの関係を図で示したのが,図

6

である.市場均衡は,需要曲線と供給 曲線が交わった点

E

である.このとき,消費者便益は

AO

E

となり,支出は

pxeE

になるので,消費者余剰は

ApE

になる.生産者収入は

oeq

,E

生 産 費用は

co

E

であるから,生産者余剰は

qE

となる.

また,外部費用は,

CEG

である. したがって,社会的余剰は,

社会的余剰=消費者余剰+生産者余剰ー外部費用

となる.より,具体的には,

社会的余剰

=AO

E-px qxe-co

E-CEG

=ACE-CEG

=ACF-FEG

(19)

環境税における脱税の社会厚生的評価の理論的検討

63 6 外部不経済の効果

価格

c . . X X X

となる.

( 3

) 公害税が賦課されている場合の社会的余剰

公害税

T

が賦課されている場合の社会的余剰は次のようになる.公害税は,

外部費用を内部化するように賦課されるものとする. したがって,公害税は点

F

を通るように賦課されることになる.

Max W=Uh-px-z

十 叶

Tx-D(x)

s

. t

Uh=u(x) +z

=qx-C(x) I=px+z p=q+T

( 5 0 )

( 5 1 ) ( 5 2 ) ( 5 3 ) ( 5 4 )

(20)

6

4 立正大学経済学季報第95 4

7 公害税の賦課

C ' ( x ) ( x ) + D '

A

p t

M

c

C'(x)+T

t x e

ここで, uh-px-z は消費者余剰,冗は生産者余剰, T は定額税, D(x) は外 部費用である.

この問題を解くために,ラグランジュ未定乗数法を適用する.

L=u(x) + 1-px+qx-C(x) -D(x) +Tx

aL/ax=u'(x)-C'(x)-p+q-D'+T=O

( 5 5 )

( 5 6 )

これから,

u ' ( x

) = C'(x) + D'(x)

)75(

(21)

環境税における脱税の社会厚生的評価の理論的検討

65

となる.

社会的余剰を最大化する生産最は,ズになり,最適価格は

pりこなる.このと

き,公害税 T は,点 F を通るためには,限界外部費用 D'(x りに等しくなるよ うに賦課されていなければならない.

D'(x

= T したがって,

u ' (

x り=C'(x り十T となる.

公害税が賦課されている場合の社会的余剰は次のようになる.

社会的余剰=消費者余剰+生産者余剰+税収ー住民の被害

=u(x り一px

qxt-C(x り十 TxtD(x り

=u(x り一C(xt)-D(x り

=AOxtF-COxtD-CDF

=ACF

( 4

)

公害税の賦課による社会的余剰の変化

( 5 8 )

( 5 9 )

公害税が賦課されたことによる市場での社会的余剰の変化を調べてみる.

公害税が賦課される前は,市場均衡が成立しているときの社会的余剰は,

ACF-FEG

である.公害税が賦課される場合,市場均衡が成立しているときの社会的余剰 は ,

ACF である.

したがって,公害税の賦課によって社会的余剰は FEG だけ増加したことに

(22)

66 立正大学経済学季報第59 4

なる.

4

.

脱 税 の 経 済 効 果

4-1.

脱税の可能性

( 1

) 脱税の費用と便益

企業は,公害税を賦課されているが,それにより生産物の販売価格は生産価 格より公害税の分だけ高くなっている.そのため,売れ行きが悪化し,利益も 減少した.そこで,企業は,脱税による利益と損失を比較し,利益の方が多く なるようであれば脱税を選択することを考えたとする.

脱税するかどうかを選択するため,脱税の費用と便益を計算してみる.企業 は,脱税が成功したならば,公害税の分を自分の売り上げとすることができる.

しかし,脱税が発党すれば,罰金を徴収されることになる.罰金の額

B

は政 策によって決定されるものとする.

( 2

)

脱税の大きさ

企業が公害税を脱税する場合,公害税全部を脱税するのか,あるいは一部だ け脱税するのかの選択がありえる. しかし,一部だけ脱税するのであれば,ど の程度脱税するのかを選択しなければならない.これは,新たな選択問題にな る . したがって,本論文では全額脱税する場合についてのみ検討することにす る.一部の脱税の問題に関しては別の機会に検討する.

4-2

・全額を脱税する場合の期待効用仮説 (

1

) 全額脱税の企業の最適化モデル

企業は,脱税が成功し税金を全額収入とする場合の効用と脱税が失敗し罰金 を支払う場合の効用に関する期待効用を最大化するものとみなす.脱税が成功 する確率は

0

であり,失敗する確率は

1-0

であるとする.企業の行動は,フ ォン・ノイマン=モルゲンシュタインの期待効用仮説に甚づくものとする.

企業の主体的均衡は,次のように定式化できる.

(23)

環境税における脱税の社会厚生的評価の理論的検討

76

Max EUr=0U( 叫 +(1- U ()0 )rC1 )06(

s

. t

7 r : s

= q x - C ( x

) +Tx

i=qx-C(x)-Bx

( 6 1 )

ここで,

E=

期待値オペレータ,じ=企業の期待効用, U( ・)=効用関数,

〇=脱税が成功する確率,

=s'l?

脱税が成功したときの利潤,冗

=r

脱税が失敗し たときの利潤,

q=

課税前の生産者価格,

T=

課税額,

B=

罰金額(生産雇

1

単位当たりの額),

x=

生産蜃,

C(.)

=費用関数,

この問題を解くと,次のようになる.

q=C'(x) -0T+ (l-0)B )26(

この均衡解は,企業の主体的均衡であり,

q

が与えられたときの最適な

x

を選 択している.企業は脱税する場合, 0 の確率で脱税が成功する.しかし,

I-8

の確率で失敗する.

100%

成功する場合は,

0

1

となる.

100%

失敗す る場合は,

0

0

になる.

50%

成功し,

50%

失敗する場合は,

8=0.5

となる.

それぞれの場合の私的限界費用曲線とそれに公害税を賦課した場合の供給曲線 は次のようになる.

8= I

のとき,

0= 0

のとき,

8=0.5

のとき,

q=C'(x)-T p=C'(x)

q=C'(x) +B

p=C'(x) +T+B

( 6 3 ) ( 6 4 )

( 6 5 ) ( 6 6 )

(24)

6

8 立正大学経済学季報第59 4

となる.

q=C'(x)-0.5T+0.5B

p=C'(x) +0.5T+0.5B

( 2

)

家計の主体的均衡 家計の主体的均衡条件は,

Max U )(xu +z s

. t

I=px+z

( 6 7 ) ( 6 8 )

( 6 9 )

( 7 0 )

となる.ここで,

Uh=

家計の効用, u( ・)=家計の効用関数,

x=

家計の生産 物

x

の消費量,

z=

家計のその他の合成財(価格は

,)1 I=

家計の所得,

p=

生産物

x

の価格,

である.

この問題を解くと,

u ' ( x

) =p 1)7(

となる.

( 3

)

完全脱税の市場均衡

企業が公害税を完全に脱税する場合の市場均衡条件について調べてみる.

企業の主体的均衡条件は,

q=C'(x)-0T+ (1-0) B

であり,家計の主体的均衡条件は,

u ' ( x

) =p

である.市場均衡が成立すると,

( 7 2 )

( 7 3 )

(25)

環境税における脱税の社会胴生的評価の理論的検討

96

p=q+T )47(

となる. したがって,これら

3

つの式から,

,x ,P q

が内生変数になる.

0

は 外生変数であり,

T, B

が政策変数である.公害税を脱税する場合の市場均衡 解を

0

の記号で示すと,

x=x0(8, T, B) p=p0(8, T, B) q=q0(8, T, B)

となる.

( 4

)

完全脱税の

3

つのケース

l

5)7(

企業が完全脱税をする場合のケースについてさらに検討してみる.そこで,

脱税が成功する確率

0

の値によって

3

つのケースに分けることにする.

1) 100%

成功

(8=1)

のケース

このとき,企業の主体的均衡条件は,

q=C'(x)-T )67(

となる. したがって,供給曲線は,企業の主体的均衡条件に

T

を加えた,

q=C'(x) )77(

となる.この供給曲線は,公害税を賦課する前の供給曲線と同じになる.この ことを示したのは,図

8

である.

2) 100%

失敗

(8=0)

のケース

このとき,企業の主体的均衡条件は,

q=C'(x) + B )8(7

(26)

7

0 立正大学経済学季報第95 4

8

脱税,

8=1

のケース

A c G

C'(x)+D'(x)

B x* =xo

となる. したがって,供給曲線は,企業の主体的均衡条件に

T

を加えた,

q=C'(x) +T+ B

となる.この供給曲線を示したのは,図

9

になる.

3)

脱税が

50%

成功し,

50%

失敗

)05.0(

のケース

このとき,企業の主体的均衡条件は,

q=C'(x)-0.5T+0.5B

( 7 9 )

( 8 0 )

となる.この主体的均衡条件は,脱税が行われない場合の主体的均衡条件,

q=C'(x)

と比べて大きいときと,小さいとき,あるいは等しいときがある.

(27)

環境税における脱税の社会厚生的評価の理論的検討

17

9

脱税,

8=0

のケース

C ' ( x ) + D ' ( x )

A

p

z q

M•

c

u ' ( x )

9x x• X

大きいときは, q=C'(x) より上になる.小さいときは, q=C'(x) より下にな る.等しいときは, q=C'(x) と一致する.

供給曲線は,企業の主体的均衡条件に公害税

T

を加えたものになる.

q=C'(x)

+0.5T+0.5B )1(8

この供給曲線を示したのは,図

01

である.なお,図

01

では,企業の主体的均衡 条件が, q=C'(x) より上になる場合を示している.

( 5

) 完全脱税の社会厚生

完全脱税を行った場合の社会厚生を,脱税を行わなかった場合の社会厚生と

(28)

7

2

立正大学経済学季報第

9 5

4

01

脱税,

8=0.5

のケース

(B>T)

A

a o

p

p*

p e

* 。

N

q q

c

x x• 'x

比較してみる.

1

) 100%

成功

(8=1)

のケース

このケースの場合,公害税 T を含んだ供給曲線は C'(x) になるので,市場 均衡条件は,

u ' ( x

)

=

C'(x)

)28(

になる.したがって,脱税が

100%

成功する場合の市場均衡点

,ox( )op

は , 公害税が賦課されていないときの市場均衡点

,ex( )ep

と一致する.すなわち,

x=x6=xe

p=p6=pe } ()38

となる.

このとき,社会的余剰は次のようになる.

(29)

環境税における脱税の社会厚生的評価の理論的検討

73

社会的余剰=消費者余剰+生産者余剰+税収十課徴金ー公害の住民被害

=Ap0E+p°CE+ 0 + 0 -CEG

=ACF-FEG

したがって,公害税の脱税によって社会全体では社会的余剰は,

ACF

から

ACF-FEG

に減少することになる.そのため,脱税は社会的に見て好ましく

ないといえる.しかし,個別主体については脱税による利害の変化は異なる.

個別主体別の,厚生の変化についてまとめると次のようになる.

①消費者は,消費者余剰が増加することによって利益を得る.

消費者余剰の増加

=Ap0E-Ap*F=p8p*EF

②生産者は,生産者余剰が増加することによって利益を得る.

生産者余剰の増加

=p

E-q*CD=peq*DE

③住民は,公害の被害が増加することによって損失が増加する.

住民被害の増加

=CEG-CDF=FDEG

④政府は,税収がゼロになることによって損失を被る.

政府の税収の減少=ー

p*q*DF

このように,個別主体で見れば,企業による公害税の脱税によって,消費者 と生産者は利益を得るが,住民は公害の被害が増加し,政府は公害税がなくな ってしまうことにより損失が発生する.

2

) 100%

失敗

(0=0)

のケース

このケースの場合,公害税

T

を含んだ供給曲線は

)x('C +T+ B

になるので,

市場均衡条件は,

u ' ( x

) =C'(x) +T+ B

になる. したがって,脱税が

100%

失敗する場合の市場均衡点

,(xeK )ep

は , 脱税が行われない場合の均衡点

*,xF( )*p

よりも生産鯖は少なく,均衡価格

は高くなる.

(30)

7

4 立正大学経済学季報第95 4

社会的余剰は,次のようになる.

社会的余剰=消費者余剰十生産者余剰+税収十課徴金一住民の被害

=Ap°K+q°CH +p0(q0+ B)LK+ (q0+B)q0HL -CHR

=ACRK

このとき,

KRF

の大きさは

FEG

の大きさよりも大きくなる可能性がある.

したがって,企業の脱税の失敗によって,脱税が行われない場合と比較する と,社会的余剰は,

ACF

から

ACRK

に減少するため,

KRF

だけ少なくなる.

このことは,企業が脱税しようとし失敗した場合には,公害税を導入して住民 の被害を削減することによってもたらされた社会的余剰の増加分を相殺し,公 害税を導入する前よりも社会的余剰を縮小させる可能性があることを意味する.

そのため,脱税は成功する場合よりも失敗した場合のほうが,より社会的に見 て好ましくない結果をもたらすことになる. しかし,個別主体については脱税 による利害の変化は異なる.

個別主体別の,厚生の変化についてまとめると次のようになる.

①消費者は,消費者余剰が減少することによって損失をこうむる.

消費者余剰の減少

=Ap8K-Ap*F= -p8p*FK

②生産者は,生産者余剰が減少することによって損失をこうむる.

生産者余剰の減少

=q8CH -q*CD= -q*q8HD

③住民は,公害の被害が減少することによって損失が減少する.

住民被害の減少

=CHR-CDF=-RHDF

④政府は,税収が得られるだけでなく,課徴金も得られるため利益を得る.

政府の税収と課徴金の増加

=peqeHK

このように,個別主体でみれば,消費者と生産者は脱税をし,それが失敗し

たことによって損失を発生させ,住民は公害の被害がさらに減少することによ

って利益を得,政府は公害税だけでなく課徴金も得られることで利益を得るこ

(31)

環境税における脱税の社会厚生的評価の理論的検討

57

とになった.

3

)

脱税が

50%

成功し,

50%

失敗

)85.0(

のケース

このケースの場合,公害税

T

を含んだ供給曲線は

)x('C +0.5T+0.5B

にな るので,市場均衡条件は,

u ' ( x

) =C'(x) +0.5T+0.5B )48(

になる.したがって,脱税が

50%

成功し,

50%

失敗する場合の市場均衡点

K

( x u

, )up

は,公害税

T

と課徴金

B

の相対的大きさによって値が異なってく る .

a)

課徴金

B

の方が公害税

T

より大きい場合は,市場均衡点

,(xoK )op

は 脱税が行われない場合の均衡点

,x*F( )*p

の左上になる.そのため,生産塁

XO

はより少な<'均衡価格

op

は高くなる.図

01

はこの場合を示している.

社会的余剰は,次のようになる.

社会的余剰=消費者余剰+生産者余剰+税収十課徴金一住民の被害

=Ap°K+q°CD+p0

MK-CDR

=ACRK

これにより脱税が行われ,

50%

成功し,

50%

失敗した場合,社会的余剰は

KRF

だけ減少することになる. したがって,公害税が導入されたことによっ てもたらされた社会的余剰の増加分は,

KRF

の分だけ削減されてしまうこと になる.このため,脱税が行われ, しかもそれが

50%

失敗することによって,

公害税が導入されたことによってもたらされた便益の一部を失うことになる.

しかし,個別主体については脱税による利害の変化は典なる.

個別主体別の,厚生の変化についてまとめると次のようになる.

①消費者は,消費者余剰が減少することによって損失をこうむる.

消費者余剰の減少

=Ap°K-Ap*F= -p0p*FK

(32)

7

6 立正大学経済学季報第59 巻 4

11 脱税, O=D.5

のケース

(B=T)

A

p•

pe•Z

p

c B

x* X

②生産者は,生産者余剰が減少することによって損失をこうむる.

生産者余剰の減少

=q ℃M-q*CD= -q*9°DM

③住民は,公害の被害が減少することによって損失が減少する.

住民被害の減少

=CDR-CMF=-RDMF

④政府は,税収が得られるだけでなく,課徴金も得られるため利益を得る.

政府の税収と課徴金の増加=p0 ず

M K

このように,個別主体でみれば,消費者と生産者は脱税をし,それが失敗し

たことによって損失を発生させ,住民は公害の被害がさらに減少することによ

って利益を得,政府は公害税だけでなく課徴金も得られることで利益を得るこ

とになった.

(33)

環境税における脱税の社会厚生的評価の理論的検討 7 7

2 1 脱税, 0 = 0 . 5 のケース ( B < T )

A

Oe.

p p p p

C N q

C ' ( x

) T . 5 0 + + B 5 . 0

C ' ( x ) - 0 . 5 T + 0 . 5

XX X B'

B

b)

公害税

T

と課徴金

B

が等しい場合は,市場均衡点 K ( x 8 , pりは脱税が 行われない場合の均衡点 F ( x * , * ) p と一致する.したがって,脱税を行った ことによる利害の変化は発生しないことになる.ただし,公害税の収入は半分 ( = 0 . 5 T x ) になり,その代わりにその分に等しい課徴金 ( = 0 . 5 B ) の収入が 得られる.

c ) 公害税

T

の方が課徴金

B

より大きい場合は,市場均衡点 K ( x 0 , ) は 0 p

税が •

) p * の右下になる.そのため,生産最 x

0はより大き<'均衡価格 p 6 は低くなる.

以上のように,公害税

T

と課徴金

B

の大きさの違いによって各個別主体の

利害が変化することが示された.しかし,公害税と課徴金の絶対額の違いより

参照

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