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Vol. 62A ( ) Fundamental consideration on the redundancy of a steel Langer bridge based on nonlinear finite element analysis Isao Saiki, Kota Ka

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構造工学論文集 Vol. 62A (2016 年 3 月) 土木学会

非線形有限要素解析による鋼ランガー橋の

冗長性に関する基礎的考察

Fundamental consideration on the redundancy of a steel Langer bridge based on nonlinear finite element analysis

斉木功†,川村航太∗,岩坪要∗∗,岩熊哲夫∗∗∗

Isao Saiki, Kota Kawamura, Kaname Iwatsubo, Tetsuo Iwakuma

博(工) 東北大学大学院准教授 工学研究科土木工学専攻(〒 980-8579 仙台市青葉区荒巻字青葉 6-6-06)修士(工) 東京都(〒 163-8001 東京都新宿区西新宿 2-8-1)

∗∗博(工) 熊本高等専門学校専攻科准教授(〒 866-8501 熊本県八代市平山新町 2627) ∗∗∗Ph.D. 東北大学大学院教授 工学研究科土木工学専攻(〒 980-8579 仙台市青葉区荒巻字青葉 6-6-06)

Since the accident of the I-35W Mississippi river bridge in 2007, a lot of research on the redundancy based on numerical analysis has been conducted. Although there is a lot of research related to truss bridges and girder bridges, there is few research about Langer bridge. Since Langer bridges are regarded as statically indeterminate structure in the design process, we can expect that Langer bridges are more redun-dant than statically determinate structures such as truss bridges. However there is no research on quantitative evaluation of the redundancy of Langer bridges so far. In this paper, influence of modeling of panel points and slab on evaluation of the re-dundancy of steel Langer bridges is investigated through a series of nonlinear finite element analyses.

Key Words: steel Langer bridge, nonlinear finite element analysis, redundancy, fail-ure of hangers キーワード: 鋼ランガー橋, 非線形有限要素解析, リダンダンシー, 吊材破断 1. はじめに 2007 年 8 月に米国で起きた鋼トラス橋の落橋事故を 契機に,我が国においても点検が行われ,トラス橋の斜 材破断やアーチ橋の吊材破断などの損傷事例が報告され た1),2).米国の場合と異なりこれらの橋梁が崩落に至ら なかったのは,冗長性が備わっていたためと考えられて いる.このような背景から,近年,橋梁全体の冗長性評 価を目的とした研究が数多く行われている.例えば,永 谷ら3)は鋼トラス橋の斜材破断を想定した線形有限要素 解析を行い,格点部の性能や床組・床版の耐力が橋梁全 体の冗長性に大きな影響を与えると指摘している. I-35W ミシシッピ川橋崩落事故の主な原因も格点部に あることが指摘されていることもあり,格点部の剛性や ガセットプレートの耐荷力に着目した研究が数多く行わ れている4),5),6),7).例えば,永谷ら5)は,格点部のみを詳 細にモデル化したモデルを用いて弾塑性解析を行い,塑 性変形も含めた格点部の性能が構造物全体の冗長性に与 える影響は大きいと指摘している.格点部の設計に関し †連絡著者/ Corresponding author E-mail: [email protected] て道路橋示方書8)では,斜材の軸力によってガセットプ レートの板厚を照査することとなっているが,格点部に 作用する曲げや面外方向の力は考慮されていない.これ らのことを鑑みると,数値解析による冗長性評価におい ては,格点部に作用する 2 次応力や,格点部と橋梁全体 との相互作用を考慮できる適切なモデルが必要となると 考えられる. 一方 Su et al.9)は,鋼トラス橋を対象として静的非線 形解析を行い,部材破断後の荷重経路に関する考察を 行った.その中で,トラス橋の主構部材に破断が発生し た場合,上下横構・対傾構・床組などが荷重経路として 機能することを指摘している.本来,床組や床版は荷重 を主構部材に伝達する役割を担っているが,部材破断時 には床版と床組の合成効果によって荷重分配の機能を発 揮することが多くの研究で確認されている.例えば,永 谷ら10)は,非合成として設計された床版でも,実際には ある程度の合成効果は期待できるとしており,そのこと が橋梁全体の冗長性および安全性を担保していることを 結論付けている.したがって,数値解析による冗長性評 価においては,冗長性を過大・過小評価をしないよう, コンクリートのひび割れや鉄筋の降伏を考慮する11),12)

(2)

ど,床版を適切にモデル化することも重要であると考え られる.

しかしながら,そうした研究の多くはトラス橋や桁橋 を対象としており,アーチ橋の冗長性に関する研究は トラス橋ほど行われていない.数少ない研究例として, Romeijn and Bouras13)は,吊材が破断した状態の下路式

アーチ橋を対象に座屈解析を行い,面内座屈に対する危 険性が最も高くなる吊材に関して検討を行っており,吊 材が 11 本および 5 本のモデルのいずれに対しても支点 から 2 番目の吊材が破断した際に最も危険であると結論 付けている.しかしながら,死荷重および活荷重に対す るアーチ橋全体の耐荷力には言及されていない.また, 藤野ら14)は,鋼上路式アーチ橋で損傷事例の多い補剛桁 と支柱の接合部やアーチリブと支柱の接合部の損傷を想 定し,損傷想定箇所の部材を撤去した状態で線形解析を 行い,許容応力度による照査式で冗長性評価を行ってい る.その結果,端支柱を除く 11 本の支柱のうち,アー チ支間のほぼ 1/4 に位置する支点から 3 番目の支柱が最 も影響が大きいと述べている.こうした線形解析による 冗長性評価は,比較的簡便な方法として従来の多くの研 究3),4)において用いられており,冗長性を検討する上で

重要な FCM (Fracture Critical Member)15),16)を特定す

ることや実際の設計において非常に有効な手段といえ る.しかしながら,線形解析では部材の塑性化やそれに 伴う荷重の再分配などが再現できないため,破壊過程に 関する考察を行うには非線形解析が必要といえる. 補剛アーチの一つであるランガー橋は設計上 1 次不静 定構造であり,部材損傷時にその部材が受け持っていた 荷重を伝達する代替の経路がどの程度あるかということ に関しては高次の不静定構造であるアーチ橋と静定トラ ス橋の中間に位置すると考えらえる.そこで,ランガー 橋の吊材破断後にどのように荷重が分配され,冗長性が 発揮されるかを把握しておくことは,ランガー橋のみな らずアーチ橋の冗長性評価を考える上で有用であると考 えられる.そこで本研究では,鋼ランガー橋の 3 次元有 限要素モデルを用いて静的非線形解析を行い,吊材破断 に対する冗長性について検討を行った.また,床版の荷 重再分配作用や格点部の塑性化等の影響も大きいと考 えられるので5),格点部や床版のモデル化の違いがラン ガー橋の冗長性評価に与える影響についても考察を行っ た. 2. 解析対象および解析方法 2.1 解析モデル (1) 解析対象 50 年程度前に建設された典型的な下路式鋼ランガー 橋として,現在は撤去されている熊本市の旧子飼橋を参 考に,同規模 (全長 57.2 m,幅員 8.5 m,アーチライズ 9.0 m) の単径間下路式鋼ランガー橋を解析対象とする. 8500 9000 6@5720=34320 10@5720=57200 10@5720=57200 8500 図–1 解析対象橋梁の一般図(単位: mm) L C J1 J2 J3 J4 J5 S1 S2 S3 S4 S5 J0 J10 J6 J7 J8 J9 S6 S7 S8 S9 図–2 解析対象橋梁の部材名称 271.02 453.11 15.89 15.89 図–3 モデル中のアーチリブ断面形状(単位: mm)

125

125

10

10

図–4 上横構(単位: mm)

130

90

9

9

図–5 下横構(単位: mm) 対象橋梁の一般図を図–1 に示す.図–2 に示すように, 吊材を S1 ∼ S9,アーチリブと吊材の格点部を J0 ∼ J10 と呼ぶこととする.また,対象橋梁は橋軸直角方向にお いて幅員中央で対称となる構造であり,幅員中央鉛直面 に対して対称となる部材には「’」を付けて S1’, J1’ など と呼ぶこととする.旧子飼橋のアーチリブ断面はπ 型だ が,モデル化するにあたって,等価な断面積・曲げ剛性 を有する図–3 に示す箱型断面とした.対象橋梁のその他 の各部材の断面図を図–4∼12 に示す. 床版に弾性平面シェル要素を,その他の部材全てに梁 要素を用いてモデル化したモデルを骨組モデルと呼び, 図–13 に示す.要素分割に関しては,補剛桁は吊材間を 10 要素,アーチリブは吊材間を 14 要素程度,横桁は 12

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300 160 8 8 160 8 図–6 J3 ∼ J7 に お け る ス ト ラッ ト (単 位: mm) mm 160 160 8 8 350 8 図–7 J2, J8 に お け る ス ト ラッ ト (単 位: mm) 345 610 9 20 1600 25 図–8 S2 ∼ S4, S6 ∼ S8 における補剛桁(単 位: mm) 345 610 10 20 1600 25 図–9 J0 ∼ S2, S4 ∼ S6, S8 ∼ J10 に お ける補剛桁(単位: mm)

870

220

305

20

25

8

図–10 横桁(単位: mm)

220

190

9

12

540

12

図–11 縦桁(単位: mm) 要素,横構は 8 要素,吊材は長さに応じて 3 から 8 要素 により分割し,床版も鋼部材と同程度の分割とした.こ れより,総節点数は 2,875,総要素数は 3,530 である. 鋼材は全て SM400 を想定した弾塑性体として, Mises の降伏条件,線形等方硬化則を用いて,初期降伏応力を 235 N/mm2,硬化係数を Young 係数の 10−2倍とした. ランガー橋は,図–14 (a) に示すように,アーチリブと 吊材は格点部において互いにピン結合であるとして設計 されている.すなわち,設計上ではアーチリブと吊材の

272

180

180

9

9

6

図–12 吊材(単位: mm)

z

x

y

図–13 骨組モデル (a) 設計上の仮定 (b) 剛結モデル (c) ピン結合モデル 図–14 骨組モデルにおける格点部のモデル化 曲げモーメントはゼロと仮定している.しかし,実構造 物において曲げモーメントが完全にゼロになるとは考え にくい.したがって,本研究では骨組モデルにおける格 点部に関して図–14 の (b) および (c) に示す 2 種類のモ デルを採用する. まず一つ目のモデルは,図–14 (b) に示すように,す べての格点部を剛結としたモデルで,これを剛結モデル と呼ぶこととする.もう 1 つのモデルは,図–14 (c) に示 すように,隣接するアーチリブ同士およびアーチリブと 補剛桁を剛結とし,吊材のみをピン結合としたモデル で,これをピン結合モデルと呼ぶこととする.このピン 結合モデルにおいて,吊材には軸力のみが作用するロッ ド要素を用いている. また,剛結モデルおよびピン結合モデルとは別に, 図–15 に示すように格点部のみを平面シェル要素により 詳細にモデル化したモデルを詳細モデルと呼び,詳細モ デルの全体図を図–16 に示す.格点部はモデルとした実

(4)

z

x

y

吊材

剛体要素

アーチリブ

ストラット

図–15 詳細モデルにおける格点部のモデル化

z

x

y

図–16 詳細モデル x y z 図–17 剛結モデルにおける対称 1 次モード x y z 図–18 剛結モデルにおける逆対称 1 次モード 構造をできるだけ忠実に再現しており,アーチリブ内に ダイヤフラムはないが,ストラットや吊材およびそれら の取り付けのためのガセットプレートによって格点から 離れたアーチリブよりは剛性が高くなっている. (2) 床版のモデル化 設計において,床版は荷重を床組に伝達することのみ を想定しているが,部材破断時には床版と床組の合成効 果によって荷重分配の機能を発揮することが多くの研究 で確認されている.このことから,床組の要素の節点と 床版の要素の節点を剛体で関連付けた.加えて,床版を 弾性としてモデル化した場合,床版が橋梁全体の冗長性 を過大評価してしまう可能性がある.そこで,床版がラ ンガー橋の冗長性に与える影響を検討するために,床版 の有無をパラメータとした 2 種類のモデルを作成した. 一つ目は,健全状態の床版を想定し,弾性平面シェ ル要素(Young 係数: 2.65 × 104N/mm2)で床版をモ デル化したモデルで,このモデルを「剛結モデル(床 版あり)・ピン結合(床版あり)・詳細モデル(床版あ り)」などと呼ぶこととする.もう一つのモデルは,床 版ありのモデルの床版の材料の Young 係数を 10−2倍に して,床版の剛性を低減させたモデルで,このモデルを 「剛結モデル(床版なし)・ピン結合(床版なし)・詳 細モデル(床版なし)」などと呼ぶこととする.床版の 要素を除去すると活荷重を作用させるのが困難になるた め,床版を構成する材料の剛性を極端に小さくすること で,床版のない状況を再現することとした.このモデル の床版の変形は実際よりも大きくなるが高々 15 mm 程 度であり,設計で考えている状況と同じように,分布荷 重で与えられる死荷重および活荷重を床組みに伝達する 機能のみを持たせることができる. 以上から,以下の考察においては,剛結モデル(床 版あり)・ピン結合(床版あり)・詳細モデル(床版 あり)・剛結モデル(床版なし)・ピン結合(床版な し)・詳細モデル(床版なし)の計 6 つのモデルを用い て比較を行う. (3) モデルの検証 まずモデルの妥当性を検証するために,本モデルの固 有周期を子飼橋の実測値17)と比較する.具体的には,剛 結モデル・ピン結合モデル・詳細モデル(すべて床版あ り)においてそれぞれ固有値解析を行い,得られた固有 モードのうち,面内対称 1 モードおよび面内逆対称 1 次 モードの固有周期を実測値と比較する.表–1 に実測値と 各モデルにおける固有周期を示す.ここで,面内対称 1 モードおよび面内逆対称 1 次モードとは,それぞれ図– 17 および図–18 に示すようなモードである.なお,ここ では剛結モデルにおける面内対称 1 次モード・面内逆対 称 1 次モードのみを示し,ピン結合モデル・詳細モデル のそれに関しては,図において判別できるほどの違いは ないので割愛する.また,相対誤差は実測値を真値,数 値解析による値を近似値として求めた.

(5)

表–1 固有周期 (s) 対称 1 次モード 逆対称 1 次モード 実測値 0.344 0.432 剛結モデル 0.322 (相対誤差:−6.4 %) 0.442 (相対誤差: 2.9 %) ピン結合モデル 0.323 (相対誤差:−6.1 %) 0.445 (相対誤差: 3.8 %) 詳細モデル 0.320 (相対誤差:−7.1 %) 0.444 (相対誤差: 3.4 %) 表–1 より,対称 1 次モードに関して,各モデルと実測 値における相対誤差の絶対値は,最も大きい値で 7.1 % であった.また,逆対称 1 次モードに関して,各モデル と実測値における相対誤差の絶対値は,最も大きい値で 3.8 % であった.以上,低次モードに限った比較ではあ るが,各モデルに関して,対象橋梁を妥当な精度でモデ ル化できたと考えられる. 2.2 解析方法 吊材の破断に対するランガー橋の冗長性を検討するた めに,破断を想定する吊材 1 本の要素をすべて削除した 状態から解析を始める.荷重は道路橋示方書8)に準じ, 死荷重 (D) と活荷重 (L) を与える.活荷重は B 活荷重で p1は 12 kN/m2とし,主載荷荷重は幅 5.5 m,長さ 10 m とした. p1荷重の載荷位置に関して,本研究では図– 19 に示す 5 ケースの載荷位置で検討を行うが,その際 死荷重の値は変えず,活荷重(L)のみ任意倍した.す なわち,活荷重(L)に対する倍率を荷重パラメータ f として D + f L を載荷することとした.死荷重(D)を 先行して載荷した後, f をゼロから漸増させることで非 線形解析を行う.部材破断の衝撃については,破断部材 の部材力を逆向きに作用させる方法が多く用いられてい る16)が,その大きさはまだ研究途上であるため,ここで は考慮しないこととした. これらの一連の繰り返し収束計算には,弧長増分法を 用いた.また,数値解析には,幾何学的および材料非線 形性を考慮し,汎用有限要素解析ソフト NX NASTRAN を用いた. 3. 解析結果 本節では,前節で述べた 6 つのモデルにおける相当塑 性ひずみに着目し,その比較結果を示す.すべての荷重 ケース(5 通り)・破断想定部材(9 通り)についての 解析を行ったが,ここではまず代表的な結果としてケー ス 1 吊材 S6 破断時における結果を示す.最後にすべて の結果をまとめて示し,破断想定部材と荷重ケースに関 する考察を行う. なお,本研究では各モデル中の最大相当塑性ひずみが 2 % を超えた場合を対象橋梁の終局限界と仮定した.相 当塑性ひずみ分布図は終局時における相当塑性ひずみ ࢣ࣮ࢫ1 ࢣ࣮ࢫ2 ࢣ࣮ࢫ3 ࢣ࣮ࢫ4 ࢣ࣮ࢫ5 図–19 p1荷重載荷位置 を表している.橋梁の終局状態に関する判定は構造的な 不安定により行うべき16)であるが,非線形解析の収束計 算が破たんする場合があるということと,そもそも有限 要素解析で破壊の再現は不可能であることから,ここで は,相当塑性ひずみで判定することとした.また,鋼材 の破断時ののびは, JIS 規格により 20 % 程度と定めら れているが,構造要素を用いる限り 10 % を超えるよう な大ひずみの精度には疑問がある.そこで,初期降伏に 対応したひずみの約 0.2 % の 10 倍の大きさであり,薄 肉構造において局部座屈が生じても,すぐにその基準に 達することがない程度の大きさとして,終局判定の基準 を 2 % と決定した.なお,本論文で用いている健全時の 詳細モデルにおいて,基準を満たすのは荷重変位曲線の ピークを過ぎた直後であった. 3.1 終局時の変形状況 まず,格点部のモデル化の違いによる終局時の変形状 況の違いに着目する.各モデルにおける相当塑性ひずみ 分布を図–20∼25 に示す.これらの図より,剛結モデル (床版あり)・剛結モデル(床版なし)・ピン結合モデ

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z

x

y

0.02 0.01 0. 図–20 剛結モデル(床版あり)における相当塑性ひずみ 分布 ( f = 0.94,変形 10 倍) ル(床版あり)・ピン結合モデル(床版なし)に関して は,格点部 J6 付近のアーチリブにおいて曲げによる終 局となっていることがわかる.この変形は,アーチの軸 線が変化する格点部に軸力が作用したことにより曲げが 発生し,増加したことが原因と考えられる.一方で,詳 細モデル(床版あり)および詳細モデル(床版なし)に 関しては,格点部 J7 のアーチリブの上フランジにおい て局部座屈が生じており,各骨組モデルとは異なる終局 時の変形状況だった.この変形は主にアーチリブの軸力 およびアーチリブを下に凸に変形させる曲げが増加した ためと考えられる. 詳細モデル(床版あり)および詳細モデル(床版な し)において格点部 J6 よりも先に格点部 J7 で終局と なったのは,吊材を接合するためのガセットプレートが アーチリブの下側にモデル化されていることで,各詳細 モデルの格点部付近におけるアーチリブの中立軸位置が 各骨組モデルのそれよりも下フランジ側にあるためと考 えた.アーチリブの中立軸が下フランジ側になるほど, 下フランジにおける応力の絶対値は上フランジのそれよ りも小さくなる.そのため,アーチリブを上に凸に変形 させる曲げが生じている格点部 J6 付近の下フランジに おける圧縮応力は小さくなるが,逆にアーチリブを下に 凸に変形させる曲げが生じている格点部 J5・ J7 付近の 上フランジにおける圧縮応力は大きくなる.さらに,格 点部 J5 よりも先に格点部 J7 において終局となるのは, アーチリブの位置によって軸力が異なるためと考えた. ここで,アーチリブの位置による軸力の違いを確認す るために,健全時の各モデルに設計荷重( f = 1.0) を載荷し,線形解析によって得られた各モデルのアーチ リブにおける軸力を確認した.モデルによる定性的な違 いはないため,ここではそのうちの剛結モデル(床版あ

z

x

y

0.02 0.01 0. 図–21 ピン結合モデル(床版あり)における相当塑性ひ ずみ分布 ( f= 0.90,変形 10 倍) z x y 0.02 0.01 0. 図–22 詳細モデル(床版あり)における J7 付近の相当 塑性ひずみ分布 ( f= 1.27,変形 10 倍) り)と詳細モデル(床版あり)の結果をそれぞれ図–26, 27 に示す.これらの図より,両モデルともすべての荷 重ケースにおいて,支点に近いアーチリブほど軸力が大 きく,逆に支点から離れたアーチリブほど軸力が小さく なっていることが確認でき,格点部 J5 付近のアーチリ ブの圧縮応力よりも格点部 J7 付近のそれの方が大きい ことがわかる.また,部材破断時においてもこの傾向は 同じであった.以上の理由から,詳細モデルにおいて, 格点部 J6 の下フランジよりも先に格点部 J7 の上フラン ジにおいて終局となったと考えられる. 3.2 終局に至るまでの非線形挙動 各モデルにおける,荷重パラメータ f とモデル中で最 大となる点の相当塑性ひずみの関係を図–28 に示す.こ

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z

x

y

0.02 0.01 0. 図–23 剛結モデル(床版なし)における相当塑性ひずみ 分布 ( f = 0.96,変形 10 倍)

z

x

y

0.02 0.01 0. 図–24 ピン結合モデル(床版なし)における相当塑性ひ ずみ分布 ( f= 0.92,変形 10 倍) の図より,ピン結合モデル(床版なし)を除く全てのモ デルで,塑性化開始後も荷重パラメータが緩やかに増 加していることが確認できる.ピン結合モデル(床版な し)は概ね f = 1.4 をピークとして,その後は緩やかに 荷重パラメータが減少しながら相当塑性ひずみが大きく なった. 格点部のモデル化の違いによる荷重パラメータ – 相当 塑性ひずみ関係の違いに着目すると,荷重パラメータが 同じ場合,ピン結合モデル・剛結モデル・詳細モデルの 順で相当塑性ひずみが大きいことがわかる.これは,詳 細モデルには骨組モデルでは考慮されていないガセット プレートがモデル化されており,格点部の曲げ剛性・曲 げ耐力が大きくなっており,格点部付近の曲げ剛性と曲 げ耐力が大きいほどアーチリブの塑性変形が遅れるため z x y 0.02 0.01 0. 図–25 詳細モデル(床版なし)における J7 付近の相当 塑性ひずみ分布 ( f= 1.25,変形 10 倍) 表–2 ケース 1・ S6 破断時ピン結合モデル(床版あり・ 床版なし)における各部材の軸力差(kN) 比較部材 床版あり 床版なし S1 と S1’ 13.1 18.6 S2 と S2’ 8.2 14.8 S3 と S3’ 23.8 29.4 S4 と S4’ −50.0 −43.9 S5 と S5’ 174.9 177.9 S6’ 226.9 219.0 S7 と S7’ 173.1 175.4 S8 と S8’ −51.7 −46.8 S9 と S9’ 21.7 25.4 J0 付近のアーチリブと 97.6 153.5 J0’ 付近のアーチリブ J10 付近のアーチリブと 62.6 99.7 J10’ 付近のアーチリブ であると考えられる.また,剛結・ピン結合の各骨組モ デルにおいて,概ね f = 1.0 のときに傾きが急激に変化 しているのは,格点部 J5・ J7 付近のアーチリブにおい て曲げによる塑性化が始まったことによりアーチの変形 が大きくなると同時に,格点部 J6 付近のアーチリブに おいて全断面が塑性化したためである.一方で,各詳細 モデルにおいて,概ね f = 1.5 のときに傾きが変化して いるのは,格点部 J5・ J7 付近のアーチリブの上フラン ジにおいて図–22 に示したような局部座屈が発生したた めである.ただし,このときの荷重パラメータは骨組要 素のみを用いた剛結・ピン結合のモデルの塑性化開始時 の荷重パラメータよりも大きい.さらに,本章の冒頭で

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軸力

[

kN

]

アーチリブの位置

J0 J1 ~ J1 J2 ~ J2 J3 ~ J3 J4 ~ J4 J5 ~ J5 J6 ~ J6 J7 ~ J7 J8 ~ J8 J9 ~ J9 J10 ~ 0 1000 2000 3000 Case1 Case2 Case3 Case4 Case5 図–26 剛結モデルにおける各アーチリブの軸力

軸力

[

kN

]

アーチリブの位置

J0 J1 ~ J1 J2 ~ J2 J3 ~ J3 J4 ~ J4 J5 ~ J5 J6 ~ J6 J7 ~ J7 J8 ~ J8 J9 ~ J9 J10 ~ 0 1000 2000 3000 Case1 Case2 Case3 Case4 Case5 図–27 詳細モデルにおける各アーチリブの軸力 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0 1 2 相当塑性ひずみ 荷重パラメータ f 剛結モデル(床版あり) 剛結モデル(床版なし) 詳細モデル(床版あり) 詳細モデル(床版なし) ピン結合モデル(床版あり) ピン結合モデル(床版なし) 図–28 荷重 – 相当塑性ひずみ関係 述べた通り,局部座屈が発生してもすぐに終局基準は満 たさず,相当塑性ひずみが 2 % に達する前に剛性がかな り低下していることを図–28 は示している.以上の 2 点 より,局部座屈を考慮しても,本論文で用いている塑性 ひずみによる終局基準が極端に終局時荷重パラメータを 過小評価していないことが示された. 一方,床版の有無による荷重パラメータ – 相当塑性ひ ずみ関係の違いに着目すると,相当塑性ひずみがある程 度小さい段階では大きな違いは見られないものの,相当 塑性ひずみが大きくなるにつれ,荷重パラメータに違い が見られた.例えば,剛結モデル(床版あり)と剛結モ デル(床版なし)に関して,相当塑性ひずみが概ね 4 % よりも大きい段階における両モデルの荷重パラメータを 比較すると,相当塑性ひずみが同じであれば,剛結モデ ル(床版あり)の荷重パラメータの方が剛結モデル(床 版なし)のそれよりも大きくなっており,その差は相当 塑性ひずみが大きくなるほど顕著になっている.また, ピン結合モデル(床版あり)とピン結合モデル(床版な し)に関して,相当塑性ひずみが概ね 3 % よりも大きい 段階における両モデルの荷重パラメータを比較すると, ピン結合モデル(床版あり)は荷重パラメータが緩やか に増加しているのに対し,ピン結合モデル(床版なし) では荷重パラメータが緩やかに減少していた.したがっ て,塑性化がある程度進行している状態(本研究で用い た骨組モデルに関しては,概ね 3 ∼ 4 % より大きい相当 塑性ひずみが生じているとき)を終局と定義すると,床 版のモデル化によって橋梁の耐荷力に差が生じるといえ る. このように床版の有無によって耐荷力に差が生じた のは,床版ありモデルの場合,破断した吊材 S6 で受け 持っていた荷重が床版を通して反対側の主構部材に伝達 されるためと考えられる.このような床版の荷重再分配 を確かめるために,床版ありモデルと床版なしモデルに おける部材力を比較する.ケース 1・ S6 破断時のピン 結合モデル(床版あり)とピン結合モデル(床版なし) に設計荷重( f = 1.0)を載荷し,線形解析によって 得られた両モデルにおける各部材の軸力差を表–2 に示 す.ここで軸力差は,破断部材側の各主構部材(S1 や S2 など)の軸力から反対側の各主構部材(S1’ や S2’ な ど)の軸力を引いた値である.また,破断部材である吊 材 S6 の軸力はゼロなので, S6’ の軸力の値を示した. まず,床版ありモデルと床版なしモデルにおける S6’ の 軸力に着目すると,床版なしモデルにおける S6’ の軸力 よりも床版ありモデルにおけるそれの方が大きいことが わかる.各吊材の軸力差については,床版なしのモデル に比べて床版ありのモデルの方が小さくなっている.以 上から,床版は破断部材で受け持っていた荷重の再分配 の経路としての機能しており,吊材破断時に鋼ランガー 橋が冗長性を発揮する上で重要な役割を果たしていると いえる. 3.3 破断想定部材と荷重ケースに関する考察 本節では,破断する吊材による冗長性の違いについ て検討する.具体的には,相当塑性ひずみが 2 % を超え たときの荷重パラメータを fcとし,各モデル・各荷重 ケースにおいて破断する吊材による fcの違いを確認す る. 図–29∼33 に各荷重ケースの破断想定吊材毎の fcを示 す.これらの図より,全てのモデルおよび荷重ケースに

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詳細モデル(床版あり) 剛結モデル(床版あり) ピン結合モデル(床版あり) 詳細モデル(床版なし) 剛結モデル(床版なし) ピン結合モデル(床版なし) 荷重パラメータ f c 破断想定部材 S1 S2 S3 S4 S5 S6 S7 S8 S9 0 0.5 1 1.5 2 図–29 破断想定部材毎の fc(ケース 1) 詳細モデル(床版あり) 剛結モデル(床版あり) ピン結合モデル(床版あり) 詳細モデル(床版なし) 剛結モデル(床版なし) ピン結合モデル(床版なし) 荷重パラメータ f c 破断想定部材 S1 S2 S3 S4 S5 S6 S7 S8 S9 0 0.5 1 1.5 2 図–30 破断想定部材毎の fc(ケース 2) 詳細モデル(床版あり) 剛結モデル(床版あり) ピン結合モデル(床版あり) 詳細モデル(床版なし) 剛結モデル(床版なし) ピン結合モデル(床版なし) 荷重パラメータ f c 破断想定部材 S1 S2 S3 S4 S5 S6 S7 S8 S9 0 0.5 1 1.5 2 図–31 破断想定部材毎の fc(ケース 3) おいて,吊材 S1 や S9 など支点に近い吊材を破断させ たときに最も fcが小さくなることがわかる.これは主 に, p1荷重の載荷位置によらず支点付近のアーチリブ ほど軸力が大きく,それにより格点部に発生する曲げ が大きいためと考えられる.先に述べたように,図–26, 27 から,すべてのモデルおよび荷重ケースにおいて,支 点に近いアーチリブほど軸力が大きく,逆に支点から離 れたアーチリブほど軸力が小さいことが確認できる.こ の傾向は,アーチ橋に関する Romeijn and Bouras13)や藤

野ら14)の結果と異なるが,本論文ではランガー橋を対象 詳細モデル(床版あり) 剛結モデル(床版あり) ピン結合モデル(床版あり) 詳細モデル(床版なし) 剛結モデル(床版なし) ピン結合モデル(床版なし) 荷重パラメータ f c 破断想定部材 S1 S2 S3 S4 S5 S6 S7 S8 S9 0 0.5 1 1.5 2 図–32 破断想定部材毎の fc(ケース 4) 0 0.5 1 1.5 2 詳細モデル(床版あり) 剛結モデル(床版あり) ピン結合モデル(床版あり) 詳細モデル(床版なし) 剛結モデル(床版なし) ピン結合モデル(床版なし) 荷重パラメータ f c 破断想定部材 S1 S2 S3 S4 S5 S6 S7 S8 S9 図–33 破断想定部材毎の fc(ケース 5) としており,アーチリブの支配的な部材力が軸力である ことから,このような傾向になったと考えられる. しかしながら,もし fcの値がアーチリブにおける 軸力の大きさのみに依存するのであれば,吊材 S5 を 破断させたときに最も fcが大きくなるはずだが,図– 29∼33 より, fcの最大値は必ずしも S5 破断時ではな い.例えば,図–31 より,ケース 3 における剛結モデ ル(床版あり)・剛結モデル(床版なし)・ピン結合 モデル(床版あり)・ピン結合モデル(床版なし)で は S4 破断時に fcが最も大きな値となっている.また, 図–30 より,ケース 2 において各モデルの fcが最大とな る破断想定部材に着目すると,詳細モデル(床版あり) を除いた全てのモデルで, S2 破断時に最も fcが大きく なっている. このように, fcの最大値が必ずしも S5 破断時とはな らない理由として, p1荷重載荷位置やアーチリブの位 置によって,アーチリブに発生する曲げモーメントが 異なることが考えられる.すなわち,ケース 1∼4 のよ うに, p1荷重を橋軸方向において支間中央に対して左 右非対称に載荷した場合,アーチリブは図–18 のような 逆対称 1 次モードにおける変形形状となるが,この際, p1荷重載荷位置付近のアーチリブでは,アーチリブを 下に凸に変形させる曲げモーメントが発生し,逆に p1

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1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 0.5 1 1.5 2 Ⲵ㔜ࢣ࣮ࢫ ヲ⣽ࣔࢹࣝ㸦ᗋ∧࠶ࡾ㸧 ๛⤖ࣔࢹࣝ㸦ᗋ∧࠶ࡾ㸧 ࣆࣥ⤖ྜࣔࢹࣝ㸦ᗋ∧࠶ࡾ㸧 Ⲵ㔜ࣃ࣓࣮ࣛࢱ fc 図–34 吊材 S3 破断における荷重ケース毎の fc 荷重載荷位置から離れた位置のアーチリブでは,アーチ リブを上に凸に変形させる曲げモーメントが発生する. このため, p1荷重載荷位置付近のアーチリブでは,軸 力により発生する曲げモーメントが逆対称 1 次モードに よる曲げモーメントと相殺されるのに対して, p1荷重 載荷位置から離れた位置のアーチリブでは,軸力により 発生する曲げモーメントと逆対称 1 次モードによる曲げ モーメントの向きが同じであることから,曲げモーメン トは大きくなる. 破断想定部材による冗長性の違いに関しては,以上の 要因に加えて,格点部のモデル化やストラット・橋門構 等の 2 次部材のモデル化も影響すると考えられる.例え ば,詳細モデルの fcに関して,吊材 S1 もしくは S9 が 破断したときに最も fcが小さくなることは,剛結モデ ルおよびピン結合モデルの傾向と一致しているが,それ 以外の吊材(S2∼S8)がそれぞれ破断したときの fcの 値に関してはほとんど差が見られなかった.これは,詳 細モデルの場合,橋門構がモデル化されていたり,格 点ごとにガセットプレートの形状が異なっていることか ら,格点部付近の剛性が位置によって違うことが原因と 考えられる.ランガー橋のアーチリブの終局は,軸力に より発生する曲げが主な原因であり,格点部付近の剛 性はアーチリブの曲げに大きな影響を与えると考えられ る.以上のことから,吊材破断に対するランガー橋の冗 長性評価を行う際は,破断想定部材および p1荷重載荷 位置の関係,および格点部付近のモデル化に注意する必 要があるといえる. 次に,想定破断部材を固定したときの,荷重ケースに よる違いについて述べる.藤野ら14)によって,破断した 際に最も大きな影響のあるとされる支間 1/4 にある支柱 は,本モデルにおいては吊材 S3 もしくは S4 に相当す る.そこで, S3 に着目して,荷重ケースによる fcの違 いを図–34 に示す.荷重ケースは 1∼5 しか設定していな いが, 6, 7, 8, 9 については対称性を考慮し,相対的な 位置関係が等価になるように,それぞれ吊材 S7 破断時 の荷重ケース 4, 3, 2, 1 に対する fcを示している.図よ り,最も fcが小さくなるのは,破断を想定している S3 付近に p1が載荷されている荷重ケース 3 ではなく,詳 細モデルでは荷重ケース 5,その他のモデルではケース 5 と 6 であった.リダンダンシー解析は,破断を想定す る部材が厳しい状態になるような荷重ケースを想定する ことが多く,藤野ら14)もそのような設定で解析を行って いる.しかしながら,先に述べたように,荷重によって 生じるアーチリブの曲げの向きと,軸力によって格点に 生じる曲げモーメントの向きの関係により,健全時に破 断想定部材が最も厳しい状態になるときが必ずしも破断 時の橋梁全体にとって最も厳しい状態になるとは限らな い場合があることを,この例は示している. 4. おわりに 鋼ランガー橋の吊材を破断させた状態で非線形有限要 素解析を行い,格点部や床版のモデル化の違いなどが鋼 ランガー橋の冗長性評価に与える影響および破断想定部 材の位置と荷重ケースが冗長性に与える影響について考 察した.この考察は,本論文で定義した終局限界におけ る荷重パラメータ fcの定量評価を中心に行った.得ら れた知見を以下にまとめる. 1. 格点部や床版のモデル化の違いによって,鋼ラン ガー橋の終局時の変形状況および fcに違いが現れ る場合がある. 2. 格点部を平面シェル要素でモデル化した詳細モデ ルでは,アーチリブの上フランジにおいて局部座屈 が生じるケースが見られた.しかしながら,局部座 屈後もガセットプレートがアーチリブの変形に対し て抵抗するため,各骨組モデルに比べて fcは大き くなった.このことから,実際の鋼ランガー橋はガ セットプレートによってある程度の冗長性が付加さ れている可能性がある. 3. 吊材破断時に相当塑性ひずみがある程度大きくな ると,同じ変形状態で比較して床版なしモデルの荷 重パラメータの方が床版ありモデルのそれよりも小 さくなる傾向が見られた.したがって,非線形解析 により冗長性評価を行う際,塑性化がある程度進行 している状態(本研究で用いた骨組モデルに関して は,概ね 3∼ 4 % より大きい相当塑性ひずみが生じ ているとき)を終局限界と定義すると,床版のモデ ル化によって橋梁の fcに差が生じることがある. また,このことから,床版のモデル化は鋼ランガー 橋の冗長性評価に影響を及ぼすと考えられる. 4. 吊材破断時において,床版ありモデルは床版なしモ デルに比べて破断部材側の主構部材と反対側の主構 部材の軸力差が小さいことがわかった.これは床版 ありモデルの場合,破断した吊材で受け持っていた 荷重が床版を介して反対側の主構部材に伝達される ためと考えられる.したがって,吊材破断時に鋼ラ

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ンガー橋が冗長性を発揮する上で,床版は重要な役 割を果たしていると考えられる. 5. 破断する吊材によって fcに違いが見られ,特に支 点に近い吊材や p1荷重載荷位置から離れた位置に おける吊材を破断させたときに fcが小さくなる傾 向が見られた.また, p1荷重をスパン中央に載荷 する方が支点付近に載荷するよりもアーチリブの軸 力が大きくなり, fcが低くなる傾向が見られた. したがって,吊材破断に対する鋼ランガー橋の冗長 性評価を行う際は,破断想定部材と p1荷重載荷位 置の関係に十分注意する必要がある. 6. ある吊材破断時にもっとも橋梁が厳しくなる荷重 ケースは,健全時にその吊材が最も厳しくなる荷重 ケースとは一致しないことがある. 謝辞: 本研究は科学研究費補助金(23760416, 代表: 斉木 功)の助成を受けたものである. 参考文献 1) 国 土 交 通 省: 道 路 橋 の 重 大 損 傷, http: //www.mlit.go.jp/road/sisaku/yobohozen/ yobohozen.html 2) 玉越隆史,大久保雅憲,星野誠,横井芳輝,強瀬義 輝: 道路橋の定期点検に関する参考資料(2013 年 版)―橋梁損傷事例写真集―,国土技術政策総合研 究所資料, 2013. 3) 永谷秀樹,赤石直光,松田岳憲,安田昌宏,石井博 典,宮森雅之,小幡泰弘,平山博,奥井義昭: 我国 の鋼トラス橋を対象としたリダンダンシー解析の検 討,土木学会論文集 A, Vol.65, No.2, pp.410-425, 2009. 4) 笠野英行,依田照彦: 米国ミネアポリス I-35W 橋の 崩壊メカニズムと格点部の損傷評価, 土木学会論文 集 A, Vol.66, No.2, pp.312-323, 2010.

5) 永谷秀樹,赤石直光,松田岳憲,安田昌宏,石井博 典,宮森雅之,小幡泰弘,平山博,奥井義昭: 鋼 トラス橋のリダンダンシー評価手法の検討(その 3),第 63 回年次学術講演会,土木学会, 2008. 6) Crosti, C. and Duthinh, D.: A nonlinear model for

gusset plate connections, Engineering Structures, Vol.62-63, pp.135-147, 2014.

7) Rosenstrauch, P.L., Sanayei, M. and Brenner, B.R.:

Capacity analysis of gusset plate connections us-ing the Whitmore, block shear, global section shear, and finite element methods, Engineering Structures, Vol.48, pp.543-557, 2013.

8) 日本道路協会: 道路橋示方書· 同解説 I 共通編 II 鋼 橋編, 2012.

9) Liu, S., Bartlett, M. and Zhou, W.: Alternative Load Paths in Steel through-Truss Bridges: Case Study, J. Bridge Engineering, Vol.18, pp.920-928, 2013. 10) 永谷秀樹,赤石直光,松田岳憲,安田昌宏,石井博 典,宮森雅之,小幡泰弘,平山博,奥井義昭: 鋼 トラス橋のリダンダンシー評価手法の検討(その 2),第 63 回年次学術講演会,土木学会, 2008. 11) 野中哲也,宇佐美勉,岩村真樹,廣住敦士,吉野廣 一: 連鎖的な部材破壊を考慮した鋼橋のリダンダ ンシー解析法の提案, 構造工学論文集, Vol.56A, pp.779-791, 2010. 12) 馬越一也,小室雅人,山沢哲也,由井幸司,見原理 一,野中哲也,吉岡勉,奥井義昭: トラス橋のケー ススタディ(非線形解析)―鋼トラス橋を対象とし た連鎖崩壊型動的リダンダンシー解析―, 第 17 回 鋼構造と橋に関するシンポジウム論文報告集,土木 学会, 2014.

13) Romeijn, A. and Bouras, C.: Investigation of the arch in-plane buckling behaviour in arch bridges, J. Constructional Steel Research, Vol.64, pp.1349-1356, 2008.

14) 藤野明義,中野一也,三木英二,日向優裕,加藤 修,岩崎英治: 鋼上路式アーチ橋の線形リダンダン シー解析, 第 17 回鋼構造と橋に関するシンポジウ ム論文報告集,土木学会, 2014.

15) U.S.Department of Transportation Federal Highway Administration: Steel Bridge Design Handbook, Re-dundancy, 2012. 16) 鋼構造物のリダンダンシーに関する検討小委員会: リダンダンシー評価ガイドライン (案),土木学会鋼 構造委員会, 2014. 17) 吉村虎蔵,清田堅吉,村橋久昭: 道路ランガー桁 (子 飼橋と銀座橋) の載荷試験,土木学会誌,第 45 巻, 第 5 号, 1960. (2015 年 9 月 25 日 受付) (2016 年 2 月 1 日 受理)

参照

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