山口 央 審査結果の要旨
論文審査の結果の要旨
山口 央氏(日高キャンパス呼吸器内科学)の学位審査委員会は、委員全員が出席し、令和元 年8 月 14 日(水)に日高キャンパス国際医療センターで開催された。本研究の共同研究者1名が オブザーバーとして出席された。はじめに申請書類により資格条件が満たされていることが確認 された。学位申請論文のタイトルは「Re-challenge of afatinib after 1st generation EGFR-TKI failure in patients with previously treated non-small cell lung cancer harboring EGFR mutation」で あり、Cancer Chemotherapy and Pharmacology 誌に 2019 年 1 月 29 日付で受理され、同年 5 月に掲載されている。本研究は診療情報を後方視的に調査する臨床研究であり、埼玉医科大学国 際医療センター臨床研究IRB における審査並びに施設長の承認(平成 30 年 8 月1日付)を得て 実施されたものである。なお、本学位申請論文を山口 央氏の学位申請のみに用いることを共著 者9 名全員が同意されている。 学位審査委員会では、学位申請論文の内容に沿って約30 分間の口頭発表が行われ、その後、質 疑応答が行われた。審査委員による質疑の概要は以下の通りである。 ① 本研究の対象は、2015 年 5 月~2018 年 8 月までの間に、第 2 世代上皮成長因子受容体(EGFR) チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)である afatinib で再治療された 62 例のEGFR遺伝子変異 陽性非小細胞肺癌(NSCLC)とされている。この間、2016 年 5 月には、EGFR-TKI の耐性 メカニズムとして最も高頻度に認められるT790M 変異を発現した NSCLC にも有効性を示 す第3 世代の osimertinib が承認されている。本研究の症例選択において osimertinib の承認 による影響や、その結果としてバイアスが生じた可能性がないか説明されたい。 ② 本研究では、前治療としての第 1 世代 EGFR-TKI の治療期間中央値は 14 ヵ月であるが、 afatinib の再治療における無増悪生存期間(PFS)及び全生存期間(OS)の多変量解析では、 前治療期間の最適なcut-off 値は 10 ヵ月として解析されている。その理由について、また、 ROC 解析を行うべきでなかったのかについて説明されたい。 ③ 本研究では、喫煙歴があること、パフォーマンス・ステイタス(PS)が良好であること、第 1 世代 EGFR-TKI による 10 ヵ月以上の治療歴を有することが、TKI 再治療としての afatinib のPFS に関わる予後良好因子であるとされている。
1) 喫煙歴を有する症例ではEGFR 遺伝子変異の発現頻度が低いことが知られているが、今 回の研究では喫煙歴の有無をどのように分類したのか説明されたい(never/ ever/ light/ heavy や Brinkman index 等)。
2) 一般論としては、抗癌薬の暴露期間(前治療期間)が長ければ長いほど、薬剤耐性が発 現しやすいことが知られている。今回のEGFR-TKI に関わる検討では、これとは正反対 の結論になっているが、その理由を考察されたい。
山口 央 審査結果の要旨 ④ 学位申請論文のAbstractと「論文内容の要約(要旨)」が齟齬を来している。学位申請論文の Abstractに誤記があると考えられるので、学術雑誌にErratumの報告をすると共に、「論文内 容の要約(要旨)」では学位申請論文のAbstractの誤記を訂正した内容を記載していること、 Erratumを報告中であることを追記されたい。 学位審査委員会における質疑応答では、各委員からの質疑に対して、申請者はそれぞれ適切な 回答をされ、申請者自らが本研究の実施、結果の解析および論文作成に深く関与していることが 確認された。また、当該委員会で指摘されたErratum については速やかに報告するとされ(2019 年10 月 11 日付で受理)、論文内容の要約に関する追記・修正にも適切に対応された。