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Factors Affecting 2,000m Rowing Ergometer Performance - A Single Case Study -

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2,000m ローイングエルゴメーターパフォーマンスに 影響を及ぼす要因に関する単一事例研究

市川麻耶*・渡邊將司*

(2018 年 8 月 31 日受理)

Factors Affecting 2,000m Rowing Ergometer Performance - A Single Case Study -

Maya IchIkawa* and Masashi watanabe* (Accepted August 31, 2018)

       

*茨城大学教育学部(〒310-8512 水戸市文京2-1-1; College of Education, Ibaraki University, Mito 310-8512 Japan).

はじめに

 ボート競技とは,オールによる手漕ぎボートのレースで,直線のコースを漕いでタイムを競う競 技である。オリンピックや世界選手権などの国際レース,国内レースの多くが2,000mで行われる(居 石,2009)。レース時間は,艇種や風,気温,水深などの環境条件によって変わるが,おおよそ男 子で6~7分間,女子で7~8分間である。

 2,000mのレース中,漕手は 「キャッチ」,「ドライブ」,「フィニッシュ」,「リカバリー」 からな

る一連のローイング動作を210~250回繰り返す。そのため,ボート競技で成功するためには,

2,000mを漕ぐ間,高いパワー出力を維持する能力が必要である(居石,2009)。水上を進行するボー

トは,漕手がオールを動かすことによって生じる力,漕手の移動,ボートに働く抵抗の影響を受け た運動をする(下田,2012)。また,ボート競技のレースでは静止した艇を加速させるためスター ト時に最大パワーを発揮する。その後も比較的高いパワーを出し続け,ラストはオールアウトに至 るようなスプリントを発揮する。他の持久性競技と比較すると,このようなボート競技のレースパ ターンは独特である(居石,2009)。

 ローイング動作は,進行方向に背を向けて座った姿勢で行われる。外から見える姿勢からは,腕 を中心とした上半身による出力が重要であると思われがちであるが,実際はストレッチャー(靴)

に足を固定し,シートと呼ばれる前後に動く座席に座って漕いでいるため,主な力発揮は下肢でな されている。オールをテコとして用いることで,下肢の伸展力を艇の推進力に変換し,艇を進める という特徴がある(坂本ら,2009)。また,ローイングは,ランニングや自転車のように腕や脚を 左右交互に動かすのではなく,左右同時に動かす運動であり,左右の腕と脚,さらに上体の動きを

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統一して行う(下田,2012)。

 体力的に見ていくと,通常の2,000mレースのスタートは,最大パワー出力および高いストロー クレートで勢い良くスタートする。ストロークレートは50stroke/min近くまで上がり,スタートか ら30~60秒間は,このレートを維持する。この爆発的スタートの後に,パワーとストロークレー トを若干落として,3.5~4分間は比較的一定に漕ぐ。そして,最後の45~60秒間はパワーとス トロークを顕著に増加させて,ゴールに向けてオールアウトスプリントを行う。スタートで最大パ ワーを出すレースパターンは,ボート競技の特徴といえる(居石,2009)。

 レース中の酸素摂取量は,通常スタートから約1分間で急激に立ち上がり,その後に最大酸素摂 取量に近い値をゴールまで維持する(居石,2009)。最大酸素摂取量は,ボート選手にとって重要 な能力であるが,Hagerman(2000)は,レース開始後1分間と,無酸素性代謝の貢献度が高くな る最後の1分間を除いた4分間の酸素摂取量を平均した値が,ボートのパフォーマンスと相関が 高いことを示し,国際レベルのローイングパフォーマンスを判断する生理学的基準は,最大酸素摂 取量の95%~98%に相当する酸素摂取量を維持して漕ぎ続けることができるか否かである,と述 べている(居石,2009)。

 また,間欠的な出力を行うという競技動作により,持久系の競技としては高いレベルの筋力が要 求されることも特徴である。ローイングパフォーマンスにおいて重要なことは,高い出力を維持し 続ける能力である。「高い出力」 という無酸素系のエネルギー供給システムと,「維持し続ける能力」

という有酸素系のエネルギー供給システムを高いレベルでバランスよく発揮させることが必要で ある(坂本ら,2009)。ローイング中には多くの筋群が使われているが,とりわけ,ボートの推進 力は大腿四頭筋や臀部の筋群の収縮によって生み出される脚伸展パワーの貢献が大きい。Russell

et al(. 1998)は,16~23歳のエリート男子ボート選手を対象に,膝関節伸展筋群の筋力と2,000m

レースのタイムとの間に,有意な相関関係(r=-0.40)があることを示した。これは,同じ被験 者を対象にした,最大酸素摂取量と2,000mレースのタイムとの相関係数r=-0.43に類似している

(McNeely et al.,2005)。

 近年,体力測定および冬期のトレーニングのためにローイングエルゴメーターが広く用いられ るようになっている。特にアメリカのConcept2社製エルゴメーターが国際的に広く普及している。

このエルゴメーターはモニターがついているため,スピード,ワット,距離,1分間あたりのスト ローク数(ストロークレート)などが表示される。距離や時間を設定してトライアルを行うことも 可能である。この機能を利用したインドアの世界大会なども開かれている。また,ナショナルチー ムの選考基準の1つとしてローイングエルゴメーターの記録を用いている国も少なくない。

 先行研究では,ローイングエルゴメーター2,000mパフォーマンスとボート競技のパフォーマン スには軽量級男子シングルスカル(r=0.78,p=0.005),女子シングルスカル(r=0.75,p=0.02),

男子シングルスカル(r=0.72,p=0.004)および軽量級男子ダブルスカル(r=0.72,p<0.001)で有 意な相関があることが示された(Pavle et al.,2009)。また,Lamb(1989)は,水上でのボート上 と陸上でのエルゴ上の漕動作の差異を,運動学的変数によって比較し,陸上と水上という環境の条 件の違いがあっても,これらの漕動作は類似していることを報告した。さらに,Janshen et al(. 2009) は,水上での漕動作を,ローイングエルゴメーターでもシュミレーションできると述べている。こ れらの結果は,競漕は水上で実施される種目であるが,ローイングエルゴメーターでも漕手の漕動

(3)

作を再現できることを示し,ローイングエルゴメータータイムは水上でのスピードに影響すると考 えられている。

 スポーツ選手の競技力はスポーツ技能の他,健康状態や疲労度などにも影響されることから,日々 の生活スタイルによっても左右されると考えられる(稲井・前橋,1998)。睡眠の主たる機能として,

「エネルギー保存」,および 「身体・精神の回復」 が挙げられる(水野,2002)。トレーニングや競 技による疲労回復のためには,睡眠に勝るものはない。トレーニングによる疲労を癒し,明日のエ ネルギーを再生産するために,また,神経性の緊張による疲労を回復するために,どのような睡眠 をとるかがコンディショニングの鍵ともいえる(道明ら,1978)。

 睡眠はトレーニングにおける自分のパフォーマンス発揮にも影響がある。睡眠時間を十分にとら ないと運動反応が鈍くなり,フォームが崩れ,効率の悪い神経と筋の連携パターンが定着してしま う(Sage,2013)。稲井・前橋(1998)は,睡眠時間と握力および背筋力,睡眠時間と無酸素系運 動能力および有酸素系運動能力の関係について分析し,男女共に7~8時間の睡眠時間を確保で きていればいずれも高値を示す傾向があることを示している。

 ボート競技では,ローイング動作を模擬したローイングエルゴメーターが広く普及している。ボー ト競技のためのトレーニング等に使用される。特にローイングエルゴメーター2,000mパフォーマ ンスは,選手の漕力評価に用いられ(山本・毛利,1985),全日本大学選手権や全日本選手権,日 本代表選考会への出場資格が与えられるかの判断材料にもなっている。先行研究では,ローイング エルゴメーター2,000mパフォーマンスと最大酸素摂取量や乳酸値などの体力との関係を示してい るものが多くある(居石,2009)。しかし,スポーツトレーニングには「個別性の原則」があるよ うに,パフォーマンスに影響する要因は選手によって異なることが予想できる。

 そこで,本研究は1名の選手を追跡調査し,ローイングエルゴメーター2,000mパフォーマンス とローイング動作,体力,トレーニングの達成状況,生活記録との関係を明らかにすることを目的 とする。

方 法

1.対象者

 ボート競技歴7年目である22歳女性を対象とした。対象者は国民体育大会,全日本大学選手権,

全日本選手権に出場しており,2017年には全日本大学選手権では8位入賞した経験のある熟練者 である。ローイングエルゴメーター2,000mのベストタイムは2015年にマークした7分38秒5であっ た。

2.ローイングエルゴメーター 2,000mタイムトライアル

 1ヶ月に1回,ローイングエルゴメーター2,000mのタイムトライアルを実施し,ゴールタイム,

心拍数,500m毎のタイムとストロークレートのデータを収集した。期間は2017年5月から10月 までで,合計6回のトライアルを実施した。なお,全てのトライアルでローイングエルゴメーター

(conceptⅡtypeD,Concept社)を使用した。その際,心拍計(M400,ポラール・エレクトロ社)

で心拍数を測定し,トライアル中の平均心拍数を算出した。また,タイムトライアル直前には体重

(4)

を測定(RD-800,タニタ社)した。その際,半袖のトレーニングウェアとローイングスーツを着 用した。着衣量は0.5kgとして測定体重から差し引いた。トライアルの前日は休息日とし,十分に 体力を回復させた。

3.動作分析

 ローイングエルゴメーター2,000mタイムトライアルを実施する際に,ビデオカメラ(HDR-

CX675,SONY社)をローイングエルゴメーターの真横に固定し,60fpmで撮影した。この時,ロー

イングエルゴメーターだけでなくトライアル中のすべての局面で対象者の全身が映るように位置を 定めた。実長換算するにあたり,ローイングエルゴメーターの下に1mのポールを置いた。

 2,000mを4分割した各クォーター通過点とゴール直前の3ストロークを動作分析の対象とした。

グリップ,手首,肘関節,肩峰,隆椎点,大転子,膝関節,足首,シートの9点を分析点として,

ストローク動作中の股関節角度,膝関節角度,肘関節角度を算出した。さらに,キャッチ姿勢時の 股関節角度と膝関節角度,フィニッシュ姿勢時の股関節角度,シートレンジ,グリップレンジ,ド ライブ中のシート速度,ドライブ中のグリップ速度,膝関節角度90°時の股関節角度を算出した(図 5)。それらのデータを元にキャッチとフィニッシュでのグリップの上下位置の差,ドライブが始ま る時のシートの動き出しとボディが開き始める(上体が伸展する)タイム差(シートとボディのタ イム差)の数値を出した。

4.筋持久力測定

 タイムトライアルの4日後にトライアル直前に測定した体重の70%負荷でスクワット,体重の 60%負荷でハイプルを行い,2秒に1回のリズムでできる最大反復回数を測定した。

 負荷は2.5㎏単位でしか調整できないため,設定負荷に最も近い負荷で実施した。スクワットは 膝関節角度が90°になる位置にゴムチューブを張り,ゴムチューブに大腿後部で触れることで1回 とした。ハイプルはシャフトが膝より下の位置から始め,胸の高さまで上がった際に1回とした。

どちらも2秒に1回のリズムに2回連続で遅れた場合に終了とした。

5.トレーニングの達成状況

 タイムトライアルから過去4週間のトレーニングの達成状況を記録した。その4週間の中に前 回のタイムトライアルを含む期間もあったが,タイムトライアルもトレーニングに含め数値を出し た。

 持久力トレーニング(乗艇トレーニング,ローイングエルゴメーター,ランニング,サーキット トレーニング,バイクトレーニング等)を実施する際には心拍計を装着して心拍数を測定した。最 大心拍数(220-年齢)の50%以上から最大心拍数までを有効ゾーンとして5段階に分けた(表1)。

 持久力トレーニングの場合は,各ゾーンとトレーニングの実施時間(秒)の積をトレーニング量(ポ イント;pt)とした。ウエイトトレーニングを実施する際は,挙上重量と挙上回数を記録し,これ らの積をトレーニング量(ポイント:pt)とした。自重トレーニングは補助的トレーニングとみな しトレーニング量には含めなかった。

(5)

6.生活習慣

 睡眠時間,昼寝時間,起床時心拍数,起床時体温を毎日記録した。起床時心拍数は,毎朝目が覚 めたと同時に布団の中で触診により1分間測定した。起床時体温も毎朝目が覚めたと同時に布団の 中で測定した。

7.統計処理

 ローイングエルゴメーター2,000mタイム(2,000mタイム)とタイムトライアルから遡った4 週間分のトレーニング量と生活習慣の各平均値,筋持久力測定回数,2,000mタイムトライアルの 500m,1,000m,1,500mの通過タイムおよび体重の全15項目で相関分析を行った。また,動作分 析から算出したキャッチ姿勢時の股関節角度,キャッチ姿勢時の膝関節角度,フィニッシュ姿勢時 の股関節角度,シートレンジ,グリップレンジ,ドライブ中のシート速度,ドライブ中のグリッ プ速度,膝関節角度90°時の股関節角度,キャッチとフィニッシュでのグリップの上下位置の差,

キャッチからフィニッシュまでのシートとグリップの平均速度,ボディとシートの動き出すときの タイム差の10項目に加え,ストロークレートと各クォータータイムの全12項目の相関分析を行っ た。全てのクォータータイムで比較をすると,疲労度が影響していくと考えられるため第1クォー ター(0~500m),第2クォーター(500~1,000m),第3クォーター(1,000~1,500m),第4クォー

ター(1,500~2,000m)に分けて分析した。さらに,動作分析での10項目とストロークレートの

全11項目とトレーニング量,ウエイトトレーニング量,持久力トレーニング量で相関分析を行った。

 全ての相関分析はピアソンの積率相関分析を使用した。データ数が少ないため相関係数が大きく ても有意性が認められないことが予想された。そのため,本研究では有意性にとらわれず,|r|≧0.5 で中程度の相関,|r|≧0.7以上で強い相関があると判定した。なお,全ての統計処理はJMP8.0を 用いた。

1 心拍ゾーン

ゾーン 強度 心拍数(22歳の場合) 効   果

5 最大

90100% 178198 呼吸および筋肉への最大またはそれに準ずる負荷

4 きつい

8090% 158177 速い速度での持久力を維持する力を向上

3 普通

7080% 138157 一般的なトレーニングベースの強化

2 軽い

6070% 118137 基礎的な身体能力を向上させ,回復を促進,新陳代謝 を増進させる

1 非常に軽い

5060% 99117 ウォームアップやクールダウン,回復を助ける

(6)

結 果

1.ローイングエルゴメーター 2,000mタイムトライアル

 各月のタイムトライアルの結果を各クォーターの通過タイム,500mタイム, 2000m全体でのタ イム,ストロークレートを抽出した(表2)。

2 2,000mタイムトライアルの結果

500m 1,000m 1,500m 2,000 m

2017/5/18 time split time

rate

01:54.9 01:54.9 31

03:54.5 01:59.6 30

05:57.3 02:02.8 30

07:55.7 01:58.4 33

2017/6/22 time split time

rate

01:56.3 01:56.3 29

03:53.6 01:57.3 31

05:54.2 02:00.6 31

07:53.6 01:59.4 33

2017/7/27 time split time

rate

01:56.6 01:56.6 29

03:55.6 01:59.0 30

06:01.0 02:05.4 29

08:03.0 02:02.0 31

2017/8/16 time split time

rate

01:56.3 01:56.3 32

03:54.6 01:58.3 31

05:54.6 02:00.0 32

07:50.5 01:55.9 35

2017/9/27 time split time

rate

01:55.4 01:55.4 33

03:54.1 01:58.7 32

05:54.4 02:00.3 33

07:55.3 02:00.9 34

2017/10/19 time split time

rate

01:55.1 01:55.1 34

03:53.0 01:57.9 34

05:54.1 02:01.1 34

07:52.9 01:58.8 36

2.動作分析

 それぞれ,キャッチ姿勢時の股関節角度と膝関節角度,フィニッシュ時の股関節角度,シートレ ンジ,グリップレンジ,ドライブ中のシート速度,ドライブ中のグリップ速度,膝関節角度90°時 の股関節角度,キャッチとフィニッシュでのグリップの上下位置の差,キャッチからフィニッシュ までのシートとグリップの平均速度,シートとボディのタイム差を算出した(表3~12)。

 キャッチ姿勢時の股関節角度と膝関節角度は,同じタイミングで最も鋭角になっているわけでは ないため,シートが最もストレッチャーに近づいたタイミングをキャッチとした。同様に,フィニッ シュ姿勢時の股関節角度は,シートがストレッチャーから最も離れているタイミングをフィニッ シュとした。シートとボディのタイム差は,シートの動き始めた時間からボディが動き始めた時間 を引いたため,マイナスであればシートは先に動き,プラスであればシートが遅れて動いているこ とになる(表12)。

(7)

3 キャッチ姿勢時の股関節角度

5678910月 平均

500m 41.7 33.8 37.6 38.0 35.2 36.8 37.2

1,000m 41.7 32.3 37.3 37.3 31.9 32.9 35.6

1,500m 40.7 34.5 37.6 35.8 32.0 31.2 35.3

2,000m 37.1 34.5 36.1 34.9 30.7 30.2 33.9

単位は度

4 キャッチ姿勢時の膝関節角度

5678910月 平均

500m 47.6 43.4 41.6 40.9 40.0 40.3 42.3

1,000m 45.1 40.8 49.1 41.4 37.1 39.1 42.1

1,500m 43.6 41.5 40.4 40.1 38.5 37.7 40.3

2,000m 47.7 42.0 41.4 40.9 39.0 40.7 41.9

単位は度

5 フィニッシュ姿勢時の股関節角度

5678910月 平均

500m 138.1 123.9 132.0 124.5 121.0 125.1 127.4

1,000m 133.0 119.9 124.1 126.2 121.6 120.5 124.2

1,500m 130.9 125.9 130.1 126.9 116.5 118.3 124.8

2,000m 134.2 125.2 128.9 127.4 119.8 115.3 125.1

単位は度

6 シートレンジ

5678910月 平均

500m 54.6 56.7 57.3 56.4 56.9 56.4 56.4

1,000m 57.2 55.5 56.4 56.1 55.9 56.3 56.2

1,500m 56.8 55.8 56.4 55.8 55.4 56.0 56.0

2,000m 55.2 54.8 55.7 55.9 54.6 53.9 55.0

単位はcm

7 グリップレンジ

5678910月 平均

500m 150.8 147.8 156.8 155.0 140.7 142.8 149.0

1,000m 152.6 146.9 155.7 154.3 139.0 141.5 148.3

1,500m 151.0 147.4 156.4 153.6 139.2 141.7 148.2

2,000m 141.5 137.0 144.7 148.8 136.5 142.5 141.8

単位はcm

(8)

8 シート速度

5678910月 平均

500m 67.2 70.8 67.8 66.5 62.5 74.3 68.2

1,000m 65.2 65.7 62.6 70.4 65.2 81.2 68.4

1,500m 62.3 65.0 59.6 72.7 64.6 69.9 65.7

2,000m 85.3 76.9 85.5 86.2 71.9 71.0 79.4

単位はcm/秒

9 グリップ速度

5678910月 平均

500m 190.4 182.1 185.6 187.8 168.5 180.2 182.5

1,000m 175.8 185.4 186.5 187.1 164.5 174.3 178.9

1,500m 176.0 178.8 178.2 186.2 168.7 167.7 175.9

2,000m 211.2 186.2 185.8 202.2 165.5 179.9 188.5

単位はcm/秒

10 膝関節角度90°時の股関節角度

5678910月 平均

500m 72.1 60.1 65.3 66.7 63.5 63.0 65.1

1,000m 64.6 66.2 70.4 66.1 65.2 65.4 66.3

1,500m 71.1 64.1 68.5 63.5 61.1 66.0 65.7

2,000m 73.6 67.3 65.6 67.6 64.5 68.1 67.8

単位は度

11 キャッチとフィニッシュでのグリップの上下位置の差

5678910月 平均

500m 15.3 16.8 15.0 17.6 20.5 14.7 16.6

1,000m 17.0 17.6 10.5 16.8 17.7 16.6 16.0

1,500m 15.6 16.9 7.7 15.0 16.2 14.5 14.3

2,000m 8.3 4.7 10.2 12.5 17.0 9.2 10.3

単位はcm

表12 シートとボディのタイム差

5678910月 平均

500m -0.02 -0.02 -0.03 0.03 -0.03 -0.01 -0.01

1,000m 0.00 -0.01 -0.03 0.01 -0.01 0.03 0.00

1,500m 0.00 0.02 -0.03 0.01 -0.02 0.02 0.00

2,000m -0.02 -0.02 0.01 0.01 0.00 0.01 0.00

単位は秒

(9)

3.筋持久力測定

 各月の体重とスクワット,ハイプルの挙上重量,挙上回数を表に示した(表13)。

13 筋持久力と体重の変化

実施日 体重(kg) スクワット ハイプル

重量(%体重) 挙上回数(回) 重量(%体重) 挙上回数(回)

2017/5/22 57.0 40.0(70.2%) 43 35.0(61.4%) 22

2017/6/26 56.8 40.0(70.4%) 45 35.0(61.6%) 25

2017/7/31 57.2 40.0(69.9%) 40 35.0(61.1%) 23

2017/8/20 54.8 37.5(68.4%) 47 32.5(59.3%) 28

2017/10/1 56.5 40.0(70.7%) 42 35.0(61.9%) 23

2017/10/23 56.7 40.0(70.5%) 45 35.0(61.7%) 23

重量の単位はkg,%体重;体重に対する割合 4.トレーニングの達成状況

 トレーニング報告期間は2017年4月20日から2017年10月19日の6か月間とした。週10回 のトレーニングを基本とし,怪我や不調の際は強度や量を減らし,重点を置いている試合前は練習 強度を落とすテーパリング期間として調整しながらトレーニングを行った。

月毎の心拍ゾーン別トレーニング時間(表14,図1)とトレーニング量を記した(表15)。トレー ニング量はウエイトトレーニング量と持久力トレーニング量を分け,期間のトレーニングに影響し た出来事と期間も記録した。

14 心拍ゾーン別トレーニング時間

5678910

ゾーン1 25427 14914 19685 69002 22980 23501

ゾーン2 17269 17692 20683 55886 18611 17375

ゾーン3 23181 15309 10280 64555 18864 14291

ゾーン4 12789 6985 2807 36210 11299 6817

ゾーン5 301 697 668 946 565 1136

合計 78967 55597 54123 226599 72319 63120

単位は秒

(10)

15 トレーニング別のトレーニング量

5678910

ウエイト 6300 39090 13075 47280 13200 34600

持久力 182169 127650 103309 549959 164815 134072

合計 188469 166740 116384 597239 178015 168672

単位はポイント

5.生活習慣

 記録をつけた毎日の起床時心拍数,起床時体温,睡眠時間,昼寝時間をトレーニングの達成状況 と同様にトライアルから遡り,各月の平均値を示した(表16)。各データはそれぞれの月の平均値 である。

16 各月の生活習慣変数

5678910月 平均

起床時心拍数(回/分) 50.4 47.8 51.3 51.1 52.0 50.0 51.0 起床時体温(℃) 36.4 36.3 36.5 36.5 36.5 36.4 36.4 睡眠時間(h) 6.94 6.48 6.46 5.98 6.32 6.31 6.42 昼寝時間(h) 0.31 0.18 0.30 0.71 0.34 0.74 0.43 総睡眠時間(h) 7.26 6.67 6.77 6.70 6.67 7.05 6.85

6.ローイングエルゴメーターパフォーマンスと各測定項目との関係 6-a.漕動作とタイムとの関係

 第1クォーターではクォータータイムとシートレンジ,グリップレンジ,ストロークレートと中 程度の相関が認められた(表17)。

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1 毎月のトレーニング量

(11)

17 第1クォーターでの動作とタイムの関係

1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) 

1)クォータータイム

2)キャッチ姿勢時の股関節角度 -0.40

3)キャッチ姿勢時の膝関節角度 -0.30 0.62

4)フィニッシュ姿勢時の股関節角度 -0.15 0.90 0.77

5)シートレンジ 0.69 -0.79 -0.81 -0.68

6)グリップレンジ 0.63 0.45 0.28 0.63 -0.03

7)シート速度 -0.07 -0.10 0.03 0.01 -0.04 -0.07

8)グリップ速度 0.18 0.68 0.62 0.81 -0.51 0.80 0.30

9)膝関節角度90°時の股関節角度 -0.39 0.97 0.63 0.85 -0.78 0.42 -0.32 0.59

10)グリップの上下位置 0.03 -0.46 -0.38 -0.63 0.29 -0.42 -0.75 -0.71 -0.25

11)ストロークレート -0.66 0.06 -0.44 -0.36 -0.15 -0.64 0.02 -0.43 0.04 0.25

12)シートとボディのタイム差 0.19 0.18 -0.19 -0.03 -0.12 0.33 0.08 0.41 0.15 0.02 0.29

|r|0.5は一重下線,|r|0.7は二重下線

 第2クォーターでは,クォータータイムとキャッチ姿勢時の膝関節角度,ストロークレートが中 程度の相関を示し,キャッチ姿勢時の股関節角度,フィニッシュ姿勢時の股関節角度,シートレン ジで強い相関を示した(表18)。

18 第2クォーターでの動作とタイムの関係

1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12

1)クォータータイム

2)キャッチ姿勢時の股関節角度 0.77

3)キャッチ姿勢時の膝関節角度 0.51 0.71

4)フィニッシュ姿勢時の股関節角度 0.80 0.50 -0.74

5)シートレンジ 0.85 0.50 -0.70 0.88

6)グリップレンジ 0.39 0.85 0.00 0.61 0.42

7)シート速度 -0.43 -0.48 0.06 -0.31 -0.05 0.42

8)グリップ速度 0.25 0.59 0.41 0.07 -0.14 0.79 -0.16

9)膝関節角度90°時の股関節角度 0.09 0.71 0.69 -0.18 -0.11 0.52 -0.38 0.57

10)グリップの上下位置 -0.33 -0.81 -0.49 -0.03 -0.19 -0.56 0.30 -0.45 -0.95

11)ストロークレート -0.51 -0.73 0.18 -0.61 -0.32 -0.79 0.87 -0.48 -0.40 0.38

12)シートとボディのタイム差 -0.44 -0.55 -0.49 -0.03 0.05 -0.39 0.70 -0.09 -0.36 0.34 0.79

|r|0.5は一重下線,|r|0.7は二重下線

 第3クォーターでは,クォータータイムとキャッチ姿勢時の股関節角度,フィニッシュ姿勢時の 股関節角度,グリップレンジ,シートとボディのタイム差で中程度の相関を示し,シートレンジ,シー ト速度,膝関節角度90°時の股関節角度,グリップの上下位置,ストロークレートと強い相関を示 した(表19)。

(12)

19 第3クォーターでの動作とタイムの関係

1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) 

1)クォータータイム

2)キャッチ姿勢時の股関節角度 0.59

3)キャッチ姿勢時の膝関節角度 0.32 0.89

4)フィニッシュ姿勢時の股関節角度 0.59 0.83 -0.41

5)シートレンジ 0.74 0.63 -0.73 0.72

6)グリップレンジ 0.60 0.57 -0.12 0.92 0.56

7)シート速度 -0.77 -0.44 0.30 -0.39 -0.48 -0.24

8)グリップ速度 0.04 0.49 0.09 0.72 0.11 0.82 0.18

9)膝関節角度90°時の股関節角度 0.75 0.64 -0.71 0.72 1.00 0.55 -0.49 0.09

10)グリップの上下位置 -0.86 0.08 -0.21 -0.39 -0.42 -0.59 0.46 -0.14 -0.42

11)ストロークレート -0.77 -0.75 0.30 -0.90 -0.64 -0.81 0.73 -0.52 -0.39 0.54

12)シートとボディのタイム差 -0.60 -0.25 0.00 -0.12 -0.10 -0.22 0.72 0.10 -0.15 0.61 0.46

|r|≧0.5は一重下線,|r|≧0.7は二重下線  第4クォーターでは,クォータータイムとグリップレンジ,グリップ速度,ストロークレートと 中程度の相関を示した(表20)

20 第4クォーターでの動作とタイムの関係

1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) 

1)クォータータイム

2)キャッチ姿勢時の股関節角度 -0.11

3)キャッチ姿勢時の膝関節角度 -0.14 0.68

4)フィニッシュ姿勢時の股関節角度 -0.13 0.97 0.72

5)シートレンジ -0.20 0.79 0.15 0.78

6)グリップレンジ -0.50 0.36 -0.03 0.28 0.61

7)シート速度 -0.27 0.92 0.46 0.90 0.93 0.66

8)グリップ速度 -0.62 0.80 0.74 0.79 0.58 0.55 0.80

9)膝関節角度90°時の股関節角度 -0.47 0.48 0.91 0.54 0.04 0.11 0.36 0.80

10)グリップの上下位置 -0.47 -0.49 -0.37 -0.32 -0.11 0.01 -0.27 -0.16 0.07

11)ストロークレート -0.64 -0.68 -0.33 -0.64 -0.51 0.12 -0.51 -0.11 -0.09 0.67

12)シートとボディのタイム差 0.24 -0.54 0.42 -0.55 -0.56 -0.28 0.12 -0.35 -0.51 -0.39 0.21 TT;タイムトライアル |r|0.5は一重下線,|r|0.7は二重下線

6-b. トレーニング状況および生活習慣とタイムとの関係

 2,000mタイムトライアルのタイム,トレーニング量,筋持久力,生活習慣およびトライアル直

前での体重の相関行列を示した(表21)。タイムトライアルでは500m,1,000m,1,500mの各通過 タイムに分けても関係を見ていく。また,トレーニング量はウエイトトレーニングと持久力トレー ニングを分けたものおよびトレーニング全体量の3項目とした。

 2,000mタイムとトレーニング量,ハイプル回数,1000m通過タイム,タイムトライアル時心拍数,

持久力トレーニング量,体重で中程度の相関を示した。2,000mタイムとスクワット回数,1500m

(13)

通過タイム,ウエイトトレーニング量で強い相関が示された。トレーニング量と2,000mゴールタ イムの間には中程度の相関があることから,トレーニング量が多いほどゴールタイムが速くなるこ とを示している(表21,図2)。

21 トレーニング状況および生活習慣と2,000mタイムの相関関係

1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)(11)(12) (13)(14)(15

12,000mタイム

2)トレーニング量 -0.57

3)スクワット回数 -0.94 0.65

4)ハイプル回数 -0.58 0.84 0.73

5500m通過タイム 0.27 0.23 -0.03 0.58

61,000m通過タイム 0.67 0.19 -0.56 0.03 0.51

71,500m通過タイム 0.91 -0.26 -0.76 -0.38 0.32 0.84

8)総睡眠時間 -0.17 -0.25 0.17 0.17 -0.67 -0.56 -0.16

9)睡眠時間 0.41 0.61 -0.47 -0.75 -0.45 0.10 0.40 0.14

10)起床時心拍数 0.31 0.10 0.52 -0.22 0.22 0.47 0.23 -0.34 -0.10

11)起床時体温 0.04 0.19 -0.29 -0.16 -0.33 0.17 -0.05 -0.09 -0.26 0.93

12TT時平均心拍数 0.61 -0.40 -0.44 -0.13 0.56 0.48 0.23 -0.49 0.47 -0.28 -0.61

13)ウエイトトレーニング -0.70 0.56 0.86 0.84 0.39 -0.43 -0.60 0.00 -0.72 -0.57 -0.39 -0.24

14)持久力トレーニング -0.60 1.00 0.67 0.84 0.23 0.16 -0.29 -0.26 -0.69 0.09 0.18 -0.40 0.56

15)体重 0.69 -0.96 -0.73 -0.88 -0.23 0.01 0.47 0.25 0.76 -0.09 -0.23 0.51 -0.68 -0.97

|r|0.5は一重下線,|r|0.7は二重下線

 特に,トレーニング量の中でもウエイトトレーニング量との間で強い相関を示している(表21, 図3)。持久力トレーニング量と2000mタイムでも中程度の相関を示している(表21,図4)。

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2 トレーニング量と2,000mタイムの関係

(14)

 また,筋持久力と2,000mタイムとの関係をみると,スクワット回数で強い相関を示し,ハイプ ル回数でも中程度の相関があることを示している(表21)。ウエイトトレーニング量とスクワット 回数,ハイプル回数で強い相関を示していることから,スクワット回数,ハイプル回数はそれぞれ 回数が多いほどタイムが速くなることを示している(表21,図5)。

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3 ウエイトトレーニング量と2,000mタイムの関係

4 持久力トレーニングと2,000mタイムの関係

5 ウエイトトレーニングと筋持久力の関係

(15)

6-c.レーニングと漕動作との関係

 トレーニングが各地点の漕動作に影響しているかを表22で示した。500m通過地点での漕動作で はフィニッシュ姿勢時の股関節角度とウエイトトレーニング量に中程度の相関を示し,シートとボ ディのタイム差と各トレーニング量に強い相関が示された(表22)。

22 500m地点での漕動作とトレーニング量の相関関係

トレーニング量 ウエイト 持久力 キャッチ姿勢時の股関節角度 0.17 -0.44 0.28 キャッチ姿勢時の膝関節角度 -0.19 -0.44 -0.11 フィニッシュ姿勢時の股関節角度 0.04 -0.50 0.12

シートレンジ 0.07 0.03 0.07

グリップレンジ 0.37 -0.03 0.42

シート速度 -0.22 0.47 -0.31

グリップ速度 0.31 0.08 0.34

膝角度90°時の股関節角度 0.22 -0.40 0.21

グリップの上下位置 0.25 -0.17 0.30

ストロークレート 0.23 0.24 0.04

シートとボディのタイム差 0.95 0.75 0.93

|r|≧0.5は一重下線,|r|≧0.7は二重下線

 1,000m地点での漕動作において,ウエイトトレーニング量とシートレンジ,シート速度,シート

とボディのタイム差に中程度の相関を示した(表23)。

23 1,000m地点での漕動作とトレーニングの関係

トレーニング量 ウエイト 持久力 キャッチ姿勢時の股関節角度 0.21 -0.39 0.26 キャッチ姿勢時の膝関節角度 0.07 0.45 0.03 フィニッシュ姿勢時の股関節角度 0.23 -0.45 0.29

シートレンジ -0.06 -0.60 0.00

グリップレンジ 0.35 -0.02 0.37

シート速度 0.18 0.52 0.14

グリップ速度 0.36 0.48 0.33

膝角度90°時の股関節角度 0.20 -0.12 -0.20

グリップの上下位置 0.26 0.31 0.25

ストロークレート -0.07 0.37 -0.11

シートとボディのタイム差 0.35 0.50 0.33

|r|≧0.5は一重下線,|r|≧0.7は二重下線

 1,500m通過地点での漕動作は,各トレーニング量とグリップ速度,ウエイトトレーニング量と

グリップの上下位置に中程度の相関が示された。各トレーニング量とシート速度の間,ウエイトト

(16)

レーニング量とシートとボディのタイム差に強い相関が示された(表24)。

24 1500m地点での漕動作とトレーニングの関係

トレーニング量 ウエイト 持久力 キャッチ姿勢時の股関節角度 0.05 -0.03 0.24 キャッチ姿勢時の膝関節角度 0.14 0.24 0.10 フィニッシュ姿勢時の股関節角度 0.12 0.17 0.22

シートレンジ -0.27 -0.14 -0.27

グリップレンジ 0.31 0.15 0.35

シート速度 0.75 0.81 0.73

グリップ速度 0.68 0.52 0.68

膝角度90°時の股関節角度 -0.31 -0.13 -0.33

グリップの上下位置 0.22 0.51 0.23

ストロークレート 0.20 0.28 0.15

シートとボディのタイム差 0.33 0.88 0.26

|r|≧0.5は一重下線,|r|≧0.7は二重下線

 ゴール直前の漕動作では,トレーニング量とシートレンジ,グリップレンジ,グリップの上下位置,

ボディとシートのタイム差の間に,ウエイトトレーニングとストロークレート,シートとボディの タイム差の間に,持久力トレーニングとシートレンジ,グリップレンジ,グリップの上下位置,シー トとボディのタイム差で中程度の相関を示している(表25)。

25 ゴール直前での漕動作とトレーニングの関係

トレーニング量 ウエイト 持久力 キャッチ姿勢時の股関節角度 0.13 -0.23 0.16 キャッチ姿勢時の膝関節角度 -0.23 -0.46 -0.20 フィニッシュ姿勢時の股関節角度 0.15 -0.35 0.19

シートレンジ 0.53 0.01 0.56

グリップレンジ 0.67 0.33 0.67

シート速度 0.41 -0.10 0.45

グリップ速度 0.43 0.05 0.45

膝角度90°時の股関節角度 0.03 -0.23 0.05

グリップの上下位置 0.58 0.19 0.59

ストロークレート 0.45 0.56 0.42

シートとボディのタイム差 -0.63 -0.64 -0.60

|r|≧0.5は一重下線,|r|≧0.7は二重下線 考 察

 本研究では,ローイングエルゴメーター2,000mパフォーマンスに影響する要因を明らかにする

(17)

ことを目的とした。先行研究では酸素摂取量が高いほど高いパフォーマンスをすること(居石,

2009)やドライブ局面でのグリップ速度が高いほどパフォーマンスが高く,グリップ速度を高く するためにドライブ局面の前半ではボディの後傾速度を高くすることが有効であることが示唆され ている(平川ら,2011)。しかし,スポーツには「個別性の原則」があるため他にも影響すること が考えられる。この要因として漕動作,トレーニング量や内容,生活習慣の観点からいくつかの項 目を挙げた。

1.漕動作とパフォーマンス

 500m通過地点では,シートレンジ,グリップレンジとクォータータイムで正の相関,ストロー クレートとクォータータイムで負の相関を示していることから(表17),シートレンジが短いこと,

グリップレンジが短いこと,ストロークレートが高いほどクォータータイムが速くなることが明ら かとなった。この動作は他の項目とも関係があり,特にシートレンジはキャッチ姿勢時の股関節角 度,キャッチ姿勢時の膝関節角度,フィニッシュ姿勢時の股関節角度,膝関節角度90°時の股関節 角度が大きいほど短くなる。グリップレンジはグリップ速度が速いほど短くなる。

 1,000m通過地点では,キャッチ姿勢時の股関節角度,フィニッシュ姿勢時の股関節角度,シー

トレンジとクォータータイムで正の相関を示し,キャッチ姿勢時の膝関節角度,ストロークレート とクォータータイムで負の相関を示している(表18)。このことからキャッチ姿勢時の股関節角度 が小さいこと,キャッチ姿勢時の膝関節角度が大きいこと,フィニッシュ姿勢時の股関節角度が小 さいこと,シートレンジが短いこと,ストロークレートが高いことがクォータータイムを速くしパ フォーマンス向上に繋がっていることがわかる。キャッチ姿勢時の股関節角度が小さくなることに は,キャッチ姿勢時の膝関節角度が大きいこと,フィニッシュ姿勢時の股関節角度が小さいこと,

シートレンジとグリップレンジが短いことやストロークレートが高いことなどがパフォーマンス向 上のための要因と一致している。同様に,キャッチ姿勢時の膝関節角度が大きくなることにはフィ ニッシュ姿勢時の股関節角度が小さくなること,シートレンジが短くなることが関係している。フィ ニッシュ姿勢時の股関節角度が小さくなることはシートレンジが小さくなることと一致している。

ストロークレートが高くなるためには,グリップレンジが短くなることとシート速度が高くなるこ とに関係があることを示した。これらのことがパフォーマンス向上に繋がると考えられる。

 1,500m通過地点では,キャッチ姿勢時の股関節角度とフィニッシュ姿勢時の股関節角度,シー

トレンジ,グリップレンジ,膝関節角度90°時の股関節角度とクォータータイムで正の相関を示し,

シート速度,ストロークレート,シートとボディのタイム差とクォータータイムで負の相関を示し ている(表19)。このことから,キャッチ姿勢時の股関節角度とフィニッシュ姿勢時の股関節角度,

シートレンジ,グリップレンジ,膝関節角度90°時の股関節角度が小さいほどクォータータイムが 速くなることがわかる。また,シート速度,ストロークレート,シートとボディのタイム差が大き いほどパフォーマンス向上に繋がっているとわかる。1,000m通過地点と同様に多くの項目で関係 が示された。キャッチ姿勢時の股関節角度,フィニッシュ姿勢時の股関節角度,シートレンジ,グリッ プレンジ,膝関節角度90°時の股関節角度は互いに正の相関を示してクォータータイム向上の要因 と一致している。その他にキャッチ姿勢時の股関節角度,フィニッシュ姿勢時の股関節角度,シー トレンジ,グリップレンジはストロークレートが高いほど小さくなることを示し,ストロークレー

(18)

トが高いことはパフォーマンス向上に大きく関係があると考えられる。また,シート速度とシート とボディのタイム差で正の相関を示しており,シート速度が高いほどボディの開きが速くなってい ることがわかる。しかし,クォータータイムを速くするためにはボディよりもシートが速く動き始 めることが要因となっているため,シート速度が高くなったとしても上体の開きを速くしないこと がパフォーマンス向上に繋がると考えられる。

 ゴール直前ではグリップレンジ,グリップ速度,ストロークレートとクォータータイムで負の相 関を示しておりグリップレンジが長く,グリップ速度が速く,ストロークレートが高いほどパフォー マンスが高いことがわかる(表20)。また,グリップレンジとグリップ速度は正の相関を示してお りパフォーマンス向上の要因と一致している。他の分析場面でも同様に正の相関を示している(表 17~19)ためグリップ速度を高くすることはグリップレンジを長くすることに繋がると考えられ る。グリップ速度とストロークレートの間に相関関係が示されないのはリカバリー局面での動きが 速くなることでストロークレートを高くしているからであると考えられる。これは,ゴール直前で あるため最後の力を振り絞り,ひたすら動いていることから出た結果だと思われる。

 パフォーマンスに影響する漕動作は2,000mトライアルの中での序盤,中盤,終盤で変わること が明らかとなった。特に,ゴール直前ではフォームはあまり関係なく速く動くことが必要であると 考えられる。

2.トレーニングとパフォーマンス

 トレーニング量とパフォーマンスの関係から,ローイングエルゴメーター2,000mパフォーマン スには筋持久力が大きく影響していることが分かり,それに伴いウエイトトレーニングが必要不可 欠であると明らかになった。このことは,先行研究で示されているボート競技において競技レベ ルが高いほど筋力が大きく,ローイングの筋力と筋持久力の間に相関関係があること(McNeely et al,2005)と一致している。

 また,トレーニング量と動作の関係は,2,000mの中で各地点によって影響される項目が変わっ てくる。各クォーターのタイムと相関を示している項目と比較をすると,500m通過地点ではタイ ムに影響するものはない。1,000m通過地点では,シートレンジがウエイトトレーニング量と負の 相関を示しており,ウエイトトレーニング量が多いほどシートレンジが短くなることがわかる。シー トレンジが短いほどクォータータイムが速いため,ウエイトトレーニングがパフォーマンス向上に 繋がると考えられる。

 1,500m通過地点ではシート速度と各トレーニング量,グリップの上下位置,シートとボディの

タイム差とウエイトトレーニング量で正の相関を示している。シート速度が速いほどクォータータ イムが速いとされているため各トレーニングはパフォーマンス向上に繋がると考えられる。このこ とは,先行研究において2,000mのローイングエルゴメーターでのタイムが短い選手,熟練選手ほ どドライブ局面の後半にシートの移動速度が高いとされている(平川ら,2011)ことと類似して いる。シートとボディのタイム差もボディよりシートが先に動くことでクォータータイムが速いと されるためウエイトトレーニングがパフォーマンス向上に繋がると考えられる。

 ゴール直前ではグリップレンジとトレーニング量,持久力トレーニング量の間,ストロークレー トとウエイトとエーニング量の間に正の相関が示された。グリップレンジ,ストロークレートはと

(19)

もに値が大きいほどクォータータイムが速いとされているためすべてのトレーニングがパフォーマ ンス向上に繋がると考えられる。

 トレーニング量が1,000mまでのパフォーマンスにあまり影響しないことと,1,500m通過タイム がゴールタイムに強い相関を示していることから,第3クォーターのタイムがパフォーマンスに大 きく影響すると考えられる。そこで,トレーニング量,ウエイトトレーニング量,持久力トレーニ ング量を多くし,第3クォーターでのシート速度を上げることが有効であると考えられる。

3.生活習慣とパフォーマンス

 スポーツ選手にとってコンディショニングは欠かせないものでありこの2つはコンディショニン グの状況把握として指標になるとされる(Wang and Wu,1990)。起床時体温と起床時心拍数は強 い相関があったため,この2項目からコンディショニング状況を判断することができる。しかし,

今回の研究では起床時体温や起床時心拍数は,タイムトライアル,トレーニング達成状況にはほと んど関係なかった。

まとめ

 2,000mローイングエルゴメーターパフォーマンスに影響を及ぼす要因として,漕動作,トレー

ニング量,生活習慣の観点から以下のことが明らかとなった。

漕動作

 2,000mローイングエルゴメーターパフォーマンスと漕動作は2,000mトライアルの序盤,中盤,

ゴール直前で影響する要因は異なる。序盤と終盤はフォームよりもグリップのレンジやストローク レートが影響しており,中盤ではフォーム,特にキャッチ姿勢とフィニッシュ姿勢時の股関節角度 が影響していた。全体を通してシートレンジの長さも影響していた。

トレーニング量

 トレーニング量が多いほどパフォーマンスは向上する。特にウエイトトレーニングが漕動作に影 響していた。

生活習慣

 生活習慣が直接パフォーマンスに影響するという知見は得られなかった。

引用文献

道明 博・阿久津邦男・上田雅夫・窪田 登.1978.「スポーツ・コンディショニング」(不昧堂出版)

Hagerman FC. 2000. "Physiology of Competitive Rowing". Exercise and Sport Science. Garrett WE, kirkendall DT, eds, 842-873

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(20)

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36,422

表 3 キャッチ姿勢時の股関節角度  5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 平均 500m 41.7 33.8 37.6 38.0 35.2 36.8 37.2 1,000m 41.7 32.3 37.3 37.3 31.9 32.9 35.6 1,500m 40.7 34.5 37.6 35.8 32.0 31.2 35.3 2,000m 37.1 34.5 36.1 34.9 30.7 30.2 33.9 単位は度 表 4 キャッチ姿勢時の膝関節角度 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月
表 8 シート速度 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 平均 500m 67.2 70.8 67.8 66.5 62.5 74.3 68.2 1,000m 65.2 65.7 62.6 70.4 65.2 81.2 68.4 1,500m 62.3 65.0 59.6 72.7 64.6 69.9 65.7 2,000m 85.3 76.9 85.5 86.2 71.9 71.0 79.4 単位はcm/秒 表 9 グリップ速度 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 平均 500m
表 15 トレーニング別のトレーニング量 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 ウエイト 6300 39090 13075 47280 13200 34600 持久力 182169 127650 103309 549959 164815 134072 合計 188469 166740 116384 597239 178015 168672 単位はポイント 5.生活習慣  記録をつけた毎日の起床時心拍数,起床時体温,睡眠時間,昼寝時間をトレーニングの達成状況 と同様にトライアルから遡り,各月の平均
表 17 第 1 クォーターでの動作とタイムの関係 ( 1 ) ( 2 ) ( 3 ) ( 4 ) ( 5 ) ( 6 ) ( 7 ) ( 8 ) ( 9 ) ( 10 ) ( 11 ) ( 12 )  ( 1 )クォータータイム ( 2 )キャッチ姿勢時の股関節角度 -0.40 ( 3 )キャッチ姿勢時の膝関節角度 -0.30 0.62 ( 4 )フィニッシュ姿勢時の股関節角度 -0.15 0.90 0.77 ( 5 )シートレンジ 0.69 -0.79 -0.81 -0.68 ( 6 )グリップレンジ
+2

参照

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