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Super Twisting Sliding Mode Control(STSMC)の 運動制御系への適用 Application of Super Twisting Sliding Mode Control(STSMC) into Motion Control System

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Academic year: 2021

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(1)

Super Twisting Sliding Mode Control(STSMC) の 運動制御系への適用

Application of Super Twisting Sliding Mode Control(STSMC) into Motion Control System

中央大学大学院理工研究科電気電子情報通信工学専攻 橋下 正隆

1.研究背景

モータの位置(回転角度)制御は今日の産業の基盤を支える基本的な技術であり高速応答化,高精度化さ らに未知のパラメータの負荷に対してその不確定さを抑制可能であることが求められている.

位置制御の設計を行う際,サーボ問題を解決する必要がある.多くの場合目標値と現在のセンサ値の偏 差を積分する事でこの問題を対処するが積分器を用いると過渡応答においてオーバーシュートを生じる場 合があり高速応答化や高精度化が困難になる原因の一つとなっている.

このような課題を克服するためにスライディングモード制御(SMC)をサーボモータ系に適用する研究は 従来から進められてきた1).しかしながら従来の方式のSMCを制御に用いる際チャタリングを発生させシス テムの性能を低下させる要因となっていた.コントローラを構成している理想的なスイッチイング項の代 わりに平滑関数やヒステリシス要素を制御器に適用する事によりチャタリングの抑制が可能になるがその 一方でSMCが有する優れたロバスト制御の効果が薄れてしまうことが問題となっていた2)

こうしたSMCの良好なロバスト制御の効果の維持とチャタリングの抑制のためにHigher Order Sliding

Mode Control(HOSMC)と呼ばれる手法があり,チャタリングを抑制する重要な手法である

3).そしてこの

HOSMCを現実系のシステムに対してより簡便に適用可能となった制御器がスーパーツイスティングスライ

ディングモード制御(STSMC)である4) 5).本稿ではモータ系にSTSMCを適用し前述の問題点を解決するとと もに,位置制御の性能に関して他の制御器と比べた実験を行った.

2.STSMC

の導入

HOSMC

はフィリポフの方法 6)で与えられる不連続な力学系での運動モデルである.滑り状態(sliding

mode)の近傍での滑り次数は力学系の滑らかさの次数を決定する.切換関数 𝜎 = 𝑺𝒙

0

に拘束する事をスラ

イディングモード制御の役割と規定する場合,滑り次数は

0

階微分を含めた切り換え関数を全て微分した数 である.ただし

𝒙

はシステムの状態変数,

𝑺

は切換平面である.

故に𝑟階数の滑り状態は力学系において𝑟次元の切り換え関数の位相を

0

に拘束するように構成する方程

𝜎 = 𝜎̇ = 𝜎̈ = ⋯ = σ

(𝑟−1)

= 0

(1) と定義される.STSMCのアルゴリズムの説明を行う前にその前段階であるTSMC(ツイスティングスライデ ィングモード制御)のアルゴリズムを説明する必要がある.TSMCは先ほどの𝑟階数滑りにおいて𝑟 = 2の滑 り状での制御器である.すなわち

𝜎 = 𝜎̇ = 0 (2)

を満たすように制御を行う.次の状態方程式

𝒙̇ = 𝑨𝒙 + 𝑩𝑢 (3)

𝒚 = 𝑪𝒙 (4)

を考える.ただし状態変数𝑥 ∈ ℝ𝑛

, 入力𝑢 ∈ ℝ

1

,であり,行列𝐴, 𝐵, 𝐶はそれぞれ𝑛 × 𝑛行列, 𝑚 × 1行列, 1 × 𝑛

行列である.上式の入力

𝑢

に対して,

𝑢 = −𝐾

1

𝜎 − 𝐾

2

𝑠𝑖𝑔𝑛(𝜎) − 𝐾

3

𝑠𝑖𝑔𝑛(𝜎̇) (5)

なる制御器がTSMCである.ただし

𝐾

1

, 𝐾

2

, 𝐾

3

> 0.

TSMCはHOSMCを基にした制御器であるためチャタリング抑制を行うことが出来る.TSMCの問題点は𝜎̇を

(2)

Table.1 パラメータ表

Table.1 shows parameters of motor system to control angle position.

Fig.1モータ系ブロック線図

Fig.2 STSMC SMC

比較シミュレーション

用いると構造上の問題が発生する.このような背景から𝜎̇を観測せずに

HOSMC

を行う制御器の解析が進め られた.その結果がSTSMCである.

𝑢

𝑆𝑇𝑆𝑀𝐶

= −𝐾

4

𝜎 − 𝐾

5

𝑠𝑖𝑔𝑛(𝜎) ∙ |𝜎|

12

− 𝐾

6

∫ 𝑠𝑖𝑔𝑛(𝑆𝑥)𝑑𝑥

0𝑡𝑜

(6)

ただし

𝐾

4

, 𝐾

5

, 𝐾

6

> 0.STSMC

の特徴は従来の

SMC

と同じ

𝑟 = 1

の階数の切換関数を用いてチャタリングが抑 制できることである.故に系に

STSMC

を適用する事でバスト性を付与することが出来ると考えられる.

3.制御対象のモデリングと制御入力設計

今回のDCモータ系のモデル図はFig.1として表すことが出来る.そして電気回路と機械系についての方程 式を解くことで次式の状態方程式を得ることが出来る

(3)

Fig.3 STSMC

実験シミュレーション比較

Fig4

負荷変動実験と他制御器との比較

𝑑 𝑑𝑡(

𝐼 𝜔 𝜃

) = (

0 −𝑅

𝐿𝐾𝑒

𝐿 𝐾𝑡

𝐽1+𝐽2(𝑁2 𝑁1)2+𝐽𝑙𝑜𝑎𝑑

𝑅1+𝑅2(𝑁2 𝑁1)2 𝐽1+𝐽2(𝑁2

𝑁1)2+𝐽𝑙𝑜𝑎𝑑 0

0 1 0 )

( 𝐼 𝜔 𝜃

) + ( 1/𝐿

0 0

) 𝑢 − 𝑚𝑔𝑙𝑠𝑖𝑛𝜃 ( 0 0 1

)

(7)

𝒚 = [1 1 1]𝒙 (8)

ただし

𝐼[𝐴], 𝜔 [

𝑟𝑎𝑑𝑠

] , 𝜃[𝑟𝑎𝑑], 𝑢[𝑉]

はそれぞれトルク電流,モータ回転角速度,モータ回転角度,制御入力である.

各定数について幾つかのパラメータは同定を行いその値を求め,その結果を

Table.1

に記した.

更に今回のモータ系は位置制御を行うので系(7)をサーボ系に拡大する必要がある.

目標値𝑟とモータ回転角度𝜃の偏差の積分値𝑧を

𝑧 = ∫ (𝑟 − 𝑦)𝑑𝑡

0𝑡0

(9)

と置き,新た状態変数として置き直す.この拡大系について重み付けを行いリカッチ方程式を解くことに よりリカッチ方程式の解𝑋が求まる.この解𝑋を用いて切換平面𝑺は今回𝐾 = 6とおき解析の結果切換平面𝑆1

𝑺

𝟏

= [ −167.7866 0.1947 0.6057 28.0828]

(10)

と得られた.そして

𝑢

𝑆𝑇𝑆𝑀𝐶

= −𝑠𝑖𝑔𝑛(𝑆

1

𝑥) ∙ |𝑆

1

𝑥|

12

− 𝑆

1

𝑥 − ∫ 𝑠𝑖𝑔𝑛(𝑆

0𝑡𝑜 1

𝑥)𝑑𝑥 (11)

STSMC

を用いた制御入力𝑢𝑠𝑡𝑠𝑚𝑐は次式として表すことが出来る.

𝑢

𝑆𝑇𝑆𝑀𝐶

= −𝑠𝑖𝑔𝑛(𝑆

1

𝑥) ∙ |𝑆

1

𝑥|

12

− 𝑆

1

𝑥 − ∫ 𝑠𝑖𝑔𝑛(𝑆

0𝑡𝑜 1

𝑥)𝑑𝑥 (12)

4.STSMC

シミュレーション結果

3

節で導出を行ったモデル図,制御入力を設計した

STSMC

を構成すると

Fig.2

と表すことが出来る.シミ ュレーションを行い,

Fig.2

を得た.同図より各状態量が安定に収束していることが分かる.また

STSMC

よるチャタリングの抑制を比較するために従来のスライディングモード制御と比較を行った.その結果

STSMC

は従来のスライディングモード制御と比べてチャタリングの抑制が大幅に可能となっている.

5.STSMC

実験結果

(4)

4

節で

STSMC

を用いることにより安定に位置制御が可能であることが確かめられたので実験を行い,

Fig.3

を得た.図より位置制御においてシミュレーションと実験において過渡応答の挙動はほぼ一致してい

るが定常状態への移行の際に差異がみられる.この差についてはモータドライバの不感帯が原因と考えられ る.

6.負荷外乱実験

STSMC

の負荷外乱に対するロバスト性を比較するために

PID

制御,従来の

SMC

そして

TSMC

を用いた.

PD

制御については偏差𝑒 = 𝑟 − 𝜃を状態変数として位置制御を行った.制御入力は次式となる.

𝑢

𝑃𝐷

= −(𝐾

𝑝

𝑒 + 𝐾

𝑑 𝑑𝜔

𝑑𝑡

) (12)

各ゲインについては二次遅れのモータ系の伝達関数において減衰係数

ζ = 0.3

,固有角周波数

ω = 18

を求めそ の値から各ゲインを求めた.その結果𝐾𝑝

= 24.18,𝐾

𝑑

= 0.274を得られた.

PID

制御については偏差

𝑒 = 𝑟 − 𝜃

を状態変数として位置制御を行った.制御入力は次式となる.

𝑢

𝑃𝐼𝐷

= −(𝐾

𝑝

𝑒 + 𝐾

𝑑𝑑𝜔

𝑑𝑡

+ 𝐾

𝑖

∫ 𝑒𝑑𝑡

0𝑡0

) (13)

各ゲインについては二次遅れのモータ系の伝達関数において減衰係数

ζ = 0.3

,固有角周波数

ω = 18

を求めそ の値から各ゲインを求めた.その結果𝐾𝑝

= 21.065,𝐾

𝑑

= 1.2412, , 𝐾

𝑖

= 120を得られた.

TSMC

の設計において切換平面の値については

3

節で設計を行った

𝑆

1を用いた.そしてその結果以下の式 を制御器と設定した.

𝑢

𝑡𝑠𝑚𝑐

= −𝜎 − 𝑠𝑖𝑔𝑛(𝜎) − 𝑠𝑖𝑔𝑛(𝜎̇) (14)

(12),(13),(14)式について同じ条件で実験を行い,Fig.4

を得た.図より

STSMC

PID

制御時に発生してい

るオーバーシュートが確認されず,定常偏差もないので制御器として良好であることが分かった.故に

STSMC

制御を用いる事により高速応答や高精度化において期待出来ることが分かった.しかしながら

TSMC

と比較するといずれもオーバーシュートが発生していないが

STSMC

の方が応答面で悪くなってい る.これは

TSMC

が𝜎̇まで観測しているため滑らかになったと考えられる.

7.

結言と今後の展望

6

節までの結果により,従来の

SMC

PID

制御と比べて

STSMC

制御はオーバーシュートが発生せず,

高精度に位置制御を行えることが分かった.更に負荷外乱によりパラメータ変動が発生する位置制御実験に おいて

VSSC

制御器はそのロバスト性を発揮することが出来た.故にモーションコントロールにおいて

STSMC

を用 いる利点は十分にあると考えられる.より高速応答化を求めに次世代のスライディングモード制御である

Nested

スライディングモード制御の適用や実験装置の改良を行っていく

参考文献

1)梶谷 満信:

スライディングモード制御適用による

DC

モータの低開度位置決め制御の性能向上, 日本機械学会, 東海支部総会講演会講演論文集,pp.381-

382(2013)

2)野波,田:スライディングモード制御―非線形ロバスト制御の設計理論―,コロナ社,(1994).

3) Emel’yanov, Korovin, and Levantovsky:L. V. Higher-order sliding modes in control systems, Differential Equations, 29- 11,pp.1627–1647, (1993)

4) Bartolini, ALevant and Usai:A.Pisano 2-Sliding Mode with Adaptation,Proceedings of the 7

th

Mediterranean Conference on Control andAutomation (MED99) Haifa, June 28–30(1999).

5)A.Levant.:Chattering analysis, Proceedings of the European Control Conference,(2007).

6)平井 一正:非線形制御,コロナ社,(2003)

7)片山 徹:応用カルマンフィルタ,朝倉書店,(1983).

8)野波健蔵:MATLAB

による制御系設計,東京電機大学出版,(1998)

参照

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