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渦度方程式の時間無限での解の挙動

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Academic year: 2021

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渦度方程式の時間無限での解の挙動

Behavior of solution of vorticity equation at time infinity

数学専攻 武市汐里 Takeichi Shiori

自己相似解とよばれる特殊解を通じて、主として拡散型非線形偏微分方程式の解の挙動を調べるのが目的であ

る。特にNevier-Stokes方程式をはじめ、各種の現象を記述する方程式を例に解説する。自己相似解とは、おお

まかにいうと方程式を変えないスケール変換に対して不変な解のことをいう。今回は、自己相似解が、一般の解 のある典型的挙動を漸近的に近似していることの数学的証明を、代表的な方程式について与えることを目指して いる。

渦度方程式の解の挙動を調べる前の準備として線形偏微分方程式である熱方程式の初期値問題を取り上げる。

熱方程式

∂tu(x, t) = ∆u(x, t) , xR2, t >0 u(t,0) =f(x)

上の式を満たす解uを求める問題を初期値問題という。

f C0(R2)のときGauss: Gt(x) = 1

(4πt)n2exp(−|x|4t2) を用いて u: u(x, t) =

Z

R2

Gt(xy)f(y)dy

LpLq評価によってuLpノルムの減衰がtの非正ベキで評価されることがわかる。時間無限大での漸近挙 動についての定理によってm6= 0のとき t→ ∞umgは挙動が似ていることを示している.

f C0(R2) を初期値とする熱方程式の解uが(1.3)で与えられるg : Gauss, g(x, t) = Gt(x)とし, m=R

Rnf(y)dyとおくとき

t→∞lim t2|umg|(t) = 0

この解の時間無限大での極限は簡単に分かるが、その極限の近づき方を解明する方法は2通りある。第一の方法 は、解の表示を用いるもので、単純であるが非線形問題への応用の範囲は狭い。第2の方法は、解をスケール変 換し、解の挙動をスケール変換して得られる関数族の収束問題に置き換えるという形式であり、この手法はより 応用範囲が広い。漸近公式のスケールの命題は以下のようになる。

uに対してuk(x, t) =knu(kx, k2t)とおく.uが熱方程式をみたすとukも熱方程式をみたす。

漸近公式は

k→∞lim(t2)||ukmg||(1) = 0 と同値である.

示すための手順としては、コンパクト性を示し、極限の特徴づけをしていく。コンパクト性を示すには

AscoliArzela型コンパクト性定理を用いる。そして、熱方程式の解の列の極限についての定理とスケール変

換された関数族の極限の特徴をすることによって初期値デルタ関数の場合の一意性定理が示すことができ漸近公 式のスケール変換による証明が完成する。

次に熱方程式の考え方を応用し2次元流の渦度の時間無限大での挙動(自己相似解に近づくか)を調べていく。

1

(2)

まず始めにNavier-Stokes方程式から渦度方程式を導出する。

Navier-Stokes方程式 ρ0{∂ui

∂t (x, t) + X2 j=1

uj(x, t)∂ui

∂xj(x, t)} −ν X2 j=1

2ui

∂x2j (x, t) + ∂p

∂xj(x, t) = 0 P2

j=1

∂uj

∂xj(x, t) = 0

xR2 , 0< t < T , i= 1,2 , 0< T = ρ0:密度 , ν:粘性率 , u:速度ベクトル , p:圧力

Navier-Stokes方程式を短く表し、スケール変換をうまくすると(ρ0=ν = 1)以下のようになる。

tu+ (u,∇)u+ ∆u+∇p= 0 , R2×(0, T) ...(2.1) divu= 0 , R2×(0, T) ...(2.2) 速度と渦度の命題

curlを回転を表す微分作用素とし、Navier-Stokes方程式おいて速度uと圧力ρが十分滑らかとする。

渦度:ω(x, t) =curlu(x, t)

ωは、スカラーの実数値関数である。(2.1)curlを作用させると

tω+ (u,∇)ω∆ω= 0 ...(2.4)

∆u=ω ...(2.5)

Laplace作用素の基本解:E(x) =1log|x|とおくと、f C0(R2)に対して

−∆(Ef) =f ...(2.6)

ω C(R2)に対してωC0(R2)であればv =E(∇ω)となり(2.6)より、−∆v=ωがいえる。

逆にこの方程式を満たすv,適当な空間無限遠での減衰性を仮定すれば、つねにv=E(∇ω)と表される.

Liouvilleの定理)

この意味でv=E(∇ω) ∆v=ωは形式的に同値である. Navier-Stokes方程式から(2.4)(2.5)を導いた.

(2.5)の代わりに形式的に同値なBiot-Savartの法則(v=Kω)を法則を考える.

tω+ (u,∇)ω∆ω= 0 ...(2.7)

u=Kω ...(2.8)

ω(x,0) =ω0(x) ...(2.9)

初期渦度ω0C0(R2)に対して(2.7)(2.8)R2×(0,∞)で満たし,そこで滑らかな(ω,u)で次の性質を満た すものが唯一存在するという一意存在定理を認める。渦度の漸近挙動についての定理

関数の組(w, u)は初期渦度ω0C0(R2)に対して(2.7)(2.9)の解を表すものとする. m=R

R2ω0(y)dyとする.

このときある小さい正定数m0で、|m|< m0ならば

t→∞lim t||ωmg||(t) = 0 ...(2.10)

2

(3)

熱方程式同様で,漸近公式(2.9)を証明するにはスケール変換を用いる。

ωk(x, t) =k2ω(kx, k2t), u¯k(x, t) =ku(kx, k2t) ...(2.11) k,u¯k)(2.7)(2.8)をみたす漸近公式(2.9)

k→∞lim ||ωkmg||(1) = 0 となる. ...(2.12) 解の挙動をスケール変換して得られる関数族の収束問題に置き換えるという手法により、実際にNevier-Stokes 方程式から導かれる渦度方程式(空間2次元)を解析する。そして渦度方程式の解である渦度が時間無限大で漸 近的に自己相似解で、Gauss核の定数倍と同じ挙動になることを総渦度の小さいときに示す。この結果に関して は、輸送項のある熱方程式についての基本LqL1評価の改良により、これまで知られている方法より見通しの よい証明を与える。さらに従来説明されていなかった、スケール変換をして得られる関数族の極限の評価につい ても述べ、証明を完成させる。たとえば渦度方程式の微分の評価はp= 1, p=の場合を含むと言う新しい結 果である。また、渦度方程式の解の一意存在および輸送項のある熱方程式の解の存在を既知とし進めていく。

未知関数ωと与えられた係数udivu= 0を満たすものに対して,1階微分の項(輸送項)をもつ熱方程式

tω∆ω+ (u,∇)ω= 0 ...(Hu)

vR2×(0,∞)上で定義されたR2値関数 である.

線型方程式に対してωLqL1評価でuによらないものが得られることを示していく.基本LqL1評価より L1ノルムの非増加性がいえる。渦度と速度の評価の定理と渦度の微分の評価の定理よりコンパクト性が言える。

ωk(l(i))iとするとき,ある関数ω¯ C(R2×(0,∞))R2×(0,∞)で各点収束する.そしてその収束は 任意のη(0,1)に対してR2×[η,1η]で一様収束する.

この極限関数ω¯に対してu¯=Kω¯と定義するとωR2×(0,∞)上で弱解になる。

tω¯∆¯ω+ (¯u,∇)¯ω= 0

¯

u=Kω¯

¯

ω|t=0=mδ , m=R

R2ω0dx 極限関数の評価の定理の命題

関数の組ω,u)¯ mを上の定理と同様とする.このとき sup

t>0(kt)1−1p||¯ω||p(t)≤ |m| , 1p≤ ∞ ...(2.17) となる.kは基本LqL1評価での普遍定数である.

弱解の満たす積分方程式の命題

関数の組ω,u)¯ (2.7)(2.8)の初期値の弱解であるとする。

¯

ω(t) =mGt Z t

0

div(e(t−s)∇ω)(s))ds ...(2.18) (2.17)(2.18)がいえることにより、以下の極限方程式の解の一意性の定理が言える。正定数c0(≥ ||G1||4

3)に対し

て次の性質をもつ(小さい)正数m0が存在する.(¯ω,u)¯ (2.7)(2.8)の初期値の弱解でω,u¯R2×(0,∞) で滑らかで(2.16a)を満たし,さらに

sup

t>0t14||¯ω||4

3(t)c0|m| ...(2.19)

3

(4)

満たすとき,|m|< m0ならば(R2×(0,∞)ω=mgとなる.

以上で渦動方程式の時間無限での解の挙動の証明は完成された。総渦量mの絶対値が十分小さいという仮定 は、極限方程式の解の一意性を示すことのみ用いられる。スケール変換の用いる方法によると||ω0||1が大きく てもmが小さければ渦度の漸近挙動についての定理を示すことができるわけである。この点が大きな利点であ る。今回の定理では、mが小さいことが仮定されているが、実はmが大きいときも渦度の漸近挙動についての 定理が成り立つことが2005年にTh.Gallay and C.E Wayne. Global Stability of vortex solutiuons of the two-dimensional Navier-Stokes equation.Comm.Math.phys.255で発表された。mが十分小さいときの仮定同 様の方法でスケール変換を用いて示していく。極限方程式の解の一意性の定理のときのみmの条件が関わって くるため証明の方向性は変わらないが、2つのL1ノルムの第一のLyapunov関数に関しての非増加性について など様々な定理が出てくる。

(i)L1ノルムの第一のLyapunov関数を以下のように定義する。

Φ :L1(R2)R+

Φ(ω) = Z

R2

|ω(ξ)| P=ωL1(R2)|R

R2|ω(ξ)|=|R

R2ω(ξ)dξ|

(ii)L1ノルムの第二のLyapunov関数を以下のように定義する。

ω:R2R+

X

+

=ωL1(R2)|ω(ξ)0

H :L2(m)\ X

+

R

H(ω) = Z

R2

ω(ξ)logω(ξ) G(ξ)

今後の課題としてはTh.Gallay and C.E Wayneを参考にしてmが大きいときの渦度の漸近挙動について調べ ることである。

1 参考文献

1.儀我美一・儀我美保,非線形偏微分方程式,共立出版 2.望月清・I.トルシン,数理物理の微分方程式,培風館

3.Th.Gallay and C.E Wayne. Global Stability of vortex solutiuons of the two-dimensional Navier-Stokes equation.Comm.Math.phys.255(2005)

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参照

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