絶対値の扱い方
絶対値は中身が0以上,0以下で分ける
|a| =
a (a 0)
−a (a 0)
なお,不等号の=はどちらに入れてもよい 中身の正負で場合分けをする
絶対値とは何か,一言で答えると原点からの距離である。距 離なので必ず正の数である。4の絶対値は4で,−3の絶対値 は3である。要は,強制的に正の数にすればよいのである。
絶対値の中に文字が入っている場合には場合分けをする必要 がある。まずは|a|はどうだろうか。絶対値記号の中身が正に なるときと負になるときで場合分けをするので,この場合,場 合分けの「境界」となるのは0である。aが正ならそのまま絶
対値を外す。aが負なら正にするため,マイナスをつけて−aとなる。そして気になるa= 0 なら,|0|= 0 =−0なので正扱い,負扱いどちらでもよい。最終的には上の「要点」のよう になる。また,|a+ 1|のようなものは,a=−1が「境界」であるから,
|a+ 1|=
a+ 1 (a−1のとき)
−a−1 (a−1のとき) 実際の計算
さて,絶対値を含む方程式|2x+ 3|+|x−1|= 4を考え てみたい。まずは絶対値を外すところから考える。絶対値 が2つあるので場合分けも複雑になる。基本的に絶対値の 数プラス1回の場合分けが必要になるので,今回は3回場 合分けすることになる。
|2x+ 3|の「境界」は−3
2,|x−1|の「境界」は1なので図のようにすればよい。絶対値 を外したら方程式を解く。その後出てきた解が場合分けの範囲にハマっているかを判定しな ければならなく,これを吟味するという。数学の場合分けでは必ず吟味が必要である。
①x <−3
2のとき 両方が負なので,両方の絶対値をマイナスをつけて外す。つまり
|2x+ 3|+|x−1|=−(2x+ 3)−(x−1) =−3x−2 よって −3x−2 = 4 ∴ x=−2(範囲内)
②−3
2 x1のとき x−1は負になるので,
|2x+ 3|+|x−1|= (2x+ 3)−(x−1) =x+ 4 ⇒ x+ 4 = 4 ∴ x= 0(範囲内)
③x >1のとき どちらも中身は正となるので
|2x+ 3|+|x−1|= (2x+ 3) + (x−1) = 3x+ 2 ⇒ 3x+ 2 = 4 ∴ x= 23(不適) よって適するものだけを答えると,x= 0, −2
●等号について 不等式の等号はすべての実数を含むようにつければよい。境界の数字がど こかに属するように書く。たとえば①a >2と②a2という場合分けは2が片方に入って いるのでよいが,①a >2と②a <2というのはいけない。
二 重 根 号
ルートの中のルート
11−2√
30 = √
6−√ 5 とにかく2
の形を作ること 2つの数字の組合せをうまく探す 外した後,必ず正になるようにする 必ずできるようにしておきたい計算
二重根号の外し方は必ず覚えておくべきものである。入試ではこれができて当然の問題が たくさん出される。しかしそれほど難しくはない。上の例であるように,足したりかけたり して数を見つければよい。
11−2√
30なら足して11,かけて30の2個の整数を探す。見 つけたらその2つにそれぞれ√をつけて+または-で結ぶ。
例題
8 + 2√
15 =√ 5 +√
3
9 + 2√
20 =√ 5 +√
4 =√ 5 + 2
11−2√
18 =√ 9−√
2 = 3−√ 2
●注意 マイ ナスの とき ,外し たら 必ず大 きい方 から 小さい 方を 引くようにする。マイナスのついていない
a+ 2√
bそのものは 0以上の実数である。√
5,√
100,√
abすべて正か0であることを 思い出してほしい。だから
7−2√
12のようなものは
7−2√
12 =√ 4−√
3 = 2−√ 3
の ように 必ず 大き い方か ら並 べて 正の数 にす る必 要があ る。計算 が合っているかどうかを確認するには,2乗してみればよい。
直接出せないとき
次に,
12−6√
3や 6−√
35のように√の前に2がついていない二重根号はひと工夫 が必要である。とにかく2
という形を作ればよい。
例題
12−6√
3 =
12−2·3√ 3 =
12−2√
=√ 27 9−√
3 = 3−√ 3 □
√の係数が偶数のときは2を√の前に残してあとは√の中に入れ てやればよい。その際,√の中に入るときは2乗してやることを 忘れないようにしてもらいたい。では中の√の係数が奇数のとき はどうするか,次のようになる。
例題 6−√
35 =
12−2√
2 35 =
12−2√
√ 35 2
=
√7−√
√ 5
2 =
√14−√ 2 10 □
この ように,√の係 数が奇数 のときは2倍 して2で割ってやる 。 要はルートの中を2で通分すればよい。
●注意 二重根号は必ず外せるとは限らない。因数分解のときと
同じように,足してこの数,かけてこの数というものがなければ
外すことはできない。二重根号を外すことができないのに計算ミスして偶然ながら外せてし まう誤答が多い。
必要条件・十分条件
2つの命題P,Qが
P ならばQとなるとき,
P はQの十分条件 QはP の必要条件
正確に覚えることが大切
必要・十分条件の意味
必要条件,十分条件についてその定義を正確に理解していない人が多い。ただ今まで「何 となく」覚えてきた人が多いと思う。ここではっきりと覚えてもらいたい。例えば,「P なら ばQ」が正しいとき「ならば」の先のQが必要条件で「ならば」の前のP が十分条件とな る。具体例を考えた方が早いので以下を見ていただきたい。
P:「x2 = 4」 Q:「x2−2x+ 1 = 0」 の2つはどうだろうか。Qのみ簡単にすると,
P:「x2 = 4」 Q:「x= 2」
である。ここで命題「P ならばQ」は成り立たない。x2 = 4は必ず 2である,そんなわけない(±2だから)。しかし,x= 2ならx2= 4 は 必ず 成り 立つ 。2を2乗 した ら4とい うこ とだ から であ る。する と,P ←Qという関係が成り立つ。このとき命題「QならばP」が 成立す るが,「 ならば」の先にある 条件のことを必要条件,「なら ば」
の前にある条件を十分条件という。矢印の先のP が必要条件であり,
P はQの必要条件 QはP の十分条件 となる。では,次に集合を考えてみたい。
R={m|mは自然数} S={m|mは整数}
この場合,R⊂Sとなる。Sの整数という範囲の方が大きい。このときはSが必要条件 となる。大きい方が必要条件となる。
RはSの十分条件 Sになるための十分条件はR SはRの必要条件 Rになるための必要条件はS また,正三角形と二等辺三角形はどうだろうか? もとも と正三角形は「2辺が等しい」ので二等辺三角形の条件も満 たす。だから正三角形は二等辺三角形の一種である。正三角 形集合は二等辺三角形集合の中にスッポリ入る。だから,先
ほどの原則で考えると,二等辺三角形は正三角形であるための必要条件となる。
条 件 の 例
答えるとき,気をつけたいのが主語である。文章を読みとり,2つの条件のどちらを答え るべきか間違えないように。主語を読み取ることが大切である。
P ならばQが真である(P →Q)とき,
①QはP であるための → 必要条件 ②QであるためのP は → 十分条件
③Qを満たすためにP が → 十分条件
のように,文章の「主語」となるものをうまく答えるようにしてもらいたい。
PとCの使い分け
Pは選んでからそのあと 振り分ける
Cは単に選ぶだけ
選んだあとは何もしない 使用頻度はCの方が高い
順 列
個数の処理の分野においてPとCのどちらを使うのか見 分 け 方が 分 から な いと い う 人が 多 いが ,大切 な のは ,問題 を読んでどういう状況なのかをまず想像することである。P は選んで並べる,Cは選ぶだけという大きな違いがある。
あ る 集 合 の中 か ら い く つ か を 選 んで 抜 き 取 り,そ の抜 き 取った中でさらに順番を考える場合である。A~Gの7人か ら2人を選んで並べるとき,7P2となる。これが選ぶだけで
あれば7C2である。並べ方というので,FDとDFは別モノとして扱う。
次に7人の中から委員長,副委員長を決める場合を考えると,これも7P2である。まず2 人を選んで,左を委員長,右を副委員長とすれば,2人を選んで並べることと考え方は同じ であ る。委 員長は7通 り,副委 員長は 委員長 で選んだ 人以外 の6通りで7×6と考え れば,
わざわざPを使わなくても答えを導ける。当然この方法を答案に書いても大丈夫である。
組 合 せ
次に,A~Gの7人から3人のグループを作るという場合を 考える。これは選んでそのあと班長,副班長を決めるなどのこ とがなければ,7C3だけである。選ぶだけの時はCを用いる。
では,皆さんにとっては親しみ深い例題を出題する。
例題 ある大学入試では,英語が必須であり,国語と数学はど
ちらか一方のみを選択し,国語を選択した受験生は世界史・日 本史・地理・政経・現代社会・倫理から2科目を選ぶ。また数 学を選択した受験生は物理・化学・生物・地学から2科目を選 択し,合計4科目を受験するシステムとなっている。この大学 における科目の選択は何通りか。
■解答■ まず,国語を選んだ受験生は社会6科目から2科目を選ぶ。このとき,「世界史と 日本史」と「日本史と世界史」の選択は同じことである。つまり,選ぶだけなので6C2。数 学選択者は理科4科目から2科目を選択するので,同様に考えると4C2である。また,この システムでは国語選択者と数学選択者は互いに重なることがないため,2つの場合をたせば よい。要は「国語を選択した場合」と「数学を選択した場合」の場合分けと同じである。
6C2+4C2 = 15 + 6 = 21 ∴ 21通り □
PかCか迷った時はとりあえず図を描いてみるのがいい。「こういうときはP」のような覚 え方をするとなかなか正解までたどり着けない。
方べきの定理
円とその円と交わる直線を2本 2直線の交点をPとし,
2直線と円の交点をA,BとC,Dとし,
AP·BP = CP·DP 方べきの定理には交点が重要 証明は相似で
方べきの定理とは何か,右の図で考えてみたい。APDとCPB において対頂角なので,∠APD =∠CPB。また円周角の定理から弧 ACにおいて∠ADP =∠CBP。
以上より,APD∽CPBとなるから相似比をm:nとおけば AP : CP =m:n DP : BP =m :n
よって AP : CP = DP : BP ∴ AP·BP = CP·DP □
おそらく,アルファベットを見ていても分かり辛いと思うので,指でなぞるなどして「動 き」をもって覚えてもらいたい。
方べきの定理の使い方
例題 ある円があり,この円と2点で交わる直線lと,この円と2点で交 わりなおかつ円の中心を通る直線mを引く。lとmの交点をP,lと円の 交点をA,B,mと円の交点をC,Dとしたとき,PA = PC = 1,PB = 3 であった。このとき円の半径を求めよ。
■解答■ これは相似を使っても簡単に示せるがあえて方べきの定理を使ってみる。半径を rとしておけば,CD = 2rなので,PD = 2r−1とできる。よって,
PA·PB = PC·PD から 1×3 = 1×(2r−1) ∴ r= 2 □ 接線の場合
接線でも考え方は同じである。円があり,円周上の点Tにおける 接線を引く。またT以外で円上の異なる2点を通る直線を引き,円 の交点をA,Bとする。この場合でも方べきの定理が使える。
このとき,Tは2点が重なって1点になっていると考える。方程 式の重解と同じ考え方である。重解と同じように「接する」という のは2個の共有点がたまたま重なって共有点が1つとして扱われる ということである。2直線の交点はP。ここから円との共有点に向 けて直線を引く。
PA·PB = PT·PTとできるので ∴ PA·PB = PT2 □
とでき,これが接線のときの方べきの定理である。方べきの定理は慣れていないと図のどこ に 適用し てよ い かな かな か 見つ け られ な いこ と があ るの で ,積 極的 に練習を積ん で おき た い。とにかく,方べきの定理が使えるのは円・円と交わるまたは接する平行でない2本の直 線があるときである。あまり入試には出てこないが,センターなどでは必要となる。