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臨床調査個人票データを用いた喫煙歴,症例対照研究に関する研究

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Academic year: 2021

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厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)) 

難治性疾患の継続的な疫学データの収集・解析に関する研究(H29-難治等(難)-一般-057 )  分担研究報告書 

 

臨床調査個人票データを用いた喫煙歴,症例対照研究に関する研究

 

研究協力者:

松原  優里   (自治医科大学  地域医療学センター  公衆衛生学部門)

小佐見光樹 (自治医科大学  地域医療学センター  公衆衛生学部門)

阿江  竜介 (自治医科大学  地域医療学センター  公衆衛生学部門) 

青山  泰子   (自治医科大学  地域医療学センター  公衆衛生学部門) 

石川  鎮清   (自治医科大学  地域医療学センター  公衆衛生学部門)

牧野  伸子 (自治医科大学  地域医療学センター  公衆衛生学部門) 

研究代表者:

中村  好一 (自治医科大学  地域医療学センター  公衆衛生学部門) 

 

研究要旨:特定疾患医療受給者・臨床調査個人票データベースでは喫煙歴が記録されてい る疾患が11種類ある。異なる疾患間において、疾患の発症に喫煙歴がどの程度影響してい るかを明らかにするため、データとして利用可能な3疾患(肺動脈性肺高血圧症・特発性 間質性肺炎・リンパ脈管筋腫症)を対象とした。肺動脈性肺高血圧では、年齢と性別を調 整しても、喫煙歴のオッズ比は0.34となり、喫煙歴あることが疾患の発症に抑制的に働い ていた。間質性肺炎では、単回帰では喫煙歴があるとオッズ比は2.19、女に対し男が8.3 となるが、年齢と性別とを調整すると、喫煙歴のオッズ比は0.67となり、喫煙歴があると その他の疾患と比較し発症に抑制的に働くことが判明した。また、男の場合にはオッズ比 が9.28となり、喫煙歴や年齢を考慮してもオッズ比が非常に高いことが判明した。リンパ 脈管筋腫症では、女のみの解析では、年齢を考慮しても、オッズ比は16.2であり、喫煙歴 の疾患への影響が他の疾患と比べ最も高いことが明らかとなった。このように異なる疾患 間においても、疾患の発症に喫煙歴がどの程度影響しているかを明らかにすることができ る。本研究では、健康人を対照とした研究ではないため、結果の解釈時に、その点を考慮 する必要がある。 

 

A.研究目的 

  特定疾患医療受給者・臨床調査個人票デー タベースでは喫煙歴が記録されている疾患 が11種類ある。異なる疾患間において、疾患 の発症に喫煙歴がどの程度影響しているか を明らかにした研究はないため本研究を行 った。 

B.研究方法 

  指定難病330疾患の臨床調査個人票のうち 喫煙歴の記載のある11疾患から、実際にデー タとして利用可能な3疾患(肺動脈性肺高血 圧症・特発性間質性肺炎・リンパ脈管筋腫症)

を対象とした。対象は、指定難病の新規申請 者で、肺動脈性肺高血圧:2003年から2012 年の785人(男263/女522)、特発性間質性 肺炎:2003年から2014年の18786人(男131

20/女5666)、リンパ脈管筋腫症:2009年か ら2014年の430人(男2/女428)である(表1)。

いずれも、喫煙歴が明らかなもののみを選択 し、それぞれの疾患をケース、それ以外の疾 患を合わせたものをコントロールとし、年齢

・性別を調整し、ロジステック回帰分析を行 い、喫煙歴と発症の関連について解析を行っ た。 

 

(倫理面への配慮) 

本研究で使用する情報は特定疾患医療受給 者・臨床個人票から氏名・生年月日・住所など 個人情報に該当する項目を厚生労働省健康局 難病対策課で取り除かれたものである。匿名化 された既存試料(情報・データ)のみを用いる 研究に該当するため、国の「人を対象とする医 学系研究に関する倫理指針」の対象外であり、

(2)

- 107 - 倫理審査委員会の審査は不要であるが、入手し た情報を確認し必要であれば自治医科大学の 倫理審査委員会の審査で承認を受けることと した。

C.研究結果

  肺動脈性肺高血圧では、年齢と性別を調整 しても、喫煙歴のオッズ比は0.34となり、喫 煙歴が疾患の発症に抑制的に働いていた(表 2)。間質性肺炎では、単回帰分析では喫煙 歴があると、オッズ比は2.19、女に対し男が 8.3となるが、年齢と性別を調整すると、喫 煙歴があると0.67となり、発症に抑制的に働 くことが判明した(表3)。また、男の場合 には喫煙歴や年齢を考慮してもオッズ比が 9.28と非常に高いことが判明した。リンパ脈 管筋腫症では、男の患者数が2人と少なく、

解析の対象から除外した。女のみの解析で は、年齢を調整しても、オッズ比は16.2であ り、喫煙歴の疾患への影響が他の疾患と比べ 最も高いことが明らかとなった(表4)。

 

D.考察

  今回の対象となった3疾患は、発症年齢や 性別の特徴がそれぞれ異なる。このように異 なる疾患間においても、疾患の発症に喫煙歴 がどの程度影響しているかを明らかにする ことができる。特にリンパ脈管筋腫症は喫煙 歴との関連についてのケースコントロール スタディがこれまで報告されていない。喫煙 歴が元来、発症の危険因子として明確である 特発性間質性肺炎を対照としても、リンパ脈 管筋腫症は喫煙歴があると発症のリスクが 高いといえる。本研究では、喫煙歴が危険因 子として疑われる疾患を用いて、ケース・コ ントロールスタディを行っている。健康人を 対照とした研究ではないため、結果の解釈時 に、その点を考慮する必要がある。 

E.結論

  臨床個人票を用いて、異なる疾患同士におけ る喫煙歴の発症に与える影響を比較できる可 能性がある。

F.研究発表 1.論文発表    なし  2.学会発表 

  なし

G.知的財産権の出願・登録状況 

(予定を含む) 

1. 特許取得    なし   

2.実用新案登録    なし 

 

3.その他    なし 

(3)

- 108 -

     

   

1.対象者の詳細 

疾患名 年度 年齢(歳):中央値

(最小値ー最大値)

総人数

(人) 人数(%)

喫煙歴人数(%) 喫煙歴

あり

喫煙歴 なし 肺動脈性肺高血圧症 2003

~2012

50

(0-87) 785

263(33.5) 137

(52.1) 126 (47.9) 522(66.5) 92

(17.6) 430 (82.4) 特発性間質性肺炎 2003

~2014 71(0-98) 18786

13120(69.8) 11114 (84.7) 2006 (15.3) 5666(30.2) 1018

(18.0) 4648 (82.0) リンパ脈管筋腫症

2009

~2014  

40(19-71)

  430

2(0.5) 2

(100.0) 0 (0.0) 428(99.5) 321

(22.4) 107 (25.0)

2.肺動脈性肺高血圧症:OR(95%信頼区間)

  単回帰 多変量回帰

喫煙歴あり 0.22( 0.19-0.26) 0.34(0.28-0.41) 喫煙歴なし referrence referrence

0.23(0.20-0.27) 0.55(0.45-0.66)

referrence referrence

*年齢と性別を調整 3. 間質性肺炎:OR(95%信頼区間)

  単回帰 多変量回帰

喫煙歴あり 2.19( 1.95-2.46) 067(0.56-0.79) 喫煙歴なし referrence referrence

8.30(7.22-9.54) 9.28(7.70-11.19)

referrence referrence

*年齢と性別を調整 4. リンパ脈管筋腫症:OR(95%信頼区間)女のみ

  単回帰 多変量回帰

喫煙歴あり 13.72(10.92-17.24) 16.20(12.10-21.70) 喫煙歴なし referrence referrence

*年齢と性別を調整

参照

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