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小形ニサイクル機関の 吸気管効果について
梶 lb
磨
郁 雄
(1)緒 言
クランク室圧縮の小形ニサイクル機関は構造上吸込み空気量が制限される。このため吸 気管内の圧力振動が給気比に及ぼす影響が著しい。この吸気管効果についてはすでに数多 くの研究がなされているが,筆者はこの種の機関の運転経験から低速回転において,全負 荷よりも部分負荷の場合の給気比が良い現象が生じる事を知った。そこでこの現象が吸気 管内の圧力振動に起因するものと老え,給気比の測定と同時にクランク室及び吸気管内の 圧力変化を指圧計により記録し,実験的な解析を行うと共に圧力振動の固有振動数並びに
クランク室内の圧力変動についても近似的な理論計算を行った。
(2)実験方法
供試機関はシュニーレ掃気の汎用空冷機関(行程体積191cc)で吸気管は内径23φ全 長190mmでその中間に空気清浄器を取リはずした気化器を介し先端が直接1401の容積 をもつサージタンクに取付けられている。流量の計測に丸形オリフィスを用いる事は通常 の通りである。指圧計は可動陽極真空管(RCA 5734)を利用した試作品で・圧力変動と同 時にクランクマークもブラウン管オッシロに入れて記録した。
先ず実験方法として発火運転と駆動運転の ε。
給気比の相違を比較してみると第一図の如く 発火運転では吸気温度の上昇並びに排気ガス こ
警三繕藷鐘鞠霧翼{7°
60 では駆動運転で十分である事が解った。この ため実験は駆動運転で行い機関回転数を
800r.p.m.から200回転毎に最高3400r.p・m・
まで測定を行った。
(3) 実験結果並びに考察 (i)部分負荷における給気比
気化器絞り弁開度(g)に対する給気比(L)
と回転数(N)との実験結果を第二図に示す。
図において弁閉度が給気比に著しい影響を
0
φ=8患
0 ・、
、
! 、
、、
︑
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、、 、
︑
0
一、、 、
, 、
11 ︑
ll 、
、、
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, tt
︑\
0
︑︑ ︑
◇=4旭
、 ︑
︑
、
、 0
一駆動運転
… 一発火運転
o 1 00 2000 3000 4000
第1図
枝関回E数→Nr.P.ロ・
与えている事が解り特に最大給気比(Lmax)を 与える図転数が弁開度の減少にともない漸次低 速回転側に移行し,これが原因で回転数
N=looo〜1400r.p.m.の範囲では弁開度とは逆 にp= 1 が¢=ソ8(全開)よりも高い給気比 を示している。この現象を指圧線図より解析し てみる。
指圧線図の代表例を第三,第四,第五図に示 す。指圧線図は上部がクランク室内,下部が吸 気管内と夫々圧力変動が記録されている。吸気 孔直前の圧力振動は吸気孔の開く(1.O.)後ク
ランク室内の圧力がピストンの上昇にともない 降下しているので負圧を示すが,これが吸気管
. .
f
1.O T.D.C I.C
第3図
s﹄
三 c=8旭
80
70
60
50
c=7↓8
F=6/8
c=5!8
40
30
9:=4iu
V=3/8
9=2/8
亭=1!君
0 1000 2000 3000 4000
秩関回転数→Nr.pm.
第2図
端で符号を変え正の反射波として戻ってくる。
この圧力波が同一回転数(N=1200r.P.m.)す なわち吸気孔開放時間(τs=0/6N)が等い・
にもかかわらず,第三図のpニS!sでは二周期,
第四図のg=41・では一周期と異って入ってい る。これと共にgニS/sは弁開度が全開のため 絞りの抵抗が少く吸気過程に発生した負圧波
はほとんど全反射され正圧波が大きい。これ に加えて吸気孔の時間面積が十分に大きく,
上死点(T.D.C.)附近ですでにクランク室内の 圧力は最高値を示し,一方反射された正圧波
1.O T.D.C 1.C 1.O T.D.C.1℃
第4図 第5図
55 が負圧波に変っても吸気孔が開いているのでクランク室よリ逆流する。これはクランク室 内の圧力降下及び吸気管内の第二の負圧波の形状からも解る。これらが原因で給気比が低
くなるものと思う。
又p=4/tiでは吸気過程に発生する負圧波は流入速度が大きいので当然大きいが,正圧波 として戻る反射波は絞りの抵抗により一部のみが反射されるので小さくクランク室内の圧 力も余リ上昇せず逆流が少なく,正圧波の影響している間に吸気孔が閉じる。これらの事 から給気比はp=S!・の時よりも高くなるものと思う。しかしながら第二図の給気比曲線 からもわかる様に弁開度が極端に小さいSO=ソb,21・等では当然の事ながらこの様な現象 は起らない。
次に給気比曲線と第五図の指圧線図を比較してみると給気比最大(Lmax)となる条件が 回転数(N)の相違はあっても弁開度(p)に関係なく吸気孔開放期間(0°クランク角)に圧 力波の3/・周期に同調するすなわち正圧波の山の頂上で吸気孔が閉じればよい事が解った。
(ii)圧力波の固有振数
前述の如く給気比最大となる条件が吸気管内の圧力波の周期に関係することが解った。
そこで圧力波の振動数を求める必要が生じる。しかしながらこれの厳密解を得る特性曲線 法は膨大な計算が必要で,実際上不可能な場合が多い。そこで近似解を求めるために前川 の行った音響インピーダンスを用いて計算を行った。これは管内のガス流の影響を無視し てあるが振動数を求めるには比較的簡便で,かつ実用上十分なものと思う。
そこでインピーダンスZとは,体積Xが流れ込んで超過圧力を生ずるその比すなわ ちZ=♪/Xで表わされる。この概念を応用して先ず気槽,管及びその組合せのインピー ダンスを決めてみる。
ここで
V:体積 N=ξ∫:体積変位 f:断面積 ξご変位 Z=〃X=Eハノ P=∂P:超過圧
E醐訓率・・噺舳度変化E−・吻・一ρ盟
等エント。ピー変化とすれば∂P!∂ρ一KLK・比熱比 髄・を断熱変イtとすれ ρ
ば・P/・p−・・E−K.P−a・ρ・・固搬動紗一li}itとおく・
(a)気槽
ω㌔畢=宰…… ①z{]
任意の位置A における変位を
ξ=ξ。eiett とおけ{ゴ s。.1一,,_一_,_一_一._一.,,,.,i
→ Of →
ξ=iω1ξニー・・21 Zi pt・z・
x=O x=1 運動方程式
∂v 1 ∂P
∂∫ ρ ∂.x
に代入
一罎一一一か・畏……(・)
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a2・ρ・le=Ele=β とし,ω=ap!i3を(a)に代入 (aρβ)2ξ弓・一器
αρζ=1.β.∂P
β 一 ρ・ aρ.・
∂1
。 1 β2 ∂P
aρ = ρ ;ii; 下
ξ一f・(βaf})2・晋
βξ一÷(☆)2・晋
∴βξ一二・」累一一差・票・…・・(・)
一方波動方程式
掌一a2・誓一一…・………一(・)
から任意の位置における圧力Pを P=P。eitstとおき(c)に代入すると
謬+k21)一・
となる。これを解いて
P=A cos}k.x十Bg. s m 1{−x
P=−Ale sin kx十Bk COS k.ピ (b) に{℃7\
βξ一一・芸一A…紅B・・…
初期条件
x=O P=P, ξ=ξ, ;、 P,=A i3:一,=B P=Pi cos i?xit pξ i sln lex.
βξ=−Pi sin kx +β5 cos kxr
いま A =1でP=P,ξ=ξ2とすれば
P2=Pl cos le1十βξI sill lel βξ2=−Pi sln k|十 Pξ i ces k{
∴
⇒−Tl−・頴聾一一②
Z,」−ta。〃
同様酢チ 誌+ヂ (3)
となリインピーダンスが決定する。 _ 以上の式を用いて左図の場合の固有振動数レを Z1 求める。
(1)式と(3)式に開放端の条件P=0すなわちZl=0を代入すれば
57
Z・一チ・・n 一゜
!2e−=⊥t。n・1、1
vv ∫
∴ん⊥=。。tkl
一 ∫
これをgraphicalに解きPが決まる。
又近似解として
(a)管が短い場合(ヘルムホルツ)
tan le1≒lel とB一れ、ば
le一へ/吉 ∴ ・ ・£N/弄
(b)管が長い場合
・・淋十≒・三・おき
…( vlilキk・… ハ f)一・
kl+k・÷一多(・+2〃)・・整数
∴v=(1+2n) ・(1茸)
次に左図の様に二つの気槽を管で連結すると
「1が短かいのでiαii Kl!≠Kllとおき連続の 条件から
. fnn t,、1.. i!121e
tan k12十fv しaLt ft 2「−f・『v l kv、
力 力「f」
・一 等三le・剛一kいf|
丁
筆者の実験がこの組合せで
Vl=1.41(サージタンク) 1夕=0.61(クランク室) f ,1,=吸入管 f 11 = rkリブ4ス
を用いて計算より振動数レを求め次に指圧線図による実測値とを比較したが,温度変化 の老慮,絞り部の影響,音速の測定等に不備な点があり満足すべき結果は得られなかった。
(iii)吸気管効果のある場合のクランク室圧力の近似変化
厳密解は複雑なので,ここでも近似解として比較的吸気管長が短い,すなわち圧力波を 一つの気柱振動に置換えて考えた。ここで
.・ :気柱の変位,み1吸気管断面積
τノ・=x.f,,:吸気容積
L:吸気管長
1/i、:行程体積 、 杭:隙間体積(ピストンB・D・C)
サフィクス0は吸気管内の条件
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とすれば
Pe=(Pi l/i十P61る)/τ% …・…・・……一…・…………・………・………・…・……(1)
Pθ:任意のクランク角(B・D・Cから測る)のクランク室内圧力 P,:吸気孔開時(θi)のクランク室内圧力
防: 〃 クランク室内体積 Vo:任意のクランク角におけるクランク室体積
・一馴κ一|
竿一K ε ε
ξ=杭ハη,:体積効率
芸一一寸プ畏 ・器一・・角速度
dx − X」1。 .. dξ di_x 一〜ア|、 竺 dt≡≡
コ イリ ニ ロ ロ ごまア t ∫ tu d(} dtZ − ∫ d{}一
一方運動方程式
芸+・(dxdt)2−一☆(P・一・・e)1 ・抵抗係数
∴一テ・・㎡・諜+・(τφL∫)2・eJ2・(揚)2
☆卜咋質學の}]
すなわち
1 τφt1 v}, dξ μ=−2一プ 劣「−db−
v−−9iへ!一富、。L V・・≒V・
A「,=ll×60毎秒吸込度数 とすれば
融高(☆)卜蔓(華聾〕
∴≧継)「璽鐘)十
となりμを仮定すればξが決定する。
そこで
クランク室内の圧力変化は
1ノ〃≒・夕+1・1,(1−・…)・÷ ・・ 1・1,{・+(i:Ciesの}
τ夕+1−⊥+1−1+・、圧縮比
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+=芸 1;;一+聯皇 砕+(辱の}+ ξ・・h{・+(1−ligE−L°)}
又吸入速度ひ〃
u・− k−ft〔{芸・v,+e}/砕+(1一穿sθ)}〕
となり,クランク角0を2〜3°毎に逐次計算を繰返して圧力変動を求める。
(4)結 語
小型ニサイクル機関の吸気管内の圧力変動について述べたが,これが部分負荷における 給気比に及ぼす影響についての実験は一応初期の目的を達したと思う。しかしながら理論 計算によるこの種の現象の解析は近似的に取扱かったので,現場における実機の運転には 役立つものと思うが未だ不充分の点も多い,今後の課題としたい。
(5)文 献
(1)梶島:機械学会第41期全国大会 前刷
(2)岡 : トヨダ技術(Vo1.13, No・2)
(3)前川:機械学会,第54回講義会教材
(4)浅沼:熱機関大系基礎理論
(5) P.H. Schweitzer: Scavenging of 2−Stroke Cycle Diesel Engins.
(6) H.List:Ladungswehsel der Velbrenungsk.raftmachine.
(7)長尾:機械学会論文集(VoL 26, No・171)