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琵宏言言19芸霊行

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ISSN O919−3073

琵宏言言19芸霊行

蓋抑榊鞘醐㈹醐珊轡醐轡㈹珊醐叩碑醐i附慧芸慧㌢_

目    次

バリカンの曲

1ヽ

石崎 一夫…1 特集<ティームティーチング>

・ティームティーチングと

学校改善 八尾坂 修…2

・ティームティーチングの動向 重松 敬一…3

・文化交流の場としての

チームティーチング  伊東 治己…4

「ティームティーチング」

の導入について     藤井 正妃…5 ティームティーチングの実際 勝美 芳雄…6 教育工学から教育実践へ

−第43回国立大学教育工学

センター協議会の報告一 船越  勝…7 運営委員会報告      ‥・8

バリカンの曲

楽曲の始まり方には、弱起

(アウフタクトAllftakt)と

いって不完全小節の弱伯から 始まり完全小節の強酌に入る

ものが多い。

中学教諭時代、ある期末テ ストの採点をしていると「バリカンの曲」という

− 解答がでてきた。出題は「次の曲の始まり方を何 と言うでしょう」なのだが一瞬何のことだか分か らず考え込んだことがある。

しばらくして、自分が採業中に思いっくまま無 責任に話したことを思いだした。

私が子供の頃は理髪店に行くことなど滅多にな く、家の庭先で大きな風呂敷を首から巻いて、母 親にジャッキ(私の家ではそう言っていた)で丸 坊主にしてもらっていた。ジャッキを離すタイミ

ングが悪いと毛を引っ張って痛いのと、短い毛が 首筋に入るとむず棒く散髪するのは好きではなかっ た。生え際を剃るのは怖くて嫌だったが、終わっ てから頭を洗うとさっぱりして気持ちの良かった

石 崎 一 夫

感触が今でも蘇り懐かしい。

頭を刈る道具に制作者の名前をつけてバリカン と言うのだが、床屋さんに電気バリカンが入るま で、私の家ではジャッキと呼んでいた。などとい う話をしたのだろう。

採点は、話した本人も忘れてしまっていたこと をよく覚えていてくれていたことで、注釈付の三 角にした。

経験の無い理屈っぽい話と、体験を話すのとで は、話し方も違うだろうし、聴き手の脳に入って からの整理場所が違うのだろう。毎日の積み重ね で理解が深まるもの、前後の関係なく単独で覚え てしまうものがあるようだ。

私自身小学生の頃、音楽好きの算数の先生が、

シャープとフラットのつく順番をファドソレラミ シ・シミラレソドファと教えてくれたのを、今で も有難く使わせてもらっている。

自分の思いが伝わらず、何が人に影轡を与えた り、大切にされたりするか分からない。毎日を】一 準に生きなければならないと思うのですが。

ー1−

(2)

特集<ティームティーチング>

ティームティーチングと学校改善

学校経営学研究室  八尾坂   修 ティームティーチングの今日的位置

ティームティーチングは学習者集団の規模に応 じ、複数の教員によって組織される教授・授業改 善のための一様式である(以下、TTと略)。こ

のTTは、1950年代にアメリカで始まり、1964年 以降日本に紹介された。これまでわが国でもTT についての研究が実践家やTTに関心をもつ研究 者サイドで自主的になされてきた。しかし文部省 の第6次公立義務教育諸学校教職員配置改善計画 が平成5年度からスタートし、TT導入等の学校 に今後6年間にわたり、全体にして18,289人(小 学校10,837人、中学校7,452人)の教員を加配す ることになったことから、TTが今日脚光を浴び るようになった。

ところでTTがどのように組織化されているか を考えてみると、たとえば、①1個学年レベルで のTT組紙がある。ある学年(4学年)の全学級

(3学級)の児童に対して、その学年全員の教師

(3人)でTTを組織する場合である。②2個学 年レベル以上のTT組織である。隣接の学年(5・

6学年)にわたる学級(6学級)の児童・生徒を 対象に、その学年全体の教師でTTを組織する場 合である。最も大きい規模は学校全体にわたるT T組織となる。③各教科ごとのTTが考えられる。

数学・英語といった各教科ごとに、特定の学年の 全学級、あるいは複数学年にわたる全学級を対象

にTTを組純化することができる。

次に、上記のようなTT組織における授業展開 の態様に視点を向けると、1つは、多様な学習内 容・課題の授業を同時的に指導する場合が挙げら れる。小学校における「自由学習」、中学校の選 択学習時間における「課題学習」、特別活動等の 指導がある。2つは、各教科指導において実施さ れているもので、学習内容における習熟の度合、

興味・関心の相違によってTTを実践する場合で ある。この点、学級編成の際基礎的・基本的内容 の習熟がとくに望まれるコースにおいては、加配 教員を加えて複数学級担任によってTTを充実さ せる工夫も必要となってくる。3つめは、特定の 教科・領域、たとえば、生活科、体育、環境問題、

国際理解教育などの授業で、各教師の専門性、個 性を生かしつつチームを組む場合である。

学校改善に向けての課題

TTが効果的に実施されるために改善すべき課 題を検討すると、まずTTについて教師間の意恩 疎通、相互理解に基づく役割分担を指摘できる。

TT成功の有無は、ティームメンバーの専門性の 発揮、相互協力的な人間関係の結びつきに依拠す るといってもよい。そのためには、校長のリーダー シップのもと協同的な学校風土づくりが求められ てくる。次は、一人一人の児童・生徒をより多面 的に理解するという点である。学習の習熟、理解 ′雪 の度合、得意・不得意領域、学習スピードといっ た学習スタイル、興味・関心の程度、生活環境の 相違による個人の特性などを具体的に把擬しなく てはならない。さらに、TTの計画・実施の際に おける条件整備の問題がある。個々のニーズに応 じた各種の教材、資料の準備、工夫が望まれると ともに、教室を含む学校建築の見直しを図らなく てはならない。大グループ指導のための大教室、

メディアルーム、大・中・小集団の学習形態を活 動的、融通的に可能にするようなオープンスペー スなどはTTをより実践的に展開する上で必要と なる。

これまでTTの研究・実践を試みてきたいくつ かの学校の成果を摘録すると、第1は教師集団の 力丑が高まった点である。TT導入を契機として、

個々の教師、教員集団の意識高揚のもと、実践上 の悩みや苦しみを共有し、かつ教材研究などにお いて学びあう機会がふえたことが指摘される。第 2は、TTを通して他の教育活動の改善にも影響 を与えている点である。たとえばTTによる習熟 度別学習の結果、遺徳や特別活動の指導において、

児童・生徒の存在感を充足し、かつ教師・生徒、

生徒相互間の信頼関係を構築するような学級・学 年集団づくりが進められてきたことがあげられる。

ただし、TTの導入にともなって今後予期され うる課題も顕在する。これまでTTの経験者が多 くいる学校とそうでない学校ではTTを担当する 教員の職務上の負担、新たな職務能力・資質に差 異が生じてこよう。また、TTによる授業の受け 手である児童・生徒のTTへの評価、教師評価も 考慮に入れなくてはならない。

(3)

ティームティーチングの動向

奈良教育大学数学教育学  重 松 敬 一

1.はじめに

平成5年度から文部省の第6次公立義務教育諸 学校の教職員配置改善計画によって、小学校、中 学校の教師の加配によるティームティーチングが 実施されるようになった。これによる全国の教員 の加配は、平成10年度までに合計14,297人(小学 校8,441人、中学校5,856人)である。

ピ恥 奈良県の場合、平成5年度に限ってみれば、小 学校15人、中学校18人の合計33人が加配された。

奈良県での加配教師がどのような教科を担当して いるのかの資料はないが、近くのある県では、小 学校では算数、中学校では数学を担当する加配教 師が、全体の80%にも及ぶと報告されている。

2.ティームティーチングへの反応

ティームティーチングは、昭和40年代に小学校 に導入されたこともあるが、学級経営などの観点 から定着するには及ばなかった。

人間は経験したことにはすばやく対応すること ができるが、経験のないものには受容どころか、

ときとして、否定的な行動が伴うようである。

今日に至ってもこの傾向は変わらないようであ 曹ヽ る。新しい学力観にもとづく教育課程では、幼稚

園の環境による保育、小学校の生活科、中学校の 選択教科、高等学校のコア・オプションによるカ リキュラムと、学習者主体による教育のシステム や学習指導の改善が指向されている。この一連の 教育改革の中でティームティーチングも捉えなけ ればならないが、子どもの減少に伴う教師の減員 防止対策のみで捉えられないか懸念されるところ

である。

3.学習指導の改善としての子どもの期待 ティームティーチングは、授業計画、実施、評価 において考えることができるが、このような事例

は、例えば、教職員配置改善研究全編『教師のた めのティームティーチング実践事例集』(ぎょう せい、1993、7)に詳しいので省略したい。

ここでは、ある中学校の生徒のアンケートから、

子どもからみたティームティーチングの問題を探っ てみたい。アンケートは、一学期の最後に、1年 生と3年生に対して行われた。

アンケートは、ティームティーチングでの学習 の感想、希望、その他の項目で、自由記述による 回答が求められた。結果からみると、授業改革に ふさわしく、授業が変わったという実感は残った ようである。しかし、生徒にしてみれば、教師が 二人になったのだから、一人で指導されるよりも、

もっとよくわかるはずとの期待があったが、実際 には期待ほどには学習が進まなかったようである。

むしろ、以前と指導方法が同じ、精神的に緊張 する、集中できない、などの批判的な意見もみら れた。これには、過2回しか実施できないという 時間的な制約にもよることが多いようである。

今後として、副の教師も主たる教師の単なる補 助ではなく、内容や指導の方法に応じて、主と副 の教師が交代して教えるなど、指導上の工夫が生 徒の希望にみられた。

4.おわりに

ティームティーチングが子どもの期待に応える ためには、2人の教師の数学観、教育観などの価 値観を十分に話し合った上で、授業計画から評価 までの協力体制の綿密な計画が必要であろう。

さらに、ティームティーチングは、単に指導形 態の改善だけで終わるのではなく、算数・数学と 図工・美術などとの教科間の総合などをも考えた 授業改革として、今後のよい授業のモデルとなる

ことが期待される。

ー3−

(4)

文化交流の場としてのチームティーチング

英語科におけるチームティーチングは、主に、

英語を母国語とする外国人講師との協同授業の形 で実施されている。その始まりは意外に早く、公 立学校に関しては、昭和52年に文部省が外国語と して英語を教えるための正式な訓練を受けたアメ リカ人を招致し、都道府県教育委員会に英語指導 主事助手(Monbu−ShoEnglishFellow、略してM EF)として配置したことに端を発している。教 育委員会の英語担当の指導主事を補佐しつつ、要 諦に応じて、中・高等学校で日本人教師と協同し て英語の指導に当たることがその主要任務で、初 年度は全国で9名のMEFが招致された。その後 その数は次第に増やされ、かっ、アメリカに加え てイギリスからも同様な有資格者が英国人英語指 導教員(BritishEnglishTeachers)として招致さ れるようになった。

しかし、今日のように外国人講師とのチームティー チングが全国規模でかつ日常的に実施されるよう になったのは、昭和62年に従来のMEF制度を引 き継ぐ形で、語学指導等を行なう外国青年招致事 業(JapanExchangeandTeachingProgram、略 してJ ETプログラム)が開始され、英語を母国 語とし、大学卒業資格を有する青年が多数、英語 指導助手(AssistantEnglishTeacher、略してA ET)として招致されるようになったからである。

このプログラムは、MEFの場合とは違って、文 部・自治・外務の三省共同プロジェクトで、文部 省が教育内容、自治省が予算、外務省が選考を担 当している。招致対象国も、英語圏に関しては、

アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、

ニュージーランド、アイルランドの5カ国に拡が

り、招致人数も年々増加している。因みに、平成 5年度は、仏語・独語指導助手も含めて、3,508 名の外国青年が招致されている。その一部は、各 都道府県の知事部局等にも配置され、国際交流員

(CoordinatorforInternationalRelations)とし

て、地域の国際交流活動に従事している。なお、

英語科教育  伊 東 治 己 最近では市町村単位で独自に外国人講師を招致す

る動きも活発になってきている。奈良県の場合、

本年度は、県立高校に28名(その内何名かは地域 の中学校にも派過される)、県教育委員会に2名、

市町村レベルに19名、計49名のAETあるい はそ れに準ずる人材が配置され、何らかの形で日本人 英語教師とのチームティーチングに関与している。

このように、英語科のチームティーチングの第 一の特徴は、パートナーが言葉も文化も異にする 雪 外国人であるという点である。もちろん、最近で は日本人教師同士でのチームティーチングの試み もなされっつあるが、やはり主流は外国人講師と のチームティーチングである。日常生活に関する 文化のみならず、教育や学校あるいは授業に関す る文化も完全に異にする相手との協同授業であり、

教室の中に英語教育が目指す異文化交流の場が自 然な形で実現されることになる。特に日本人教師 にとっては、授業準備の段階から異文化交流が始 まることになる。授業の段取りを話し合う中で、

否応なしに英語で自己の教育観や授業観を説明し、

意見が食い違う場合には、論理的に議論を進めて、

妥協点を兄いだす努力をしなければならない。生 徒以上に、英語コミュニケーション能力の重要性 を痛感させられることになり、国際化に向けての 意識変革を迫られる。授業を受ける側の生徒にとっ メ顎1 ても、外国人講師の存在は大きな意味をもつ。彼

らとの英語でのやり取りは、もはや真似ごとでは なく、本物のコミュニケーションである。英語を 教科やテスト科目としてしか捉えられなかった生 徒にとっては、英語を生きた人間のことばとして 把握できる貴重な機会である。学習指導要領が謳 うコミュニケーションへの意欲や関心をいやが上 にもかきたてられる機会でもある。

外国人講師の存在は、よく現代の「黒船」とも 形容される。今まさに、英語教育が大きく変ろう

としている。

(5)

「ティームティーチング」の導入について

政府文部省は「第6次公立義務教育諸学校教職 員配置改善計画」を発表し今年度から実施した。

この計画は平成5年度から10年度までの6年間で、

新たに総数3万4百人の教員を配置しようとする ものである。そしてこの計画の目玉となっている のが「ティームティーチングの導入」であり、そ のために約1万4千人(計画人数の48%)を配置 することになっている。

〆恥 このティームティーチングは(指導方法の工夫 など個に応じた教育の展開のための教員加配〉で 俗に「個性化教育推進教員」とよばれているもの で、奈良県でも初年度の今年に33人(小学校15人、

中学校18人)が配置され既に実施されている。

この制度は「教職員定数の在り方に関する調査 研究協力者会議」が平成5年1月に出した「今後 の教職員定数の在り方について一個に応じた多様 な教育の展開のために−」の報告に添ったもので、

新学力観に基づく教育を推進するための教育条件 上の目玉政策となっている。そして基本的考え方 として「個に応じた多様な教育を推進するため、

複数の教員が協力して一斉授業に加えて、個別指 導、グループ指導等を取り入れたり、学級の枠を 超えて学習集団を弾力的に編成するなどの新しい 指導方法を税極的に導入する学校または多様な選 げ軌 択教科を税極的に開設する学校に加配する」とし

ている。

またこの制度の対象となる学校は、小学校15学 級以上、中学校9学級以上で学級の児童生徒数が 35人以上在籍する学校とし、ティームティーチン グを導入する教科は算数(小学校)、数学と英語

(中学校)としている。ただし場合によっては国 語(小)や理科(中)も可能としている。

この加配教員は「個性を生かす学習指導」や

「個に応ずる学習指導」を行うためのティームティー チングを実施する要員でこのこと以外振り向ける ことができないとか、加配教員はその学校の標準 授業時間数に相当する授業を行うとか、あくまで

奈良市立大安寺西小学校  藤 井 正 妃 も他の教員と協力しあって指執こあたる教員であっ て他の教員の授業時数の軽減をもたらす要員では ない等の実施要件を指導している。

指導方法の例として、①同一学級内で習熟の程 度に応じた学習をおこなう ②同一学級内で興味・

関心等に応じて学習課題の選択等を生かす ③学 級の枠を超えて学習集団を編成する ④興味・関 心等に応じて学級の枠を超えて学習集団を編成す る ⑤観察・実験及び野外活動等の体験的な学習 において授業の過程で弾力的な学習集団を編成す る ⑥中学校において生徒の個性の多様化に適切 に対応するため選択履修の幅を拡大し、多様な教 科・コースを設けて指導を行うものを挙げている。

一方学校現場の状況としては、低学年からの授 業について行けない子、不登校児や様々な問題を 抱える子の増大などで、全ての子どもに行きとど いた教育ができにくい現実があり、これらを少し でも解決するための特別な教員配置が求められて おり、今回の制度も問題を持ち学力等で苦しんで いる子ども達に視点を当て、それを共に解決して いくための体制や加配教員の配置であるという期 待もあった。しかし文部省や教育委員会の考えて いる基準は、「個性化」や「興味・関心」に基づ く新学力観の教育実施のための措置であり、教育 一般論での指導方法の改善の措置として導入され ており、学校現場の状況とは矛盾する面を持って いる。今年の実施状況を見ても必ずしも要項のよ うにはなっていないようであり、今後この制度を

「何のために」「どのように」活用するかが教育行 政の上からもまた学校現場からも問われることに なることは確かである。この制度を一般化させ

「個性化」や「興味・関心」の程度に合わせた教 育を推進するために活用するのか、それとも低学 力やその他の問題等で悩む子ども達への多様な取 り組みを充実させるために活用するのかが大きな 争点となるように恩う。

−5−

(6)

ティームティーチングの実際

最近、ティームティーチングが小学校・中学校 で実施されている。これは、そのための教員加配 の制度が今年度から実施されたからである。その 経緯については他に詳しいのでゆずることにし、

ここでは実際のティームティーチングによる指導 を紹介したい。

ティームティーチングにもいろいろな指導形態 がある。ここで取り上げたいのは、

・加配型…1学級を2人の教師が指導する。

・協力型…一方が主として全体の授業を進め他方 が主に子どもの個別指導に当たる。

による指導である。これは、加配教員があった場 合の一番典型的な形態であろう。

この形態で注目されるのが個別指導に当たる教 師の活動である。実際に小学校1年生の算数をこ の形態で指導したときには次の3つの活動が特徴 的であった。

①子どもへの指示

かつて1年生の担任から次のようなエピソード を聞いたことがある。

先生:「みんなに言いますよ。よく聞いてね。…」

子どもたち:「バーイ」

(しばらくして)

先生:「○○君、先生の話わかったかな」

○○君:「わからない。だって先生はみんなに話 すっていったけど、ぼくに話すって言わ なかったもの」

1年生はまだこんな時期である。子どもによっ ては教師の指示がうまく伝わっていない場合があ る。一人で指導しているとこんな子どもたちをつ い見落としがちになる。個別指導を担当する教師 は、こんな子どもたちにもう一人の教師の指示を 的確に伝えることができる。

②子どもへの支援

教師から子どもへの指示には様々なものがある。

奈良市立育和小学校  勝 美 芳 雄

例えば、「おはじきを机の上に出しましょう」「赤 いおはじきを5つ並べてみましょう」「さあ、お はじきはしまいましょう」「次は、数のカードを 出して」などである。指示が伝わったとしてもす べてがうまくいくとは限らない。それどころか、

5つ並べるというような学習にはいる前におはじ きをばらまいたり、カードは出したもののうまく ならべられないといった子どもがででくる。この ような子どもに対して、授業の流れを中断するこ ■雪 となく、個別指導を担当する教師が援助すること ができる。

③子どもへの評価

子どもたちは1時間の授業の間に様々な活動を する。例えば、教具の操作、絵や図での表現、文 章表現、計算などである。これらの活動の評価は、

子ども一人ひとりに対して、且つ、即座に行われ ることが一番望ましい。ところが、教師1人の指 導では、どうしても学級全体に対する評価や授業 後の評価になりがちである。

ティームティーチングでは、個別指導担当の教 師が望ましい評価を実現することができる。机間 観察をしながら、「はいよろしい」「よくできたね」

などと言いながら1時間の授業中に何度も評価活 動を行えるのである。また二人の教師が分担して 子どもたちを担当することによって、評価にかか 『 る時間を短縮することもできる。実際、1年生で は、練習問題のプリントは授業時間中に全て評価 できていた。

小学校では、これまでにも体育や特別活動で複

数の教師が協力して指導してきた。その際、何を

どう協力してきたのかを再検討することも必要で

ある。そして、ティームティーチングは我々教師

の指導法の改善であると同時に、子どもたちにとっ

て新しい学習環境を生み出すものでなくてはなら

ない。

(7)

教育工学から教育実践へ

一第43回国立大学教育工学センター協議会の報告一

教育実践研究指導センター  船 越   勝

1.パラダイムの転換

第43回国立大学教育工学センター協議会が、10 月9日に兵庫教育大学において開催された。この 会議において、20年以上にもわたるこのセンター 協議会の歴史が、まさに大転換を遂げたのである。

というのは、このセンター協議会の名称が、「国 立大学教育工学センター協議会」から、「国立大 学教育実践研究餉連センター協議会」へと変更す 曹 るという規約改正案が可決されたのである0つま り、センター協議会における、「教育工学」から

「教育実践」へのパラダイムの転換である。

√軌

2.歴史的背景

こうしたパラダイムの転換には、次のような歴 史的背景があった。第一は、その嶺的な側面とも いうべきものであるが、このセンター協議会を構 成している各センターのほとんどが、現在、「教 育工学センター」から「教育実践研究指導センター」

へと改組されたということである。これは、この 間の教育職員免許法の改正ともかかわって、教育 の方法・技術や生活指導、特別活動、さらには教 育実習(事前・事後指導を含む)などの教育実践 に関わる実地指導の側面が重視されるようになっ た動向とも結びついており、また、そのための専 任教官も配置されたのである。

しかしながら、この転換は、文部省自身が教育 工学だけでは、現在の教育の改善も進まないし、

教師の力塩形成にもつながらないと判断した結果 でもある。つまり、教育工学的アブローティの方 法論的行き詰まりという、いわば転換の質的側面

の問題である。

その点と関わって、かって教育工学の有力な指 導者の一人であった佐伯脾(東京大学)が、「教 育はコンピュータ文化をどう受け入れるか一情報 化社会でのコンピュータ教育−」(Fひと』241号 所収)のなかで、次のような反省を述べているの は注目に値する。少し長くなるが、重要な指摘な ので、引用してみよう。「教育工学が日本の教育 の世界でなにと結びついて現場に浸透力をもって

いったのか、そのことについてひじょうな驚きを もって、巌近、少しずつ自覚しはじめていること があるのです。…ちゃんとした科学を基礎にして、

テクニックではなくテクノロジーにしなくてはな らない。それには、科学・工学なりの考え方をと り込むのがいちばん確実であるということになり まして。…ところが、最近になって、ぼくは、

『これはちがうな』という感じがしてきているん です。…人間が『ほんとうにものがわかる』とか、

rものを理解する』とかいうことの研究は、ぜん ぜんちがう文脈のなかでやられている‥・というこ とがわかってきたときに、『これはえらいことに なったなあ』と思ったんです。」

こうして佐伯は、教育工学が巌初にその基礎理 論としたB.F.スキナーの行動主義の立場を離 れて、認知心理学の研究に向かうことになるので あるが、重要なのは、さらに佐伯が、日本の教育 工学はその後CMIやCAIの方向へと研究を進 めていっても、ティーチングの改善が中心であり、

システム的、工学的な発想が相変わらず根強いと している点である。筆者も、こうした教育工学研 究の現状に対して、ほぼ同様の認識を持っており、

その点で、佐伯の所論については共感を覚えると ころが多い。教育工学研究の内部でも、この間題 をめぐっては、現在ずいぶん議論されているよう であり(拙論「教育工学はどこへ行く」F実践セ ンターニュース』第5号参照)、今後も関心を持っ て見守っていきたい。

3.新しい教材・テキストの開発

センター協議会の教育技術研究会によって、長 年の共同研究の成果として、教育の方法及び技術 のテキスト『教育の方法と技術』(ぎょうせい)、

教育実習の事前事後指導のテキスト『教育実習ハ ンドブック』(同)が刊行された。教育の方法及 び技術と教育実習の事前事後指導の教育内容の区 別と関連にもとづいた教材開発の試みであり、こ

うした視点は注目すべきだと思われた。

ー7−

(8)

運営委員会報告

<第2回センター運営委員会>

6月30日 於・教育実践センター会議室 議題

1.センターの建家問題について

本年度新たに情報処理研究棟が建設されること にともなって、センターの新しい建家の問題につ いて、前回引き続き、情報処理センター運営委員 会と合同で話し合いの場を持った。その結果、情 報処理研究棟の建設位置の変更については、建築 委員会で検討するよう、両センター長から企画委 員会に要望することとなった。また、新棟にどち らのセンターが入るかについては、施設課との関 係もあり、両センター長に一任することになった。

<第3回センター運営委員会>

10月20日 於・教育実践センター会議室 1.センターの建家問題について

今井センター長および船越から、情報処理研究 棟の新築にともなうセンターの建家問題の経緯に ついて、各々報告があった。

2.センター専任教授の人事について

今井センター長から、センター専任教授の人事 の経過および着任の予定について、概略報告があっ た。

3.今年度のセンター紀要の発行について 昨年度から、『教育実践研究指導センター研究 報告』を『教育実践研究指導センター研究紀要』

へと発展させ、自由投稿も受け付けていくことに なったが、投稿の締切が、F教育研究所紀要」と 重なり、両方に投稿しにくいということが昨年度 から問題になっていた。そこで、研究成果の発表 の場をできるだけ多く保障していくという観点か ら、「教育実践研究指導センター研究紀要編集規 定(内規)」の一部改正案について船越から説明 を行い、審議の結果、本年度から、投稿の締切を 11月30日から1月7日へ変更することになった。

4.国立大学教育工学センター協議会について 第43回国立大学教育工学センター協議会の概要 について、船越の方から報告を行った。

5.研究部員による研究プロジェクトについて 今年度から新たに始まった、研究部員による研 究プロジェクトの進行状況について、船越の方か ら報告を行った。       (文宜:船越)

編集後記

○…文部省の「第6次公立義務教育諸学校教職員 配置改善計画」にしたがって、本年度から、奈良 雪 県でもティームティーチング(複数担任制)が導 入されました。これは、一つの学級に一人の教師 という明治以来の学級制度の大転換です。したがっ て、学校現場では、現在、ティームティーチング によって、子どもたちの学習指導を改善していく ために、さまざまな実践的試みが行われています。

また、ティームティーチングが導入されると、教 師に求められる力量もおのずから異なってきます。

これは教員養成大学にとっても大問題です。今回 は、このようにさまざまな議論を必要とするティー ムティーチングの問題を、学校経営研究、数学教 育研究、英語教育研究、および学校現場の立場か

ら、それぞれ御執筆いただきました。

皆様方のご意見、ご感想をお待ちいたしており ます。       (F)

■=鞠

1993年12月20日発行 奈良教育大学

実践センターニュース 第 9 号 奈良教育大学教育学部

附属教育実践研究指導センター

◎630奈良市高畑町

℡ (0742)27−9288 FAX(0742)27−9289

発行者 今 井   靖 親 印刷所 明新印刷株式会社 尋630奈良市南京柊町3丁巨1464

℡(0742)63−0661

参照

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