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(1)

基礎的看護技術の到達状況に関する検討

川 崎 医 療 短 期 大 学 第一看 護 科 第

二看護科

杉 田 明 子 太 湯 好 子 初鹿真由美 * 塚 原 貴 子 谷 原 政 江 中 西 啓 子 酒 井 恒 美 渡追ふみ子

昭和

63

8月23

日受理)

An E v a l u a t i o n  o f  A c h i e v e m e n t  o n  Basic N u r s i n g  S k i l l s   o f  S e n i o r  N u r s i n g  S t u d e n t s  

A k i k o  SUGITA, Y o s h i k o  FUTOYU, Mayumi HATSUSHIKA,  Takako TSUKAHARA, Masae TANIHARA, K e i k o  NAKANISHI, 

T s u n e m i   SAKAI a n d  F u m i k o  WATANABE 

Department  of Nursing, Kawasaki College of Allied Health Professions  Kurashiki,  Okayama 701‑01 Japan 

(Reciedon Aug. 23, 1988)  Key words:基 礎 的 看 護 技 術 , 経 験 率 , 到 達 率

概 要

13 

看護基礎教育の中で基礎的看護技術の内容をどこまで到達させるかは,各学校にまかされている実情にある。

今回川崎医療短期大学第一看護科

12

期生・

13

期生における基礎的看護技術の経験状況,到達状況を分析した

その結果,

90

%以上の学生が

9

割の基礎的看護技術項目を経験していた

。到達状況では,日常生活に対する援

助技術が看護に共通する技術,診療に伴う技術に比べて有意に到達率がよく,

13

期生と

12

期生を比較すると,

各項目毎に学習到達目標を明確にした

13

期生がよいとはいえなかったが,未経験率の高い項目や実施者の到達

率の低い項目の中に13

期生は

12

期生より

10

%以上到達率の高い項目を含んでいた

。各技術の学習目標の設定や

修得すべき項目の選定について,今後も検討を重ねることの必要性が確認された

I . は じ め に

医 療 の 現 場 は , 人 口 の 老 齢 化 , 慢 性 疾 患 の 増 加 , 医 療 技 術 の 高 度 化 , そ れ に 加 え て 新 し い 職 種 の 出 現 な ど 社 会 や 経 済 の 変 動 の 中 で 刻 々 と 変 化している

。看 護 制 度 検 討 会 報 告 書l)の中では,

21

世紀に向かって期待される看護職者の要件と して

① 専 門 職 と し て 誇 り 得 る 社 会 的 評 価 を 受 けるもの,②専門的知識,技能を有し社会の変

化 に 対 応 し 自 ら 研 銀 に 努めること,③人間とし

て感性高く受容することのできる資質を持ち,

問 題 解 決 の た め の 判 断 力 を 持 っ て い る こ と , ④ 患 者 が 最 適 な 療 整 生 活 が 送 れ る よ う 医 療 職 種 間 で の 調 整 役 と な り , 良 き リ ー ダ ー シ ッ プ が 発 揮

できることをかかげている

し か し な が ら , 看 護 基 礎 教 育 の 中 で は , 基 礎 的看護技術とは何なのか,

どのような内容をど の レ ベ ル に ま で 到 達 さ せ る べ き で あ る か , そ の 基 準 と な る も の さ え 未 だ 不 明 確 な よ う に 思 う

こ の た め , 各 学 校 に 基 礎 的 看 護 技 術 の 教 授 方 法 がまかされ,その実態も様々な実情',

3,4)

にある

こ の 看 護 基 礎 教 育 を 担 当 し て い る 我 々 は , 基 礎 的 看 護 技 術 を ど こ ま で 到 達 さ せ る か , 又 教 育 方法は十分であるかの検討を加えることは, ど の よ う な 看 護 職 者 を 育 て る か を 問 う こ と に な る

と考える。

そこで,基礎的看護技術の経験状況,各項目

毎 の 学 習 目 標 に 対 し て の 基 礎 的 看 護 技 術 の 到 達

(2)

状況,未経験者・見学者を除いた学生の各項 目 毎の学習目標に対する基礎的看護技術の到達状 況,各項目毎に学習目標を明確にする前と後の 学生の

到達状況より,現状分析を試み,問題点

を明らかにし,検討を加えたので報告する。

I I . 基 礎 的 看 護 技 術 項 目 の 選 定

と 学 習 目 標 の 設 定

本学第一看護科では,基礎的看護技術を,① 看護行動に共通する技術, ②日常生活に対する 援助技術, ③診原に伴う技術の観点から分けて いる 。 そして,卒業時までに修得させたい項目 を各項目別に

,最も基礎的な技術と考えるもの

は,学習

目標

を高くかかげて到達レベルを

明示

し て教育している 。基礎的看護技術をどのレベルま で到達させるかを明らかにすることは,教育上不 可欠な条件である 。第一看護科では,各技術項目 の学習目標の到達レベルを明 らかにする方法を昭

和61年度より検討してきた。 到達レベルと

して は,学習目標 I のレベルを学生自らが技術の実 施について判断でき,準備から実施・後始末まで 行うこととし,学習目標 I I のレベルは,看護婦の 少しの援助を受けながら実施することを目標に している 。 このレベルに選定した項目は

,学生

のみの判断では危険を伴い

,医療行動の中でも

目標 I にかかげた項目よ り,より 正確な判断が 必要となるものを取り上げている 。学習 目標 m

のレベルは,看護婦にほとんど援助されて実施 する技術である 。 このレベルは,学生では実施 の難度が高いが,看護婦の指示を受けながら技 術の理論と実施手順,判断方法を実体験の中で 学 ば せ た い も の で あ る 。 学 習 目 標 N のレベル は,見学する段階である 。 この段階では,救急 蘇生法,人工呼吸法をあげ,生命の危機状況の 治療 ・ 看護を肌で感じさせる体験を目的として いる 。 こ れ ら を も と に 項 目 を 選 定 し 学 習 目 標 を定めたものを表

l

に示している 。

皿 . 研 究 方 法 1 .

対 象 者

川崎医原短期大学第一看 護 科12期生47

名(回 収率100%

),13

期生52 名 ( 回収率94.5% 。 )

実習期間は

,12

期生 一 昭和60 年

6

月〜

61

年12 月 ,

13

期生 一 昭 和6

1

9月〜62

年1

2

月。両学年

とも約2,000時間の実習を行

っている。

2. 調 査 時 期

12期生・ 13

期生ともに卒業年次の

2月。

3 . 調 査 方 法

本学で使用している基礎技術経験録から,基 礎 的 看 設 技 術 到 達

1

犬況表を作成し,学生に各技 術項目の経験状況,到達状況を以下 の基準で記 入させた。

I  = 

1人

で実習できる(準備から後始末ま で )

I I

 

=看護婦の少しの援助で実習できる

ほとんど看渡婦に援助されて実習できる

w = 見 学 未 = 未 経 験 4.

集計・分析方法

基礎的看護技術項目について,各項目の分類 を氏家

5)

による分類を参考に分けた 。

A

群は,

看渡行動に共通する技術として30 項目 。B群は,

日常生活に対する援助技術として

21

項目 。C群 は,診療に伴う技術として6

1

項目とした 。各項 目について

,経験の有無,到達レベル

I N の 集計を行 った。

分析は,次の内容を

った。

①  基礎的看護技術項目別経験状 況

②  基礎的看護技術の学習目標に対する到達 状 況 ( 以下現状到達率とする )

③  基礎的看護技術各項

目の未経験者・見学

者を除いた学生の学習目標に

対する到達状 況

( 以下実施者の到達率とする )

④ 

12期生と13期生

の到達状況の

比較

w . 結 果

1 .

基礎的看護技術項目別経験状況

各項目における経験率は,表

1

の経験率に示 しているとおりである 。

経験者が全学生であった項目は,

112

目中 65

項目

(58%

)である。経験者が全学生の

90%

以上である項目は,

112

項目中

99

項目

(88.4%)

であり,約

9

割の項目を

90

%以上が経験してい る 。

経 験 者 が 全 学 生 の

90%未満の項目は, 112項 目中13項目であ

り ,

これは図1に示す未経験率

が10 %以上ある項目である 。A群は

(3)(17)(23)(30)

であり,

B群は該当する項目はなく, C群では

(3)

基礎的看護技術の到達状況に関する検討

15  表1 基礎的看護技術項目別経験率.到達率

A " 護 行 動 に 共 通 す る 伍 術 c 釈 に 伴う 杖 術

紅験名(l<A )  到 違 中 ( % )

叫 % 10 20 :II 450 60 70田田(X

到遠~(") 

(9

叫 %)10 20 

Xl~O 50 60 70 80lOC

(I駁富検沿 I 99  00  . 

(I内 甜 鯰 表 介 幼 Il  99  IO 0  . 

(2) itl鳥検益 I 99  00  .  (2) 外 祁 速ur 6 (1 . 

(3) 口陀検溢 1 5  " 6   ロ・・ (  "'  (3) 11人い伍鯰寮介肋 [ I IO 

(4電子体込計をbちいて I 99  lO  .  4) 聾 外 科 的 診 寮介肋 U 8 5 (3) 

C.,

(5) I 99  .  5) 泌尿科ぷ鯰霞介肋 II  8 (2) 

. 

(6) び吸D I 99  00  ,  (6) 配 科 益 察 介 肋 U 79  " 0   ."'

(7) 血圧拉淀 I 99  .  (7) 耳鼻尉円t"伍臼衣介肋 U 9  99 

(8) 島 レ ペ ル の観斥 I I8(1)  IO  .  (8) 9長の●庄 I 99  JO 0  . 

(9体位交侵 I 99 

, . 〕

姿

(IO) ペァドから車樟子への移動 I 99  .  (11年 か ら ベ ッ ド ヘ の 移動 I 99  . 

,.9)体 の●淀 I 99  00  . 

(IO)、 釦 刷 I 99  10 0  . 

(11腹囲の』伍 I 99  . 

(!2)  ペブドからストレッチャーヘのt9 I 99  ID  "'  (12)  If; I 99  lO  •3

(13)  安素良U位 の 工枕・布団 I 99  IO  ,  (13)  尿の伝取と祖出 I 98(1) 00  .  U) 毀・ 1lli位の玖 I 99  IO  .  (14便の四Rと社出 I 97(1)  " 0  

(15)  安 ・ 皿 位 の 工 夫む量 1 9  99  [■• (15)  血の四&と掛出 I 97(1)  9 9  

毀 ・ 暉 位 の 誌ー屠靱 1 9 

. . ,  

(¥6)  喀 の &と凶出 1 9  97 0  □ ..  (17)  安 ・ 暉 位 のエ夫ーギャブチペッ 88  " 9   ●  (17)  冑 疫 の 血とI! n 5  . 

(l8) ・女暉 位 のTーフッポー I 93  " 9   • • (18)  +二伝駄液の採取と視出

"  " 

5 5 

・〕 ・

(19) I 99  IO 

(19)  覆のための尿は取と担出 93  93  ..口0

(20)  叫 枷Jガウンテクニック I 99  IO 

. . { 

(211)  蓄尿のとり慢い万 (I)  lO  (21)  外科的ガウンテクニック D 99  IO 

  . .

(21)  紅口与凜 99  ID 

{22)i1'1 I 99  IO  ■■CD  (22) "'布,' 97  9 8   . .30 

(23)'ftiM!"'  学見

. ,  

'

(23) 98  99 

(2()  手拓のm 1 9  IO  O• • (2A)点 圏 98  99  ● ● □ 

ゴ ム 予 ぶで9tl I 99  IO  ,  F (I) 

" ' 

••

(25)  Ill儡子aゆ取投い I 99  IO  .  皮内注射 98  99  □ ●  ●  (27) t'ft'Jの取 い I 99  ID 

,, (27) 筋肉内注射 96  9 7   ・ ・

(28) 人戻片のオリエンテーシロン 93  93  ,  静注 の 匹 と 介 肋 97  0l .  (29)  寧 に む け てのn D 93  9 3   a • . , (29)  綸唖中の 向 (I)  . 

"'' 死亡 の" 11

7 7 '  

● ●  JO)  の匹と介肋 U 96  9 7  

p . .

(3l腹僭の用い方 I 99 

(l2)  角布の川い)j 1 8  ., 

(33)  を 蜘 切Illい方 1 8  " 9  

0

(3C弾力包苔の用い方 I 98  99 

< •~

B 日 常生活 にA」Jる 担lμ叔 叩 tt I 99  JO  . 

到 違

" ' ( " ' 0 0 I 

(NAn kl !O  20 30,o 50 60 70901

(36) I 99  ID  . 

(:rr) I 93  93 

(I店室のiftll雹皇i I 99  ID 

' 

(38) バァブ割 1  8  " 9  

. .   , .

2) 床頑台の整頓 I 99  ID 

' 

rt:  (39) 湯タンポ I 99  . 

(3) 紺屯のi'..la.険気瓜置! I 99  00 

(40) な泣布 I 9 (3)  91  • [)

(4) 討出のほ光・照明潤圃 I 99  00  .  (~I) ネプライザー吸人 I 99  ID  [•,

(5) 歩行史8のペッドの作り万 I 99  00  ヽ2) 帳素吸人 I 99(1)  IO 

(6就 床 烹 応ッドの作り方 I 99  lO  (43) 人工"吸因による険素虫法 97 (2)  ID  . 

g

(1) 卓椅子の輪送 I 99  10 0 

 

(8) ストレチャ一の輸送 I 9 (D  10 

  . .

9) 寝衣交換 I 99  00  . 

10シーツ交換 au氾l!~) I 99  DO   

(≪) 懐素テントか 97  . 

i

(◄ 5) imuth  tllllU¥h 人工"殺法 且 23 2 3  

(~6) マスク怯による数念 生注 6l(1)  . 

(47心マブサージによる枚:蘇生法 66 (I)  6 7  

. . ,  

~ (11)  口た 牙ift11煎庄患芥) I 99  00  .  (48)  →怜澤~,法 I 99  00  .  (12)  全身情拭 I 99  lO  l(49) 片妖忙惑引往

n  "  99  0... 

(13)  入浴介肋 I 7 (23) 

  . .

(50)  グリセ,)ン況島 I 99  lO 

  , .

i

'

l'I  (14)整 製 I 99  JO 

[ •

Ill  (5!) 皿 匹 D 9 0)  93  .' 0  

(15) I 99  ID 

{~) 女子 尿 I 99  10 0  .. 

(16)  食事介助 I 99  ID  . 

•o

(17食和劃急〜9工夫 I 96  97 0 

(53) 男子導尿介肋 I 99  IO 0  O••

尿

S..)  留霞カテーテJH遁人中の行珂 I 9 6 CJ) ID  ●●□ 

(18)  食事量のチェック I 99 

(55)" 訣 I 97  9 8  

  , .

'"  (19)  便 加 与 え 万 I 99  JO 0 

 

尿 も与え万 I 99  lO  . 

(21失 公 の 世 1 9  99 0 

  ( ・

慶棺立嗣 99 IO 0  ..c 

57 )  ● "  IO 0  DC 

( 胡) 

● "   口●●

見一見学 ●一裂状9 H (59)

' "  

●●o  c 

学見一学内見学 〇一実繕 わ 初 追 亭

(M)‑No anr

‑12 M (60)  中ふ"屍圧● Il  00 

‑13期生豆M (6!経音栄貴 I 99  00 

C

(4)

(

1

7 ) (

1

8 )  ( 3 2 )  ( 3 3 )  (

38) (

4 5 )  ( 4 6 )  ( 4  7 )  ( 5 $ ) である。この

13項目の

中には,学習目標 I ( 1 人で実習できる)の A 群 ( 3 ) 口腔検温,(

1

7 ) ギャソチベッド,

C群

( 3 2 ) 三 角布の用い方,( 3 3 ) 巻軸帯の用い方,( 3 8 ) パップ剤 が含まれている。また,特殊状況下でしか経験 できないと思われる A群 ( 3 0 ) 死亡時 の看護,

C群 (45)mouth to mouth

人工呼吸法,(

46)

マスク法に よる人工呼吸法,( 4 7 ) 心マッサ

ジ法による救急 蘇生法が含まれている

学習

目襟 未経験半

IC3mouthto  mouth人工呼吸法 C(18十二指脱液の採取と提出

AIJI口腔検温 学兄 A四'/i:i弗消甜

C(l;J¥'/液の採取と提出

IV  CUQマスク法による人工呼吸法

C鴎 腹 腔 穿 刺 IV  CU;J心マ9サ ー ジ 法 I

l

l  A00死亡時の行護

ca~バソプ剤

I C四三Iり布の月1い方

A{l;Jギャッチベッド

I CGlを紬常の用い方

図1 未経験率が10%以上ある項目

2.

現状到達率

1

の到達率の中で

●印

で示したものである。

学習目標に

対して全学生が到達した項目は, 11

2 項目中 2 2 項目 ( 1 9

.

6%) である。その内容は,

A 群 は 30 項目中 6 項目 (20.0% ) 召 1 ) ( 4 ) ( 5 ) ( 6 )

(7)(1

3 ) であり

B

群は21

項目中 6 項目 (28.6%)

で ( 1 )

(

2 )   ( 5 )  ( 7 )  ( 1 2 ) (

1

9 ) であり, C 群では 6 1 項目中

10

項目

(16.4%

)で (

1

)

(

8 )  

(

9 )  (

1

0 )   (

11

)  ( 3 5 )  ( 3 6 )  (

39) (

4 3 )  ( 4 8 ) で

ある

学習目標に対して

9 0 %以上の

学生が到達し

た 項目は, 1 1 2 項

目中57

項目 ( 5 0

.

9%

)である。

そ の内容は, A 群は 30 項目中 1 5 項目

(

50.0% ) で あり,全員が到達した 6 項目に加えて,( 2 ) ( 8 ) (

9

) (

1

4 ) ( 2 0 )   ( 2

1

) ( 2 5 )  ( 2 6 )  ( 2 7 ) である

。B群は

2 1 項目中

1

8 項目

(

8 5 .  7%

であり,全員が到達した 6 項目に加え て,( 3 )( 4 )  ( 8 )  (

9

)  (

11

) (

1

3 ) (

1

4 ) (

1

5 ) (

1

6 ) ( 1 8 ) ( 2 0 ) ( 2 1 ) である

C 群では 6 1 項目中 24 項目

(

39

.

3% )であり,全員

が到達した

10

項目に加えて

,(2

) ( 3 ) (

13

) ( 2

1

) ( 3 1 ) ( 3 7 ) ( 4

1

)  ( 4 2 ) ( 4 4 ) ( 5 0 ) ( 5 5 ) ( 5 6 ) ( 6 0 ) ( 6

1)

である。

学習目標に

対して

学生の到達率が

60%未満で

あった項目は, 1 1 2 項目中

15

項目 (

1

3

.

4% )であ る。その内容は,

A

群は 30 項目中

2

項目

(6.

7%

で ( 3 ) ( 2 3 ) の項目である

。B群は21

項目中該当する 項目はなく

,C群では

6 1 項目中

13

項目 (21.3%) で (

1

り ( 1 8 ) ( 2 5 )   ( 2 7 )  ( 2 8 ) ( 2 9 )   ( 3  0 )  ( 3 2 )  (

4 5

)  ( 4 . 9 )  ( 5 2 )  ( 5 3 )  ( 5 $ ) である

。こ

1

5 項目の中で,特に到達率 が低いものとして は , C 群 (

1

7 ) 胃液の採取と提出 ( 1 4

.1

%), C 群 (

1

8 ) +二指腸液の採取と提出 (

11.

1%

)

, C群 ( 2 5 )

皮下注射 (9.2% )がある。 C 群の (

1

7 ) (

1

8 ) は,経 験者のないものが多く, C

の ( 2 5 ) は見学者が多 いことから現状到達率が低い。そして, 学習目標 を I のレベルに設定している項目の A 群の ( 3 )

,

C 群の

(

3 2 )

(

5 2 )  ( 5 3 ) の 4 項目は,是非修得してほしい 項目にもかかわらず,到達率が低値である

次に, A 群•B 群 •C 群の群間の到達率は, 90

%以上の学生が到達した項目数でみると,図

2

a

に示すとおりである

。が検定の結果,

A‑B 群問では B 群が有意に高く

(p 

<  0

.

0 1 ) ,   B‑C  群間でも

B

群が有意に高率である

(p

<  0

.

0

1)。

A‑C 群間には有意差はみ られない

(p

0.05

)

このことより, B 群は,他の 2 群に比較して到 達率がよいといえる

さらに

,現状到達率を学習目標レベル別の到

達状況からみた場合を, 90 %以上の

学 生 が到達

した項目数でみると,学習目標 I

に設定した項

目は, 76 項目中 46 項目 (64.5%

)であり

,学習 目標 I I に設定した項目では, 24 項 目 中 7 項目 ( 2

9.2%

)である

。学習目標

m に設定した項目 では

6 項目中 1 項目 ( 1 6

.

7% ),学習目標 N に 設定した項目では

6 項目中 2 項目

(

33

.

3%) である

これらより,学習目標 I I・ i l l ・   N の現 状到達率は低く,十分に学習目標が到達してい

るとはいいがたい

3.

実施者の到達率

この到達率は,各基礎的看護技術項目の未経 験者・見学者を除いた学生を総数として,それ らの学生が学習目標に

対してどの

ぐらいの割合 で到達しているかを算

し,その事実から, も

し現在の実習方法で技術の実施をしたならば,

学習目標

に到達が容易 に可能な項目なのか,あ

るいは実際に技術を行っても,技術の修得が難

(5)

基礎的看護技術の到達状況に関する検討

17 

しい項目なのかをみようとしたものである。た だし

,学習

目標を N

(見学)に設定し

ている項 目については,総数の中に見

学者を含んでいる。

この結果は,表

1

の到達率の中で

0

印で示した ものである。

学習

目標に対して

実施者全員が到達し

た項目 は , 1 1 2 項目

中3

8 項目 ( 3 3

.

9% )であり,現状到

達率より16

項目

(14.3%)増加している。 A群

は 30 項目中 9 項目 (30.0% )となり,現状到達

率の

A 群であげたも

のに(3)(23)(30)が追加され,

B 群は 2

1

項目中 7 項目 ( 3 3

.

3% )となり

,現状到

達率の

B群にあげた

ものに ( 2 0 ) が追加され,

C群

では 6

1

項目中

22項目 (36.1

% )となり

,現状到

達率の C 群にあげたものに ( 2 4 ) ( 2 5 ) ( 3 7 ) ( 4

4)(4 5)(4 6)(4 7)(56)  (57)(58)(59)(60)が追加さ

れた

。し

かしながら,この 現状到達率より増加した

16

項目のうち,

A群の (3), B

の(20),C

の(25)(37)(60)を除く11項目は,

学習目標が

m

あるいは

N

であるため

,実施をす れば当然

100

%の到達率となる項目である

さらに

,学 習 目 標 に 対 し て 実 施 者 の

9 0 %以 上が到達した項目をみると,

11

2 項目

中85項目

(75.9%)が到達している。A群

は 30 項目

中21項

(70.0%)で

B

群は

21

項目中

18

項目

(85.7

%),  C群では

61

項目中

45項目(75.4%)である。

現状到達率の 90 %以上の学生が到達した割合と 比較すると,

28

項目

(25.0%)の増加となってい る。

この増加した 28 項目の中で,現状到達率よ

り10%以上の増加率をもって実施者の90

%以上 が 到 達 し た 項 目 は 1 9 項目であり, A群の ( 3 ) (

23)

( 3 0 )

C群の

(4)(6

(19) (

2 4 ) ( 2 5 )  ( 2 6 ) ( 2 7 )  ( 2 8 )  ( 2 9 ) ( 3 8 ) ( 4 5 ) ( 4 6 ) ( 4  

7)(57) 

( 5 8 ) ( 5 9 ) である。

特に A群

の ( 3 ) 口腔検温,

C群の

( 2 7 ) 筋肉内注射,(

28)

静注の準備の介助,(

29)

輸液中

の管理は,現状到達率 が60

%未満の項目である

これら

の19項目は,現状の到達率が低値にもか

かわらず,実施者の到達率は高値となり

,増加 した率も 1割 を 越

えるもので,実際に実施する ことができる状況となれば,

学習目標の到達も

可能となりうると考えられる項目である

それでは,学習目標に対して,実施者の到達 率 が 80% に満たない項目をみると,

112項目中 11

項目ある。

これは,実際に技術を行

ったもの だけでみても,到達状況が悪い項目であり,実 施すれば容易に技術を修得できるとはいいがた

い項目ではないかと思われる

この

11

項目は, C 群の

(12)(15

) (

1

6 ) (

17)(1

8 ) ( 3 0 )

(32) (33)(4 

9 )  

(52)(53)であり

,すべて

C

群の診療に伴う技術であ

る。その 中には,学習目標を I のレベルにおい ている C群の

(12)(15)(16) (32

) ( 3 3 ) (

52

) ( 5 3 ) を含んでいる。

実施者の A 群·B 群•C 群の群間の到達率は, 図

2

b に示すように,

90

%以上の実施者が到 達した状況では,

3

群間に有意差はない。しか

し,80%以上の実施者が到達した状況までレベ ルを下げてみると A‑C

群間では

A

が有意に高

(p

<  0

.

0 5

), B‑C

群間では,

B

が有意に高

(p

<  0 . 0 5 ) , 実 施 者 の 到 達 率 で は

,C群 が

a.

現状到達率

(90%以上の到達状況)

(%) 

100 

50 

5 0  

50.0  85.7 

3 9

.

1 5

0

 

0

..  

0 0   v> 

p p

••••  

*S 

•n

b.実施者の到達率

(90%以上の到達状況)

( 8 0 %以上の到達状況)

(%) 

~

10

1

0 0  

100 

85.7  I 

8 3 . 6  

75.4 

0

0  │ 

A  C 

• : p 

<  0

.

0 5  

ns : p 

>  0

.

0 5  

図2 A・B・C群間の到達率の比較

(6)

A・B

群 に 比 べ て 特 に 到 達 率 が 低 い

ゆえに,

C

群 は , 実 施 し て も 目 標 到 達 が 容 易 で な い項目

A・B

群 よ り 多 く 含 ん で い る

4. 12期生と13期 生 の 到 達 状 況 の 比 較

各項目における,

12

期生と

13

期 生 の 現 状 到 達 率 を 表

1の到達率 の 中 で12期 生 は口 印, 13期 生

は ■ 印で示している

また,表

2

では,到達率 を

10%

ごとに段階に分けて,

A・B・C

群ごと に , 各 段 階 ご と の

12

期生と

13

期 生 の 到 達 し て い

る項目数と割合,

12

期生と

13

期 生 の 到 達 率 の 差 の 検 定 を 示 し た

その結果,表

2

a

に示すよ うに,現状到達率の項目数では, A 群 , B 群 ,

C群 と も に 各 到 達 段

階において,

12期生と13期

生 の 間 に 有 意 差 は 認 め ら れ な い

(p

0.05)。

ま た , 実 施 者 の 到 達 率 に お い て も

,表2

b

に示すように,

12期

生と

13

期 生 の 間 に 有 意 差 は 認 め ら れ な い ( p > 

0.05)。

さらに,各項目における12期生と13期 生 の 到

表2 12期生と13期生の到達率別の項目

a.現状到達率の項

目数

[ 

100%  90%以上 80%以上 70%以上 6到 達0%以上 50%以上 4率 (%)0%以上 30%以上 20%以上 0%以上

12期生 11 (36 7) 17(56 7) 24 (80 0) 26 (86 7)  13期生 6(20 0) 16(53 3) 25 (83 3) 28(93.3)  A 12 ・ 13期生計 30  6(20 0) 15(50 0) 24 (80 0) 26 (86. 7) 

12期生と13期

生の差の検定 ns  ns  ns  n 12期生 9(42 918(85 721 (JOO) 21 (JOO)  13期生 9(42 919(90.520(95 2) 21 (100 12 ・ 13期生計 21  6(28 6) 18(85 7) 21 (JOO) 21 (loo

12期生と13期

生の差の検 定 ns  ns 

12期生 15(24 6) 27 (44 337 (60 7) 45 (73 8)  13期生 11 (18 0) 25(41.0) 34 (55 7) 42(68,9)  C  12 ・ 13期生計 61  10(14) 24 (39 3) 34 (55 7) 43 (70 5) 

12期生と 13期

生の差の検 定 ns  n ns  ns 

b.

実施者

の到達率の項目数

28(93 3) 28 (93 3)  29 (96 7) 30 (100)  28 (93 3) 30(100) 

n

21 (JOO) 2(JOO)  21 (100) 21 (JOO)  21 (JOO} 21 (JOO) 

46(75 4) 48 (78 7)  50(82 0) 55(90.2)  48(78 7) 50 (82 0) 

ns  ns 

30(100) 30(100) 30(100) 30(100)  30(100) 30(100) 30(100)  30(100)  30(100) 30(100) 30(100)  30(100

2(JOO)  21 (100) 21 (JOO)  21 (IOOJ  21 (100) 21 (100) 21 (JOO)  21 (100)  21(100)  21 (JOO) 21 (100)  21 (100

50(82.0) 5(83 6) 55 (90 2) 61 (JOO)  56(91 8) 57 (93 4) 58(95 l) 61 (JOO)  53 (86 9) 56(91 8) 58(95 I)  61 (JOO

ns  ns  ns 

13期生の率ー 12期生の率 ns: 

0.05 

100%  90%以上 80%以上 70%以上 6到 達0%以上 50%以上 4率 (%)0%以上 30%以上 20%以上 0%以上

12期生 15(50 022 (73 3) 28(93 3)  13期生 9(30.023 (76. 7) 29 (96 7 1・ 13期 生 計 30  9(30.0) 21 (70.0) 30(100) 

12期生と 13期

生の差の検 定 ns  ns  ns  12期生 9(42 918(85 7) 21 (I()()) 

13期生 II (52 419(90,52(JOO)  B  12 ・ 13期生計 21  7(33 3) 18(85 72(JOO) 

12期生と 13期

生の差の検定 ns  ns 

12期生 30(49 2) 46(75 4) 50(82 0)  13期生 24 (39 345(73.8) 52 (85 2C  12 ・ 13期 生 計 61  22(36 I) 46(75 451 (83 6) 

12期生と 13期

生の差の検定 ns  ns  ns 

30(100) 30(100) 30(10030(100) 30(100) 30(100)  30(100) 30(100) 30(1()()) 

21 (JOO) 21 (100)  21 (JOO)  21 (100) 21 (100) 21 (JOO 21 (1()()) 21 (JOO) 21 (JOO) 

53 (86 956(91 8) 58(95 I 58(95 159 (96 7) 59 (96 7)  55 (90 259 (96 759 (96 7

ns  ns  n

30(100) 30(1()()) 30(100) 30(10030(100) 30(100) 30(100) 30(10030(100) 30(100) 30(100) 30(100) 

21 (JOO) 21 (100)  21 (loo) 21 (100)  21 (JOO) 21 (100) 2(100) 21 (JOO)  21 (JOO) 21 (loo)  21  (JOO) 21 (1()()) 

58(95 1) 59 (96 7) 60(98 4) 61 (JOO)  61 (JOO) 61 (100) 61 (JOO) 61 (100)  59(96 7) 61 (JOO) 61 (JOO) 61 (loo

n ns  n13期生の率ー12期生の率 ns: 

0.05 

(7)

基礎的看護技術の到達状況に関する検討

19 

達率の差から到達状況を比較してみると,表

3

に示すとおりである。表

3

a

現状到達率でみ た場合の項目数でみると,

13

期生の方が

10

%以

上よい項目数の率は12.5%,悪い

項目数の率は

10.7%,5%以上

の差でみると

,よい項目数の率

17.0%

,悪い項目数の率は

21.4

%で

13

期生の 方 が

12期生よ

りややよい傾向がみられるが有意 の差は認められない ( p > 

0.05)。表3

b実施

者の到達率でみた場合の項目数でみても,

13

期 生と

12

期生の間に有意の差は認められない

こ のことより,

12期生と13

期生の到達率の傾

向は

類似しているといえる。

表3 各項目における12期生と13期生の到達率の差

>

‑10 1  ‑5.0  ‑4.9  +5 0  +10 0 

I  I  I  I  I 

差 ‑9.9  +4 9  +9.9  a  12  12  69  5  14 

b  4  12  80  7 

, 

:13

期生の率ー

12

期生の率(%

) a :

現状到達率でみた場合の項目数

b :

実施者の到達率でみた場合の項目数

なお,現状到達率でみた場合の項目数でみる と

13

期 生 が

12期生

より

10

%以上到達率が悪い項 目は,

A

群の

(20)(22),C

群の

(5)(7) (l 9)(22)(2~(33)(38)(54) (57)(59)

である。

13期生

12期生より10

%以上到達 率がよい項目は,A群 の

(3)(18)(29)(30),

C群の

(16) (26) (27) (28) (29) (3 0) (4 9) (52) (53) (5$)

である

v . 考 察

1 .

基礎的看護技術項目別経験状況

基礎的看護技術項目は.臨床実習中に一応の 経験が可能であろうと考えている項目である。

それにもかかわらず,未経験者が

10

%以上もあ る項目が 1 3 項目あり,学生の実習の仕方に問題 があるのではないかと考えられる。特に学習目

I に属する口腔検温,ギャッチベッド,三角

布の用い方,パップ剤は,

実習

中によく遭遇す

ると考えられる項

目である

。それにもかかわ

ずこのような項目を見逃がしているのは.学生

個々

にこれらの技術項目を学ぶ意味がつかめて

いないからではないかと考えられる。

臨床実習で頻度があると考えられる項目につ いては,例えば,呼吸困難のある患者さんには

ギャッチベッドを用いて安楽な呼吸ができるよ

う工夫する

,片麻痺の患者さんの理学療法中の

肩関節の保護のために三角布を用いるというよ うに技術についての条件設定を 1   2 種 類 明 示 しておけば,技術の未経験率がある程度は低下 するのではないかと考える

。特殊状況下で行わ

れ る , 死 亡 時 の 看 護,mouth t

o  mouth人工呼

吸法,マスク法による救急蘇生法,心マッサー ジによる救急殊生法の経験率が低いが,これは,

学生の意欲とも関連はあるが,その場に遭遇す るかどうかは

,臨床現場の頻度と共に,指

導者 の働きかけに関連があるのではないかと考える。

それは,学生では,臨床実習場内でそのような 事態が起

ているかどうかの情報は得にくく

的確な判断もできない

そのため項目を経験す るには,是非とも学生をその場に連れて行き,

看護の場面に立ち合わせていただけるような,

指導者の働きかけが必要であると考える

胃液採取と提

出,十二指腸液採取と提出につ

いては,近年の検査の多様性から検査の実施率 の低下が考えられる

また,実習病院が大学病 院という性格柄,この検査は医師自身が行

って

いることや,

学生の実習時間も経験率の低下の 一因と考えられる。

胃液採取については,学内 で 技 術 実 習 を 行 っ て い る こ と か ら

レビンチ ュープの挿入技術,検査物の提出方法,検 査 時 の看護など共通する援助技術の

中で繰り返えし

要点をおさえるとともに,検査がある時は,見

がさず,実習時

間も変更し

早出実習を行わせ る必要がある

。腹腔穿刺も頻度が高いとはいい

がた<,臨床実習で経験できにくい項目である ため,見逃がさないという意識づけを学生にし ておく必要があると考える

煮沸消毒については,学内の

1

年次の見学で は,意識づけが低いと考えられるため,実際に 消毒法として実習するべきではないかと考える

家庭では,哺乳瓶の消毒などに最も身近かに実 施されるものであり,一般的な消毒法でもあるの で,実際に実習する必要があると考える

その 意味では,巻軸帯の用い方も家庭でよく実施さ れるものであり,臨床現場では,ストッキネ

ト,弾力包帯の普及から徐々に使用頻度が減少

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