販売会社チャネルにおける
仕切価格体系とその維持
瀬 戸 贋 明 Ⅰ.販売会社チャネルにおける仕切価格体系。 ⅠⅠ.仕切価格体系を支える諸要素一遇送・保管 ・分類取揃え・情報研究の重要性−。 Il 序
垂直的統合をうちに含む寡占資本のマーケテイング・チャネルとしての販売 会社チャネルをその仕切価格体系から研究することは二重の意義を有すると考 えられる。1つにほ社会的配給費用の推定に資することであり,今1つほ別の ところ1〉で原理的に考察された寡占資本による流通過程支配の仕切価格体系へ の投影を研究することである。本稿での目的はこのこ側面を同一・のデータから 研究するところにある。 一・面において,寡占資本といえども,そのマ・−ケティング・チャネルにおい て垂直的統合を行ったとき,このことによって失う卸商の商品買取機能を統合 の中で回復しなければならない。そのためには,みずからの営業部を分離する ことによって生ずる販売会社の自立意識に.手を焼くことがあるのを承知の上 で,販売会社を分離・独立させて商業資本の商品買取機能を擬制させざるを得 なくなる。この視点は本稿にも社会的配給費用の推定として受け継がれる。す なわち,寡占資本は小売商,地区販売会社(厳密にはこれに2次卸商がつけ加 1)瀬戸贋明,『販売会社流通の基礎』(仮題),千倉書房,1984年刊行予定,第1章。香川大学経済学部 研究年報 23 ノ夕♂J 一ノノ(ヽ−− わる)とその粗マージンを分け合うのであるが,その分け合い方に社会的に一 定の整然たる関係が存在するのではないかという問題意識である。このことは 地区」販売会社と小売商の間に独立の2次卸商を介在させざるを得ない程度の力 しかもたない寡占資本(これほその産業自体の生産高が相対的に小さいことと も関係するが)の仕切価格体系をも含んだデータから推定され得るのでほない か。 しかし他面,垂直的統合をうちに含む寡占資本のマ1−ケティソグ・チャネル の研究として販売会社チャネルの仕切価格体系を研究することほ,(1)寡占資本 の流通過程支配の投影としての経路利潤2)の分配メカニズムの実証が期待さ れ さらに,こまかくなるが,(2)「流通費用の競争費用的性格の増大」3〉の分析 に資することが期待されるのである。 しかもこのような二面性の発見は同一のデータからなされなければならな い。方法として線形回帰分析の手法が用いられる。この方法を社会科学に適用 するとき,結果から原因を推定するときの不安ほついてまわるのであるが,し かし関係を分析する鋭敏な手法であることは後節でみるとおりであり,失うも のに比して得るところの大きいことについては,分析の進展につれて,了解さ れるであろう。
2 分 析 視 角
2い1社会的配給車用推定の視角 本小節は3節で行われる社会的配給費用推定の理論的基礎をなす。本小節は 荒川教授の社会的配給費用に関する理論の−3節における実証研究に有用な諸 点からなるという意味で一限られた紹介である。4〉 2)田村正紀,『マーケティング行動体系論』,千倉書房,1971年によれば,「経路利潤とはそ のマーケティング経路体系が全体として受けとる利潤である」(317ペ、−ジ)。『販売会社流 通の基礎』(仮題)(千倉書房,1984年刊行予定)で断ったように著者のマーケテイング・ チャネルほ田村氏のマ・−ケティソグ経路体系と,本稿の範囲において,異なるところがな い。経路利潤は本稿ではメー・カー点望小売価格と製造原価の差という意味で使われている。 3)風呂 勉,「流通費用と競争費用一商品流通の二側面性の論議にかかわって−」,『商 大論集』第27巻3・4号,1975年,72−81ページ。 4)荒川祐書,『商業構造と流通合理化』,千倉書房,1969年,第1章「流通合理化の前提, 社会的配給費の把捉」。販売会社チャネルにおける仕切価格体系とその維持 −JJ7− 配給費(distributioncost)は「生産物の社会的移転にともなう諸経費を指す」 のであって,これは2つの範疇に分かれる。すなわち,生産物の物理的移転に ともなうー具体的には輸送・保管・包装などに対する−支出と,純粋流通 費に分かれる。配給費を計測する場合には次の9ノ酎こ?いて調査設計時と分析 時に調査者が態度を変えないことが肝要である。 1厳密な標本設計に基いた調査より得られたデータであること。これは標本 の無作為性と,企業別調査か商品別調査か,配給段階の識別性をはっきりさ せておくことに密接な関連がある。 2.小売販売価格として,消費者が実際に支払った価格を採るか,メ・−か一箱 望小売価格を採るか。 3“同一・企業,同一・商品であっても,配給経路は複数個あり得,それに対応し て配給段階の粗マ・−ジンひいては製造原価と最終版売価格の開差が異なり得 ること。 4‖ 製造原価の定義をしておくこと。 5.メ1−か一における製造価格以外の諸費用をどこまで配給費に織込むべき か。 6“商品がどのように購買されるかといった消費者行動との関連における市場 的特質が,商品の技術的・物理化学的性質,その性能などと同時に,考慮に 入れられる分析が行われているか。 7い もし平均をとるとして,どのような計算方法を採用するか。単純な算術計 算でよいか。これと関連すること.であるが,メーカー製造原価と最終版売価 格の開差をそのまま集計平均して,社会的配給費としてよいか。 8純粋流通費について何等かの程度において計測ができるか。 9.各段階の利潤をどこまで社会的配給費に含ましめるか。ここで利潤とは粗 マ、−ジンから原価,各種の費用を差引いた残りである。 以上の9つの点について答えられるものでなければならない。第9点ほ本稿 での実証研究が社会的配給費の研究として十分なものとなっていないことを示 している。しかしながら,各段階の粗マ・−ジン率を調査・分析の中心に据えた ことほ,本稿の今1つの研究視角である寡占資本による流通過程支配の仕切価
香川大学経済学部 研究年報 23 −JJβ− ノl)JJ
格体系への投影の研究にとってほきわめて重要な意味をもっているのである。
2.2 寡占資本による流通過程支配の視角
脚注1に示す章においてわれわれは寡占資本の定義として市場集中度の高いことと参入障壁の2点を挙げた。しかし,マ1−ケティング論における寡占の定
義としてほ,これに当該「製品の市場価格に有意な影響を与えうる」5)ことを組
込まなければならないことを知っている。これを組込んだ定義の含意は寡占資
本がそのマ1−ケティソグ・チャネルにおいてメ1−か一箱望小売価格を100とし た仕切価格体系を構築できる程度に応じて成員間への経路利潤6)の分配を彼の意図に沿って行うことができるということである。7)このことは筆者の調査に
おいても,メ・−ブトー痛望小売価格を設定して各段階の仕切価格(ということは メーか一希望小売価格を100とした粗マ1一ジン率)を決定できること自体8)市 場集中度と参入障壁のある産業とメー・か一に特有のもの(具体的には地区版売会社で全国の市場をカグァ・−している層に特有)であり,総販社/を有するがそ
の次に卸商を介在させている層はメーか一希望小売価格を設定できず,たとえ
設定したとしても,各段階の仕切価格を決定できないので,設定したメーか一
希望小売価格の維持には役立たないことがこの層に特徴的なのである。
ところで,粗マージンには競争費用的性格をもった流通費用が,商品がどの ように購買されるかといった消費者行動との関連における市場的特質にしたがって,含まれている筈である。こうはいってもこれを析出することに目的が
あるのでほなく,このこと.の認識を欠いては仕切価格体系の市場的特質の把握
に失敗するであろうと筆者ほいいたいのである。端的にいえば,われわれは,
例えば,耐久消費財市場のもつ仕切価格体系と化粧品,洗剤等のもつ仕切価格
5)田村正妃,『マーケテイング行動体系論』,7ページ。 6)ここで経路利潤とは(メーカー+地区販売会社+2次卸商+小売商)粗マージン率のこ とである。 7)田村正妃,『マーケティング行動体系論』,322ページ。 8)「もとより,寡占企業が表示価格を設定・指示することによって,それがただちに現実 の取引価格になるわけではない。1‥表示価格はここでは準拠価格として依能する。その意 味で,垂直的表示価格体系が表現する商業企業の名目マージン(nominalgrossmargin)は 厳密に彼の実現マ1−ジシ(realizedgrossmargin)と一徹するものでないとはいえ,前者は 後者を基礎づ仇 それをルーズに規定するものと考えてさしつかえない」。石原武政,「垂 直的価格政策と経路支配」,鳩営研究』第30巻第3・4号,1979年,163ページ。販売会社チャネルにおける仕切価格体系とその維持 −JJ9一
体系を識別せずして,両者を1つとした仕切価格体系の研究に・とどまるべきで
ほないであろう。 3 販売会社チャネルtこおける仕切価格体系−メーカー希望小売価格を100として−
3い1い 予備的考察 本節で行われる販売会社チャネルにおける仕切価格体系の実証研究につかわ れているデー、タのチャネルを予め示しておくことが有用であろう。表ト3−1ほ総販社チャネルを,表Ⅰ‖3−2はその割合を示す,総販社と
表Ⅰ,3−−1総販社チャネル,1970年 参加醐反売会社一卸 商−′ト売商−ユーザー (代理店) ヤ 、不 ル チ 新設販売会社 表Ⅰ3−2 総販社チャネルの割合,1970年 売上高 チャネル(0,1) ウェイト
95%CI 015 005 006 2 005 019 003 006 053 010 4 013 002 001 5 018 008 010 6 024 005 004 005 004 001 2又は3 012 072 *2又は3又は5 029
079 * *他を舘出していない。香川大学経済学部 研究年報 23 表Ⅰ3−3 地区販売会社チャネル,T6社,1980年 チャネル番号 割合(0,1) ノ9β3 ーJご()−一 ′卜売店−ユ−サー 05 (1) 地区販社 (2) 地区敗社−2次卸−′ト売店−ユーザー 0125 ユ・−サー 0375 (3) 地区販社 地区販売会社の併存するチャネル(チャネル番号2と3)は売上高ウェイトで 0一72と棲めて大きく,このことが寡占資本の極めて優勢であることを示すが, 各標本点のウェイトを同等にして表す(0,1)9)割合では僅か0“11と小さくな る。しかるに,本節の計算にはこの(0,1)割合で各標本点が推定に参加し ていることほ注意されなければならない。
表Ⅰ3−3は地区\販売会社チャネルとその(0,1)割合を示す。3層に属
する1975年標本16社.のうち,親メーカーの地区販売会社へ・の出資比率の不確 かな2標本点を除いた14標本点のうち,親メ・−カーによる100%出資は,1980年現在で,6標本点(規模Aに属する4社の全てこと規模Bに属する1社,規
模Cに属する1社)であり,100%出資でない標本点が残りの8標本点(すべ
て規模Cに属する)であるが,この8標本点のうち1標本点の親メ・−か−の出 資比率は10%台である。 また,耐久消費財・同類似産業財か非耐久消費財かで分けると,前者に属す る標本点数は9,後者に属するものほ7である。産業部門別では,自動車(乗 用車を意味する),自動二輪車,フオ・−クリフト,家電,農業機械,台所用セッ ト,医療機器,化粧品,ゴム底布靴,革靴,音楽テ1一ブ,洗剤,塗料である。 32 データの性質 販売会社の親メーか一・に対する役割,販売会社の力ほ親メ1−か−と販売会社 の問の仕切価格の決定方式に現れる。これについては別稿10)で考察した。そこ で特徴的であったのは,「価格体系としてほメ・−カー・販売会社ほ一り体である」 9)そのチャネルに属する標本点に1を与え,そうでない標本点に0を与えるという意味で, (0,1ノ)割合と呼んでいる。 10)瀬戸贋明,「販売会社と地区販売会社」,『香川大学経済論叢烏舞51巻第5号,1978年。 吼「経済成長と販売会社一統言十的研究−」,『香川大学経済論叢』第54巻第1号,19飢 年。販売会社チャネルにおける仕切価格体系とその維持 −J・2ト ということであった。このことほ総販社チャネルにも地区販売会社チャネルに もあてほまることであった。しかしそこでほ,総販社なり地区販売会社なりの 先にある中間(2次,3次)卸商,小売商をも含めた仕切価格の決定方式につ いては考察の対象とされていない。われわれは,メ・−カーから小売店に至る販 売会社チャネルにおける仕切価格の決定方式を脚注10)に示す論稿におけるよ うな思想として考察する視角を持たないが,メーか一癖望小売価格を100とし た各取引段階における仕切価格が統計的に本節で研究される。 本節のデータは全て,筆者による面接調査によって得られたものである。調
査時期は1981年6月から1982年3月にかけてである。面接調査は4種輝に分
けられる。第1は1970年度,1975年度と1980年度と3回にわたって時系列
データを得るために行われた1970年総販社腰本に対するものであり,第2ほ1975年度と1980年度の2回行われた。1975年追加総販社標本に対するもので
あり,これもやはり時系列データを得るためのものである。この第2の1975年 追加総販社腰本に対する調査結果ほ本稿では利用されていない。第1の1970年 総販社標本に対する調査結果ほ本節34総販社チャネルにおいて用いられて いる。標本サイズ等についてほ拙著『版売会社流通の基礎』第3章,第11章を 参照されたい。 第3ほ1975年度と.1980年度の2度にわたって時系列データを得るために行 われた1975年地区販売会社標本に対するものであり,第4ほ1980年度に行わ れた1980年度追加地区販売会社腰本に対するものである。この第3と第4の標 本ほ,総販社を介在させず,直接的に地区販売会社を有しているメーか−を標 本点とするもので,どちらも1/1抽出である,すなわち悉皆調査である。うち 1975年標本についてほ別稿11)で標本サイズ等に触れているので,ここでは 1980年追加標本について紹介しておこう。1980年追加地区販売会社標本ほ,1981年9月から12月にかけて行われた郵
送調査から得られたものである。行政管理庁長官の「目的外使用」の許可を受 けて,大蔵省法人企業統計調査調査票(法人名簿)から資本金1億円以上の全 製造企業約6,000社を選んだ。12)これら約6,000社に対して,販売会社,販売金 11)瀬戸周明,「販売会社と地区販売会社」,『香川大学経済論叢』第51巻第5号。 12)標本を待た調査についてほ拙著,『販売会社流通の基礎』,第3章Ⅰ節を参照されたい。香川大学経済学部 研究年報 23 ーイ2a舶 J71フJし㌻ 融会社を萌するや否や,有している場合に.はその有し方(販売会社濫ついては, 総販社か地区販売会社か等)について郵送質問紙法により回答を求め(回収率 83%),うち,この5年間に全国の市場を地区.販売会社でカヴァ・−するように なったか,この5年間に資本金が1億円を超えたか,あるいは他の層(とくに 4層特定の地区に販売会社を有している)からこの5年間に.3層に移ったか, この3つのケー・スのいずれかに属するメーカ−5社.と5年前の調査から漏れて いた1社の計6社に対して1982年3月に面接調査が行われたム規模と回収率は
以下の通りである。層と規模については以下のようである。3層とは全国の市
場を地区販売会社でカグァ・−・している層である。メ−か−の資本金規模が1億円から10億円未満は規模Aに,10億円から50億円未満は規模Bに,そして
50億円以上は規模Cに属する。
1980年追加標本(全数) 回答拒否 規模 層 A B C 3 4 1 0 規枚 屑 A B C 3 1 () 0 この1980年追加地区.販売会社腰本ほ5社である。しかし,メ、−カー東望小売 価格を100とした各取引段階の仕切価格(したがって各粗マージン)について 回答のあったのは4社である。しかし,1つの企業が複数の業種に属しており, 仕切価格体系も相異なる場合がある。業種によってステイジ数(取引段階数) も仕切価格も異なる場合には,この違いをそのまま統計に反映した方がよいと 筆者は判断した。そこで回答メ・一・カ一数ほ4であるが,以下のデータの取救い では.業種からみて6メーカ、−とみなしている。 3種の標本の全てを通じて,データの性質に関して,2つの点が注意されな ければならない。その1つは標本点のもつ値(values)に関するものであり,今 1つは製造原価に関するものである。第1の点に関しては,仕切価格したがっ て粗マ・−ジン率(本稿では粗マージン率をメ・−カー希望小売価格を100とした ものとして示している)が幅をもって調査設計者である筆者に与えられた場合 には,その幅の中では一・様分布しているものとして,平均値が仕切価格として販売会社チャネルに.おける仕切価格体系とその維持 −J2ヲー 採用されていることである。メ1−か−は同じ業種の中でもいろいろな製品を製 造している。例えば家電メ・−・カーでほ,100円のオーダ・−の電球から10万円の オ・・−ダー・のカラーテレビまで製造し,同一・のマーケテイング・チャネルに乗せ ているのである。小売店の粗マ・−・ジン率は少なくとも人件費,経費等をカグァーー するものでなければならないが,そのためにはたとえ電球の回転率がカラ・−テ レビの回転率よりも大きいことを考慮してもなお,電球の粗マージン率ほカ ラ、−・ テレビのそれよりも大きくなければならないであろう。この例の場合, 家電小売店の粗マージン率としてほ加重平均で示されるか幅をもって示され る。回答ほ単一・の値か幅をもって与えられた。幅のある回答が与えられた場合 にほ,できるだけ加重平均的(メ、−カ、−の出荷時の製品構成とメ1−か一希望小 売価格から加重平均される)な値を得ることに努めたが,これが不可能な場合 には,幅の中では−・様分布しているものとみなして,平均(−・様分布を仮定し ているこの場合にほ中位数でもある)をそのメ・−カーの全製品の仕切価格とし て採用した。この幅は専ら小売店への仕切価格(小売店の仕入価格)に現れて いる。自動車,建設機械,農業機械のように地区」販売会社が直接にユ・−ザ1一に 販売する場合に.は,メ・−か−の地区販売会社への仕切価格にこの幅が現れ得る。 第2の点は製造原価に関するものである。1まず大きく,製造原価には物の製 造原価と企業の製造原価がある。前者ほ企業の枠をこえて社会的にとらえられ たものである。例えば,同じく自動車を製造するといっても,フォ1−ドのよう に鉄鋼から自動単組立までを同一・のメーカーが行う13)ヶ・−スから,鉄鋼はいう に及ばず,車種によっては車体までも協力企業が生産するアセンブリメ、−・カー のケースまで製造と企業の関係の仕方は様々である。流通粗マ・−ジン率(=卸 売+小売粗マージン率)との対比で製造粗マージン率を考える視点からは物の 製造原価が選ばれるであろう。しかし,本稿でほ販売会社せ有するメーか−の 製造原価と粗マージン率を推定するという視点から,企業の製造原価が選ばれ る。 しかし本稿での企業の製造原価に.ほ次のような問題点がある。調査した全て 13)藻利重隆,『経営管理総論』(第二新訂版),千倉書風1965年,第3章「フオ・−ド・シス テムの本質」。
香川大学経済学部 研究年報 23 J夕βJ …J24− のメ・−か−から製造原価の回答が得られたのではないのである。流通粕マー・ジ ン率の回答のあったメーカーのうち,メーか一粕マ1−ジン率−したがって製 造原価−の回答のなかったものについてほ,同時に与えられた財務諸表より 計算した数値を充てざるを得なかった。計算方法と標本点の識別は該当の小節 で示される。 3.3 地区販売会社チャネル 331小売店粗マ血ジン率,卸売粕マ1−ジン率, メ、−カー粗マージン率一 算術平均一 総販社せ介在させず,直接に地区腰売会社を宥するメーカーのマ・−ケティソ グ・チャネル(あるいほ同じことだが,チャネルズ・オブ・ディストリビェ・・一 ショこ/)14)は,われわれの研究にとってもっとも重要である。1975年標本でほ, (1)メーか−・地区販売会社・小売店・ユ・−ザー・,(2)メーカー・・地区」販売会社・ 二次卸・小売店・ユー・ザ、−,(3)メーカー・地区販売会社・ユ・−ザ・−・め3種のチャ ネルに分かれる。割合ほ(1)が0.5(=8/16),(2)が0.125(=2/16),そし て(3)が0。375(=6/16)である。(3)は小売店の存在しないチャネルで,業種 でほ自動車,農業機械,運搬機械,医療機器等がこれに属する。これに属する 地区販売会社の粗マージン率ほ,ユ、−ザ、−・へ直接販売する費用(例えば,大き な人件費)がこれに含まれるため,チャネル(1)あるいは(2)に比して大きい(数 値は後小節3.32で与えられる)。そこでこの(3)を除いて,チャネル(1)と(2)か ら,流通粗マ、−ジン率(卸売マ・−・ジン率+小売店マ・−ジン率)とメ・−カー粗マー ジン率を計算することにしよう。すなわち,われわれは小売店をチャネルに.も つ地区販売会社チャネルの各取引段階における仕切価格を観測することにな る。10個の標本点の流通粗マ、−ジン率の平均ほ38,15(卸売12い04+小売店26 11)であり,標準偏差は290である。同じくメーカー粗マ・−ジン率の平均は28 21であり,標準偏差は1319である。2つの標準偏差の値から分かるように, メい・・−・・カー粗マー・ジン率のバラツキが大きい。流通粗マージン率は38い15であり, メーカー粗マージン率は28.21であるから,メ・−か−の製造原価の平均は33 65である。以上をまとめれば,このようにいえる。メー・か−は製造原価(これ 14)荒川祐鼠「チャネル概念とチャネル行動」,『国民経済雑誌』第112巻第5号,1965年。
販売会社チャネルにおける仕切価格体系とその維持 −J25− ほいうまでもなくメ・−カーの工場での製造原価であって,メ1−か−のついやし た−・般管理費・販売費は含まれていない)33.65の製品を61..85で地区販売会社 に仕切り,地区販売会社は,これに.12.04の自社魔マ・−ジンを加えて,73.89で 小売店に仕切り,小売店は,これに26.11の自店粕マ1一ジンを加えて,100で ユ・・一ザ1−・に売渡すのである。なお,ここでは2次卸の粕マージンほ地区」販売会 社に含めてある。 算術平均を用いれば,地区販売会社チャネルにおける仕切価格体系は上のよ うに推定することができる。しかしながらわれわれは,小売店粗マージン率, 卸売粕マージン率そしてメ・−か−・粗マージン率の間に存在する関係一例えば 線形関係−を用いて,推定値の改善ができないかを考えよう。そして次小節 3.32でみるように,改善された推定方法として線形回帰分析を用いることが できるのである。 33.2 回帰分析 33.21卸売粗マ1−ジン率と小売店粕マージン率 33.2‖1.11975年標本 図Ⅰ“3−1ほ卸売粗マージン率と小売店粗マージン率の間に負の相関があ ることを示している。16標本点のうち2標本点は地区販売会社の次に2次卸を もっている。 線形回帰分析は説明変数であるⅩの値を動かすことによって被説明変数で あるyがどのように確率的に変化するかを観測して,両者の間の関係を1次式 で推定する。yは確率変数であるが,Ⅹほ確定変数である。したがって,卸売粗 マージソ率と小売粗マージン率のどちらをⅩとするかほ,理論的にほ極めて重 要である。このことについて確たる判断の材料に乏しいが,16標本点のうち, 地区販売会社に対するメーカーの出資比率が51%以上100%までの標本点が 14を数えることから,地区販売会社に対するメ・−カーのコントロールはきいて いるものと判断される。この意味では地区.販売会社粗マージン率をⅩとする根 拠があるように思われる。しかし,地区」販売会社をコントロールしているから こそ,小売店粗マー・ジン率の変化に応じて,メ、−か−は地区販売会社粗マージ ン率を変化させるという側面が強いかもしれない。この意味では小売店粗マー
J夕βJ 香川大学経済学部 研究年報 23 メー・か−・地区販売会社が(中間卸)・′ト売店 ×:地区販売会社の粗マ・−ジン率のみ ⑰:(地区販売会社+中間卸)粕マー・ジン率 ×:(′ト売店+中間卸)粗マージン率 □:1980年標本 −J26− 圏 ++匠 小売店粗マージン率︵メーカー希望小売価格を100として﹀ 回 田 20 y=3720−111x 胸 y=4194−121Ⅹ 式(1) 5 0 1 y=4585−191x 1かうち1ぺは 1980小楯本点) 2点(うち1点は1980了卜標本点) 30 15 20 25 10 卸売粗マ・−ジン率(メーか一希望小売価格を100として) 図In3−1卸売粗マージン率と小売店租マージン率
ジン率をⅩとすべきように思われる0以上を要するに,小売店魔マ・−ジン率と
卸売粗マ1−ジン率のどちらをⅩとすべきかについて確たる判断の材料に乏し販売会社チャネルにおける仕切価格体系とその維持 −ヱ27− いといわなければならない。しかしながら,われわれは販売会社チャネルにお ける販売会社の役割に関心を集中しているのであり,この意味において,小売 店粗マージン率との関連では地区.販売会社粗マ・−ジン率をⅩとし,メー・か一粕 マージン率との関連でほ流通粗マージン率をⅩとする。なお,16標本点のうち 2標本点は地区販売会社の次に2次卸をもっているので,われわれは地区販売 会社粗マージン率にかえて卸売粗マ・−ジン率(地区版売会社瀧マージン率+2 次卸粗マー・ジン率)を用いなければならない。このことの妥当性は図Ⅰ.台−1 より明らかである,すなわち,2標本点に関して1卸売粗マージン率を用いて ほじめて,卸売粗マ・−ジン率と小売店粗マージン率の間に負の強い相関が認め られるのである。 囲Ⅰ.3−2と図Ⅰ3−3は図Ⅰ.3−1の標本点の分布をヒストグラムで 15 20 25 30 地l毒敗う一己全社粗マージン率(メーカー兎望小売価格を100として) 図Ⅰ.3−2 地区販売会社租マージン率の分布 10
香川大学経済学部 研究年報 23 ノダβJ
T
20 25 30 35 小光店粗マージン率(メーか一希望小売価格を100として) 図Ⅰ.3−3 小売店租マージン率の分布 示したものである。図Ⅰ.3−2は地区販売会社粗て−・ジン率を表す。2次卸の 粗マー・ジン率はこれに含まれていない。これによると,チャネル(1)と(2)の地 区.販売会社の粗マージン率とチャネル(3)の粗マージン率の大きさに明瞭な差 がある。図Ⅰ.3−3ほチャネル(1)と(2)の小売店粗マ1−・ジン率を表す。これに よると,小売店粗マ、−ジン率は対称な分布(symmetr■ic distribution)を形成し ている。 いまわれわれの用いる回帰式は説明変数を1つ含む。説明変数が1つの回帰 式は次のようである。 理論的回帰直線を y=α+βx+uとする。ここでy観測値で確率変数,X観測値で確定変数,α定数項,β
回帰係数,uyが確率変数であるために必要とされる誤差項。 仮定1uは確率変数で,その分布には平均と分散が存在し,Ⅹ,α及びβと は無関係である。 仮定2 uの期待値はゼロである。すなわち,E(u)=0。販売会社チャネルにおける仕切価格体系とその維持 −J29岬 仮定3 uの分散・共分散行列は,単位行列の定数倍である。すなわち, E(uu′)=∂2ん。 仮定4 uの分布は多変景正規分布である。すなわち,u∼Ⅳ(0,q2J乃) 実際に観測される標本からなる標本回帰直線は次式で与えられる。 γニα方+∂ この式で,αと∂ほそれぞれαとβの推定量である。したがって.γほyの推定 値である。yと.γの差の2乗和の平均
A=吉敷(α州卜y‘)2
を最小にするようなαと∂を求めるのである。計算過程は専門書15)に委ねるこ ととし,結果は, −・・….
∂=ダー鳶
minA=忘真(晋(机−か(γゴーダ))2=鍬卜藷)
ここで を相関係数と呼んでいる。これから分かるように,観測値と推定値の偏差の2 乗和を最小にするような推定量αと∂ほ,Ⅹとyの相関係数が大きければ大き いほど,良い推定量となるわけである。 上の回帰係数の推定量が意味するように.,回帰係数の推定量αと∂のあてほ まりの良さほxとyの相関係数の絶対値の大きさに依存するのである。すなわ ち,相関係数㌢・ズγが大きければ大きいほどαと∂に信頼が置けるのである。しかし図Ⅰ3−1の回帰直線(2)−これは16個の標本点の全てを用いたもの
であるが,チャネル(3)すなわち小売店の存在しないチャネルの卸売粗マージン 15)回帰分析を実際にデータを処理する立場から解説した専門書として,例えば石田正次, 『データ解析の基礎』(森北出版,1977年)が薦められる。本書の解説もこれに依った。香川大学経済学部 研究年報 23 ノ(フィズ −J3クー 率値が小さいことから−ニはチャネル(1)と(2)の標泰点の観測値を縫うように 走ってほいない。この回帰直線(2)は,しかしながら,自動車,自動二輪車,農 業枚械等地区腰売会社が■直接にユ・−ザ・一に販売するケ・−スをも含めた,地区販 売会社チャネル全体の仕切価格体系の研究には欠かせないのである。そこでわ れわれとしては,チャネル(3)を含む仕切価格体系と,これを含まない仕切価格 体系の両方を研究すべきではなかろうか。 図Ⅰ.3−1の回帰直線(1)ほチャネル(3)の標本点を含んでいない。また, チャネル(2)に属する標本点のうち図Ⅰ.3−1において肉太タイプ(×)で示さ れる1つの標本点を含んでいない。この1つの標本点を回帰直線(1)の推定に用 いていない理由については,やや複雑であるので,拙著『販売会社流通の基礎』 第11章で詳論したい。さて,回帰直線(1)は y=40.93651−1..21096Ⅹ (10.74).(3.78) γ方γ=−0.82,尺2−0‖62 (1) (カツコ内は′僧) β2\自由度修正済決定係数 と表される。この式から次のことがいえる。すなわち,(1)卸売粗マージン率は 小売店粕マージン率の1.21倍(小数点以下3位4捨5入)に相当する,あるい ほ卸売マージン率の1単位の増減は小売店粗マージン率の121の減増に対応 すること,(2)卸売粗マージン率をゼロとすれば,小売店粗マージン率は40,.94に なること,の2点である。40.94ほ小売店が受取るべき粗マ、−ジン率を意味する のではなく,メIpか−・・小売店チャネルにおいて流通(distr■ibution)に対して支 払われるべき粗マージン率を意味する。以上を要するに,卸売粗マージシ率と 小売店粗マージン率の間に線形な代替関係が存在すると推定されるのである。 この線形な代替関係はまた,卸売粗マ・−ジン率が小売店粗マ、−・ジン率の1.21倍 にあたるという意味において,チャネル(1)と(2)においては流通粗マ・−ジン率 は一・定であると推定させるのである。 上のような線形な代替関係は標本点が偶然にとった値から得られたみせかけ のものであるのか,それとも何等かの必然性があるものかに,われわれの関心 が集中するであろう。この点について1つの判断材料がある。それは地区\販売 会社の次に2次卸をもつ2標本点に.関するものである。図Ⅰい3−1ではこの2
販売会社チャネルにおける仕切価格体系とその維持 −J3ノー 標本点の2次卸粗マージン率は,地区販売会社粗マ1−ジン率にプラスされて, 卸売粗マージン率に含まれている。ところで,囲Ⅰ.3−1上の△というマ・−ク の1つの点(dot)をみられたい。この1つの点は,2次卸の粗マージン率が小売 店粗マージン率にプラスされたものである。この点ほ回帰直線(1)のやや下方に 落ちている。この標本点のメ・−カーには売上増をはかるために採るべきマーケ テイング戦略に2種の可能性があるであろう。1つは小売店粗マージン率を増 やすことによって売上増をはかることであり,今1つほ2次卸を使って,これ に分与すべき粗マ・−ジン率は,小売店粗マージン率をあわせても,2次卸を使 わない場合に分与すべき小売店粗マ1−ジン率(これほ回帰直線(1)上に.ある)よ り小さくおさめることである。この標本点の小売店は自社製品の専売店ではな い。これを自動車や家電のように自社.製品の専売店にするにはいろいろな条件 が不足しているが,なかんずく市場規模からの制約が大きいのである。かくし て,メ・十か−としてほ,売上増をはかるにあたって,2次卸を使わず直接に小 売店に販売する場合に分与すべき粗マージン率よりやや小さく決まる点に2次 卸粗マ1−ジン率を決めることができる。すなわち,メ1−カーはこのよう′にマー ケテイング・チャネルを設定する(選択する)のである。心然性をこのような 各メ・−か−・の行動の結果という意味に用いることが許されるならば,われわれ は回帰式の成立を必然的であるということができよう。 さて,ユ1−ザ一に直販せずに小売店を用いる地区\販売会社チャネルにおける 卸売粗マージン率と小売店粗マージン率の間の線形関係をわれわれは上のよう に推定することができたのであるが,地区」販売会社を直接に有するチャネルの 全体について何等かの有用なことを言うためにほ,チャネル(3)をも含めた全標 本点の間の関係を観察しなければならないであろう。この関係は囲Ⅰ‖3−1に おける回帰直線(2)で次のように与えられる。 y=45.85026−1.80759x (11“40)(7.饅) ㌢・ズγ= −0。90,β2=0.80,(カツコ内は′一億) (2) この回帰式における回帰係数(傾き)一1.80759は回帰直線(1)に.おける億 1.21096よりも符号が同じで絶対値が大きい。ユ・・−ザー へ通販する地区\販売会 社の粗マージン率が直線の傾きを鋭くさせている。
香川大学経済学部 研究年報 23 一了ヱ2− ノ夕♂J この回帰式(2)からは,回帰式(1)の場合と同じく,(1)卸売粗マー・ジン率は小 売店粗マー・ジン率の1い81倍に相当する,あるいほ卸売粗マー・ジン率の1単位の 増減は小売店粕マージソ率の1.81の減増に対応すること,(2)卸売粗マージン 率をゼロとすれば,小売店粗マ・−・ジン率ほ4585になること,の2点である。 45.85は小売店が受取る粕マー・ジン率を意味するのではなく,メ、−カー・小売店 チャネルにおいて流通(distribution)に対して支払うべき粗マIN・ジン率を意味 する。以上を要するに,卸売粗マ・−ジン率と小売店親マ・−ジン率の間に線形な 代替関係が存在すると推定されるのである。この線形な代替関係はまた,卸売 粗マ・−ジン率が小売店粕マージン率の181倍にあたるという意味において, チャネル(1),(2)そして(3)の全てを通じて,流通粗マ1−ジン率ほ−・定であると 推定させるのである。 小売価格が高ければ小売店粗マー・ジン率ほ低くてよく商品回転率が大きけれ ば小売店粗マ・−ジン率ほ低ぐてよいであろう。このように小売店粗マ・−・ジン率 の決定ほ小売価格,商品回転率と密接に関連している。しかしながら,このよ うに他の要因と密接に関連しながらきまる小売店粕マージン率の変化が卸売粗 マ、−ジン率の変化と相関関係にあるという局面(aspect)を本章は研究してい るのである。小売店粗マージン率の変化を説明する変数としての商品回転率に ついてほ拙著『販売会社流通の基礎』第11章で詳論したい。
3.3.2.1.21980年追加標本
19飢年に行った,資本金1億円以上の全製造企業(ただし,印刷関連を除く) 5,713社に対する郵送調査の結果,新たに,全国の市場を地区販売会社でカ グァ・−していると回答のあった5社7業種(うち1社1業種は回答拒否)に対する面接調査(1982年3月に実施)の結果は次のようである。6業種6点を図
Ⅰ3−1上にプロットしたところ,4点が1975年デー・タによる回帰直線(1)及 び(2)の右方に落ちるのである。それもかなり離れているのである。このことか ら,1980年追加標本(以下では「追加」を省略することとする)に関していえ ば,1975年標本について成立すると推定される流通粗マージン率−・定は成立 せず,小売店粗マージン率に比しての卸売粗マージン率の大きなことが観測さ れるのである。この回帰直線の右方に落ちる4点に共通するのは中間卸の存在販売会社チャネルにおける仕切価格体系とその維持 −ヱ且ヲー である。この中間卸としては,2次卸のみの業種と,3次卸の存在する業種が ある。 1975年標本と1980年標本の業種に重なり合うものはない。したがって,この 両標本の違いが業種の性格に由来するという可能性を否定し去ることはできな い。しかしながら,メ、−カーの販売会社に対する売上高規模からみて1975年標 本がほるかに大きいこと(平均で,178,936百万円(1975年標本)対17,881百 万円(1980年標本)),1975年標本の1981年現在のマ・−ケティソグ・チャネル は成立以来相当の年月を経て安定しているとみられること,1975年標本の標本 点の当該業界における地位が高くかつ安定しており,寡占的業界が多いことか ら,流通粗マ・−ジン率一・定ほ無条件に実現するものではないと考えられるので ある。
33‖2.131975年標本と1980年標本を1つのグル・−プとした場合
これまでみて釆たように,1975年標本と1980年標本を同質のものとみるこ とはできない。しかし,1980年現在で全国を地区販売会社でカグァーしている 標本の全体について何等かのことを言う場合にほ,この両標本を一・体のものと しなければならないであろう,そこでこの両標本を合わせた21標本点(1975年 標本の15と1980年標本の6)について回帰関係を推定してみると, y=34‥68573−0.96633Ⅹ (4.731)(2.658) γ・方一γ=−0‖52,斤2=0‖23(カツコ内はい値) (3) となる。卸売粗マージン率と小売店粗マージン率の間に代替関係があり,した がって流通粗マ、−・ジン率は一・定と.推定されるが,卸売粕マー・ジン率の1は小売 店粗マージン率の0‖97に相当するにすぎないことが分かる。このことは卸商 (これには地区販売会社と中間卸の両者を含む)を用いることによる流通費用 低減効果がないことを意味する。 33‖22 流通粗マージン率とメーカー粗マージン率 3一ノ3ノノ2一ノ2.ノ11975年原本 卸売粗マー・ジン率と小売店粗マージン率に関するこれまでの考察でわれわれ は,両粗マ、−ジン率の間に線形な代替関係が存在すると推定することができた。 それでは,この両粗マージン率の和である流通租マ1−ジン率とメーカー粗マー香川大学経済学部 研究年報 23 J夕♂J 度 数 10987654321 15 20 25 30 35 40 メーか一粕マ・−ジン率(メ・−・か一兎望′卜売価格を100として) 図Ⅰ,.3−4 メーカー粗マージン率の分布 45 10 ジン率の間にほどのような関係が存在するか。本節の課題ほこれの研究である。 メ・−カ、一粗マ・−ジン率の分布は図Ⅰり3−4に示されているが,バラツキが大 きいのが特徴的である。最大値から最小値を差引いて得られるレインウは393 と大きい。流通粗マージン率のレインジは25である。 流通粗マージン率をxとし,メーか−粗マ・−ジン率をyとした相関国はⅠ 3−5に与えられている。この相関図の16の標本点のうちの3標本点を異常値 として,回帰直線のαと∂の計算からはずすことにする。1つの点は,他の14 の点からみると,流通粗マージン率との関連で異常にメ1−か十粗マ、−ジン率が 低く,他の1つの点にやはり流通粗マージン率との関連で異常にメ1−か一粗 マージン率が高いのである。業種なり,業界の需要の大きさからみて,このよ うな僧をとる十分な個別の事情があると察せられるのであるが,これら2つの 点を算入することによって1975年標本の特性をつかみ損ねることをおそれる のである。最後の1つの点は卸粗マージン率をxとして小売店粗マージン率を yとした前節の回帰分析から除外しているのであるが,この点のメーカー粗 マージン率が流通粗マージン率との関連でやほり異常に低い。 さて,流通粗マー・ジン率をxとしてメーカー・粗マージン率をyとした回帰式 はy=αeβズuで与えられるのが適当のようにみえる。そこでこの式の両辺を対 数変換して,
販売会社チャネルにおける仕切価格体系とその維持 −J35一
20 25 30 35 40 45
流通粗マージン率(メーカー希望小売価格を100として) 図Ⅰ3−5 流通粗マージン率とメーカー粗マージン率1975年標本
香川大学経済学部 研究年報 23 −J3(ヲー ノ夕∂3
logy=10gα+βx+logu
とおく。推定回帰式ほlogy=2.01587+0.03495Ⅹ
(5.86)(3.29) 斤=0小70,斤2=0.45,(カツコ内ほ巨億) 自由度11のど検定の5%棄却域ほ1,796 (4) 回帰式のあてはまりの良さを表す相関係数は0.70と式(1),(2)における値 (−0.82,−0.90)をかなり下まわっている。 式(4)によれば,(1)流通粗マ・−ジン率とメー・カー粗マ、−ジン率の間には線形 な代替関係はない,(2)両者の間にほ正の関係がある,(3)回帰係数∂の値が正で あることは95%f検定畳の値から保証される,の3点の推定が可能である。 この式(4)はわれわれの常識を覆すように思われる。何故ならば,この式(4) ほ,流通粗マ、−ジン率をより大きく分与するメ・−カ1−はより大きなメ1−カー粗 マ・−・ジンを待ていることをわれわれをして推定せしめるからである。 ところで,われわれは3.3‖2.1卸売粗マー・ジン率と小売店粗マ・−ジン率の節 で算術平均の流通粕マージン率は38.15,メーか−・粗マー・ジン率は28.21であ ることを知った。今や,われわれはメーカー粗マ、−ジン率の推定をつぎのよう に改善できる。今,式(4)のⅩの値として38.15をとれば,メーか一粗マージン 率の推定値yの僧は28.48となる。したがって製造原価は33.37と推定される。 式(2)において,卸売粗マ・−ジン率を0とした場合,小売店粗マ、■−ジン率は 4585と推定されている。この数値45,85をxの値とすれほ,メ1−か一粗マ・−ジ ン率の推定値yは3728となる。したがって製造原価は16.87と推定される。 式(4)の弱点に触れなければならない。図Ⅰ3−5をみれば,読者は流通粗 マ叫・ジン率の大きな(例えば40という)値をとるメーカーのメーカ、一粗マージ ン率が観測値よりも小さく推定されることに気付くであろう。例えばx=40 に対応するyは30.38と推定されるにすぎない。この欠点を改善するために y=α+βⅩ+βx2 という回帰関係を想定して推定を行えば, y=120.3918−7小98122x+014756Ⅹ2 (2.38)(2.22) (2.46) (5)販売会社チャネルにおける仕切価格体系とその維持 −J37一
点=0.77,点2=0い594,(カツコ内は行値)
という推定式が得られる。この推定式において,Ⅹを40とおけばyは′37J24と
推定されることとなり,より観測値に近付くのである。しかしこの二次式の欠
点は「元の値の増加とともにyの値は増加する」といえないことである。この推
定式においてはyの最小値がx=25のあたりにあることである。これが式(5)
を採用しない理由である。流通粗マ・−ジン率が20から25のメーか−のメ丁
か一粗マ−ジン率のバラツキが大きいのであるが,この大きなバラツキを説明
する変数が必要なように筆者にほ思われるのである。
ところで,Ⅹ:=27に対するyの値は(4)式からほ27.36であり,これほ(5)式
からの2710と極めて近いのであり,推定としては安定しているといってよい
であろう。最後に,データについて1つの注意が必要である。小売店粗マ・・・・・・ジン率と卸
売租マ、−ジン率についてほ16標本点の全てから回答が得られたが,メーか一粗
マ1−・ジン率についてほ,4標本点から回答を得られなかった。そこでこの、4標
本点については,次のような推計方法を採らざるを得なかった。当該標本点に
ついて, A=100一流通粗マ・−ジン率 B=メーカーの売上高一売上原価C=B/(メ、−か−の売上高/A)
(6)このCをメーカー粗マージン率とする。この推計は次の仮定を前提としてい
る。メーカーの中には地区」販売会社濫対して売上割戻しや売上値引をするrもの
がある。メー・か−の売上高はそれだけ小さくなるのである。しかしこのような
推計方法は,このメーカーによる売上割戻しや売上値引はないと仮定している
のである。このような仮定の上に成立っている推計方法によって算出される値
は本来のメーカー粗マージン率より低く出るのが普通である。したがって図Ⅰ
3−5の標本点のうち,上の推計方法で得たデータの点は,もし面接調査時に
回答が得られておれば,上方に移動するであろう。その結果として,回帰直線
の傾きがややゆるやかになるであろう。したがって流通粗マージン率38・15に
対するメ、−カー・粗マージン率の推定値は22..17よりやや小さくなろう。した
香川大学経済学部 研究年報 23 ノダβJ ーJ3ざ− がって製造原価は3968よりやや大きなものとなろう。 本節のための大筋の議論はここで終わる。 以下では,参考のために,メ・−・か−・の損益計算書から(6)の推計方法で得られ たメー・カー粗マー・ジン率をyとした,流通粗マ・−・ジン率Ⅹとの相関図を図Ⅰ 3−6に,同じく(6)の方法で得られたメーか一粗マ・−ジン率−−・般管理費・販 売費を図Ⅰ3−−7に掲げることにしよう。われわれほ図Ⅰ.3−6からは正の 相関を,図Ⅰ.3−7からはメ・−カー・粗マ・−ジン率−−・般管理費・販売費が大き くは−・定であることを見出すであろう。この最後の点を式(4)と考え合わせると き,流通粗マージン率,メーカー・粗マ・−ジン率ともに大きいメーか−なり産業 においては−一山般管理費・販売費も大きいことが理解されるであろう。この−・般 管理費・販売費の大きいこと.が,りべ、−・ト,宣伝広賃費等のマ・−ケティソグ関 メーカー粗マージン率 ︵損益計算雷より算出、 メーカー希望小売価格を100として︶ (×) 0 5 0 2 2 3 (×) (×) (×) (×) (×) (×) (×) 30 35 20 25 40 45 10 15 流通粗マージン率(メ、−カー希望小売価格を100として) 図Ⅰい3−6 流通租マージン率とメーカー租マージン率 1975年標本
販売会社チャネルにおける仕切価格体系とその維持 −J39− メーカー租マージン率マイナス一般管理習・販売督 ︿メーカー希望小売価格を100として﹀ 0 0 5 1 1 2 ():メーカー粕マージン率を損益計界雷より (×) (×) (×)(×)(×) (×) (×) 20 25 30 35 40 45 流流粗マージン率(メーカー希望′ト売価格を100として) 15 図Ⅰ…3−7 流通粗マージン率と(メーカー粗マージン率−一般管理費・販売費) 係の費用の大きいことを意味するのかという点については,データがない。し かし,少なくとも大量の宣伝広告費を必要と.しているメーカーなり産業の−・般 管理費・販売費がより大きいということはいえる。また,りべ、−トのない標本 点ほない程に,リベートほ−・般化していることも,実施した標本調査結果より いえる。
3322.21980年標本
1975年標本に関して,卸売粗マージン率と小売店粗マ・−ジン率の間に線形な 代替関係が存在すること,流通粗マー・ジン率とメ−か−粗マ1−ジン率の問には 正の相関のあること,の2点が推定された。ところが,1980年標本に関してほ, 卸売粗マ・−ジン率と小売店粗マージン率の間に線形な代替関係の存在すること は推定されなかったのである。それでは流通粗マー・ジン率とメーカー粗マージ ン率の問にはどのような関係が存在すると推定されるか? この目的のために われわれは図Ⅰ.3−8を利用できる。われわれほ図Ⅰ‖3−8の相関図から,香川大学経済学部 研究年報 23 ノリ∫.T 30 35 40 45 流通粗マージン率(メーカー希望小売価格を100として) 50 55 25 図Ⅰ.3−8 流通粗マージン率とメーカー粗マージン率 1980年標本 1980年標本に関しては,流通粗マー・ジン率とメ、−か一塊マー・ジン率の間に負の 相関があることを予想できよう。6つの点からの線形回帰或は(7)のように推定 される。 (7) y=27.20755−0.29717Ⅹ (4。.92)(2“36) γ一方y=−0.76,斤2=0.48 (カツコ内は′一億) 流通粗マ・−ジン率を45‖85にとったときのメーカー粗マージン率は13.58と 推定される。これはメーカー・小売店・ユー・ザーというチャネルに関するもの である。このとき製造原価は,40.57と推定される。また流通粗マ、−ジン率を 38.15にとったときのメーカー粗マージン率は15.87と推定される。これはメ、− カー・地区販売会社・中間卸・小売店・ユーザ、−というチャネルに関するもの である。このとき,製造原価は45.98と推定される。
販売会社チャネルにおける仕切価格体系とその維持 −J4ノー 流通粗マ1−・ジン率との競合の中で,メーカーは製造原価の低減へと向かうこ とになる。製造原価低減のための有効な方策は大きく製置工業と機械工業とで 異なるが,これらについてはすでに論じるところがあった。16〉 3.3。3 結論 われわれは,算術平均により,地区販売会社チャネルにおける小売店粗■・− ジン率,卸売粗マ1−ジン率,メ・−カー粗マ・−ジン率をそれぞれ26..11,12.04; 2821と計算する。ただし,地区販売会社カゝらこ1・−ザ、−へ直接に販売するチャネ ルの標本点は,これを加えれは分散が非常に大きくなるという理由で,省かざ るを得なかった。 しかしながらわれわれは2つの変数の間の相関を利用することにより,推定 を改善できた。われわれのデー・タから推定された線形回帰式によれば, 1975年標本に関して,(1)卸売粗マージン率と小売店粗マーー・ジン率の間に線形 な代替関係が存在すること,(2)流通粗マ・−ジン率(=卸売粗マ、−ジソ率+小売 店粗マージン率)とメーカー粗マ・−ジソ率の間に正の相関が存在すること,の 2点が推定されるのに対し, 1980年標本に関して,(1)卸売粗マー・ジン率と小売店粗マ丁・ジン率の間には線 形な代替関係ほ認められないこと,(2)流通粗マー・ジン率とメーカー・粗マージン 率の間に線形な代替関係が存在すること,の2点が推定される。 1975年標本と1980年標本の業種に重なり合うものはない。したがって,この 両標本の間のこのきわだった差違が業種の性格に由来するという可能性を否定 し去ることはできない,しかしながら,メーカーの販売会社㌢こ対する売上高規 模からみて1975年標本がはるかに大きいこと(平均で178,936首万円(1975年 標本)対17,881百万円(1980年標本)),1975年標本の1981年現在のマー・ケティ ソグ・チャネルほ成立以来相当の年月を経て安定しているとみられること,1975 年標本の標本点の当該業界における地位が高くかつ安定しており,寡占的業界 16)瀬戸贋明,「生産期間と流通期間」,『香川大学経済学部研究年報』20(1980),177−233 ペー・ジ。同,「省力化投資の判別基準の実例」,『香川大学経済論叢』第54巻第3号,1981 年,69−90べ−・ジ 。同,「販売会社を有するメ・−カーの生産期間と工数の研究」,『香川大学 経済論#』第54巻第2号,1981年,55−82ページ。同,「連続生産,ロット生産,同時化 生産」,『香川大学経済学部研究年報』21(1982),129−191ページ。
香川大学経済学部 研究年報 23 ノ夕♂J −J42−
が多いこと,これに反し1980年標本の標本点の売上高規模はそれほど大きぐな
く,寡占的地位にあるとは認められないことが指摘される。しかし業界自体が
寡占的でないと断言できる程に著者の知識は深くない。
3.4 総販売会社チャネル3.4.1総販売会社瀾マ、−ジン率を除いた流通粗マ・−ジン率と総販売会社の
粗マ、−ジン率,1970年標本親メ、−か一に対する総販社の役割は親メ・−・か一に対する地区版売会社の役割
とは異なる。両名の役割が異なるであろうことは,現象的にも1つのマーケテイ
ング・チャネルに総販社と地区\販売会社が並存することで推測し得るであろう。
商業資本の産業資本に対する2つの機能が商品買取機能(金融磯能)と価値実現機能であるとすれば,商業資本の産業資本に対する機能を親メーカーに対す
る関係において擬制して成り立つ販売会社.システムにおいては,親メーか一に
対する商品買取機能を総販社が受持ち,親メ・一−カーの製品の価値実現機能を地
区版売会社が受持つのである。それでは前節におけるように,絶版社を介在さ
せず,直接に地区傲売会社をもつチャネルでは,総販社の受持つべき磯能はど
うなるか? この場合は2つに分けられる。1つほ,親メ、ニカー・の流通資本の
回転期間が短く(具体的にほ売掛債権回転期間が短く),商品買取機能を総販社
に求める必要がないケースで,化粧品,洗剤等の業種によって代表されよう。
今1つは耐久消費財に代表される業種に.共通することであるが,販売金融会社
が総販社に代わって金融機能を受持つケ・−スである。以上は総販社と地区\販売会社.の親メーカーに対する役割の相違についての要
旨であるが,このような比較は現象からの抽象によって得られた「理論」とい
う性格をもつものである。われわれはこの「理論」を「総販社が存在すれば,
地区販売会社が存在する」が,この道は必ずしも真でないというように表現で
きる。17)しかし実際には総販社チャネルには必ず地区.販売会社が存在している
かというとそうではない。売上高ウェイト計算で,メ・−カー・総販社・地区.販
17)瀬戸贋明,「日本経済と販売会社」,『経営学論集』,日本経営学会論,千倉喜房,1978年, 175−180ページ。販売会社チャネルにおける仕切価格体系とその維持 −J4∫− 売会社というチャ\ネルを採用しているメ・−か−の割合が棲めで大きいというこ となのである。しかしながら,ユ・1−ザ、−・までのチャネルを措いてみれば,総販 社と地区販売会社の並存するチャネルにおいてすら,地区」販売会社・ユーザ・− というチャネルと地区販売会社・小売店・ユーザーーというチャネルに分かれる のである。 絶版社と地区販売会社が同一・のチャネルに並存する割合が売上高ウェイト計 算で高いということは経済に与える販売会社システムの影響という現点からほ 極めて意味のあるところである。しかし,売上高をウェイトとしない場合には, 総販社と地区版売会社の並存する割合はそれ程大きくないのである。各チャネ ルとその割合は表Ⅰ.3−2の通りである。この1970年標本を1980年に調査し たとき,依然として絶版祖をもっていたのは45メーカ仙で,うち調査の全項目 に対して回答拒否したのは3標本点であった。しかし,仕切価格体系について ほさらに回答率が悪く,21標本点から適切な回答を得たにとどまった。サイズ 45で回答が21では母集団特性の推定には無理があるであろう。ここで母集団 特性とは,総販社チャネルにおける(1)小売店粗マ・−ジン率と卸売粗マ・−ジン率 の相関・回帰関係の推定,(2)流通粗マー・ジン率とメ・−カー粕マ・−ジン率の推定, の2点である。 回収率が低いということの上に,今1つの問題がある。それほここでの販売 会社が絶版放であり,地区\販売会社の役割を兼ねる総販社があったり,地区販 売会社は有しないが,その代わり地方代理店等中間卸を経由するケースがあっ たりして,チャネルが地区販.売会社チャネルに比して,変化に富んでいること である。 次のような問を発せられたとき,われわれはこれにどう答えられるか? す なわち,稔販社チャネルにおける仕切価格体系は地区.販売会社チャネルにおけ るものとは異なるのかと。メーカーと地区販売会社.の間に総販社が介在する必 然性は親メー・カーに対する商品買取機能にあり,地区販売会社チャネルにおい てはこの枚能を販売金融会社が受持つということであれば,地区.販売会社から ユーザーに至る諸取引段階に落ちる粗マージソ率には,大きくいって,差異が あってはならない筈である。もっとも,厳密には,絶版社の枚能と販売金融会
香川大学経済学部 研究年報 23 −ブイ.ノー ノ夕♂J 社の機能には,前者が売買取引の中にあるのに対し,後者は金融機能のみであ ることから,地区販売会社からユ・−ザ・−た至る諸取引段階に及ばす影響にも, 費用一例えば配送費用・−の負担等で微妙な差が出るであろうが。 上の問に答える1つの道ほ,次のような方法で総販社独自の粗々−・ジシ率を 推定することであろう。 方法総販社の粗マージン率と小売店の粗マ・−ジン率が分かっていることを 条件として,式(2)を用いて,小売店の粗マ・−ジン率=45け85026 −1い80759xによりⅩ(=地区販売会社の粗マ・−ジン率十中間卸の粗 マ・−ジン率)を算出して, 総販社の粗マ1−ジン率−Ⅹ=絶版社独自め粕マージン率とする。こ こで「独自」とは,チャネルが,メーカー・総販社・地区販売会社(・ 中間卸)・小売店と変わった場合の総販社のマ、−ジン率という意味に 用いられる。 次の2例はこの方法の麺解に役立つであろう。 例1 メーカー・総販社・小売店というチャネル。小売店粕マ、−・ジン率を27小5, 総販社粗マ、−ジン率を22.5とすれば, 275=45,85026−180759Ⅹ X=10。15 22‥5−10小15=12‖35 この12‖35が,チャネルがメーカー・総販社・地区.販売会社・小売店と変化し た場合に受けるべき総販社の粗マージン率である。 例2メーか−・総販社・問屋・小売店というチャネル。小売粗マ、−ジン率を 17.5,総販社粗マージン率を15,問屋粗マージン率を11とすれば, 17.5=4585026−1.80759x x=15.68 地区販売会社を含む卸の粗マージン率は15.68であるが,すでに問屋に11だけ 支払っているので, 15−(15“68−11)=10.32 が,チャネルがメ・−カー・総販社・地区販売会社・小売店と変化した場合に受
販売会社チャネルにおける仕切価格体系とその維持 −J45− 度 数 図Ⅰ小3−9 総販売会社チャネルにおける小売店粗マージン率の分布 1970年標本,1980年 (ユ・−ザ1−へ直販の地区販売会社の粗マージン率を含む) 総販売会社粗マージン率(メーカー希望小売価格を100として) 図Ⅰ−3−10 総販売会社チャネルにおける総販売会社粗マージン率の分布 1970年標本1980年
香川大学経済学部 研究年報 23 ノ夕βJ ーJ46− けるべき絶版社の粗マージン率である。 標本面接調査から得られたデータによる小売店蘭マ、−・ジン率と総販社粗マ、− ジン率ほそれぞれ図Ⅰ3−9と図Ⅰ.3−10に与え.られている。そして,総販 社粗マ・一ジン率と地区販売会社.以遠の流通瓶マ・−ジン率の相関図が区=仁3 −11に与えられている。これら3つの図に与えられているデータから y=45.85026−1..80759Ⅹ を用いて推定した絶版社月虫自の粗マージン率の分布を図Ⅰ.3−12に,最後に,この 推定された絶版社独自の粕マ、−ジン率をyとし,同じく推定された地区販売会社 以遠の流通粗マージン率をⅩとした相関図が図Ⅰ・3−13に与えられてゝ、る。 図Ⅰ3−13に.おいて,左下方に撒布している諸点ほ産業的消費者向けの製品 を扱っている標本点のものである。これを除くと,個人消費老向けの製品を扱っ ている標本点の総販社粗マ・−ジン率の値ほ,Ⅹの値とほ関係なく,ほぼ10から 11の近辺に撒布している。 総販売会社粗マージン率 ︿メーカー希望小売価格を100として︶ 0 15 0 2 ×← 紺 × 小 2・【i 0 5 ユ0 15 20 25 30 35 40 45 流通粗マージン率(メーカー希望小成価格を100として) 図Ⅰ.3−11流通粗マージン率と総販売会社租マージン率の相関図 1970年標本1980年
販売会社チャネルにおける仕切価格体系とその維持 −J47一 5 10 15 20 25 総販売会社粗マージン率(メーか一希望小売価格を100として) 図Ⅰ,.3−12 総販売会社独自の粗マージン率の分布 地区販売会社チャネルの線形回帰式(2)を用いて推定 30
資本金50億円未満のメ、−か−(標本点)は1/3抽出である。図Ⅰ3−9,
図Ⅰ3−10及び図Ⅰ.3−12では,これらの標本点を3倍している,すなわち
度数を3として表している。しかしながら,Xとyの相関図である図Ⅰ・3−11
と図Ⅰ3−13でほ,資本金50億円未満の標本点についても,1点は1点とし
て表している。総販社チャネルにおいて,地区傲売会社が実際に存在しているメーカー・の割
合が,売上高ウェイト計算で,極めて大きいことは既に述べた。そしてこの地
区\販売会社が実際に存在しているメ1−カーの主要な部分は自動車と家電のメー香川大学経済学部 研究年報 23 −7・Jざ− ノク♂J 25 30 35 40 5 10 15 20 図Ⅰ3−13 総販売会社独自の租マージン率を除外した流通粗マージン率 と総販売会社独自の粗マージン率の相関図,1970年標本1980年 1975年地区販売会社標本線形回帰式(2)を用いて推定(ただし,左下方の 5点を除く) 乗用車,カラー印画紙,石油を除く。 カーである。ところが,図Ⅰ,3−9から乗用車メーカー・の総販社の値はほずし ている。乗用車の絶版社が親メ・−カ・−から受取る車両マージンは流通経費をカ デァ、−するのに必要な程度におさえら・れており,収益源は車の販売が実現して 後の他の手段一例えば部品,鉱油の販売一に求められている。このため乗 用車の総販社の粗マージン率は親メーカー・の仕切価格体系の中では異質であ る。カラー印画紙の仕切価格体系は消費者に至る途中の現像所での製造的工程 に.大きく影響を受けており,これも異質である。これが図Ⅰ.3−13にことぁっ ている理由である。