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アトピー素因とIL −17F 遺伝子の役割に関する研究 学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 高 橋 大 輔

学 位 論 文 題 名

     気 管 支 喘 息 の 発 症 や 病 態 に お け る     J

アトピー素因とIL −17F 遺伝子の役割に関する研究 学位論文内容の要旨

    ア ト ピ 一 素 因は 気 管 支 喘 息な ど の ア レ ッレ ギ ー 疾 患 発 症の 重 要 な 危 険因 子 と 考 え られ て い る 。 若 年 齢 者 に お け る 抗 嚥 特 異 的IgE抗 体 陽 陸 に よ っ て 定 義 さ れ た ア ト ビ 嘲 の保 有 率 は 、 こ れま で の 報 告によ ると2L鰯(1978鋼、25.讎(1981年)、35.鼎(1985網、39.4%(1991年)、さらに65.讎(1998 年 )と増 加して いる。 ー方、 学童 期喘息 缶燥ヤ 弼駆辞 も&2%(1982年) から4,6%(1992年)と上昇し て い る が 、 そ の 堪 む ロ は ア ト1嘲 の 増加 ほ ど 顕 著 では なk、 。 これ は 抗 原 特 異 的IgEの 産生 亢 進 の み 弼 ま 、 喘 戯 こ 繃 瓣 劬 気 道 の 惻 生 ア レ ル 苹 一 性 炎 症 ― こ | 蛭 ら な い こ と を 同 わ せ る 。 ア ト ビ ー 素 因Iこ カロ え て 、 何 ら かの 宿 主 測 堰 抒が 喘 帥 燭 鑪 薄病 賦 こ 重 要 な衡 恥 ≧ 果 た して いると 考えら れる 。     今 回 我 々 は 宿 主 側 の 因 子 と し て イ ン タ ー ロ イ キ ン17Fに 着 目 し た 。 イ ン タ ー ロ イ キ ン17

(nH7) フ ァ ミ リ ーは 最 近 発 見 され た サ イ ト カ イン フ ァ ミ リ ーの ー っ で あ り、 種々 の炎症 性メ ディエ ー タ ー の 蔚 曲 を 誘 導 【 す る こ と に よ っ て 細 織 局 所の 炎 症 に 揆 附 る。 駐 ま で にIL―17^へfの6和 勦 タ イプカ 洳られ ている 。特Iこn17F|湖隣 棚髀CD4鰍灯 細剏 ―とい った喘 ゆ―

に 深 く 関 与する 細蚫 によっ て産生 され〜 気道 ヒ皮細 胞、血 管内皮 細髄な どの 気通押 髄購跚 包から のサ イ ト カ イ ン やケ モ カ イ ン 、成 長 因 子 、 接着 因 子 の 発 現を 誘 導 す る 。 ヒト 喘 息 患 者の検 討で は、抗 原吸Z に よ りILl17F遺 伝 子 の 気 道 での 発 現が 亢進し 、マウ スモラ シレ鼎 まILI17Fカ謬p白抗 原に誘 導され だア レ 少 ギ ィ 生気 芭 楚 症 を 増強 さ せ る こ とが そ れ ぞ れ 報告 さ れ た 従 っ て、I卜17Fは 特にア レIルギ― 性気 道 炎症の 発宦丶 維持に おいて 重要 な役艶Iを 果たし ている 可能陸 があ る。

    本 職Iこ おb丶 て は 喘 朗 ) 麹 猷 礦 態jこ お け る ア トB一 素 因 とILl17F遺 罐 融 ) 役 割 を 検 討 す るため に、以 下の研 究を行 った

研究1 :日本人騰皀J 緒と非嚇餓蟐魯こおけるアト B 濠因航鰰寺異的IgE 閲闘の檎託 研究2 : IL 一17F 獄好タ型と喘息の勳譫重症度との藤齢嚇5 よ硼蚯子多型瑚熾itrfo

    研 究1で | 端 患J怠 者275名 と 非 喘 皀 健 常 者265名 を 対 象 と し 、 血 清 総IgE値 及 ぴ 複 数 の 吸 入 抗 原 に 対 す る 特 異 的IgE値 を 測 定 し た 少 な く と も ー つ 以 ヒ 嚇 源 に 対 す る 特 異 的IgEが 陽 性 備 ム ロ に ア ト ピ 一 素因 あ り と 定 義 し、 ア ト ビ 一 素因 や ダ ニ な どの 個 々 の 吸 入抗 原に 特異 的なIgE抗体 陽性者 の 頻 度 な ど を、 年 齢 別 に 比 較検 討 し た ア トビ 一 素 因 の 頻度 は 若 年 齢 (41歳 未 満 )及 び 中 高 年 齢(41

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歳 以b健 常 者tこ お い て それ 遥 潮 ,76. 5p)6. 35. 7若 年歯 齢 よ ぴ 中 静 剛喘 麟 に おレ丶 て92.1%、53.鶴 で あっ た。年 齢によ らずダ ニ拐廠 応栃 雅ヒ者 |測轟 皀患者 に有 意に多 く、ま たダ・ ニに荊 する特異的IgE 抗fiffiej端息患 者で 有意に 高かっ た

    研 究2dま 867名cl縁 日 本 人 の 集 団 喘 皀 患 者432名 と 非 嚇 皀 纏 常 者435名 ) を 用V丶 て 、 I卜17F遺 伝 子 に 存 在 す る 一 塩 墓 多 型 鰤 め と 喘 息 と の 遭 儡 蝋 を 検 討 し た 。 ア ミ ノ 酸 の 変 異 を も た ら すC0dingsNPを 合 む10の 卿iこ 吼 丶 て 検 討 し た 第3エ ク ソンIこ 存 在 しヒ ス チ ジ ニ ゝ らア 丿 レ ギ ニ ン ^ の 変 曇を 伴 うrs763780m161恥が 喘 息a§ 症と 有 意 にI甄童 し てk、 た。H161Rの ホモ接 合体f端息 患 者 に は 一例 も存在 瞳ず 、野生 型のホ モ接合 体と :敷し て喘息 発症に 対する オッ ズ比(9躑 朧瀾郎 ≦摺D は0.06(o.01、0143)で あ っ たUぬ0039冫。こ の関 係は特 にアト ピ‐細 を有 する対 審曜冖 円負く 認め ら れ た ま た 、 重 症 度 の 指 漂 であ る 初 診 時1秒 率 を 比 較 する と 、 ア ト ピ一 型 嚇 息 患 者で はm61Rア レ ル を 持 つ 患 者で 有 意 に 気 遭 の閉 塞t邸 轄 カ瀧 度 (Pめ .00083) で あ っ た 。次 にm61Rの臓 能的 を意義 を 検 討 す る た めに 、 野 生 型 及 び変 異 型 のIト17Fを 作戒 し た 。 変 異型ILl17Fは 、 野 生型 と 異 な り 、 気道 ヒ 皮細 脆にj乱、 て眦Pキナ 丶一一瞳韆醒各の活性ゴビやナイトカイン、ケモカインの触を充汾に誘導できな カ め た さ ら に 変 異 型IL一17Fは 野 聾 聾 こ よ っ て 発 現 さ れ るIL一8の 誘 導 を 濃 度 依 存 的 に 抑 制 し た

    研 究1の 臨 悪 喘 皀 、 患 者 弼 瑚 # . ^ に 比 べ よ り 強 い ア トtoぅ 姻 と の 騒 亶 が 認 め ら れ 、 ア ト ピ‐ 素 因 カ 端 窟 に巉 錨 苗 河 鰓 にお い て 重 要 な役 割 を 果 た して い る 可 饒 牲 が考 えら れtr̲o研 究2の結果 から はIL‑17Fが 特 にア ト ピ . ー 細を背 景とし た喘J皀ザ )発 症式織 に関与 するこ とカ 葫破さ れた。 アト ピー 素 因fを 嚇息 の 発 症 に 対 する 重 要 な 危 険因 子 で あ るが、 健常 者にお いても7割 以ヒが アトピ ー素 因 を有 し て い る 。 アト ピ ‐ 素 因 の存 在 下 で 、 さら にIL‑17Fの 過剰な 産生を 伴うよ うな 場合に 、気道 の慢 性炎 症 を 獲 得 す るり ス ク が 上 昇す る 可 能 性 があ る 。

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学 位論文審査の要旨 主査

副査 副査

教授 教授 教授

西村 有賀 西村

学 位 論 文 題 名

孝司      正 正治

気管支喘息の発症や 病態における

アトピー素因とIL −17F .遺伝子の役割に関する研究

   アトピー素因は気管支喘息などのアレルギー疾患発症の重要な危険因子と考えられている。アト ピー素因の保有率は、この約 20 年の問に、21.4% (1978 年)から91.0% (2000 年)と急激に増加し ている。一方、気管支喘息の 有症率は3 .鸚(1982 年)から11.8% (2002 年)とやはり上昇はして いるが、その増加はアトピー素因の増加ほど顕著ではない。これは抗原特異的IgE の産生亢進のみ では、喘息に特徴的な気道の慢性アレルギー性炎症の獲得には至らなぃことを示唆している。アト ピー素因に加えて、何らかの宿主側の因子が喘息の発症や病態に重要な役割を果たしていると考え、

そのような因子として今回インターロイキン17F に着目した。

   一連の研究において、少なくとも―つ以上の抗原に対する特異的IgE が陽性の場合にアトピー素 因ありと定義した。研究1 では日本人喘息患者と非喘」皀健常者におけるアトピー素因の検討を行っ た。540 名の非血縁日本人の集団(喘息患者275 名と非喘ー息健常者 265 名)を対象とし、血清総IgE 値及び複数の吸入抗原に対する特異的IgE 値を測定した。アトピー素因の頻度は若年齢(41 歳未満)

及び中高年齢(41 歳以上)健常者においてそれぞれ76.5 %、35.7 %、若年齢および中高年齢喘息患 者において 92.1 %、 53.4 %であった。年齢によらずアトピー素因の頻度は喘息患者で有意に多く、ま たダニに対する特異的IgE 抗体価は喘息患者で有意に高かった。

研究2 ではIL ―17F 遺伝子多型 と気管支喘息の発症や重症度との関連解析および遺伝子多型の機能 解析を行った。867 名の非血縁日本人の集団(喘息患者 432 名と非喘ー息健常者435 名)を対象とし、

IL 一17F 遺伝子に存荏する一塩基多型(SNP) と喘息との遺伝的関連を検討した。アミノ酸の置換を も たらす Coding SNP を含む 10 の SNP について検討した。第3 エクソンに存在しヒスチジンからア ルギニンヘの置換を伴うrs763780 (7488 T/C) およぴイントロン 1 に存在する rs7771511 (5045 C/T) が喘」息発症と有意に関連していた。両者は強い違盪貰不平衡の関係にあった。7488C のホモ接合体は 喘息患者には一例も存在せず、野生型のホモ接合体と比較して喘ー息発症に対するオッズ比 (95% 信

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頼区間)は0. 06 (0. 01、0.43)であった(p0. 0039)。この関係は特にアトピー素因を有する対象者 で強く認められた。また、喘息の重症度の指標である初診時1秒率を比較すると、アトピー型喘息 患 者では7488Cを持 つ患者で 有意に1秒率が高値(p0. 0008)であった。7488T/Cの機能的な意義 を検討するために、野生型及び置換型のIL‑17F組み換え蛋白を作成した。置換型IL‑17Fは、野生 型と異なり、気道上皮細胞においてMAPキナーゼ経路の活性化(リン酸化)やケモカインの産生を 充分に誘導できなかった。さらに置換型IL−17Fは野生型によって発現されるIL一8の誘導を濃度依 存的に抑制した。

  審査にあたり、副査有賀教授より1) IL‑17Fの制御系に関しての知見にっいて、2)11一17Fの受容 体についての知見にっいて、3)今回は7488CCをもつ少数の集団においてILー17F遺伝子多型が重要 であるという結果だが、大多数のTTまたはTCをもつ集団におけるIL一17Fの意義に関しての考察、

4) IL‑17Fと花粉症など他のアレルギー性疾患との関連についての質問があり、副査西村(正)教授 より1)ILー17Fは主に好中球を誘導するケモカインの産生を促すが、好酸球炎症を特徴とする気管 支喘息における意義について、2) 7488CCホモ接合体と異なり、7488TCヘテロ接合体が、有意では ないものの喘ー魯発症の危険因子であるかも知れなぃことへの考察にっいての質問があった。主査西 村(孝)教授からは、1)自己免疫疾患やアレルギー性疾患とIL‑17制御系との|勢係についての考察、

2) Thl優位型喘息に関する考察にっいての質問があった。

  申請者はこれらの質問に対して、自験データと文献を引用して概ね適切な回答を行った。この論 文は、アトピー素因が気管支喘息発症の危険因子であることを明らかにし、IL一17F遺伝子多型と気 管支喘息発症との関連およぴその多型の機能を世界で初めて明らかにした研究として高く評価さ れ 、 今 後 の 気 管 支 喘 息 の 病 態 の さ ら な る 解 明 に っ な が る こ と が 期 待 さ れ る 。   審査員一同は、大学院課程における研鑽や取得単位なども併せ、申請者が博士(医学)の学位 を受けるのに充分な資格を有するものと判定した。

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