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地域貢献活動としての祭りへの参加について

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(1)

地域貢献活動としての祭りへの参加について

環境学部 環境マネジメント学科 枝廣淳子研究室 1362063 澤木 孝太郎

(2)

1 研究目的

2 序論

2.1

祭りとは何か

2.1.1 祭りの定義 2.1.2 祭りの種類 2.1.3 祭りの数 2.1.4 企業の祭りへの関わり

2.2 地域貢献活動とは何か

2.2.1 地域貢献活動の定義

3 調査方法

3.1 アンケート調査

3.2 インタビューによる聞き取り調査

(3)

4 インタビュー結果

4.1インタビュー対象 4.2どのような形で祭りに参加しているか 4.3実際に参加している企業の思い 4.4祭りに対する思い

5 アンケート調査結果

5.1

アンケート対象

5.2 アンケート結果

5.2.1 祭りに参加している企業 5.2.2 祭りに対して金銭面での支援をしている企業 5.2.3 祭りに対して神輿を担ぐなど直接的な参加をしている企業 5.2.4 性別による印象の違い 5.2.5 年齢による印象の違い

6 結論

7 参考文献・資料

(4)

研究目的

本論文では、企業側の観点から見た目的、祭りの観点から見た目的の2つの目的があり、企業の地 域貢献活動としての地域の祭りへの参加がどこまで効果的かといった調査をおこなった。 現在、CSRの取り組みをはじめとする地域とのかかわりを大切にし、地域貢献に力を入れる企業が 増えてきていると思われる。ここでいう地域とは、本社周辺の地域や、その企業にとって深いかかわりがあ る地域、工場を持つ企業であれば工場周辺の地域など様々である。そして、そのような地域とかかわる 地域貢献活動の取り組みにおいても、企業によって様々な工夫や考えのもと行われており、地域の緑化 活動や地域のゴミ拾いなどをはじめとする非常に多種多様な地域貢献活動がなされているといえるだろ う。その多種多様な地域貢献活動の取り組みの一つとして、地域の祭りへの参加といった活動があり、 今回はそこに焦点を当て調査していく。また、本論文でいう企業とは、その地域周辺に工場や会社など の活動拠点を持ち事業活動を行っている企業のことであり、企業の規模などに制限は設けていない まず1つ目の研究目的としては、地域の祭りを盛り上げるために大切な視点について調査することであ る。私は、幼い頃から地域の祭りに参加し続けており、地域の祭りに参加し、地元の地域を盛り上げてい る企業を見てきた。そのような経験から地元の地域を盛り上げていくためには、地元の祭りを盛り上げてい くことが大切であると考えた。そこで、地元の地域を盛り上げるため、地域の祭りを盛り上げるために大切 な視点を調査することを本論文の 1 つ目の目的とする。 日本の祭りは世界に誇ることができる伝統文化であり、国によって重要無形民俗文化財に指定され ているものも数多く存在している。そのようなことから、祭りは後世に残していくべき日本の文化であると考 えることができる、しかし、近年では、多くの祭りにおいて人口の減少、少子高齢化社会などの影響により 祭りを継続的に行うことが厳しくなってきているという現状があげられる。国土交通省が発表している『平 成26年度国土交通白書 第Ⅰ部 将来世代にわたる豊かな暮らしを実現するための国土・地域づ くり ~対流促進型国土の形成~』にも「若年層の減少は、地域の歴史や伝統文化の継承を困難に し、地域の祭りのような伝統行事が継続できなくなるおそれがある。」と述べられており、少子高齢化とい った日本の現状から、祭りという世界に誇ることのできる大切な日本の文化が失われてしまうという危険 性があることが分かる。 私は、このような現状を改善し、後世に祭りを残していくためには地域住民などの町単位の活動だけで なく企業も協力し盛り上げていくことが必要であると考えている。企業が参加し、資金面での支援をする ことや、地域住民と一緒になって祭りを盛り上げていくことにより大規模な取り組みを行うことができること

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から、企業が参加することは祭りを盛り上げていくうえでは大きなメリットとなると考えられる。 そのため企業には積極的に地域の祭りに参加し、祭りを盛り上げてほしいが、そのためには企業側にと ってのメリットも提示し、地域の祭りに参加しようと感じてもらうことが必要である。そこで考えられるメリット が「企業が地域の祭りに参加することは効果的な域貢献活動になる」といったことである。現在、地域貢 献を行っている企業は数多く存在しているが、祭りへの参加といった地域貢献活動を行っている企業が 増えることになれば、今以上に祭りが盛り上がるのではないかと考えることができる。そのような状況を作り 出すためには、地域貢献活動の一つとして企業が地域の祭りに参加することは効果的だと示すことが必 要である。そして、効果的だということを示すことができれば積極的に地域の祭りに参加する企業も増える のではないかと考えることができる。 そして、2つ目の目的は、企業側の観点から、地域の祭りへの参加が地域貢献活動としてどこまで効 果的なのかを調査することである。なぜなら、先ほども述べたように地域貢献活動として効果的であること を示すことができれば地域の祭りに参加することを考える企業も増えるのではないかという思いがあるから である。そして、それ以外にも、企業がより良い地域貢献活動を行っていくための参考にするといった目的 がある。現在では企業によって多種多様の地域貢献活動が行われているが、その中で最も良い地域貢 献活動が何かということを判断することは非常に難しい。そのため、この調査により、企業が地域の祭りへ 参加することが地域貢献活動としてどこまで効果的なのか、祭りに参加している企業に対して地域住民 はどのようなイメージを持っているのかといったことを調べることで、微力ではあるが、より良い地域貢献活 動を行う上で参考なるのではないと考えた、これが2つ目の目的であり、企業側から考えられる調査目 的である。 以上のように、この調査によって地域貢献活動として企業が地域の祭りへ参加することが効果的であ るということを示す事で、より良い地域貢献を行うための参考にすることができる。そして、それを理由に地 域貢献活動として地域の祭りに参加する企業が増えることで地域の祭りを盛り上げることができると考え られる。祭りを盛り上げ、地域を盛り上げるということ、地域貢献活動を行う上での参考になるということ の2つのメリットがあり、企業と地域のどちらにもメリットがあるということを示すことができると考えられる。こ のような理由から企業の地域貢献活動としての地域の祭りへの参加がどこまで効果的かということを調査 していく。

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また、企業が地域貢献活動として地域の祭りに参加することの効果を調査するにあたり、性別や年齢 によって地域貢献活動として企業が地域の祭りに参加することに対するイメージが異なるのかといったこと も調査し、どのような人々に対し、この地域貢献活動が効果的かといったことも調査する。このことにより、 働きかけの対象についての企業に対する提言につなげることもできると考えられる。

序論

まず、企業の地域貢献活動としての祭への参加について調査していくうえで、祭りとは何かということ、 地域貢献とは何かといった事を知る必要がある。そのため、祭りとは何か、地域貢献とは何かということを 明確にしていく。

2.1

祭りとは何か

2.1.1 祭りの定義 「祭り」について述べていくうえで、祭りとは何かを具体的に定義することが必要である。そのため、私 は、この論文では祭りをデジタル大辞泉、goo 国語辞書の定義を用いて以下のように定義する。 『神仏・祖先をまつること。また、その儀式。特定の日を選んで、身を清め、供物をささげて祈願・感 謝・慰霊などを行う。祭祀 (さいし) 。記念・祝賀・商売・宣伝などのために行うもよおしもの』 『記念・祝賀・商売・宣伝などのために行うもよおしもの』 「神社本庁」より引用 このほかにも、祭りと呼べるものもあるかもしれないが、この定義が妥当であると思い、このような定義を設 定した。本論文では、以上の定義に当てはまるものを祭りと定め調査を行っていく。 2.1.2 祭りの種類 祭りの種類は数えきれないほど存在しており、日本だけでも多種多様の祭りが行われている。その種 類を大まかに分類すると 3 つに分けることができる。 1. 神社主体の祭り 町内の数百人規模の小さなお祭りから、数百万人動員し、全国的にも有名な大規模なお祭り まで 2. 地域イベントなどの祭り

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自治体や青年会議所などが主体となって行う地域活性化イベントや市民祭りなど。 3. その他のイベントや祭 上の二つに分類されないイベントや祭り そして、この分類もさらに細分化することができ、この 3 つを細分化すると以下のようになる。 神社主体の祭り 現在、神社で行われているお祭りは、大きく分けて次の2種類に分けられる。 1. 神社自体が行う祭り その軽重によって大祭、中祭、小祭、諸祭に分けられます。大祭には例祭や祈年祭、新 嘗祭のほか神社のご鎮座に関わるお祭りが、中祭は歳旦祭、元始祭、紀元祭、昭和祭、 神嘗奉祝祭、明治祭、天長祭など皇室と関わりの深いお祭りが区分されている。 2. 氏子崇敬者の依頼に基づき行われる祭り 入学・卒業や就職や人生の節目に関わる報告祭・祈願祭などが挙げられ、神社によっては 諸祭として行われます。また家内安全や商売繁盛、安産、病気平癒、厄除けなどの諸祈 願、さらにはお宮参りや七五三参りなどもこれにあたる。 地域イベントなどの祭り 地域主催で行われるイベントや祭りであり、こども祭り、花火大会、スポーツ大会、フリーマ ーケット、音楽祭などがあげられる。 その他のイベントや祭 業界団体が主催、一企業が主催しているイベントや祭りなど。(日本の祭りマツリドットコム, 神社本庁より引用) 2.1.3 祭りの数 日本全国の神社の管理を行っている神社本庁には、全国で約 80,000 の神社が登録されている。町 内の数百人規模の小さな祭りから、数百万人動員し、全国的にも有名な大規模な祭りまで含めると、 全国で約 30 万もの祭りが行われているといわれている。しかし、確認できているものだけの数字なので、 実際の数としてはもっと多くの祭りが行われていることが予想できる。

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2.1.4 企業の祭りへの関わり 企業が神社主体の祭りや、地域主催の祭りに参加する場合では、まず、参加の方法として代表的な ものが 2 つある。1 つ目は、協賛や支援として金銭を支払うことや、商品を提供することなどがあげられ る。そして、2 つ目は企業を代表して祭りに参加することであり、このどちらの参加方法も企業のイメージ 向上や地域貢献を目的としていると考えられる。

2.2 地域貢献活動とは何か

2.2.1 地域貢献活動の定義 地域貢献活動とは、一般的に考えると地域に根差した社会貢献活動である。そこで、地域貢献活動 を定義するため、まず社会貢献活動を定義し、その活動の中で地域に根差した活動を地域貢献活動 として定義するものとする。 2007 年 12 月に(社)日本経済団体連合会 社会貢献推進委員会によって出された『CSR時代の 社会貢献活動(中間報告)』によると「社会貢献とは、自発的に社会の課題に取り組み、直接の対 価を求めることなく、資源や専門能力を投入し、その解決に貢献すること」とあるため、これを社会貢献の 定義として述べていき、この中で地域に根差した取り組みを地域貢献活動と定義する。 また、地域貢献活動の詳しい内容としては、『小企業における 地域貢献活動の実態』 日本政策金融 公庫論集第 5 号 より、このように定義したいと思う。 「① 経済の振興に関する活動(地場産業や商店街の活性化、特産品や農水 産物など地 域資源の活用、創業支援や他企業の経営支援、他) ② 文化・環境に関する活動(祭りや伝統行事の開催や維持、地域における文化やスポーツ の振興、地域の美化や緑化、地域の環境保全、他) ③ 教育に関する活動(経済・金融・消費者教育、起業家教育、職場体験・ インターンシッ プの受け入れ、他) ④ 雇用に関する活動(高齢者の雇用・就業支援、障害者の雇用・就業支援、ニート・フリ ーターの雇用・就業支援、ホームレスの雇用・就業支援、 元受刑者の雇用・就業支援、外 国人労働者の雇用・就業支援、他) ⑤ 治安・安全・防災に関する活動(防犯活動、交通安全活動、消防・防災 活動、他)

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⑥ 保健・医療・福祉に関する活動(高齢者の生活支援、障害者の生活支援、生活困窮 者やホームレスの支援、食の安全確保、育児支援、他) 」『小企業における 地域貢献活 動の実態』 日本政策金融公庫論集第5号 (2009 年 11 月)より引用 以上のような活動を地域貢献活動の例に定義し、本論文では②文化・環境に関する活動に焦点を当 て研究を行っていく。

調査方法

3.1 インタビューによる聞き取り調査

この論文では地域貢献活動としての地域の祭りへの参加はどこまで効果的かということを調査する。そ のため実際に地域の祭りに参加している企業の考えや、気持ちなどを知ることは非常に重要なことであ ると考えられる。したがって、地域の祭りに企業として参加している金融機関の職員の方にインタビューを 行い、実際に祭りに参加されていてどのようなことを思っているか、考えているかということを調査する。 調査項目としては、 1.いつから祭りに参加しているか、参加したきっかけ 2.どのような形で参加しているか 3.参加することでどのような良いことがあるか 4.実際にお客様から祭りの参加について言われたことはあるか 5.参加するうえで大変なこと 6.祭りに対する思い 7.参加している理由 といった項目を基本とし、インタビュー調査を行う。

3.2 アンケート調査

実際に祭りへの参加はどこまで効果的かということを調査するためには地域住民がどのように感じている か、どのような思いかということを知る必要がある。したがって、アンケート調査として年齢、性別に制限を

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設けずインターネット調査を行った結果、120 名から回答を得ることができた。実際に祭りに参加している 企業に対してどのようなイメージを持つか、そして、社員や職員が地域住民と一緒になり神輿を担ぐことな どの直接的な参加方法と、奉納という形で資金面での支援をすることなどの参加方法によって地域住民 からのイメージは異なるのかといったことを調査する。 アンケート項目は ・ 自分の住んでいる地域で祭りが行われていますか? ・ 祭りに参加したことがありますか? ・ 祭りに参加している企業について、あなたはどのようなイメージを持っていますか?以下の項目について あなたの評価を 5 点満点でお答えください。(全く評価していない場合は1点を、高く評価している場 合は5点を付けて下さい) 1.祭りに参加している企業 2.祭りに対して金銭面での支援をしている企業 3.祭りに対して神輿を担ぐなど直接的な参加している企業 ・ 年齢 ・ 性別 といった項目でアンケート調査を行う。

4.インタビュー結果

地域貢献活動として祭りに参加することがどこまで効果的かといったことを調査していくにあたり、実際に 祭りに参加している企業がどのような活動を行っているのか、どのような気持ちで参加しているかといったこ となどを調査することで、企業が地域貢献活動として地域の祭りに参加するといったことをより具体的に知 ることができ、イメージすることができるだけでなく、これから祭りに参加しようと考える企業にとっても参考に なるのではないかといったことがありインタビューを行った。

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4.1

インタビュー対象

今回のインタビューは、地域貢献活動として祭りに参加することがどこまで効果的かといったこと、実際に 祭りに参加している企業の活動や、どのような気持ちで参加しているかといったことを調査することを目的 としているため、実際に地域貢献活動の一環として地域の祭りに参加されている金融機関の職員の方 にインタビューを行った。 また、なぜ地域の祭りに参加しているのかと理由を尋ねると、大きな理由として、地元のお手伝いとし て祭りに参加し、地元の発展に貢献すること、そして、企業の PR をすることの 2 つの理由から祭りに参加 しているということであった。

4.2

どのような形で祭りに参加しているか

この金融機関ではお話を伺ったところ、支店ができた頃から地域の祭りに参加し始めたため、地域の祭 りに参加し始めて 10 数年になる。 そして、企業として具体的にどのような形で祭りに参加しているのかと尋ねたところ、具体的のものとして 支店では3つの取り組みを行っているということを教えていただいた。まず 1 つ目の取り組みは、実際にお 揃いの法被をきて神輿を担ぐことだ。この取り組みでは、実際に地域住民と一緒に神輿を担ぐことで、地 元のお手伝いをするという理由と企業でお揃いの法被を着て神輿を担ぐことで企業の PR にもなるという ことだった。そして、2つ目の取り組みは奉納という形で金銭的な面から祭りを支援することである。祭りを 開催するのには思っているよりお金がかかるため、金銭的な面が問題となり開催できないという祭りもある というのが現状である。そのため奉納という形で祭りの開催を支援することはとても重要な取り組みといえ るだろう。最後に 3 つ目の取り組みとして、祭りの前になると店舗内でのポスターの展示などの広告によっ て祭りを PR することである。直接的な参加ではないかもしれないが、人が集まる店舗という立場だからこ そできる取り組みであり、人手が不足してきている祭りにとっては PR を行うことは必要なことであり、このよ うな細かい取り組みを行うことも大切であるということがわかる。 また、このインタビューを行った結果、祭りに参加する方法によって企業に対するイメージは異なるのかと いった疑問が生じた。したがって、アンケートを行う際、取り組み内容による印象の違いについても調査を 行うこととした。

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4.3

実際に参加している企業の思い

そして、このインタビューを行った目的として、最も大きな理由が実際に祭りに参加されている企業の方 はどのような気持ちで参加しているのかということを調査することであり、実際に参加しているからこそ感じる 良さを教えていただくことであった。したがってこれから、参加されているからこそ分かる気持ちについて述べ ていく。 まず、実際に地域の祭りに参加することでどのような良いことがあるか伺ったところ、地元の発展に貢献 することができるということ、そして地域に根差した金融機関として face to face の取り組みを大切にして いるので、直接お客様と接することができるということがよいところだということだった。また、祭りの最中にも お客様から声をかけていただくこともあるということや、祭り以外の時も実際にお客様から祭りについて声を かけていただくことはあるということだった。また祭りの最中に企業側からお客様にお声掛けも行っているとの ことであり、ただ祭りに参加するだけでなく、祭りという場を企業の PR の場として活用することなど、より地 域に根差した企業を目指すにあたって努力も怠ってはいけないということを感じた。 そして、地域の祭りに参加することに対し、もし大変なことがあればと教えて下さいと伺ったところ、祭り の参加に関して特に大変なことはないが、しいて言うならば、普段から神輿を担いでいる方ばかりではな いということや、実際に神輿を担いでいてケガをしている方も見かけるという理由からケガが心配で怖いとい うことだった。

4.4

祭りに対する思い

最後に、祭りに対して何か思っていることがあればとお聞きしたところ、祭りに参加することの重要度は増 してきていると思うということ、そして、地元のお手伝いをするということで祭りに参加すること自体に意義が あると思っているということだった。

5.アンケート調査結果

地域貢献活動として地域の祭りに参加することがどこまで効果的かということを調査するため、祭りに 参加している企業に対し、地域の人々がどのような印象、イメージを持っているかといったことを調査する。 企業が地域の祭りに参加することに対し、地域の人々が良い印象やイメージを持っていることがわかれば

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地域貢献活動として企業が地域の祭りに参加することは効果があるといえるのではないだろうか。したがっ て、インターネット調査を行い、実際に祭りに参加している企業に対してどのようなイメージを持つか、そし て、企業として地域住民と一緒になり神輿を担ぐことなどの直接的な参加方法と、奉納という形で資金 面での支援をすることなどの参加方法によって地域住民からのイメージは異なるのかといったことを調査す る。

5.1

アンケート対象

アンケート対象は、インターネット調査により年齢、性別などの制限を設けず、120名の男女を対象 にし、アンケートを実施した。 図 1 アンケート対象者の年齢 アンケート対象者の内訳としては 20 代以下が 64 名で 53.3%、30 代が 20 名で 16.7%、40 代が 23 名で 19.2%、50 代が 13 名で 10.8%、60 代以上は 1 名で 0.8%といった様々な年齢層の方々に回答 をいただくことができた。また、男性、女性の比率は男性 50%、女性も 50%となっている。

5.2 アンケート結果

5.2.1 祭りに参加している企業に対するイメージ まず、「祭りに参加している企業について、あなたはどのようなイメージを持っていますか?以下の項目に ついてあなたの評価を 5 点満点でお答えください。(全く評価していない場合は1点を、高く評価してい る場合は5点を付けて下さい)」といった質問を行った結果、全体の 70%に当たる 84 名が 4 点または

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5 点と高い評価をしているということが分かった。また、1 点や 2 点といった低い評価は少なく、5名のみと いう結果であり、全体でも 4.2%という結果だった。この結果から、企業が地域貢献活動として地域の祭 りに参加することは良い印象を与えていると考えることができる 図2 祭りに参加している企業に対するイメージ 5.2.2 祭りに対して金銭面での支援をしている企業に対するイメージ 次に、先ほどと同様の質問で、祭りに対して金銭面での支援をしている企業に対する質問をした結 果、全体の約 76%にあたる 91 名が 4 点または 5 点の高い評価をしており、高い評価をしているというこ とがわかる。また、金銭面での支援をしている企業に対する評価でも低い評価をした人は少なく、1 点や 2 点の評価をした人は全体の 5.8%であり、7 名のみが低評価をしたという結果だった。 2 2% 3 2% 31 26% 33 27% 51 43%

祭りに参加している企業に対するイメージ

1点 2点 3点 4点 5点

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図 3 祭りに対して金銭面での支援をしている企業に対するイメージ 5.2.3 祭りに対して神輿を担ぐなど直接的な参加をしている企業 そして、こちらも同様に、祭りに対して神輿を担ぐなどの直接的な参加をしている企業に対する評価を 質問した結果では、全体の 72.5%にあたる 87 名が 4 点、5 点の高い評価をしている。また、こちらも低 い評価をしている企業は少なく、全体の 7.5%にあたる 9 名が低い評価をしているが、金銭面で支援して いる企業に比べると若干ではあるが低い評価が増えている。 図 4 祭りに対して直接的な参加をしている企業に対するイメージ

祭りに対して金銭面での支援をしている企業に対するイメージ

祭りに対して神輿を担ぐなど直接的な参加をしている企業に対するイメージ

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以上のようなアンケートの結果として、祭りに金銭面での支援をしている企業と、祭りに対して直接的 な参加をしている企業とでは特に大きな差は見られないということがわかる。このことから、祭りに参加する 方法として本論文で取り上げた 2 つの参加方法に関しては、企業に対する評価に大きな違いはないの ではないと考えることができる。 5.2.4 性別による印象の違い まず、祭りに参加している企業では、男性の評価は 5 点の評価が 32 名であり、全体の 54%なのに対 し、女性では 5 点の評価は 17 名であり、全体の 29%にとどまり、男性と約 25%の違いが生まれている。 そして、男性では 4 点、5 点の高評価をしている人が全体の 78%の 46 名であるのに対し、女性では 4 点、5 点の評価が全体の 61%の 36 名であり、ここでも 17 ポイントの差が生まれている。また、女性に関 しては 1 点や 2 点の低評価が多いわけではなく、3 点の評価が 37%の 22 名となっており最も多い回答 となっている。 図 5 祭りに参加している企業に対するイメージ 男女の比較 次に、金銭面での支援をしている企業では、男性は祭りに参加している企業の評価と変わらず、5 点 の評価が全体の 54%であり、4 点、5 点の評価を合わせると 78%が高評価という結果だった。女性は、 祭りに参加している企業の評価と比べると評価が高くなっており、全体の 73%にあたる 43 名が 4 点、5 点の高評価をしている。 0 3 22 9 19 14 17 32 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 男 性 女 性

祭りに参加している企業に対するイメージ

男女の比較

1点 2点 3点 4点 5点

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図 6 金銭面での支援をしている企業に対するイメージ 男女の比較 そして最後に、祭りに対して神輿を担ぐなどの直接的な参加をしている企業では、男性は同じように 5 点の評価が最も高く全体の 54%にあたる 32 名であるが、4 点の評価がほかの項目に比べると少なく 5 点、4 点の評価を合わせると 73%となり、若干ではあるが少なくなっている。しかし、女性は男性に比べ て、金銭面の支援をしている企業とほとんど変わらない評価をしており、全体の 71%が 4 点、5 点の評価 をしている。 図 7 直接的な参加をしている企業に対するイメージ 男女の比較 以上のように、祭りに参加している企業、祭りに対して金銭面での支援をしている企業、祭りに対して 神輿を担ぐなどの直接的な参加をしている企業の3つの評価に関して、性別ごとに結果をまとめると、祭 0 1 2 4 14 8 22 14 21 32 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 女性 男性

金銭面での支援をしている企業な対するイメージ

男女の比較

1点 2点 3点 4点 5点 2 2 1 4 14 10 20 11 22 32 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 女性 男性

直接的な参加をしている企業に対するイメージ

男女の比較

1点 2点 3点 4点 5点

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りに参加している企業、祭りに対して金銭面での支援をしている企業、祭りに対して神輿を担ぐなどの直 接的な参加をしている企業のどの項目においても、男性と女性を比べると、女性に比べ、男性のほうが 高い評価をしているということがわかる。また、男性、女性どちらから見ても、最も評価が高い項目は金銭 面での支援をしている企業であるということがわかる。 以上の結果から、企業が地域の祭りに参加することは、女性よりも男性に対して効果的な地域貢献 活動であると考えることができる。 5.2.5 年齢による印象の違い まず、20 代以下と 30 代以上で比べると、20 代以下では 5 点が 12 名で全体の 19%なのに対し、30 代以上では 39 名で 68%となっており、20 代以下に比べ 30 代以上の方が高い評価であることがわか る。また、4 点、5 点を合わせた高評価でも 20 代以下では 57%にあたる 36 名が高い評価なのに対し、 30 代以上では全体の 48 名の 84%が高い評価となっており、30 代以上の方が企業が祭りに参加して いることを評価しているといえる。 図 8 祭りに参加している企業に対するイメージ 年齢の比較 次に、金銭面での支援をしている企業では、30 代以上の評価は祭りに参加している企業の評価と大 きな差はみられず、高い評価をしているということがわかる。そして、20 代以下の評価では、4 点の評価、 5 点の評価のどちらも増加しており、全体の 70%が高い評価をしていることがわかる。 1 0 0 3 8 23 9 24 39 12 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 3 0 代 以 上 2 0 代 以 下

祭りに参加している企業に対するイメージ

年齢の比較

1点 2点 3点 4点 5点

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図9 金銭面での支援をしている企業に対するイメージ 年齢の比較 そして、直接的な参加をしている企業でも、30 代以上は高い評価が多く、ほかの項目と大きな変化は ないことがわかる。また、20 代以下の評価についても金銭面で支援を行っている企業と大きな差はみら れなかった。 図 10 直接的な参加をしている企業に対するイメージ 年齢の比較 以上の結果から、年代別で見ると 20 代以下よりも 30 代以上の方々から評価されているということが わかる。したがって、企業が地域の祭りに参加することは 20 代以下の若い年代よりも 30 代以上の年代 をターゲットにするとより効果が期待できる地域貢献活動と考えられる。 0 1 3 3 16 6 26 10 18 38 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 2 0 代 以 下 3 0 代 以 上

金銭面での支援をしている企業に対するイメージ

年齢の比較

1点 2点 3点 4点 5点 2 2 1 4 8 16 10 21 36 20 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 3 0 代 以 上 2 0 代 以 下

直接的な参加をしている企業に対するイメージ

年齢の比較

1点 2点 3点 4点 5点

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以上のようなアンケートの結果から、企業が地域貢献活動として地域の祭りに参加することは 70%の 人から高い評価を得ており、良い印象を与えていると考えることができる(図 2)。また、男性と女性、 年齢によって地域の祭りに参加している企業に対するイメージや印象が異なっているということも分かっ た。性別で比較すると、女性は 5 点が全体の 29%なのに比べ、男性では 5 点が全体の 54%と高く、4 点を含めた高評価でも男性の 78%の 46 名が高い評価であるのに対し、女性では 4 点と 5 点を合わせ た高い評価が全体の 61%の 36 名であり 17 ポイントの差がみられた(図5)。年齢で比べると、高評 価の 4 点、5 点を合わせた数ではどちらも高い評価となっているが、20 代の評価に比べ、30 代以上の 評価では 5 点の評価が多く、20 代以下は 5 点の評価が 19%なのに比べ、30 代以上では 68%が 5 点の評価をしており、49 ポイントの差がみられた。このようなことから企業が地域の祭りに参加することは 女性より男性に評価されていること、20 代以下の若い世代より 30 代以上の世代に評価されていること がわかり、30 代以上の男性に対して効果的な地域貢献活動だといえる(図8)。

6.考察

まず、アンケート結果から、企業が地域貢献活動として地域の祭りに参加することは 70%の方から評 価されているこということがわかった。このことから、企業が地域貢献活動として祭りに参加することは効果 的な地域貢献活動であると考えられる。 また、性別から比較すると、女性より男性の方が評価は高くなっており、年齢から比較をすると 20 代 以下の若い年代と 30 代以上の年代では 20 代以下の若い年代より 30 代以上の年代に評価される 地域貢献活動であるといえる。また、インタビュー調査をすることで分かった祭りに参加する具体的な方 法である金銭面での支援を行うことと直接的な参加をすることの比較では、評価に大きな差はみられ ず、祭りへの参加方法による評価に大きな差はないのではないかと考えることができ、その企業に合った 取り組み方法で祭りに参加し、地域貢献活動を行うことができるのではないかと考えることができる。 以上のような結果から、地域の祭りに参加するという地域貢献活動は 30 代以上の男性に評価が高 い地域貢献活動と考えることができ、そのような層の地域住民や取引先と関わりのある企業にとっては地 域の祭りに参加するという地域貢献活動は効果的な活動になるのではないかと考えることができる。その 反面、女性や 20 代以下の若い世代の評価では、男性や 30 代以上の世代に比べると評価が低くなっ ており、これから地域や祭りを盛り上げていく若い世代や、女性をターゲットにした取り組み方も考えること でより良い地域貢献活動を行うことができるのではないかと考えられる。

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そして、インタビューにより、企業が地域の祭りに参加する理由として「地元のお手伝いとして祭りに参 加し、地元の発展に貢献すること」といったことをお聞きすることができたが、地域貢献活動として効果的 であるという理由だけで祭りに参加するのではなく、そのように地域の発展も考え、祭りに参加することでよ り良い地域貢献活動ができるのではないか感じた。そして、そのような企業が増えることで地域が発展し ていくのではないかと思う。 今回、本論文を形にすることができたのは、指導教授として担当していただいた枝廣淳子教授のご指 導や、インタビューにご協力いただいた某金融機関の担当者様、アンケートに協力していただいた 120 名 の方々など、多くの人に協力していただいたおかげであり、協力していただいた皆様へ心より感謝の気持 ちと御礼を申し上げます。

7.参考文献・資料

(社)日本経済団体連合会社会貢献推進委員会,2007 年 12 月 18 日,CSR時代の社会貢献活 動(中間報告) 竹内英二, 2009 年 11 月,小企業における地域貢献活動の実態、日本政策金融公庫論集第5号 goo 国語辞書, http://dictionary.goo.ne.jp/jn/208964/meaning/m0u/ 「神社本庁」 http://www.jinjahoncho.or.jp/(2015 年 11 月23日アクセス) 「日本の祭りマツリドットコム」 http://www.matsuri.com/modules/pico/index.php?content_id=24 (2015 年 11 月23日アクセス) アンケート調査用紙 https://docs.google.com/forms/d/1DFTBeo2kcA-5MNaaLiyt9Ro1SglfFKkk8n0WJg6pXwU/edit

図 3  祭りに対して金銭面での支援をしている企業に対するイメージ  5.2.3 祭りに対して神輿を担ぐなど直接的な参加をしている企業  そして、こちらも同様に、祭りに対して神輿を担ぐなどの直接的な参加をしている企業に対する評価を 質問した結果では、全体の 72.5%にあたる 87 名が 4 点、5 点の高い評価をしている。また、こちらも低 い評価をしている企業は少なく、全体の 7.5%にあたる 9 名が低い評価をしているが、金銭面で支援して いる企業に比べると若干ではあるが低い評価が増えている。  図 4
図 6  金銭面での支援をしている企業に対するイメージ  男女の比較    そして最後に、祭りに対して神輿を担ぐなどの直接的な参加をしている企業では、男性は同じように 5 点の評価が最も高く全体の 54%にあたる 32 名であるが、4 点の評価がほかの項目に比べると少なく 5 点、4 点の評価を合わせると 73%となり、若干ではあるが少なくなっている。しかし、女性は男性に比べ て、金銭面の支援をしている企業とほとんど変わらない評価をしており、全体の 71%が 4 点、5 点の評価 をしている。  図 7

参照

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