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投資誘因と所得税

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

投資誘因と所得税

米原, 七之助

https://doi.org/10.15017/4488701

出版情報:經濟學研究. 11 (1), pp.1-31, 1942-12-30. Society of Political Economy, Kyushu University

バージョン:

権利関係:

(2)

はれてゐる︒租税の生産に野するか4

る作

用も

一般に租税は生産に悪影轡セ典へ︑

ノ 五.

︐四

む す び

限界牧盆率均等と所得税

不確宜要素に就て

豫想と投宍誘因

投宍誘因と所得稔

投 安 誘 因 と 所 得 稔

は し

+ し

•I・・

第十一巻

租税の種類によりて影菩の仕方並びに程度に於て異る 殊に強度の租税は勝来の生産従て生産者投資を萎微せしむるこ云 き

投責誘因こ

J

所得税

米 原 七 之 助

. 

(3)

寅要素が加はりて

投資が定まるこ見られてゐる︒従て投資に及ぽす租税の作用は︑之等の

要素

が租税に 梵見が

不完全

なる場合

には

更に不確 豫想が完全なる場 るのは︑前者

たる

租税の

投資誘因

に及ぽす作用であ

る ︒

と思 ふ︒

投査誘因•所得税

来の生

産撰張に如何に作用するかを考

へて

見ようこ思ふ︒ ものがあるであらう︒こ4

では

租税

の中

︑ 投資

所得税又は純牧盆

税を取上げて︑それが投

︑ 従 て 勝 本 来 投

に就 ては

投資に賞

りて

考慮すべき

事情を異にするが故に︑消費者投資こ生産者投資を匝別して考察する必要がある

であ らう

の生産が問題こなる場合に於ては生産者

投衰

に限定されてよいこ思ふ︒

こする勘では何等差異はなく︑然して︑問題

こす

る租

税が此牧

盆を酎象こする所得税であるが故に︑投

妾セ一括して之に到する所得税の作用を考察出来るであらう︒

租税が投資

に及ぼす作用に就ては︑之を二つの観

から

考察し得られるであ

らう

因に及ぼす作用であり︑二は租税によりて結局投資が蒙る焚化であ

る ︒ 資誘

因への租税作用の考察

であ り︑

ぼす影轡をも含む

祉會経齊

の立

場からの考察によりて始めて解決される問題である︒

殊に︑腔来

後者

は租

税に基きて生する需要共

他の経

清的数董の雙

化が

投資

に及

投資に野する租税の作用

は ︑

投資を決定する

要素

に及ぼす租税の作用に外ならぬ︒

合には投資は限界牧盆率こ利子率

の二

要素によりて決定せ

られ

今吾

々の

問題

こす

前者は個別継齊を中心こする投

一ぱ

租税の投資誘

たゞ

考察の重黙を生産者

投資

におき度い 然したが

ら ︑ 投資

が牧盆qを目的

第十一巻

(4)

. . 

資産或は査本は数多

の投

資機會に分配

され

たければならぬ︒

資 産

又は安本は敷多の投資機會の中投資箪

第十

牧盆財の債格を高膀せしむる結果こなりて牧盆李を選減せ

しめ

9 叉は投資に基く生産の増加こな

b

て ︑

b

て如何なる菱化を受くるかを考察する事によりて明かにされるd

問題の考

察に嘗りて下の如き諸前提を設けょう︒い租税は純牧盆又は純所得に封して

課せ

られる︒

同一額の所得に到しては

同一

税率を適用さる\如き

平等或

は一般

所得税が賦課

され

る︒

1 0 0

% を

微牧せす︑叉租税が差引がれたる残額牧盆は課税前の

各投資

牧盆額の順位を愛更せしめない︒

しょ

う︒

叉如何なる程度に投資

され

るがを問題こ

限界牧盆率均等と所得稔 個 人 は 選 好 に よ り て 所 有する

所の

定額の資産又は財産の一定部分を︑

或は︑企業

家が所有する一定額の資本を生産に投表するこ考

へよ

う︒

行はれる場合に︑

資産叉は衰

本は種

々な

る投資機會

に如

何に

投安

誘 因 と 所

得稔 投査が純牧盆の極大を目的こして 投資に充賞する

であ

らう

資産を一投資機會にのみ集中するこすれば︑其額が或腟

度を超過す

る場合には︑之によりて需要

され

生産費の上昇こ供給増加による生産物の債格低落を引起して牧益を減少せしむる

であ

らう

就ても︑牧盆又は牧

益李選減

の法則が支配する

︒従

て︑

衰本又は褒産

によ

る牧盆を最大ならしむるには︑

従て

投資に

③所得税は牧盆

(2 ,)

(5)

此式に於けるDご前式に於けるEこは内容を異にする︒

投 資 誘 因 と 所 得 税

郡ち︑乃は永久に

Q

なる牧益を産む資本の現

位賞り牧盆の大なるものがら順次に投資されるであらう︒個人は各資産項目を用途に於てが︑

て他の資産項目に轄換して最も利益ある投資機會を選捧する︒

は均等化される︒

長期に

従て︑牧盆財の存綾

さて︑投資は牧盆率の高さものがら順次に行はれるが︑利子率以上の牧盆率のある投資機會が存在する

たらば︑個人は自己の資産のみたらす︑進んで資金セ借入れて投資を行ふ︒結局︑牧盆率が利子率こ等し

くなる黙まで投資は行はれる︒従て︑各種の投資は︑限界牧盆率が利子李に等しくなる様に調整される︒

然るに︑利子率は現在市場で行はれてゐる利子李であるが故に︑之こ比較さるぺき牧盆率も︑

亘る投資よb生する牧盆を現在債値に換算したる場合の牧盆率でたければならぬ︒

年敷セnこし、各期純液盆を、

0102QJ.... :••Qn、各期を通じて利子率は等しさ恨定し、之を1で表はせば、

純牧盆線額の現在債値

Eは次の式で示される︒

Q I ‑

←   .. .. .. .. .. .. .. .. ..

 

Q3

 

Q2

 

+ 

Ql

 

(‑ +i )

+i )2

(1 +i )3  

(1 +i )n   若し各期の牧盆額が等しく︑投資期間を永久であるこすれば︑牧盆練額の現在債値

Dは永久年金の現

在債値を示す式こなる︒

Q E︑

がくして各種の投資に於ける限界牧盆率

第十一巻

形態に於

(6)

投 資 誘 因 と 所 得 稔

る投資の純牧盆に酎して課税されるならば︑

五 利子を含む憩ぺての牧益は課税され︑然も

等額の投資牧益 見込の限界牧盆率が利子率に等しくなる様に投資が決定される場合に︑

う︒牧盆税はそれだけ将来に於ける見込純牧益を減少せしむるであらう︒牧盆税は所得税こして︑線ゆ 純牧盆税が増徽されるこしよ 等しくなる様に投資の種類並びに量が決定される︒ まで企

業家

は投資を減少せしむるであ

らう

︒ 従て︑利子率を最低限こして︑投資の限界純牧盆率が之に

w 今Eを産む投資酎象の猿得債値をkこすれば︑個人の投資均衡に於ては常に次の闘係が成立する︒

之は投査の限界牧盆

率が利子率に等しい事を示す式に外たらぬ︒

若し>が

K

・より大なりこ考へられる場合は︑

均等の脳に於て投資を中

止す

る︒

業家

は資

本を借入る\事によりて投

資を増加し︑二者 V・1

1K w 

V=E+K 

尺芦

む投資額の現在債値

>は

然る

に︑

E

は箪に一定期間一定投資額ょり得らる

4

純牧盆額の現在債値に過ぎす︑一定期間後に於ては元本は回牧されてゐたければならない︒従て︑Eを産

Eこ其期間に於ける釣却費用の現在債値k

を加

たものでたければならぬ︒

n Or 

~

Kr 

t

(l +i )l .( l+ i) r  V I

とr

1 1 ‑

r 1 1

> 

逆に︑応が>より大なりこ考へらる

4場合は︑二つの値が等しくなる 在債値であり︑従て資本の回牧は問題こたらたい︒

(7)

4ならば︑平等叉は一般課税によりても限界牧盆率

ある

は投資誘因を規定する一因子こしての利子率に愛化を典へ︑

之が投資を愛動せしむるに非すやの問題で

の問題である︒策ーーの問題は︑所得税 若しそうであるこすれば︑投資誘因を牧

叉投資牧盆の練額の順位も課税によりて何等愛更されない︒従て︑投資の限界箪位も尚純牧益を獲得し︑

此限界牧盆率は利子率こ均等である︒限界投資もなほ牧盆を獲得する

事によりて投資撮の減退が阻止せられるであらう︒

前提は︑課税によりて牧盆線額の順位が顛倒する結果︑

るものである︒がやうに考へるさ︑投資誘因はか4る所得税によりて一應何等の影響を受けない様に思

はれる︒けれざも︑此黙に就て考ふべき問題が二つある︒第一は投資誘因決定要素に闘するものである︒

投資誘因は凱に牧盆のみによりて決定されないのではないか︒

盆の見地のみから論する以上の説明は修正さるぺきではないか︑

と利子率が不均等となる可能性がある︒即ち︑限界投資箪位が大なる場合には︑牧盆率が等しい総には牧盆の絶

然も

平等課税の仮定によりて︑ 見られたいであらう︒

又課税によりて牧盆綿額の順位が愛らない様にする

は一様なる減退が見込まる4

であ

らう

.之によりて牧盆李こ利子率の均等は維持せられ︑投資の移動は

生ぜす︑叉︑投資量が限界牧盆率こ利子李の均等する所に決定されるとすれば︑投衰撮にも何等の愛化は

然して︑前提によりて︑限界牧益は課税によ

bて全部微牧されるものではなく︑

生産活動従て又投資の減退の生するのを抑座す

第十1

. . . .

 

← 

(8)

ものがある︒ あ

る︒

業家が生産活動を選捧するのは︑ たらば投資を中止する︒

第十一巻

第 一 鰊

投資

封額は大であリ︑従て高き税率が課せられ︑従来の投査に於ては利子率に等しき牧盆率が得られなくなる°此揚 合は明かに投査移動又は投査減退が生ずる°然しながら︑投資をあくまで可分的なものであリ︑各投賓箪位を等 額と考ふるならば︑以上の困難は消失するであらう︒又︑若し平等課稔を以て︑牧盆率に封して平等なる税率を 逸用する場合に限定すれば︑以上の問題は生じない︒さし骨

5つては︑之等の何れかの場合を個定しておかう︒

れてゐる︒郎ち︑投資家は其社會的地位に基きて略

i或一定額の豫想牧盆を最低限こし︑ 投資は最大の牧益獲得を目指して行はれるにしても︒猫得

され

る豫想牧盆が僅少なる場合には︑

家の社會的勢力の要求︑又は投資活動の動機こなる利益の愛化に基き投資が減少する可能性ありこ見ら

之以下の牧益 従て︑投資誘因には牧盆最低限ありこする見方である︒他の見解によれば︑企

自己の選好の上がら見て其行為によりて最高の利盆が得られるがらで 而して此利盆の内容こなる要

素は︑箪に金錢上の報酬のみではたく︑祉會的名誉︑閑暇等敷多の

従て︑和税によりて報酬が減少すれば︑他の要素例へば閑暇の多き方面を選探する可能性 がある︒之によりて投資誘因は減退するが投

資を移動せしむる場合が考へられる︒

註此立場よりする投究誘因の説明は︑本文説明の投表家と逆の投衰決意をなす投査家があ

l J得る事を認むる︒即ち 豫想牧盆減少によりて投査減少の決意をなす投資家は全骰の一部であリ︑他の投資家は︑此牧盆の減少を補ふ総 に投炎を噌加しようとする︒又は社會的名脊其他の要素の強く︑金錢的報酬の少い投査から︑報酬多き投衰へと

移動する︒サ布し豫想牧盆の減少によりて︑投査誘因は之等二つの型に於て焚化するならば︑社會に於ける投交総

1) 

2 3  

社會勢力的誤鮎は、昨夏五月大阪に開催せられたる日本諸學振興委員會主催 の學會に於ける私の報告に鉗して奥へられたる高田保馬博士の御数示に負ふ ものである。

Cf. Black, D. The I~idence of Income Taxes p. 10.  ̲  Black, ibid. p. 10. 

(9)

犠牲にして投資を行ふ場合があるこ考へられる︒

かさる場合に於てのみ︑密想牧盆の僅なる減少が投資

たゞ︑小投資者従て叉 郎ち弾力性が弱いこ思

ける各要素間の一定比率セ愛化せしむるが故に︑

生産従て投資活動が減少するこは断定され難いのでは

に牧盆のみによりて支配せられるこは云ひ難いであらう︒

けれざも︑租税による牧盆の減少が利盆に於

投資動機が箪

小額投査の狭い限界に於てあてはまると思はれる︒

︐ 

額が所得税によりて如何に焚化するかは唯網験的にのみ云ひ得るに過ぎない︒更に注意すべきは︑此見方は企業 家投査に就て説明されてゐるが︑次に述ぷる如く︑此説はむしろ消費者投衰然も︑主として節約部分を投査する

さて︑数多の要素を含む利盆によ

b

て企業家の生産活動︑従て叉︑

投資動機を説明する此見解によれ

ば︑投資を決意せしむる最高利盆にあ

b

ては︑自己の選好に随て之等各要素は一定の比率を保たねばたら

ない︒而して︑選探さるべさ数多の行為に伴ふ利益の大さも連練的て考へられるであらう︒

盆の僅少なる愛化も投資誘因の減少さ閑暇要求の増大さなるこの結論に達するであらう︒

あるまいが︒むしろ︑事質上は牧盆の減少に討して投資は或程度まで反應せす︑

はれる︒祉會に於ける投資総額の重要なる部分セ供給するこ思はれる大投資家に於ては︑

盆が尚多額である場合には︑借入を増加しても牧盆率均等なる黙までは投資を行ひ︑

盆の僅小なる減少によりて閑暇を増加する為に投資を減する事はないであらう︒

小所得者に於ては︑其投資より得らる

A

訟想牧盆が一定の大さであるが故にのみ︑ 従て豫想牧

得らるべき牧

租税による把想牧

所得の享業的部分を

第十一巻

I

(10)

九 第 一

之は一定額以下の貨幣を投資す

従て︑投

の減退こ享業的消費の増加を生ぜしむるであらう︒勿論︑小投妾者全部が同一投

資態度

をこるものではな

く︑逆に︑将来一定額の財産猿得を目標さする者にありては︑享柴的消費セ更に減少せしめて投資を増加

するであらう︒此駆に闘する詳細は節約に闘する説明を必要こし︑改めて考察しょうさ思ふ︒

資牧益こ閑暇の如き享業的消費こを闘聯せしむる見方は︑投資決意の充分なる説明を典へ得ない︒

次に︑社會的勢力による要求が豫想牧盆の最低限をなすこ云ふ見方は︑事賓をよく説明する様に思

はれ

る︒所得は大閤に於て祉會的地位に應じて定まるこ見られる如く︑一定の社會的地位にある者は︑何等か

の他の報償なくして︑過度に低き所得狸得の為の努力を行はないであらう︒勿論之に酎しては

例外の場合

もあらう。例へば、守錢奴こ云はる上者が僅少なる牧盆猿得をも追求するこ考へらる~如き。けれさも、

事質に属する問題ではあるが︑有能なる大投資家︑従て叉企業家は豫想牧盆の或限度以下に低落する事に

b

て投資を差控へるに至るであらう︒若しそうであれば︑所得税の強度の引上は投衰を減退せしむる結 果こなるであらう︒従来︑税率の急激なる引上は生産の痰展を阻止するさ云はれてゐるのは︑が4る祉會

的勢力による一定牧盆李の要求に共根捩を求めらる\であらう︒然したがら︑投

資 動 機

を輩に牧盆のみに

求めたいならば︑効用叉は利盆の立場がらしても以上の説明は可能こたるのではあるまいが︒帥ち︑一定

牧盆率以下では最

r r 十投資努力に値したい︒叉は閑暇を選ぶこ見られる︒

るには費用が多過ぎるが故に手許に保有するt云ふ見方こ相適する︒

投 賓 誘 因 と 所 得 税

第十一巻

4) Makower, H. and Marschak. 

J .  

Assets,  Prices  and Monetary  Theory  Economica  1938. Vol. V. No. 19.  p. 276. 

(11)

る ︒ 税による個人の側の需要の愛化こ闘聯して各投資家︑

企業家をして需要増加の豫想をご盾困難ならしむ

之が租 目的税が少い現代

資牧盆セ減退せしむるものではない︒ 所得税は箪に投

投 資 誘 因 と 所 得 税 競在各國に於ける投資所得従て叉企業所得に酎する税率は著しく高額であり︑其最高税率は

1 0 0

% に 逹

する國さへある︵戦後一定額の戻税の條件附︶こ云はれてゐる︒

を典へてゐないこ見られてるる︒

を支持してゐる様に見える︒

る事情である︒ が重くなる程肱税が行はる\傾向が強い︒

此事質は税李如何に拘らす︑牧盆のある所投資が行はれるこ云ふ見方

けれども︑牧盆率の減少は箪に表面的税率のみによりては判断し得たい︒

戻税制度︑殊に牧益算定の正確さ等が表面の税率による負櫓を緩和する︒服i指摘せらる~如く、税率

之が表面は高い税李にも拘らす投資が減退せざる一の有力な 牧盆率この闘係に於て︑所得税こ投資誘因この間に更に考ふぺき

1つの問題がある︒

租税牧入に基く経費を考慮に入る\ならば︑租税は他面に於て需

要増加を生ぜしめ︑投資牧盆の増加が豫想され︑投衰を剌戟するこも考へられよう︒

の租税制度に於ては︑租税牧入による経費が如何なる方面に使用されるかの稼想が困難であり︑

一般に︑各投資者︑企業家は︑租税微牧に應じて︑幾何の需要増加が自己の投資部門に生するがを判

定し得ないであらう︒従て︑租税による需要増加が珠想牧盆を増加せしめ︑投資の剌戟こなるこ云ふ見方

は成立しないこ思はれる︒今暫らく此黙を外にして論じよう︒投資所得が主こして何等購買力として現は

然も此事は︑投資︑生産に何等の支障 第十一巻

10

第 一 賊

10  

●●5)  Kalecki, M. A Theory of commodity, income,  and capital  taxation,  Economic Jonrnal Vol.  XL VI[ pp. 447448.

(12)

投 資 誘 因 と 所 得 税

第十一巻

藍し︑貨幣の供給の側の事情は不愛であ

それ

は︑

一方

因の減退を緩和すると見るのは誤まりである︒

需要増加による豫想牧盆増加が投資誘

牧盆の大部分が租税によりて取上げらるヽならば︑ くしては第一の問題は解き得たい︒ きであらうが︒ れざる節約に向けられ︑國家の経費の大部分が消費需要とたつて現はれるとすれば︑練額が増加し︑投資牧盆の増加が豫想されるであらう︒いて又投資が減退し︑屈傭の減少に基く消費需要の減少も見込まる

4

あら

う︒

社會に於ける需要 も︑租税による需要増加従て之に基く豫想牧盆の増加が租税による投資誘因の減退を緩和すると見るべ

惟ふに︑之等二つの問題は甑別して考へら

・ るぺきである︒郎ち︐第一の問題は︑租税の

結果投資は結局如何なる稲類並びに亘軍に於て定まるが︑を問題とするに反し︑第二の場合は︑租税により

て投資誘因は如何に影響さる︑かの問題である︒

需要増加によりて如何に投衰牧盆の増加が見込まる

4にしても︑此

投資を刺戟しないであらう︒今問題とするのは︑如

何なる程度の租税が投資誘因を減退せしむるが︑であるが故に︑

租税による投資牧盆の減少は利子率を騰貴せしむると云ふ見方が成立するであらう︒

6)  p 

節約の減少による資本供給の減少に基くと見られ︑他方︑流動性選好

(L iq ui di ty pr ef er en ce k ・. )1 1   が不愛な.

a k  る場合には︑利子率は租税額に應じて膀貴したければならぬ︒

るのに︑貨幣の需要のみが増加するがらである︒たるほざ︑増税による投資牧盆の減少ぱ節約に影薯し︑ 第一の問題は第一︳の問題の解決を前提とし︑此解決な がヽる場合を別として

勿論、甚だしく強度の増税の場合には、

•生産引

(13)

今までの議論に於ては︑

投 査

. 誘

因 と 所 得 税

此不確貰要素を考慮に入れる場合には︑投

未来は稼想し

複雑なる事情によりて定

更に叉︑投資所得が社會に於ける衰本形成に於て螢む役割は大き けれざも︑社會に於ける姿本供給菫には︑輩に年々の新衰本形成額のみではなく︑過去の 亘額なる資本蓄稜額が存在する︒然も

. ︑後者の額は前者に比較して著しく大きいであらう︒

はない︒衰本供給には金融靡揺の力が

重要なる意義をもつこ考へられる︒

カセ典へる︒従て︑節約の減少によりて直ちに利子が肥貴するこは云へないであらう︒

増税による個人の所得を含めての一般所得の減少は流動性選好に

さしたる愛化セ生ぜしめないであらう︒けれざも︑流動性選好が愛化しないこしても︑

ける餘力さへあれば利子率を膀貴せしめるとは思はれない︒郎ち︑

は︑節約を減少するが︑又は借入れによりて流動性を維持する事が出来るであらうし︑

の充分なる餘力があるならば︑之によりで利子率の膀貴は生じないであらう︒ それのみで

貨幣の供給に於 企業家の投資による豫想牧盆は唯一の値をこる事︑帥ち完全橡想を前提こし

た︒けれぐも︑人は現在の細渭事象の全般を知悉する事さへ困難であるのに︑

まる勝来の投衰牧益に就て完全に算定する事は現在の知識を以てはなし得ない所である︒

得ざる種々の事件を含み︑従て不確賞であり︑危瞼を半む︒ する作用は考慮せすして差支へないであらう︒ 第二の見方にも迦用出来るであらう︒ いであらう︒ 資本の供給を減退せしむるであらう︒

従て︑増税の利子李に封

然も︑貨幣供給

I 租税による所得の減少の場合に於て 同様なる事情は

第十一巻

此様構が衰本供給に大なる餘

q

(14)

然るに︑人間の限られたる能力を以てしては︑社會に於ける練ゆる財の現在債

況して︑之等の財の債格を決定する練ゆる因子が賄来如何に愛化 投 費 誘 因 と 所 得 我

格を知悉する事さへ中人困難である︒ て可能なるものこなる︒ に定まる︒従て︑投資による将来牧盆の採想は︑ 係に於てのみ決定される︒ の決定によりて需要︑ よりて定まるであらう︒

然も︑生産財の債格によりて需要決定の一因子こしての所得が定まり︑此所得 従て叉将来の生産物並びに生産財の債格も影轡を受ける︒需給の間にはかくの如

き密接なる闘係が存在する︒

るが故に︑特定の生産物並びに生産財の膝来債格は︑

そればかりではない︒社會に於ける線ゆる財の債格は相互依存の闘係にあ がくて︑特定部面の将来に於ける需給も綿ゆる部面に於ける賄来の需供さ共

態によbて決定され︑他方供給にありては︑ 投資は勝来に於ける牧益を目的こして行はれるが故に︑

生産財用役の憤格の梵想の下に決定される︒

によ

bて定まる︒此需給は︑一方需要に於ては︑

不 確 賓 要 素 に 就 て

第十一巻

第 一 琥

資は如何に決定されるか︒それに封して増税は如何なる影響を及ぽすかに就て次に考察しよう︒

賄来︑牧入及び費用こなるべき生産物並びに 照来に於ける之

等の債格は︑夫等の財に封する将来の需給

現在並びに賄来に於ける生産物並びに生産財の債格情勢に

かくの如き複雑極まりなき事態の見透しによりて始め

他の穂ゆる生産物並びに生産財の照来債格この闘

現在並びに将来の所得︑欲望並びに需要釘象の債格朕

(15)

於ける牧盆豫想は暖味となり︑

︷貰

こ乖離し︑不確賞性

(U nc er ta in ty )(Risk)~危瞼が伴ふ。こ\に 不確賓性こ云ふのは︑利益を得るに就て確

懺ならざる場合を意味し︑

合を云ふ︒けれごも︑

則性セ疲見し︑事象生起の確

貰なる鉗識を猥得し得る事は大数法則の数ふる所である︒

如く︑地裳︑

要で

ある

4る敗伯を確定する方法には二つのものがある︒

. .  

( st a t ts t l ca l  

一は先監的方法であり

︑それによる確率

そこには最早不確賓性は

存在

火災

事象生起が未知叉は不可知たるが故に不確寅性ありこぱ云ひ得ない︒

死亡等に就て一々の事象が具閤的に生起する時期に闘しては之を膀知し得ないにし

ても︑之等各事象の大

輩的考察に於ては事象生起を確頁に背知

し得

る︒

たい︒此完全豫想に基いて保瞼事業の基礎が確立されてゐる︒ 一々の事象

それ故に︑投資牧盆の豫想に伴ふ不確質 性セ完全橡想に菱ぜしむる事が可能であるか否かに就て更に立入って考察しなければならない︒

未知又は不可知なる事象に就て不確質性が消滅し︑完全豫想が成立するためには︑事象生起の綿べて又

は充分に多数の場合をとり︑共中に於ける事象の生起︑不生起に就ての一定の比率が確立されることが必

を先監的確率

(a pr io ri  p ro ba bi li ty ) と呼び︑他は統計的方法であり︑其確李を統計的確

pr ob ab il it y)

又は経験的確率

(e mp ir ic al pr ob ab il it y)

と呼ばれるものである︒先監的確率にありては︑ 屈;引用される に就ては全

V

偶然と見ゆる場合

にも

︑ 類似の性質に基

さ︑多数の事象を考察する事によ

b

て何等かの規

危瞼さは棋失セ蒙る可能性ある場

するがを前以て知る事は︑少くとも︑現在の智識を以てしては到底なし得ざる所である︒従て︑投資に

投 資 誘 因 と 所 得 稔

第十一巻

一四

︑第 一 撃

(16)

投 安 誘 因 と 所 得 税

数に集計し観察し得ない︒ ざる場合にも︑之を充分

多数に就て観察

し ︑

第十一巻

勿論︑智識の不完全によるにせよ︑確

率算定の幼稚なる事に基くにせよ︑

一五

率算定が不可能

i云ふのであって︑その算定が絶到的に不可能と云ふのではない︒

第 一 撃

一五

現在までの所牧盆の統計的確

大撮観察を行ふ事が不可詣であるがらである︒

投衰牧盆に就て事象を充分多

然るに︑現在の我

さて

郎ち試行を充分に大きくする事によりて先駿的確率と同程

事象生起の線ゆる場合が知悉され︑然して事象生起の各場合は生起の

等しき可能性をもち︑

就て相互排他的であ

b

然も一定事象を生ぜしむるに役立つ場合の敷値が背め知られてゐる事が必要で

 

ある︒先駿的確率は事象生起の可能的なる線ゆる場合こ生起に役立つ場合の比率である︒

引用される骸子の特定の目の出る確

李決定の問題の如

きに

適用され

る ︒

は︑か4る先験的確率の適用され得ない事は明らかであ

らう

生起の継ゆる場合を知悉し得す︑一々の事

象の生起

に就ては偶

然的

であり︑従て正確なる知識を得られ

度の確李に到逹せむこするもので

あり

︑之が可能なる事は大敷法則の数ふる所で

る ︒ 牧盆に就て此方法によりて確

率が算定し得らる4ならば︑不確頁性は除去し得らる4であ

らう

︒ 統計的確李の算定に於ては同一性

質の事象が充分多数

に集計

さる\事が必要であ

る ︒

K

の細識の程度を以てしては︑保瞼の到象こなる人命︑火災

等の如

くに

従て︑若し投衰

それは︑牧盆が需要並びに投資家の能力の如き主観的事情によりて強き影睾I

を受け︑従て︑時期を異にする事象に就て之を集計

し ︑

統計的確率にありては︑

之に反し︑事象 紙に述ぺ江如く投衰牧盆に於て

例へば︑よく

事象生起に

7)  Fisher, A. The mathematical theory of probalility, p.  17. 

(17)

企業家の牧益豫想に就て不確

賀の程度を語

る事

は︑

此稼

想が数

輩化し得られる事を前提こしてゐる︒ 現こ乖離する闊に危瞼の可能性がある︒ て︑豫想は完全へこ接近するであらう︒ するであらう︒その完全さの程度は︑

企業家は将来牧盆に就て完全

豫想をなし得ないにしても︑

企業

家の牧盆

想の数

化 の

従で企業家の豫想には不確賞性

が伴

ひ︑

寅 之を出来得る限り完全ならしむる様に努力 れる事強きが故に︑不可能である︒

,  

得な

い︒

Pigou, A. C. Economics of Welfare p.  771. 

れ難

い︒

得る事を示すに止まる︒ 此豫想が完全であ

b

︑不確寅

性が消滅するためには︑牧盆に就

豫想が完全なる為には︑投

資家

自身に於て牧盆の統計的確率が樹立されなけれ

然るに︑日牧盆に就て統計的確

率は得られない︒目企業家自身に就ては試行ぱ充分に行は

同多敷の企業家の試行qを集

計する事は︑既に述ぺたる如く︑牧

盆が主

観的事情によりて影

響さ

それ故に︑企

業家

の牧

盆豫想は不完全であ

り ︑

観的性

質を脱却し

一︑

企 業家

の豊

なる

経験

︑郎ち

試行回敷の多き事︒二︑社會的

需給を決定する諸條件に就ての知

識の程

度如何に依

存するであ

ら う

︒ 之

等二つの大さが増加するに伴れ

然しながら︑既に述べたる如く︑企

業家

の豫想が如何に完全豫

想に接近するにしても︑それに一致する事はないで

らう

︒ 然るに︑此躁想の問題に就て古典的學説こ見らる

4ナイトの見解によれば︑ ぱたらない︒ て統計的確率が獲得されるだけでは足りない︒それは

輩に投

資牧盆

の危

陰を保陰し得ぺき事業が成立し さて︑投資家の牧盆稼想に就て見る︒

第十一巻

︐ 

(18)

投資が決意される場合には︑

ては考へられないであらう︒ 必す求めらる4であ

らう

いであらう︒

︑ は否定せられる︒

第十一巻

. 

^ 

I:: 

第 一 撃

何等がの貼で之こ類似の事例は 豫想される事態が個 性的

であるが故に確率を算定 ナイトによれば︑危瞼は数菫化し得ぺきものこ然

らざるものこに分

類される︒前者は固

有なる危瞼であり︑後者は不確質性である︒数量化し得ぺき危瞼は保瞼せられ︑費用化し得るが故に危瞼

負推から免れ得る︒然るに︑敷瀧化し得ざる不確賓性は費用化し得られす︑従て危除を免れ得ざるもので

ある︒前者の例は各種の保瞼封象さなる危瞼であ

b

︑後者は企業家の牧盆豫想に於ける不確賓性である︒

がくて企業家の豫想

は ︑ 藍然的結果の見稜

b

であ

b

︐ 

し得ない︒けれざも︑企 業家の豫想

する事賀が個性的であるにしても︑

従て集計し得すこ云ふ事はあるまい︒それ故に数董化し得ないこは云ひ得な

ナイトも認

むる如き企業

家の豫見の豫見に於ける確信は︑か4る類

似の場合の想定なくし 之を要 するに︑ナイトは数

撮化し得

ぺき

主観的確李の存在じ得る事を見落

してゐるこ云ひ得られるであらう︒

豫 想 と 投 資 決 意

投資家の牧盆豫想は完全ではないにしても︑敷量化し得るならば︑投資を決意する場合に於ける此猿想

の内容は如何なるものであるが︑並びに如何なる豫想内容が投

資決意

に於て採用されるがを考察

しよ

う︒

投 安 誘 因 と 所 得 税

必す牧盆の獲

得の確がらしさが存在する筈である︒換言

すれば︑可能的

9) Knight, F. H. Risk, Uncertainty, and Profit pp..224226. 10)高田保馬博士新利子論研究二六六頁

11) Knight. ibid.  pp. 226‑227. 

12) Pigou, A. C. The Economics of Welfare, 3rd.  ed.  1929,  pp.  769771.

(19)

> ' 

的牧盆値の大さを如何に決定するがにある︒

P

ち ︑

白牧盆の度敷分布

// / 

J

- ----—--—

x

る ︒

従て問題は︑投資家が牧盆不確賓曲線によて示されたる︑可能 牧盆が種々の確率を以て稔想されるであらう︒例へば︑

Pi,X3X4••…ば之に釘應する確率,

Pz

P3

P4⁝ ,

. .

.  

の敷値を以て見稜られるであらう︒従て確率は︑次式

の如く︑牧盆の函敷こして示される︒

今横軸に牧盆値をこり︑縦軸に夫に應する確率を測定すれば︑例へば次の如き不確賀曲線

(U nc er ta in ty

g 2 e )

~得るであらう。此曲線は各種の投資に應じて種々なる形態をとる。その主なるものさして次の  

極大黙の雨側に於て均等なる傾斜をもつ封象形と然らざる非釘象形が分けられる︒

野象形の中で極大黙の雨側に於ける傾斜の緩急の二つが厭別され︑

非 野象形に於ては︑原勘がらの極大幽の遠近によ

b

て聟臨的なる二つの 形が分類される︒投資家は一定額の投資による牧盆の不確賓曲線叉は 豫想牧盆表

によりて︑此投資に基く豫想牧盆を算定する︒

而して各種

ものが學げられる︒ p11

( x )

の投衰額

より生する種たの形態をとれる牧盆不確質曲線によりて算定

されたる諸々の豫想牧盆値によりて︑投資の方向並びに菫が決定され 一定額の投資によbて得られる豫想牧盆︑

X1 ,Xz̀ 

13) Hicks, 

J .  

R. The Theory of Uncertainty and Profit, Economica 1931,  Vol.  11  p.  178. footnote 2. 

14) Pigou, ibid, p ・ 772. 

投 衣 誘 因 と 所 得 税

第十一巻

第 一 賦

(20)

011l

!'

X

1f

M ) k ‑ 2

平均値こして通常採用されるものには︑算術平均︑モオド︑メデイアンの三つがある︒投資家

の牧益豫想の見地

からすれば︑牧盆

獲得の確率最

も高

き︑従て

最も艇

た現はれる可能性を示すモオドに

基いて︑評債が決定されるこ考へるのが妥嘗であらう︒

率に應する牧盆値ではなく︑

此豫想値に共確率を乗じたる稜︑郎ち一種の平均値こしての敷學的期待値

ヽ ' ,

︶ で

る ︒

(M

at

he

ma

ti

ca

l  E

xp

ec

ta

ti

on

 

豫想牧盆の評債にこりて菫要なる問題は箪に牧盆の大さのみではなく︑

ある︒此確賓さは平均値をめぐりて豫想値が如何に分布されてゐるかによ

b

て測定され︑

は撒布度こして取扱はれる問

であ

る︒

菱量

の分布の

朕態を測定す

る為に採用

さる

4最も 普通の方法

は ︑ 投

衰 誘 因 と 所 得 税

なら

ぬ︒

第十一巻

一 九 第 一 琥

之を獲得する確

買性の程度

は︑各

髪漏と之等の算術平均

この

差の平方を求め

︑之

等を愛敷

こし︑それ等こ度敷この

算術平均値の平方

根である︒髪量の系列を

X n

敷を

凡 ︑ 算術平均値を

Mをすれば︑標

準偏差

6は次式によりて示

され

る︒

k111, 23,

 

..

 

標準偏差

によるもの之である︒

︐  それ 一般に分布或 然して投

資 家

にこりての豫想牧益は︑最大の確 度数分布の近似的数値を求めるには︑北へ平均値

(m

ea

n)

こ分布

(d

is

pe

rs

io

n)

 

(F

re

qu

en

cy

i   d

st

ri

bu

ti

on

~示す此曲線の代表的数値を決定するにある。

の測定をしなければ

IS) Marschak, ibid.  p. 272. footnote 1.  16)栗村雄吉数授債格の一般理論 四四六頁 17)小 倉 金 之 助 統 計 的 研 究 法 一 〇 八 頁

. 

(21)

投 安 誘 因 と 所 得 税

を示す︒標準偏差の大なる場合は︑之に反し︑平均値を取巻く度敷の愛化が大であり︑

標準偏差の大小は何に基いて生するが︒それは︑一方︑企業家の経験に基く智識の程度の問題であ

b

であり︑従て豫想値が平均値の近傍に集結する度合が強く偏差は小こなる︒智識の程度を同一こすれば︑

れば︑確率は1であり︑完全稼想こなる︒

鰤標準偏差によりて示される豫想賓現の確賓性又は安全性の程度は︑

る︒換言すれば︑標準偏差は絶到的分布度を示すに過ぎぬ︒

を比較するには︑相野的分布度を測定する髪分系敷

(g

ef

fi

ci

en

t

of

  v a r

i at i

o n)

が用ひられる︒それは︑

標準偏差

aを算術平均Mにて除し江る商の百分率にて示される︒

< 

なり︑偏差は大こなる︒此標準偏差の大小は企業家の確信

従て豫想貿現の相酎的安全性の大なる

異れる種類の豫想事象の豫想質現の安全性

唯一の豫想事象に闘するものであ の程度を示す︒偏差が零であ

,  

ナイトの測定し得べき危瞼は之に該嘗する︒

x

O O  

~

然して︑愛分系数の値の小なる場合が標準偏差の相封的に小︑

・ 18)栗 村 前 掲 書 四 五0頁

19)小 倉 前 掲 書 一 二 三 ー ー ー ニ 五 頁

(C

on

fi

de

nc

e)

 

生産設備への投資の如き豫想が長期に亘る程︑又は流行に於ける如き需要が愛動し易き程豫想が腰昧こ 他方︑野象の側に於ける事情による︒ 就て危瞼が大きい事を表してゐる︒ 従て牧盆獲得に 平均値をめぐる度数分布は︑標準偏差の値が小なる時は雙化が少く︑

従て牧盆獲得の安全性が高い事 到象並びに之を規定する事情に就ての智識が大なる程豫想が確頁

第十一巻

1

0 ,

(22)

影響する事は明がである︒ 牧盆を犠牲にして安全なる投

衰セ撰揮するであらう︒ ば︑敷學的期待値は大なれざも安全性の小なる投資と︑

第十一巻

資本危瞼が學

大腑なる企業家は安全 敷學的期待値は小なるも安全性の大なる投資の

なる投資が撰捧される事も自明である︒ 各種の 得らる\豫想牧盆によりてのみ決定されるのではなく︑

更に此牧盆痙得の確賓性の程度に依存する︒投

程度にも向けられる︒ 事を表す︒

投資牧盆に就ての豫想の不完全さによりて︑豫想は可能的牧盆に闘するこ共に︑

換言

すれば︑企業家の投資決意は投衰期間に於ける数學的期待値の割引によりて 投資に就て︑豫想される牧盆並びに安全性は

異るであらう︒

資決意に際して︑投

資家は稼想に於ける之等二つの要素に就て如何なる撰揮をなすであらうが︒

今若し二つの投資の間に於て之等二要素の

中の一が相

等しこすれば︑他の要素の値の大なる投資が撰揮される事は明白である︒

若し一要素の大小の闊係が他の要素に於て逆こなる場合︑.例

何れが撰搾されるかは︑全く企業家の安全選好によりて定まるさ云ふ外はない︒

投 資 誘 因 と 所 得 稔

叉︑

1要素こも大

性を犠牲にして︑牧盆の僅小なる増加が営想される投資を選ぶであらう︒之に反し︑小心なる企業家は︑

不確賓要素を取入れて考ふる場合︑一方に於て︑投資家の投資を決定する因子こして\

げらる\︒投衰は箪に牧盆のみならす︑元本喪失叉は減少の危瞼に曝される︒従て︑叉資本危瞼が投資に

けれざも︑投資は牧盆を期待してのみ行はれるものであるが故に︑少くも牧

牧盆賓現の確賓性の

(23)

較考慮の下に投資財の轄換が決定される︒ 資本損失の危瞼が大である︒ 資期間の長短に依存する︒ 此危瞼は鷲想が不確賓である程大であ

り ︑

豫想の不確賓

は投資者の智識其他の條件を一様こすれば投

てゐ

る︒

であ

b︑従て流動性犠牲額の大

小こ

反到の闘係に於て定まる︒

現金︑有債證券等は︑不動 流動性の大小は︑共商品が市場に於て廣 流動性の大小は衷却可能性の大小

投 表 誘 因 と 所 得 税

益期待が豫想される資本危険を超過するのでなければ︑投資は行はれたいであらう︒

によ

b

て損失を蒙る場合︑郎ち︑ 投下資本の流動性こ云ふのは︑共賓却可能性を意味する︒此此賣却

訟 只

却によbて本来或は完全背想の下に於て有すぺき債格以下の牧入セ

得る場合に︑此差額並びに喪却の費用を流動性犠牲叉は費用こ云ふ︒

く取引されてゐるか否か︑並びに其牧盆の確貰性如何によりて決定される︒

産︑固定資本等よ

b廣く取引され︑確賀なる抵嘗附債櫂は確賀なる牧盆の故に流動性が大きいこ見られ

市場朕況に就ての穀想が完全でない為に︑牧盆に就てのみならす資本に就ても損失の危瞼が存在

する

従て投資期間の長き程︑豫想が困難こなり︑それが賞現される可能性少く︑

此妾本損失を廻避するためには︑賄来の市場愛動を豫想して︑より一肝安

全且牧盆の大なる投資財への轄換を計らねばならない︒流動性犠牲は韓換の限度を規定する要素であ

b

投資財轄換によりて得られる豫想牧盆率並

びに安全率こ然らざる場合の夫

等この差異こ流動性犠牲の比 測定するものは

資 本

の流動性である︒ 資本危瞼の大さを

第十一巻

A>) Marschak, J, Kapitalbildung S. 8. 

(24)

を差引ける牧盆の数學的期待値と偏分系数の算定によりて安全率を確定し︑

全率は投資家の安全選好率によりて牧盆の橡想値に換算され︑敷學的期待値がら差引かれる︒

得られたる諸種の投資の間に於ける牧盆の期待値の比較によりて投資の種類並びに額が決定される︒従

て︑投資は豫想限界牧盆率が利子率に等しい黙に定まると云ふ原理は︑根本に於て何等雙りはない︒

然るに︑危瞼要素を取入れる場合には︑限界牧盆率と利子率均等の原理は修正され︑投資は限界牧盆

率が利子率と危瞼率の和に等しくなる所に定まると見る説がある︒それによれば︑企業家の事業撰張の ための投資増加に基く限界危瞼の増加する二つの理由がある︒日投資増加に伴ひ失敗の場合に危陰に曝 される額が増加し︑⇔非流動性の危瞼が増加し︑之に應じて失敗の場合の損失危瞼が大きくなる︒他人

投 査 誘 因 と 所 得 税

て牧盆の数學的期待値がら差引かるぺき安全率を決定する︒

第十

1

がくして 換言すれば︑偏分系敷により測定される安 投資家の安全選好率により がくて︑不確質要素を前提とする場合には︑投資は次の如く決定されるであらう︒帥ち︑流動性費用 流動性犠牲の大さは︑投資期間中の如何なる時期に於ける︑こされるかによりて定まる︒投資者は︑︐ 投資をなすに賞りて︑牧盆性こ安全性の外に流動性を考慮すべき

`ものであるならば︑投資者は市場朕態︑投資の種類等に應じて一定時期に於ける︑一定投資財数撮に就て

流動性を評債しなければならない︒かくして得られたる流動性犠牲は︑牧盆性並びに安全性に封立する項

目を構成するものではなく︑豫想牧盆がら見込みの此犠牲を差引きたるものが豫想純牧盆を構成する︒ 且投資財の如何なる数輩の流動性が問題

21) Marschack, Assets・  p.  279. 

22) Kalecki, M. The Principle of Increasing Risk Economica 1937, Vol. 

l V  

pp. 440. ff. 

(25)

合に

は︑

投 衰 誘 因 と 所 得 税

郎ち︑利子李こ限界危瞼この合計が資本の限界効率に等しい所に投 けれども︑此説は牧盆率こ利子李の均等によりて投資が定まるこ云ふ説に取って代

既に述べたる如く︑之

等の危瞼が費用に加算される性質のもので

ある限り︑此説のもつ意味は単に費用選増の法則の一︐つの場合を説明するに止まり︑

則が如何に支配し難きかを示してゐるに過ぎぬこ思はれる︒

じて純牧盆率こ利子李この均等する勘に投資を定め得る筈である︒

不確賓要素と所得税 不確

賀要素を考慮に入れたる場合の投

衰 誘 因に封する所得税の影

響の問題に立師へる︒

投資家は投査に尉する牧盆率及び安全李の豫

想に基き︑自己の安全選好の程度に従て安全率を

ではなくして︑依然として利子李である︒ 封立せしめて費用項目に算定しない所にあるこ思はれる︒

租税がなき場

牧盆率に弼立して投資を規定するのは︑費用

23) Kalecki, ibid. p. 442. 

カレッキの談はか4る危瞼を牧盆に

家は︑此危瞼費用だけを差引たる額を

稼想純牧盆

" :

見倣して︑, J

叉は

︑ 危瞼による借入利子率の上昇に應

換言すれば︑投

を増加しようこする企業 従て牧盆不愛の法

るぺき性質のものではないであらう︒ 険上昇の原理こそ投資を制眼する︒

,

資額が決定される︒ 3 2   院曲線の上昇によりて投衰は制限せられる︒

牧盆李

'Y

利子率の均J

が投資を規定するのではなくて︑危

資本借入の時夫に應じて利子が高くなる︒

従て︑投資に封する牧盆不斐の法則が支配するにしても︑危

第十一巻

ニ四

(26)

の程度が強いと云ふ相違があるに過ぎない︒ に基く安全率の減少は︑諸種

の投

資の間に均等に生する︒ 郎ち︑安全率の減少は猿想牧盆を減少せしむるに過ぎす︑

第十一巻

二五

然しながら︑

二五

投資が衰退する事は完全豫

では︑租税による豫想牧盆のか4る減退が課税前の投資快

従て︑日は⇔に比較して箪に豫想牧盆の減少

場合に述べたる如く︑之を無説し得るであらう︒ 牧盆率に換算し︑特定の方向に一定額の投資を決意するとしよう︒

云ふまでもなく︑租税によりて投資 他方︑安全率は将来に於ける牧盆猥得の確からしさであり︑租税が

之に如何に作用するかは将来の租税に封する豫想によりて影饗される︒

<國家並びに個人の側に於ける

需要の愛

化が︑投

資牧盆率

及び安全

率に封する影響は︑既に完全豫想の

従て︑租税の豫想牧盆に野する影響は︑日豫想牧盆並 びに安全率減少︑⇔

豫想牧盆減少と安全率不愛の二つの場合何れがである︒

一投資家に就て見る限

b

意に如何に作用するであらうか︒

租税により豫想牧益が最早猿得に値せすと考へらる\程減少するならば︑

投 査 誘 因 と 所 得 税

一歩立入って

考ふれば︑租税の投

資への作用の黙に於ては日の場合はけの場合と同様に取扱ふ事が出来るであらう︒

将来課税の蓋然性

されるたらば︑租税に闘する限

b

完全豫想が成立し︑

安全率は何等愛化しないであらう︒租税牧入に基

によるにせよ︑或は他の事情に基くにせよ︑

租税は将来の投資期間に亙りて再び増徴されない事が確定

繰返し課せらる4がも知れぬと豫想されるならば︑

安全率は低下するであらう︒叉︑若し︑政府の弊明

若し租税が投資期間に於て将来

家Q豫想牧盆はそれだけ減退する︒

. 

(27)

する

A投資 B投資

A投資 B投 資

期 待 牧 盆 率

20% 

5% 

期 待 牧 盆 李

10% 

4% 

税 前

換算せられ たる安全率

8% 

0.5% 

税 後

換算せられ たる安全率

8% 

0.5% 

純 豫 想 牧 益 率

12% 

4 ‑ 5 %  

する

Aは危瞼投資︑Bは安全投資であり︑租税は累進税にて︑ 想の場合に述べたる所と菱りはたい︒様な場合であらう︒

投 資 誘 因 と 所 得 税

純 豫 想 牧 盆 率

2% 

3.5% 

.  •

 

Aには五割︑Bには一︳割課税されると

がさる場合を除いて考ふるならば︑租税による投資の斐化は次の 郎ち︑租税によりて減少せる豫想牧盆李から安全李セ安全選好によりて換算せる牧

盆率を差引ける残額が︑課税前の残額の順位を焚更する場合が之である︒

前の投査牧盆の順位を愛更するものではないと云ふ前提と矛盾するものではない︒

第十一巻

次の例が之を明かに

たゞし︑此事は︑

' 租税は課税

二六

第 一 琥

二六

(28)

/ 

其根祗に危瞼掠裳には一定額の牧盆が支彿はる

4

と云ふ牧盆の危除報償説が存在するがらではないがと

此見方に就ては嘗て述べたる所であるが︑所説甚だ不充分であ

b

之を修正する意味に於て 投 資 誘 因 と 所 得 税

思はれる︒ 此命題がら︑租税によ

b

て一般に危瞼投資︑従て其一種とし

ての企業投資が減少すると見る説は廣く行はれてゐる見解である︒ れない︑とは一般に云はれる事賓である︒ さて︑危瞼投資には大なる牧盆が伴ふ︒

第十一巻

二七

第 一 撃

一 七

然して︑か

4る主張が成立するのは 勿論︑残額牧盆たる純豫想牧盆率が課税前と順位を婆更したいたらば︑投資の移動はない︒従て︑高度の累進税の場合でも︑租税によりて必然的に一般に投資移動が生する傾向があるとは云へたいであらう︒殊に︑社會に於ける綿投資の中に於て

重要なる意義

を有する指導的企業家にありては︑牧盆の獲得に就て

は安全率が極めて大さく︑唯牧益李の程度に就て安全率が低いと云ふに過ぎす︑然も前提により︑租税は牧

盆李の順位を髪更せしめざるが故に︑其投査は高度の累進税に封しても非弾力的であると考へられよう︒

蓋し︑牧盆獲得の安全率が大であるが故に︑差引がるぺき牧盆率は小であ

b

︑残額豫想牧盆率が比較的大き

いがらである︒之からして︑大個の傾向として投資は租税に闘して弾力性が小さいと云へるであらう︒事

賓に於て高度の課税率が投

衰減少を引起さない理由は︑

割を螢む事は前に述べたる所と同様である︒勿論︑それと反野に︑課税技術上︑投資を抑制する場合もあ

b

得る︒例へば︑生産費を牧盆と見倣して課税する如き︒今暫らく之等課税技術上の問題を論外に置く︒

換言すれば︑大なる牧盆が見込まれすしては危瞼投資は行は

以上の外に種々の方法による脱税が重要なる役

24) Cf. Black, ibid. pp. 222‑2坦 25)拙 稿 所 得 税 と 物 債 本 誌 十 巻 ー 競

(29)

行はれる︒荀も計算によりて牧盆の豫想されざる所に投資は行はれない︒富札は一枚嘗り其債格が低さ 札買入は射倖心に基くと云はれる所以である︒

之に反し︑投資は牧盆を目的とする打算的動機に基さて

損失を意味する︒損失なる事を知りながら富札を買ふのは︑

打尊的動機によりては説明せられない︒富

富札の買入は計算上明かに買手の 牧盆猥得に於て不確賓を伴ふが故に︑ である︒之を逆に︑若し多数の小額の賞金である場合には︑ 設する事を許されたい︒

ニ 八

租税によりて牧盆猿得の安全率は同一なるにも拘らす︑豫想牧盆が減退する︒

之によりて︑次の見方が成立する︒日心理的に射倖心を抑制し︑危陰投資を衰退せしむる︒

と安全投資との間に於ける豫想牧盆率の差を縮少せしめ︑危院投資が減少する︒

富飯に於て見る如く︑

完全豫想 投資も

日危瞼投資 賞金が少数で多額である程その富札の買手が増加する事は日常経験の示す事質

買手は減少するであらう︒危瞼投資として

の企業投資に就ても︑租税による豫想牧益の減退する場合には︑同様なる事が云へるであらう︒

牧盆を期待する貼に於ては富鍛の場合と類似するであらう︒然し

ながら︑之等二つの事象は其性質を全く異にするものであ

b

︑ 一方がら他方の類推は許されない︒郎ち︑

富鍛の場合に於ては︑事象の練ての場合が知悉され︑其中の嘗選率が確定されてゐるが故に︑

が得られる︒然るに︑投資の場合に於ては︑事術が全く異る事は師に述べたる如くである︒

に於ては︑痰行者が一定額の牧入を得る事を目的としてゐるが故に︑

ため︑買手は始めより之を失ふ覺悟の下に買入れ得るに反し︑投資は通常多額に上るが故に︑あくまで

第十一巻

然も

富簸

ニ 八

26) Stamp, J;  Risk‑Taking and the Price  Level  Economic Jonrnal  1928,  p.8.

(30)

の損失資本を柚償する為の保瞼共同基金となるものである︒

少せしめ︑危瞼投資に資本を吸引し得ざるに至る︒例へば︑安全投査牧盆率

5%

︑危瞼投資牧盆率

7%

牧盆率の差

2%が損失柚償の共同基金を意味するならば︑

投資は減退する︒

第十一巻

二 九 第 一 猿

二九

50%課税は牧盆率の差を1

%に縮少し︑危瞼 けれざも︑計會に於ける練投資を安全投資と危院投資に匝別する裏の困難は別として

も︑一︳投資間の牧盆率の差額が資本危瞼を補償する役目を何故に果さねばならぬかと云ふ事は論證し得

られざる事であらう︒叉其差額が損失資本を補償するに足る額であると云ふ保證もない︒況して︑牧盆李

の如何なる大さの差額がが\る役割を果すものであるかと云ふ問題は解決し得られざるものであらう︒

今此説に立入ってそれがもつ意義を検討する必要はないであらう︒

投資牧盆率の差の保瞼基金説︑及び

それがら導き出さる\投資移動の見解は全く誤れるものと見る外はない︒.之に反して︑主歴の心的評債

に基いて︑牧盆率の差の縮少が危瞼投資を減退せしむると見る説は︑近代的不確賓性の理論の上に立脚し

てゐる︒帥ち︑安全投衰と危胎投資との選捧を︑二投資間の豫想牧盆率と夫に應する安全率この闘聯に於

投 資 誘 因 と 所 得 税

ある︒前の見方は次の様に説明される︒

租税による牧盆率の差の縮少は此基金を減

27) Stamp. 

J .  

ibid. pp. 205206.

安全投資と危陰投資との間に於ける牧盆率の差は︑危瞼投資中

見方には︑牧盆率の差を客観的に必然的なる大さとする見解と︑

次に

打算的動機によりて行はれる︒

従て︑二つの事象は全く別種のものであ

b

類推は許されない︒

租税による安全投資と危瞼投資との間に於ける牧盆率の差の縮少が投資を移動せしむると云ふ

之を以て主開の心的評債と見る立場が

参照

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