No.465 2012.9.3
34
マエストロの解説
海外に有する子会社が特定外国子会社等に該 当し、かつ、適用除外基準を満たしていない場 合には、その子会社の所得は親会社たる日本法 人の所得とみなして課税されることとなる。つ まり、親会社の所得に合算して、日本で課税さ れることとなる。この場合、合算される所得 は、外国法人たる特定外国子会社等の所得であ り、必ずしも日本の法令に基づいて表示されて いるわけではない。こうした外国の法人の所得 金額を、日本での課税にあたり、どのように計 算するのかが次のテーマである。
1 概 要
タックスヘイブン対策税制による合算所得 は、特定外国子会社等の課税所得を基礎とし て、「基準所得金額」、「適用対象金額」、「課税 対象金額」の順に計算される(措法66の6①)
1。
(図1 参照)。
この「基準所得金額」は、原則的には、特定 外国子会社等の各事業年度の決算に基づく所得 の金額であり、一般的には、会計上の税引前利 益を意味するところであるが、これを①法人税 法および租税特別措置法における所得計算に準 じた方法で計算する方法又は②現地法令により 計算された課税所得にいくつかの調整を加える 方法で計算し、最終的に我が国の法令により計 算した課税所得金額に近いものとなる(措法 66の6②二)。
次に「適用対象金額」は、基準所得金額に前
今回のテーマ マエストロの解説
# 01
経営戦略に応える 企業再編税制
# 02
スカウト最新事情㈪
ヘッドハンター 佐藤文男
# 03
「スカウト力」を UPさせるキメ技
# 04
キャリアシートの 書き方
# 05
スカウト転職に 成功した人々 朝長英樹
(税理士法人アクト22代表 社員、元財務省主税局)
業界動向を踏まえた
効果的アピール法 スカウトサービスで
効率よくキャリアアップ キャリアシートで決まる
スカウト転職成功の道
経営戦略に応える 企業再編税制
# 02
朝長英樹
(税理士法人アクト22代 表社員、元財務省主税局)今から考えておく・
遺産取得課税方式 で相続税対策はこ う変わる
# 02 □□□□■
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〜「理解」から「活用」の段階へ〜
グループ税制の使い方
# 03 □□□□■
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今から考えておく・遺産取得課税 方式で相続税対策はこう変わる
# 04 □□□□■
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国際課税に潜む見落とされがち なリスク
# 05 □□□□■
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”複雑になりすぎた”法人税をもう 一度勉強しよう
# 05 □□□□■
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”複雑になりすぎた”法人税をもう 一度勉強しよう
# 03 □□□□■
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今から考えておく・遺産取得課税 方式で相続税対策はこう変わる
# 04 □□□□■
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国際課税に潜む見落とされがち なリスク
# 05 □□□□■
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”複雑になりすぎた”法人税をもう 一度勉強しよう
〜「理解」から「活用」の段階へ〜 グループ税制の使い方
Maestro&Theme
# 52
品川克己
日本公認会計士協会租税 調査会専門委員(国際租 税専門部会)税理士法人プライスウォーターハウスクーパ ース(マネージング・ディレクター)
略歴
89年より大蔵省主税局に勤務。90年7月より同国 際租税課にて国際課税関係の政策立案・立法及 び租税条約交渉等に従事。96年ハーバード・ロー スクールにて客員研究員として日米租税条約につ いて研究。97年より00年までOECD租税委員会 に主任行政官として出向(在フランス)し、「OECD 移転価格ガイドライン」及び「OECDモデル条約」
の改定、及び関連会議の運営に従事。01年9月財 務省を辞職し現職。
タックスヘイ ブン対策税制
─合算所得金額の計算①
# 02
国際課税に潜む見落とされがち なリスク
今週のマエストロ&テーマ
次回のテーマ
(税理士法人アクト22代
朝長英樹
表社員、元財務省主税局)
#
53 経営戦略に応える 企業再編成税制
税理士
朝長英樹
経営戦略の1つとして組織再編成税制を活 用できる方法を、同税制等の創設を主導し た筆者が事例形式で解説する。
税務における第一人者 〝税務マエストロ 〟による税実務講座
※取り上げて欲しいテーマを編集部にお寄せください。
1 平成 21 年度改正以前は、特定外国子会社等の合算対象 となる所得の計算にあたって支払配当の控除が設けられて いたことに伴い「未処分所得の金額」という概念が設けら れていたが、外国子会社からの配当等の益金不算入の創設 に伴って支払配当を控除することができなくなったことか ら、「未処分所得」および「留保」という用語をはずし、
現在は、「基準所得金額」、「適用対象金額」、「課税対象金 額」という概念により制度が構成されている。
No.465 2012.9.3
35 7年の欠損の金額および当該年度の税額による
調整を加えた金額となる(措法66の6②二)。
最後に「課税対象金額」は、適用対象金額の うち、直接および間接に所有する当該特定外国 子会社等の株式等に対応する金額である(措法 66の6①)。つまり持分に対応する金額となる。
基準所得金額の計算
2
基準所得金額は、特定外国子会社等の各事業 年度の決算に基づく所得の金額について、原則 として、法人税法および租税特別措置法におけ る所得計算で計算した金額に、法人税及び特定 の受取配当等の調整を加えた金額であり、課税 所得金額に近似する金額となる。なお、「特定 外国子会社等の各事業年度の決算に基づく所得 の金額」とは、特に定義されていない。
この金額の計算にあたっては、原則的方法と して本邦法令に基づき計算する方法(措令 39 の 15 ①)および例外的方法として、本店所在 地国の法令(現地法令)に基づき計算する方法
(措令39の15②)が選択適用として認められて いる。
(1)本邦法令:原則的計算方法
基準所得金額を、本邦法令、つまり日本の法 人税法および租税特別措置法に準拠して計算す る場合は、次の順序で行うこととなる(措令 39の15①)(図2 参照)。
i)本邦法令の規定の例に準じて計算した場合に 算出される所得の金額又は欠損の金額を計算
ii)当該事業年度において納付する法人所得税の 額を加算
iii)当該事業年度において還付を受ける法人所得 税の額を減算
iv)他の特定外国子会社等からの受取配当を減算 ① 適用される本邦法令
上記 i)にいう「本邦法令」に基づく計算と は、基本的に内国法人の各事業年度の所得計算 と同様に行われる。なお、この計算時に適用さ れない法人税法の規定は次のとおり。
♦第23条;受取配当金の益金不算入
♦第23条の2;外国子会社から受ける配当等の 益金不算入
♦第25条の2;受贈益の益金不算入
♦第26条第1項から第5項;還付金等の益金不 算入
【図7】 営業権に関する議論は不毛?
【図表2】 □□□□■□□□□■
【図2】 特定医療法人化と本件相続の関係
B/S
寄附?
資 産 負 債営業権
負 債 資 産
<債務超過会社のB/S>
(借 方) (貸 方)
(債 務) 430,442,435 (資 本 金) 400,000,000
(資本準備金) 30,400,000
(雑 収 入) 42,435
【図2】 債務者会社の経理処理 現 行
譲渡損失
×
対価がA社株式ではないため、現行の税制では課税繰延は認められない。
国内会社
業界団体等 ※ 被相続人に係る相続発生
各省庁︵窓口︶ 各省の税制担当副大臣 政府税調 政府税調 各省の税制担当副大臣 各省庁︵窓口︶
業界団体等
持ち分の定めのある 医療法人
②①債権を1億6200万円 で取得
親会社株主 株主
特定医療法人へ移行
双方の株主総会特別決議が必 要であり、友好的に行われる。
DES
【図3】 本件自己株式の譲渡の概要(平成16年5月期)
③債権(3億2470万円)
①債権4億6931万0500円
②①債権を1億6200万円 で取得
③自己株式(34万株) 債務者会社
外国銀行債権者会社
②①債権を2億5663万 2756円で取得、1億 4461万0500円の弁 済収受
100%出資
100%出資新設医療法人 新設医療法人
A国 日本企業
日本
子会社設立
(金銭出資)
業界団体等 自民党税調
臨時株主総会
特定医療法人の承認申請の遂行︑定款変更の認可の手続を決定
業界団体等
商工部会 農林部会 財務金融部会
建設部会 …etc
自民党税調 政府税調 各省の税制担当副大臣
各省庁(窓口)
業界団体等
〈これまでの税制改正プロセス〉
〈民主党政権下での税制改正プロセス〉
政務調査会自民党
商工部会 財務金融部会 農林部会 建設部会
…etc
【図表2】 新旧の税制改正要望プロセス
業界団体等
業界団体等 各省庁︵窓口︶ 各省の税制担当副大臣 政府税調自民党税調 自民党税調
業界団体等
自民党税調
〈これまでのプロセス〉 〈民主党政権下でのプロセス〉
政務調査会自民党
経済産業部会 財務金融部会 農林部会 国土交通部会
…etc.
【図1】 グループ法人単体課税制度の適用範囲と 譲渡損益の繰延べ範囲
譲渡損益の繰り延べ
一定資産の譲渡
100% 100%
内国法人 内国法人または個人または外国法人
内国法人
【図3】 改正寄附金税制の適用範囲
寄附
100%
B社 個人
A社
【図】 評価範囲の決定方法(見直し案)
譲 渡
譲渡先 資産
譲渡元
減価償却分の
譲渡損益実現 減価償却
繰延べ損益の
金額実現 除 却
寄附
100%
100%
B社 内国法人又は外国法人
A社
損金算入
損金算入損金算入制限の中で損金算入
損金算入制限の中で損金算入A 社
B 社 損金不算入
損金不算入損金不算入
損金不算入A 社
B 社
【図3】 改正寄附金税制の適用範囲
寄附
100% 100%
B社 個人
A社
寄附
100% 100%
B社 内国法人または外国法人
A社
益金算入
益金算入損金算入制限の中で損金算入
損金算入制限の中で損金算入 A 社B 社
益金不算入
益金不算入損金不算入
損金不算入 A 社B 社
0 30 60 90 120 150
本社
売上¥60 A支社
¥30 B支社
¥20 その他
¥40
100/150以上
80/150以上
(例)A支社が
① 前年度の評価が良好 ② 状況に大きな変化がない ③ 特に重要な事業拠点 (本社)でない
【当年度】
【前年度】
Aは評価対象外
(出典:金融庁)
寄 附 金 40 / 土 地 30
譲 渡 益 10
譲渡損益調整損 10 / 譲渡損益調整勘定 10
土 地 40 / 受 贈 益 40 土 地 :+40
利益積立金 40 / S 社 株 式 40 S社株式 :−40(帳簿価額:60)
利益積立金 :±0
【図1】
100% 土地 B/S
P社S社
現 金 70 資本金等 50 土 地 30 利益積立金 50
【仕訳5】
【仕訳4】
【図】 統括会社の概念図
【図2】 本邦法令に基づく基準所得金額の計算 【図3】 受取配当の除外(原則)
【図2】 平成13年度改正における法人税法上の処理
【図3】 平成18年度改正以後の法人税法上の処理
【会社法上の貸借対照表】
【図表2】 組織再編成における未経過固定資産税 相当額の金銭の位置関係
【例1】
【例2】
【ケース 2】
A社 B社
100%
甲 乙 丙 丁
100%
100% 1% 99%
C社 D社
【ケース 3】
A社 B社
100%
甲 乙 丙 丁
100% 100%
1% 99%
C社 D社
P社
B/S
現 金 70 譲渡損益調整勘定 10
資 本 金 50
利益積立金 10
利益積立金 30 / 土 地 30
土 地 30 / 配 当 収 入 30 土 地 :+30
S社株式 :−(帳簿価額:100)
利益積立金 :+30
【図2】
S社
P社
B/S
現 金 70 資 本 金 等 50
利益積立金 20
資本金等 15 / 土 地 30 利益積立金 15
土 地 30 / 利益積立金 15 土 地 :+30
資本金等 15 S社株式 30 S社株式 :−30(帳簿価額:70)
利益積立金 :+15
資本金等 :−15
(*)分割前事業年度の簿価純資産価額を100、分割直前の資本金等の額を50とする。
・S社の減少する資本金等の額 15=50×30/100(法令8①十五)
・S社の減少する利益積立金額 15=30−15(法令9①十)
(*)前提は、上記S社の場合と同様である。
・P社の増加する資本金等の額 −15=15−(100×30/100)(法令8①六)
・P社の増加する利益積立金額 15=30−(−15)−(100×30/100)(法令9①三)
・P社が保有するS社株式の減少額 30=100×30/100(法令119の3⑪、119の8)
【図3】
S社
※P社
B/S
現 金 70 資 本 金 等 35
利益積立金 35
【図表4】 ケース1
A社 B社
100%
甲 乙 丙 丁
100% 100% 100%
C社 D社
【図表5】 ケース2
A社 B社
100%
甲 乙 丙 丁
100%
100% 99%
C社 D社
【図表6】 ケース3
A社 B社
100%
甲 乙 丙 丁
100%
100% 99%
C社 D社
1%
1%
匿名組合契約
匿名組合契約反 対 株 主 の 買 取 請 求 に 基 づ い て 交 付 さ れ る 金銭等
剰 余 金 の 配 当 等と し て 交 付 さ れ る 金銭等
未経過固定資 産 税 相 当 額 の 金銭
一 株 未 満 の 株 式 の 代 り 金
親法人株式等の端数の代り金【図表3】 未経過固定資産税相当額の金銭の受払い と取引の関係 り 金︶ 等 の 端 数 の 代 ︵ 親 法 人 株 式
︵ 一 株 未 満 の 株 式 の 代 り 金 ︶ 株 式 株 式
株 式 未経過固定資 産 税 相 当 額 の 金銭
B社 寄附
B社
益金算入
益金算入損金算入制限の中で損金算入
損金算入制限の中で損金算入 A 社【法人税法上の貸借対照表】
B 社
益金不算入
益金不算入損金不算入
損金不算入 A 社B 社
(注)株主における株式の譲渡原価は、『平成22年度 税制改正の解説』の処理例と同等に、300であるものとする。
【法人税法上の貸借対照表】
(注3)株主における株式の帳簿価額の合計額は1,500とし、旧法人税法施行令119条の9第1項(減資等の場合の株式の 譲渡原価の額等)に規定する「当該払戻し等に係る第二十三条第一項第三号(みなし配当金額の計算方法)に規定す る割合」は0.15(150÷1,000)とする。
【図3】 平成18年度改正以後の法人税法上の処理
【法人税法上の貸借対照表】
(注1)法人税法23条1項1号においては、剰余金の配当に関して、「資本剰余金の額の減少に伴うもの・・・を除く」とされてお り、24条1項3号においては、資本の払戻しに該当する剰余金の配当に関して、「資本剰余金の額の減少に伴うものに限 る」とされているため、剰余金の配当の原資に一部でも資本剰余金がある場合には、その剰余金の配当の全てが24条1 項3号の適用対象となり、利益積立金額の減少に対応する部分の金額は、全てみなし配当の額とされることとなっている。
本来、みなし配当は、会社法等において法人税法23条1項の配当等の額とされないものについて、法人税法上、配当 等の額とみなすこととするものであり、会社法上の処理において利益剰余金を原資とする部分に関しては、24条1項3号 の規定を適用してみなし配当とした上で23条1項の配当等の額としなければならないものであるのか、また、資本剰余金を 原資とする部分と利益剰余金を原資とする部分の区分は、本来は、事実認定の問題ではないのか、という疑問が残らざる を得ない。
(注2)株主における株式の譲渡原価は300であるものとする。
・・・・・
【法人税法上の貸借対照表】
(注1)法人税法施行令9条1項11号においては、利益積立金の減少額を「第八条第一項第十六号に規定する合計額」に基 づいて計算することとされており、この「合計額」は、「当該資本の払戻し等により交付した金銭の額及び金銭以外の資産 の価額(適格現物分配に係る資産にあつては、その交付の直前の帳簿価額)の合計額」(法令8①十六)とされているが、
この括弧書きの「(適格現物分配に係る資産にあつては、その交付の直前の帳簿価額)」は、資本の払戻し等が適格現物 分配に該当する場合には、疑問の余地なく、働くこととなる。次の処理例においても、同様である。
(注2)株主における株式の譲渡原価は300であるものとする。
(注3)法人税法施行令8条1項17号により、譲渡損相当額は資本金等の額の減少額とすることとなる。
(注4)法人税法24条1項においては、「適格現物分配」の場合には、みなし配当とする金額の計算に用いる「金銭以外の資 産の価額」について、「適格現物分配に係る資産にあつては、当該法人のその交付の直前の当該資産の帳簿価額に相 当する金額」としている。そして、法人税法24条1項においては、みなし配当とする金額の計算に用いる「当該法人の株式 又は出資に対応する部分の金額」について政令に委任し、「資本の払戻し」に関しては、法人税法施行令23条1項3号に おいて、「直前の資本金等の額・・・にイに掲げる金額のうちにロに掲げる金額の占める割合・・・を乗じて計算した金額」を基 にして計算するものと定め、同号イ及びロにおいて、質問文におけるイ及びロと殆ど同じ文言の定めを設けている。
すなわち、本件質問は、「適格現物分配」に該当する「資本の払戻し」を行った法人において減少させることとなる資本金 等の額の計算に関する質問であると同時に、「適格現物分配」に該当する「資本の払戻し」を受けた株主においてみなし 配当とする金額の計算に関する質問ともなっているわけである。
【法人税法上の貸借対照表】
(注1)株主における株式の譲渡原価の額は、法人税法61条の2第17項及び法人税法施行令119条の9第1項において、
所有株式の帳簿価額に「当該払戻し等に係る第二十三条第一項第三号(みなし配当金額の計算方法)に規定する割 合」を乗じて計算した金額とされており、この割合は、法人税法施行令8条1項16号ロと同様に、「適格現物分配」の場合 の取扱いに関する疑問が存在する状態となっているが、本例では、他の例との比較検討の都合上、300であるものとする。
(注2)処理例1と同様に、法人税法施行令8条1項17号により、譲渡損相当額は資本金等の額の減少額とすることとなる。
(注3)この法人税法62条の5第4項の「収益の額」は23条1項1号の「剰余金の配当等の額」ではないのか、なぜ「収益の 額」としたのか、23条1項と同様の取扱いとしているにもかかわらず同項の適用対象から除いて62条の5第4項において 取扱いを定めることとしたのはなぜか、といった疑問の声が聞かれる。
法人税法24条1項により、同項3号の金額を23条1項1号の金額とみなす取扱いは、23条1項の規定を適用する場合 に止まらず、法人税法の全ての規定を適用する場合に適用されるため、62条の5第4項の規定を適用する場合にも、「資 本の払戻し」によって生じた24条1項の「その超える部分の金額」は23条1項1号の「剰余金の配当等の額」とみなされる こととなる。このため、法人税法62条の5第4項の「収益の額」は、23条1項1号の「剰余金の配当等の額」と同じものであ ると考えられる。
この金額を「剰余金の配当等の額」に含めずに「収益の額」とした理由や組織再編成に係る所得の金額の計算(第2編 第1章第1節第6款)中の62条の5第4項において取扱いを定めることとしたことに関しては、その理由を明確に説明したも のは見受けられないが、「適格現物分配」を資本等取引ではなく組織再編成と位置付けたことに因るものと推測される。
なお、「現物分配」や「適格現物分配」は、組織再編成ではなく、資本等取引であって、これらに関する税制は、本来、資 本等取引税制として整備すべきことについては、拙著『詳解 グループ法人税制』(法令出版)の問103及び鼎談664頁 を、また、法人が稼得した「所得」に対する課税を行わないまま「所得の分配」を行うことに関する疑問については、同じく問
104を参照されたい。
【図4】 処理例1
(法令8①十六ロの括弧書きの置換えが働かないと解釈する場合)
【図5】 処理例2
(法令8①十六ロの括弧書きの置換えが働くと解釈する場合)
子会社等
製品販売
(特定外国子会社等)
香港法人中国側企業体
(工 場)
材料・仕掛品支給 技術指導
完成品 工場財務・管理等
完成品 加工賃・賃貸料
日本親会社
株式
株式
資本等取引
国外 国内
▶加工、組立業務
▶工場所有、賃貸
▶工員手配
▶福利厚生、庶務
▶組 合
【図1】 タックスヘイブン対策税制による合算所得の計算
本 邦 法 令 又 は 現地法令により 計算される所得
基準所得金額 適用対象金額 課税対象金額
法人税及び
受取配当等の調整 欠損金及び
納付税額等の調整 持分に応じた 金額の計算
現 行親会社
【図3】 改正寄附金税制の適用範囲
寄附
100% 100%
B社 個人
A社
寄附
100% 100%
B社 内国法人または外国法人
A社
益金算入
益金算入損金算入制限の中で損金算入
損金算入制限の中で損金算入 A 社B 社
益金不算入
益金不算入損金不算入
損金不算入 A 社B 社 <原則によるときの処理例> <適格合併の処理例>
資産 1,000 / 負債 500 資産 800 / 負債 500
現金 40 資本金等の額 240 資本金等の額 500 利益積立金額 100 譲渡損 660 合併交付金 200 被合併法人株式 700
被合併法人株式 700
配当 60
<原則によるときの処理例> <適格合併の処理例>
資産 1,000 / 負債 500 資産 800 / 負債 500
現金 40 合併交付金 200 資本金等の額 500 利益積立金額 100 資本金等の額 420 被合併法人株式 700 被合併法人株式 700
配当 60
会議費10/現 金10 会議費10/現 金10
⑩
⑤ 会議費10/現 金10
① ②〜④ ⑥〜⑨
− 交際費10/会議費10
交際費10/会議費10
申告省 略 省 略 修正
資産10 負 債5 資本金等5 資産6 負 債5 資本金等1
⑩
⑤ 現 金5 資 産10
譲渡損5
① ②〜④ ⑥〜⑨
〈期首〉 資本金等4/資産4
− −
−
−
資 産4/譲渡損4 −
申告修正
ຄࢶśśಉო
A社
100%
甲
米国
出資者 出資者
営業者
(B)
(A)
日本法人
オランダ
出資
分配金
営業者日本法人
資産2,000
負債 700 <会 社>
資産(簿価300、時価600) 資本金 500
資本剰余金500 利益剰余金300
<株 主>
剰余金の配当 含み益
600 150 300
150
資産2,000
負債 500
<法 人>
資本金等の額の減少額 利益積立金額の 減少額
(資本金500)
資本等の金額 1,000 利益積立金額
500
<株 主>
(みなし配当)
◎ 減資等(300)
○ 資本等の金額の減少額(旧法令9⑨)
300
1,000 × = 200 1,500
○ 利益積立金額の減少額(みなし配当) (旧法法2十八ヲ)
300 − 200 = 100
◎ 配当等(300)
○ 利益積立金額の減少額(配当等の額) (旧法法2十八ヌ)
300
200 100
300
株式の譲渡対価の額
(旧法法61の2①一)
配当等の額(旧法法23①一、
旧法法24①三、旧法令23①三)
200 100
300
資本金等の額 200 資 産 300 資 産 600 株 式 300(注) 利益積立金額 400 譲渡益 300 譲渡損 100 配 当 400
資産2,000
負債 500
<法 人>
資本金等の額の減少額 利益積立金額の 減少額
(資本金500) 資本金等の額
1,000 利益積立金額
500
<株 主>
(みなし配当)
◎ 減資等(300)
○ 資本等の金額の減少額(旧法令9⑨) 300
1,000 × = 200 1,500
○ 利益積立金額の減少額(みなし配当) (旧法法2十八ヲ)
300 − 200 = 100
◎ 配当等(300)
○ 利益積立金額の減少額(配当等の額) (旧法法2十八ヌ)
300
200 100
300
株式の譲渡対価の額
(旧法法61の2①一) 配当等の額(旧法法23①一、 旧法法24①三、旧法令23①三) 200
100 300
資本金等の額 200 資 産 300 資 産 600 株 式 225(注3) 利益積立金額 400 譲渡益 300 譲渡損 125 配 当 500
資産2,000
負債 500
<法 人>
資本金等の額の減少額
利益積立金額 の減少額
(資本金500)
資本金等の額 1,000 利益積立金額
500
<株 主>
○ 資本金等の額の減少額(旧法令8①十九)
150
1,000 × = 100 1,500
○ 利益積立金額の減少額(旧法令9①七)
600 − 100 = 500
100
500
株式の譲渡対価の額
(旧法法61の2①一)
100
500
資本金等の額 100 資 産 300 資 産 600 株 式 300(注2)
利益積立金額 500 譲渡益 300 譲渡損 200 配 当 500
みなし配当の額(旧 法法24①三、旧法 令23①三)(注1)
資産2,000
負債 500
<法 人>
資本金等の額の減少額 利益積立金額の減少額
(資本金500)
資本金等の額 1,000 利益積立金額
500
<株 主>
○ 資本金等の額の減少額(法令8①十六)
150
1,000 × = 100 1,500
○ 利益積立金額の減少額(法令9①十一)(注1) 300 − 100 = 200
100 200
株式の譲渡対価の 額(法法61の2⑯)
300 200
資本金等の額 100 資 産 300 資 産 300 株 式 300(注2) 利益積立金額 200 資本金等の額200(注3) 配 当 200(注4)
みなし配当の額
(法法24①三、法令23①三)
資産2,000
負債 500
<法 人>
資本金等の額の減少額 利益積立金額の減少額
(資本金500)
資本金等の額 1,000 利益積立金額
500
<株 主>
○ 資本金等の額の減少額(法令8①十六)
300
1,000 × = 200 1,500
○ 利益積立金額の減少額(法令9①十一)
300 − 200 = 100
200
100 100
株式の譲渡対価の額
(法法61の2⑯)
300
資本金等の額 200 資 産 300 資 産 300 株 式 300(注1)
利益積立金額 100 資本金等の額100(注2) 「収益の額」100 (注3) みなし配当の額
(法法24①三、法令23①三)
100%
寄附
100% 100%
組織再編成
資本等取引
匿名組合契約匿名組合契約 出資者
出資者
(B) オランダ
出資
出資 分配金
分配金
国外
この事業は? 株式保有 or サービス業
(ベトナム)製造会社 第三者 日本本社
(シンガポール)関連会社 商流(販売)
販売
商流(購入)
(インドネシア)製造会社 法人税法・措置法により
計算される所得
(措令39の15①一)
(加算)納付法人所得税
(措令39の15①二)
(減算)還付法人所得税
(措令39の15①三)
(減算)益金不算入配当
(措令39の15①四)
(減算)控除対象配当等
(措令39の15③④)
・25%以上
・6ヶ月以上 所有 上記以外
基準所得金額 の計算上減算 基準所得金額 を構成
(他の子会社) 配当(特定外国子会社等)
配当
【図7】 営業権に関する議論は不毛?
【図表2】 □□□□■□□□□■
【図2】 特定医療法人化と本件相続の関係
B/S
寄附?
資 産 負 債営業権
負 債 資 産
<債務超過会社のB/S>
(借 方) (貸 方)
(債 務) 430,442,435 (資 本 金) 400,000,000
(資本準備金) 30,400,000
(雑 収 入) 42,435
【図2】 債務者会社の経理処理 現 行
譲渡損失
×
対価がA社株式ではないため、現行の税制では課税繰延は認められない。
国内会社
業界団体等 ※ 被相続人に係る相続発生
各省庁︵窓口︶ 各省の税制担当副大臣 政府税調 政府税調 各省の税制担当副大臣 各省庁︵窓口︶
業界団体等
持ち分の定めのある 医療法人
②①債権を1億6200万円 で取得
親会社株主 株主
特定医療法人へ移行
双方の株主総会特別決議が必 要であり、友好的に行われる。
DES
【図3】 本件自己株式の譲渡の概要(平成16年5月期)
③債権(3億2470万円)
①債権4億6931万0500円
②①債権を1億6200万円 で取得
③自己株式(34万株) 債務者会社
外国銀行債権者会社
②①債権を2億5663万 2756円で取得、1億 4461万0500円の弁 済収受
100%出資
100%出資新設医療法人 新設医療法人
A国 日本企業
日本
子会社設立
(金銭出資)
業界団体等 自民党税調
臨時株主総会
特定医療法人の承認申請の遂行︑定款変更の認可の手続を決定
業界団体等
商工部会 農林部会 財務金融部会
建設部会 …etc
自民党税調 政府税調 各省の税制担当副大臣
各省庁(窓口) 業界団体等
〈これまでの税制改正プロセス〉
〈民主党政権下での税制改正プロセス〉
政務調査会自民党
商工部会 財務金融部会
農林部会 建設部会
…etc
【図表2】 新旧の税制改正要望プロセス
業界団体等
業界団体等 各省庁︵窓口︶ 各省の税制担当副大臣 政府税調自民党税調 自民党税調
業界団体等
自民党税調
〈これまでのプロセス〉 〈民主党政権下でのプロセス〉
政務調査会自民党
経済産業部会 財務金融部会
農林部会 国土交通部会
…etc.
【図1】 グループ法人単体課税制度の適用範囲と 譲渡損益の繰延べ範囲
譲渡損益の繰り延べ
一定資産の譲渡
100% 100%
内国法人 内国法人または個人または外国法人
内国法人
【図3】 改正寄附金税制の適用範囲
寄附
100%
B社 個人
A社
【図】 評価範囲の決定方法(見直し案)
譲 渡
譲渡先 資産
譲渡元
減価償却分の
譲渡損益実現 減価償却
繰延べ損益の
金額実現 除 却
寄附
100% 100%
B社 内国法人又は外国法人
A社
損金算入
損金算入損金算入制限の中で損金算入
損金算入制限の中で損金算入A 社
B 社 損金不算入
損金不算入損金不算入
損金不算入A 社
B 社
【図3】 改正寄附金税制の適用範囲
寄附
100% 100%
B社 個人
A社
寄附
100% 100%
B社 内国法人または外国法人
A社
益金算入
益金算入損金算入制限の中で損金算入
損金算入制限の中で損金算入 A 社B 社
益金不算入
益金不算入損金不算入
損金不算入 A 社B 社
0 30 60 90 120 150
本社
売上¥60 A支社
¥30 B支社
¥20 その他
¥40
100/150以上
80/150以上
(例)A支社が
① 前年度の評価が良好 ② 状況に大きな変化がない ③ 特に重要な事業拠点 (本社)でない
【当年度】
【前年度】
Aは評価対象外
(出典:金融庁)
寄 附 金 40 / 土 地 30
譲 渡 益 10
譲渡損益調整損 10 / 譲渡損益調整勘定 10
土 地 40 / 受 贈 益 40 土 地 :+40
利益積立金 40 / S 社 株 式 40 S社株式 :−40(帳簿価額:60)
利益積立金 :±0
【図1】
100% 土地 B/S
P社S社
現 金 70 資本金等 50 土 地 30 利益積立金 50
【仕訳5】
【仕訳4】
【図】 統括会社の概念図
【図2】 本邦法令に基づく基準所得金額の計算 【図3】 受取配当の除外(原則)
【図2】 平成13年度改正における法人税法上の処理
【図3】 平成18年度改正以後の法人税法上の処理
【会社法上の貸借対照表】
【図表2】 組織再編成における未経過固定資産税 相当額の金銭の位置関係
【例1】
【例2】
【ケース 2】
A社 B社
100%
甲 乙 丙 丁
100%
100% 1% 99%
C社 D社
【ケース 3】
A社 B社
100%
甲 乙 丙 丁
100% 100%
1% 99%
C社 D社
P社
B/S
現 金 70 譲渡損益調整勘定 10
資 本 金 50
利益積立金 10
利益積立金 30 / 土 地 30
土 地 30 / 配 当 収 入 30 土 地 :+30
S社株式 :−(帳簿価額:100)
利益積立金 :+30
【図2】
S社
P社
B/S
現 金 70 資 本 金 等 50
利益積立金 20
資本金等 15 / 土 地 30 利益積立金 15
土 地 30 / 利益積立金 15 土 地 :+30
資本金等 15 S社株式 30 S社株式 :−30(帳簿価額:70)
利益積立金 :+15
資本金等 :−15
(*)分割前事業年度の簿価純資産価額を100、分割直前の資本金等の額を50とする。
・S社の減少する資本金等の額 15=50×30/100(法令8①十五)
・S社の減少する利益積立金額 15=30−15(法令9①十)
(*)前提は、上記S社の場合と同様である。
・P社の増加する資本金等の額 −15=15−(100×30/100)(法令8①六)
・P社の増加する利益積立金額 15=30−(−15)−(100×30/100)(法令9①三)
・P社が保有するS社株式の減少額 30=100×30/100(法令119の3⑪、119の8)
【図3】
S社
※P社
B/S
現 金 70 資 本 金 等 35
利益積立金 35
【図表4】 ケース1
A社 B社
100%
甲 乙 丙 丁
100% 100% 100%
C社 D社
【図表5】 ケース2
A社 B社
100%
甲 乙 丙 丁
100%
100% 99%
C社 D社
【図表6】 ケース3
A社 B社
100%
甲 乙 丙 丁
100%
100% 99%
C社 D社
1%
1%
匿名組合契約
匿名組合契約反 対 株 主 の 買 取 請 求 に 基 づ い て 交 付 さ れ る 金銭等
剰 余 金 の 配 当 等と し て 交 付 さ れ る 金銭等
未経過固定資 産 税 相 当 額 の 金銭
一 株 未 満 の 株 式 の 代 り 金
親法人株式等の端数の代り金【図表3】 未経過固定資産税相当額の金銭の受払い と取引の関係 り 金︶ 等 の 端 数 の 代 ︵ 親 法 人 株 式
︵ 一 株 未 満 の 株 式 の 代 り 金 ︶ 株 式 株 式
株 式 未経過固定資 産 税 相 当 額 の 金銭
B社 寄附
B社
益金算入
益金算入損金算入制限の中で損金算入
損金算入制限の中で損金算入 A 社【法人税法上の貸借対照表】
B 社
益金不算入
益金不算入損金不算入
損金不算入 A 社B 社
(注)株主における株式の譲渡原価は、『平成22年度 税制改正の解説』の処理例と同等に、300であるものとする。
【法人税法上の貸借対照表】
(注3)株主における株式の帳簿価額の合計額は1,500とし、旧法人税法施行令119条の9第1項(減資等の場合の株式の 譲渡原価の額等)に規定する「当該払戻し等に係る第二十三条第一項第三号(みなし配当金額の計算方法)に規定す る割合」は0.15(150÷1,000)とする。
【図3】 平成18年度改正以後の法人税法上の処理
【法人税法上の貸借対照表】
(注1)法人税法23条1項1号においては、剰余金の配当に関して、「資本剰余金の額の減少に伴うもの・・・を除く」とされてお り、24条1項3号においては、資本の払戻しに該当する剰余金の配当に関して、「資本剰余金の額の減少に伴うものに限 る」とされているため、剰余金の配当の原資に一部でも資本剰余金がある場合には、その剰余金の配当の全てが24条1 項3号の適用対象となり、利益積立金額の減少に対応する部分の金額は、全てみなし配当の額とされることとなっている。
本来、みなし配当は、会社法等において法人税法23条1項の配当等の額とされないものについて、法人税法上、配当 等の額とみなすこととするものであり、会社法上の処理において利益剰余金を原資とする部分に関しては、24条1項3号 の規定を適用してみなし配当とした上で23条1項の配当等の額としなければならないものであるのか、また、資本剰余金を 原資とする部分と利益剰余金を原資とする部分の区分は、本来は、事実認定の問題ではないのか、という疑問が残らざる を得ない。
(注2)株主における株式の譲渡原価は300であるものとする。
・・・・・
【法人税法上の貸借対照表】
(注1)法人税法施行令9条1項11号においては、利益積立金の減少額を「第八条第一項第十六号に規定する合計額」に基 づいて計算することとされており、この「合計額」は、「当該資本の払戻し等により交付した金銭の額及び金銭以外の資産 の価額(適格現物分配に係る資産にあつては、その交付の直前の帳簿価額)の合計額」(法令8①十六)とされているが、
この括弧書きの「(適格現物分配に係る資産にあつては、その交付の直前の帳簿価額)」は、資本の払戻し等が適格現物 分配に該当する場合には、疑問の余地なく、働くこととなる。次の処理例においても、同様である。
(注2)株主における株式の譲渡原価は300であるものとする。
(注3)法人税法施行令8条1項17号により、譲渡損相当額は資本金等の額の減少額とすることとなる。
(注4)法人税法24条1項においては、「適格現物分配」の場合には、みなし配当とする金額の計算に用いる「金銭以外の資 産の価額」について、「適格現物分配に係る資産にあつては、当該法人のその交付の直前の当該資産の帳簿価額に相 当する金額」としている。そして、法人税法24条1項においては、みなし配当とする金額の計算に用いる「当該法人の株式 又は出資に対応する部分の金額」について政令に委任し、「資本の払戻し」に関しては、法人税法施行令23条1項3号に おいて、「直前の資本金等の額・・・にイに掲げる金額のうちにロに掲げる金額の占める割合・・・を乗じて計算した金額」を基 にして計算するものと定め、同号イ及びロにおいて、質問文におけるイ及びロと殆ど同じ文言の定めを設けている。
すなわち、本件質問は、「適格現物分配」に該当する「資本の払戻し」を行った法人において減少させることとなる資本金 等の額の計算に関する質問であると同時に、「適格現物分配」に該当する「資本の払戻し」を受けた株主においてみなし 配当とする金額の計算に関する質問ともなっているわけである。
【法人税法上の貸借対照表】
(注1)株主における株式の譲渡原価の額は、法人税法61条の2第17項及び法人税法施行令119条の9第1項において、
所有株式の帳簿価額に「当該払戻し等に係る第二十三条第一項第三号(みなし配当金額の計算方法)に規定する割 合」を乗じて計算した金額とされており、この割合は、法人税法施行令8条1項16号ロと同様に、「適格現物分配」の場合 の取扱いに関する疑問が存在する状態となっているが、本例では、他の例との比較検討の都合上、300であるものとする。
(注2)処理例1と同様に、法人税法施行令8条1項17号により、譲渡損相当額は資本金等の額の減少額とすることとなる。
(注3)この法人税法62条の5第4項の「収益の額」は23条1項1号の「剰余金の配当等の額」ではないのか、なぜ「収益の 額」としたのか、23条1項と同様の取扱いとしているにもかかわらず同項の適用対象から除いて62条の5第4項において 取扱いを定めることとしたのはなぜか、といった疑問の声が聞かれる。
法人税法24条1項により、同項3号の金額を23条1項1号の金額とみなす取扱いは、23条1項の規定を適用する場合 に止まらず、法人税法の全ての規定を適用する場合に適用されるため、62条の5第4項の規定を適用する場合にも、「資 本の払戻し」によって生じた24条1項の「その超える部分の金額」は23条1項1号の「剰余金の配当等の額」とみなされる こととなる。このため、法人税法62条の5第4項の「収益の額」は、23条1項1号の「剰余金の配当等の額」と同じものであ ると考えられる。
この金額を「剰余金の配当等の額」に含めずに「収益の額」とした理由や組織再編成に係る所得の金額の計算(第2編 第1章第1節第6款)中の62条の5第4項において取扱いを定めることとしたことに関しては、その理由を明確に説明したも のは見受けられないが、「適格現物分配」を資本等取引ではなく組織再編成と位置付けたことに因るものと推測される。
なお、「現物分配」や「適格現物分配」は、組織再編成ではなく、資本等取引であって、これらに関する税制は、本来、資 本等取引税制として整備すべきことについては、拙著『詳解 グループ法人税制』(法令出版)の問103及び鼎談664頁 を、また、法人が稼得した「所得」に対する課税を行わないまま「所得の分配」を行うことに関する疑問については、同じく問 104を参照されたい。
【図4】 処理例1
(法令8①十六ロの括弧書きの置換えが働かないと解釈する場合)
【図5】 処理例2
(法令8①十六ロの括弧書きの置換えが働くと解釈する場合)
子会社等
製品販売
(特定外国子会社等)
香港法人中国側企業体
(工 場)
材料・仕掛品支給 技術指導
完成品 工場財務・管理等
完成品 加工賃・賃貸料
日本親会社
株式
株式
資本等取引
国外 国内
▶加工、組立業務
▶工場所有、賃貸
▶工員手配
▶福利厚生、庶務
▶組 合
【図1】 タックスヘイブン対策税制による合算所得の計算
本 邦 法 令 又 は 現地法令により 計算される所得
基準所得金額 適用対象金額 課税対象金額
法人税及び
受取配当等の調整 欠損金及び
納付税額等の調整 持分に応じた 金額の計算
現 行親会社
【図3】 改正寄附金税制の適用範囲
寄附
100% 100%
B社 個人
A社
寄附
100% 100%
B社 内国法人または外国法人
A社
益金算入
益金算入損金算入制限の中で損金算入
損金算入制限の中で損金算入 A 社B 社
益金不算入
益金不算入損金不算入
損金不算入 A 社B 社 <原則によるときの処理例> <適格合併の処理例>
資産 1,000 / 負債 500 資産 800 / 負債 500
現金 40 資本金等の額 240 資本金等の額 500 利益積立金額 100 譲渡損 660 合併交付金 200 被合併法人株式 700
被合併法人株式 700
配当 60
<原則によるときの処理例> <適格合併の処理例>
資産 1,000 / 負債 500 資産 800 / 負債 500
現金 40 合併交付金 200 資本金等の額 500 利益積立金額 100 資本金等の額 420 被合併法人株式 700 被合併法人株式 700
配当 60
会議費10/現 金10 会議費10/現 金10
⑩
⑤ 会議費10/現 金10
① ②〜④ ⑥〜⑨
− 交際費10/会議費10
交際費10/会議費10
申告省 略 省 略 修正
資産10 負 債5 資本金等5 資産6 負 債5 資本金等1
⑩
⑤ 現 金5 資 産10
譲渡損5
① ②〜④ ⑥〜⑨
〈期首〉 資本金等4/資産4
− −
−
−
資 産4/譲渡損4 −
申告修正
ຄࢶśśಉო
A社
100%
甲
米国
出資者 出資者
営業者
(B)
(A)
日本法人
オランダ
出資
分配金
営業者日本法人
資産2,000
負債 700 <会 社>
資産(簿価300、時価600) 資本金 500
資本剰余金500 利益剰余金300
<株 主>
剰余金の配当 含み益
600 150 300
150
資産2,000
負債 500
<法 人>
資本金等の額の減少額 利益積立金額の 減少額
(資本金500)
資本等の金額 1,000 利益積立金額
500
<株 主>
(みなし配当)
◎ 減資等(300)
○ 資本等の金額の減少額(旧法令9⑨)
300
1,000 × = 200 1,500
○ 利益積立金額の減少額(みなし配当) (旧法法2十八ヲ)
300 − 200 = 100
◎ 配当等(300)
○ 利益積立金額の減少額(配当等の額) (旧法法2十八ヌ)
300
200 100
300
株式の譲渡対価の額
(旧法法61の2①一)
配当等の額(旧法法23①一、
旧法法24①三、旧法令23①三)
200 100
300
資本金等の額 200 資 産 300 資 産 600 株 式 300(注) 利益積立金額 400 譲渡益 300 譲渡損 100 配 当 400
資産2,000
負債 500
<法 人>
資本金等の額の減少額 利益積立金額の 減少額
(資本金500) 資本金等の額
1,000 利益積立金額
500
<株 主>
(みなし配当)
◎ 減資等(300)
○ 資本等の金額の減少額(旧法令9⑨) 300
1,000 × = 200 1,500
○ 利益積立金額の減少額(みなし配当) (旧法法2十八ヲ) 300 − 200 = 100
◎ 配当等(300)
○ 利益積立金額の減少額(配当等の額) (旧法法2十八ヌ) 300
200 100
300
株式の譲渡対価の額
(旧法法61の2①一) 配当等の額(旧法法23①一、 旧法法24①三、旧法令23①三) 200
100 300
資本金等の額 200 資 産 300 資 産 600 株 式 225(注3) 利益積立金額 400 譲渡益 300 譲渡損 125 配 当 500
資産2,000
負債 500
<法 人>
資本金等の額の減少額
利益積立金額 の減少額
(資本金500)
資本金等の額 1,000 利益積立金額
500
<株 主> ○ 資本金等の額の減少額(旧法令8①十九)
150
1,000 × = 100 1,500
○ 利益積立金額の減少額(旧法令9①七)
600 − 100 = 500
100
500
株式の譲渡対価の額
(旧法法61の2①一)
100
500
資本金等の額 100 資 産 300 資 産 600 株 式 300(注2)
利益積立金額 500 譲渡益 300 譲渡損 200 配 当 500
みなし配当の額(旧 法法24①三、旧法 令23①三)(注1)
資産2,000
負債 500
<法 人>
資本金等の額の減少額 利益積立金額の減少額
(資本金500)
資本金等の額 1,000 利益積立金額
500
<株 主> ○ 資本金等の額の減少額(法令8①十六)
150
1,000 × = 100 1,500
○ 利益積立金額の減少額(法令9①十一)(注1) 300 − 100 = 200
100 200
株式の譲渡対価の 額(法法61の2⑯)
300 200
資本金等の額 100 資 産 300 資 産 300 株 式 300(注2) 利益積立金額 200 資本金等の額200(注3) 配 当 200(注4)
みなし配当の額
(法法24①三、法令23①三)
資産2,000
負債 500
<法 人>
資本金等の額の減少額 利益積立金額の減少額
(資本金500)
資本金等の額 1,000 利益積立金額
500
<株 主> ○ 資本金等の額の減少額(法令8①十六)
300
1,000 × = 200 1,500
○ 利益積立金額の減少額(法令9①十一)
300 − 200 = 100
200
100 100
株式の譲渡対価の額
(法法61の2⑯)
300
資本金等の額 200 資 産 300 資 産 300 株 式 300(注1)
利益積立金額 100 資本金等の額100(注2) 「収益の額」100 (注3) みなし配当の額
(法法24①三、法令23①三)
100%
寄附
100% 100%
組織再編成
資本等取引
匿名組合契約匿名組合契約 出資者
出資者
(B) オランダ
出資
出資 分配金
分配金
国外
この事業は? 株式保有 or サービス業
(ベトナム)製造会社 第三者 日本本社
(シンガポール)関連会社 商流(販売)
販売
商流(購入)
(インドネシア)製造会社 法人税法・措置法により
計算される所得
(措令39の15①一)
(加算)納付法人所得税
(措令39の15①二)
(減算)還付法人所得税
(措令39の15①三)
(減算)益金不算入配当
(措令39の15①四)
(減算)控除対象配当等
(措令39の15③④)
・25%以上
・6ヶ月以上 所有 上記以外
基準所得金額 の計算上減算 基準所得金額 を構成
(他の子会社) 配当(特定外国子会社等)
配当
No.465 2012.9.3