プロアントシアニジンの給与が乳用牛の繁殖機能に及ぼす影 響
誌名 誌名
徳島県立農林水産総合技術支援センター畜産研究課研究報告 = Bulletin of Tokushima Prefectural Agriculture, Forestry and Fisheries Technology Support Center Livestock Research Division
ISSN
ISSN 21886083
著者 著者
森川, 繁樹 藤井, 侑里子 西村, 公寿 北田, 寛治 福井, 弘之 巻/号
巻/号 19号
掲載ページ
掲載ページ p. 1-6
発行年月
発行年月 2020年3月
農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター
Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat
徳 島 畜 研 報
N o . 1 9 ( 2 0 2 0 )
プロアントシアニジンの給与が乳用牛の繁殖機能に及ぼす影響
森川繁樹•藤井侑里子・西村公寿・北田寛治・福井弘之
要 約
近年の酪農経営において,乳用牛の分娩間隔延長が喫緊の課題となっていることから,その解決 の一助として,分娩前後にポリフェノールの一種であるプロアントシアニジンを給与し,繁殖成績 の改善効果を検討した。プロアントシアニジン給与群では,非給与群と比較して,分娩後,初回排 卵日数および初回発情日数が短くなる傾向にあった。また,夏期分娩牛に対する給与効果について は,抗酸化作用を有する海藻サプリメントを給与した牛よりも,初回排卵日数および初回発情日数 が短くなった。供試牛の酸化ストレス指標としたTBARS (2ーチオバルビツール酸反応性物質)につ いては,非給与群と比較して給与群で分娩後8週時に低くなる傾向があり,プロアントシアニジン が酸化ストレスを抑制する可能性が示唆された。また,血液性状検査では,給与群において分娩後 8週時の栄養状態が良好であり,分娩後の血中総ケトン体濃度も低く推移したことから,プロアン
トシアニジン給与により分娩後のエネルギーバランスが改善される可能性が考えられた。
目
的材料および方法
酪農経営において,繁殖管理は農家の収益に直 結し,分娩間隔が
1
日延長すれば1200
円の損失が あ る と 言 わ れ て い る 叫 し か し , 乳 用 牛 の 平 均 分 娩間隔は延長傾向にあり,特に徳島県の酪農家に おける平均値は全国平均よりも長く,喫緊の課題 となっている。一方,近年,繁殖機能と酸化スト レスに関する研究が数多くの分野で進む中,ヒト の分野では,ポリフェノール等の抗酸化物質が不 妊の改善に効果がある2)として注目されており,それを含む種々の食品やサプリメントが販売され ている。畜産分野においても,抗酸化物質に関す る研究や給与事例が報告されている3,4)が,特に ポ リ フ ェ ノ ー ル の 給 与 効 果 に 関 す る 知 見 は 少 な い。プロアントシアニジンは,ポリフェノール野 中 で 特 に 抗 酸 化 作 用 が 強 い と さ れ て お り 見 本 研 究では,同物質を乳牛へ給与し,繁殖成績の改善 効果について検討した。
1)供試牛および給与方法
ホルスタイン種初産牛4頭および経産牛4頭 を 供 試 し , ポ リ フ ェ ノ ー ル の
1
種 で あ る プ ロ ア ン ト シ アニジン(ブドウ種子抽出物)を含有する混合飼 料「サプリ MQ」(日本ニュートリション株式会社)100
g/日を分娩予定日の28日前から分娩後84
日 までトップドレッシングにより給与した(試験区I)
。 非 給 与 群 と し て , 初 産 牛4頭 お よ び 経 産 牛6 頭を供試した(対照区)。供試牛のうち,夏期( 7
月〜9
月)の分娩は試験区I
が4頭,対照区は0
頭 であった。夏期分娩牛におけるプロアントシアニジンの給 与効果を比較検証するため,夏期分娩のホルスタ イ ン 種 初 産 牛3頭を供試し,抗酸化作用が報告さ れている海藻サプリメント6)をプロアントシアニ ジンと同様に給与した(試験区
I I )
。 供 試 牛 は 全 頭群管理とし,当課慣行の飼料を給与した。泌乳期は表
1
に示すTMR
(混合飼料)を飽食給与し,さらに泌乳期用配合飼料およびヘイキューブをそ れぞれ
2kg
/日・頭給与した。表
1
当課慣行の泌乳期用TMR
組成材 料 (%DM)
トウモロコシサイレージ 18. 2 スーダングラス乾草 13. 9 ヘイキュープ 16. 6 泌乳牛用配合飼料 34. 3 ビートパル プ 13. 3
大豆粕 1. 9
カルシウム・ビタミン剤 1. 7 設計成分値 (%DM)
TDN 68. 8
CP 14. 1
DM:乾物 TDN:可消化養分総量 CP:粗蛋白質
徳 島 畜 研 報
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った。他の項目は株式会社四国中検に依頼し,ケ トン体については自動分析装置
JCA‑BM8000
(日本 電子株式会社),その他はラボステクト0 0 6
(株式 会社日立ハイテクノロジーズ)により分析を行っ た。なお,採血時にBCS
(ボデイコンディション スコア)の判定も同時に実施した。(3)酸化ストレス
酸化ストレス指標として,分娩前
1
週および分 娩後1 , 4 , 8 , 1 2
週時(試験区I I
については,分 娩後8 , 1 2
週時)における血漿中TEARS
濃度を測定 した。血漿中TEARS
濃度はFluorometricTEARS M i croplate Assay K i t ( O x f o r d Biomedical Resear c h )
により測定した。各区間の差については,
MicrosoftExcel 2 0 1 3
のt
検定により統計処理を実施した。結 果 2)調査項目
(1)分娩後の繁殖機能
超音波診断装置を用い,分娩後5日目から3日間 隔で直腸検査を実施し,初回排卵日数,初回発情 日数および子宮修復日数を調査した。卵巣に直径
1cm
以上の卵胞を認め,明瞭な発情兆候を示した ものを発情とし,子宮内膜の腫脹が無く,子宮腔 の貯留物が確認されなくなった時点を子宮修復とした。
(2)血液性状.
BCS
対照区
5
頭,試験区I8
頭について,分娩前4 ,2 , 1
週および分娩後1 , 4 , 8 , 1 2
週時(試験区I I
につ いては分娩後1 ,
4,8 , 1 2
週時)に採血し,血液 生化学的検査を行った。検査項目は,総コレステ ロール( T ‑ C h o )
,総蛋白( T P )
,アルブミン( A l b ) ,
カルシウム( C a )
,無機リン( I P )
,尿素窒素( B U
N),グルコース( G l u )
,総ケトン体,ビタミンE ,
{3カロテンとした。血液性状のうち,ビタミン
E ,
{3カロテンについては徳島家畜保健衛生所に依頼 し,高速液体クロマトグラフィーにより分析を行(1)分娩後の繁殖機能
プ ロ ア ン ト シ ア ニジン を 給 与 し た 試 験 区
I
で は,対照区と比較し初回排卵日数および初回発情 日数が短くなる傾向にあったが,有意な差は認め られなかった(図1
)。一方,試験区I
のうち夏期 分娩の牛においては,夏期に海藻サプリメントを 給与した試験区1 I
と比較したところ,初回排卵日 数および初回発情日数が有意に短くなった(図2)。 子宮回復日数については,各区間で差は認められなかった。
⑥
8 0
60 50 40 30 20 10
゜
子宮 回 復 初回排 卵口対 照区 ■試 験区I
初回発 情
図
1
分娩後の繁殖機能の比較徳 島 畜 研 報
No.19(2020)
(日) 100
80
(μ mol/L) 1000
800 600 400 200
゜
* * * *
ムー一と . ̲ . T
/ J. 上 1
、‑
ヽ/ /
子宮回復 初回排卵
口試験区I
■
試験区II初回発惰 ‑4 ‑2 ‑1 ー 4 一 ← 対 照 区 →配4試験区I
8 12
(週)
医 2 夏期分娩牛における繁殖機能の比較
*:P<0.05
図 3 血中総ケトン体濃度の推移
(2) 血液「生状.
B C S
血液性状については,分娩前
2
週時の血中T‑Cho
値, Glu値,C a
値 お よ びI P
値,分娩後8
週時の血中T‑Cho
値,TP
値,Ca
値 お よ びI P
値 に お い て , 対 照 区と比較して試験区 Iが有意に高かった(表2)。 また,分娩後1 , 4 , 8
週 時 の 血 中 総 ケ ト ン 体 濃 度 は対照区が有意に高かった(図3)。 ビ タ ミ ンE値 については,期間を通して試験区I
が対照区と比 較して高く推移し,分娩前1, 2週時および分娩後 1週 時 で は 有 意 に 高 い 値 で あ っ た ( 図 4)。他 の 値 については,有意な差は認められなかった。試験 区I
のうち夏期分娩の牛について,試験区I I
と比 較 し た と こ ろ ( 図5,表3)) 分娩後1, 4週 時 の 血 中総ケト ン体濃度は試験区I I
が有意に高く,分娩 後1週 時 の 血 中Glu値 は 試 験 区 Iが 有 意 に 高 か っ た。また,T ‑ c h o
値についても分娩後8
週時まで裔 い傾向にあった。ビタミンE値については分娩後8 週時において試験区I
が有意に高かった。他の項目および
BCS
に つ い て は , 各 区 間 で 差 は 認 め ら れ なかった。(3)
血漿中T B A R S
濃 度試 験 区
I
における血漿中T B A R S
濃度については,分娩後 8週時において対照区と比較して低い傾向 にあったが,有意な差は認められなかった(図6)。 試 験 区
I
と試験区I I
の間において,血漿中TBARS
濃度に差は認められなかった(表3)。(μ mol/L)
* *
1 5 0 0 ‑克
•••••••· T
* 1200. . .
‑ ...
1
了·•.. .
900 600 300
゜
ー 4 8 12(週)一 試 験 区I •• ♦ ・・試験区 II
図4 夏期分娩牛における血中ケトン体濃度
(μg/dl) 1000
800 600 400
200
゜
図 5
口
8‑
ー4
区 移
験試
1
E
区 濃度 ー +
の 推 照一
ミ 対 ン▲
ビタ
2
‑
中4血
(nmol/1) 250 200 150
100 50
゜
‑1 ー 4‑ 9 ; . : . こ‑
8
一▲一対 照 区 一 試 験 区I
12(週)
図
6
血漿中T B A R S
濃度の推移(グラフ内記号 **:P<O. 01, *:P<O. 05)
徳 島 畜 研 報 No. 19
( 2 0 2 0 )
表 2 血液性状およびBCSの推移
分娩前後週 ‑4 ‑2 ‑1 1 4 8 12 T‑Cho 対照区 71.8士11.5 63.4土12.8 60.4土12.1 71.6土9.2 136.6土7.5 138.2士12.1 170.8土18.9
* *
試験区 l 75.9士15.9 96士5 72.6土13.8 74.8士12.5 133.5土17.2 181土22.7 171.3士13.2 TP 対照区 5.6土0.1 5.6士0.3 6.2土0.3 6.1土0.4 6.8土0.4 6.3土0.5 7.5土0.5
* *
試験区 l 5.7士0.8 6.7土0.7 5.7士0.8 6.7士0.3 7.5土0.3 8士0.4 7.2土0.4 Ca 対照区 7.8士0.6 7.3土0.6 8.2士0.9 8.3士0.2 8.5土0.3 8.1土0.4 9.2土0.5
* * *
試験区 1 7.9士0.9 9.8土0.1 8.3土0.9 8.7士0.7 9.5士0.5 9.8士0.5 9.2士0.3 IP 対照区 4.6士0.1 3.8士0.5 3.8土0.6 4.1士0.1 4.3土0.5 3.3士0.2 4.4土0.3
* * *
試験区 l 4.6土0.6 5.4土0.6 4.9士0.6 4.9土0.8 5.2士0.7 4.9士0.3 4.9士0.3 Glu 対照区 55士3 51.2士3.8 52士7.2 53.4土2.7 56.2士3 57.8士7.7 61.2士4.4
*
試験区 l 51.9土4.8 67.2土5 57.4士7.8 58.4土4.5 57.4士6.7 66.6土2.9 60.4士1.9 ケトン体 対照区 371.8土28 339土43.3 424.8士46.3 783.2土75.9 783.4士95.1 797.4土131.8 626.8士114.7
* * * *
試験区 1 417.1土36.6 305.3土53.6 414.3士42.4 475.3土47.9 532士74 562.7士59.1 594.5土68.8 ビタミンE 対照区 216.5土25.8 222.4土38.8 201.6士32.4 187.4土36.4 386士62.9 495.8士95.6 570.5土92.2
* * *
試験区 1 281.6士24.9 400.5土61.6 312.9士47.9 253士20.6 440.5士36.8 563.4士42.5 692.3土73.9 (3カロテン 対照区 156.3土21.8 147.2士25.5 133.6土24.2 68.2士10 85.4土11.6 98.8土20.5 105.5士32.5
試験区 l 147.6土15.2 147.8士15.1 130.3士11.6 68.7土6.1 81.8士11.6 71.7士8.8 71.3士8 アルブミン 対照区 3.4土0.2 3.3士0.3 3.1土0.2 3.2士0.2 3.1土0.2 3.1土0.3 3.4士0.2
試験区 l 3.3土0.2 3.3士0.1 3.3士0.1 3.2土0.1 3.2士0.1 3.4士0.1 3.2士0.2 尿素窒素 対照区 9.8土1.1 6.7士1 7.3士1.1 5.8士0.5 5.7土0.8 7.6土1.4 7.3士1.1
試験区 l 7.4士1.2 8.7士0.6 8.3士1.2 6.4土0.8 6.7士0.6 9士1.4 8.9土1.2
‑ ‑ ‑
BCS‑ ‑ ‑ ‑ ‑
対照区‑ ‑ ‑ ‑ ‑
3‑
.2‑
土‑
0.1‑ ‑ ‑ ‑
3.‑
2‑
士0‑
.1‑ ‑ ‑ ‑
3.‑
2士‑
0.‑
1‑ ‑ ‑ ‑
3.1‑
士‑
0.‑
1‑ ‑ ‑
3‑
.1‑
士‑
0.1‑ ‑ ‑ ‑ ‑
3士‑
0‑ ‑ ‑ ‑ ‑
3‑
土0‑
.1‑ ‑
試験区 l 3.1士0.1 3.1土0.1 3.1士0.1 3土0.1 3士0 3士0 3土0.1
**:P<0.01, *:P<0.05
表 3 血液性状, BCSおよびTBARS濃度の推移(夏期分娩牛)
分娩前後週 4 8
12 4 8 12
T‑Cho 試験区I 75.5士8 120士2.7 179.5士7.5 161.3士18.6
*
試験区II 62.7士4.4 99士3.8 141.7土27.1 169.7士15.2 Ca 試験区I 9.4土0.2 9.3士0.2 9.7士0.5 9.3士0.6
TP 試験区I 6.7士0.2 7.2士0.2 8.1士0.4 7.2士0.5
* *
試験区II 6.5士0.1 7.2士0.4 7士0.6 7.2士0.6 IP 試験区I 4.5士0.6 5.3土0.6 5.3土0.3 4.6士0
* * 試験区II 8.6士0.5 9士0.1 9.2士0.7 Glu 試験区I 55.3土1.7 53.3士9.1 68士1.5
* 試験区II 41士4
ビタミンE 試験区I 269.7士0
試験区II N/A
アルプミン 試験区I 3士0.1
試験区II 2.9士0.1 2.9士0.1 3.4士0.2 3.6士0 試験区II 6.5士0.1 7.2士0.4 7士0.6 7.2士0.6 BCS 耐薮百「――T:toT―――ア.芹布―――官荘布.T―‑‑T巧T―‑TBA森―ー百哀ず―――て只――――下7A‑‑‑lTo万て百了―店了T茫'
試験区II 3士0
* * *
46士2.9 60.7士3.8 63.3士2.7 試験区I 1I 478士154.5 1160士226 540士14 628士114.4 502.7士0 595.5士76.2 707.8士137.4 /3カ ロ テ ン 試 験 区I 70.7士0 96.3士0 79.8士14.3 75土12.9
*
N/A 402土28.2 513.7士79.2 試験区II N/A N/A 80.3土10.5 83士15.3 3.1土0.1 3.3士0.2 3.2士0.4 尿素窒素 試験区I 5.9士0.4 6.1士0.5 9.3士2.1 9士2.2
2.9士0.1 2.9士0.1
* *
9.7士0.5 試験区II 5.3士0.6 5.1士0.6 5.1士0.2 5土0.7 61.5土3.3 ケトン体 試験区I 504.3士85.1 546.3士106.7 614土103.7 511.3士90
2.9士0.1 試験区II N/A N/A 58.8土16.l 71.1士18 NIA:データ無し,**:P<O.01, *:P<0.05
徳 島 畜 研 報
No.19(2020)
考 察
乳牛は酸化ストレスにより繁殖性が低下すると 言われており,大澤らは,抗酸化物質の給与によ り繁殖性が向上したことを報告している叫本研 究では,強力な抗酸化作用を持つとされるプロア ントシアニジンに着目し,乳牛の繁殖機能に与え る影響について調査した。結果,プロアントシア ニジンを給与した牛では,分娩後の初回排卵日数 および初回発情日数が短くなる傾向が認められ,
血漿中T
B A R S
濃度については,分娩後8週時におい て対照区と比較して低値傾向を示した。このこと は,プロアントシアニジンの給与により泌乳最盛 期における酸化ストレスが抑制され,その結果,繁殖機能の回復を早めた可能性を示している。し かし,測定した
TBARS
濃度は値の分散が大きく,プロアントシアニジンの抗酸化作用による効果を 示すためには,データ数の蓄積が求められる。一 方,夏期の分娩牛においては,プロアントシアニ ジンを給与した試験区
I
で海藻サプリメントを給 与した試験区I I
と比較して初回排卵日数および初 回発情日数が短くなり,繁殖機能の回復効果が明 瞭に示された。このことにより,従来,夏期に低 下する乳牛の繁殖性が7)) プロアントシアニジン の給与により改善する可能性が示唆される。ただ し,試験区I
と試験区I I
の間で血漿中TBARS濃度 に明瞭な差は無く,プロアントシアニジンと海藻 サプリメントの間に抗酸化力の差は認められなか った。他の報告では,酸化ストレス指標としてTB A R S
の他にSO D
(スーパーオキサイドジスムターゼ)活性,
d ‑ R O M s
(活性酸素代謝産物),グルタチオン 等が用いられており6,8,9),プロアントシアニジン の抗酸化作用について検討するためには,さらに 複数の指標の測定が求められる。血液性状では,試験区
I
におけるビタミンE
が 対照区および試験区I I
と比較して有意に高い値を示した。これは,プロアントシアニジンの抗酸化 作用により同じく抗酸化作用を有するビタミンE の消費が抑えられたためと推察される。また,分 娩後8週時の血中
T ‑ C h o
値,T P
値,C a
値およびIP
値 において,試験区I
が対照区と比較して有意に高 かった。試験区 1Iとの比較においても分娩後 8週 時までT‑cho値が高い傾向にあった。生田らは初 回授精日数とT ‑ C h o , T P , Ca
との間に正の相関が あると報告しており10),本研究においても,栄養 状態が繁殖機能の回復に影響した可能性が考えら れる。さらに,分娩後血中総ケトン体濃度は対照 区,試験区 1Iと比較して試験区I
が有意に低かっ た。血中ケトン体は,分娩後のエネルギーバラン スの指標として用いられており,血中ケトン体濃 度が上昇している個体では繁殖機能の低下が認め られている11)。参考値として分娩後3ヶ月間に実 施した3回の牛群検定成績を比較すると,エネル ギーバランスの指標とされるP/F
値(乳蛋白質率/乳脂肪率)の平均値は,試験区
I
で高かった(表 4)。これらのことから,プロアントシアニジン を給与した牛において分娩後のエネルギーバラン スが早期に改善し,繁殖機能の回復を早めた可能 性が考えられる。今後,プロアントシアニジンの 給与による採食量および飼料の消化吸収効率の変 化についても調査し,抗酸化作用とエネルギーバ ランス改善の両効能について,より精密な検討を 加えることで,乳牛の分娩間隔を短縮する技術としての確立が期待される。
表
4
乳中P / F
比の平均値P/F
比0 . 6 8
土0 . 0 2 0 . 7 5
土0 . 0 1 0 . 5 9
士0 . 0 2
対照区試験区
I
試験区 1I文
献1)
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徳 島 畜 研 報