フィルター圏
alg-d
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2021 年 4 月 29 日
定義. 圏Cがフィルター圏(filtered category)
⇐⇒任意の有限圏J と関手F: J → C に対して,ある対象c∈ C と自然変換F ⇒∆c が存在する.
定義. 圏Cが余フィルター圏(cofiltered category) ⇐⇒Cop がフィルター圏となる.
命題 1. 圏C がフィルター圏⇐⇒以下の条件*1を満たす.
(1) Cは空でない.
(2) 任意のa0, a1 ∈Cに対して,あるc∈Cと射f0: a0 →c,f1: a1 →cが存在する.
a0
a1 c
f0
f1
(3) 任意のa0, a1 ∈C とf0, f1: a0 → a1 に対して,ある c∈ C とg: a1 → cが存在 してg◦f0 =g◦f1 となる.
a0 a1 c
f0 g
f1
証明. (=⇒) 明らか.
(⇐=) STEP 1,STEP 2,STEP 3の3段階に分けて示す.
(STEP 1) a0,· · · , an ∈ C をC の対象とするとき,ある対象 u ∈ C と射 fi: ai → u が存在する.
*1この条件をフィルター圏の定義にしている文献もある.
...
) 条件2を繰り返し適用すればよい.
(STEP 2) f0,· · · , fn: a → bをC の射とするとき,ある対象c ∈C と射p: b→v が 存在してp◦f0 =· · ·=p◦fnとなる.
...
) 条件3を繰り返し適用すればよい.
(STEP 3) J を有限圏,F: J → C を関手とする.対象の有限族{F j}j∈J にSTEP 1 を適用して,対象u∈C と射fj:F j →uが得られる.次にk:i →jをJ の射とすると き,2つの射fi とfj◦F k: F i→uに条件3を適用してφk: u→ck を得る.
F i
ck
F j
u
F i0 ck0
F j0
fi
fj
fi0
fj0 F k
F k0
φk
φk0
再びSTEP 1を族 {ck}k∈Mor(J) に適用して,対象v ∈C と射gk: ck → vが得られる.
族{gk◦φk: u → v}k∈Mor(J)にSTEP 2を適用して,対象c ∈C と射p: v →cが得ら れる.pの取り方からh:=p◦gk◦φk はkの取り方によらず一定である.
F i
ck F j
u v c
F i0 ck0
F j0
fi
fj
fi0
fj0 F k
F k0
φk
φk0
gk
gk0
p h
そこでθj :=h◦fj: F j →cと定めたときθ: F ⇒∆cが自然変換となることを示せばよ い.そのためにk: i→j をJ の射とする.このとき定義から
となり次の図式は可換である.
F i c
F j c
θi
idc
F k
θj
よってθ: F ⇒∆cは自然変換である.
例 2. 有限余完備な圏はフィルター圏である.
証明. 有限圏J と関手F に対して,自然変換F ⇒∆(colimF)が存在する.
例 3. 終対象を持つ圏は明らかにフィルター圏である.
例 4. 順序集合X を圏とみなしたとき,これがフィルター圏となるのは,命題1よりX が空でない有向集合となるときである.
定義. 添え字圏がフィルター圏となる余極限をフィルター余極限(filtered colimit) と いう.
Setにおいて,フィルター余極限は有限極限と交換するという重要な性質がある.即ち 命題 5. I がフィルター圏のとき,関手colim : SetI → Setは有限極限と交換する.故 に,J が有限な圏でT: I×J →Setが関手のとき同型
colim
i∈I lim
j∈JT(i, j)∼= lim
j∈Jcolim
i∈I T(i, j).
が成り立つ.
証明. colim : SetI →Setが終対象とpullbackと交換することを示せばよい.
まず終対象について示す.colim(∆1) ∼= `
i∈I1
/∼である.I がフィルター圏だか らcolim(∆1)∼= 1となり,colimが終対象と交換することが分かった.
次にpullbackについて示す.次の図式をSetI のpullbackとする.
X P1
P0 Q
π1
π0
SetI の極限は各点ごとに計算すればよいから,i∈Iに対してXi=∼P0i×QiP1iである.
故に
colimX ∼=a
i∈I
P0i×QiP1i
/∼ colimPk ∼=a
i∈I
Pki
/∼
で,colim(πk) はcolim(πk)([hu0, u1i]) = [uk]で与えられる.pullbackの普遍性から点 線の射hが得られる.
colimX
colimP0×colimQcolimP1 colimP1
colimP0 colimQ
p1
p0
colim(π1)
colim(π0) h
このhが全単射であることが容易にわかる.よってcolimはpullbackと交換する.
補題 6. F: C →Dを関手とする.a ∈Cを対象としてE := HomC(a,−)とする.この ときF†E ∼= HomD(F a,−)である.従ってF =yのときy†E ∼= evaである.
証明. 米田の補題によりHomSetC(E,HomD(F a, F−))∼= HomD(F a, F a)である.この 同型で右辺のidF aに対応する自然変換をη: E ⇒HomD(F a, F−)とする.
D
C Set
η =⇒
F
E
HomD(F a,−)
このときhHomD(F a,−), ηiがF に沿ったE の左Kan拡張であることを示す.
そのために任意の関手S: D →Setと自然変換θ: E ⇒ SF を取る.米田の補題から 得られる次の同型でθに対応するτ を取る.
HomSetC(E, SF) SF a HomSetD(HomD(F a,−), S)
∈ ∈
∼ ∼
米田の補題の証明より,θa(ida) =τF a(idF a)である.このとき等式 D
Cη =⇒ ⇒τ U
F
E S
=
D
C U
=⇒
F θ
E S
が成り立つ.
...
) 米田の補題より次の図式は可換である.
HomSetC(E,HomD(F a, F−)) HomD(F a, F a)
HomSetC(E, SF) SF a
∼
τF a
τF◦−
∼
η idF a
τF ◦η
θ τF a(idF a)
∼
τF a
τF◦−
∼
故にτF ◦η =θとなる.
後はこのτ の一意性を示せばよい.そのためにτ0 がτF0 ◦η = θを満たしたとすると,
再び米田の補題により次の図式は可換である.
HomSetC(E,HomD(F a, F−)) HomD(F a, F a)
HomSetC(E, SF) SF a
∼
τF a0 τF0◦−
∼
η idF a
τF0 ◦η
τF a(idF a) θ θa(ida)
∼
τF a0 τF0◦−
∼
故にτF a0 (idF a) =θa(ida) =τF a(idF a)が分かり,米田の補題からτ0 =τ が分かる.
補題 7. C, Dを圏,d∈Dを対象とする.Cは有限完備で関手F: C →Dは有限極限と 交換するとする.このときコンマ圏d↓F は余フィルター圏である.
C D
d↓F 1
⇒ = d F
証明. 定義により,d↓F の対象はDの射d →F cで,射(d→F c0)→(d →F c1)は次
を可換にするCの射c0 →c1 である.
F c0 c0
d
F c1 c1
命題1の3条件の双対を示せばよい.
(i) まずd↓F 6= 0を示す.C が有限完備だから終対象1 ∈ C が存在する.F が有限 極限と交換するからF(1) ∈ D は終対象になる.よってD の射d → F(1)が存在する.
従ってd↓F 6=0である.
(ii) g0: d→F c0,g1: d →F c1 とする.C が有限完備だから直積c0×c1が存在する.
F が有限極限と交換するからF(c0×c1)∼=F c0×F c1 である.直積の普遍性から次の点 線の射が存在して可換となる.
F c0 c0
d F(c0×c1) c0×c1
F c1 c1
g0
g1
よって射(d → F(c0×c1)) → (d → F c0) と(d → F(c0 ×c1)) → (d → F c1)が得ら れた.
(iii) g0: d →F c0,g1: d→F c1として,二つの射p, q: (d −→g0 F c0)→(d−→g1 F c1)を 取る.即ち次の図式(三角形は可換)を考える.
F c0 c0
d
F c1 c1
g0
g1
F p F q p q
C が有限完備だからequalizer c e c0 p c1
q が存在する.F が有限極限と交換す るからF c F e F c0 F c1
F p F q
もequalizerである.今F p◦g0 =g1 =F q◦g0だから,
equalizer F eの普遍性により次の点線の射が存在して,三角形が可換となる.
F c c
d F c0 c0
F c1 c1
g0
g1 F p F q p q
F e e
よって
(d →F c) (d→F c0) (d →F c1)
p q e
はd↓F の射でp◦e=q◦eである.
以上の(i)(ii)(iii)によりd↓F は余フィルター圏である.
定義. C を小圏とする.関手F: C →Setが平坦(flat)とは,y†F: Cb → Setが有限極 限と交換することをいう.
Cb
C =⇒ Set
y
F y†F
定理 8. 小圏Cと関手F: C →Setについて以下は同値.
(1) F が平坦
(2) 1↓F が余フィルター圏
(3) F が表現可能関手のフィルター余極限で書ける
証明. (1 =⇒ 2)F: C →Setを関手とする.各点左Kan拡張により,P ∈Cb に対して y†F(P)∼= colim(y↓P →C −→F Set)
∼= a
hc,ui∈y↓P
F c
/∼
∼=a
c∈C
a
u∈P c
F c
/∼
∼=a
c∈C
P c×F c
/∼
である.hc, ui,hd, vi ∈ y↓P として f: hc, ui → hd, viを射とする.つまりf はC の射 f:c→dでP f(v) =uを満たす.このときs∈F cとすると,`
hc,ui∈y↓P F c
/∼にお いて[s] = [F f(s)]である.`
c∈CP c×F c
/∼で考えれば[hP f(v), si] = [hv, F f(s)i] となる.以下簡単のため[h−,□i] = [−,□]と書く.
まずP =y(a) (a ∈C)の場合を考えると,y†F(y(a)) ∼=`
c∈CHom(c, a)×F c
/∼ だから,任意のu ∈ y†F(y(a))はu = [f, s] (f: c → a,s ∈ F c) と書ける.このとき [f, s] = [ida◦f, s] = [P f(ida), s] = [ida, F f(s)]である.一方y†F ◦y ∼=F だったから y†F(y(a))∼=F aである.この同型はF a 3u7→[ida, u]∈y†F(y(a))で与えられる.
P, Q ∈ Cb としてθ: P ⇒ Q を自然変換とする.コンマ圏の普遍性により得られる H: y↓P →y↓Q (下の図式参照)はhc, ui ∈y↓P に対してHhc, ui=hc, θc(u)iで与え られる.
1 Cb
y↓Q C Set
y↓P
⇒ =
=
=
y
F Q
H
故にy†F(θ) : y†F(P)→y†F(Q)はu ∈P c,s∈F cに対してy†F(θ)([u, s]) = [θc(u), s]
で与えられる.
∆1 ∈Cbは終対象で,y†F が有限極限と交換するからy†F(∆1)も終対象である.従っ てy†F(∆1)∼= 1となる.よって1∼= (`
F c)/∼だから,あるc∈CについてF c6=∅で なければならない.故に1↓F 6=0である.
次に hc0, u0i,hc1, u1i ∈1↓F を取る.hc, ui ∈1↓F と射 hc, ui → hc0, u0i,hc, ui → hc1, u1iが存在することを示す.今y†F が有限極限と交換するから,直積
y(c0)×y(c1) y(c0) p0 p1 y(c1)
と交換する.即ち普遍性により得られる次の射hが同型(即ち全単射)を与える.
y†F(y(c0)×y(c1))
y†F(y(c0))×y†F(y(c1))
y†F(y(c0)) y†F(y(c1))
y†F(p0) ∼ y†F(p1)
h
y†F ◦y∼=F だから
y†F(y(c0)×y(c1)) F c0×F c1
F c0 F c1
y†F(p0) ∼ y†F(p1)
h
としてよい.u:=h−1(hu0, u1i)∈y†F(y(c0)×y(c1))を取ればy†F(pi)(u) =uiである.
y†F(y(c0)×y(c1))∼=a
c∈C
HomC(c, c0)×HomC(c, c1)×F c
/∼ だから,u= [f0, f1, s]となるc∈C,fi: c→ci,s∈F cが取れる.このとき
ui =y†F(pi)([f0, f1, s]) = [fi, s] = [idci◦fi, s] = [idci, F fi(s)]
だからF fi(s) =ui となることが分かる.故にfi: hc, si → hci, uiiは1↓F の射である.
最後に対象hc0, u0i,hc1, u1i ∈ 1↓F と射f0, f1: hc0, u0i → hc1, u1iを取る.ある対象 hc, ui ∈1↓F と射g: hc, ui → hc0, u0iでf0◦g=f1◦gを満たすものが存在することを 示す.Cbでequalizer
X θ y(c0) y(c1)
y(f0) y(f1)
が存在し,y†F がこれと交換するから
y†F(X) F c0 F c1 y†F(θ) F f0
F f1
がequalizer となる.定義よりF f0(u0) = F f1(u0)だから,あるs ∈ y†F(X)が存在し てy†F(θ)(s) =u0 となる.このときs= [v, u] (c∈C, v ∈Xc, u∈F c)と書けば
y†F(θ)(s) = [θc(v), u] = [idc0, F(θc(v))(u)]
である.よってg:=θc(v) : c→c0と置けばF g(u) =u0 となり,g: hc, ui → hc0, u0iは 射である.またθ がequalizerであるからf0◦g=f1◦gも分かる.
(2 =⇒3) ここでは区別のため,米田埋込Cop →SetC をzと書く.z↓F = (1↓F)op だから(「コンマ圏」のPDFを参照),1↓F が余フィルター圏であるとするとz ↓F は フィルター圏である.
1 SetC
z↓F ⇒ = Cz op =⇒ SetC
z id F
よってF ∼= colim(z↓F →Cop −→z SetC)は表現可能関手のフィルター余極限である.
(3=⇒1)フィルター圏Jと関手S:J →Copを使ってF ∼= colim(J −→S Cop −→z SetC) と書けたとする.即ち
F ∼= colim
j∈J HomCop(−, Sj) = colim
j∈J HomC(Sj,−) である.y†ay−1だからy†は余極限と交換するので,補題6を使うと
y†F ∼=y† colim
j∈J HomC(Sj,−)∼= colim
j∈J y† HomC(Sj,−)∼= colim
j∈J evSj
となる.evSj は極限と交換し,colimj∈J は有限極限と交換する(命題5)から,y†F も有 限極限と交換する.
系 9. C を小圏とするとき
colim : SetC →Setが有限極限と交換する⇐⇒Cがフィルター圏
証明. 随伴colima∆ : SetC →Setが成り立つから,普遍随伴によりF := colim◦yと 置けばcolim∼=y†F である.
SetC
Cy op =⇒ Set
F colim
よって定理8から
colim : SetC →Setが有限極限と交換する⇐⇒F が平坦
である.故に1↓F ∼=Copを示せばよい.その為にはc∈ C に対してHomSet(1, F c)∼= 1,即ちF c∼= 1を示せばよい.c∈Cとx∈Setに対して
HomSet(F c, x) = HomSet(colimy(c), x)∼= HomSetC(y(c),∆x)∼= ∆x(c) =x だからF c∼= 1である.
系 10. 平坦関手F: C → Setは有限極限と交換する.圏C が有限完備ならば逆も成り 立つ.即ち有限極限と交換する関手F: C →Setは平坦である.
証明. F: C →Setが平坦ならばyとy†F が有限極限と交換するからF ∼=y†F ◦yも有 限極限と交換する.
Cb
C =⇒ Set
y
F y†F
圏C が有限完備でF: C →Setが有限極限と交換するならば,補題7により1↓F が余 フィルター圏だから,定理8よりF は平坦である.
例 11. a∈C に対してF := HomC(a,−) : C →Setは平坦関手である.
証明. 定理8 より1↓F が余フィルター圏であることを示せばよいが,1↓F は始対象 ha,idaiを持つから余フィルター圏である.
定理 12. C, Dを小圏として,C は有限完備とする.このとき
関手F: C →Dが有限極限と交換する⇐⇒F†: Cb→Db が有限極限と交換する 証明. (⇐=)F†◦y ∼=y◦F である.yとF†が有限極限と交換するから,y◦F ∼=F†◦y も有限極限と交換する.yは忠実充満だからF が有限極限と交換することが分かる.
(=⇒) Cb の有限極限 limPi に対して F†(limPi) ∼= limF†Pi を示す.その為には 各 d ∈ D に対して F†(limPi)(d) ∼= (limF†Pi)(d) を示せばよい.(limF†Pi)(d) ∼= lim(F†Pi(d))であるから F†(limPi)(d) ∼= lim(F†Pi(d)),即ちF†(−)(d) : Cb → Setが 有限極限と交換することを示せばよい.
P ∈Cbに対して,各点Kan拡張によりF†P(d)∼= colimP ◦P0 である.
1 Dop
Fop↓d ⇒ = CopFop ⇒ Set
P F†P d
P0
故に F†(−)(d) ∼= (Cb P
−1
−−−→0 SetFop↓d −−−→colim Set) である.P0† a P0−1 だから P0−1 は 右随伴,よって極限と交換する.故にcolim : SetFop↓d → Setが有限極限と交換する ことを示せばよい.その為には系 9 より,Fop ↓d がフィルター圏であればよいが,
Fop↓d= (d↓F)op だから,補題7より明らか.
例13. Setでない場合,有限極限とフィルター余極限が交換できない場合がある.圏I を 順序集合Nを圏とみなしたものとして,J := ( 0 1 )とする.関手T: I ×J →Top を定義する.即ち,Topの図式
T(0,1) T(1,1) T(2,1) · · ·
T(0,0) T(1,0) T(2,0) · · ·
k0 k1 k2
h0 h1 h2
f0 g0 f1 g1 f2 g2
を定義する.まずT(i,0) := [0,1/(i+ 1)]としてT(i,1) := (T(i,0)qT(i,0))/∼と置く.
ここで∼は同値関係であって,2つの0を同一視し,2つの1/(i+ 1)を同一視するもの である.(よってT(i,1)は位相的には円周になる.) そして標準的に得られる二つの単射 をfi, gi: T(i,0)→T(i,1)とする.次に関数hi: T(i,0)→T(i+ 1,0)を
hi(x) :=
x
0≤x≤ 1 i+ 2
1 i+ 2
1
i+ 2 < x≤ 1 i+ 1
で定義し,hiqhiから得られる射をki: T(i,1)→T(i+ 1,1)とする.
さ て ,X := {a, b} の 位 相 を {∅,{b}, X} に よ り 定 義 す る と colimiT(i,0) ∼= X, colimiT(i,1)∼=Xであり,よってlimjcolimiT(i, j)∼=X が分かる.一方,limjT(i, j) は2点からなる離散位相空間なのでcolimilimjT(i, j)も2点からなる離散位相空間であ る.故に
である.
系9の有限極限を有限直積に弱めることで,次の定義を得る.
定義. 小圏C がsifted ⇐⇒colim : SetC →Setが有限直積と交換する 小圏C がcosifted ⇐⇒Cop がsifted
定義. 添え字圏がsiftedな余極限をsifted colimitという.
定義. C を小圏とする.関手F: C → Setがsifted flatとは,y†F: Cb → Setが有限直 積と交換することをいう.
系9によりフィルター圏はsiftedである.特に有限余完備な圏はsiftedである.
定義. 圏C の図式a ←c →bをaからbへのspanという.双対的に,図式a →c←b をaからbへのcospanという.
定義. C を圏,a, b∈C を対象とする.aからbへのspanがなす圏Span(a, b)を以下の ように定める.
• Ob(Span(a, b)) :={hf, gi ∈Mor(C)2 |c∈C, a←−f c−→g b}
• hf, gi,hf0, g0i ∈ Span(a, b)とする.c := dom(f),c0 := dom(f0)とする.hf, gi からhf0, g0iへの射は,次の図式を可換とする射h: c→c0 である.
a b
c0
c
f0 g0
f g
h
同様にしてcospanがなす圏Cospan(a, b)が以下のように定まる.
• Ob(Cospan(a, b)) :={hf, gi ∈Mor(C)2 |c∈C, a−→f c←−g b}
• hf, gi,hf0, g0i ∈ Cospan(a, b)とする.c:= cod(f),c0 := cod(f0)とする.hf, gi
からhf0, g0iへの射は,次の図式を可換とする射h: c→c0 で定める.
c0
c
a f g b
f0 h g0
補題 14. 関手F: C →Setがsifted flatならば,任意のs, t∈1↓F に対して,1↓F に おけるspanからなる圏Span(s, t)は連結である.
証明. まず定理8の=⇒の証明により,あるhc, si ∈1↓F とfi: hc, si → hci, uiiが存在 することが分かる.故にSpan(hc0, u0i,hc1, u1i)6=0である.
次に二つの span hc0, u0i ←− hf0 c, ui −→ hf1 c1, u1i,hc0, u0i ←− hf00 c0, u0i −→ hf10 c1, u1i を取る.この二つが zigzag で結ばれることを示そう.直積の普遍性から θ: y(c) → y(c0)×y(c1),θ0: y(c0)→y(c0)×y(c1)が存在する.
y(c)
y(c0)×y(c1)
y(c0) y(c1)
y(f0) y(f1)
θ
y(c0)
y(c0)×y(c1)
y(c0) y(c1)
y(f00) y(f10)
θ0
定理8の=⇒の証明と同様,次の図式を得る.
F c
y†F(y(c0)×y(c1))
F c0×F c1
F c0 F c1
p0 p1
F f0 F f1
y†F(θ)
∼h
F c0
y†F(y(c0)×y(c1))
F c0×F c1
F c0 F c1
p0 p1
F f00 F f10
y†F(θ0)
∼h
故に
ui =F fi(u) = pi◦h◦y†F(θ)
(u) =pi(h(y†F(θ)(u))) u0i =F fi0(u0) = pi◦h◦y†F(θ0)
(u0) =pi(h(y†F(θ0)(u)))
を得る.よって集合の直積の定義から,h(y†F(θ)(u)) =h(y†F(θ0)(u0))である.h が同 型だからy†F(θ)(u) =y†F(θ0)(u0)を得る.同型F c∼= y†F(y(c))はu 7−→[idc, u]で与 えられていたから,
y†F(y(c))
y†F(y(c0)×y(c1))
y†F(y(c0)) y†F(y(c1))
y†F(y(f0)) y†F(y(f1)) y†F(θ)
[idc, u]
[θc(idc), u]
[f0, u] [f1, u]
で考えればθc(idc) = hf0, f1iとなることが分かる.同様にしてθc00(idc0) =hf00, f10iであ る.また[hf0, f1i, u] = y†F(θ)(u) = y†F(θ0)(u0) = [hf00, f10i, u0]が分かる.これが成り 立つ為には,次の右側の可換図式とv0 ∈F d0,· · · , vn ∈F dnであって
u ∈ F c v0 ∈ F d0
v1 ∈ F d1 ... ... vn∈ F dn
u0 ∈ F c0
F k0
F k1
F kn
c
d0
d1
c0 c1
... dn
c0
k0
k1
kn f0
f00
f1
f10
F k0(u) = v0, F k1(v1) = v0, F kn(u0) =vn となるものが存在しなければならない.こ れは圏1↓F における二つのspan hf0, f1i,hf00, f10iがzigzagで結ばれることを意味す る.
命題 15. 小圏Cに対して以下の条件は同値.
(1) Cがsifted
(2) 任意のa, b∈Cに対してCospan(a, b)が連結 (3) 対角関手∆ : C →C×C がfinal
証明. (1 =⇒ 2)F := colim◦y: Cop →Setと置く.
SetC
Cy op =⇒ Set
F colim
C がsiftedだからF はsifted flatである.一方1↓F = Cop であった.よって補題14 により,任意のa, b∈C に対してCospan(a, b)が連結であることが分かる.
(2 ⇐⇒ 3) ∆ : C → C ×C を対角関手とすれば,a, b ∈ C に対して ha, bi ↓ ∆ = Cospan(a, b)である.よって「∆がfinal⇐⇒任意のa, bに対してha, bi ↓∆が連結」(随 伴関手定理のPDFで証明済)より明らか.
(2 =⇒ 1) 略
よって有限余直積を持つ圏はsiftedである.
双対を考えれば「小圏 C が cosifted ⇐⇒ 任意の a, b ∈ C に対して Span(a, b) が connected」である.
定理 16. 関手F: C →Setに対して以下の条件は同値.
(1) F がsifted flat (2) 1↓F がcosifted
(3) Fは表現可能関手のsifted colimitである.即ちsiftedな圏J と関手K:J →Cop が存在してF ∼= colim(J −→K Cop −→y SetC)と書ける.
証明. (1 =⇒ 2)補題1より明らか.
(2 =⇒ 3) y†y∼= id だから各点Kan拡張により 1 SetC
=⇒
⇒ = y id F
F =∼ y†y(F)∼= colim(y↓F →Cop −→y SetC)であるが条件2よりy↓F = (1↓F)op は siftedである.
(3 =⇒ 1) siftedなJ とS: J → Cop が存在してF ∼= colim(J −→S Cop −→y SetC) = colim
j∈J HomC(Sj,−)と書けるとする.y† ay−1 だからy†は余極限と交換し y†F =y† colim
j∈J HomC(Sj,−)∼= colim
j∈J y† HomC(Sj,−)∼= colim
j∈J evSj
である.evSj は極限と交換し,colimj∈J は有限直積と交換するから,y†F も有限直積と 交換する.
参考文献
[1] J. Adamek and J. Rosicky, On sifted colimits and generalized varieties, Theory and Applications of Categories, Vol. 8 (2001), No. 3, 33–53, http://www.tac.
mta.ca/tac/volumes/8/n3/8-03abs.html
[2] Francis Borceux, Handbook of Categorical Algebra: Volume 1, Cambridge Uni- versity Press (1994)