高等特別支援学校生徒のインターネット利用の実態と 構報モラル教育の必要性に関する研究
特別支援教育専攻
中 道 央
I
冒開題と自的社会への出口を間近に控えた特別支援学校高 等部段階における情報モラノレ教育は,集大成と しての重要な位置付けになると考えられる。ー ホ先行研究では,特別支援学校もしくは障害 者に特化した情報モラルに関する研究は少ない。
そこで本研究では,多様なインターネットの 利用やトラブノレが想定される高等特別支援学校 に焦点を当て,生徒のインターネット利用の現 抗家庭や学校における情報モラルに関わる意 識や支援の状況を明らかにすることを目的とす る。その中で,高等特別支援学校生徒のインタ ーネット利用に関わる相教的な傾向や問題点,
家庭と学校との連携の在り方,より良い情報モ ラル教育の在り方について検討を行う。
I I .
アンケート調査 1.アンケート調査の方法(1)アンケート調査対象者
.A県内のB高等特別支援学校の生徒 188 名,保護者188名,及び教員100名
. c
県内の D高等特別支援物交の生徒63 名 保 護 者63名,及び教員52名( 2)アンケート調査期間
201X年2月から3月にアンケートを配 布@回収する。
(3 )アンケートの作成と内容
文部科学省「平成27年度情報活用能力調 査J,内閣府「平成28年度青少年のインター
指導教員 井 上 と も 子
ネット利用環境実態調査j等の調査や文献を 参考に,生徒のインターネット利用の現状,
家庭や学校における情報モラノレに関わる意識 や支援の状況に関する質問項目を作成する。
2.分析の方j
去
. IBM SPSS Statistics ver.21を使用する。
・「生徒の情報モラルの実態J,
r
効果的な情報 モラルの指導J,r
保護者と教員の連携jに ついて,カイ二乗検定, Fisherの直接法,Mann‑WhitneyのU検定, Kendallの1)頃位 相関の各検定を用いて分析する。
@生徒の情報モラノレに関わる分析を行う際に は合成尺度
r f
青報モラノレの定着Jを用し、る。3.結果と考察
2校の高等特別支援学校では,生徒のイン ターネット利用率が94.3%,スマートフォン 利用率が82.0%,スマートフォンと携帯電苦 を合わせた利用率は96.2%であり,インター ネットに関わるトラブノレを経験したと回答し た生徒は全体の2割ほどで、あったO
「インターネット利用に関わる具体的なト ラブル等の経験」においては, [悪口等のメッ セージやメールを送ったり,書き込んだりし た][インターネットで知り合った人との人間 関係で悩んだことがある]などの項目で,内 閣府調査における高校生を対象とした同様の アンケート結果よりも経験した割合が上回っ た。その一方で, [インターネットに関係する
にU00
事件をニュースで見ても, 自分は京蝕守
l
こ巻き 込まれない自信がある]の間いではp 文部科 学省調査における高校生を対象にした同様の 間いよりも9 肯定的な回答をした割合が 20 ポイント以上高い結果が得られた。生徒の情報モラノレに関しては3 利用機器や SNS利用の有無の違いによって,生徒のわ情 報モラノレの定着」に差はみられなかったが,
スマートフォンの利用やSNSの利用が,イ ンターネットに関わるトラブノレを経験するリ スクを高める現状が明らかになったO 同時に
r,~青報モラノレの定着」を高めることにより,
そのリスクを抑制できる可能性も示されたO 情報モラルの指導に関しては,単に家庭や 学校で、情報モラノレを学んで、も,
r
情報モラノレの 定着jにつながらない結果が得られた。家庭 においては「ルーノレの設定J,学校においては「グループ学習」を取り入れることが,情報 モラノレの向上につながる可能性が示唆された。
また,半数程度の生徒が親から,約2割の生 徒が学校で,それぞれ情報モラルについて学 んだことがないと回答した。これらのことは 新学習指導要領の「主体的・対話的で深い学 ひりとも大きく関わるもので、あり,生徒が主 併句に学ぶことが重要であると言えるだろう。
保護者と教員の連携に関しては,保護者と 教員の双方が,互いの情報モラルに関わる指 導の有効性を感じている状況が示された。こ のことは, ともすると互いに情報モラノレの指 導を他方に委ねてしまう状況につながるので はなしゅ吃危慎される。形式だけで終わらな い具体的な両者の連携が必要であろう。保護 者においては生徒のインターネット利用の把 握,教員においてはインターネットに関する 問題点の知識がそれぞれ他方よりも強みであ
186
る結果が得られた。そのようなそれぞれの強 みを生かした連携の在り方が考えられる。
麗園 総合毒著書寄
生徒のインターネット利用率,スマートフォ ンと携帯電話を合わせた利用率は,内閣府調査 における高校生の利用率とそれぞれ近似してい るとしづ結果が得られ,インターネットに関わ るトラブノレも多様に起きている現状が明らかと なった。 トラブルの鞘敷や,自身のインターネ ット利用に対する自信は,高等特別支援朝交生 徒の認知的な特性や,対人関係スキルとも関連 しているものと考えられる。そのような特性や 実態を踏まえた丁寧な支援が必要であると言え るだろう。
生徒の情報モラル向上のためには9 日常生活 におけるモラルや/いーノレを守れるような支援を 家庭,学校において日頃から行っておくことも 必要であろう。このことは低年齢からの支援や 指導の積み重ねが重要であることも示している。
また,生徒の情報モラルを育成し,生徒を守る という点で,家庭と朝交は十分に連携を図る必 要がある。互いに共有すべき情報や思いを交換 し,また必要に応じて,生徒ともその情報や思 いを共有することが情報モラル教育にとって必 要な視点であると考察する。
w .
今後の課題アンケート調査の結果に基づいた推察や言及 にとどまっているため,今後は,実践的な研究 を行うことにより,効果を測定し,実際の有効 性を検証する必要があるだろう。また,本研究 において,示すことがで、きなかった9 具体的な グルーフ。学習の進め方やノトーノレ作りの方法も含 めたフ高等特別支援学校生徒にとってより良い 情報モラル教育の在り方について,さらに検討 することが今後の課題となる。