論 説
(商経論叢第23巻第1号昭和62年10月)第 二 臨 調 . ﹁ 行 政 改 革 ﹂ と 国 家 財 政 5 (
i一九八七年度税制改正を中心にーー
小 林 晃
第二 臨調 ・「行政 改革 」 と国家 財 政⑤
5]
事実上︑売上税導入の是非をめぐる国民(住民)投票という性格をもった統一地方選(一九八七・四・十二・二六)は・
周知のとおり︑その導入を目論んだ政府与党の大敗で終った︒
今次選挙の最大の焦点と目された福岡県における社共統↓候補の当選のみならず︑都道府県議選挙でも︑自民党が
大幅に減退し︑売上税導入反対の社共はじめ野党が大きく躍進した︒改選定数二︑六七〇議席のうち︑自民党の議席
は一︑三八二で前回比一〇五のマイナスとなり︑四四都道府県のうち三一道府県で議席を減らした︒この結果・自民
党の議席率は五一.七%と一九五五年の保守合同以来︑最低の水準に落ち込んだ︒これにたいして祉会党は七一議席
増の四四三議席で︑三三道府県で議席を増やし︑また共産党も三三議席増の一一八議席となり︑両党とも自民党と対
照的に史上最高の議席数を獲得した︒
統一地方選挙における自民党の大敗北は︑選挙投票直甫の各商業新聞による世論調査からもある程度予想できる結
果であった︒たとえば︑﹁朝日﹂(三・一四)によれば︑﹁売上税導入は公約違反﹂とみるものが七四96︑﹁売上税反対﹂
が八二%︑また﹁防衛費GNP一%枠撤廃反対﹂も六一%に達していたからである︒
こうした選挙結果は︑普通なら内閣総辞職に十分値するといってよいが︑それでもなお政府与党は︑四月一五日衆
院予算委における予算案の強行採択︑本会議上程を強行した︒しかし売上税にたいする国民多数の強い拒絶反応に抗
ぴししきれず︑一定の経過の後︑四月二三日︑衆院議長の調停により売上税法案は事実上の廃案とすることを余儀なくさ
れた︒これによって︑の税制改革関連法案は議長預りとする︑口その取り扱いについては︑国会に各党が参加する協
議機関を設置し︑その結論をまって処理することとなった︒
(注)議長調停の内容は以下のとおりである︒
売上税関連法案の取り扱いについては現在の段階で各党の意見が一致していないので議長がこれを預かる︒
しかし︑
一︑税制改革問題は︑今後の高齢化祉会に対応する等︑将来のわが国の財政需要を展望する時︑現在における最重要課題の
一つであることは︑言をまたない︒従って直間比率の見直し等今後できるだけ早期にこれを実現できるよう各党協調し︑最大
限の努力をはらうこと︒
二︑このため六十二年度予算の本院通過をまって直ちに︑本院に税制改革に関する協議機関を設置し税制改正について検討
を行うこと︒なお︑その組織運賞については各党において速やかに協議すること︒
三︑売上税関連法案の取り扱いについては協議機関の結論をまって処理する︒今国会中に結論が得られない場合においては︑
その取り扱いは各党の合意に基づいで措置するよう一層の努力をすること︒
さらにその後︑五月=一日︑自民党と四野党の国対委員長会談で以下の四点の合意がなり︑その結果︑売上税法案
の今通常国会における廃案が確定した︒e今国会の会期は延長しない︑口売上税橡か税制関連法案はひとまず廃案と
第二 臨調 ・「行政 改革 」 と国 家財 政㈲
53
る︑㊨関連法案は次の臨時国会(七量込み)に再提出しない︑四先の調停にもとつく税制改革に関する与野党協議機
関琴国会会期内(〜五.二七)発足を前提に話し合う︑こととなった︒そして五月二吾︑数度にわたる会談決裂の
後︑﹁多数決によって決しない﹂という合意成立によって与野党協議機関が発足した︒(但し・共産党は・先の衆院議長
調停案を拒否したことを理由に除外された)︒
なお︑今八七年度予算案も︑税制改正の細目をペソディングにした異常な形のまま︑五月二〇日に異例に遅れて原
案どおり成立した︒ただ︑一九七六年以来これまで約δ年︑表面圭応は守られてきた政府公約としての防衛費の
対GNP些%枠突破(一.○〇四%)を許容するという重大問題を今後に残す結果となった・﹁総額決定﹂方式とい
う新基準(八七.}.二四閣議決定)に代ることによって︑防衛籍額の贅的瓢(歯止め)が今後蔓上なくなることを意味するからである︒﹁戦後政治の総決算﹂としての﹁行革﹂推進の下で︑平和憲法に逆行する軍拡が新たな本
格的段階を迎えようとしているといわなければならない︒
(注)閣議決定の全文
一︑わが国は平和憲法のもと︑専守防衛に徹し︑他国に脅威を量るような軍事大国とならないとの基本理念に従い・日米安保体制を堅持するとともに︑文民統制を確保し︑非核三原則を守りつつ節度ある防衛力を自主的に整備してきたところであるが︑かかるわが国の方針は︑今後とも引き続ぎ堅持する︒
二︑甲期防衛力整備計画L(六+年九月+八日閣議決定)は︑上記の葉方針のもとに策定されたものでありご﹂の期間中
の各年度の防衛関係経楚ついては︑同計画に定める所要饗の枠内でこれを決定するものとする・なお・同計画を三年後に
作成し直すことについてはこれを行わないものとする︒
三︑﹁中期防衛力藩計吻終r後の昭和六+山ハ年度以降の防衛関係讐のあり方については・同計画終了までに・改めて
国際情勢及び経済財肇情等を勘案し︑前記の平和国家としてのわが国の蒙方針のもとで決定を行うこととする・四︑今回の決定は︑﹁当面の防衛力薦について﹂(昭和五⊥年±月音閣議決定)に袋るものとするが・同閣議決定
商 経 論 叢 第23巻 第1号 54
第1図 防衛 費の推移(伸 び率:%)
の節度ある防衛力の整備を行うという精神は︑引き続きこれを尊重するものとする︒
33.435
15,174 5.2;x;
(当 初 べ … ス)
87こ/1之
S6 s5 84 83
C」'!‑!.̲̲..̲̲Y‑!
1815Z (1意P」)
35,000
30,000
2,000
20,000
15,000
10,000
5,000
第1表 「行革1予 算下 の主要経 費の推移
構成比
指 数
(1981=
100)
文寸̀肖f∫イ下三1七 (o!;o)
艘 轡 師 悌 億
分
18.61 9.0 20.9
3.5 18.8 6.5 11.2 1.2 0.4 0.9 1.0 7.9 113,81
100.7 170.3 105.1 116.S X44.8 86.9 152.?
79.5 99.8 53.3 91.S
2.6 0.1 0.1 2.5 no.a
5.2
×2.3 4.2 p3.8
△21.4
×9.3 p4.1
区
10(},896 48,497 113,335 18,956 101,841
35,174 60.824 G,492 1,973 4,952
5,406 42,663
社会保障関係費 文教関係費 国債費 恩給費
地方交付税 防衛関係費 公共事業費 経済協力費 中小 企業対策費 エネルギー対策費 食糧管理費
予備費ほか
100.0 114.S
計i54・ ・… 0.02
合
税制改正に関する今後の蒋態の推移を確実に予想することは困難だがi最終的には総資本対総労働の力関係によ
(注)って結着する問題であるから︑売上税導入の財政的︑経済的背景︑すなわち長期深刻な財政危機の進行(第三表参
照)下において巨額に累積した国債発行残高の早期償還︑長期化が予想される円高不況と貿易摩擦に対処するための大
軍拡と大型プロジェット推進など大規模な﹁内需拡大﹂の必要性︑くわえて独占資本に本来的な一般的課税原則(必
要財源は原則として大衆課税で調達する)を考えれば︑政府・資本の側が︑なんらかの形で早期に大型間接税の導入を目
第 二 臨調 ・「行 政 改革 」 と国叡 財 政 ⑤ 55
論むことは必至といってよい︒
(注)今年度発足した新行革審内部で︑﹁積極財政﹂への転換のために︑従来の﹁昭和六十五年度に赤字国債依序を脱却する﹂
という財政再建目標を大幅に先送りし︑その際国債の累積残高をGNPの一定比率以内に抑えるという新しい目標に置き換え
る見解が有力になりつつある︑と報じられている(朝日︑四・一九︑五・一〇)︒
そして六月二二日︑新行革審は︑再建目標を﹁早期達成﹂にとどめ︑また﹁増税なき財政再建﹂路線についても︑﹁経済環
境によって再建テンポに緩急を生ずるのは当然﹂として︑再建計画の修正と増税(直間比率の見直し他)もやむを得ない︑
とする報告書をまとめた︒
そして実際︑売上税の事実上の廃案を決めた四月二二日の﹁衆院議長調停案しの第一項には︑﹁税制改革問題は︑
今後の高齢化社会に対応する等︑将来のわが国の財政需要を展望する時︑現在における最重要課題の一つであること
は︑言をまたない︒従って直間比率の見直し等︑今後できるだけ早い時期にこれを実現できるよう各党協調し︑最大
限の努力をはらうこと﹂と明記されている︒つまり︑﹁高齢化社会に対応する﹂という理由の下に︑すなわち"福祉
目的"という名の下に︑﹁直間比率の見直し﹂すなわち直接税の比率を減らして間接税の比率を増やすよう︑﹁最大限
の努力をはら﹂い︑﹁できるだけ早い時期にこれ(大型間接税)を実現﹂しようという意図と含みが明白である︒
そこで以下︑大型間接税導入の可否をめぐる今後の議論の推移のなかで予想されるいくつかの論争点ないし問題点
について簡単にふれておこう︒
第一は︑いわゆる﹁直間比率﹂の問題である︒政府与党の側は言うをまたないが︑野党勢力の内部でも︑﹁所得税
減税の先行実施﹂﹁高齢社会への対応﹂等々をその前提ないし条件としつつ︑﹁直間比率﹂の﹁是正﹂という表現の下
に︑大型間接税を事実上︑容認する言動が拡がる可能性である︒事実すでに︑たとえぽ公明︑民社(五.一二︑一三の
NHK党首イγタビューならびに民社大内書記長の記者会見)︑さらには全民労協︑同盟︑自動車総連などの八七年度運動
商 経 論 叢 第23巻 第1号 56
第2表 国税構成の国際比較
分 隙 税 鱗 翻(付 加価 値 税)1墜 璽)1合 計
区
100.O goo.0 100.O goo.o ioo.o loo.o Zs.2
Zi.7 22.7 18.6 14.9 20.8 24.6
30.9 44.5 22.3 26.2
11.7 43,3 49.5 59.4 43.1 73.S
..
56.7 50.5 40.6 56.9
日 本
ア メ リ カ イ ギ リ ス 西 ド イ ツ フ ラ ン ス イ タ リ ア
※ 大 蔵 省r財 政 金 融 統 計 月 報 』1985.5号
(注)日 本 は1986年 度 当 初,外 国 は84年 度 決 算 ま た は 見 込 。
方針案等々にみられるとおりである︒
こうした﹁直間比率﹂の﹁是正﹂を主張する際にしぽしば引合に出される
のが︑諸外国における﹁直間比率﹂の例である︒第二表にみられるとおり︑
わが国のそれが七三・八対二六・二︑アメリカ八八・三対一一・七︑付加価
値税の導入が加盟の一条件となっているECでは︑イギリス五六・七対四三
・三︑西ドイッ五〇・五対四九・五︑フランス四〇・六対五九.四︑イタ
リア五六・九対四三・一等々となっている︒だが︑この租税体系の一特徴を
表現する﹁直間比率﹂に︑何か適正Lで﹁科学的﹂で﹁客観的﹂な基準ないし
比率が存在するかのごとくしぽしぽ主張されがちだが︑実際にはそのような
ものは何もない︒﹁適正﹂な﹁労働分配率﹂が存在するがごとき主張と少しく
相似ている︒﹁直間比率﹂なるものは︑各国それぞれの歴史的事情ないし経
過と︑各国における労資の力関係の一反映あるいは一結果にすぎない︒要す
るに︑ただそれだけのことである︒
あえていえば︑租税体系としては︑むしろ直接税中心の体系がヨリ民主主義的性格をもつという方が正当である︒
というのは︑例えば直接税の代表格をなす所得税は︑間接税に比べて国民がその負担を実感しやすく︑その限りで一
国の財政ひいては政治のあり方に関心をヨリ高めやすく︑しかも所得税が高額所得にたいして累進課税の度合を高め
れぽ高めるほど︑租税負担の公平がヨリ強く実現されるからである︒こうした意味で︑﹁直間比率﹂の﹁是正﹂(現在
のわが国でいえば︑実質的には間接税を増やす意)そのものが必要だとする主張は︑なんら科学的根拠がないだけでなく︑
第 二 臨 調 ・「行 政 改 革 」 と 国 家 財 政(5) 57
客観的には︑不公平課税を一段と拡大する大衆大増税としての大型間接税導入に加担する言動といわなければならな
い︒
第二は︑売上税が年金︑医療費など社会保障支出にその使途を限定した﹁福祉目的税﹂と変装して再登場してくる可能性である︒すでにみた嚢調停案も税制改革の理由として﹁高齢化社会に対応する財政需要﹂を賄うことを前面
に強調しているが︑自民党.安倍総務会長が売上税にかかわる間接税のあり方として﹁場合によっては・福祉関係の
支出に目的を限った福祉目的税であってもかまわない︒﹂(五・六講演)という発言が象徴的である︒
この場合に明確にすべき決定的な問.題は︑その目的税をいったい誰が負担するのか︑ということである︒これが間
接税で賄われるなら︑実質は軍拡目的の売上税導入と事態は少しも変らない︒かりに間接税二兆円とすれば︑その金
額分を︑︑﹂れまで社会保障に允当していた租税からヵットして軍轟にまわす︑言いかえれぽ新たな二兆円の間接税
(大衆課税)で軍拡に允当するのと実質はまったく変りないからである︒したがって︑﹁福祉目的﹂税は新たな福祉行
政の拡充にまったく結びつかない2Gある︒かつて篁次大戦を目前にして︑第ニイソタの社民党が・誼国防衛L
という支出"目的〃のために︑侵略戦争のための赤字国債(形を変えた大衆増税)を支持したのと事実上同然である︒したがって︑福祉拡大を真に﹁目的﹂として課税するのであれぽ︑課税対象を独占資本の高.額所得・資産に明確に限
定した課税を要求すべきである︒同時にこれは不公平税制の是正にもなる︒
第三は︑後述するサラリーマン等の所得減税の﹁先行実施﹂等とひきかえに︑大型間接税の事実上の導入を容認する
ような結着がはかられる可能性である︒それでは減税効果は無に帰することはいうまでもない︒サラリーマソ減税を
はじめ勤労大衆の減税を要求することは当然かつ必要なことであるが︑そのために必要な財源は︑あくまでも不公平
税制の是正に求むべきである︒ただし︑不公平税制といっても︑いわゆる九・六・四(第十一図参照)はサラリーマン・
農民・自営業者という基本的には同じ勤労大衆間の不公平であって︑その意肇は第二義的問題である.﹂ζもちろん︑
これも是正すべきだが)・笙義的で最大の不公平課税(第二〇表参照)は︑独占資本と勤労大衆間のそれである.とを︑
明確にしなければならない︒公平かつ民主主義的であることが課税原則でなければならないからである︒
二
冗八七年度﹁行芒予算の総体としての特徴を象徴するのは︑二重の政府公約違反といってよい大型間接税へ売
上税)の導入と防衛費のGNP一%枠突破の問題である︒
八二年度以降・﹁戦後政治の総決算﹂としての﹁行財政改革﹂の推進︑そしてその税制版たる﹁戦後税制の総決算﹂
として・戦後税制の枠組みをつくったシャウプ勧告(一九四九︑五〇年)実施以来三六年ぶりといってよい税制大改革
(悪)が・いま一九八七年度・中曽根内閣の下で実施霧されようとしている︒もっとも.あ間︑シャウプ攣口で全額
課税となったキャピタルゲイソ(株式︑公社債譲渡所得)杢九五三年度の所得税法改正で非課税とされた.﹂とに袋
されるように・戦後GHQ下の一連の非軍事化・民主化政策にたいする﹁逆・‑ス﹂の進行は︑税財政面においても
例外ではなかった・この意味では︑今年度予定されている税制の大改蔑︑これまでの済し崩し﹁逆.支﹂のいわ
へむば一集大成を意味し︑したがって文字どおり門戦後税制の総決算Lという性格と内容をもっているといってよし
しかもそれは・わが国にのみ特殊な事態ではなく︑ス多フレ←・ソと長期深刻な財政危機という国際的に共通
する社会経済情勢と背景のもとで︑アメリヵはじめ先進資奎義諸国に葉的に共通な内容と方向において実施され
ハぴ
ようとしている点も注目に値するところである︒
(注)栞寅男ヲメリカ税制改革の意味L(﹃経済セミナ誌︑一九八六・±月号︑八田斎ヲメリカ税製革の難﹂﹃魏
第 二 臨 調 ・「行 政 改革 」 と国家 財 政⑤ 59
第3表 進行止めぬ財政危機
国債費 一 般会 計 国 債 費(当 初)
%2324渇謁233﹂渇246891012141516181920
う ち 利 払 費 億 円 7,335
13,289
19,316
26,280
国債 残高 GNP 国 債 残 高
1伸 率
33,398
×4,173
55,653
64,650
79,050
SS,657
9S,785
×06,04s 億 円
10,394
1.5,547
23,487
32,227
40,784 53,104 G6,542 78,299
81,925 91,551 102,241 113,195
嵩 蜘 ㎜ ㎜ 鵬 鄭 伽 襯 魏 姐 伽 伽
%冷護ゐ渇﹄
5547443332 3
25 ﹂3﹂2諭護
16171310106
億 円 149,731
220s776
319024
426,Z58
X62,513 705,098 822,734 964,822 ].,096,947 1,216,936 1,346,000 1,432,000
国債 発行額 (当初) (公債 依存
度:D/)
億 円 20,000
(9.4}
72,750 (29.9) 84,800
{29.7) 1d9,850
{32,0) 152,700
(39.6) 工42,700 (33.5) x22,700
×26.2) 104,400
Uzi.o) 133,450
(26.5) 126,SOO
(25.0) 11C,800
{22.2) 109,460
(ZO.2}
分区
年度
椰 ㎜ ㎜ ㎜ ㈱ ㎜ ㎜ 肥 脇 脳 脳 脳
通信﹄八六・十一月号)︑長岡実︑首藤発﹃財政と税制の課題﹄︑日本法制
学会︒
今年度の税制改正の特徴点を端的に
要約すれば︑第一に︑﹁税制の公正・
簡素化﹂﹁内需拡大﹂﹁民間活力の維持︑
増大﹂﹁国際協調﹂等々の名のもとで︑
独占資本(法人︑個人を含む)にたいし
ては戦後かつてなく露骨で大幅な減税︑
対するに勤労階級には戦後かつてない
大幅な増税がうちだされていることで
ある︒これによって︑不公平税制が格
段に拡大することはいうまでもない︒
第二に︑今年度を新たなスタ1トと
して︑他方における生活・福祉・教育・
小零細企業(農漁業を含む)ならびに人
件費(要員︑賃金)等々の徹底した削減
ないし抑制とあわせつつ︑従来の﹁行
瑚革L下の﹁増税なき財政再建﹂路線1もっとも実際には既稿で
述べているとおり︑大衆増税は着実に進行していたのだが11か
ら︑本格的な大衆増税による﹁財政再建﹂路線に向って正面切っ
)て踏みだしたことである︒これによって︑資本主義の一般的危機補の現代的な一大象徴といってよい・ヶイソズ肇の国際的規模に
の楊おける破綻にもとつく長期.深刻な財政危機(第三表参照)克服策
棘の階級的本質が何人の目にも露わとなった.︑とである︒くき特徴の第三は︑前稿で予測したとおり︑急激な円高.ドル安の
鋤進行(第二図)とそれを契讐する円高不況の冤服L︑ならびに場醐﹁貿易摩擦解消﹂国際協調Lを目指すという丙需拡大Lの内実
図が︑他方における軍拡︑大型プロジェクト中心の公共事業推進等
辮とあわせて︑独占資本の法人・個人所得という﹁内需﹂の拡大
(大幅な減税)にあることが︑これまた何人の目にも露わになった
ことである︒
角/防)いうまでもなく︑急激な円高・ドル安の規定的要因をなすもの
は・先端技術部門を中心とする日本独占資本が︑徹底した﹁減量合理化﹂にょる低コストと強い国際経済競争力をも
とに・対米を筆頭に集中豪雨のごとく輸出を激増させてきたことにあり1為替差益を求める享差ームは︑その
増幅要因1・そしてそれが為替相場(円とドルの交難率)へ必然的に反映した結果である︒資本嚢に固有の生産
払
蝦灘
擬
劉跳12111098765432
月
"
hu/・呆公定馨下げ
10/31日米蔵相共同声明
男 製 哩霧 鶉 銭
7/11米国公定歩合下げ
' へ
髪 〜
象 ー
ノレ 4/鴛米公{疋歩合下げ
噌 和麟 難響 .
年
一 旧 ﹂u 撫 罐 ‑
蜘 ㈱ 捌 蜘 脚 脚 蜘
螂1・61第 二 臨 調 ・「行 政 改 革 」 と 国 家 財 政 ⑤
の無政府性と際限なき独占利潤追求の一産物にほかならない︒
一九八七年百+六日の大蔵省髪(通関べ或︑鐘にょると︑充八六笙年間の輸出総額(島車こ般壌電誕械︑金属加工機禦忠)魅削年些九.一%増の約二千九+二億ドル︑他方輸入籍筒二三%減の約千二亘ハ+五億ドルで︑差し引嘉出超過額は過去最高の約八百二+七億ドルにも達した・なかでも・アメリカ向け輸出竪則年比二三.三%増の約八百五億ドル︑他方輸入は里二・四魯の約二百九+億ドルで・差し引き対米輸出慧額は過去最高の約吾+五億ドル︑輸出超過総額の六二三%をも占めている(第一二図参照)・この箪・}九八六年の呆の輸出籍(ドル表示)は︑GNPで呆の三倍弱をもつアメ劣のそれとほぼ肩を並べるまでにいたった(第
四表参照)︒
また︑米霧省発甕九八七.一.三・)によると︑アづヵの充八六笙簡の輸出讐一書七+三億ドル・
第3図1986年 の貿易動 向
5 0兆
円 5)
ハUrOAU
f意2000 ド ル1800
w
1600 1400 1200 0
輸 出 、円 べ 一 ス
ぴ 一 〇.。・0闘.̲画 輸/
輸 出 、円 ハ
o、 ドル ベ ー ス 、/
へs
鵯灘 亥一 ♂A\ 墨
ユ981ゴト8283848586
瀦 瞳讐 篁1藍 「1「
第4表 日米 の輸 出額 の動向
瞳 鱗期
年
1日 本 擁 国
220,783 233,739 212,275 200,538 21.7,888 213,146 210,000
129,807
×52,030 13$,831 146,92?
17Q,114 175,638 Zlo,000 1980
81 82 83 84 85
・ ・
第5表 日本 の 対 外 資 産 ・負 債
(1985年 末,単 位 ・億 ドル)
債負
産資
長 期 負 債1,223 民 間 部 門918
{
政 府 部 門306短 期 負 債1,856 民 間 部Fヨ1,770
{
政 府 部 門86負 債 合 計3,079
条屯 資 産1,298
民 間 部 門1,045
{
政府 部門254 長 期 資 産民間部門
{
政 府部門(うち証 券投資) 短 期 資 産民間 部門
{
政府部門 資 産 合 計3,013 2,fi45 1,457
368 1,364
i....
277 4,377
(注)1985年 においてわ が国 の純 資産 額は先進 資 本主義 国中で第1位 とな り,逆 に ア メ リカは 債務超 過(純 負債約600億 ドル)へ 転落 した。
輸入額は三千八百七十一億ドルで︑差し引き貿易赤字が史
上最高の千六百九十八億ドル︑このうち対日赤字がこれま
た史上最高の五百八十六億ドルで︑赤字総額の三四.五%
に達している︒
もっとも︑一九八六年分のわが国の輸出急増は︑いわゆ
る﹁(逆)Jカーブ効果﹂に伴う側面をもっている︒すなわ
ち︑輸出数量はすでに減少に転じていても︑急激な円山口同に
よりドル表示の輸出価額が上がり︑ドルベースの輸出総額
が急膨張したことである︒しかし︑その﹁Jカーブ効果﹂
も八六年末でほぼ終了したと一般にみられており︑八七年
には輸出数量の減少に伴う輸出額の大幅な落を込みが現わ
れるのは必至の状況にある・すでに事実︑円建てで換算すると︑わが国の輸出は一九八五年をピ}として︑八六年
には約三五兆二千九百億円・前年些五・九%の減少を示している(笙一函参照)︒なお大蔵省速報によると︑八七年
五月の貿易収支の黒字幅は︑六〇年三月(○・二減)以来︑一一年二ヵ月ぶりに前年同月比一四.九%の大幅減となっ
た︒
こうして近年わが国の輸出の急増は︑その必然的反作用として︑急激な円高を招き︑この円高を契機として新たな
過剰生産恐慌(円高不況)へ突入している︑ということである︒つまり︑円高不況は︑資奎蓬とって必然的で固
有な葉的矛盾の周期的・集中的爆発たる全般的過剰生産恐慌が︑円高に伴う国際価格撃力の低落と︑輸出関連産
63第 二 臨 調 ・「行 政 改 革」 と国 家 財政 ㈲
業を中心とする輸出の伸びなやみないし減少を契機として発現したものということができる・あるいは言いかえれぽ・日本資奎義(独占資本)みずからが生みだした過剰生産恐慌を︑これまでアメリカをはじめとする貿易●輸出相手国に藤し.そきた(過剰崖のはけぐちとしてきた)のが︑急激な円高の進行とともにそれが困讐なり・その輩・
恐慌が潜在的状態から顕在的状態へ突入したということである︒
こうした円高不況の発現︑そしてそれが相当藻刻で激烈なものとなると予想されることは・充八六年の笙.
四半期(Σ脊)の実質経蔑叢が︑笙次石油危機後の一九圭年の笙・四半期以来士年ぶりにマイナス
第4図 実質成 長率(GNP,GNE)の 推 移
9
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'6S'fi8 (暦 年)
'?0 '72'76
'74 '78 ,80'82'84 'S6
6〕25
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20
15
に転落(前期比で○.五%減︑年率にして二・一%減)したこと︑一九
八六年(暦年)の実質成長率が二・五%と第一次石油危機後の七五
年の二.七%(七四年はマイナス一・四%)を下回り︑ここ十二年間
で最低の水準に落ちこんだこと(経企庁︑三・一八速報︒第四図︑第六
表参照)︑一九八七年一月の完全失業率(総務庁︑労働力調査速報・三
月三日発表)が一九五三年の調査開始以来初めて三・○%と過去最
高を記録し︑完全失業者数も一八二万人に達していること(第七表︑
第五図も参照)︑里︑蜀産が激増しつつあること(第六図)などに象徴
的に示されている︒
こうした円高不況と貿易摩擦の激化を背景として︑その﹁克服﹂
のための財政出動による﹁内需拡大﹂論︑緊縮基調から拡大基調へ
の財政政策の転換論が再浮上しつつある︒こうして︑前稿で指摘し
第6表 実質国民総支出の推移
寄与度
86年
10‑12 4‑6 7‑9
1‑3 85年
10‑12
1,0.4
昭胴侃Mα‑
1,1.2 0.2 f0.2
0.4
167131.1 (一一〇.7) 16627.O
X4.9) 56562.6
(2.0}
1256.9 (36.6) 32106.4
(14.4) 22363.4
Co.s}
‑1850 .1 {‑203.1)
7576.0 (10.1) 51998.3
(一 一3.2) 44422.3
(一一一2.9) 301772.9
(o.s) 3.2 168282.5
(1.3) 15851.9
(7.o}
55471.9 (0.5) 920.4 (43.9) 28058.0
(1.2) 22184.2
(1.8) 1795.1 (‑44.8)
6878.0 (‐lo.5)
52640.0 (‐o.8) 45762.O Co9) 299438.0
(0.7) 3.0
166134.2 (1.2) 14808.5 (3,3) 55204.3 (0.4) 639.5 (‑63.0)
27719.2 (0.4) 21785.4 (3.6) 3252.8 (8119.9}
7687.2 (‑27.8)
53044.1 C1.s) X5356,0
(g.1) 297230.1
(0,9) 3.8
1G4123.7 (0.4) 14340.6
×1.5) 5983.4
Co.3) 1726.5 (‑20.5)
Z7so6.7 (o.9) 21022.4
(0.3) 39.6 (‑93.5)
XO640.6 (‑13.o}
522x8.9 (‑3.3) 41568.3
(‑0.4)
294483.4
(‑0.4) ,11.7 163477.4
(0.5) 14124.4 (1.7) 5481.3
(2.6) 2172.1 (].5.3}
27370.1 Cx.o) 20960.5 (1.7) 608.7 (41..4) 12235.9
(‑1.2) 53973.3
(‑1.8) 41737.5
(‑2.0) 295760.3
{i.2) 4.7 民間最終消費支出
民 間 住 宅 民 間 企 業 設 備 民間 在 庫 品増 加 政府最終消費支 出 公的固定資本形成 公 的在 庫 品増 加 経 常 海 外 余 剰
輸 出 等
輸 入 等
国 民 総 支 出 年 率 換 算(%)
カ ッ コ 内 は 前 期 比 ,実 数 は 年 率 で,単 位 は10億 円,
前 期 比,▲ は マ イ ナ ス
ておいたとおり︑戦後かつてない国
際的規模における長期・深刻な財政
危機の元凶として︑ヶイソズ理論に
もとつくスペンディソグポリシ!
(財政支出による﹁内需拡大﹂)と﹁大き
な政府﹂を一方で排斥(その理論的根
拠として主張されているのがマネタリズ
ムや供給サイドの経済学)しておきな
がら︑他方で同時に︑依然としてそ
れに依存せざるえないという政策選
択上のデイレソマ︑いいかえれぽ資
瀧 駒 奎 義 の 一 般 的 危 機 窺 局 面 に お け
欄 朗 る 深 刻 さ と 特 徴 的 籍 が 実 証 的 に 浮
灌 彫 に な り つ つ あ る と い っ て よ い ︒
準は基度八七年度税制改正の性格と意義を︑年与脚寄これまで要約的に述べてきた昨今のより
)%内外経済情勢ならびに財政政策上の姓観点からみれぽ︑以下の諸点を挙げ
65第 二臨調 ・r行政改革」と国家財政㈲
第5図 円高 不 況下の失業 の激 増
1098%&322 7
曹2 瓜U5
22
1 r 女性 男女 0計
男性
万人 180
'A、〈170
、‑」
160
150
140
7891011121234567月 85∠fF‑一!一86年
第6図 円 高 倒 産 の 状 況
第7衷 失業 ・失業率 の推 移
年1実働召1菱 業薯俊業藁
万人 万人
1971 5,186 64 1.2
72 5,199 73 1.4
73 5,326 ss 1.3
74 5,310 73 1.4
75 5,323 goo 1.9
7s 5,378 108 2.0
77 5,452 110 2.0
78 5,532 124 2.2
79 5,596 117 2.1
80 5,650 il4 2.0
81 5,707 126 2.2
82 5,774 136 2.4
83 5,889 156 2.6
84 5,927 X61 2.7
85 5,963 15fi12.6
働膀
局計統庁﹂務査総調力
※ ることがでぎよう︒
8ほぼ一九七五年以来の長期・深刻な財政危機
は依然として解消の目処が立たず(一九七五年以
降︑赤字国債発行残高は累増を重ねて八六年度末で一
四三兆円︑また国債費も八七年度歳出において約二〇
%︑=兆円)︑このために赤字国債のこれ以上の
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67
増発が大幅に制約されている︒
豊九七四・五年恐慌を転讐する﹁高度成長﹂から﹁低成長﹂局面への移行と︑円山.呆況の進行のため︑現行税
制のままでは税収の伸びも期待できず︑むしろ税収の減退すら予想される︒
日にもかかわらず・急激な円高の進行とアメリヵ︑Ecはじめ保護貿易化の強まりによって︑これまでの日本経済
の大きな成長要因を芒てきた外霞糖)のいっそうの縮小と国際経済撃(貿易摩擦)の激化が確実に予想され︑
くわえてその円高を契機とする円高不況(恐慌)が︑今後いっそう深刻化し︑あるいは長期化する.芝が予想される︒
四こうして︑円高不況の﹁克服﹂と﹁安定成長﹂ならびに国際経済戦争への対処のために相当大規模な国家による
政策発動が・不可避かつ必覆局面を迎えているが︑金融政策の発動は︑昨八六年四度にわたる計二%の金利引下げ
と超低金利によって︑ほぼ限界にきており︑発動の余地はきわめて限られている︒
鋤したがって︑そのためには独占資本の立場からすれぽ大衆大増税を財源とした財政出動ーt﹁内需拡大﹂と税制
面からの経済競争力の強化・促進(大法人所得と高稿人所得の大凝税あわせて軍拡と大型プ・ジ︑クト推進にょ爵政
支出の拡大)をおいて他にはない︒またこれは︑日本は為莫定の見返りに︑内需を拡大して国際収支の黒字を削減
するという先進五ヶ国蔵省・中央銀行総裁会議(G5)における国際合仁日心(公約)にも合致する︒
㈹同時にこのことによって︑大衆負担層税)による財政危機の﹁解消﹂と財政﹁再建﹂1とりわけ大型間接税と
しての売上税は・直接税に比べて景気変動に伴う税収の増減が相対的に少ないだけでなく︑税率の一%アップで直ち
に数兆円の税収増が見込されるーの展望が切り開かれる(もっとも︑緊縮藷から拡大基調への財政政策の転換という限
りでは・差し当り表面上は︑従来の財政﹁再建﹂路線と矛盾するのだが)︑というのが即ちそれである︒
三
今回の税制改正を大枠としてみれば︑平年度ベース(今回の税制改正を完全実施したと想定して試算した税収と・現行税
制に基づく試算との差額を}九八七年度価格で示したもの)でみて︑減税分が所得減税一一兆七千億円へ所得税一兆九千五百億
円︑住民税七千五百億冊)︑法人減税一兆八千億円(法人税}兆五千三百億円︑地方分二千六百億円)で総額四兆五千億円︑対
するに増税分が大型間接税(売上税)二兆九千億円(売上税の創設にょる五兆八千億円から物品税の廃止等による二兆九千億
第 二 臨 調 ・「行 政 改 革 」 と国 家 財 政(5}
67
第8表87年 度 税制改正 によ る増減 収見込 み額 (単位億 円,△ は減 収) 国税関係
改正 事項
1所 醇税減税
2法 人税 率の引 き下 げ
初 年 度 X10,180
D4,030
平 年 度 p19,500 Q15,310 (1‑←2==ニノJ、言卜)
3利 子 課 税 の 見 直 し 4売 上 税
{
物品税の廃止等売上税の創設 計△14,Zoo 450
11,030 p3,890
7,10
134,810 9,5?(}
49,71Q
△24,080 25,630
(3‑十 一4コ/」 、壽卜) 7,59035,ZOO
(1+2‑1‑3+4=合 計) 5そ の 他
〔 墓錨 鶴 鷺講 価〕
Q,6,620 6,620
390 0
(1i2十3十4十.)=総 額) 地 方 税 関 係
改 正 事 項
1住 民 税 減 税
2法 人 税 率 の 引 き 下 げ
0 390
△2,324△7,552
×409p2,622
(1←2・==ノJ、計) 3利 子 課 税 の 見 直 し
4売 上 税
{
売L譲電 気税の廃 止等ぴ税 の創設 計△2,733 635
1,838
×672 1,166
Q10,X74 6,590
8,285
△5,108 3,1.77
(3十4==ノ 」、言卜) 1,801. 9,769
(1十2十 一3モ4==合 言十)
5そ の 他
〔法人住民税や法人事業税の見直し等〕
△932 809
△407 Q39
(1十2斗 一3十4十5==総 言十) p123×446
※1987.1.16閣 議 決 定
商 経 論 叢 第23巻 第1号 68
第7図 大型間接税(売 上 税)の 仕組み(税 率5%,前 段 階控 除方式)
誌」消費司
ノ」、ジ己業 ・者
了
10 :11aoo
原料 ⇒[メ …カー]ゆ 卸売業者
価 格30011玉700円
1
800円 800
‐Boa Sao Tao
‑300 400
販売額 仕入れ額 粗利益
課税前
io
̲g
2
1050円
の
暑
→‑10「 「][二=・(50rq)
735円 840円
s4a
‑‑735
‑5 104
円
﹁‑十5十
価格 315円
?35
‑315 20 400
円﹁ー▼20十
販 売 額 一 仕 入 れ 額 一一糸内不見客頁
粗 利 益
税額
i 7 15円
課税後
(注)〈 課税方法〉事業 者が3ヵ 月 ご とに 自分で税額 を申告 し,納 付 す る。 前段階 まで の業者が支 払 った税額 を,自 分の税額 か ら控 除す る 「前段階控 除」方式が とられ る。
円差引)︑マル優廃止(二〇%の分離課税)一兆六千億
円で総額四兆五千億円となっている(第八表参照)︒
このように計数的には表面上増減税ほぼ同額とな
っているが︑実質的には︑すなわち負担と受益の階
級的内容からいえぽ︑第一に︑大法人を中心とする
法人減税(一兆八千億円)をマル優廃止による大衆増
税(一兆六千億円)で賄い︑第二に︑高額所得を中心
とする所得減税(二兆七千億円)を売上税の新設によ
る大衆増税(二兆九千億円)で賄う内容となってい
る︒つまり︑大衆増税分を財源とした資本減税を推
進(﹁内需拡大﹂)するものとなっているといってよい︒
そこで以下︑その内容を少し具体的にみておきたい︒
仕組みと特徴は︑第七図にみられるとおり︑課税対象が従来の個別物品ではなく
にたいして︑しかも取引の各段階にたいして課税される聞接消費税という点にある︒この意味で︑
税である︒政府案によれぽ︑税率五%で総額五兆七千九百九十五億円という巨額な税収が見込まれており︑文字どお e大型間接税としての売上税の創設
売上税(一般消費税・付加価値税も基本的に同じ)の
︑原則として全ての物品・サービス
いわぽ"一網打尽"
第 二 臨調 ・「行政 改革 」 と国家 財 政 ㈲ ss
りの大型間接税である︒
間接税である以上︑納税義務者は業者であっても担税者は消費者であり︑したがって基本的には物価の引上げとい
うルートを通じてすべてが消費者に最終的に転嫁(負担)される(第七図参照)︒それのみか通産省では・売上税を商
品.サービスの販売価格に転嫁(上乗せ)しやすくするために︑独禁法で禁じられている価格カルテルを実質的に導入
できるような立法措置の検討に着手していると報じられている(八七・三・+四︑朝日)︒しかも︑もともと間接消費税
は︑所得逆進的で低所得者ほど負担率が重く︑また所得税非課税者(課税最低限以下)にまで課税される性格の租税で
昇あり︑︑﹂の意味で︑売上税の導入はきわめて大幅な大衆増
慨税そのものである︒
働くわえて売上税の新設・導入は・それによる旧来の物品時
第8図EC諸 国における付加価税導入
104 !
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94 93 92 91
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層r輯 一剛昌一i
1
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lデ 麹
量
1 年前 6ヵ 月 前
慮 動
6ヵ 月 後※ 税制 調査会 資料(1977年7月26日)
税等の廃止︑酒税・たぽこ消費税の税負担調整のうえでの
売上税併課に伴う問題もある︒たとえば電気税(現行は地方
税)の場合︑税率は五%で不変であるが︑民生用について
は現行では月額三千六百円以下は非課税措置がとられてい
る︒しかし売上税では一律五%課税となるため︑電気税課
税世帯(八五年で約千七百五十万世帯で全世帯の約四〇%)も新
たに課税対象となる︒またガス税(地方税)の場合︑税率が
二%から五%に上昇するのみならず︑免税点廃止のため従
来め非課税世帯(全世帯の約九〇%)が一挙に五%の課税世
商 経 論 叢 第23巻 第1号 70
第9表 売上 税に よる酒 類価格 の変化(円)
減
陣
改 定 後
在
陣
一5
‑一一一190
‑210
‑1‑470 0
‑一一200
‑一一2 ,000
‑‑300
‑150
‑600
‑20
‑5 0
‑2 305
3,38(1 2,96●
2,090 s70 3,soo 28,000
̀L ,700 1,350 2,130 1,850 1,375 980 1,048
痂
3,570 3,170 1,620 070 4,000 30,000
3,000 1,500 2,730 1,870 1,380
・・
1,050 ビ ー ル 大 び ん(663m1)
国 産 ウ イ ス キ ー 特 級 ①(760m1,リ ザ ー ブ な ど) 国 産 ウ イ ス キ ー 特 級 ②(760m1,オ ー ル ド な ど) 国 産 ウ イ ス キ ー1級(720m♂,ホ ワ イ トな ど) 国 産 ウ イ ス キ ー2級(640m1,ト リス な ど) ス コ ッ チ ウ イ ス キ ー 特 級(750m1)
輸 入 プ ラ ソ デ ー(700m1) 輸 入 ワ イ ソ(750m1) 匡1産 ワ イ ソ(720m1) 清 酒 特 級(1.81) 清 酒1級(1.81) 清 酒2級(1.81)
し ょ う ち ゅ う 甲 類(1.81) し ょ う ち ゅ う 乙 類(1.Sl)
※ 関係 業界に よる暫定試 算
帯となる︑等々︒これに反して︑貴石類︑毛皮製品︑特級
酒など高級品は︑最高三〇%の物品税が廃止されて原則と
して五%の売上税にぎりかえられるため︑高級品のほとん
どが相当な減税となる(第九表参照)︒
もっとも第一〇表にみられるとおり︑食料品など五一項
目が当面非課税となっている︒だが食料品でも︑その原材
料のうち食料品以外のもの︑たとえば肥料︑農機具︑漁船︑
燃料︑パック︑包装紙︑運賃等々には売上税が課税される
ため︑非課税品目といえども実際には多かれ少なかれ新税
の課税と値上がりは避けられない︒またいったん売上税が
導入されれぽ︑EC諸国の経過をみるまでもなく︑非課税
品目がやがてつぎつぎに免税解除され︑くわ・兄て税率の引
上げも必至である︒
また法案では︑年間課税売上高一億円未満の中小業者(全
事業者のほぼ九割を占める)は非課税とされている︒しかし︑
この非課税業者は自己の売上げには課税されないかわり︑
仕入れ段階までに上乗せされている税額は控除できない︒
小零細な小売店でも︑取扱っている商品の大半︑とりわけ
71第 二 臨 調 ・「行 政 改 革 」 と 国 家 財 政{5}
第10表 非 課税品 目 ・取 引一覧
1
9臼qり
4
5
67891011121314
15
ハ0ワ﹂¶﹂ーユ ΩUO﹂nUl111り白
21
22
23
飲食 料品(原 材料や動物,種 子 な ど を含 む)
飼料(愛 が ん用 のえ さは課税) 卸売 市場で の生鮮食料 品等の販売 委 託 手数料や家 畜市場 の手数料
農協 な どが 行 う飲食料 品等の販売 委 託 手数料
政府 買い入れ 米麦の農協 な どの集 荷 委託 手数 料
と畜市場で の と殺や解 体手数料 漁船 の建造 お よび建造請 負 土 地の譲 渡
立 ち木,竹 の譲渡 住宅 の譲渡
住宅 の新増築,工 事 の請 負 土地,建 築物 の貸 し付 け 医薬 品
薬事 法で定 める医療用具(レ ン トゲ ソ装 置な ど政令 で定め る もの) 健康保 健法 な どで定 め る公 費負担 の 医療 サー ビス
正常 分ぺん
15,16を 対 象 とした 民間医療 検査機 関 な どの受託 サー ビス
予防i接種,狂 犬病 予防注射 法令 な どで定め る健康診断
老人 ホー ムな どの社会福祉 施設料や 困 りごと相談サ ー ビス な ど
ホー ムヘルパー な どの在宅 福祉サー ビス
身体障 害者用 の 車いす や義肢,義 眼, 点字 ワー プ ロな ど
身障者用 の特殊電話 機
24鉄 道運 賃(グ リー ン車な どは課税) 25定 期路 線パ ス
26タ クシー(ハ イヤー・は課 税) 27宅 配便(10kg以 下)
28冷 凍 車や保冷 車の運送 費 29有 料道 路
30船 舶定 期航路(特 別船 室料金は 課税) 31離 島航 空運賃
32郵 便 切手,印 紙
33物 品切 手(商 品 券な ど) 34学 校教 育の入学金や 授業料 35専 修学校 の入学金や 授業料 36各 種学校(修 限期 間1年 以 上)〃
37検 定教 科書
38一 般 日刊新聞,時 事通信
39民 放 テ レビ(NHKも 。 ス ポ ッ ト広告 は課税)
40有 線 テ レ ビ
41国 が 行 う芸 術祭の 入場料 42能 や文i歌 舞伎 な どの入場料 43ア マチ ユアスポー ツの入場料
44書 画骨 と う品や質流れ 品,中 古 自動 車な ど
45貸 付金利 子や公社債投 信報酬,保 険 料 な ど
46厚 生年 金基 金な どの信 託報酬 47外 国為替や 両替業務 手数料
48有 価証券や 手形,小 切 手類 の譲渡 49原 油,ガ ソ リン,石 油ガス など 50娯 楽施設利用 料(同 税 の対 象 となる
もの)
51料 理飲 食代(料 飲税 の対 象 とな る も の)
その原材料のほとんどは大企業の製品であるから︑税額分は独占価格をつうじてほぼ確実に仕入れ値に転嫁され︑そ
の分の値上げ(競争上︑それが不可能な場合は︑小零細業者の自己負担)と︑したがって事実上の課税は免れ・托ない︒
くわえて︑この非課税業者(たとえば下請企業)と取引する課税業者(親企業)も税額控除できず︑その分競争上不利
となるため︑非課税者が取引から排除されることすら生じる︒そこで︑非課税業者であっても課税業者を選択する道
をひらき︑その場合︑売上高の八〇%を仕入れ高とみなして︑売上高から控除できる簡易税額算出方式(結果として納
付税額は売上高の一%相当となる)を適用する特例を認めている︒(後掲の資料参照)
いずれにせよ︑こうして売上税が公約違反の大型間接税であるという国民的非難をかわすための二つの非課税措置
も︑実質上はまったくの尻抜といってよく︑結局新税導入は一般消費者と零細業者の一方的負担となり︑くわ︑瓦て小
零細業の淘汰と大企業への集中(﹁合理化﹂)を税制面から促進する結果をもたらすといわねぽならない︒
Oマル優(少額貯蓄非課税制度)の廃止
マル優(少額貯蓄非課税制度)の原則廃止(老人︑母子家庭等のみ存続)によっても︑大衆増税が大幅に強められる︒
現行では︑①銀行預金︑公社債︑公社債投資信託(限度額︑一人各三百万円)︑②国債︑地方債(同)︑③郵便貯金(同)︑
④勤労者財産形成貯蓄(限度額︑一人各五百万円)︑合計一千四百万円(標準四人世帯では四千百万円)の枠内では元金に
つく利子が非課税となっている︒この限度枠を超える場合は︑8他の所得と合算して最高七〇%までの累進税率によ
る総合課税か︑O他の所得と切り離して三五%の一律分離課税の選択(これ自体が高額所得優遇の不公平税制だが)とな
っている︒ところが︑今回のマル優廃止によって︑一方で︑これまで無税であった勤労国民の文字どおり﹁少額﹂の
預貯金利子に一律二〇%で課税(分離課税)されるようになり︑他方で︑マル優の限度枠を超える高額預貯金につい
73第 二 臨 調 ・「行政 改 革」 と国 家 財政 ㈲
ては従来の一律三五%の分離課税から二〇%へ大幅に税率が引下がるからである︒
もともと︑マル優廃止の理由(口実)となったのは︑マル優限度枠を超える預貯金を仮名や預貯金分散三つ以上の金灘関や支店へ分整金)によって︑マル響歪憲用し︑脱税が横行したためであった・この藻では・少額貯蓄の31課税制度のはずのものが︑実態としては﹁高額﹂貯蓄の非課税制度と化していたことにある・その悪用額は国税庁の罰調査による推定によれば(柔六・九・+九日発表)︑﹁本人確認制度﹂がスター亡た八六年でさえ・金融機関全体で約+二兆円︑郵政省の反対で税藷査の対象外となっている饗貯金(非課税貯蓄の約三分の一を占めるとみられる)を含めれば総額で二〇〜三〇兆円にも達している︒
し奈って︑取り組まるべきことは︑こうした不正悪用にたいする霧調査窮則規定案格的強化にこそある・にもかかわらず︑.﹂うした一般勤労国民にはまったくかかわりのない不正鷺を防ぎ・課税の﹁公正﹂を期すという名のもとでのマル罐止が︑芳で新たに大衆増税姦化し︑他方で︑本来は肇すべき(総合課税とすべき)高額の利子.配当所得にたいする三五%葎分離課税を温存強化すること(二・%への引き下げ)によって・不公平課税をいっそう拡大する結果となることはいうまでもない︒
四
八奉度税制改正は︑﹁戦後税制の総贅﹂にふさわしく︑上述の売上税の導入︑マル優の廃止だけでなくほぼ税制全般にわたっている︒
⑤所得(所得税︑住民税)﹁減税﹂
第11表 所得税の税率構造
案正
改行
現
1988年 分以降 適用 課税所得 税率
120万 円 以 下 の 金 額10%
15%
20%
30%
40 50%
/1
/!
/!
500
700
1000
1500f'
1500万FIヨ 超 の 金 額
1987年 分
適用課 税所得 税 率 50万 円 以 下 の 金 額10.5%
120 200 300
goo
700 :11 1000 zzoo 1500
3000 5000
ノノ
ノノ
1/
!/
//
!/
//
/1 11
/!
ノノ
5000万 円 超 の 金 額
11%
14.5%
16°o
20%
25%
30/
35%
40%
45°o
50%
55%
60
適用課税所得 税率
50万 円 以 下 の 金 額10.5%
120〃
200"
300〃
400〃
蜴 賜 賜 蜴 筋 錫 筋 賜 鰯 錫 鰯 鰯 鰯 賜
600
:11 1000 1200 1500 2000 3000 5000 :ill
/!
11
//
〃
ノノ
/1
/1
/!
〃
8000万 円 超 の 金 額
まず第一にあげなけれぽならないのは︑所得
税ならびに住民税(所得割)の最高税率が︑前
者で現行の七〇%(ただし︑これは表面税率であ
って︑税務統計上﹁給与所得者﹂となっている独占
資本家階級は︑高額の給与所得控除等のほか︑﹁給与﹂
以外の利子︑配当︑キャピタルゲイソ︑不動産所得な
ど巨額の資産所得にたいする種々な課税上の恩典︑
さらにはこれら所得の複数名義への分散などのため︑
現行でも実際の税負担率は二〇〜三〇%程度とみて
よい)から五〇%へ︑また後者(市町村民税)で
現行の一四%から一一%へとぎわめて大幅に引
下げられたことである(第二︑一二表参照︒た
だし表中の一九八七年分は暫定税率による経過措置︑
なお最終修正案については末尾資料皿参照)︒
あわせて第二に︑高額所得にたいする累進税
率の適用が事実上廃止されたこと︑すなわち所
得税では所得が何千万︑何十億円であろうと︑
一︑五〇〇万円超にたいして一律五〇%︑住民