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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

有機EL素子の高効率化のためのデバイス構造設計に 関する研究

八尋, 正幸

九州大学総合理工学研究科量子プロセス理工学専攻

https://doi.org/10.11501/3180451

出版情報:Kyushu University, 2000, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)
(3)

φ

有機EL素子の高効率化のための デバイス構造設計に関する研究

九州大学大学院 総合理工学研究科

量子プロセス理工学専攻

機能有機材料化学研究室

八尋 正幸

(4)

--. 、....-

目次

第l章 緒言 .

1.1 はじめに . 2

1.2 有機ELの歴史 . 3

1.3 研究の背景 . . . 7

1.4 研究の目的と本論文の構成 10

第2章 デバイス構造と外部量子効率の関係 12

2.1 はじめに 13

2.2 有機ELの量子効率 15

2.3 EL特性から求めた外部量子効率の膜厚依存性 31

2.3.1 実験方法 31

2.3.2 EL特性と外部量子効率の膜厚依存性 37

2.4 本章のまとめ 47

第3章 発光パターンを考慮した外部量子効率の再評価 48

3.1 はじめに 49

3.2 実験方法 50

3.3 有機ELの発光パターン 53

3.4 補正係数KLと発光パターンで補正した外部量子効率の膜厚依存性

68

3.5 本章のまとめ 71

第4章 直接評価法を用いた光取り出し効率の見積もり

4.1 はじめに

4.2 光取り出し効率の膜厚依存性 4.2.1 実験方法

4.2.2 光取り出し効率の膜厚依存性

2 3 5 5 8

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-唱EA

(5)

、...-

4.3 光取り出し効率の発光面積依存性 4.3.1 実験方法

4.3.2 光取り出し効率の発光面積および電流密度依存性 4.4 本章のまとめ

FhJ nu nU 今3 00 ハツ ハuj ny

第5章 光取り出し効率の向上への試み 94

5.1 はじめに ・ ・ ・ 95

5.2 実験方法 ・ ・ ・ 99

5.3 屈折率1.0 の基板を用いたデバイスの蛍光強度と有機ELの試作 ・ ・ ・ 101

5.4 本章のまとめ ・ ・ ・ 111

第6章 駆動条件による効率の変化 112

6.1 はじめに 113

6.2 有機ELの内部電界モデル 114

6.3 実験方法 117

6.4 電圧駆動時の駆動方法と効率の関係 118

6.4.1 定電圧駆動時のEL特性の経時変化 118

6.4.2 回復率の時間及びバイアス依存性 124

6.5 電流駆動時の駆動方法と効率の関係 131

6.5.1 定電流駆動時のEL特性の経時変化 131

6.5.2 長時間駆動後の回復特性 133

6.6 本章のまとめ 136

参考文献 141

第7章 総括 137

謝辞 145

(6)

一喝、-

第1章

緒言

(7)

、�

1.1 はじめに

有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子は、1987年にコ夕ダ、ツク社のC.W.Tang 等により1叩OV以下の低駆動電圧で1,0∞O∞Oc吋d/m2を越える積層型素子

て以来、 長寿命化、 高効率発光を示す材料の開発などに代表される活発な研究の成 果が実り、 ようやく実用化の段階に到達した。 そして、1997年には世界で初めて モノカラー有機ELディスフレイが市販された。 まだ、 材料の自由度が少ない、 単 純マトリックスによって駆動を電圧で制御しているといった様々な制限はあるもの の、 マルチカラーやエリアカラーの小型ディスフレイが登場するようになった。 さ らに高効率で色純度のよい材料や素子の駆動方法の開発も進んでいる。 しかし、 こ の10年間に急激な進歩を遂げたのは、 有機ELだけではない。 有機ELが新規参 入を目指すフラットパネルディスフレイの分野では、 競合する液晶デ、イスプレイ、

プラズマディスプレイ、 発光ダイオード、 無機ELなど、 どの分野においても画期 的な進歩があった。 例えば、 液晶ディスフレイにおいては、 駆動回路にT打を用 いて、 明るさ、 視野角依存性、 消費電力などの難問を解決し、 ノートパソコンや薄 型テレビモニターとして、 小型から中型のフラットパネルディスフレイとしての地 位を固めつつある。 しかし、 液晶自体は発光しない非発光デバイスであり、 バック ライトなどの明るい光源を必要とするため、 効率の点で問題が残っている。 また、

青色発光ダイオードの出現により発光ダイオードも超大型フルカラーディスプレイ 化が可能になった。 有機EL素子は、 他のデバイスと比べて低駆動電圧、 高輝度、

高効率、 高視野角などの特徴を持ち、 次世代のフルカラーフラットパネルディスプ レイとして期待されている。 しかし、 有機ELの潜在的能力は、 単純なディスプレ イとしての応用だけにとどまってない。 例えば、 フラスチック上に素子を作製する ことも比較的容易に実現できることから、 電子ペーパーなと、への応用や、 非常に単 純な構造を持つ自発光デバイスであることから面状光源としての応用なども考えら れている。 このように大きな可能性を秘めたデバイスであるため、 応用範囲を広げ るためにも、さらなる高効率化や長期安定性への進歩は避けて通ることはできない。

つeU

(8)

....

1.2 有機ELの歴史

エレクトロルミネッセンス(EL)とは、蛍光体に電気エネルギーを与えて励起させ、

励起状態から失活する際のエネルギーを光として取り出す現象をいう。 このエレク トロルミネッセンス現象を利用した発光素子に有機EL がある。 特に有機EL は有 機薄膜内にキャリアを注入し、 蛍光色素上で再結合させて励起状態を形成し、 発光 を取り出すことからキャリア注入型ELと呼ばれる。 その有機ELの研究は、1953 年に有機色素を含む高分子薄膜に、 高い交流電流を印加すると発光することを発見 したA.Bernanoseの研究2)が始まりと言われている。 A.Bernanoseは、 この色素 含有高分子薄膜からの発光が、 既に知られていたキャリア注入を伴わない真性EL の一種である無機EL と同様の機構で起こると主張したが、 この有機物からの発光 は、 放電に由来する紫外光によって、 蛍光体が励起されての二次的発光であったと 現在では理解されている。 さらに、1960年代に入って W.Helfrich 等がアントラ セン単結晶の両端に、 アントラセンのアニオンラジカルとカチオンラジカルを含む 溶液をそれぞれカソード、 アノードとして用いて、 電場を印加すると、 単結晶から アントラセンのフォトルミネッセンスと同じ蛍光が得られたことを示した3)ぺ液 体電極を介して有機薄膜にキャリアを注入し、 アントラセンからの発光を取り出し たこのW.Helfrich等の研究が、 本当の意味での有機ELの研究の始まりといえる。

このように、 有機EL は有機物に電界を印加することによって注入された正と負 のキャリアが、 有機分子上で再結合して励起子を生成し、 その輯射失活によって発 光するという非常に興味深い現象を利用したデバイスである。 そのため、 様々な方 法で高輝度・高効率化が図られたが、1970年代から1980年代前半は、 有機薄膜 を用いたキャリア注入型ELの模索が続いた。 まず第一の課題は、 キャリアの注入、

特に電子の注入であった。 光導電性材料としてポリビニルカルバゾール5)やトリフ ェニルアミン誘導体6),7)のホール輸送特性が見いだされて以来、 ホールの注入およ び輸送が起こる有機材料は数多く報告されていたが、 その有機材料の持つホールと の親和性のため電子の注入は起こりにくく、 電子注入に有利な有機材料はほとんど なかった。 さらに、 有機物に電子を注入するために仕事関数の小さなアルカリ金属 やアルカリ土類金属の固体電極が用いられたが、 金属の活性が高く空気中で安定し て用いることができなかった。 第二の課題は、 電界印加時の有機薄膜の安定性の不 足であった。 様々な有機色素の真空蒸着膜が有機EL に試みられたが、 蒸着膜は目 的とした単結晶とはならず微結晶集合体であり、 電界印加時の絶縁破壊や放電現象

-3-

(9)

、�

のが原因であった。 そこで、 印加電圧を下げる目的でラングミュアーブロゼット (LB)膜を用いた超薄膜有機ELが試みられたが、 思うよ うな安定性は得られなかっ た8),9)0 1980年半ばには、 S.Hayashi等が積層型素子を作製しながら、 その深い 意味を読みとることができなかった。 彼らは、 蒸着ペリレン薄膜を用いた素子にお いてホール注入を改良するため、インジウム-スズ酸化物(I ndium-Tin Oxide: ITO) 透明電極と発光層であるペリレン層の聞にポリチオフェン薄膜を導入したところ、

著しいホール注入特性の改良がみられ、 発光開始電圧が大幅に低下することを報告 した。 しかし、 実際にはポリチオフェン膜の導電率が高くなかったため、 当時はポ リチオフェンをホール注入電極と見なし、 絶縁性のホール注入・輸送層とは考えな かったため有機ELの二層型構造というアイデアには至らなかった10)。

この研究の滞った状態を破ったのは、1987年にC.W.Tang等によって発表され た100nmオーダーの有機超薄膜の積層構造を採用した有機EL素子である1)。 彼 らは、 ITOガラス基板上にホール輸送層であるジアミン誘導体75nm と電子輸送 層兼発光層であるTris(8-quinolinolate) aluminurn (Alω60nm、 MgAg電極を順 次真空蒸着して素子を作製した。 この素子に順方向の電圧を印加すると、 10V以 下の低電圧で 1,000cd/m2を越える高輝度・高効率を示し、 当時の有機ELとし ては考えられない高性能の有機EL素子を実現した。 その特徴は、

①電子的・光学的性質が異なる有機薄膜を二層組み合わせたこと。

②二層それぞれの厚さがそれまで考えられていた有機層よりも1桁程度薄いこと。

③電子注入には有利だが大気中で不安定だ、ったマグネシウム電極に銀を少量混ぜ 合金にすることで電子注入特性を犠牲にせずに大気安定性を達成したこと。

であり、 彼らの積層型有機EL素子の成功は様々な工夫の上に成り立っていた。 こ のC

を与え、 この高輝度.高効率の有機ELの発表によつて有機ELの研究は一気に加 速されたo 図1.1にC

EL特性を示すo

その後、 安達等は発光層を電子輸送層とホール輸送層で挟んだ三層型構造を試み 11)、 さらにホール輸送層が発光層の機能をかねる新しい二層型構造の利用が可能で あることを実験的に示しゅ、C.W.Tang等の二層構造が必ずしも唯一可能な積層 構造でないことを示した。

1990年代に入ると、 さらに世界中の研究者によって有機ELの研究が活発に行

-4-

(10)

ー唱. 、�

われるようになった。 細川等は新規材料を分子設計する立場から研究を展開し、 ジ スチリルアリーレン誘導体という一群の高性能の青色発光材料を発表した 13)。 浜 田等はAlQ蒸着膜が優れた耐久性を持つことを重視して、 それを出発点として新 しい発光性の金属錯体を広範囲に探索し、いくつかの優れたEL材料を発見したω。

また、 銅フタロシアニン15)やスターバーストポリアミン16)をITO電極とホール輸 送層(TPD)の聞に挟むことで耐久性が著しく向上させるバッファ層の考え方と共に その研究も進んだ。さらに、 これまで述べてきたキレート金属錯体などの低分子色 素を用いた素子の発展 と同様に、 π共役高分子材料もポリフェ ニレンビニレン (PPV)の単層 薄膜で、 キャリア注入型 ELが観察されたのをきっかけに17)、 ポリア リキルチオフェン(PAT)18)、 ポリアルキルフルオレンなどが用いられるようになっ た19)。 さらに、 π共役高分子を用いた ELにおいても電子輸送性のオキサジアゾー ル誘導体を分散したポリメタクリル酸メチルを積層させて発光効率を向上させる試 みも行われた20)。有機材料の探索とともに、 赤(スペクトルのピーク波長約625nm)、

緑(約520nm)、 青(約460nm)に発光スペクトルを持つ色素を組み合わせることで 白色ELの作製や21)、 陰極電極にフッ化リチウムを挿入することで、 著しく性能が 向上した研究などがあった22)。さらに、 有機ELを単なる発光素子としてではなく、

素子にファブリペロー型ミラーを 導入した微小共振器ELの作製や 23),24)、 電流励 起による有機導波路型レーザーダイオードの実現に向けた厚膜素子の開発も研究さ れた 25)。 そして、 ついに1990年代終わりには有機ELの実用化が始まり、1987 年のブレークスルーから約10年間で有機ELは大きく発展し、 実を結んだといえ

る。

最近の特筆すべき研究に、 遷移金属を用いた燐光性の発光材料の開発があるo M.A.Baldo等はイリジウム錯体をドーパントに用いたデバイスを作製し、 一般に 非発光性と考えられてきた三重項励起子から安定に光を取り出すことに成功した26)。

彼らが作製した三重項励起子からの発光を利用するデバイスは、 有機ELの一重項 励起子からの発光を利用した理論上の最大量子効率である5%を越える8%を達成 した。 九大・筒井等のグループ27)や山形大・城戸等のグループ28)によって同じ材 料を用いて追試も行われ、 有機薄膜の最適化を行うことによってさらに高効率の有 機ELが実現されている。 このように、 三重項励起子から発光を室温で安定に取り

出せることが実験的に明らかとなったことによって、 有機ELの効率が飛躍的に向 上する可能性が示され、 さらなる発展への道が聞かれた。

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(11)

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FIG. 1. Configuration of EL cell and molecular structures.

ITO /Diamine(750 Á) / AlQ3(600 Á) /MgAg

101 (刊1Eυ〉〉E)弘之のcsc一」凶

2

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Bias voltage (V)

FIG. 2. Brightness-current-voltage characteristics of an ITO/diamine/

Alq3/Mg:Ag EL cell.

O.lmW /cm2=100cd/m2

視感パワー効率与1.51m/W

500 600 700

Wavelength (nm)

FIG. 3. Electroluminescence spectrum of ITO/diamine/ Alq)/Mg:Ag.

800

外部量子効率与1.0%、

400

(ω乞F」コ.0』ω)kmv一ωcωvc-」凶

C.W.T,紅19等が報告した有機ELの素子構造と有機材料の構造式及び EL特性(参考文献1)より抜粋)

図1.1

-6-

(12)

、-

1.3 研究の背景

有機EL の発光効率は様々な単位で表現される。 実用面のみを議論する場合、外 部エネルギー効率の一種であるパワー効率(加l/W)が多く用いられ、また便宜的に 電流効率(cd/ A)が使用されることもあるが、これらの単位は視感度を含むため、

発光スペクトルが異なる有機EL を議論する場合には非常に不便である。 外部エネ ルギー効率(W/W)は物理的に正確な表現であるが、本質的に駆動電圧に依存する 物理量となり、有機ELでは、出力されるエネルギーの状態が光であるのに対して、

入力されるエネルギーは電力であるので、外部エネルギー効率を用いるには外部量 子効率に比べて複雑な要素が含まれる。 結局、分かりやすい議論のためには外部量 子効率を使用することが適当である。

この外部量子効率ηφ(ext)は、(1.1)式で表される内部量子効率ηφと有機EL内 部で発生したフォトンの素子外部への取り出し効率ηextを用いて(1.2)式で表され る 29)。

取り出されるフォトンの数

ηφ= 素子へ注入される電子またはホールの数 (1.1)

ηφ(ext) = η剖・ ηφ (1.2)

この取り出し効率η闘 が、発光波長に依存しないと仮定すると、発光中心が存在 する媒体の屈折率をnとしたとき、屈折率nの分子固体から屈折率1.0 の空気中 へ光を取り出す効率η闘は(1.3)式で与えられる30)。

ηe泣=1/2n2 (1.3)

有機ELにおいて発光層に用いる有機材料の屈折率は約1.7程度であるので、外 部取り出し効率は約20%となる。 つまり発生した光のおよそ80%は素子あるいは ガラス基板を導波して消失する。 屈折率n(n>1.0)の媒体中で発生する面状発光を 空気中に取り出す効率は極めて小さいことがわかる。 さらに、内部量子効率ηφは、

電子とホールの注入バランス因子ァ、キャリア再結合による発光性励起子(一般に 一重項励起子、本章では発光性励起子を一重項励起子とする)の生成効率ηr、一重 項励起子からの蛍光量子収率引を用いて(1.4)式で表される。

ηφ=γ・ ηT・ ηf 1.( 4)

γは外部電極から注入された電子とホールが有効に再結合することで消費される 度合いを示す因子であり、 どちらかの電荷が過剰に素子に注入され、再結合に関与

-7-

(13)

、-

せずに通過する場合は1.0より小さくなる。一般に単層型素子へ等量の電子とホー ルを注入することは困難であるので、 γく1.0となる。 一方、 積層型素子を採用す れば、 電子とホールのバランスのとれた注入が可能となり、 ァは1.0に近づく。

一重項励起子の生成効率ηrは、 電子とホールが再結合する際にはスピン多重度 の違いにより、 三重項励起子と一重項励起子が3: 1で生成すると考えられている 31)。 これに従えばηrの最大値は 0.25ということになる。

一重項励起子からの蛍光量子収率ηfは主に有機色素分子固有の性質を反映する。

単純に孤立した分子一個からの発光を考えると、 ηfは分子または分子固体固有の 蛍光量子収率φfと等しい。 以上の外部量子効率の考察から、 外部量子効率ηφ(ext) は次式で表される。

ηφ(ext) =ηεxt・ γ・ ηr・ ηf (1.5)

よってこれらの最大値を掛け合わせると、 外部量子効率の最大値はわずか5%程 度と非常に小さな値になってしまうことがわかる。 この5%以内での外部量子効率 の向上は、 素子構造や材料物性の最適な選択を行い、 キャリアバランス及び蛍光収 率の最大値100%を目指すことによって行われる。しかし、現在の低分子系有機EL 素子では、 二層型素子構造の採用によってキャリア注入バランスを、 ルブレンなど のドーパントを利用する32)ことで 蛍光量子収率の最大値をほぼ実現していると考 えられる。 そのため、 一重項励起子の生成効率と光取り出し効率が外部量子効率の

限界を決定している要因となる。

一重項励起子の生成効率は、 全ての相互作用を無視した単純なモデルでは、 前述 のようにスピン多重度の違いによって一重項励起子と三重項励起子の二つの励起状 態が 1:3の割合で形成されると考えられており、 Alqを用いた素子において一重 項励起子の生成効率は22+3%程度になると言う報告33)もある。 そのため、 三重 項励起子を直接利用できるようになると、 外部量子効率は原理的に一重項発光の3 倍になることが見込まれ、 効率の飛躍的な向上を実現できると期待できる。

光取り出し効率は、 発光層と空気の屈折率差によって2 0%程度となるため、 こ の改善も三重項励起子の利用と同様に高効率化に大きな影響を与える。 光取り出し 効率を向上させるには、 微小共振器の利用34),35)や素子それぞれにマイクロレンズ を設置36)するなどの光学的設計と発光材料自身に光学異方性を持たせ、 これを配 向させることによって放射パターンを制御して臨界角以内への放射強度を増強する

QU

(14)

、-

など材料の発光特性を利用するものなどが考えられている。

三重項励起子からの光の取り出しは、 燐光量子収率の温度依存性や電界依存性、

また多色化といった多くの問題はあるが、 三重項励起子からの発光を得ることがで き、 理論最大外部量子効率を大きく越える効率を達成できたことからある程度のめ と、がたったと考えられる。しかし、光取り出し効率の向上を明確に示す報告はなく、

早急な改善が望まれている。

- 9 -

(15)

1.4 研究の目的と本論文の構成

有機ELの研究は、 高効率化、 長寿命化、 多色化等の面で大きく進歩を遂げてき たが、 早急に実用化を達成するため、 これらの研究は、 蛍光量子収率や色純度、 安 定性のよい材料の探索に大きな比重を置いて進められてきた。 さらに、 素子の最適 化も実際に素子を作製し、 試行錯誤で培ってきた経験によって行われている。 そこ で、 材料に依存しない高効率化の手段や、 素子の最適化に対する理論的知見が得ら れると、 全ての有機EL素子の高効率に応用できると考えられる。 本研究では有機 ELのデバイス構造に着目して、 その光学的・電気的特性から有機ELの高効率化

と高効率化を示す構造の設計を行うことを目的とした。

有機ELの最適化は、 ホール輸送層を固定して電子輸送層の膜厚を変化させるこ とによって行うことが多い。 なぜなら、 一般に有機材料はホールよりも電子との親 和性が悪く、 電子輸送層の厚膜化は駆動電圧の上昇を招き、 逆に電子輸送層の薄膜 化はホール輸送層と電子輸送層の界面で生成された励起子が金属電極に近づくこと を意味し、 あまり近づきすぎると励起子から金属電極へ無輯射的なエネルギー移動 が起こる37)ため効率を下げることになるからである。 しかし、 有機層の膜厚は電 気的特性の最適値だけでは決まらないと考えられる。 有機ELに用いられる有機層 の厚さは約100nm程度であり、 発光領域から直接光取り出し面へ向かう光と、 金 属電極によって反射された反射光とが干渉できる距離である。 そのため、 有機薄膜 の最適化は光学的な効果も含んでいることが期待される。 そこで、 第2章では光 学的性質に着目して有機層の膜厚の最適化が示す意味をEL特性から考察し、 デバ イス構造と外部量子効率の関係について検討した。

さらに、 有機薄膜の膜厚を変化させると、 干渉効果によってELスペクトルや発 光パターンが変化する38)-40)ことが知られている。 EL特性から求めた外部量子効率 には、 完全拡散面の仮定が含まれているため、 完全拡散面と実際の発光パターンが 大きく異なると、 実際の外部量子効率は全く異なった値となる可能性がある。 そこ で、 第3章において、 実際の有機ELの発光パターンの膜厚依存性を測定し、 完全 拡散面と比較した。 さらに、 発光パターンが完全拡散面の仮定からどの程度異なる かを示す指標として補正係数KL40)を導入してその膜厚依存性を調べた。 また、 EL 特性より求めた外部量子効率に、 この係数KLを適用することによって完全拡散面 の仮定が入っていない外部量子効率を求めることができる。 その補正した外部量子

ハU12よ

(16)

効率と膜厚の関係について検討した。

最近、 三重項励起子から安定な発光が取り出されたことによって、 有機 EL の量 子効率の最大値を大きく制限している因子は、 基板からの光の取り出し効率だけと なった。そこで、 第4章では、 有機ELから取り出すことができる光を、 基板のエ ッジから放出される光と、 基板正面に取り出すことができる光に分け、 これらの光 強度を直接測定することによって、 光取り出し効率の測定を試みた。この測定法で は、 基板から取り出すことができる光しか評価できないので、 本来の意味での光取 り出し効率とは異なるが、 本来の光取り出し効率と強い相互関係を持つと期待され る。この見かけの光取り出し効率の膜厚依存性や発光面積依存性などを検討し、 光 取り出し効率の向上と素子設計の指針の理解を目指した。さらに、 第 4 章で得ら れた知見を基に光取り出し効率の飛躍的な向上を目指した有機ELの試作を第5章 において行った。

また、 有機EL素子の実用化を議論する場合、 ルーメン/ワット(lm/W)で表され る視感パワー効率は、 素子に印加した電力に対してどれだけ光を取り出せたのか示 す重要な効率である。視感パワー効率は、 実際に測定できる電流密度J(A/m2)と電 圧V(V)、 発光輝度L(cd/m2)を用いて、

lm/W=π.L/J・V (1.6)

と表される。(1.6)式に電圧が含まれることから駆動電圧を下げれば視感パワー効 率が高くなることが分かる。現在では、 キャリアの移動度が高い材料の開発や、 電 極から有機物へのキャリア注入障壁を減少させる目的で、 適切な電荷輸送準位を持 った層を各層の聞に挟む段階的電荷注入41)や界面層の挿入42)などが主に研究され ている。しかし、 どの様な材料系を用いても引き起こされる定電流駆動時の電圧上 昇や発光輝度の減少といった素子の劣化について理解することは、 効率を向上させ る上で非常に重要である。そこで、 第6章において、 様々な駆動方法を用いた時 に起こる劣化について有機材料の電気的性質から検討し、 素子の駆動方法を工夫す ることによって高効率化を検討した。

114 1i

(17)

第2章

デバイス構造と外部量子効率の関係

(18)

、r

2.1 はじめに

最も一般的な二層型有機EL素子の最適化は、 ホール輸送層又は電子輸送層兼発 光層の一方を固定し、 他方の膜厚を調節することによって行われる。 特に、 電子輸 送層中の電子の移動度43)は、 ホール輸送層中のホールの移動度44)と比べて非常に 小さく、 電子輸送層の膜厚は有機ELの電流密度一輝度-電圧特性に大きな影響を及 ぼす。 そのため、 ホール輸送層を50"'-'70nmに固定し、 電子輸送層の薄膜化を目 指して行う場合が多い。 このとき、 二層型有機EL素子の発光領域は、 ホール輸送 層と電子輸送層の界面 にほぼ集中していると考えられているため45)、 電子輸送層 の膜厚は発光領域と金属電極(金属反射ミラー)間の距離に相当する。 一般に用いら れている有機ELの有機層の膜厚は、 光の波長程度であり、 図2.1に示したように、

発光領域から光取り出し面へ向かう光と金属電極で反射した反射光が干渉を起こす ことが知られている。 じかし、 有機ELの最適化に干渉を意識した例は非常に少な い46)。 このような光学的影響は、 ELスペクトルの変化のようなデバイスの特性に 表れるので、 膜厚の最適化は、 電気的・光学的な最適化を同時に行っていると考え てよい。 特に、 膜厚の最適化はELスペクトルと駆動電圧の変化が伴うので、 EL スペクトルが考慮され本質的に駆動電圧に依存しない量子効率を用いて厳密に議論 しなくてはならない。 そこで、 本章ではデバイスの構造と外部量子効率の関係を明 らかにすることを目的とした。 まず、 2.2節において、 有機ELの量子効率の定義 及び計算法について述べ、 2.3節で、 基板の正面で測定されたEL特性と外部量子 効率のデバイスの膜厚依存性について検討した。

ηδ 1i

(19)

発光層(発光領域) ITO透明電極

ホール輸送層

電子輸送層 MgAg電極 ガラス基板 jj多重反射

e--te'

p吋

約l∞nm

裏面反射

光取り出し効率を支配する因子 図2.1

:表面反射率

Rf

Rt:金属電極の反射率

。c .臨界角

Qc :臨界角が形成する立体角 d :発光領域と金属電極との距離

4 12i

(20)

_. ....

2.2 有機ELの量子効率47)-52)

( 1 ) 内部量子効率

キャリア注入型発光素子の内部量子効率ηφ(int)は、 外部電極から注入 されたキャリア数に対する素子内部で発生したフォトン数で与えられる。

内部量子効率は電子とホールの注入バランスに関する因子ァ 、 キャリア 再結合による一重項励起子の生成効率ηr、 一重項励起子からの蛍光量子 収率ηfを用いて(2.1)式で表される。

1Jø (int) = Yηr ηf (2.1)

(1) 電子とホールの注入バランスに関する因子γ:

図2.2に示すように、 外部回路に電流Iが流れているとき、 素子に陽極、

陰極それぞれの側で実際に注入される電子とホールによる電流成分をIe、

Ih、 陽極と陰極から素子外へ放出される電子とホールによる電流成分をIJ、

Ih'とする。 素子内で再結合して消失する電流成分を Ir とすると、 電荷の 中性条件から(2.2)、 (2.3)式が成立する。 ただし、 電流の値は絶対値を考 え、 電流の流れる方向は以下の式の中に明示する。

1 = Ih + Ie = �けIe

1 = Ih -Ih = Ie -Ie

(2.2) (2.3)

ここで、 キャリアの数を考える場合、 電流はキャリアの数に比例するこ とから、 各キャリアの電流成分で考えることができるので、 電子とホー ルの注入バランスに関する因子ァはIrとIの比で与えられることになる。

Y=

7

I (2.4)

さて、 ここで、 いくつかの典型的な場合を考える。

① 注入されたホールと電子両方とも全て素子内部で消費される場合 O=Ih=Ie, Ih'= Ie '=O):I=Ih= Ie = Irであるので、 γ =1.0となる。 完全な注入バ ランスが 実現したと解釈することも、 完全なキャリアブロック効果が発 現したと考えることも可能である。

「D1i

(21)

_.

、....-

Anode Organic layer

Cathode

LH YEEA , h v・・A

, ρしv ,EEA •••••••• •••••••

図2.2 有機EL素子内でのホールと電子の流れ

ハhu --

(22)

--

② 注入された電子は全て再結合に消費されるが、 注入されたホールの 一部は陰極から外部回路へ放出される場合(I= Ih> Ie, Ih'宇0, Ie'=O):

I=Ih= Ie+ Ih', Ir= Ie= Ih- Ih'であるので、

γ=1+ t

(2.5)

③ 注入されたホールは全て再結合に消費されるが、 注入された電子の 一部は陽極から外部回路へ放出される場合(I=Ie>Ih,Ie'宇O,Ih'=O):

②と逆の場合でありI=Ie=Ih+1e'、 Ir=Ih=Ie-1e'であるので、

Y=l- f

(2.6)

④ 注入されたホールと電子の両方が対向電極から外部回路へ放出され る場合(Ih'宇0, Ie'宇0):

この場合、 キャリアの素抜け率。を(2.7)式で導入してみると、 多少分か りやすくなる。

8=ムニム

(2.7)

ι+ Ie

1-δ

y=

1+δ (2.8)

陽極と陰極から等しい量のホールと電子が素子中へ注入されても、 両者 が有効に再結合せず素子を通過すれば、 5が1.0 に近づき、 γは小さな 値を取る。

(2) 一重項励起子の生成効率

一重項励起子の生成効率ηr については、 電子(e)とホール(h)が再結合 する際にはスピン多重項の違いにより、 三重項励起子(T)と一重項励起子

(S) が3:1の割合で生成すると報告されている32),33),53),54)。

4(e

+ h)→lS

dir + 3 T ( 2 . 9) ここで三重項励起子は、 三重項励起子同士の衝突によって消滅

巧i吋1よ

(23)

(Triplet-Triplet annihila tion)をすることがある。 この反応は、 (2.10) 式又は(2.11 )式で示される。 ここで(2.10)式は、2つのスピンの合計が 1(原 子単位)の三重項励起子から、 電子的または振動的に励起された三重項励 起子T*が生成する反応である。

T+T→T*→T (2.10)

また、 (2.11 )式は 2 つのスピンの合計がOの三重項励起子から一重項励 起子ができる反応であり、 (2.10)式の反応と同じ確率で起こる。

T+T→Sinl (2.1 1 )

ここで、 三重項励起子同士が衝突する際、 合計スピン 1 のペアは合計ス ピン 0 のペアに比べて、 3倍多く生成する。 これは、 三重項励起子同士 の衝突において三重項励起子は一重項励起子と比べて 3倍多く生成する ことを意味している。

1 3

2T → -s__ +':"T

4 '''' 4 (2.12)

生成した三重項励起子の密度が充分高い場合(10-12cm-3以上)55),56)では、

単分子的な三重項励起子の失活を無視し、 二分子的な失活だけを考える

ことができる。 この場合、 (2.12)式の比より、 8個の三重項励起子から、

1 個の一重項励起子と3個の三重項励起子ができることになる。

8T→lSinl + 3 T ( 2 . 13)

ここで、 生じた三重項励起子は、 また他の三重項励起子と、 (2.12)式の反 応を繰り返すので、 この式のTは、 全て Sint に変化すると考えられる。

5T→lSinr (2.1 4)

つまり、 5個の三重項励起子から、 l個の一重項励起子ができることとな る。 従って、 (2.9)と(2.14)式より、 (2.1 5)が得られる。

20(e +h)→5らir + 15T

→5 Sdir + 3Sinr (2.1 5)

すなわち、 電子とホールの再結合による一重項励起子の生成効率ηrはー

重項励起子状態であるおirだけ考えると、 最大値が0.25 ということにな る。 また、 生成した三重項励起子は三重項一三重項消滅過程を経て一重項 励起子(Sint)に転換することまでを考慮に入れれば、 この値は0.40まで増

加する

-18 -

(24)

(3) 蛍光量子効率

一重項励起子からの蛍光量子効率ηf は主に色素分子固有の性質を反映 する。 単純に孤立した分子 1 個(EL 素子を考える場合は純粋な分子固体

中の1個の分子 )からの発光を考えることにすれば、 ηfは分子ないしは分 子固体固有の蛍光の量子収率φf と等しい。 しかし、 個々の素子構成にお いては、 各種のエネルギー移動 過程による一重項励起エネルギーの損失 のために、 蛍光量子収率T) fが分子固体の蛍光量子収率φfよりも小さくな る場合がある。 ここで、 分子固体固有の一重項励起子からの発光失活速 度定数をKr( =l/τr. τrは一重項励起子の自然寿命)、 熱的非発光性の失 活速度定数をKtとし、 有機 ELに組み込んだため、 新たに生じた非発光 性失活過程の 速度定数Knrを考えると、 φf= Kr/ (Kr + Kt)であり、

ηf= Kr/(Kr + Kt+Knr)であるから、 ηfは (2.16)式で表せる。

ηf-ゆf

1+ T J f

(2 16)

(2.16)式はたとえ φf=1.0であったとしても、 Knr>Krであれば、 ηfく1.0 となること を示している。 素子に組み込むことにより新たに生じる非発 光性失活過程の主要なものは、 生成した一重項励起子の電極金属への直 接エネルギー移動による失活であると 考えられている 37),57)。 また、 発光 種以外の他種分子が近接して存在するため のエネルギー移動 を考えなけ ればならない場合もある。 一重項励起子からの蛍光量子収率を大きくす るためには、 用いる分子固体自体の蛍光量子収率を大きくして 1.0 に近 づけることが 大切であるが、 素子構成が適切であるかどうかも非常に重 要である。 最近では、 蛍光量子収率の高いドーパントを用いて、 蛍光量 子収率の高いデバイスを作製する方法も多く見られる。 例えば、 ルブレ ンをAIQ層に1 %ドープした有機ELでは蛍光量子収率は100%に達して いるといわれている32)。

Qd -i

(25)

、�

(n ) 外部量子効率

今まで素子内部で発生するフォトンに関する内部量子効率について述 べてきた。 有機層内で発生した光は、 等方的に放射されると考えると、

図2.1に示したように、 光取り出し面から空気中に取り出される光の取 り出し効率(ηext)は、 3つの因子によって支配される。

(1) 光取り出し効率

臨界角による因子

有機ELの内部から光を取り出すということは、 屈折率の高い有機層か

ら屈折率の低い空気中に光を取り出さなければならない。 このとき、 有 機層外部に放射される光は、 入射角が臨界角θcに対応する立体角Qc以 内のものに限られる。 すなわち、 臨界角が形成する立体角内に入る光の 割合ηcは、 光取り出し面および、 反対の裏側面を含めて次式で表される。

とるすと

n を率折屈の層機有

斗& 件 条

均一mv

湖 &-M E 似

一州 υ

μ一θ

ギ り

n -

,河 川

会ド。

山肌

= 一 一 一 一 法

ス 、ネ Tレ

(2.1 7)

siη(8c)

= 1 / �叫 (2.18)

。cが小さいとき成立する近似式 1-cos(8)与sin2(8)/2を用いると、 屈 折率norgの有機層から屈折率1. 0の空気中へ光を取り出す効率は(2.19)式 で与えられる。

ηc-2n:rg

(2.19)

この(2.19)式は光取り出し効率を概算するのにはよいが、 実際に議論する ときには誤差が大きくなることがあるので注意を要する。

- 20 -

(26)

...

② 表面反射による因子

立体角。c内の光が光取り出し面で反射(反射率Rf)されるため、 空気中 に放出される光量が減少することがあるが、 光取り出し面に誘電体反射 層を持たない有機ELではその値は非常に小さく、 無視できると考えられ る。 しかし、 次項で考慮した裏面反射による因子と共に定量的に評価す ることが可能である。

裏面反射による因子

光取り出し面と反 対側の裏面に等量放出された光が有機層/金属電極界 面で反射(反射率Rb)され、 光取り出し面から空気中に放出される裏面反 射効果と、 光取り出し面で反射された光が裏面反射されて、 さらに反射

され、 同様にして空気中に放出される、 という多重反射効果が生じる。

これは、 有機層が発生する光に対して透明なために効果的に生じる。

これら②、 ③の効果を考慮すると、 多重反射を介して光取り出し面か ら空気中に放出される割合ηm(透過率)は、 有機層に吸収損失がないと仮 定し、 発光領域から光取り出し面側および裏面側に等量放射された両側

の光を総合すると、 次式が得られる58)。

ηm=(l- Rf)(l+ベ) 2(1-R川

(2.20 )

したがって、 光取り出し効率ηextは次式で与えられる。

ηι,-ηcη�I

(2 .21)

ηcについては、 発光層に用いられる有機材料の屈折率がおよそ1.7 程 度であるので、 (2.17 )式より全反射によって光取り出し効率は19%にな る((2.19 )式を用いると約17%程度)。

ηm は、 反射率Rf、Rbに依存し、 反射率Rf、 Rbは入射角。に依存する。

有機ELは自然放出光であるので偏光はなく、 TE波(transverse electric mode)、 TM波(transverse magnetic mode)両成分を50%ずつ持ってい ると考えることができる。 さらに、 臨界角θc が小さいので反射率の入射 角依存性は小さく、 Rf、 Rb を垂直反射率で考えることができるので、 有 機物とガラスの屈折率よりRf は 5 20nmの光に対して0 . 014となる。

ーょっω

(27)

...

方、 裏面反射の反射率Rbは有機層/金属電極界面の凸凹状態に大きく依 存するが、 マグネシウム薄膜の反射率は可視光領域で約0.90程度59)であ るので、 ηm=0.95となる。

よって、 光取り出し効率η削=18%となり、 有機EL内部で発生した光 のおよそ80%は、 素子あるいはガラス基板中を導波してしまい基板正面 に取り出すことはできない。 つまり、 屈折率 n(n>1.0)の媒体中で発生す る面状発光を、 光を検知する人間の目がある空気中に取り出す光取り出 し効率は極めて小さいことが分かる。

従って、 外部量子効率ηφ(ext)は次式で表される。

ηゅ(ext) =ηe.XTη。(int)

(2.22)

=ηω.y.ηr-ηf

つまり、 理論的な外部量子効率の最大値は、 以下に示した各因子の最大 値から、 0.05と計算される。

光取り出し効率ηext : 0.2 キャリアの再結合効率γ : 1.0

一重項励起子の生成効率ηr : 0.25 蛍光量子収率77 f : 1.0

図2.3にキャリア注入から素子外部への発光に至るまでの損失の経路を (2.22)式の概念により示した。

つ臼つ''U

(28)

一 一一一一 町一一一一一一一一 剛一一一 P.・.- I--....-p... ....J-- ..・.・ω.・.・.・.M.・.

eE・・.-..・AV-・.・.・.・.・.・.・U..・

JK・.•• -d ..•ヨJ

••

. ...

nHI---....ht.

- J

.・.・n・.・.・.・.・.・

6・.・・・•• . .・.T・..・.・.r.・.・

: : : : : :thii:ma;t: : : : : : : : : : :dèactivation : : : :

.・.・.K・.•• 一紙一・.・..・.・.・.・.・.・.・.・.・. ・.・.・5「.・.・.・.・.\・・+4・・・.Hリ--- nv---x u hvtA・・nhu - -・.・.

-du - -・.・

有機ELの発光に至るまでの素過程

External enusslon

図2.3

円Jつμ

(29)

_.

(III ) 発光効率の評価

第一章で述べたように、 有機ELの発光効率を表す尺度には、 エネルギ 一変換効率ηE(ext)と電流量子効率ηφ(ext)がある。 単位発光面積、 単位 時間当たりの、 Pin(W 1m2)の電気入力に対して、 実際に Pem(W 1m2)の光 エネルギーが素子内部に発生した場合、 発光素子の内部エネルギー効率 ηE(int)はPem/Pinで与えられる。 印加電圧をV( V)、 素子を流れる電流密 度をJ(A/m2)とすると、 入力エネルギーはPin=JXVと与えられる。 また、

一般に有機化合物からの発光は単一波長ではなく、 ブロードな発光スペ クトルを示すので、 発光エネルギーを発光スペクトルを用いて記述する ために、 発光波長λのフォトン1つがhcl入(hはプランク定数、 c は光 速)のエネルギーを持つので、 Pemは hcl λと単位波長当たりのフォトン 数の積を発光波長範囲で積分することにより求める。 各波長の単位波長 における相対 フォトン数を表す発光スペクトルF( λ )を用いて Pemは

(2.23)式で表される。

ι=凡

r

k

(2.23)

ここで、 F。は Pemを単位面積当たりの発光エネルギーの絶対値で表現 するためのスケーリング係数であり、 λLとλuはそれぞれ発光スペクト ルの最短波長と最長波長である。 従って、 (2.23)式より内部エネルギ一変 換効率ηE(int)は (2.24)式となる。

則的t) =

(2.24)

=

内部電流量子効率ηφ(int)は、 素子の単位面積当たりを単位時間に流れ たキャリア数Ninに対する素子内部での単位面積当たり、 単位時間当たり 発生したフォトン数Nemの比Nem/Ninで表される。

もし、 等量の電子とホールが両側の電極から注入されるとすると、 素 子中で再結合によって消費される電子-ホール対の数はJle で与えられ るD ただし、 注入される電子とホールのバランスが取れていなければ、

再結合できる電子-ホール対の数はJleより少なくなる。 実際に素子の中

-24-

(30)

...

へ注入された正負のキャリアの量それぞれを独立に計測することはでき ないので、 素子へ連結した外部回路を流れる電流密度J(A/m2)を用いて、

Nin=J / eで注入 キャリア数を表す ことにする。 eは電気素量である。 した がって、 内部電流量子効率ηφ(int) は、

ぺm-ι!?F(ゆλ

l1tþ

(int) =分

=子jJY(λ同

発生す るフォトンの平均エ ネ ル ギ ーを Ep とす ると定 義 よ り 、 (2.25)

(2.26)

Ep=Pem/Nemである。

E - Jヂdλ

p - '"し j y (λ)dλ

(2.27)

(2.24)式を変形し て、 (2.27)式を代入することに より、 内部エネルギ一 変換効率ηE(int)と内部電流量子効率ηφ(int)を結びつける重要な関係式 (2.28)式が導かれる。

f λ U F(劫

|

一一;.t.. dλ

ηE (int) =与

J """

r:

L

U F(λ)dλ×4 e

v

7 XKλL F(λ)dλ

(2.28)

=

l1tþ同

上述したように 、 実際に我々が測定できるのは素子外部へ取り出した 光エネルギーであるので、 発光波長に依存しない素子内部で発生した光 エネルギーηE(ext)と外部電流量子効率ηφ(ext)を次のように定義する。

ηE(ext) =ηαtη� ( int)

( 2 . 29)

ηゅ(ext) =ηαIη。(int)

(2.30)

「Dつム

(31)

...

(W) 実際の測定データからの計算法

外部発光効率を測定する方法としては、 素子から放出される全ての光 エネルギーを直接測定して、 入力電気エネルギーとの比を取る方法(直接 法)とスポット輝度計を用いて求めた発光輝度から間接的に全発光エネル ギーを求める方法(輝度換算法)とがある。

(1) 直接法には、 素子の発光面を完全に覆うような受光面を持ち、 発光 波長領域で正確な検定がなされた受光素子を用いて計測する方法や、

積分球内で素子を発光させて計測する方法、 あるいは化学光量計を 用いる方法などがある。 いずれの方法においても、 光検出系の絶対 光量に対する校正が実験的に困難である上に、 輝度計を用いて受光 素子の検定を行うと、 以下に述べる完全拡散面の仮定を含むことに なるので注意を要する。

(2)一方、 輝度換算法はスポット輝度計により測定した輝度から、 発光 輝度が方向によらず均ーであるという仮定(完全拡散面の仮定)60)を 用いて、 全発光エネルギーを求める方法である。 この方法は、 実際 の素子の空間的な発光パターンが完全拡散面から多少ずれているこ とや、 輝度計の測定精度に限界があることなどの問題点もあるが、

直接法に比べて非常に簡単に測定できることから広く用いられてい る。

ここでは、 本研究で採用した輝度計を用いた測光量から、 輝度換算法 による外部エネルギ一変換効率及び外部電流量子効率の計算法の概略を

説明する。

輝度の測定値L(cd/m2)、 実測のEL スペクトルF(λ)(相対値)、 図2.4 に示す標準比視感度曲線y(λ)を利用して、 素子単位面積からの全発光量 が計算により求められる。 発光面が完全拡散面であると仮定すると素子 の単位面積から発光する全光束MOm/m2)は次のように計算される。

図2.5に示したように、 有機ELの発光パターンを囲むように、 0を中 心として半径R(m)の球面を描く。 このとき、 基板正面をo(rad)とする。

円。つ'U

(32)

鉛直角θとe +dθとの間にある球体の面積dSは、

dS=2πK sin(fJ).dfJ (m2) (2.31)

であり、 この球体が球の中心に張る立体角dωは、 定義より、

dω=?=2πsin(fJ). dfJ dS (sr) (2.32)

であるo e方向の有機ELの光度をIθ(cd)とすると、 dω内に含まれる光 束dM'(lm)は、

dM'= ledω=2πlesin(fJ) .dfJ となる。 よって全光束M'(lm)は、

m (2 .33)

。UJU 仙山つ J叫 pd nu FI Au nu na---E'd-

π

今今 一一

M m

(2.34)

となる。 また、 基板の法線方向(基板正面)の光度をIo(cd)とすると、 完全 拡散面の仮定より次式が成り立つ。

ん= 10 cos(fJ)

よって、 全光束M'(lm)は、

M'= 2m。

os(fJ)川(fJ)d

(cd) (2.35)

m (2.36)

=π10 sin2 (fJ)

と算出できる。しかし、面状発光である有機ELの測光量は輝度Lo(cd/m2) なので、 完全拡散面の単位面積から発散する全光束 M(lm/m2)を求める

必要がある。

M=π4sin2(fJ) (lm/m2) (2.37)

有機ELの放射角はOからπ12であるから、 。=π12 を代入すると全光 束M(lm/m2)は、

M=πIべ (lm/m2) (2.38)

となる。

国際的に規約された波長555nmにおける放射束の単位 W(ワット)と光 束の単位 lm(ルーメン)を関係付ける量、 最大視感度Km(680 lm/W)を用 いると、 有機ELから取り出した単位面積当たりの全光束M(lm/m2)は (2.24)式より次式で与えられる。

門/ つム

(33)

_.

M = 1Jexr

Fa門的).

Km}{À) (lm/m2) (2.39)

(2.38)と(2.39)式より、 これまで未定のパラメーターとして用いてきたF。

の値が求められる。

πL 1

- -

吋一ηexrKmhc

fλu F(λ)ー

| λ L -7 メλ)dλ

(2.40)

(2.24)、 (2.29)、 (2.40)式からηE(ext)を、 (2.26)、 (2.30)、 (2.40)式から ηφ(ext)を求めると(2.41)、 (2.42)式が導出される。

州 l � u F(λ)dλ

ηECω)=ーニ- d A KmJV

Îλu F(λ) ー

t:

��Jメ めdλ

(2.41 )

ゅ 1 : u F(λ)dλ

η。(ω)= ーニL .

「 λu

F(λ) ー t:

� �J y (λ)dλ

(2.41)、 (2.42)式は、 全て実験値又は定数で表され、 所定の値を代入する (2.42)

ことにより、 外部エネルギー効率と外部量子効率を求めることができる。

06 つム

(34)

・崎 1.2 1

.b o 5 自0.8 0.6

.ー5 世咽P 0.4

0.2

セ芸=園

=

-0 . 。2

400 500 600 700 800

300

Wavelength (nm)

図2.4 明所視標準視感度曲線

ハ可Uつ山

(35)

--

π

図2.5 配光曲線

ハUηο

(36)

..

2.3 EL特性から求めた外部量子効率の膜厚依存性 2.3.1 実験方法

C

リノ一ル錯体を発光層とする二層型有機 EL 素子1)は、 現在において最も一般的で あり、 安定性も優れている。 さらに、 二層型素子の発光領域は有機/有機界面に集 中していると考えられている。そのため、有機層の膜厚を変化させるとことにより、

発光領域と金属反射ミラーとの光学距離を制御すること が可能である。 そこで、 本 研究では、 この二層型有機ELを用いて実験を行った。

基板は、 面抵抗10Q/口、 膜厚150nm のインジウム-スズ酸化物(I ndium T in Ox:ide : ITO)透明電極基板(規格S LR :三容真空製)を用いた。 ホール輸送層に

N ,N' -bis(3- methylphenyl )-N ,N' - diphenylbenzidine(TPD )、電子輸送性発光層 として 9 - hydroxyquino line aluminum(Alq )を用いた。 TPD61)は文献に従って合 成を行い、 再結晶を繰り返した後真空 乾燥した。 Alq62)においても合成して昇華精 製 63)を行った後実験に用いた。 金属陰極には、 マグネシウム(99.5%特級、 和光純 薬工業製)と銀(99 .9 %、 ニラコ製)を共蒸着することにより合金として用いた。

図2. 6 に有機ELの素子構造と実験で用いた有機材料の構造式を示した。

〔基板の作製法)

暗所でポジ型レジスト液(PFR 3650G- 21cP: JS R製)をITO基板全面に塗布し、

スピンコーター(K -359 S-l : KYOWARIKEN製)でスピンコート(1st 800rpm 10sec, 2nd 1200rpm 30sec )した。 レジストをコートしたITO基板を、9 00Cに保

った乾燥機中で 1 時間乾燥させた。 これをゆっくりと室温まで戻し、ITO電極の パターンを印刷したOHPシートを基板上にのせ、 uv 露光機( ROBOLIG H T

MODEL BOX- 7 : Sunhayato製)を用いて7分間uv露光を行った。 その基板を、

パターンがきれいに見え るようになるまで、 現像液(NM D-3 :東京応化工業製)に 浸し、現像液を流水で洗い流した。 これをイオン交換水で希釈した王水(体積比 酸3:硝酸1:イオン交換水1 )を用いて室温でエッチングし、 不必要なITOを取り除 いた。 エッチングが終了した基板は十分に流水で洗った。 この時点で、10X10cm2 の基板から、 実験で使用するサイズに切り出した。 ITO 基板に付着したガラスの 小片と、 残ったレジスト膜を取り除くためアセトン中で十分にすすいだ後、 アセト

ーょっυ

(37)

ンを交換して3 度超音波洗浄を繰り返した。 さらに、 1%に希釈した中性洗剤(ホワ イト 7-NL:ユーアイ化成 製)中で1 時間、 イオン交換水中で30分間を2度、 ア セトン中で30分間を2度、 エタノール中で1時間の順で超音波洗浄した。 洗浄後、

エタノールを交換して、 基板を保存した。 また基板を使用する直前に、 沸騰エタノ ール中で 3 分間煮沸洗浄し、 基板をゆっくりと引き上げ十分乾燥させた後、 UV­

オゾンクリーナー(NL-UV253 :日本レーザー電子 製)で洗浄した。 このとき特に チャンバー内を酸素で置換することなく、 UV - オゾン洗浄を 20 分間行った後、 窒 素ガスでチャンパー内を90秒置換して基板を取り出した。 作製した代表的なITO 基板のパターンとその電極の接続法を図2.7に示す。

[有機 EL素子の作製〕

素子の作製には、 クライオポンプを装備した真空蒸着装置(EX -400S : ULUV AC 製)を用いた。洗浄を終了した基板と蒸着物質を蒸着装置にセットし、2.0X 10-6 Torr

まで排気した。 有機層の蒸着には、 タンタル製蒸着ボート( SS-1-10 :ニラコ製) を用い、 陰極のマグネシウムの蒸着にはタングステンワイヤーボード(B-2 :ニラ コ製)、 銀の蒸着には、 φ1mmのタングステンワイヤー( ニラコ製)を巻いて作製

した自作の蒸着ボートを用いて、 抵抗加熱法により蒸着を行った。 有機層と陰極の 蒸着は一度の真空排気で連続して行い、 ITO基板上にTPD、 Alq の順に蒸着した。

このとき、 水晶振動子の振動数の変化量を実際の膜厚で補正した水晶振動子式膜厚 モニター( CRTM5000 : ULUV AC製)で膜厚と蒸着レートをモニタリングした。

有機 物の蒸着レートは 0.5A/s になるように蒸着ボートに流す電流を調整した。

最後に、 蒸着源と基板との聞においたシャドウマスクを通してMgとAgの共蒸着 により、 有機層の上に陰極となる2mm幅のMgAg薄膜をITO電極と直交するよ うに形成した。 MgAg電極の膜厚は 150nm、 MgとAgの蒸着速度はそれぞれ4 A/s、 0.07A/s(重量比で9 : 1)となるように電流値を調節した。 作製した素子の 有効面積は 2X2mm2であり、ITO基板のバターニングによるが一枚のITO基板 上に8個の素子を得ることができる。 本節で用いた素子構造は以下の通りであり、

Alq層の膜厚(d)を変化させて、 素子の特性を測定した。

ITO(150 nm)/TPD( 50 nm)/ Alq(d nm)/MgAg(150 nm) d=25----200nm

qL nd

(38)

Device structure

le transport layer ITO anode

lass substrate

Light

Emitting material Hole transport material

Alq TPD

図2.6 有機ELの素子構造と研究に用いた有機材料の構造式

qu q叫U

(39)

卜什一7.5寸F山

|

1 L

ITO

.砂0.5再

12.01

u凶t:mm

Ag paste

図2.7 Iτ。電極のバターニングと外部電極との接続図

A斗ムη『U

(40)

_.

(有機EL素子の評価法)

基本的なEL特性の測定系を図2.8に示す。 空気中の水分や酸素による劣化を防 ぐため、 蒸着装置から取り出した有機 EL 素子を石英窓のついた真空クライオスタ ット(Oxford製)中に入れ、 ロータリーポンプで約10-:rrorrまで減圧した。 測定に は、パーソナルコンビューター(PC-9821: NEC 製)で、高電流電源(Keithley 238 : Keithley製)と、 輝度計(BM-5A : Topcon製)、 デジタルマルチメータ(R6871E­

DC : ADV ANTEST製)を制御して測定を行った。 本測定系は、 測定電圧印加パタ ーンをコンビューターで制御することにより、 任意の測定パターンと電圧印加時間 を選択できる。 輝度計の応答時間と制御系の遅れ時間より1 測定点につき 2.5秒 以上の場合は、 絶対輝度とワイドレンジでの電流の測定が可能であり、 2.5秒未満 の場合、 アナログ出力による相対輝度と固定レンジでの電流の測定を行うことがで きる。 EL特性の評価では、 OVからO.5Vずつ電圧をステップ状に印加し、1測定 点あたり3秒で測定を行った。 また、 ELスペクトルは、 定電流駆動条件下で、

マルチチャンネルアナライザー(PMA-ll :浜松フォトニクス製)で測定した。

-ku qu

(41)

_.,・

EL spectra

analyzer Computer

measurement system

Cryostat

Rotary pump

High current

+

1 -L-V measurement system analog out put

Digl凶 multimeter

Computer GP-IB

digi tal out put

図2.8 EL特性測定系

po ηο

(42)

..

2. 3. 2 EL特性と外部量子効率の膜厚依存性

図2.9""'11にTPD層を50nmに固定し、 Alq層の膜厚を変化させたときの電流 密度一輝度-電圧特性を示す。 Alq層の膜厚の増加によって、 同一電圧下での電流密 度は減少し、 それに伴って発光輝度も減少した。 これは、 Alq の電子移動度が低い ため、 Alq層の増加によって電流が流れにくくなったためと考えられる。 さらに、

発光輝度は電流密度に比例することから次式ωを用いてフイツティングを行い、

発光に寄与しない漏れ電流などの影響が ないか確認した。

L民C.]'1 (2.43)

(2.43)式を用いて電流密度1""'100mA/ cm2範囲についてフイツティングを行い、

図2.12 にCとnの値とAlqの膜厚依存性を示した。 また、 フィッティングの許容 誤差は全ての直線で 0. 01%以下であり、 n は1 に非常に近く、 非常によい直線関 係を示すことが分かった。 つまり、 今回実験に用いた素子は、 作製段階において漏 れ電流等の効率を悪化させる要因となる欠陥のない素子であることが 示された。 ま た、nが1に非常に近いためCは、 発光効率の一種である電流効率(cd/A)を表す。

この視感度を含む電流効率においてもAlq層の膜厚依存性を示すことが分かった。

図2.13に基板正面で測定したELスペクトルを示す。 ELスペクトルは、 発光領 域と金属電極聞の距離の変化に伴って干渉が起こる波長が 変化するため、 Alq の膜 厚に依存したスペクトルとなる65)。 そこで、 この干渉効果によってどの程度スペ クトルが 変化するかを干渉の強度を与える(2.44)式66)を用いて見積もり、 ピーク強 度で規格化したスペクトルを図中破線で示した。

I=j;24

ここで、 r:金属電極の反射率、 d:発光領域と金属電極聞の距離、 n:媒体の屈 折率、 8 :基板正面をo(rad)としたときの観測角である。 ここでは、 rをマグネシ ウムの反射率0.90 、 dをAlq層の厚さ、 基板正面8=0 、 屈折率na)q=1.75 とした。

また、 図 2.14 に示したように、 Alq はブロードな蛍光スペクトルを示すため、 相 対蛍光スペクトルPL(λ)を用いて蛍光スペクトルの重みを付けて計算を行った。

図 2.13 のように実測値と計算値には差が 見られた。 これは、 発光領域が TPD層 と Alq層の界面にあると仮定して計算を行っているためである。 しかし差はある ものの、 計算値と測定値は同じような傾向を示し、 発光領域と金属電極間で干渉が

ウiηο

FIG.  1.  Configuration  of EL cell and molecular structures.

参照

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