中小企 業 の競 争行動 の類 型化 とその特 徴
一 神 奈 川 県 湘 南 地 域 の 中小 企 業 の 実 態 調 査 に基 づ く一
金 宇 烈
1研 究 目的 と問題提 起
1研 究 目的 と背 景
本 稿 は2006年 度 神 奈 川 大 学 経 営 学 部 国 際 経 営 研 究 所 「中小 企 業 研 究 プ ロ ジ ェ ク ト」1の一環 と して 神 奈 川 県 湘 南 地域 の 中小 企 業 を対 象 に 「中小 企 業 の戦 略 形 成 」 に 関す るア ンケ ー ト調 査 、お よび イ ン タ ビュー 調 査 に基 づ い た もの で あ り、本 稿 は 、 イ ンタ ビュー調 査 の 内容 を ま とめ 、 中小企 業 の競 争 行 動 に 関す る体 系 的 な類 型 化 と 特 徴 を 考 察 す る もの で あ る。 そ して 、 日本 の 中小 企 業 が 自社 を差別 化 す るた め に 、
どの よ うな競 争 行 動 を とっ て い る の か を体 系 的 に分 類 し、 こ う した 競 争行 動 の有 効 性 と脆 弱性 、 そ して そ の合 理 性 を 明 らか にす る こ とに狙 い が あ る。
世 界 的 な戦 略論 の研 究者 と して知 られ て い る人 物 が ハ ー バ ー ド大 学 の ポー ター で あ る。 氏 は 、 「多 くの 日本 企 業 に は 戦 略 が な く、 オペ レー シ ョン効 率 の み を 追 求 し て き た 」 と 日本 企 業 を酷 評 して い る。 そ して この よ うな戦 略 な き オペ レー シ ョン効 率 追 求 の み の結 果 が 、 限 りない模 倣 の悪 循 環 に 日本 企 業 を 陥れ 、 国 際 市場 で 苦 戦 す
る結 果 を招 い て い る とい う2。
ポー ター が い うオペ レー シ ョン効 率 とは 、 同様 の 活 動 を ライ バ ル よ り うま く遂 行 す る能 率 向上 の意 味 だ けで は な く、製 品 の欠 陥 を減 らす とか、 他 社 よ りも優 れ た 製 品 を素 早 く開発 す る とい った 、 い わ ゆ るQC(QualityContro1)の こ とを い う。
具 体 的 に は 品 質 向 上 ・コス ト削 減 の た め の 、TQC(TotalQualityControl)、 ジ ャ
1本 研 究 は 国 際 経 営 研 究 所 所 長 照 屋 行 雄 教 授
、 お よ び 同 研 究 所 「中 小 企 業 研 究 プ ロ ジ ェ ク ト」
リー ダ,̲...であ る 田 中 則 仁 教 授 の 監 修 の 下 で 実 施 さ れ た も の で あ る 。 こ の 場 を 借 り て お2人 の 教 授 お よ び イ ン タ ビ ュ ー に ご 協 力 頂 い た 各 企 業 の 方 に 感 謝 の お 礼 を 申 し上 げ た い 。
2Porter
,M.E.・ 竹 内 弘 高 著 『日 本 の 競 争 戦 略 』 ダ イ ヤ モ ン ド社 、2000年 。
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国 際 経 営 フ ォ ー ラムNo.18
ス ト ・イ ン ・タイ ム 、 リー ン生 産 な どのベ ス ト ・プ ラ クテ ィ クス(bestpractice) を実 現 す る こ とで あ る。 ポー ター は 、 かつ て 日本 企 業 は ベ ス ト ・プ ラ クテ ィ クス を 実 現 し、 コス トと品 質 にお い て 欧 米 企 業 を圧 倒 し、 それ が 国際 市 場 に お い て 日本 企 業 の急 成 長 を支 えた原 動 力 にな っ た とい う。
しか し、 この よ うな オペ レー シ ョン効 率 は 、 ライバ ル もベ ス ト ・プ ラク テ ィク ス を実 現 す る こ とに よ り早 晩 に模 倣 され るだ け で あ り、 しか も ライ バ ル がベ ス ト ・プ ラ クテ ィク ス を徹 底 的 に 追 求 す れ ばす るほ ど、 多 くの競 争 業者 が 同 じ次 元 で競 争 を 展 開 す る こ とに な るた め 、競 争 は勝 者 な き レー ス とな っ て しま う。 ま た 、 オペ レー シ ョン効 率 のみ を追 求 す る競 争 行 動 は、 低 利 益 と競 争 の 収敏 化 を もた ら し、競 争 企 業 間 の 消耗 戦(競 争 が激 化 し、交 渉 力 が 売 り手 に渡 る)に な るだ け とい うの で あ る。
した が って 、 ポー ター は 、 オペ レー シ ョン効 率 は 当然 の 前提 にす ぎな く、 い か に他 社 と異 な る活 動 を行 うか 、 ま た は 同様 の 活 動 を異 な る方 法 で行 うか が 戦 略 で あ り、
独 特 の価 値 の源 泉 に な る とい う。
日本 企 業 の競 争 行 動 に 関す るポ ー ター の 辛 辣 な批 判 に対 して 、 そ の 是 非 を 問 うべ く、本 稿 は 実 際 に 中小 企 業 を対 象 にイ ン タ ビュー 調 査 を行 っ た。 イ ン タ ビュー 調 査 の 主 な意 図 は下 記 の通 りで あ る。
第1に 、 中小企 業 の経 営 者 が も って い る戦 略 に 関す る意識 、特 に 自社 を差別 化 し、
競 争 優 位 を獲 得 す る た め の考 え方 を抽 出す る。
第2に 、個 々 の 企 業 が もっ て い る競 争 行 動 を業 界 特 性 お よび 自社 の 自主 的 努 力 の 方 向性 と関連 付 け、 体 系 的 に類 型 化 す る。
第3に 、競 争 行 動 の類 型 化 に基 づ き、 な ぜ そ の よ うな競 争 行 動 を と るの か 、 そ の 理 由 を業 界 特 性 と 自社 内部 の条 件 に 照 ら して解 明 す る。
第4に 、 以 上 の 分 析 に基 づ き 、 日本 の 中小企 業 が とっ てい る競 争 行 動 の 有 効性 と 合 理 性 を考 察 す る。
2戦 略 とオ ペ レー シ ョンー 問題 の背 景 に何 が あ る の か一
上 記 の ポ ー タ ー の 主 張 か ら浮 き彫 りに な って い る疑 問 の本 質 を整 理 す る と、 以 下 の よ うに要 約 され うる。
第1に 、 オペ レー シ ョン効 率 活 動 は簡 単 に真 似 で き る のか で あ る。 日本 企 業 が 追 求 して い るオペ レー シ ョン効 率 は、誰 で も簡 単 に真 似 で き る よ うな こ とを業界 が揃 っ て 展 開 して い るにす ぎな い の か 、そ れ と も各 企 業 は模 倣 を難 し くす る何 らか の独 自 的 な仕 組 み の上 で オペ レー シ ョン効 率 を追 求 して い るの か。
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第2に 、 競 争 優 位 の持 続 性で あ る。 オ ペ レー シ ョン効 率 に よ る競 争 優 位 は 、 戦 略 よ りもそ の持 続 性を発 揮 す る こ とが 難 しい の か 、 とい うこ とで あ る。
第3に 、 オ ペ レー シ ョン効 率 を 向上 す る た め に は何 を す べ きか が 明確 で あ り、 か っ そ の ゴー ル に 向 か う方 法 も明確 に特 定 され て い るの か。
第4に 、 ポ ー ター の 議 論 の真 意 は 、 明確 な 自社 独 特 の価 値 志 向 な しに、 専 らオ ペ レー シ ョン効 率 の み を追 求 す る こ とへ の警 鐘 と言 え る。 それ で は 日本企 業 は 明確 な 自社 独 特 の価 値 志 向 な しに、 横 並 び 意 識 と盲 目的 な ライ バ ル 意 識 に 駆 り立 て られ 、 単 な る品質 向上 とコス ト削 減 だ け に夢 中 に な って い る の か、 それ ともそれ ぞ れ が 合 理 性 を もっ て 、独 特 の価 値 志 向 を実 現 す る手段 と して オ ペ レー シ ョン効 率 を追 求 し て い る の か。
上 記 で整 理 した4つ の ポ イ ン トが本 研 究 の 直接 的 な 動機 で あ り、知 的刺 激 の 要 因 で も あ る。 バ ブル 崩 壊 後 、失 われ た10年 とい う言 葉 が象 徴 す る よ うに 、 日本 企 業 は か つ て の活 力 と 自信 感 を失 い 、経 営 の あ り方 や 明確 な事 業 の 方 向性 を見 出せ な い ま ま 、右 往 左 往 して い る よ うに 見 え る。 特 に今 日は 、何 をす べ き、 どの方 向へ 事 業 を 進 めて い くのか 、 ま さに戦 略 の真 価 が 問 わ れ る時代 で あ る と言 え る。 そ こで 、今 ま で 日本 企 業 が 得 意 と して き た競 争 行 動 は、 もはや 有 効 で は な くな っ た の か 、 それ と もポ ー ター が 日本 企 業 の深 層 を洞 察せ ず 、 表 面 的 な現 象 の み を見 て 過 小 評 価 して い るの か につ い て 、本 稿 を通 じて議 論 して い く こ とにす る。
皿 イ ンタ ビュー調 査 の概要 と対象 企業 の概 略
1イ ンタ ビュー調 査 の概 要
イ ン タ ビ ュー 調 査 は 、2006年9月 か ら実 施 し、 現 在 も継 続 して い るが 、 紙 面 の 制 約 が あ るた め本 稿 は6社 だ け の 内容 を ま とめた。 限 られ た 時 間の た め 、イ ンタ ビュー 内容 は事 業 の概 要 、 業 界 の 状 況 、 自社 を差 別 化 して い く方 針 や 方 法 、 そ して 競争 力 に 関す る経 営 者 の意 識 を尋 ね る こ とに集 中 した。
6社 の 基 本 情 報 は 下記 の通 りで 、社 名 は 明 か さず 、記 号 的 な イ ニ シ ャル と事 業 の 概 要 だ け を記 入 した 。 ま たイ ン タ ビュー 調 査 に応 じて くれ た企 業 は常 勤 換算 で従 業 員20人 以 上 で 、 売 上 規 模 は10億 円 〜90億 円 く らい の企 業 で あ る3。 イ ン タ ビュー の
3た だ し
、1社 だ け は 例 外 で 、 ピ ー ク 時 に は10億 円 以 上 の 売 上 を 誇 っ て い た が 、 今 は そ れ を 下 回 っ て お り 、 従 業 員 数 も20人 以 下 で あ る 。
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国際 経営 フォー ラムNo.18
対 象 者 は 社 長 、 ま た は 顧 問 な ど の 最 高 経 営 者 で あ る 。
2対 象 企 業 の概 略 1)K社
① 主 要事 業:ゴ ル フ場 、 ゴル フ練 習 場 の 運 営 、テ ニ ス ク ラブ の 運 営
② 過 去5年 間 の 平 均 売 上 高:25億 円/年 、過 去5年 間 の 平 均 営 業 利 益:1億8千 万 円/年
③ イ ン タ ビュー 対 象 者:顧 問
2)T社
① 主 要事 業:警 備 業(機 械 警 備 、施 設 警備 、 貴 重 品警 備 、 防 災 業務)
② 過 去5年 間 の 平均 売 上 高:25億 円/年 、過 去5年 間 の 平 均 営 業 利 益:3億8千5 万 円/年
③ イ ン タ ビュー 対 象 者:現 在 顧 問 、 前 社 長
3)HR社
① 主 要事 業:消 防 防 災施 設 の設 計 、施 工 、保 守 、 お よび 同 関連 用 品 の販 売
② 過 去5年 間の 平均 売上 高:10億 円/年 、過去5年 間 の平均 営 業利 益:6.2千 万/年
③ イ ン タ ビュー 対 象 者:社 長
4)H社
① 主 要事 業:冠 婚 葬 祭 お よび 介 護 サ ー ビス
② 過 去5年 間 の平 均 売 上 高:82億 円/年 、過 去5年 間 の 平 均 営 業 利 益:12億/年
③ イ ン タ ビュー 対 象 者=社 長
5)1社
① 主 要 事 業:文 具 、各 種OA機 器の 卸
② 過 去5年 間 の平 均 売 上 高:6億/年 、 過 去5年 間の 平 均 営 業 利 益1百 万 円/年
③ イ ン タ ビュー 対 象者:社 長
6)Y社
① 主 要 事 業:包 装 ・梱 包 資 材 の製 造 お よび 卸 売 業(木 材 パ レー トは製 造 、輸
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出 用梱 包 は委 託加 工)
② 過 去5年 間 の 平 均 売 上 高:13億/年 、過 去5年 間 の 平 均 営 業 利 益:1千 万/年
③ イ ン タ ビュー 対象 者:社 長
皿6社 の 競争 行動 分析
1オ ペ レー シ ョン効 率 に徹 す るK社
K社 は京 王 電 鉄 系 の企 業 と して 、創 業50年 余 りの歴 史 を も ち、 ゴル フ場 、 ゴル フ 練 習 場 、 テ ニ ス ク ラブ の運 営 を主 な事 業 と して い る。 東 京都 お よび 神 奈 川 県 の5ヵ 所 に ゴル フ場 、 ま た は練 習 場 を構 え てお り、 ゴル フ場 運 営 の企 業 と して は老 舗 で あ
る。
1‑1業 界 の 競 争 次元 とK社 の状 況
現 在 、 日本 の ゴル フ人 口は955万 人 と推 定 され て い る が 、2020年 に ゴル フ場利 用 者 数 は約3割 減 の670万 人 に落 ち込 む だ ろ うと予 想 され る な ど4、 ゴル フ場 利 用 者 数 が減 少 して い る。 しか も1人 あ た り平 均 単価 も下 げ とま らな い 状 況 が 続 い て い る。
バ ブル 期 に多 くの企 業 が多 角化 の 一環 と して ゴル フ場 事 業 に立 て続 き に進 出 した が 、 バ ブル 崩 壊 後 、 収 益性 悪 化 や 撤 退 に追 い 込 ま れ る企 業 が続 出す るな ど、 ゴル フ場 業 界 は全 体 的 に厳 しい 状 況 に置 かれ て い る。
ま た 景気 沈 滞 の あお りを受 け 、各 企 業 は しの ぎ を削 っ て 、値 下 げや サ ー ビス 改 善 に取 り組 ん で い る もの の 、 そ れ ぞ れ ユ ニ ー クな差 別 化 の源 泉 を見 出せ な い ま ま 、 リ ピー タ の確 保 に よ る現 状 維 持 に注 力 して い る様 子 が伺 え る。 言 い換 えれ ば 、 この 業 界 は競 争 次 元5に お い て 、 ほ とん どの 企 業 が サ ー ビス の 品質 や 価 格 とい った 類 似 な 次 元 で 競 争 して い るた め 、 非 常 に 同質 化 に走 りや す い 業 界 で あ り、 自社 独 特 の ポ ジ シ ン を構 築 す る こ と も難 しい。 しか も商 品や サ ー ビス種 類 、顧 客 ニー ズ 、 ア クセ ス とい っ た ポ ジ シ ョニ ン グの源 泉6に 基 づ き、 自社 独 特 の ポ ジ シ ョン を構 築 した と し
4社 会 経 済 生 産 性 本 部 『レ ジ ャ ー 白書2006特 別 レ ポ ー ト団 鬼 世 代 ・2007年 問 題 と 余 暇 の 将 来 』 5競 争 次 元 と は
、 あ る 製 品 ・市 場 に お い て 企 業 間 に 繰 り広 げ ら れ て い る 競 争 の 具 体 的 な 領 域 も し く は 変 数 の こ と で 、 価 格 や 特 定 の 機 能 、 品 質 、 サ ー ビ ス 、 営 業 拠 点 な ど の 様 々 な 次 元 が あ る 。 ま た 、 競 争 次 元 は 業 界 、 市 場 な ど に よ っ て 多 様 で 、 か つ 時 代 と 共 に 変 化 す る た め 、 何 が 競 争 次 元 に な る か は 、 定 義 され た 業 界 、 市 場 の 特 性 に よ っ て 大 き く 異 な る 。 原 田 勉 『ケ ー ス で 読 む 競 争 逆 転 の 経 営 戦 略 』 東 洋 経 済 新 聞 社 、2000年 、94ペ ー一ジ 。
sPorter
,M.E.,"WhatisStrategy?"HarvardBusinessReview,November‑December,1996.
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国 際i経営 フ ォ ー ラムNo.18
て も 、 そ の ポ ジ シ ョ ン へ の 参 入 障 壁 は 低 く 、 か つ ポ ジ シ ョ ン 間 の トレ ー ド ・オ フ (tradeoff)も ほ と ん ど働 か な い た め 、 企 業 間 競 争 の 優 劣 は オ ペ レー シ ョ ン 効 率 に 左 右 され が ち で あ る。
1‑2棲 み 分 け の難 しさ とオ ペ レー シ ョン効 率 の 追 求
ゴル フ場 業 界 は、 立 地 産 業 とい う特 徴 を強 く もっ て い る。K社 は 首都 圏 に位 置 し て い る た め 、 ア クセ ス面 にお い て は競 争 上 か な り有 利 で あ る。 約50年 に及 ぶ 電 鉄 系 の老 舗 とい う信 用 と実績 もあ り、 営業 利 益 率 は8%程 度 で安 定 して い る。 しか し、 ゴ ル フ場 業 界 は 、 前 述 した よ うに ポ ジ シ ョン間 に棲 み 分 け が難 しく、企 業 間競 争 の優 劣 は 、 立 地 、 サ ー ビス の 品質 、価 格 、名 声 な ど、オ ペ レー シ ョン上 の優 劣 で 決 ま る 場 合 が 多 い。
K社 の顧 問 は イ ン タ ビュー で 、 自社 を差別 化 す る方 法 と して 一番 主 力 して い る の は サー ビス の 品 質 で あ り、 そ して50年 近 い 実 績 と信 用 こそ が 自社 の 強 み で あ る とい う。 具 体 的 に、K社 は従 業 員 の接 客 態度 、設 備 の清 潔 さ、 メ ンテ ナ ンス の充 実 な ど、
い わ ゆ るサ ー ビス 面 の 品 質 向 上 を 図 り、 訪 れ た顧 客 の信 用 を得 る。 顧 客1人 ひ と り の好 印象 と信 用 が リピー タ を確 保 し、 そ れ が長 期 的 に は 自社 の評 判 を獲 得 す る源 泉 に な る とい う。 また 、優 秀 な人 材 の獲 得 と養 成 、そ して サ ー ビス 品 質 の 向上 を通 じ て 、今 ま で 築 い た 信 用 を一 層 強 化 す る こ とに 自社 を差 別 化 す る源 泉 が あ る と考 え て い る。
この よ うに、K社 は ゴル フ場 とい う構 造 的 不 況 業 界 に属 し、 競 争 次 元 の 同質 化 、 ま た は収 敏 化 に よ り、独 特 の ポ ジ シ ョン を構 築 し難 い状 況 に置 か れ て い る。 そ こで K社 は 、競 争 の 焦 点 をサ ー ビス の 品質 に置 き、 そ の改 善 と向上 を通 じて リピー タ確 保 に 主 力 して い る も の の 、他 の企 業 も同種 の努 力 を必 死 で 展 開 して い る た め 、根 本 的 な差別 化 の要 素 に はな りえない。 この よ うな業界 にお け る競 争 の優 劣 は、オ ペ レー シ ョン効 率性 に左 右 され が ち で あ り、企 業 の 収 益 性 が低 下 し、 業 界 は 常 に不 安 定 的 に変 動 す る傾 向 が 強 い と言 え よ う。
2特 定 の オ ペ レー シ ョ ン効 率 を競 争 の 焦 点 化 とす るT社
T社 は神 奈 川 県 平 塚 市 に本 社 を 置 き、伊 勢原 、 小 田原 、横 浜 な ど、神 奈 川 県 南 部 地 域 を 中 心 に警 備 業 を展 開 して い る。 主 な 業務 は、機 械 警 備7、 施 設 警 備8、 貴 重 品 警 備9、 そ して 防災 業務 な どで あ る。 売 上 構 成 は 、機 械 警備55%、 施 設 警備15%、 貴 重 品管 理20%、 防災 業務 、 お よび そ の他 が約10%と な っ て い る。 機 械 警 備 は平 塚 本 社
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に指 令 本 部 を置 き、約22拠 点 に待 機 所 を設 けて い る。
2‑1業 界 構 造 とT社 の 状 況
警 備 業 に お け る 日本 全 国 の業 界 構 造 を見 る と、 全 国展 開 を して い る大 手 企 業 を 中 心 に あ る程 度 棲 み 分 け構 造 とな っ て い る とい う。 機 械 警 備 はSECOM、 施 設 警 備 は ALSOK、 そ して 貴 重 品管 理 は 日通 やALSOKが 強 み を 見 せ 、 そ れ ぞ れ 得意 分 野 を 中 心 に地 域 拡 大 と市場 浸 透 を加 速 化 して い る。 ま たT社 の 推 測 に よ る と、 平 塚 市 の 競 合 構 図 は全 体 警 備 業 市 場 の 約75%をSECOMが 占め 、 残 り25%を 各 社 が分 け合 う構 造
とな っ て い る とい う。
一 方 、機 械 警 備 を 中核 と して い るT社 は、 事 業 構 造 が大 手SECOMと ぴ っ た り重 な っ て い る。 機 械 警 備 の場 合 、 中央 司令 室 の コ ン ピ ュー タや 先 端 の ア ラム 通 報機 の 開 発 ・投 入 な ど、初 期 投 資額 が 大 きい だ け で は な く、投 資額 が 品質 を支 え る側 面 が 大 い に あ る。 しか し、T社 は神 奈 川 県 南 部 を 中 心 に展 開 す る ロー カ ル 企 業 で あ るた め、 多 額 の 設備 投 資 が必 要 な機 械 警 備 分 野 にお い て 、 大 手企 業 との投 資 競 争 で絶 対 的 な劣位 に置 かれ て い る。 ま た 、 あ る程 度 顧 客 が ま とま った 地 域 に待 機 所 を設 けな けれ ば、 業 務 効 率 性 が悪 くな り、 赤 字 とな る。 した が っ て 、 初 期 の赤 字 圧 力 に 耐 え られ る大 手 企 業 で は な い と、新 規 営 業 地 域 の拡 大 も難 しい状 況 で あ る。 こ う した 状 況 に もか か わ らず 、T社 は価 格 を大 手 よ りも若 干 安 目に設 定 し、 一 層 攻 勢 を 強 め て
い る大 手 企 業 との競 争 に 臨 ん で い る。
2‑2地 域 密 着 に よ る 品質 優 位 の 追 求
T社 は 自社 の 強 み と して 、 「地 元 、 地 域 密 着 を通 じて得 意 先 に信 頼 され て い る 」 こ とを取 り上 げ て い る。 創 業 後 、約35年 間 平 塚 お よび近 隣 地 域 を 中心 に事 業 展 開 し て きた 実績 を活 か し、効 率 よ りも地 元 で の 信 頼 を優 先 す る こ とで 、 全 国展 開 を して い る大 手 企 業 に対 して差 別 化 を図 っ て い る。機 械 警 備 業 の場 合 、 事 案 発 生 時 、警 備 員 が待 機 所 か ら現 場 ま で駆 け つ け る時 間 が 品質 格 差 の勝 負 所 だ とい う。 そ こでT社
は効 率性 を重視 す る大 手 に対 して 、 品 質 重 視 に焦 点 を しぼ り、 対応 の 時 間短 縮 と こ ま め な 巡 回 に撤 して い る。 例 え ば 、平 塚 地 域 の場 合 、SECOMの1待 機 所 が カバ ー す
7家 庭 な どにア ラム通報機 を設 定 し
、事案 発 生 し、警備 員 が駆 けつ け る こ とで 、 日本 で はSE COMが 最 大手 であ る。
8工 場 や 事業 所 な どの警備 業務 を受 託 し
、警備 員 を派遣 す る ことで あ る。
9現 金 輸送 な どの業務 で
、T社 は平塚 競輪 場 現金輸 送 、横 浜 銀行 と業務 提 携 を行 ってい る。
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る加 入 者 は 約1,500件 程 度 と推 定 され る とい う。 それ に対 してT社 は500件 程 度 をカ バ ー して い るた め、 よ り迅 速 な対 応 が 可能 で あ る。 特 に事 案 発 生 時 、待 機 所 か ら顧 客 先 に駆 けつ け る時 間 を最 大 限短 縮 す る こ とに業 務 の焦 点 を合 わせ 、顧 客 の信 頼 と 安 心 感 を得 るた め に注 力 して い る。 この よ うな 差 別 化 の努 力 は 、T社 の事 業 構 造 が 大 手 と真 正 面 か ら競 合 関係 に あ る た め 、 地 元密 着 と小 回 りの効 くサー ビス で勝 負 す
る しか な い とい う危機 感 か ら生 まれ た もの だ と言 え る。
も う1つ は、 警 備 業 の場 合 、 あ る種 のネ ッ トワー ク外 部 性 が働 く。 つ ま り、効 率 性 の面 で 事 業基 盤 の な い と ころ に進 出す る と、顧 客 が 分 散 す るた め 、初 期 は 赤 字 を 避 け られ な い。 した が っ て 、サ ー ビス の 品 質 よ りも、 初 期 の赤 字 圧 力 に耐 え られ る 大 手 企 業 が有 利 に事 業 を展 開 し うる構 造 的力 が働 い て い る ので あ る。 この よ うな 事 情 もあ り、T社 は 、 拡 大 よ りは現 在 優 位 性 の あ る地 域 に ター ゲ ッ トを しぼ り、 地 元 企 業 と して の付 き合 い を フル に活 用 し、 そ こで サ ー ビス の 品質 で差 別 化 を図 っ て い
る。
しか し、 この 戦 略 も 限界 が あ り、今 後10年 後 程 度 とな る と、 ほ とん ど大 手 企 業 に よ り市 場 を奪 われ て しま い 、事 業 が行 き詰 ま るの で は ない か と、危 機 感 を募 らせ て い る。 ま た 、 巨額 の 初期 投 資 が必 要 な機 械 警 備 にお い て 日本 最 強 の大 手 企 業 との価 格 競 争 も限界 に 達 して い る。 この よ うな危 機 的 な状 況 に備 え、 警備 業 で培 っ た ノ ウ ハ ウや 経 験 を活 か し、 「安 全 ・安 心 」 を ドメイ ン とす る事 業 機 会 が あれ ば 、 多 角 化
してい きた い とい う。
以 上 の事 実 か ら、T社 の競 争 行 動 の特 徴 を次 の よ うに抽 出す る こ とが で き る。 業 界 全 体 は 、 大 手 を 中心 に棲 み 分 け構 造 とな っ て い るた め、 サ ー ビス種 類 に基 づ くポ ジ シ ョンに特化 した事 業展 開が 可能 で あ る。 しか し、 ロー カル 企 業 で あ るT社 に とっ て は 、 サ ー ビス の 種類 に基 づ くポ ジ シ ョン構 築 は、 大 手 企 業 と真 正 面 か らの競 争 関 係 に直 面す る こ とを意 味 す る。 ま た 、 この 業界 で は あ る種 のネ ッ トワー ク外 部 性 が 働 くた め、本 社 の あ る平 塚 お よび 周 辺地 域 に ター ゲ ッ トを限 定 し、効 率性 よ りもサ ー ビス の 品質 向 上 に 全 力 を注 い で い る。 とは い え、T社 が 差 別 化 の焦 点 と して い る、
事案 発 生 時 の対 応 時 間 の短 縮 は 、大 手企 業 に とって も重 要 な1」 化 の ポイ ン トとなっ てお り、競 争 次 元 の観 点 か らす れ ば 、 同質 化 の競 争 に他 な らな い。 言 い換 えれ ば 、 自社 独 特 の価 値 創 造 の領 域 を 明確 に構 築 して い る よ りも、 特 定 のオ ペ レー シ ョン効 率 性 で優位 に 立 っ こ とで 競 争 優位 を確 保 しよ う と して い る ので あ る。
3下 請 け慣行 の業界で 自立路線 に特化 しているHR社
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平 塚 市 に所 在 す るHR社 は 、 消 防 防 災施 設 の設 計 ・施 工 、保 守 お よ び 消 防 防 災 関 連 用 品 の販 売 を行 っ て お り、 平 塚 、伊 勢 原 、厚 木 、 小 田原 、横 浜 な どを 主 な 営 業 基 盤 とす る。 現 在 の社 長 一 代 で 築 き 、28期 に及 ぶ 「信 用 」 と 「顧 客 に安 全 ・安 心 を売 る」、 とい うこ とに経 営 の基 を 置 い て い る。 売 上 構 成 は 、 消 防 防 災 施 設 の設 計 ・施 工 関連 の 工 事 が50%、 設 備 お よび施 設 の保 守 ・修 理 が25%、 そ して 、 消 防 防 災 関 連 用 品 の販 売 が25%と な って お り、 リス ク分 散 の た め に この 比 率 を保 ち 、崩 さな い よ
うに して い る とい う'。。
3‑1業 界 構 造 とHR社 の状 況
消 防 防 災 施 設 の設 計 施 工 お よび保 守 業 は 、典 型 的 な 下請 け業 界 で あ る。 消 防 防 災 施 設 や備 品 を生 産 す る大 手 メー カ ー が 、建 築 会 社 や エ ン ドユ ー ザ ー か ら受 注 し、 そ れ を地 元 の小 規 模 の設 備 施 工 会社 に再 発 注 す る取 引慣 行 が 定 着 して い るの で あ る。
ま た 、 消 防 防 災 施 設 や 備 品 の 多 くは、 電 気 ・電 子 的原 理 に よ る もの が多 い た め、施 工 を請 け負 う施 工会 社 は 地 元 の 電気 工 事 屋 が多 い とい う。 この よ うな事 情 も あ り、
消 防 防 災施 設 の設 計 ・施 工保 守 業 だ け を専 門 に行 っ て い る企 業 は少 な く、 あ る種 の 典型 的 な 隙 間産 業 と も言 え る。HR社 が創 業 した 約30年 前 に 、消 防 防 災施 設 の 設 計 ・ 施 工 保 守 業 だ け に 専 門特 化 して 事 業 展 開 を行 うこ とに 、感 心 を もっ た企 業 は ほ とん
どな か った とい う。 実 際 にHR社 の 社 長 は 、 約10億 の売 上 を も っ て い る 自社 が 、 同 分 野 で は 日本 全 国 で 中堅 以 上 の企 業 だ ろ うと評 価 して い る ほ どで あ る。
3‑2隙 間の 参 入 と独 自路 線 の 選 択
上 記 の よ うな下 請 け構 造 が 定着 して い る業 界 状 況 に対 して 、 営 業 か ら施 工 、保 守 点 検 ま で 全 て を 自社 が 行 う とい うこ とにHR社 の社 長 が 事 業 の 可 能 性 に着 目 して創 業 した。 も とも と、HR社 の 社 長 は 消 防設 備 関連 の 会 社 で 努 め た 後 、 脱 サ ラ した 人 物 で あ るた め 、業 界 の詳 しい状 況や 問題 点 、そ して 隙 間産 業 の 可 能 性 を誰 よ りも素 早 くキ ャ ッチ す る こ とが で きた と考 え られ る。 顧 客 の 立場 か らす れ ば 、 あ る会 社 に 消 防 防 災 関連 設 備 を発 注 した の に、 そ の会 社 が全 く関係 の ない 会社 に再 発 注 し施 工 させ る こ とに対 して 、果 た して 安 心 と信 頼 が で き る の か 、 とい うこ とが 隙 間 を狙 っ た 理 由 の1つ で あ る とい う。
toHR社 の 社 長 が ラ ン チ ェ ス タ ー 戦 略 を 知 っ て い る か ど う か は 定 か で は な い が
、 ラ ン チ ェ ス タ ー 戦 略 に 近 い 事 業 構 成 の 比 率 を 維 持 し 、 非 常 に バ ラ ン ス が と れ て い る 。 田 岡 信 夫 『総 合 ラ ン チ ェ ス タ ー 戦 略 』 ビ ジ ネ ス 社 、1986年 。
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無 論 、大 手 メー カ ー とも事 業 上 の 関係 を 円滑 に維 持 して い くた め に 、 メー カ ー か らの 下請 け の仕 事 も頂 くが 、 あ くま で も直接 営 業 ・施 工 す る こ とに徹 して お り、 営 業 か ら施 工 ・保 守 の 全 業 務 を 自社 で行 うとい う独 自路 線 の 追 求 はHR社 の 事 業 コ ン セ プ トそ の もの とな って い る。 大 手 メー カ ー の依 存 か ら脱 皮 し、 自立 の道 を歩 ん で きた が 、実 績 を非 常 に重 視 す る業界 の 営業 慣 行 か ら、新 規 顧 客 獲 得 は非 常 に難 しく、
創 業 当時 は 大変 な 営 業努 力 が 必 要 だ っ た とい う。
3‑3持 続 的な オ ペ レー シ ョン効 率 の 追 求 と信 頼 の獲 得
HR社 は 自社 の 強 み と して 「地 元 で の名 声 」 を取 り上 げ て い る。 そ の 理 由は 、28 期 に及 ぶ 実 績 と、小 さい受 注 か らベ ス トを尽 くす 姿 勢 、社 員 の 礼儀 正 し さ、清 潔 な 身 だ しな み な ど、 徹 底 した社 員 教 育 と価 値 観 の共 有 が 、 地元 平 塚 お よび 周 辺 地 域 で
か な り高 い 評 判 を得 て お り、 そ れ が 安 定 成 長 の秘 訣 に もな っ て い る とい う。HR社 の本 社 を訪 問 して 驚 い た こ とは 、 綺麗 な 建 物 、非 常 に清 潔 な社 内 、 礼儀 正 しい 社 員 な ど、 とて も工 事 関係 の仕 事 を 営 ん で い る企 業 とは思 え な い ほ ど、整 理 整 頓 され 、 落 ち着 い た 雰 囲 気 で あ っ た。
HR社 の専 務 取 締 役 は、 この 点 に つ い て 次 の よ うに説 明す る。 「我 々 は整 理整 頓 と 社 員 の挨 拶 、 身 だ しなみ を非 常 に重 視 して い ます 。 我 々 は仕 事 上 、個 人 の お 客様 に しろ 、会 社 に しろ、 他 人 の家 に上 が る こ とが 多 い の で す 。 他 人 の所 に お邪 魔 す る の に、汚 い服装 、洗練 され てい な い言 葉遣 い で は、失 礼 に 当 た ります 。 です か ら、我 々 は礼 儀 と整 理 整 頓 を徹 底 して 追 求 します 。 それ が社 内の整 理 整 頓 、従 業 員 の挨 拶 な ど、普 段 の 生活 にお い て もわ が社 独 特 の文 化 と して表 れ 、定着 して い る と思 い ます 。」
一 方、施 工 関連 の仕 事 を受 注 す る場 合 、最 初 は 単価 が 非 常 に安 く、技 術 的 に も簡 単 な もの しか受 注 で きな い とい う。 消 防 防 災設 備 とい う命 にか か わ る工 事 を 、最 初 か ら無名 の会 社 に ま かせ る こ とは あ りえ な い か らで あ る。 小 さな備 品1つ の販 売 や 施 工 の 実 績 を積 み重 ね て か ら、 単 価 の大 き い 工事 を受 注す る よ うに な る。 実 際 に平 塚 に あ る工 場 の仕 事 を受 注す る の に約20年 もか か っ た とい う。 下 請 け慣 行 が定 着 し て い る業 界 で 、 自立 の道 を歩 む の が 、 い か に難 しい の か を伺 い 知 る こ とが で き る。
HR社 の 強 み で あ り、 脅 威 で もあ る の が 、 人 材 で あ る。 独 自路線 に徹 して い る事 業 コ ンセ プ ト上 、消 防 防 災 関連 の製 品 、 技 術 、 施 工 な どに熟 知 し、 コ ンサル タ ン ト
と して提 案 型 の 営 業 を しな けれ ば な らな い。 しか し、営 業 現 場 で 柔軟 に対応 し、 顧 客 の 要 望 に応 え な が ら、 提 案 で き る レベ ル に な る まで に は 最 低5年 が か か り、 しか もベ テ ラ ンに な る ま で に は10年 以 上 は か か る とい う。 した が っ て 、 この よ うな人材
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を募 集 ・育成 す る の が非 常 に難 し く、 一番 大 き な経 営 課 題 な の で あ る。
特 に 中小企 業 で あ る ゆ え に 、優 秀 な若 手 の人 材 が な か な か集 ま らず 、せ っ か く入 社 して もす ぐ退 職 して しま う場 合 もあ るの で 、 人 材 育 成 が最 大 の 悩 み とい う。 大 手 の 下請 け を 断 り、 自立 の 道 を歩 ん で き て い るた め、 営 業 マ ンは会 社 の キー パ ー ソ ン とな り、 この よ うな人 材 を育 成 して い け る か ど うか が 、HR社 が 今 後 も成 長 し続 け る か ど うか の分 か れ道 とな る だ ろ う。
3‑4差 別 化 に関 す る基 本 方 針
最 近 は営 業 地 域 内 で 大 手企 業 との競 争 が か な り厳 し くな っ て い る とい う。 大 手 企 業 と差 別 化 して い くた め に は 、 何 よ りもHR社 の独 自性 で あ る受 注 か ら施 工 ま で を 自前 で 行 い 、 下 請 け を しな い こ とに特 化 してい く。 それ を通 じて顧 客 に安 全 ・安 心 を売 り、 そ れ が 自社 の信 用 とブ ラ ン ドに な る とい う考 えが 背 後 に あ る。
次 は、 社員 の礼 儀 、服 装 、整 理 整 頓 、地 味 な 営業 努 力 を持続 的 に積 み 重 ね る。 こ れ らの オペ レー シ ョン努 力 は どの 会社 も行 って い る よ うな こ とだ が 、実 際 にや っ て み れ ば 出 来 な い か 、続 か な い場 合 が 多 い 。 この よ うな些 細 な努 力 が 、 自社 独 自の文 化 と して滲 み 出 た場 合 、他 社 が簡 単 に真 似 ので き な い無 形 資 産 とな り、そ れ が信 用 に結 び つ く とい うので あ る。
以 上 の よ うに 、HR社 は 、 ポ ジ シ ョニ ン グ に近 い 手 法 で 隙 間 を狙 い参 入 し、 現 在 もそ の ポ ジ シ ョン を貫 い て い る。 しか し、1人 の熟 練 の営 業 マ ン を育 て る の に どの く らい の投 資 と歳 月 が 必 要 な のか で説 明 した よ うに 、オ ペ レー シ ョンの 積 み 重 ね に よ る リソー ス の蓄 積 が な い と、 到 底 この ポ ジシ ョンで は事 業 存 続 が で きな い 状 況 と な って い る。 人 材 、 ノ ウハ ウ、知 識 とい った 自社 内部 に蓄積 され る リソー ス に加 え、
顧 客 獲 得 に も小 さな 実績 の積 み 重 ね に よ る長 い年 月 と努 力 が必 要 で あ る。 この こ と か ら、HR社 の成 長 と模 倣 障壁 を構 築 す るの は 、 オ ペ レー シ ョン の積 み 重 ね で あ り、
そ れ が 自社 独 特 の ポ ジ シ ョン を強 化 す る原 動 力 に な って い る と言 え る。
4オ ペ レー シ ョン複 合 化 を通 じて 模 倣 障 壁 を構 築 す るH社
H社 は 、 平 塚 市 に所 在 し冠 婚 葬 祭 お よび 介護 サ ー ビス を主 な事 業 と してい る。 当 社 の 主 力 事 業 は葬 祭 事 業 で あ り、 着 実 に成 長 を成 し遂 げ て い る優 良企 業 で あ る。 社 長 は非 常 に勉 強 熱 心 で 、経 営学 関 連 の 理 論 に もか な り精 通 し、 社 員 に必 読 書 を勧 め
る ほ どで あ る。 今 回 はH社 の葬 祭 事 業 を対象 にイ ン タ ビュ ー を行 った 。
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4‑1業 界 構 造 とH社 の 状 況
葬祭 業界 は 、 日本社 会 の 高齢 化 に伴 い、機 会 の拡 大 が予 想 され る成 長 分 野 で あ る。
しか し一 方 で は 、価 値 観 の 変化 を うけ 、既 存 の慣 行 か ら抜 け 出 し、低 価 格 と式 の簡 素 化 を売 りとす る新 規 参入 企 業 も多 く、今 後 業 界 構 造 が か な り変 化 す る と予想 され
る。
H社 は、 本 社 の あ る平塚 を は じめ 、茅 ヶ崎 、藤 沢 、 秦 野 、 小 田原 な ど湘 南 地域 を 中心 に約40年 に わ た る実績 と徹 底 した顧 客 志 向 に よ り、 高 品 質 のサ ー ビス企 業 と し て 定評 を得 て い る。 ま た 、H社 は、 葬 祭 事 業 に お い て従 来 の 会 館 中 心 の儀 式 か ら個 性 的 で 自宅 の よ うな雰 囲気 を求 め る傾 向 が 一段 と強 ま って き てい る こ とに着 目 し、
邸 宅型 施 設 の貸 切 りを積 極 的 に推 進 してい る。
4‑2事 業 展 開 の基 本 方 向 と戦 略 展 開 の 軸
H社 は、 事 業 展 開 の基 本 方 向性 と して 、顧 客 セ グ メ ンテ ー シ ョン を3つ に 分 け、
そ れ ぞ れ 異 な る ブ ラ ン ドで 対応 してい る。 ブ ラ ン ド ・ミ ック ス戦 略 を通 じて 、H社 は顧 客 にサ ー ビス選 択 の 幅 を もた せ 、顧 客 の状 況 に似 合 った サ ー ビス を提 供 で き る
よ うにす る と共 に、 多様 化 す る顧 客 ニー ズ に対応 して い る。 高 級 ・高 価格 、 中価 格 、 そ して 中価 格 よ り若 干 安 い価 格 の3っ の顧 客層 を ター ゲ ッ トと して設 定 し、 売 上構 成 は 、各15%、70%、15%の バ ラ ン ス を維 持 し よ うと して い る。 こ の複 数 の ブ ラ ン ド 戦 略 は 、 ポ ー ター が 一 番 成 功 し難 い と指 摘 して い る二 股 を か け る こ とに近 く'1、厳 密 な意 味 で は ポ ジ シ ョニ ン グ とは言 い 難 い 。
H社 は、 自社 の 強 み と して 、 「人 財 力 、企 業 と社 員 の価 値 観 の 共有 」 を取 り上 げ 、 人 的 資源 の優 位 性 に基 づ き、 高 品 質 のサ ー ビス を戦 略展 開 の 軸 に置 い て い る。 自社 の 教 育 ・研 修 シ ス テ ム 、 品 質 管 理 シ ステ ム 、昇 給 ・昇 進 シス テ ム を通 じて 、優 秀 な 人 材 を育 成 し、 それ を て こ入 れ して 、 差 別 化 され た サ ー ビス 品 質 でH社 な らで は の 価 値 を創 造 して い く とい う方 針 を貫 い て い るの で あ る。
4‑3オ ペ レー シ ョンの持 続 性 と複 合 化 こそ 差 別 化 の源 泉
H社 は 競 争優 位 を獲 得 し、 自社 を差 別 化 す る源 泉 、 つ ま り競 争 相 手 が簡 単 に真 似 の で きな い仕 組 み と して 、 オペ レー シ ョン努 力 の持 続 性 と複 合 化 に あ る と考 え て い る。挨 拶 、接 客態 度 、駐 車 場案 内 、受 け付 けな どの 品質 管理 は、 どの会社 も 日々行 っ
"Porter(1996)
,op.cit.
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て い る よ うな オペ レー シ ョン努 力 にす ぎ な い が 、 そ れ を持 続 す る こ とは簡 単 で は な い 。 多 くの場 合 、社 長 、 ま た は上 司 が うる さ く言 わ な くなれ ば 、元 の状 態 へ 戻 って しま うた め、 本 質 的 な サ ー ビス の 品 質 向上 とは なれ な い。 社 員 が そ の よ うな会 社 の 理 念 や価 値 観 を理 解 ・共 有 し、 さ らに継 続 して い くこ とを通 じて 、企 業 の文 化 レベ ル ま で浸透 して い く こ とが で き る。 文化 と して浸 透 して い る時 に 自然 に滲 み 出 るサ ー ビス の 品質 は 、格 段 と違 うだ けで はな く、競 合 相 手 も簡 単 に真 似 ので き な い た め、
それ がH社 の競 争優 位 を生 み 出す とい う。
と ころが 、 オペ レー シ ョン努 力 を持 続 し、文 化 レベ ル ま で 浸透 して い くた め に は、
それ が教 育 ・研 修 シ ステ ム 、 品質 管理 シ ステ ム、 昇 給 ・昇 進 シ ス テ ム と連 動 して複 合 化 して い くこ とが 必 要 だ とい う。 社 員 が 日々 の 業 務 で オペ レー シ ョン努 力 を持 続 的 に推 進 して い くこ とを促 し、動 機 づ けて い くた め に は 、上 記 の よ うな マ ネ ジ メ ン
ト ・シ ス テ ム を複 合 的 に かみ 合 わせ 、 かつ 一 貫性 を持 た せ る こ とが重 要 で あ る。 こ の よ うに、 オペ レー シ ョン に一 貫性 と複 合 性 を もたせ る こ とに よ り、単純 なオペ レー シ ョン が複 合 的 に か み合 い 、 真 似 の で き な い模 倣 障壁 を構 築 し、 さ らに真 の 競争 優 位 の源 泉 に な る とい うの で あ る。
4‑4オ ペ レー シ ョンの持 続 と複 合 化 に 関す るH社 の 取 り組 み
H社 は 、 教 育 ・研 修 シ ス テ ム と して 社 内 ライ セ ン シ ン グ制 度 を導 入 して い る。
OJTの 一 環 と して 「ブ ラザ ー ・シ ス ター 制 度 」 と呼 ばれ 制 度 を 立 ち 上 げ、 新 人 に 対 して 先 輩1人 が 教 育 係 と して 付 く。 そ して 、 ① 先 輩 のや り方 を見 た 、 ② 教 わ っ た 、
③ 一 緒 にや っ て み た 、 ④1人 でや っ てみ た 、 を繰 り返 しな が ら、後 輩 を教 育 して い く。 そ して 、6ヶ 月 ご とに昇 給 試 験 が あ り、 試 験 に はペ ー パ ー ・テ ス トと実 技 テ ス トを行 う。 入社 して6ヶ.月後 は初 級 テ ス ト、1年 後 に は 中級 テ ス トの機 会 を与 え 、合 格 す れ ば 、パ ー トで あ って も時給 が上 が る よ うに教 育 ・研 修 と昇 給 を徹 底 的 に連 動
して い る。
ま た 、 品質 管 理 シス テ ム にお い て は 、徹 底 的 に業 務 の 可 視 化 を行 っ て い る。 電 話 対 応 、受 け付 け、 駐 車 場 管 理 な ど1全 て の業 務 につ い て 、誰 が いつ 担 当 した か を把 握 で き る よ うに コ ン ピ ュー タ ・シ ステ ム を構 築 して い る。 そ して 、顧 客 ア ンケ ー ト 調 査 や ク レー ム 対応 を恒 常化 して い る の で 、 問題(ク レー ム)が 発 生 した 場合 な ど
は 、誰 が 、 いつ 、 どの よ うな 対応 を した か を、 固 有名 詞 で把 握 で き る よ うに して い る。 そ して 、 問題 が頻 繁 に発 生す る社 員 に対 して は再 教 育 を行 い 、 優 秀 な従 業 員 に は 昇進 ・昇 給 の機 会 を 与 えて い る。H社 の社 長 は 、 コ ン ピュー タ ・シ ステ ム を通 じ
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て 、 業 務 の可 視 化 を 実施 して い る企 業 は 、恐 らく この 業 界 で は は じめ て で あ ろ う と い う。
以 上 の よ うに 、オ ペ レー シ ョン効 率 性 とマ ネ ジ メ ン ト ・シ ステ ム を連 動 し、 か つ 複 合 化 させ る こ とに よ り、 高 品 質 を徹 底 的 に追 求す る企 業 文化 が 社 内 に浸 透 して い る。 そ して 、 それ がH社 の強 み とな り、他 社 が簡 単 に真 似 ので きな い模倣 障壁 とな っ て い る。 実 際 に、 同業 他 社 か らH社 の人 材 が 引 き抜 かれ るケ ー ス も か な り多 くあ る よ うで あ る。 しか し、人 材 が 引 き抜 か れ て もH社 の優 位 性 が簡 単 に真 似 され な い の は 、 オ ペ レー シ ョ ンの一 貫性 とそ れ を支 援 す る マネ ジ メ ン ト ・シ ステ ム の複 合 化 に あ る とい う。 つ ま り、 引 き抜 かれ た社 員 が 、転 職 先 で 自分 が 行 った 業務 に つ い て は、
うま く指 導 し、 導 入 で き るか も しれ ない が 、 複 合 化 して い る全 体 像 、 そ して文 化 レ ベ ル に浸 透 して い る複 雑 な社 会 性'2の関係 ま で を 導 入 ・指 導 す る こ とは で き な い た
め 、H社 は長 期 に わ た っ て 品質 優 位 性 を保 つ こ とが で き る とい うので あ る。 以 上 の よ うに 、H社 はオ ペ レー シ ョン効 率 の 持 続 的 追 求 と複 合 化 を通 じて 、 自社 の組 織 能 力 を高 め る こ とが 、模 倣 障壁 を構 築 し、 競 争 優 位 につ な が る もの と認 識 して い る。
5ポ ジ シ ョン特 化 で 生 き残 りを 図 る1社
1社 は 小 田原 市 に所 在 し、文 房 具 とオ フ ィス用 家 具(い わ ゆ る スチ ー ル 商 品 と呼 ばれ る もの で 、 イ ス 、 テ ス ク 、OA機 器 、各 種 備 品 な ど比 較 的 に大 型 の事 務 用 品 の こ とを い う)を 中心 に 卸 売 を 営 ん で い る企 業 で あ る。KOKUYO代 理 店 を は じめ 、 複 数 の メー カ ー の 代 理 店 で あ り、 営 業 範 囲 は小 田原 を 中心 に神 奈川 県 南 部 を 主要 エ
リア と し、 文房 具 小 売 店 や 一 般 企 業 を顧 客 と してい る。
取 引先 は 一般 の 文 具 小 売 業 向 け の 卸 売 販 売 が50%、 一 般 企 業 向 け の小 売 販 売 が50
%で あ る。 取 引先 は約200社 以 上 あ る もの の 、 文 具 業 界 の 流 通 再 編 の あお り うけ 、 実 質 的 に動 い て い る の は 、50社 程 度 にす ぎ ない とい う。 ま た 、扱 って い る商 品 は 、 在 庫 約1万 点 、KOKUYOの カ タ ロ グ に よ る販 売 が約10万 点 以 上 も及 ん で い る。 文 房 具 業 界 の流 通 変 革 に よ り多 くの 卸 小売 企 業 が倒 産 ・整 理 な ど厳 しい 経 営 状 況 に追 い 込 まれ て い る 中で 、 非 常 に独 特 な 事業 展 開 を行 って い る企 業 で あ る。
5‑1業 界 お よ び1社 の 状 況
12バ ー ニ ー は 因 果 関 係 が 曖 昧 で
、 し か も そ れ が 複 雑 に 絡 み 合 っ て い れ ば い る ほ ど 、 模 倣 が 難 し い リ ソ ー ス に な る と い う 。Barney,J.B.,「 リ ソ ー ス ・ベ ー ス ト ・ ビ ュ ー 」 『ダ イ ヤ モ ン ド ・ ハ.̲̲̲バ ー ド ・ ビ ジ ネ ス ・ レ ビ ュ ー 』2001年5月 。
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文房 具 卸 売 の 場 合 、約20年 前 ま で に は ほ とん どの企 業 が 文房 具 小 売 店 を 主要 顧 客 と して い た。 しか し、周 知 の よ うに文房 具 の販 売経 路 が 、以 前 の文 具 小 売店 か らスー パ ー お よび コ ン ビニ に変 わ り、 最 近 はASKULに 代 表 され る よ うに 通 販 が 主 導 権 を 握 るな ど、流 通構 造 が 激 変 して い るた め 、 文 具 卸 売 企 業 の 主 要顧 客 で あ る地 元 の小
さな文 具 小 売 店 は ほ とん ど機 能 しな くな っ て しま った 。 一 般 客 は 文房 具 を コン ビニ か 、 ス ー パ ー 、 ま た は 、 最 近 は100円 シ ョ ップ で 買 い 求 め て い る一 方 、 か な りの量 が 期 待 され る企 業 顧 客 は 、ASKULな どの 通 販 企 業 か ら小 ロ ッ トで割 安 な価 格 で 購 入 して い る状 況 で あ る。
した が っ て 、文 房 具 に専 念 して い る卸 売 企 業 は 、 ほ とん ど生 き残 れ な い 状 況 に追 い 込 まれ た。 実 際 に 、1社 と10年 ほ ど前 ま で に 共 同仕 入 れ 、共 同販 促 を展 開 して い た 同業 の4社 は 、 全 て倒 産 、 ま た は廃 業 に追 い 込 まれ 、1社 だ け が生 き残 っ て い る とい う。 そ の秘 訣 は 、1社 の 場 合 、15年 ほ ど前 か ら文房 具 の卸 売 は 、将 来性 が ない とい うこ とで 、 ス チ ール 商 品 に集 中す る戦 略 を とっ て きた か らで あ る。
5‑2生 き残 りを か け た 隙 間 の 選 択
今 日、 文 具 卸 売 の最 大 の脅 威 は 、低 価 格 とス ピー ド、 そ して 配 達 の便 利 さ を売 り にす る大 手 の通 販 企 業 が参 入 し、 旧来 の 流 通 経 路 が壊 滅 的 な打 撃 を受 け た こ とで あ る。 例 え ば、 一 般 企 業 に お け る文 具類 の 消 費 形 態 を 見 る と、会 社 の事 務 員 が 上 司 の 決 済 な しに簡 単 に注 文 で き る消耗 品 に 当た る た め 、通 販 企 業 が 単 価 の安 い商 品 を 中 心 に急 速 にそ の シ ェア を伸 ば してお り、 旧来 の文 具 小 売 ル ー トに頼 っ て い る会 社 は 、 そ の存 続 自体 が 成 り立 た な くな っ て い るの で あ る。
しか し一 方 で は、 大 手 通 販 会 社 の 出 現 に よ り、文 具 業 界 に新 しい 事 業 の隙 間 が 生 まれ て い る こ と も事 実 で あ る。 地 元 の 文 具 小 売 や 卸 売 企 業 が ほ とん ど撤 退 して い る た め、 ス チ ー ル 商 品 が必 要 な場 合 、顧 客側 の 不 安 を取 り除 きな が ら、 顧 客 の ニ ー ズ に合 っ た 商 品 を提 案 して くれ る身 近 な相 談相 手 がい な くな って しま った 。1社 は 、 この よ うな 事 業機 会 に着 目 し、事 務 員 レベ ル で発 注 が で き る単価 の 安 い 文 房 具 に は ほ とん ど力 を入 れ な い 代 わ りに 、 大手 の 通販 企 業 が 手 掛 け難 い ス チ ー ル 商 品 の提 案 型 営 業 に徹 し、 しか も企 業 の 需 要 に対 して トー タル ・シ ス テ ム'3と して 対 応 す る こ
とで 、 そ の活 路 を模 索 してい る の で あ る。
'3こ こ で い う トー タ ル ・シ ス テ ム と い うの は
、 事 務 所 の 移 転 、 家 具 選 び 、 配 置 な ど 、 企 業 側 の ニ ー ズ の 全 部 を 請 け 負 い 、 そ れ ら の ニ ー ズ を トー タ ル で 提 案 す る こ と を 意 味 す る 。
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5‑3隙 間 こそ 独 特 の 価 値 創 造 の源 泉
ASKULは 、 当 日、 ま た は 翌 日配 達 、1900円 以 上 の 注 文 は送 料 無 料 、 さ らに 定価 の約70%と い う安 さを売 りに文 具 流 通 に変 革 を起 こ した。 しか し、ASKULは ス ピー ド、手 軽 さ、 安 さ とい う事 業 コ ンセ プ ト上 、 文房 具 類 に偏 りが ち で あ る。 そ こで1 社 は 、ASUKULと の 直 接 的 な競 争 を避 け な が ら、棲 み 分 けが で き る分 野 を模 索 した 結 果 、 ス チ ール 商 品 に特 化 す る戦 略 を とって きた ので あ る。 上 司 の決 済 が 必 要 な ス チ ー ル 商 品 は 、 時 間 をか け、 多 様 な 商 品 を 比較 説 明 で き る卸 売 企 業 の メ リッ トを活 用 す れ ば 、 地 元 企 業 で も十 分 に勝 負 が で き る とい う思 惑 もあ っ た か らで あ る。
ま た 、通 販 企 業 が 文 具 類流 通 の 主導 権 を握 る よ うに な り、 文 房 具 屋 自体 が激 減 し て い るた め 、地 元 の 中小 企 業 が大 型 事 務 用 家具 な どを必 要 とす る場 合 、 親 密 な相 談 相 手 が い な くな っ て い る、 とい う業 界 の隙 間が 生成 され て い た こ とも助 け とな った 。 例 え ば 、事 務 所 移 転 や 配 置 変 え な ど、新 規 に大 型 事務 用 家 具 が 必 要 な場 合 、事 務 所 の 配置 や 用 途 な どに合 わせ て、各 種 商 品 の機 能 を比 較説 明 し、最適 な商 品 を コー デ ィ ネ ー トしな が ら、提 案 して くれ る企 業 が身 近 に存 在 しな くな って い るの で あ る。
特 に 、 最 近 は組 立 式 の 家 具 が 多 い が 、 引越 屋 やASKULは 引 越 し先 で の組 立 ま で はや っ て くれ な い。 ま た 、 どの よ うにセ ッテ ィ ン グす れ ばい い の か が分 か らな い状 況 で、 通 販 会 社 は そ こま で の 面倒 は見 て くれ な い。 そ こで 、 家 具 の解 体 、 配 置 、 組 立 な どを請 け負 うこ とで 、会 社 の 不 安 を解 消 す る相 談 役 を名 乗 り、 トー タル ・シ ス テ ム と して の販 売 に特 化 して い る ので あ る。
企 業 の親 切 な相 談相 手 と して提 案 型 営 業 を展 開す るた めに は 、 事務 用 家 具 の配 置 や オ フ ィス 環 境 に適 した 商 品 の選 定 、 そ して、 業 務 効 率 化 の た め の配 置 な どに 関す る ノ ウハ ウや 知 識 が必 要 で あ る。1社 は、 長 年 の販 売 実 績 と商 品知 識 を、提 案 型 営 業 に徹 す る原 動 力 と して活 用 して い る。
5T4差 別 化 の 源 泉 と今 後 の 課 題
以 上 の 考 察 か ら、1社 の戦 略展 開 の 軸 は 、 流 通 再 編 の渦 巻 き の 中 で 生 じた 隙 間 の 着 目 と、 そ こに経 営 資 源 を集 中 して い る こ とで あ る。 この こ とか ら、1社 は典型 的 に ポー ター の ポ ジ シ ョニ ン グ を充 実 に踏 襲 して い る とも言 え る。 しか し一方 で は 、 この よ うな 隙 間 に着 目 し、特 化 す る こ とで 、事 業 を存 続 して い け る原 動 力 は 、長 い 間 の販 売 実績 と商 品知 識 、提 案 知 識 を獲 得 して い るか らに他 な らな い。 ま た 早 くか ら衰 退 して い る文 房 具 か らは ほ ほ撤 退 し、大 手 の競 争圧 力 が 比 較 的 に緩 や か な分 野 に特 化 す る選 択 と集 中が 功 を奏 した と言 え る。 した が って 、1社 の事 例 か らは業 界
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の動 向 と 自社 の 強 み お よび 弱 み を 見極 め て 上 で 、 最 適 な ポ ジ シ ョン を構 築 した こ と が 自社 を差 別 化 す る原 動 力 とな っ て い る と読 み 取 る こ とが で き る。
最 後 に 、1社 が今 後 も提 案 型 営 業 に特 化 して い くた め に は 、 商 品 知識 、 提 案 能 力 に熟知 してい る熟 練 ス タ ッフ の存在 が必須 条 件 とな る。 しか し、1社 は、熟 練 ス タ ッ フ がそ ろ そ ろ定 年 退 職 す る時 期 を 向 か え て い るた め、 いか に新 人 の ス タ ッフ を育 成 す るか が 、現 在 の ポ ジ シ ョンで 存 続 して い く上 で 大 き な課 題 とな っ て い る。
6人 的資 源 の 開発 にマ ネ ジメ ン トの 焦 点 を置 くY社
Y社 は 、包 装 ・梱 包 資材 の製 造 お よび 卸 売 業 を行 って い る企 業 で 、 主 に各 種 包 装 資材 、 緩 衝 材 、水 産 容 器 、 段 ボ ー ル 、 プ ラス チ ック容器 、 成 型 品 、発 泡 ス チ ロー ル 容 器、 パ レー ト、 ボ ックス ・パ レー トな ど を取 り扱 って い る。 製 造 部 門 は 、 木材 パ レー トの製 造 と、輸 出用梱 包 の 委託 加 工 が あ り、そ の他 の各 種 包装 ・梱 包 資材 は メー カ ー か ら仕 入 販 売 す る卸売 を営 ん で い る。 売 上 高 の構 成 は 、 包 装 資 材 がy大 きな 比 重 を 占 めて い るが 、 リス ク分 散 の た め に 、 そ れ ぞ れ 約25%未 満 の 売 上 構 成 を保 っ よ うに して い る。 また 、輸 出用 梱 包 の 委 託 加 工 は 、 富 士 フ イル ム 、 三 菱 化 学 、YAZ AKIな ど大 手 会 社 との実 績 も多 く、Y社 は この 事 業 に お い て も リス ク分 散 の た め に 、
大 手 間 、大 手 と中小 企 業 間 との 売 上 のバ ラ ンス を保 っ よ うに努 力 して い る。
仕 入 先 は約100社 、 納 品先 は500社 に も及 ぶ が 、納 品 先 に 関 して は 、500社 の 内50 社 が 全 体 の90%の シ ェ ア を 占め て い る とい う。 ま た 、 輸 出 用 梱 包 の 委 託 加 工 の場 合 は 、長 年 の 実 績 と様 々 な ニ ー ズ に 対応 で き る ノ ウハ ウが あ る、 と強 い 自信 感 を示 し て い る。
m1業 界 の 競 争 上 の特 徴 と差 別化 の 焦 点
前 述 した よ うに 、Y社 は 、木 材 パ レー トは 自社 で製 造 して い る も の の 、そ の他 の 資材 に 関 して は卸 売 業 を営 ん で い る。 しか し、包 装 ・梱 包 資材 業 界 は 、個 々 の メ:.
カ ー の 代 理 店 か 、 ま た は特 定 商 品 の 専 門 卸 売 が多 い た め 、扱 う商 品 の カ テ ゴ リ別 に 特 化 した 流 通構 造 とな っ て い る とい う。 これ に対 して 、Y社 は50年 以 上 の実 績 を活 か し、 包 装 ・梱 包 材 に 関 して は ほ とん どの 商 品 を 品揃 え して い るの が 強 み で あ る。
顧 客 の 立 場 か らす れ ば 、 ワ ンス トップ ・シ ョ ッ ピ ング が 可 能 な わ けで 、 便 利 屋 的 な 機 能 を売 りに して い るの で あ る。
も う1つ は 、 取 引先 に 対 す る信 頼 関係 と提 案 力 の 強 化 で あ る。 特 定 メ ー カ ー の代 理 店 の 場 合 、 取 り扱 っ て い るメ ー カ ー の 商 品 しか顧 客 に提 案 で き ない とい う短 所 が 147
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あ る。 しか し、Y社 は多様 な メ ー カー の商 品 を扱 って い るの で 、個 々 の商 品 の長 所 、 短 所 を比 較 しな が ら提 案型 営 業 が で き る とい うメ リ ッ トが あ る。 自称 「包 装 ・梱 包
分 野 にお け る動 く コ ン ビニ 」 と して 自社 を位 置 づ けて お り、 常 に顧 客 の ニ ー ズ を聞 き 出 し、 それ を充 足 す る よ うな営 業 活 動 に 主力 して い る。
6‑2知 識 創 造 の 姿 勢 と企 業 文 化 へ の 定 着
Y社 の社 長 は 、 中小 企 業 が 取 り組 ん で い か な けれ ば な らな い課 題 と して 、 人材 育 成 を第 一 に取 り上 げ て い る。 そ して 、知 識 資 源 を積 極 的 に創 造 し うる仕 組 み を社 内 の 文化 と して定 着 して い くこ とが 、経 営 上 の重 要 な課 題 で あ る とい う。 知 識 創 造 を 重視 す る理 由 は 、商 品 は い ず れ 陳 腐 化 し、新 商 品 、新 しい 包 装 技 術 で代 替 され る。
しか し、 経 験 、 ノ ウハ ウな ど、 い わ ゆ る知 識 べ 一 ス の 資 産 は カ ネ で は 買 え な い ば か りか 、 獲 得 に は長 い年 月 が か か るか らで あ る。
一方 、 中小 企 業 に は人 材 不 足 が 深刻 で あ り、人 材 の獲 得 と育 成 が 常 に重 要 な課 題 とな っ て い る。 競 争 で勝 っ て い くた め に は 、社 員 に 労働 を強制 す る ので は な く、 自 発 的 に 戦 って い く意 識 を 育 て る こ とが 大 事 で あ る。 そ の た め に は、 仕 事 を通 じて社 員 が成 長 して い け る よ うに制 度 的仕 組 み 、 ま た は文 化 を社 内 に定 着 して お く こ とが 何 よ りも重 要 で あ り、長 期 的 な 競 争優 位 の源 泉 に な る、 とい う認 識 を も って い るの
で あ る。
この 背 景 に は、 人 材 こそ 、企 業 競争 力 の 源 泉 で あ る、 とい う鉄 則 論 をY社 の社 長 が もっ て い るか らで あ る。 そ こで社 員 に各 種 の資 格 の勉 強 を させ た り、 また は社 長 み ず か らが 経 営 学 関連 の勉 強 に励 み 、 そ れ を も とに社 員 と勉 強 会 を開 い た り して い る。 中小 企 業 が社 員 教 育 に投 資 す る場 合 、OJTか 、会 計 や 技術 関連 教 育 に投 資 す る 場 合 が ほ とん どで あ る。 ま た は 業 界特 殊 的 な免 許 が 必 要 な 場合 、 最低 必 要 要 件 と し て資 格 取得 を支 援 して い る場 合 は よ くあ る。 しか しY社 は 、営 業 、 経 営 企 画 、マ ー ケテ ィ ン グな ど、 会 社 の即 戦 力 と して結 び つ か ない よ うな 分野 に お い て も資 格 試 験 費 用 を会 社 が負 担 し、社 員 の能 力 開発 にか な りの投 資 を行 っ て い る。 抽 象 度 の高 い 話 に な るが 、社 員 が 自分 の能 力 を 高 め、 豊 か な生 活 を送 るた め に会 社 が 存在 してお り、 それ を理解 して い る社 員 は退 職 後 で もい ず れ はY社 に 思 い を寄せ 、他 の 形 でい い取 引 関係 に結 び つ く場 合 もあ る とい う。
6‑3人 材 、 オ ペ レー シ ョ ン 、 マ ネ ジ メ ン ト ・シ ス テ ム の 複 合 化
Y社 は 、 経 済 的 に価 値 が あ り、 他 社 が 真 似 の で き な い リ ソー ス と して 、 社 員 の 専 148
門知 識 、社 員 の教 育力 、 社 員 の情 報 収 集 力 、社 員 の 自信 力 を取 り上 げ て い る。 社 員 個 々 のカ を伸 ば し、個 々 の能 力 を 強化 す る こ とこそ が競 争 力 の 大前 提 と考 えて い る。
しか し、 社 員 個 々 の能 力 を伸 ば して も、 それ が 直 ち に会 社 の競 争 力 と して 結 び っ くこ とは ない 。 会 社 の マ ネ ジ メ ン ト ・シ ステ ム を うま く編 成 し、社 員 の能 力 を伸 ば す よ うにサ ポー トしな け れ ば な らない 。 教 育 ・研 修 制度 、 そ れ に連 動 す る報 酬 シ ス テ ム、社 員 の裁 量 を最 大 限 尊 重 す る管 理 シ ス テ ム が うま くか み 合 っ て か らこそ 、社 員 の 能 力 が 会 社 の競 争 力 と して 具 現化 され は じめ る とい う。 特 に 、社 員 と経 営者 が 価 値 観 や 経 営 理 念 の共 有 す る こ とを通 じて、 全 員 主 人意 識 が 生 まれ 、 それ が会 社 を 活1生化 し、 長 期 的 に は企 業 の 競争 力 につ なが る とい うの で あ る。
実 際 にY社 は 、決 裁 権 は社 長 が持 っ て い る もの の 、 か な り権 限 と裁 量 を社 員 に与 えて い る。 ま た 、社 長 は 管理 者 とい うよ りも調 整 者 と して 、社 員 間、 部 門 間 の調 整 者 の役 割 に徹 す る場 合 が 多 い とい う。 あ くま で も社 員 の個 々 の 能 力 を 引 き 出 し、 そ れ を社 内の マ ネ ジ メ ン ト ・シ ス テ ム と複 合 化 させ る こ とに よ り、 会 社 の活1生化 と競 争 力 を強化 しよ うと して い るの で あ る。Y社 の社 長 は人 材 重視 の 経 営 姿 勢 に徹 し、
自社 を個 人 事 業 主 の複 合 体 で あ っ て ほ しい とい う。 言 い換 えれ ば 、個 々 の社 員 が 自 分 の事 業 の よ うに業 務 に取 り組 め ば 、 日々の 品質 管 理 や 顧 客 管 理 は非 常 に 円滑 に進 み 、 それ が 全社 的 な活 性 化 と顧 客満 足 にっ な が る と考 えて い る。 そ して 、会 社 の役 割 は 、社 員 個 々 の能 力 を 引 き 出せ る よ うなマ ネ ジ メ ン ト ・シ ス テ ム を提 供 す る こ と に他 な らな い とい うの で あ る。
1V競 争 行 動 の 類 型 化 とそ の 特 徴
1競 争 行 動 の 分 類
こ こ で は 、 イ ン タ ビュー 調 査 に基 づ き、 日本 の 中小 企 業 が とっ て い る競 争 行 動14 の特 長 を4つ の パ ター ン に分 類 す る。 分 類 の 軸 と して は 、企 業 の 主 体 的 要 因 と外 部 環 境 要 因 を用 い る。 第1に 、 企 業 主 体 的 要 因 と して企 業 努 力 に焦 点 を合 わせ る。 こ
こで は 、 自社 独 特 の 差別 的 な競 争 次 元 を構 想 し、 そ れ に 向 け て事 業 展 開 を図 って い る の か(独 特 の 価 値 志 向)、 そ れ とも、 競 合 他 社 とほ とん ど同 じ競 争 次 元 で 品 質 と
コス ト優 位 に努 力 を集 中 してい る の か(オ ペ レー シ ョン志 向)に 大 別 す る。
19こ こで い う競争 行 動 とは
、競 争 の焦 点 事項 、 ま た は製 品お よび サ ・一 ビス におい て 自社 と競 合他 社 を差 別化 して い くシナ リオ の こ とで あ る。
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第2に 、外 部 環 境 要 因 と して業 界 構 造 を二 分類 す る。 自社 が属 して い る業 界 にお い て多 様 な セ グ メ ン トが存 在 し、各 企 業 は 互 い に異 な るセ グ メ ン トで棲 み 分 け がで き るの か(異 質 的 か)、 そ れ と も業 界 の セ グ メ ン テ ー シ ョンが 非 常 に類 似 で 、 しか もセ グ メ ン ト間 の 相違 性 が ほ とん ど見 られ な い のか(同 質 的 か)で あ る。 この分 類 の 方 法 を通 じて 、 業 界 が 成 熟 し、 同質 的 な競 争 とな りや す いか 、 それ と も新 規 参 入
の隙 間 が 多 く、企 業 間 の棲 み 分 け が可 能 か を推 定 す る こ とがで き る。
図1競 争行 動の類型化 とその変化
異質性同質性
業界構造
ポ ジ シ ョ ン ・べ 一 ス ・
オ ペ レ ー シ ョ ン 効 率 追 求 型 ポジ シ ョン特 化型
▼
オ ペ レー シ ョ ン 効 率 追 求 型
\
オ ペ レ ー シ ョ ン 複 合 型
オ ペ レー シ ョ ン 志 向 く一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一→ レ 独 特 価 値 志 向 企 業 努 力 の 焦 点
① ② ③ ④
ポ ジ シ ョ ン 特 化 型=1社(文 具 卸)
ポ ジ シ ョ ン ・べ 一 ス ・オ ペ レー シ ョ ン効 率 追 求 型:HR社(消 防 設 備 施 工) オ ペ レー シ ョ ン 効 率 追 求 型lK社(ゴ ル フ 場 運 営)、T社(警 備 業)
オ ペ レー シ ョ ン複 合 型:H社(冠 婚 葬 祭)、Y社(梱 包 材 製 造)
図1は 、企 業 主 体 的 要 因 と して企 業 努 力 の焦 点 を2つ の 軸(独 特 の価 値 志 向 とオ ペ レー シ ョン志 向)の 相 対 的 な強 弱 で表 した。 そ して 、 環 境 要 因 と して は業 界構 造 を 同質 化 、異 質 化 の相 対 的 度 合 い で表 し、4っ の セ ク タ,̲̲.̲.に分 類 した。 この よ うな 分 類 が もつ 意 味 は 、 まず 、 業 界 にお け る競 争 次 元 が 同質 的 か異 質 的 か に よっ て 、 互 い に異 な るセ グメ ン トにお い て棲 み分 け が 可能 か ど うか を表 し、業 界 構 造 と競争 行 動 を有機 的 に 関連 付 け考 察 す る の に非 常 に有 効 だ とい うこ とで あ る。 次 に、企 業 の 自主 的 な競 争 行 動 と して 、 単 に製 品 ・サ.̲̲̲ビス の 品 質 や コ ス ト優位 を 求 めて い るの
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か 、そ れ とも、独 特 の 価値 や 事業 展 開 の仕組 み にお け る独 自性 を追 求 して い るの か 、 を分 析 す る こ とに よ って 、 個 々 の企 業 に お け る競争 上 の特 質 を一 層 明確 に と らえ る こ とが で き る。
業 界 が成 熟 し、 か つ ほ ぼ 同 じ競 争 次 元 で競 争 が繰 り広 げ られ て い る場 合 、 企 業 間 の 競争 形 態 は ほ ぼ 同質 化 し、 競 争 行 動 の焦 点 は オペ レー シ ョン効 率 に集 中 しが ちで あ る。 そ れ に対 して 、競 争 次 元 が 異 質 性 に富 み 、 そ の 要 素 も多 様 な場 合 、個 々 の企 業 は そ れ ぞ れ の セ グ メ ン トに お い て 業 務 活 動 を適 合 させ 、他 社 とは異 な る価 値 創 造
の次 元 と して 、 ポ ジ シ ョン構 築 を 重視 す る傾 向 が見 られ る と言 え よ う。
24つ の競 争行 動 の パ タ ー ン と その 属 性
第1に 、本 稿 で名 づ け た ポ ジ シ ョン特 化 型 とは、 い わ ゆ る隙 間集 中 とも言 え る も の で あ る。 ポ ー ター が提 示 した製 品 、 ニ ー ズ 、 そ して ア クセ ス の 面 にお い て 、企 業 は互 い 異 な るセ グ メ ン トで棲 み 分 けが 可 能 な た め、 特 定 の ポ ジ シ ョン とそ こで の事 業 集 中 の競 争 行 動 を見せ る。 ポ ジ シ ョン特 化 型 は、 あ る ポ ジ シ ョンに特 化 す る こ と が 、参 入 障壁 ・移 動 障壁 を構 築 し、 こ う した 障壁 を、 自社 独 特 の価 値 を創 造 す る構 造 的 な力 と して利 用す る競 争 行 動 で あ る。
本 稿 の事 例 で は 、文 具 卸 の1社 が この範 疇 に属 す る と言 え る。 文 具 流 通 が 通販 を 中心 に変 化 し、競 争 も配 達 ス ピー ド、 安 さ、 そ して 小 ロ ッ ト配 送 が決 定 的 な 要 素 と な って き て い るた め 、文 具 卸 は ほ ぼ瀕 死 の状 態 に 追 い 込 ま れ て い た。 そ こで 早 くか ら単 価 の安 い文 房 具 か らは ほぼ 撤 退 し、 ス チー ル 商 品 と呼 ばれ る オ フ ィス用 機 器 ・ 家 具 に集 中 して き た。 特 に 、 多 くの 卸 売 企 業 が 撤 退 、倒 産 した た め、 スチ ー ル 商 品 の購 入 、 事 務 所 移 転 や 改 修 な どが必 要 な場 合 、相 談 相 手 と して の企 業 が な くな っ て い る こ とに着 目 し、親 密 な相 談相 手 と して の事 業 展 開 を行 った 。 そ れ が 結 果 的 に オ フ ィス用 機 器 ・家 具 に特 化 す る事 業 構 造 とな って お り、 中小 卸 売企 業 と して 生 き残
りが 可能 な 要 因 とな って い る の で あ る。
第2に 、 ポ ジ シ ョン ・べ 一 ス ・オペ レー シ ョン効 率 追 求 型 は 、事 業 方 向 性 と して 特 定 の ター ゲ ッ トに基 盤 を置 く もの の 、 そ の セ グ メ ン トにお い て他 社 と棲 み 分 け が で き る ほ ど、決 定 的 な 参 入 障 壁 や模 倣 障壁 が働 か ない た め、 オ ペ レー シ ョン効 率 を 通 じて特 定 ポ ジ シ ョンで優位牲 を発揮 しよ うとす る競争 行 動 で あ る。製 品お よびサ ー ビス 品質 向 上や 企 業 間 関係 の強 化 、顧 客 間 関係 強 化 、 社 内活 性 化 、独 自技 術 追及 な ど、 日々 の オペ レー シ ョン効 率 を積 み 重 ね る こ とが 、 特 定 の ポ ジ シ ョンに お い て 差 別 的 優位 性 を発 揮 す る要 素 とな る。
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