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博士(文学)学位請求論文審査報告要旨

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Academic year: 2022

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博士(文学)学位請求論文審査報告要旨

論文提出者氏名 菅村 玄二

論 文 題 目 構成主義によるクライエント中心療法の再構築 審査要旨

1.判定

本論文を博士学位論文の水準に達するものと認める。

2.審査結果

本論文の審査は、本論文と深く関わる以下の3つの領域に関する専門家を副審査委員とし、

それぞれの専門性の観点から行なわれた。具体的には、本論文の中核である「クライエント 中心療法」に関しては保坂亨教授(千葉大学教育学部)、「クライエント中心療法」の再構築 にあたって新しい視座として提案された“構成主義”“宗教思想”に関しては田島照久教授(早 稲田大学文学学術院)、「クライエント中心療法」の重要概念である“共感”および“構成主 義における発達的視点”に関して大藪泰教授(早稲田大学文学学術院)である。

本論文の要旨は下記である。

本論文は大きく4つの部分から構成されている。第 1 部「概説」では、構成主義とクライ エント中心療法の理論および臨床実践の全体を概観し、第2部以降の議論において必要とな る基本的な事項に関して、必要にして十分な解説がなされている。

第 2 部「基礎理論:認識論と人間論」では、クライエント中心療法の認識論的基盤となる ロジャーズの人間性心理学における人間観、および人間の成長と変化のプロセスの前提とな っている彼の「実現化」の概念について検討し、客観主義のアンチテーゼとしての主観主義 に代わり、構成主義的な認識論を援用し、理論的な改変を行なうことにより、より多様な臨 床的アプローチを包括できる可能性を明確に指摘している。

第3部「臨床理論:治療的人格変化の6条」では、ロジャーズが提出した治療的人格変化 の6条件のそれぞれについて、構成主義の観点からその重要性を再評価し、また再理論化を 試みている。特に、関係性こそが自己発達と認識の礎であることを指摘し、さらにこの関係 性が社会文化的な文脈と不可分であることを明示し、ロジャーズのアプローチに欠けていた 視点を浮き彫りにしたことは、クライエント中心療法の理論的拡張につながる優れた功績で あるといえる。

第4部「課題と展望」では、ロジャーズ自身は深く追究しなかったものの、構成主義の観 点からクライエント中心療法の発展可能性を検討する上で有用であると考えられる”身体性”

の問題と、”東洋思想”、特に仏教からの示唆を取り上げ考察を深めている。最後に、総合議 論として、構成主義心理療法とクライエント中心療法との関係について第2部から第 4 部ま での議論の再整理を行い、本論文をまとめている。

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氏名 菅村 玄二

4名の審査委員による審査結果は以下のように要約される。

本論文は、構成主義の観点から、クライエント中心療法を再定義し、さらに改変を含めた 精緻化を行なっている。これにより、弱いと批判されてきた同療法に理論的枠組みを与える とともに、臨床実践においても技法上の新しい展開を与えることに成功している。さらにこ うした展開の先に、最近この領域で注目を集めている身体と精神の関係性に関する知見と東 洋的な宗教思想を置き、非常に大きな視野からクライエント中心療法を再構築している。こ の意味で、クライエント中心療法のみならず、臨床関連の諸理論に新しい可能性を示した点 で意義ある研究である。

公開審査会を経て出された最終評価は、審査委員全員一致で、本論文が博士学位申請論文 の水準に達する、というものであった。

以上により、本論文を課程博士学位論文の水準にあると判定する。

公開審査会開催日 2008年 1月 21日

審査委員資格 所属機関名称・資格 博士学位名称 氏 名

主任審査委員 早稲田大学文学学術院・教授 越川 房子

審査委員 早稲田大学文学学術院・教授 文学 田島 照久

審査委員 早稲田大学文学学術院・教授 文学 大藪 泰

審査委員 千葉大学教育学部・教授 教育学 保坂 亨

審査委員

参照

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